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早生温州の着色に及ぼすリン酸カリ液肥の葉面施用の影響 I. 盛夏季散布・初秋季散布について-香川大学学術情報リポジトリ

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早生温州の着色に及ぼすリン酸カリ液肥の葉面施用の影響

Ⅰ.盛夏季散布・初秋季散布について

樽 谷 勝,寺 尾

RIND COLOR OF WASE SATSUMA MANDARIN AS AFFECTED

BY FOLIAR APPLICATION OF POTASSIUM

PHOSPHATE LIQUID FERTILIZERS

I“Applicationin Mid−Summer orin Early Autumn

Masaru KURETANI and Isamu TERAo

Effects offoliarapplicationofpotassium phosphateliquidfertilizersinmid summerorearlyautumn onfruit

quality,ratioofthe丘rstharvesttothetotalyield,andrindcolorof18year・01dWasesatsumamandarinwerestudied

lThefertilizersprayinmidsummerandearlyautumnladedleafgreencolorafterlateSeptemberandearly

October,reSpeCtively

2 Sizeofthefruitwasnotatfected,buttheaciditywasdecreasedalittleandthusthesugar・aCidratiowas

increasedbythetreatment

3Thefoliarsprayadvancedcoloring,Whichinturnincreasedtheratioofthe丘ISthar宣est,judgingbyrindcolor

development,tOthetotalyeild

4Rindcolor・developmentofindividualfruitofspr・aytreatmentwaSmOreuniformthanthatofcontrol

香川大学農学部附属農場において,18年生の温州みかん「三保早生」を供試して,リン酸カリ液肥剤の盛夏季及び 初秋季の各々異なる時期における菓面散布施用が,主に果実の品質,初回採収果比率及び果皮の着色に及ぼす影響に ついて調査した..本報の実験及び調査は,1983年に実施したものである 1リン酸カリ液肥剤の散布処理区では,盛夏季散布の場合は9月下旬以降に,また初秋季散布の場合には10月上 旬以降に,それぞれ葉色の線色が減退した 2各散布処理による果実(横径)の発育差はみられなかった‖収穫した果実の酸含量は,リン酸カリ液肥剤の散 布処理区では,無施用対照区に較べてやや低い億を示し,糖/酸比を高くした 3・通常の慣行的な着色基準の判定による,初回収穫日における採収果重の全収穫果盈に対する比率は,盛夏季散 布及び初秋季散布ともに,リン酸カリ液肥剤散布処理区の方が,無処理対照区に較べて高かった.すなわち,慣行的 な収穫期判定の基準となる果皮の着色状態が,リン酸カリ液肥剤の散布処理によって促進されたことがうかがわれた 4収穫した果実の着色状態を,果面の部位別の着色判定借の平均値で比較すると,無施用対照区の3.8に対して, リン酸カリ液肥剤散布の各処理区では44以上の値を示し,果皮の着色状態が平均的に優れた 以上のことから,盛夏季又は初秋季という時期的な処理の差はあるにしても,リン酸カリ液肥剤の菜面散布施用は, 果実の着色を早め,初回の採収果重の比率を高め,果皮の着色を良好にする効果がみられた 緒 一厳に多くの場合,早生温州の収穫時期の判定は,慣行的に果皮の着色状態によっているが,採収時期の早晩は食 (香川大学農学部附属農場)

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昧や市場価格との関係が大きい‥ 内部先熱性をもつ早生温州では,青切り収穫後人工着色(1)が行われることもある が,ややもすると市場価格の高さにつられて早採りに過ぎ,消費者や市場関係者の不評をこうむることがある これがために実際栽培においては,着色阻害や着色遅延等の諸要因を除去すること(2∴き)のほかに,むしろ積極的に 着色促進を目的とした肥培管理や着色促進剤の使用等(456)が行われる.また,かなり以前から石灰硫黄合剤(78〉, 第一・リン酸石灰及び第一・リン酸カリの菓面散布(9′10・11)が,温州ミカンの着色増進に効果があることが知られている 筆者らは上記のような朝点から,とくに早生温州の着色促進及び品質向上(増糖・減酸)に及ぼす液肥剤の利用に 着目し,すでに1981∼,82年における2カ年間の予備的実験において,有効と思われる液肥剤とその施用時期,方法 等の検討哉験を行い,リン酸カリ液肥剤及び第一・リン酸カリウムの菓面施用が,着色促進及び初期採収量の増加に対 して,かなり効果的であるとの示唆を得た(12) 本報では,リン酸カリ液肥剤の盛夏季散布と初秋季散布に分けて1983年に行った試験結果について報告する 材料及び方法 1.供試樹及び散布施用の時期・方法 香川大学農学部附属農場果樹園の,東南面傾斜の花こう岩土壌よりなる階段畑で,複列植栽の18年生「三保早生」 を供し,−L区5樹ずつをもって,後記する4区の試験区を設けた 供試の液肥剤として,とくにリン酸カリの影響を試みるために,含3要素液肥(大塚化学薬品株式会社製:N−80, P−30,K−3“0%,他に微量要素),含P・K液肥(神協産業株式会社製,SMF−1:水溶性リン酸40,水溶性カリ 60%,他に海藻エキス),リン酸一カリウム(和光純薬工業株式会社製:KH2PO。=1360,1級)の3種類を供し た 上記各供試剤の菓面施用としての散布液濃度は,既製品としての液肥は容量で300倍,リン酸−・カリウムは重畳で 1000倍汲とした 菓面施用の時期として盛夏季散布は7月26日,8月5日,8月15日の3臥 初秋季散布は8月26日,9月12日,9月 29日の3回とした.施用方法は,各回いずれも菓面散布による仝樹処理とし,背負式手動噴霧機で,やや租粒状の扇 状噴霧の噴孔を使用し,1樹当たり約3ゼ畳を施用した.散布施用は各回いずれも晴天で,午前10時ごろの時刻に 行った なお,この実験にかかわる液肥剤の散布施用以外の−・般的な肥培管理及び病害.虫防除,採収・選果等は,当農場に おける経常的慣行法によった 2.試験期間中の気象状態の概要 本試験を実施した1983年の試験期間中の気象状態は,事実上の梅雨明け(7月5日の降雨が境界日)以降の7月中 旬∼9月上旬の間は,平年に較べて降雨日数・降雨量ともに少なく,いわゆる干ばつ状態が続いた..その後9月中旬 の後半から10月中旬の間は,比較的多くの降雨日数・降雨量があった.したがって,このような気象状態からして, 例年に比較して果実の着色時期及び着色進行に,いくらかの遅延をもたらした 3.調査項目及び方法 (1)薬害及び果実汚染,着色異状の徴侯 散布施用の調製液肥を処理した場合及びその後における落葉,落果,枝梢及び果実の発育,果実果面の汚染,さら に着色異状等に現われる薬害的徴候について,それぞれ観察によって調査した (2)葉色の変化状態 −般的に栄養診断の指標として葉色の朝察が行われているが,本試験においては長崎県果樹試験場監修のF温州ミ カン栄養診断用葉色枚』を使用して,各区供試樹の外周,中庸着果枝の春棄について,散布施用時及びその後におけ る任意15牧内外の葉色を判定・調査した (3)果実の発育及び果汁の糖度,酸畳 液肥剤の散布処理試験開始当初に,各区供試樹のうちからほぼ同じ程度の着果状態をもつ3樹ずつを選び,各樹上 に任意に4果(計12果)を定め,ほぼ10日毎にそれらの果実の横径を測定し,その平均値及び発育比数を求めた また,着色前(9月20日)と着色期(10月11日)の樹上果,さらに収穫果(10月25日,11月8日,11月18日の3回 に分けて収穫)のM級果について,各任意に試料果をとり果汁中の糖度(屈折糖度計により測定),pH(日立H−5,

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pHメータ使用),酸畳(N/10NaOH滴走,クエン酸に換算)並びに糖/酸比を調査した (4)収穫日別の採収果重とその比率 当農場において従来より行われている慣行的な着色判定によって,初回収穫を10月25日に,第2回を11月8日に, また第3回を11月18日に果実の収穫を行った.その各収穫日別の採収果垂と合計収穫果真に対する比率を調査した (5)果皮の着色状態 前項の3回に分けて収穫した果実の山斉選別によるM級果のうちから,任意に30果ずつをとり各果の果頂部,果赤 道部,果梗部の果皮の着色状態を調査した一.この調査には農林省果樹試験場作成(1977年)の,果実の成熟度判定の ためのオレンジ用のカラ−チャ・−トを適用した 結 果 (1)薬害,果実汚染及び着色異状等の徴侯 供試の調製液肥の散布施用による落葉,落果,枝梢及び果実の発育異常等の薬害的徴候は全く観察されなかった また,供試の含P・K液肥の調製液は黒褐色を呈しているにもかかわらず,散布処理による果面への汚染あるいは着 色期に至るまでの残存汚染は見られず,さらに果実・果皮の着色異状は観察されなかった (2)葉色の変化状態 液肥の散布施用試験開始時及び散布処理後における葉色の変化状態を調査した結果は,図−1のとおりである 葉色判定値 葉色判定値 7/26 8/4 15 30 9/14 30 10/11 25 11/8 調 査 月 日 図−1葉色の変化状態 すなわち,黄色判定の数億は処理開始時(7月26日)において平均5い6−5.8で,チッ素の栄養状態は「適量」の範 囲と認められ,この状態はおおむね9月上・中旬にわたる間続いたしかし,盛夏季散布の場合には含P・K液肥300 倍区及びリン酸−・カリウム1000倍区の両区では,9月下旬以降において葉色の緑色減退がみられた.また,初秋季散

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表−1果実(横径)の発育状態(盛夏季散布施用) 7/26 8/4

15 9/14 30 10/11 25 11/8

3.53Cm 379 4.25 4.98 552 5小78 595 611 無施用対照区 100 107 120 141 156 164 169 173

含 3 要素液肥 385Cm404 446 531 579 5.99 621 638

300倍区 100 105 116 138 150 156 161 166

含 P・K 液 肥 3.88Cm 420 4.64 544 603 635 654 6り67

300倍区 100 108 120 140 155 164 169 172

リン酸−・カリウム 3.93Cm 415 460 546 597 624 646 661

1000倍区 100 106 117 139 152 159 164 168 1‖ 試験開始当初に各区3樹上で任意に12果を設定し,横径を測定した平均億で示した。 2各欄下段の数値は,試験開始当初の測定値を100とした発育比数を示す。 表−3 果汁の糖度,酸畳及び糖/酸比 (初秋季散布施用) 表一2 果汁の糖度,酸畳及び糖/酸比 (盛夏季散布施用) 樹上果 (任意果) 9/2010/11 無施用対照区 88 9小1 89 9.2 98 糖 度 300倍区

含P・K液肥 300 84 8小9 9,2 9.4 96

倍区

リン酸−Lカリウム 90 90 9“2 9い6 9.6

1000倍区 無施用対照区 235 286 3“80 3小53 2.90 含3要素液肥 221 314 3一75 345 320 300倍区

pH 含P・K液月巴 300 2,20 297 360 3.51 300

倍区

リン酸−・カリウム 1000 2.18 2亘95 3小67 3.47 310

倍区 無施用対照区 246 167 1541.32124 A 酸 量 300倍区

含P・K液肥 2.68 151 143 119 1。13

300倍区

リン酸−・カリウム 1000 2。75 169 136 120 0.98

倍区 無施用対照区 3“58 545 578 697 7“90 糖

含3要素液肥 2“79 5り27 623 634 8.18

/ 300倍区

酸 含P・K液肥 300 3小13 589 643 790 8.49

比 倍区

リン酸−カリウム 1 3“27 533 676 800 9.80

000倍区 樹上果 (任意果) 収穫果(M級果) 9/2010/11 10/2511/711/17 無施用対照区 8.7 8.7 9.0 86 9.2 糖 度 300倍区

含P・K液肥 300 87 88 9.0 9。0 9.3

倍区

リン酸−・カリウム 100 8.7 89 90 100 9.4

0倍区 無施用対照区 2.31 287 345 3,49 286

含3要素液肥 300 2。26 2。99 355 352 287

倍区 pH 含P・K液肥 300倍区 2‖44 290 349 3小55 282 リン酸一カリウム 1000 乙35 2小96 3,73 360 274 倍区 無施用対照区 田 酸 畳 有

リン酸−カリウム 1000 2..26 150 129 119 1小08

倍区

無施用対照区 3り55 508 548 641 836

糖 含3要素液肥 300 366 568 682 692 839 / 倍区 酸 含P・K液肥 300 393 571 703 7小56 877 比 倍区 リン酸一・カリウム 1000 384 595 69L7 8小40 870 倍区 注:樹上果は各区供試樹から任意果を採取,収穫果 は慣行的な着色判定による収穫果中より選別し たM級の任意果で,両者とも6果ずつを一・括搾 汁し,その果汁についての測定値である。 注:樹上果は各区供試樹から任意果を採取,収穫果 は慣行的な着色判定による収穫果中より選別し たM級の任意果で,両者とも6果ずつを−・括搾 汁し,その果汁についての測定値である。

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布の場合には,上記の両区においては10月上旬以降に緑色の減退がみられた なお,図一1において盛夏季散布及び初秋季散布ともに,9月30日時点における葉色判定借がとくに突出して届い借 を示したのは,おそらく盛夏季間中の干ばつ状態彼の,9月中旬後半ごろからの多量降雨がもたらしたチッ素の遅効 きに起因するものと考えられる (3)果実の発育及び果汁の糖度,酸畳 各区における果実(横径)の発育状態を測定した結果は,表一1のとおりであり,各区間における果実の発育上の 差異は,あまり明確であるとは書い難い 果汁の糖度,pH,酸量及び糖/酸比等を,9月20日(着色始期)及び10月11日(着色期)の樹上果について,さ らに収穫果のM級果について調査した結果は,表一2及び表−3のとおりである 果汁の糖度及び酸量について,盛夏季及び初秋季の散布施用試験ともに,供試液肥剤の散布処理区が無施用対照区 に較べて,いくらか若干の増糖又は減酸の値を示すものもあるが,いずれも明確な差異あるいは傾向があるとは認め 経い.しかし,これを収穫果の調査結果について見れば,糖度よりも酸畳において無施用対照区に較べて,含P・K 液肥300倍区及びリン酸一・カリウム1000倍区が,やや低い億を示していることがみられる・これにともなって糖/酸 比の値が高くなっている しかし,このような程度の差異は,本年の気象状態又は散布施用の季節的差による影響も考慮すべきであって,本 試験の結果は前年の試験結果(12)とは,必ずしも−・致していない (4)収穫日別の採収果垂及びその比率 慣行的な着色判定によって収穫を行った各収穫日別の採収果畳と,その仝収穫果重に対する比率を調査した結果は, 表−4のとおりである 表−4 収穫日別の採収異星とその比率(3樹当たり) (1)盛夏季散布施用 第1回 第2回 第3回 合 計 (10月25日) (11月8日) (11月18日)

無施用対照区 32.3k号18)

92“5k貸53)

499k号29) 174,7k守100)

含3要素液肥 300区 547(31) 倍 582(33) 646(36) 1775(100)

含P・K液肥 300倍区 76..3(36)

83小2(41) 471(23) 203.9(100) リン酸−・カリウム 1000 67“8(37) 倍区 858(47) 294(16) 183.0(100) (2)初秋季散布施用 第1回 第2回 第3回 合 計 (10月25日) (11月8日) (11月18日) 無施用対照区 32小3k竿18) 92小5k貸53) 499k貸29) 1747k号100) 含3要素液肥 300 75“5(37) 倍区 556(27) 71小4(35) 2025(100) 含P・K液肥 300倍区 678(35) 810(42) 423(22) 1911(100) リン酸−・カリウム 1000区 53.3(36) 倍 480(32) 紙1(31) 147.4(100) 注:()は探収合計果塞を100とした比率(%)を示す。 すなわち,供試液肥剤を散布施用の各区では,いずれも第1回の採収果重の比率が無施用対照区に較べて,かなり 高いことがみられるこのことは慣行的な熟期判定基準としての,外観的又は相対的な果実の着色状態が・無施用対 照区に比較して進んでいたことによるものと言える1・ちなみに,本年の試験の場合には前年の試射12)に比較して,

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表−5 果実の部位別着色状態 (盛夏季散布施用;収穫果・M級) 表−6 果実の部位別着色状態 (初秋季散布施用;収穫果・M級) 収穫日 景頂曇蛮養梗 平均 10月25日 532 2“82 1小77 3小33 無施用対照区 11月8日 6.56 3,69 2.87 4.36 平 均 5.94 326 2小31 384 10月25日 544 3“17 172 3.44

含3要素液肥 300倍 11月8日 6.21 5.00 3.37 4り86

区 平 均 5..82 4.09 255 4.15 10月25日 617 323 200 382

含P・K汲肥 300倍区 11月8日 650 5..08 367 5,08

平 均 634 4小18 287 445 10月25日 6.42 3.50 1“92 3小95

リン酸一・カリウム 1000倍区 11月8日 6.96 571 3小46 538

平 均 6,70 4け60 269 466 収穫日 果頂果赤果梗 部 道都部 平均 10月25日 5.32 282 177 3.33 無施用対照区 11月8日 6“484。04 2小82 4.45 平 均 5.90 3..43 230 3ノ87 10月25日 444 306 211 3小20

含3要素液肥 300倍区 11月8日 6.12 4小25 3.00 446

平 均 5小28366 2.56 3。83 10月25日 544 3,44 2‖17 3.68

含P・K液肥 300倍区 11月8日 6.10500 4.40 5“17

平 均 577 4.22 328 4.42 10月25日 544、3.50 2.61 385

リン酸−・カリウム 1000倍区 11月8日 667 5.58 307 5。11

平 均 6/05 454 2.84 448 注:慣行的な着色判定による収穫果中より選別した M級果の任意15∼30個について,成熟度判定用 色差板(農林省果樹試験場,1977年:オレンジ 用)使用による着色判定の平均値で示す。 注:慣行的な着色判定による収穫果中より選別した M級果の任意15∼30個について,成熟度判定用 色差板(農林省果樹試験場,1977年:オレンジ 用)使用による着色判定の平均値で示す。 表−7 収穫日別・着色液度別の果数比率 (1)盛夏季散布施用(M級果) 果頂部 果赤道部 果梗部

10/25 11/8 10/25 11/8 10/25 11/8

6小0以上 70以上 4.0以上 5小0以上 2.0以上 4.0以上 % % % % % % 無施用対照区 50一0 0 12.5 54小5 12.5 含3要素液肥 300 44“4 倍区 66,7 22,2 667 444 250 含P・K液肥 300 888 倍区 75小0 22.2 75,0 778 500 リン酸−・カリウム 83小3 1000倍区 75小0 33い3 100,0 66.7 33,3 (2)初秋季散布施用(M級果) 果頂部 果赤道部 果梗部 10/2畠 11/8 10/25 11/8 10/25 11/8 60以上 70以上 40以上 5.0以上 2.0以上 40以上 % % % % % % 無施用対照区 363 38,4 0 76 54.5 76 含3要素液肥 300 11。1 倍区 0 11,1 0 889 0 含PりK液肥 300 33.3 倍区 20小0 22小2 60。0 77.8 40.0 リン酸−・カリケム 55小6 1000倍区 500

333 100小0 1000

33,3

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初回採収日が約5日遅く,また収穫終了に至るまでの日数が長かった.このことは本年の場合には9月中・下旬にお ける多雨が,着色始期及び着色進行の遅延に影響したものと思われる (5)果実の着色状態 収穫果のM級果について,果実果皮の部位別着色状態を調査した結果は,表一5及び表一6のとおりである 果実の部位別着色状態は,いずれも果頂部付近の着色が濃く,果梗部付近の着色は低い備にあり,果皮表面の部分 による着色程度の差が大きく,また−■聴ではない,.したがって各区間における着色状態を比較するために,部位別着 色判定値の平均値で比較すると,その差異は明らかである すなわち,盛夏季散布施用の場合には無施用対照区384に対して,含3要素液肥300倍区は4.15,含P・K液肥300 倍区は445,リン酸−・カリウム1000倍区が4,66であるり また,初秋季散布施用の場合には無施用対照区3.87,含3要 素液肥300倍区3“83,含P・K液肥300区442,リン酸−・カリウム1000倍区448を示した.これらの数億から供試液肥 剤の散布施用のうち,含P・K液肥及びリン酸−・カリウム液の施用区では,それぞれ比較的高い着色判定値を示し, 果実全体の着色状態は他に較べて良好である.とくにこの場合,果頂部付近の着色は濃く,直観して朱紅色が感ぜら れた なお,果実の収穫日別の,着色液度別の乗数比率を比較すると,表−7のとおりである すなわち,含P・K液肥及びリン酸−・カリウム液の散布施用の両区では,無施用対照区及び含3要素液肥区の場合 に較べて,着色億4小0以上の果数比率が高いことがみられた 考 察 柑橘栽培において,果実の外観的品質や食味の向上を目的として,その環境要因及び肥培管理等の諸条件を良好に 維持し,又はそれらの改善を図ることが重要な課題であることは言うまでもなく,多くの記述(2・3・9)の示すところで ある.. これらに関してとくに松本(3)は,温州ミカンの品質を支配する要因の寄与度について,チッ素の多畳施用による 品質・食味の不良化傾向は,熟期の早い温州ミカンで顕著に認められるとしており,また樹体内のリン酸含量が高い 場合には,果汁中の遊離酸含量が減少することは,−・般に認められている事実であるとも述べている,.さらに加えて, 果皮の着色に対する各種要因について,日射量及び日照時間が特に大きな影響を及ぼすことのほかに,気候・気象条 件,樹齢,各種の肥培管理,さらに樹体の生理的状態,結果畳及び結果位置の適正,菓果比など,多くの諸要因が複 雑多様に影響するとしている.. 高橋(2)は,果実の形質と肥料要素との関係について,果皮の色を漉くするものはカリと苦土(マグネシウム)で, 果皮の色の漉いことと着色の早いこととは−・致しないと記述している… また,果皮の緑が消えて黄化するのはリン酸 の作用であり,リン酸は果実を早熟とし着色を早めるが,完熟時の色を漉くするのはカリの作用であるとしている. さらに高橋(2)は,肥料賓素のうちで果汁の成分に重要な関係をもつものはリン酸とカリであり,果汁の酸の減少は 果実の熟度の進行を示し,果実の成熟に際しては多孟のリン酸を必要とし,リン酸の供給が不足すれば,果皮の緑色 が減退することを遅くし,酸の減少を妨げるものと考える.したがって早生温州のごとく早期の販売を目的とするも のは,カリを減じてリン酸の増施が必要である,との所見を述べている小 このような記述のほか,ミカン果皮の着色はカロチノイドを主体とし,気温の影響を強く受け15−180cで促進さ れ,250c以上で脱線が遅れる傾向があり,そのほか若木,チッ素過多樹,強勢樹等の着色は遅れることや,着色を 促進させるためには,秋期の乾燥,石灰硫黄合剤及び第一・リン酸石灰との混合液の散布が肴効である,との記述や報 告(2r3・‘7・8r9rlO)が多く見受けられるけ 野呂,勒(11)が行った,宮川早生温州に対する第一・リン酸カリの03%液を9月22日に菓面散布した,早生温州の 成熟促進試験によると,果皮の色つきの点で従来の石灰硫黄合剤の着色効果よりもむしろ優れ,無処理より成熟が進 み,着色促進の効果のあることを認めている‥ また,小中原(1314)は,温州ミカンに対する第一・リン酸カリの03% 液の冬期(2月ごろ)の菓面散布が,結果母校の着花を良好にする効果があることを認めているい 上記のような多くの記述や報告に見られるように,温州ミカンの着色に関与する諸条件や,成熟促進及び果汁の酸 減量に及ぼす肥料要素の影響とともに,とくに果皮の着色促進又は着色を良好にするためには,リン酸やカリが大き く支配的であること,さらには翌年の花芽着生及び結実などの結実生理に及ぼす影響の大きいことがうかがわれる.

(8)

ちなみに,本実験に供した含P・K液肥剤と同じSMF−1液肥について,各務ら(15)が行った興津早生に対する品質 向上効果試験において7月下旬,8月下旬及び9月上旬の菓面散布の試験成績が,筆者らの行った本実験における盛 夏季散布施用の場合と,ほぼ−・致した結果や傾向を示していることが見られる点は,共通的に興味あることと思われ る そうして本報の実験結果が示すよう′に,リン酸カ1)液肥剤としてのリン酸−・カリウム及び含P・K液肥(SMF−1) 等の,盛夏季又は初秋季の葉面散布による仝樹処理施用が,果実の着色促進に対七て効果的に働き,慣行的な着色判 定による初回探収果率を多くし,また収穫果実の果皮全体部分の着色状態を良好にしたことは,早生温州栽培におけ る早期採収並びに早期出荷対贋として,リン酸カリ液肥剤の合理的な使用効果を示唆するものと考えられる.今後な お本実験の成果を基礎的資料として,さらに散布施用の時期,回数及び濃度等について,より安定的な実用的成果が 得られるように検討を進めて行きたい 引 用 文 献 (9)薬師寺清司:柑橘栽培新説,251−252,東京,養 賢堂(1969) (10)野呂徳男:温州ミカンに対する着色試験,静岡県 柑橘試験場報告,昭和き2年度,68−70(1958) (11)野呂徳男,敬 一灘:早生温州成熟促進試験,静 岡県柑橘試験場報告,昭和27・28年度,70(1955) (12)樽谷 勝,寺尾 勇:早生温州の着色に及ぼすリ ン酸カリ液肥の葉面施用の影響について(予報), 園芸学会中四国支部昭和59年慶大会研究発表要旨 15(198軒 (13)小中原 実:温州ミカンに対する第一L燐酸カリの 菓面散布,静岡県柑橘試験場報告,昭和27・28年 度,68−69(1955) (14)小中原 実:第一・燐酸加里及び其他2・3の燐酸並 に加里塩の菓面散布が温州蜜柑の花芽着生に及ぼ す効果,静岡県柑橘試験場報告,第3号,3−21 (1956) (15)各務好行,大谷 衛:新生育調節剤効果試験, SMF−1液剤の早生ウンシュウに対する品質向上 効果,昭和58年度香川県農業試験場府中分場果樹 試験成繚,73−75(1983) (1986年5月31日受理) (1)北川博敏:ミカンのカラリング,1ト14,東京, 誠文堂新光社(1974) (2)高橋郁郎:柑橘,310−314,369−374,東京,養賢 堂(1965) (3)松本和夫:柑橘園芸新昏,197−217,東京,養賢 堂(1975) (4)広瀬和栄,山本正幸,大束 宏:カンキツの着色 促進に関する研究,第1報 エスレル(エチレン 発生剤)処理による温州ミカンの着色促進効果に ついて,園芸試験場報告,BlO,17−33(1970) (5)岩垣 功,広瀬和栄,鈴木邦彦:フィガロンが温 州ミカンの品質におよぼす影響,農業および園芸, 54(8),1007−1048(1977) (6)岩垣 功:カンキツの品質向上に関する諸問題, 園芸学会昭和54年度秋季大会シンポジウム講演要 旨,32−40(1979) (7)高橋郁郎,花揮政雄,染央 泰:蜜柑の品質にお よぼす病虫害防除剤の影響,園芸学会雑誌,8, 92−98(1939) (8)牛山欽司,大垣智昭:温州ミカンの着色増進剤に 関する試験(第2報),神奈川県園芸試験場研究 報告,15,9−18(1967)

参照

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