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国際与信は再び中国へ向かう

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株式会社大和総研 丸の内オフィス 〒100-6756 東京都千代田区丸の内一丁目 9 番 1 号 グラントウキョウノースタワー このレポートは投資勧誘を意図して提供するものではありません。このレポートの掲載情報は信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性、完全性を保証する ものではありません。また、記載された意見や予測等は作成時点のものであり今後予告なく変更されることがあります。㈱大和総研の親会社である㈱大和総研ホールディングスと大和 証券㈱は、㈱大和証券グループ本社を親会社とする大和証券グループの会社です。内容に関する一切の権利は㈱大和総研にあります。無断での複製・転載・転送等はご遠慮ください。 2017 年 11 月 14 日 全 5 頁

国際与信は再び中国へ向かう

BIS 報告銀行による国際与信残高統計(2017 年第 2 四半期)

金融調査部 研究員 森 駿介

[要約]

 BIS の統計によれば、2017 年 6 月末の国際与信残高は 24.9 兆ドルと、2 四半期連続で 増加した。与信側(銀行側)を見ると、欧州の銀行は欧州先進国向けの与信を中心に残 高を増加させた。米国の銀行はオフショア向け・新興国向けを中心に残高を伸ばした。  邦銀の国際与信残高は、2010 年代に入り増加基調にあったものの、2016 年第 3 四半期 以降は横ばいとなっている。2017 年 6 月末の国際与信残高は微減だった。債券価格の 下落リスクを警戒した邦銀が中長期債を大幅に処分したこと、ドル調達コストの上昇等 で海外貸出における採算性の審査を厳格化する動きが強まっていること等が背景にあ ると考えられる。  与信受入側で見ると、欧州先進国向けが国際与信残高の増加に寄与している。FRB の利 上げにより資本流出が懸念された新興国向けの与信も残高増となっている。そのうち、 2014 年 6 月末をピークに減少が見られた中国向け与信も足元では増加している。ただ し、中国向け与信は、短期与信比率が高いことから、満期到来に伴う資金流出が発生し やすい構造にあり、今後も注視が必要かもしれない。

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欧・米・邦銀の与信動向:邦銀の与信残高が伸び悩み

BIS(国際決済銀行、Bank for International Settlements)が BIS 報告銀行による 2017 年 6 月末時点の国際与信残高1を公表した。2017 年 6 月末の国際与信残高は 24.9 兆ドルと前期差+ 4,436 億ドル(前期比+1.8%)で 2 四半期連続の増加となった(図表1)。 図表1 国際与信残高とその前期差 (出所)BIS、Haver Analytics より大和総研作成 与信側(銀行側)から与信残高を見ると、欧州の銀行2は前期差+2,992 億ドル(前期比+2.1%) と増加している(図表2)。残高増加分の約 3 分の 2 は欧州先進国向けの与信の増加によるもの で、特にベルギー、ドイツ、オランダ向け与信が増加している。オフショア向けの与信残高も 増加傾向にある(前期比+4.8%)。ただし、長期的な傾向としては、欧州の銀行の国際与信残 高は減少基調にあり、足元の残高増加は大きなトレンドを変えるものではないと思われる。 米国の銀行(以下、米銀)の与信残高も前期差+716 億ドル(前期比+2.3%)の増加となっ た。オフショア向け3や新興国向け4を中心に残高を伸ばしている。長期的な傾向としては、米銀 の国際与信残高は 3 兆ドル前後の横ばいで、欧州先進国向け与信が減少し、オフショア向け与 信が増加している。 1 本レポートでは、断りのない限り最終リスクベースの数値を扱う。これは、与信対象の直接的な所在地ではな く、「与信の最終的なリスクがどこに所在するのか」を基準に、国・地域別の分類を行ったもの。なお、この値 は「国境を越える与信」、「外国銀行の支店・現地法人による外貨建て国内与信」、「外国銀行の支店・現地法人 による地場通貨建て与信」で構成される。 2 欧州の銀行は、オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、オランダ、 ポルトガル、スペイン、スイス、英国、スウェーデンの 13 ヶ国の銀行で構成している。 3 オフショアは、香港、シンガポール、ケイマン諸島、バハマ、バーレーン、バミューダ諸島、旧蘭領アンチル、 ガーンジィ、マン島、ジャージィー、レバノン、パナマで構成している。 4 新興国は、中国、韓国、台湾、インド、フィリピン、インドネシア、マレーシア、タイ、チェコ、ポーランド、 ハンガリー、ルーマニア、ロシア、トルコ、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、チリ、コロンビア、南アフ リカ、イスラエルの 21 ヶ国・地域で構成している。 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 0 5 10 15 20 25 30 35 40 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 (兆ドル) (兆ドル) (年) 残高の前期差(右軸) 国際与信残高

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図表2 欧州の銀行、米銀、邦銀の国・地域別国際与信残高 (注)米銀において、2009 年第 1 四半期に報告対象の拡大がなされた。 (出所)BIS、Haver Analytics より大和総研作成 邦銀の国際与信残高は、2010 年代に入り増加基調にあった。グローバル展開する本邦企業へ の貸出や国内債券の運用難を背景とした外債保有の積極化等が背景にあったと思われる。しか し、2016 年第 3 四半期以降は横ばいで推移しており、2017 年第 2 四半期は前期差▲96 億ドル(前 期比▲0.2%)の減少となった。欧州先進国向けやオフショア向けの与信残高は増加した一方で、 これまで残高増加が続いていた米国向けの与信は減少に転じた(前期差▲625 億ドル)。 2016 年末からの米国金利上昇と FRB の金融政策スタンスから、今後の債券価格の下落リスク を警戒した邦銀が保有する外債を処分したことが背景にあると考えられる。財務省・日本銀行 「国際収支統計」を見ると、預金取扱機関が 2017 年 4 月に米国の中長期債を大幅に処分してい ることが分かる5。また、足元でドル調達コストが高水準で推移していることや優良貸出先を巡 る競合の強まり等から海外貸出における採算性の審査を厳格化する動きが強まっている、とい う指摘もある6 5 詳細は、中田理惠・森駿介(2017)「預金取扱機関の外債処分の動きは一段落か」(2017 年 8 月 15 日、大和総 研レポート)を参照。 http://www.dir.co.jp/research/report/capital-mkt/20170815_012217.html 6 日本銀行「金融システムレポート(2017 年 10 月号)」。 0 1 2 3 4 5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 (兆ドル) (兆ドル) (年) 米銀 合計(右軸) 欧州先進国向け 日本向け オフショア向け 新興国向け 0 5 10 15 20 25 30 35 0 2 4 6 8 10 12 14 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 (兆ドル) (兆ドル) (年) 欧州の銀行 合計(右軸) 欧州先進国向け 米国向け 日本向け オフショア向け 新興国向け 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 (兆ドル) (兆ドル) (年) 邦銀 合計(右軸) 欧州先進国向け 米国向け オフショア向け 新興国向け

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国際与信は再び中国へ向かう

与信受入側の国際与信残高の増減(前年同期差)を見ると、2016 年第 2 四半期以降、その他 先進国向けの与信増が相対的に大きい。オフショア向け与信も香港やケイマン諸島向けの与信 増加を背景に、残高増加が 2012 年第 3 四半期以降続いている(図表3)。また、2017 年第 2 四 半期においては欧州先進国向けの与信残高が 2014 年第 2 四半期以来のプラスに転じた。欧州の 銀行から欧州先進国向けの国際与信残高の伸びが大きく寄与している。 新興国向けの国際与信は 2 四半期連続で増加している。中国を除く新興国向けも 2014 年第 2 四半期以来、初めて増加に転じた。2017 年 6 月に米国の政策金利誘導レンジが引き上げられ、 米国の金利上昇を背景とした新興国からの資本流出が懸念された。しかし、2017 年第 2 四半期 時点では、国際与信残高の減少は見られない。 図表3 与信受入側の国際与信残高の増減(前年同期差) (注)新興国は中国を含む。 (出所)BIS、Haver Analytics より大和総研作成 他方、中国向けの国際与信残高は 2014 年 6 月末をピークに減少していたものの、足元では前 期差で見て 3 四半期連続の残高増加となっている(図表4・左図)。主要な与信側(銀行側)は 英国、米国、日本などである。フランスも足元で中国向けの与信残高を大きく伸ばしている。 残存期間別で見ると、中国向け国際与信の変動は 1 年以内に返済期限が到来する短期のクロ スボーダー与信の増減によるところが大きい(図表4・右図)。2014 年後半から 2016 年前半に かけての与信残高の減少は利下げによる利鞘の減少や人民元安に伴う為替差損が発生する可能 性等、中国が抱えるリスクを背景に、海外主体が保有する短期の中国向けの与信をロールオー バーせずに引き揚げたことが理由と考えられる7。反対に、2016 年末より中国の金利上昇が見ら https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/fsr171023.htm/ 7 矢作大祐(2015)「金融収支からみる中国の海外資金調達動向」(2015 年 12 月 8 日、大和総研レポート) -3.0 -2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 10 11 12 13 14 15 16 17 (兆ドル) (年) 新興国 その他 オフショア その他先進国 欧州先進国 世界計

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れ、人民元(対ドル)も 2017 年初に下げ止まりが見られた。これらの要因が足元の中国向けの 資金流入をもたらしている可能性がある。ただし、引き続き中国向けの与信は短期のものが多 いことから、満期到来に伴う資金流出が発生しやすい構造にあり、今後も注視が必要かもしれ ない。 図表4 中国向け国際与信残高(左図)と残存期間別の中国向け与信残高(右図) (注)残存期間別の中国向け与信残高(右図)は所在地ベース(与信先の所在地に基づく)。 (出所)BIS、Haver Analytics より大和総研作成 https://www.dir.co.jp/research/report/capital-mkt/20151208_010413.html 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 (億ドル) (年) 満期1年超のクロスボーダー与信 満期1年以内のクロスボーダー与信 海外支店・現地法人の現地通貨建て現地向け与信 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 (億ドル) (億ドル) (年) 中国向け与信残高(右軸) 英銀 米銀 邦銀 台湾銀 フランス銀

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