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クヌギ苗の生長と養分の季節変動

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Academic year: 2021

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(1)

広葉樹研究 No.2:13~25 (1 983)

〈論文〉

クヌギ苗の生長と養分の季節変動

橋 詰 隼 人 ※ ・ 岡 亜 喜 彦 料

Growth and Seasonal Variation of Nutrients in Quercus acutissima Seedlings

Hayato HASHIZUME※ and Akihiko OKAぬぐ

Summary

l-year-old seedlings ofQuercus acutissima CAR託. were grown under difω

ferent relative light intensities from 25

%

to 100

%

and the seasonal vari -ations of nutrients contained in the seedlings were investigated.

τhe growth of seedlings was best at 50

%

relative light intensity, followed by 100 % day light.

Seasonal variation in the concentration of mineral nutrients contained in seedlings varied with the kind of mineral elements. Seasonal variation of nitrogen and phosphorus concentrations in whole seedlings gave a concave curve showing lower concentrations in the summer season, whereas that of potassium and calcium concentrations in whole seedlings gave a convex curve showing higher concentrations in the period from mid summer to early autumn. It was found that there were remarkable differences in seasonal variation of potassium and calcium concentrations according to the part of the seedlings. γhe concentration of potassium d巴creasedin the summer season in the leaf,

but it increased during the period from June to July in the stem and during the period from July to September in the root. The concentration of calcium increased gradually from May to September in the leaf and root, but it de -creased gradually from May to October in the stem.

The amount of uptake of mineral elements by seedlings was generally little in the early period of the growing season. The amount of uptake of nitrogen and phosphorus incr巴asedmarkedly in and after July, that of potassium in a

period from June to August, and that of calcium in a period from July to August.

The concentration of total sugar in the leaf, stem, and root was lower in the growing season and increased in September. The concentration of crude starch increased in the summer season in the leaf, but in the stem and root

(13)

主鳥取大学農学部造林学研究室 Laborαtory of Silviculture, F,αculty of Agriculture, TottoriUJ叫verstty

(2)

(14) 橋 詰 隼 人 ・ 同 盟 喜 彦

it decreased in May and iricreased in October. Crude starch was contained most abundantly in the root. Therefore, it was proved that the root is im -portant as a reserve organ of starch.

From histochemical investigation. it was observed that the amount of reserve starch in each tissue of stem and root耳enerallyincreased a period from late autumn to early winter and decreased in the summer season. However, it was found that there were some differences in the seasonal variation of reserve starch according to tissues. In secondary phloem, primary xylem and se-condary xylem of stems, two maximums and two minimums were observed in the seasonal variation in the amount of reserve starch. The amount of reserve starch was most abundant in the pith, and only a small quantity was in cortical parenchyma.

I

Zコ 拡大造林による広葉樹林の減少,シイタケ原木の需要量の増加などによって,最近シイタケ原木が 不足し,深刻な問題になっている。 ζの対策としては,原木林を積極的に造成し,長期的に安定して 原木を供給する必要がある。クヌギ、はシイタケ原木として優れた樹種で,最近人工造林が行われてい る。クヌギの人工造林は直播造林か植樹造林によるが,後者の植樹造林すなわちタネをまいて苗木を つくり造林する方法が一般的である。筆者はクヌギの育菌試験を行っており,今回苗木の生長と養分 の季節変動との関係について調査研究したので‘報告する。 本研究に際し ,

C

協力いただいた大学院生杉本直氏(現在福岡県福間舞鶴高等学校)に感謝の意を 表する。

E

材 料 と 方 法

1 . 育 苗 試 験

本実験は1980年;にζ烏取大学農学部苗畑で 苗畑を耕うんして畝をつくり,基肥として 1rn'当たり堆杷2kg,住友化成森林肥料特2号 (N:P: K = 13 : 17: 12, %)を100g施した後 3月下旬に大きさの一援な苗木を直根を切断せずに床替え した。 1試験区の大きさは1x 1.5 rnで,その中に苗木を80本植えつけた。処理区として,椙対照度 100%区, 50%区及び25%区の3区を設けた。庇陰処理は,床替え床の上に1.5rn(長さ)X1rn(幅) x 1 rn(高さ)の庇陰格子を設け,その周囲をダイオネットで覆って照度を調節し 5月上旬から10月 下旬まで、行った。苗床の管理はかん水,除車を適宜行い,また6,7月にヤスデやナメクジが発生し

(3)

クヌギョ苗の生長と養分の季節変動 (15) たので,カルホス粒荊及びナメキールを散布した。測定は,各処理院から10本を選ぴ 4月から 10 月まで10日おきに高高と根元直径を測定した。掘り取り調査は10月下旬に行った。棋を切断しない ように注意して掘り取り,各区より20本を選出し,苗高,根元軍径,各部分乾重量,葉面積などを測 定した。葉面積の測定には自動面積計を用いた。

2

.

含 有 成 分 の 分 析 4月から10月まで毎月1回,月末l乙各処理

E

まから5本ずつ苗木を揖り取り,生長を測定し,更に葉, 幹枝及び根l乙分けて800 Cで24時間乾燥させて乾重量を測定した。乾燥試料は粉砕機で粉砕し 1mm のふるいを通して化学分析に供した。化学分析は,全窒素,リン,カリウム,カルシウム,全糖及び 粗デンプンを定量分析した。化学分析の方法は前報2)と同様である。化学分析の結果から,苗木の各 部分及び全体における各成分の乾重含有率を求めた。無機養分の吸収量はD02H (根元直径2X苗 高 ) と全酔浬との相対生長関係より矧における苗木の乾重量を求め,それに各成分の含有率を乗じて 求めた。 次ζl幹及び根の各組織における貯蔵デンプン含有量の季節装勤を顕微イ律的に調べた。各処理区か ら毎月2本ずつ苗木を掘り取り,幹及び主根の一部を切り取ってサンフ。ル管に入れ,ファーマ一氏液 で24時間間定した後70%アルコーjレ溶液に貯蔵した。誠司は髄時取り出してミクロトームで30...40 μの厚さの切片をつくり,ヨウ素ヨウ化カリウム試液で染色して検鏡した。デンプンの含有量は幹及 び主根の皮層難丑織,二次師部,二次木部,一次木部及び髄の各細胞について調査し,一つの細胞の 中にデンプン粒子が全くないときを0,充満しているときを10とし,その間は目測で測定した。測定 は各組織の細胞40個について行い,その加霊平均をとった。

副 結 果 と 考 察

1

.

苗 木 の 生 長 苗木の伸長生長,根元直径生長及び重量生長の経過を図1...41ζ, また10月に掘り取り調査した結 果を表11乙示す。苗木の伸長生長,根元直径生長,重量生長はいずれも椙対照度50%区>100%区 > 25%区の11頃に良かった。伸長生長の期間は5月上旬から 9月上卸まで、で、あったが, 6月中切と 7月中, 下旬によく伸長し,ニつの出がみられた。根元直佳生長は7月下旬から 8月下旬にかけて盛んであっ た。重量生長は6月以降ほぼ一定の割合で車線的に増加した。苗木の形質については(表1) ,比較 苗高, T/R率,葉重比などは各処理区聞に大きな差はなかったが,弱さ度及び葉面積比は杷対照度 25%じまで最も高く,照度の低下に伴って苗木は弱々しくなり,葉が薄くなった。 前報2)の結果によると,苗木の伸長生長は相対照度25...50%区で,根元直径生長は100%区で,重 量生長は1年生苗では50%区で 2年生苗では100%臣で最も良かったが,今回の実験では, 伸長 生長,直往生長,重量生長はいずれも50%区で最大を示し,前回の結果と多少違う結果がえられた。

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(16) 橋 詰 隼 人 ・ 岡 星空喜彦 (cm) (cm) 相対限度 15 60 50% 50 100% 伸 10 { 申 25% 40 f霊 長

/

f註 5 丞 10 5 6 7 8 9(月) 5 6 7 8 9 (月) 図1 各 相 対 照 度 区 に お け る1年 生 百 の 伸 長 生 長 の 経 過 O相対照度100%区,ム50%区,

25%区。 図 2~図 15 における符号は図 l と向様 である。 (mm) 7 根 6 フE 5 直 径 4 3 5 6 8 9 (月) 図3 年 生 百 に お け る 根 元 護 径 の 生 長 経 過 表1 苗木の生管状況%で 調査平吉塑首三

一相~守~一

昭防f 100%区 50%区 活 ー戸己~ (cm) 48.6 59.8 綬 元 直 径 (cm) 0.63 0.71 根 長 (cm) 59.1 63.2 6.62 8.25 乾1本物当重た量り 幹 枝 (g) 5.20 7.67 根 (g) 20.08 25.46 全 体 (g) 31.90 41.38 1本当たり築面積 (Cm') 1,189 1,652 比 較 苗 寓 77.1 84.2 潟 さ 度 4.1 3.8 T/R率 0.59 0.63 E寝室上七 0.21 0.20 葉 面 積 比 (Cm'/g) 179.6 200.2 : ・ 10月下旬掘り取り調査。 図2 年 生 苗 に お け る 定 期 伸 長 生 長 の 経 過 (g) 50 40 苗30 重 20 25%区 46.2 0.58 47.5 3.55 3.59 12.49 19.63 802 79.7 6.5 0.57 0.18 225.9 10

4 5 6 7 8 9 1O(月) 図4 年生活における愛護主主長の経過 乙れは苗畑の気象条件が年によって異 なるためであると思われる。相対照度 を同じ条件 i乙調節しても,温度,土壌 水分, El射量などがその年の気候によ ってかなり異なるからである。クヌギ は楊樹であるが,育菌に際して播種当 年には相対照度50%程度の遮光ネット を夏期にかけるとよいようである。 2 年目からは無臼覆で育面してさしっか えない。

(5)

クヌギ苗の生長と養分の季節変動 (17)

2

.

無機養分の含有率と吸収量の季節変動 苗木の部分別無機養分含有率の季節変動を国5...8

t

乙,また古木の各部分を込みにした全体の含有 率の変動を図9

t

乙示す。全窒素の含有率は葉で最も高く,幹枝及ひ 率は,相対照度10

O%k毘互と5印0 %区では春季lに乙高く 8月に著しく減少し,秋季lζ再び増加したが, 25%区では夏季にあまり低下しなかった。幹枝における季節変動は著しくなく,各区とも 6月以降 徐々に減少した。根においては, 100%亙では6月から 8月にかけて減少し, 50%区と25%区では 7, 8月に減少し,その後増加した。苗木全体の変動は,春季に高く,夏季に低下し,秋季l乙再び増 加する出型変化を示した。 リンの含有率は葉で最も高かった。葉では,含有率は各照度匿とも 5月l乙最大で 6月lζ急激に減 少し,その後は低い値で推移した。幹枝及び根においても 6月に減少したが,根では7月以降増加 する傾向がみられた。苗木全体では,含有率は春季に高く 6月比低下し,その後再び増加して回型 I乙近い変化を示した。 カリウムの含有率は葉で最も高く,椙対照度100%区と50%区では7月に減少し,問型に近い変 化与を示したが,季節変動は顕著で、なかった。幹枝においては 6,7月に著しく増加し,凸型変化を 示した。根においては 7...9月に増加し,凸型に近い変化を示した。苗木全体の変化は 4月以降 (%) 4 r 3案 会 有 1

ロ 1 1

← 可 ¥ 七 ベ

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て‘¥ /ー.--JJ.ー---c. 4 5 6 7 8 9 10(月) ~5 年生首の各部分における 会窒素含宥率の季節変動 (%) 0.4 0.3 0.2 合 0.1 予 言 0.2 率 乾 0.1 重 % 0 0.2 0.1

ι 幹校 4 5 6 7 8 図6 年生苗の各部分における リン含有率の季節変動 10(月)

(6)

亜 喜 彦 間 矯 詰 隼 人 (I8) 10月に再び減少し,凸型変化を示した。 漸次増加して7---9月l乙最高になり, カルシウムの含有率は葉においては5月以降漸次増加したが,幹枝で、は逆に季節が進むにつれて減 その後再び減少し 8---9月に最大になり, 少した。根においては,季節の進行にしたがって増加し, た。苗木全体の変化は根と同様に8---9月l乙最も養分濃度の高い凸型変化を示した。各養分の合予言率 の季節変動と相対照度との関係については,特に著しい傾向はみられなかった。 次l乙無機養分吸収量の季節変動についてみると,図10---13のごとくである。窒素の吸収量は,相 50%区では7月以降急激に増 対照度100%区と25%区では季節の進むにつれて掛蔓に増加したが, 7月以降に増加した。カリウムの吸収 ワンの吸収量は,各空母盟区とも生育の初期I乙少なく, 力日した。 その後は緩'漫に増加した。カルシウムの吸収量は 量は,各郷里区とも 6月から 8月にかけて急激に, 7,8月に急激に増加した。一般に各成分とも生育の初期と後期に吸収量 6月までは繍蔓lζ増加し, 7,8月lζ増加した。特 I乙椙対照度25%区では,生育後期の吸収量が少なかった。無機養 が少なく, 分吸収量の季節変動は苗重の生長の季節変動と密接に関連している。苗木1本当たりの吸収量は,各 成分とも椙対照度50%区>100%区>25%区の順であった。 ク 務葉広葉樹の葉における無機養分含有率の季節変動は中塚町ζよってくわしく研究されている。 6月から10月まではあま ヌギ、の葉においては,窒素とれ05の含有率は発芽直後の新葉で最も高く, 葉 (%) 1.0 0.8 葉 (%) 1.0 0.8 0.6 0.6 0.4 1.4 会 1 .2 1 .0 0.8 手 ま 主 事 ( 乾 霊 % ) 幹枝 合 0.8 有 0.6 ~ 0.4 乾 重 % 0.2 ム ー「

キs 根 0.6 0.4 綬 0.6 0.4 0.2 10(月) 1年生苗の各部分におけるカルシウム 含 有 率 の 季 節 変 動 9 8 7 6 5 4 図B 10(丹) 1年生苗の各部分におけるカリウム 含宥率の季節変動 9 8 7 6 5 4 図 7 0.2

(7)

(19)

/

クヌギ窃の生長と養分の季節変動 (在宅) 600

~~ム

(%) 2 苗 木 400 本 当 り 吸 収 議 200 P

0.2 含 有 K

乾 0.6 霊 % ~ 0.4 率 10(月) 9 図10 1年 生 芭 に お け る 委 素 吸収量の季節変動 8 7 6 5 4

Ca 0.6 (mg) 200

/

0.4 笛 木 本 当 100 り 吸 収 主主 10(月) K 9 1年 生 苗 全 体 に お け るN, P, およびCa含有率の季節変動 8 6 4 図g (1砲) 100 苗 木 一 本 当 り 吸 叙 丞 50 0.2

/

/

10(月) 9 1年 生 苗 に お け る カ リ ウ ム 吸収量の季節変動 8 7 6 5 4 図12

り変化せず, 11月以降紅葉期から落葉期にかけ て急激に減少している。 K20の合有率は新葉で、 10(月) 9 8 7 6 5

最も高く,季節の進むにつれて減少し,落葉期 1年 生 芭 に お け る リ ン 吸収量の季節変動 図11 に最低になった。乙れ応対して, CaOの含有率 は11月上旬まであまり変化せず,紅・落葉期 i乙急に増加している。辰己の研究8)によると,シラカン P20S, K20の含有量は新葉から成熟葉になるにした

N

ヤチダモの葉においては, パ,ハノレニレ,

(8)

(20) 橋 詰 隼 人 ・ 伺 亜 喜 彦 がって減少の額向が認められた。葉における無 機養分合有量の季節変動は樹種によって異なり, 後藤の研究1)I乙よると,窒素については,早春 開葉時i乙最高濃度を示し,しだいに減少し,早 秋に若干増加した後再び減少するパターンをと るものと,早春ζI最高濃度を示し,夏期に減少 し,秋期に再び増加する出型パターンを訴すも のとがある。リン酸については,生育初期に最 高濃度を示し,しだいに減少するパターンをと るものと,生育初期に養分濃度が高く,しだい に減少し,秋期ζl再び増加するパターンを示す ものとがある。カリについては,開葉時ζl高く, しだいに減少する出型パターンを示すものと, 8...9ごろに最も養分濃度の高い凸型パターンを示すものとがある。カルシウムは一般に生育後半に 増加する。本研究の結果によると,クヌギの葉では窒素とカリウムは夏期に減少する田型変化を,リ (mg) 200

苗 木 本

j

l

5 6 8 9 10(月) 図13 年生苗におけるカルシウム 吸収震の季節変動 ンは生育初期に最高濃度吾示し漸次減少する漸減型変化を,カルシウムは生背後期増加型変化を示し た。しかし,乙れらの養分の季節変動は同じ樹種でも器宮によって異なり,クヌギ苗ではカワウムの 含有率は葉では由型変化を,幹枝では凸型変化を示した。またカルシウムの含有率は葉及び根では季 節の進行に伴って増加し生背後期に最大になった(生育後期増加型変化)が,幹枝では逆に減少した (漸滅型変化)。苗木全体についてみると,窒素は 7,8月に谷のある出型変化を,リンは 6月に谷 のある出型変化を,カワウムとカルシウムは生育後期比山のある凸型変化を示した。苗木の生長との 関係については,窒素とリンは一般に生育初期に濃度が高く,カリウムは生長最盛期に幹枝で増加し, カルシウムは生育初期に幹枝で最も濃度が高く,葉及び根では逆に最も濃度が低い。各元素の吸収特 性は吉木の生長と密接に関連しており,更にくわしく研究する必要があると思われる。

3

.

炭 水 化 物 含 有 量 の 季 節 変 動 1年生苗の各部分における全糖及ひ下且デンプン含有率の季節変動を鴎14...15I乙示す。葉の全糖含 予言率は開葉後漸次増加し 8月の終わりから9月に(生育後期)に最大になった。幹枝及び根におい てもほぼ両様の変化を示したが, 10月下旬には含有率が減少した。粗デンプンの含有率は,葉では5 月以降急激に増加し 7月下旬に最大に達し,その後減少した。すなわち夏季に濃度の高い凸型変化 を示した。幹枝及び根においては,椙対照度100%区で5月に含有率が低下したが 6月に回復して 9 月まで横ばい状態でf儲~し, 10丹I乙増加をはじめた。特に根においては10月に急激に増加した。粗 デンプン含有率は根で著しく高しまた生長休止期に急激に増加するので,根はデンプンの貯蔵器官 として重要な役割を演じていると考えられる。根では10月に全糖含有率が急激に低下し,粗デンプン

(9)

合 有 E手 乾 霊 8 6 4 2

4 2 %。 6 4 2

クヌギ萄の生長と養分の季節変動 (21) 薬 (%) 葉 21 18 15 12 9 6 .--'---ー白血 合 24

~

幹枝 幹 枝 21 18 率 15 ~ 12 乾 9 震 % 36 ~ 33 30 27 24 21 18 15 4 5 6 7 8 9 10(月) 12 4 5 6 8 9 10(月) 図14 1年生苔の各部分における 図 15 1年生苗の各部分における籾 全糖含有率の季節変動 デンプン含有率の季節変動 の含有率が急激に増加する。この時期に糖からデンプンの合成が盛んに行われるものと忠われる。 次に幹及び根の各組織における貯蔵デンプン量の季節変動を顕微化学的に調べた(図16"'17)。 幹における貯蔵デンプンの季節変動は,一般に晩秋から初冬に多く,春季から夏季にかけて減少した。 しかし,組織によって季節変動に差異がみられた。皮層柔紐織においては, 12月に含有量が最大で, 1月に急激に低下し,その後9月まで、低レベ、ルで、推移し, 10月に増加して囲復した。ニ次師部,二次 木部及び一次木部においては 1月から3月にかけて合有量が急激に低下し 4"'5月に少し増加し, 6"'8月l乙再び減少して最低になり 9月から増加を始め11"'12月に最大になった。髄では 1月 以降漸減して6,7月に最低になり 8月から増加を始めて12月に最大になった。幹の各手厳哉におけ るデンプンの分布は髄の細胞に最も多く含まれており,次いで、二次木部の細胞に多く,皮層桑組織の 細胞には最も少ないようであった。また幹の外側の紐織ほど晩冬から急激に含有量が低下し,春季か ら夏季の生長期における含有量が低い傾向がみられた。 棋の各組織における貯蔵デンプン量の季節変動は幹の場合とほぼ問様で,各組織とも冬季に含有量 が最も高く,夏季に最低になった。しかし,組織によって季節変動に多少違いがみられた。捜の二次

(10)

(22) 橋 詰 隼 人 . I湾 益 還 彦 織 組 柔 厨 皮 O 1 1 1 に υ A 句 2 貯 5 草案 4 ア :/ プ 、 :/ 二次木部 丞 6 5 4 2 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11(月) l!i80年 図 16-A幹の各組織の細胞におけるデンプン 含有量の季節変動 O相対照度100%区,ム50%区,・25%区。 貯 綾 フ旬ー、自 10 ン 9 プ 8 ン 7 丞 6 5 4 3 2 6-J 一次木部 亡 r o d -9 υ 髄 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 1980年 ( 月 ) 図 16-B 幹の各組胞の細胞における デンブン含有量の季節変動 師部,二次木部及び一次木部においては,幹のニ次師部,二次木部及び一次木部にみられる2,3月 の極小と春の発芽前の極大がみられなかった。また根のデンプン含有量は,皮層柔組織及び二次師部 においては1月から 3月まで急激に,その後は緩穫に減少して7,8月比最低になったが,木部及び 髄においては1月から 5月まで緩慢に 6月に急激に減少して7月に最低になった。根のデンプン含 有量は大部分の組織で9月以降に急激に増加したが,皮層柔組織においては10月以降に増加し,増加 を始める時期が少し遅れた。根の各志郎哉におけるデンプンの含有量は幹の場合と向様に髄の細胞に最 も多く,外側の皮層穀旦織に最も少ないようであった。 相対照度と貯蔵デンプン含有量の季節変動との関係については,幹の各組織においては季節変動に ついて各処理区聞に著しい違いはみられなかったが,根のニ次木部,一次木部及び髄においては相対 照度25%区で他の処理区に比べて夏季の減少が少ないようであった。 落葉広葉樹における炭水化物含有量の季節変動についてはニ,三の研究があるoKanazawa4)によ ると,クヌギ苗における可溶性炭水化物の季節変動は根で、最も大きしその濃度は5月から 9月まで 連続的に減少し, 11月fC4月の{直に囲復した。可溶性炭水化物の中で粗デンプンが量的に最も多く, また季節翌変動が最も著しし、。佐藤らりによると, クヌギとシラカシでは共に春の芽の出る時に貯議デ ンプンの激減がみられた。しかし,季節変動は樹木の部分によって異なり,クヌギでは枝と根では初 冬と春の発芽後の極小がみられたが,幹では冬の極小がみられなかった。菊谷5)f乙よると,コナラの

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クヌギ箇の生長と養分の季節変動 皮題柔組織 A 斗 ‘ q ぺ υ 。 , b 二次官市部 5-j

¥

a A A q ぺ υ 貯 蔵 デ 2 ン 1 プ n , e ρ h V F h υ d 斗 ・ η 九 υ n r u ン 盈

ヘ~

12 1 2 4 5 6 8 9 10 11 (月) 1980年

:

1

3 2 費T 蔵 ア 、./ 8 プ 7 ン 6 王 立 5 4 3 (23) 12 1 2 3 4 5 6 8 9 10 11 (月) 1980年 図17-B 根の各組織の総胞における デンフeン含有量の季節変動 木部における貯蔵デンプンの量は冬期に多く, 夏期に減少した。しかし,樹木の部分によって 変動が異なり,梢頭及び枝においては5月中旬 から6月中旬にかけて第1回目の谷があり,吏l乙8月l乙第2回目の谷があるが,幹と根においては8 図17-A 根の各組織の細胞における デンブン含有蓋の季節変動 閣の中の符号はs116と問機である。 月の第2回目の谷は著しくなかった。石部3)の研究によると,落葉樹種(クリ,ハンノキ,ハリエン ジュ,ボダイジュ,ポプラ)では,地上部におけるデ、ンプン量は1...2月の最小,春発芽前の最大,晩 春の最小,暁駄の最大の4極点を示すが,根では休止期に最大で,生長期l乙最小が起こるという。本 研究によると,クヌギ詰の貯蔵デンプンの季節変動は地上部では冬の最小,春発芽前の最大,夏の最 小,晩秋の最大の4極点がみられたが,根で、は冬の最小と春の最大はみられず,生長期の最小と生長 休止期の最大の2極点がみられ,石部の結果3)と大体一致した。貯蔵デンプンの季節変動は同じ樹種 でも生育場所や供試材料の違いによって多少異なるようであるO いずれにしても苗木の可溶性炭水化 物の量は生長期に減少し,生長休止期l乙増加するO また根l乙多量に貯蔵デンプンが含まれているので, 青苗に捺してはζれらのζとに留意して諸作業を行うことが重要である。

N

t

クヌギの1年生苗を異なる相対照度の下で育てて生育状況を比較し,更に化学分析を行って含有成 分の季節変動を調べた。本研究の結果は次のごとくである。

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(24) 橋 詰 隼 人 ・ 向 型 喜 彦 1 苗木の生長期は5月上旬から10月上旬までであった。伸長生長は6月中旬と7月中,下旬がお う盛で,ニつの山がみられた。根元軍径生長は7月下旬から8月下切にかけて盛んであった。重量生 長は6月以降一定の割合でほぼ直線的に増加した。高木の伸長生長,根元置寄生長及び重量生長はい ずれも相対照度50%毘>100%区>25%区のj瞭に良かった。 2 無機養分含有率の季節変動は,苗木の部分によって差異があった。窒素の含有率は,苗木全体 及び葉においては夏季に低い凶型変化を示したが,幹枝及び根においては春季に高く,夏季に低下し た。リンの含有率は,苗木全体,各部分ともに春季 lζ高く 6,7月に減少し,回型 I乙近い変化を示 した。カリウムの含有率は,葉では夏季に低下し出型 l乙近い変化を示したが,幹枝では6,7月1<:, 根では7...9月に増加し,凸型変化を示した。苗木全体では 7...9月に高い値をとり,凸型変化を 示した。カルシウムの含有率は,葉と根では5月から8・9月まで漸次増加し,生育の後期に最大に なったが,幹枝では逆に季節が進むにつれて減少した。苗木全体では8・9月に高い値をとり,凸型 I乙近い変化を示した。相対照度25...100%の範囲内では,相対照度の違いによって窒素,リン,カリ ウム及びカルシウムの吸収特性に大きな差異はみられなかった。 3. 無機養分の吸収量は一般に生育の初期l乙少なく,窒素とリンは7月以降1<:,カリウムは6...8 月f(.,カルシウムは7...8月に顕著に増加した。椙対照度25%区においては,各成分とも生育後期に 吸収量が低下した。無機養分吸収量の季節変動は苗木の重量生長の経過と大体一致した。苗木1本当 たり吸収量は,各成分とも相対照度50%区>100%区>25%区の11民であった。 4. 葉の全糖含有率は開葉後漸次増加し 9月に最大になった。幹枝及び根においても 9月に最大 値がみられた。粗デンプン含有率は,葉では夏季に増加し,凸型変化を示したが,幹枝及び根では5 月比最低になり, 10月比増加した。粗デンプンは根に最も多く含まれており,根はデンプンの貯蔵器 宮として重要であると思われた。根では, 10月l乙全糖含有率が急激に低下し,組デンプン含帯率が急 激に増加した。糖からデンプンへの転換が乙の時期に活発に行われるものと思われる。 5 顕微化学的調査によると,幹及び根の各組織における貯蔵デンプンの含有量は,一般に晩秋か ら初冬に最も多く,夏季に最低になった。しかし,紐織によって季節変動に差異がみられた。幹の皮 層知直織では 1月に急激に減少し,その後漸減して夏季に最低になり, 11月に元の{直に回復した。 髄では 1月以降漸次減少し,夏季に最低になった。二次鋼部,一次及び二次木部においては 2 3月に減少し,春の発芽前に増加し,夏季に最低になり,晩秋l乙最大になった。すなわち,二つの谷 と二つの山がみられた。根では幹でみられた 2,3月の極小と春の発芽前の極大がみられず,デンプン の含有量は各組織とも晩秋に最大で,夏季に最低になった。 幹及び根では,一般に貯蔵デンプンは中心部の髄の細胞に最も多く含まれており,外側の皮層柔組 織には少なかった。また外側の組織ほど早くから(晩冬から)急激に含有量が低下し,生長期におけ る含有量が低い傾向がみられた。 相対照度と貯藤デンプン量の季節変動との関係については,相対照度の違いによって季節変動に著 しい差異はみられなかった。

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クヌギ商の生長と養分の季節変動 (25)

1)後藤和夫:林業技術者のための肥料ハンドブック(芝本武夫・塘隆男編).創文(1979) pp. 55"-56 2) 橋詰隼人:クヌギ苗の生育と陽光量との関係.広葉掘研究, 2, 1"-12 (1982) 3) 石部修:樹木内貯蔵澱粉及び脂肪の季節的変化.生態学研究, 2, 1"-6 (1936)

4) Kanazawa, Y. : Growth analysis of seedlings of two deciduous broad-leaved tree species

Quercus acut何 回mαCARR. and Fαgus cre叩 tαBIUME

from the vi ew

point of dry ma tter and "soluble" carbohydrate economy. J叩 .J.Eco,l. 31, 147"-153 (1981) 5) 菊谷昭雄:コナラの木部に貯えられた澱粉の季節的変化.日林誌, 35, 191"-193 (1953) 6) 中塚友一郎:樹木及樹苗の生理化学的研究(第l報).落葉潤葉樹の無機成分及窒素量の季節変 化.日林誌, 25, 521"-532 (1943) 7) 佐藤大七郎・竹越卓調:クヌギとシラカシの貯蔵デンプンの季節による増減.演習林(東大), 9

17"-23 (1952) 8) 辰己修三:主要広葉樹の栄養生理に関する研究.葉分析に基づく無機養分の季節的変化について. 72回日林講, 174"-175 (1962)

参照

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