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高コスト経済 を生み出し インドネシアの貿易上の競争力を損なっている カカオ ゴム コーヒーなどの輸出部門においては 物流費と輸送費の合計の約 40% を出荷前および内陸輸送費が占めている しかしながら 過去 2 年間でインドネシアはこの状況を打開するために懸命の働きを見せている 世界銀行の発表する

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Academic year: 2021

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1 インドネシアの接続性 (Indonesia’s Connectivity) 背景:インドネシア経済における供給に関する課題 インドネシアは世界的な経済危機の最中にもかかわらずプラス成長を成し遂げた G-20 国の 1 つである。しかし、この成長は「計画的」なものではなく、むしろインド ネシアの有利な人口動態によって支えられた力強い内需を主な背景とする「既定」のも のだったとする専門家もいる。一方で、インドネシアは供給側の構造的ボトルネックに いまだ直面しており、これがインドネシアの潜在能力を活かしきれない要因となってい る。供給上の制約をもたらしている主なものは、ほとんど機能していない官僚や、低レ ベルの応用技術、不十分なインフラ、地方間の接続性における制約(limited connectivity) である。本レポートではこのうちの接続性に焦点を当てることとする。 世界最大の島嶼国であるインドネシアは、5 つの主要な島およびその他の人が居住し ている 6,000 以上の島々から成っている。問題はそれらの接続が不十分なことであり、 それゆえに市場間が完璧には統合されておらず、物品や人の移動はかなり非効率的な状 態にある。地方間の著しい価格差(開発の遅れた遠隔地ではとりわけ顕著)や、島嶼間 輸送費および内陸輸送費の高さ、大都市における大渋滞が、指標にも表れている。 この問題を実践的に説明すると以下のようになる。 ジャカルタのスーパーマーケットではメダン(北スマトラ)から輸送したオレンジでは なく中国から輸入したオレンジを販売されている。なぜなら、メダンのブラワン港から ジャカルタまでの輸送コストは、上海からジャカルタまでの輸送よりも高コストだから である。ジャカルタからパプアに出荷するよりもジャカルタからロッテルダムに出荷す る方が安いため、セメントはパプアではジャカルタでの 20 倍の価格にもなる。インド ネシアにおける内陸輸送費の平均は 0.34 米ドル/km で、アジア平均の 0.22 米ドル/km の 1.5 倍にあたる。ワルシャワからハンブルク(750km)への輸送費は、南スラウェシ のマカッサル~エンレカン(240km)の輸送費のわずか半分である。このような状況が

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2 「高コスト経済」を生み出し、インドネシアの貿易上の競争力を損なっている。カカオ、 ゴム、コーヒーなどの輸出部門においては、物流費と輸送費の合計の約 40%を出荷前お よび内陸輸送費が占めている。 しかしながら、過去 2 年間でインドネシアはこの状況を打開するために懸命の働きを 見せている。世界銀行の発表するロジスティック指数(LPI)にもその著しい向上が示 されている。インドネシアは世界銀行の 2010 年 LPI において 155 カ国中 75 位にラン クされていたが、2012 年には 59 位となった。ただしそれでも同じ東南アジア地域では シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、ヴェトナムよりも下位である(LPI 世 界第 1 位はシンガポールで、日本は第 8 位であった)。この指数におけるインドネシア の大幅な改善は、出荷された物品が予定配達時間もしくは期待された配達時間内に目的 地に到着したという点による。その他の注目すべき好傾向として、情報通信 ICT:

Information and Communication Technology、インフラ整備、民間の物流サービス向上、

汚職発生率の低下が挙げられる。インドネシアの輸出にかかる時間およびコストは ASEAN 平均よりもわずかに優れているものの、輸入コストおよびリードタイム(輸出 入の際、原産地を起点として、積み出し港等から輸入者倉庫への搬入に至るまでにかか る運送時間)はより多くかかっている。指数では、インドネシアは自国と同等の所得グ ループ(中流下層所得国)(peer-income group (lower-middle income countries)の中では 上位 6 ヶ国にランクされており、同格の国々に比べてインドネシアの状況はそう悪いも のではない。 インフラの現状について インフラの質はサプライチェーンおよび全体の接続性において重要である。インドネ シアの物流インフラは同地域の国々(マレーシア、シンガポール、タイ)に比べて全般 的に遅れをとっている。これは主に、インドネシアが最も深刻な打撃を被った国の一つ であった 1997 年のアジア金融危機以降、輸送システムおよび関連インフラに対して、 極めて小規模の投資しか行われなかったことによる。その上、金融危機から 2004 年ま

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3 での経済回復期間中、輸送インフラ整備は予算カットの対象となっていた。インドネシ アの接続関連インフラの現状は下記の通りである。  港湾・海上輸送:インドネシアの島々には 111 の商業港があり、そのうち 25 が国 際港湾である。4 つの主要港《タンジュン・プリオク(ジャカルタ)、タンジュン・ ペラク(東ジャワ・スラバヤ)、ベラワン(北スマトラ・メダン)、マカッサル(南 スラウェシ)》が戦略的な国内ハブとして機能している。現在国内最大の取り扱い 量を有するタンジュン・プリオク港は、すでに取り扱い限度とされる 500 万 TEU に達しており、取り扱いが滞りつつある。不十分な港湾インフラ(とりわけ 5,000 載貨重量トン以上の船舶の受け入れ不能という点)および質の悪いサービスによっ て、インドネシアの外国貿易の半数以上はシンガポールかマレーシアのタンジュ ン・ペラパス港で積み替えをおこなわなければならず、そのために物流コストが大 幅に増えている。港湾の生産性は低く、タンジュン・プリオクはわずか 60 載貨重 量トン/時と、タンジュン・ペラパス(100 載貨重量トン/時)に比べても低い。  道路:インドネシアには 487,314km に及ぶ道路があり、そのうち 38,570km が国 道(中央政府によって建設・維持されているもの)である。国道の 2010 年年間利 用台数は、乗用車 900 万台、バス 230 万台、トラック 470 万台、バイク 6,100 万 台であった。すべての道路のうち、209,000km は未舗装だった。インドネシアで 最初の有料道路は 1978 年に開通し、現在までに約 750km の有料道路が開通した が、マレーシア(1,192km)には遠く及ばない。  鉄道:インドネシアは 6,797km の鉄道路線を有しているが、そのうち実際に使用 されているのは 4,800km のみである。鉄道は各々が未接続の鉄道網に分かれてお り、うち 3 路線がジャワ島、1 路線がスマトラ島にある。これら鉄道網による旅客 輸送数は昨年 2 億 300 万人にのぼり、うち 98%はジャワ島内の輸送が占めている。 貨物運送量はスマトラ島内を中心に年間約 1,900 万トン(パームオイル粗油、セメ ント、石炭、鋼鉄、農産物、消費財)にのぼる。多くの路線で不採算運行が生じ、 メンテナンスが滞っているため、現在の鉄道網の利用性、信頼性、輸送能力は低い。

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4  空港 インドネシアには 187 の空港があるが、大部分(119)の空港は 1,000m 未 満の短い滑走路しか備えてない。1,000m~3,000m の滑走路のある空港は 60 にと どまり、3,000m 以上の滑走路があるのは 7 つだけである。インドネシアの国内便 は 14 の航空会社(定期便)および 34 の航空会社(不定期便)から成る。インド ネシアにおける三大空港(ジャカルタ、メダン、デンパサール)の旅客数は旅客取 扱能力を超えている。2011 年の旅客数は合計 6,800 万人にのぼるが、2015 年の ASEAN オープンスカイ政策が効果的に実施された後にはさらに増加すると予想さ れる。具体的にいえば、2015 年には年間 1 億人の旅客数が見込まれている。イン ドネシア運輸省は、着実な経済成長と旅客数の増加を考えた場合、空港インフラは 毎年 32%ずつ増強する必要があると予想している。 問題対処のための取り組み インドネシア政府(GoI)はこの状況を認識しており、インドネシアの接続性を強化す るための取り組みを最重要項目の1つに挙げてきた。注目すべき取り組みについて以下 に簡単に述べる。  予算改革 国家予算のインフラ分野への割り当ては大幅に増加した。2004年には 約20億米ドルだった予算が2009年には約60億米ドルに、そして2012年には130億 米ドルにまで増額された。その大部分は接続関連のインフラを改善するために使用 される予定である。  法的枠組みの改革 インドネシア政府は近年、インフラの発展および効率的な物流 システムの加速をサポートするための重要な法律とその施行規則を可決した。この 法律によって、インフラの供給・管理における国家独占は大筋で排除され、国営企 業は民間企業と同レベルの競争の場に置かれることになった。また、新規則によっ て規制者、運営者、契約機関の役割が明確に分けられ、民間セクターがさらに幅広 い分野で関与できるようになるとともに、いっそう安定した分権的な管理システム が実現した。

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5 関連の法律を挙げると、道路および高速道路に関するものが法律2004年第38号、 鉄道に関するものが法律2007年第23号、海上輸送および港湾に関するものが法律 2008年第17号、航空運輸に関するものが法律2009年第1号、道路交通および陸上輸 送に関するものが法律2009年第22号である。そして長く待ち望まれてきた、公益 のための土地買収に関する法律2012年第2号がついに成立した。この法令は政府が 「強制収用」を執行するための法的根拠を与えると同時に、土地所有者へ従来より も公正な補償をおこなうことを定めたもので、インフラ発展を加速すると期待され ている。

 官民のパートナーシップ(Public Private Partnership: PPP) 民間セクターのイン フラおよび運輸システムへの参加を促すために、インドネシア政府はPPPに関する 2010年大統領規則第13号を定めた。これは2005年の規則を改定したもので、土地 の値上がりや政府保証といったいくつかの事柄に関する特定の改善がおこなわれ ている。新しい大統領規則でカバーされている画期的な方針としては (i)土地は入札手続きの前に政府から提供されること、(ii)政府による支援・保 証の確立(土地買収、建設、許認可、金融支援、税関連の支援、その他の支援)、 (iii)調達手順の簡易化および未承認プロジェクトの見直し、

(iv)インフラ事業における特定目的事業体(Special Purpose Vehicle: SVP)の 推進強化を目的とした株主再編が挙げられる。 国家開発計画庁は2010年~2014年のインフラ投資必要額を約1,550億米ドルにの ぼると推計しているが、政府予算支出は550億米ドルにとどまる。残りはPPPスキ ーム(450億米ドル)および国有企業(550億米ドル)から提供される見込みであ る。政府はまた、土地買収コストが一定レベルを上回る危険性をカバーするために、 2009 年 およ び 2010 年 の 国 家 予 算 か ら 環 境 分 野 投 資 向 け の 土 地 回 転 資 金 Land Revolving Fundとしておよそ4億米ドルを提供し、2013年までの土地値上がり時の ための資金Land Capping fundとしておよそ6億米ドルを割り当てる。

 機構改革 上記の規制改革により、いくつかの新しい機関が発足、または強化され

た。2005年、インドネシア有料道路庁が有料道路開発の契約機関として設立され た。PPPスキームの実施を支援するために、政府は国家開発企画庁(BAPPENAS)

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の下にPPP中央ユニットおよびプロジェクト開発機関(アジア開発銀行およびオラ ンダ政府が支援)を、また、財務省の下に危機管理ユニットを立ち上げた。政府は さらに、新しく誕生した国有企業であるPT. Sarana Multi Infrastruktur(2009年2月 設立のインドネシア・インフラ整備会社)およびPT. Pembiayaan Infrastruktur Indonesia(2010年1月設立のインドネシア・インフラ融資会社)へも出資してい る。これらの会社は、投資家がファイナンスと出資の双方から国内金融サポートを 得られるように設立された。

もう1つの国有企業としてPT. Penjaminan Infrastruktur Indonesia(2009年12月設 立のインドネシア・インフラ保証会社)があるが、この企業は政治的危機に対する 補償をおこなうもので、結果的にインフラプロジェクトの信用度を高めるものであ る。政府はまた2008年に、経済担当調整省の下に、複数の部門が関与するチーム として国内物流チームを設立した。このチームは同年に国内物流計画を発表した。 そのビジョン「Locally Connected, Globally Integrated(地域で接続され、世界と統 合される)」は国内外の物流をさらに効率的にするという戦略であった。  ナショナル・シングルウィンドウ インドネシアは2010年1月以来、5つの主要な 玄関口(ジャカルタ、スマラン、スラバヤ、メダンの各港と、スカルノ・ハッタ空 港)においてインドネシア・ナショナル・シングルウィンドウ(INSW)自動化シ ステムの全面導入を開始した。これによって税関手続きや通関手続きが大幅に改善 されると期待されている。この方針は5つの主要な海港にて毎日24時間体制で実施 されることで強化されている。この方針は徐々に範囲を広げ、さらに多くの政府機 関や港をカバーするようになるであろう。  国内輸送システムの改革を始めるために、インドネシア運輸省によって2010年に マルチモード輸送計画Multimode Transportation Blue Printが発表され、2009年6月 には国内港湾基本計画が発表された。

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7  政府は2011年に、長期かつ継続的成長促進に対する障害を取り除くことによって、 2011年~2025年のインドネシア経済発展の加速・拡大を目指す基本計画を発表し た。その3つの要素のうちの1つは、インドネシアの国内・海外の接続性を強化す ることである。この基本計画によると、以下の点でインドネシア政府は地方間の接 続性の発展を推進するという。 (1)国内物流、国内輸送システム、地域開発、情報通信システムの統合。 (2)主要な一次産品の物流ニーズを促進するための輸送ハブおよび流通センター を定める。 (3)国際的な接続性だけでなく、国内外の輸送回廊の接続性も強化する。 (4)情報通信技術(ICT)ネットワークの向上により、あらゆる経済活動や政府 活動、国民教育セクター活動を促進する。 2012年3月現在、89にのぼる開発プロジェクト(約500兆ルピア【545億米ドル】 相当)が立ち上げられており、その中の39もがインフラ関連プロジェクト(約195 兆9400億ルピア相当)である。主要プロジェクトには、インフラの総点検や、タ ンジュン・プリオクのクレーンおよび機材の近代化が含まれている。これはタンジ ュン・プリオクを近代化して物流コストを半分にカットすることを目的とした、25 億米ドル規模の5カ年計画の一部である。この計画には、北ジャカルタにあるカリ・ バルでの、270ヘクタールの港湾コンテナターミナルを建設するための埋め立て工 事や、5,000積載重量トン以上の船舶用ドックの浚渫、文書手続きを効率化して港 の収容能力を1,000万TEUにまで高めるための行政改革が含まれている。その他の 注目すべきプロジェクトとしては、640kmのトランス・ジャワ有料道路、ジャカル タ~スラバヤ間の高速列車プロジェクト、西ジャワのチカラン工業団地の内陸港と その港とタンジュン・プリアク港をつなぐ鉄道、ジャカルタの空港から市中心地へ の鉄道網などがある。

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8 結論 インドネシアはインフラの状況と全体の接続性の向上に多大なる努力を払っている。 インドネシアが十分に効率的な輸送・物流システムに辿りつくにはまだ長い道のりが残 されているものの、必要な規則および機関は現在までにほぼすべて整備されている。注 目すべき最も重要な点は、それらがどれほど効率的に実施されるかという点である。し かしながら、効率的な接続性への需要はインドネシア経済の成長に伴い、すでにピーク に達している。インドネシアの経済発展に追いつくには、インドネシア政府や社会は接 続性を向上させざるを得ない。インフラと接続性のボトルネックが解消されれば、イン ドネシアは現在の5~6%にとどまらず、8~9%という急激なスピードでの経済成長を実 現できるだろう。 輸送セクターの法改正によって民間企業からのさらなる参画が可能となり、直接ビジ ネスをおこなうためのチャンスが生まれることになる。インドネシアへの投資に関する ネガティブリストによると、外国人投資家に開放されている分野がいくつかある。道路 インフラ、フェリー・河川・湖の輸送の提供、輸送用物品(コンテナ、クレーン、その 他の重機など)の提供、航空輸送とサービス、海上輸送(国内・海外)、港湾での積み 下ろし、ドック設備の提供、港湾における廃棄物施設の提供、引き揚げ作業または水中 作業などがそれにあたる。

PT Indonesia Research Institute Japan

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