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ウリ類の花の性表現に及ぼすエスレルとエチレン抑制剤の影響-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

ウリ類の花の性表現に及ぼすエスレルと

エチレン抑制剤の影響

倉 田 久 男

Effects of ethephon and ethyleneinhibitors on sex expression

in some melon crops

Hisao KtJRATA

Ef董bctsofethephonandethyleneinhibitorsonsexexpression were examined,uSing Cilr’ulluslanatus Matsum。etNakai,(九cumissativusL、,ChcumismeloL.(‘Prince’),BenincaSahi坤i−daCog恥Leqenariasiceγaria Standl

The f■ormation of female flowers and male flowersin watermelon wasinhibited with the treatment of

60TlOO ppm ethephonThough thegrowth and development of董bmaleflowerswereinhibited with the treatment of200L500ppmAgNO3,thenumberoffemale壬lowers and hermaphrodite董lowers which had

beenprlmaryPrimordiaatfrom4thto8thnodesincreasedwiththetreatmentu Theextentofpromotion

differedwith the seasonor conditions oftreatment.TheIeWaS nOeffectofthe AgNO3treatmentOnthe

formation ofamale董lower.In some cultivars of watermelon the number of female flowers decreased

with the treatmentoflmM CoC12butin some other cultivars the number was not affectedwith the

treatment

Incucumber the numberoffemale flowersincreasedwith theethephon treatment and the number of

maleflowersincIeaSedwith the AgNO3treatmentr At the spraylngtimethebuds at thelower nodes

werejustbefoTethestateofamale flower−initiationandtheotherbudsathighernodeswerethe state

of prlmary PrlmOrdium−initiation小 The number o董femaleflowersincreasedalittleatfromlstto3rd nodes o董daughterveins with the treatmento董CoC12.

Hermaphroditeflowerswereformedatdaughterveinsin’Prince’melonwiththetreatmentofethephon buttheflowerso董2nddaughterveins decreased..Thenumber ofhermaphrodite11owersof2nddaughter veinsincreasedsomewhatwithAgNO3treatment小 Therewas noeffecto董the CoC12t‡eatmentOn SeXeX−

p工eSSion.

Female flowersinwaxgou‡dweIe formedat highernodesofdaughterveins with the ethephon treat− ment小 Femaleflowersinbottle gourdwere formed directlyat nodes o董daughterveinswiththetreatment Chemicaljn.iurywas observedconsiderablyin theportion treatedwithAgNO3巾

Sex expressionin these melon cIOPSWaSnOtaffectedwith the treatment of other chemicals;1mM

benzoicacid;1mMcuprlZOne;1mMaminooxyaceticacid スイカ,キュウリ,プリンスメロン,トウガン,ヒョウタンの花の性表現に及ぼすエスレルとエチレン抑制剤の影 轡を調査した。 スイカではエスレ)L/60∼100ppM処理によって雌花,雄花を抑制した。AgNO3処理は花の発育段階の雌花を抑制 したが,花の姶源体分化を中心とする4∼8節の此旧宅,両性花を増加した。しかしその程度は処理の時期や環境によ って異ることが観察された。雄花には影響はなかった,CoC121mM 処理は雌花が少なくなる品種と影響のない品柾 とがあった。 キ.ユウリほエスレル処理で雌花が増加し,AgNO3処理で雄花が増加した。それは花の始源体分化節を中心に,下 限は性決定直前の節までであった。CoC121mM処理で子づる1∼3節の雌花は少し増加した。

(2)

香川大学農学部学術報告 第35巻 欝2号(1984) 102 プリンスメロンほエスレル処理で子づるに両性花がついたが孫づるでは減少した。AgNO3処理で孫づるの両性花 は少し増加した,CoC12処理の影響はなかった。 エスレル処理でトウガンほ雌花節が上昇したが,ヒョウタンは子づるに直接雌花がついた,AgNOき処理は薬害が 強くあらわれた。

その他の薬剤,安息番酸,カプリゾン,Aminooxy acetic acid(AOA)の各1mM処理はこれらウリ類の花の性 表現には影響はあらわれなかった。 緒 前報(15)においてスイカの子づる2∼3菓展開時に,エチレンの作用阻害の働きをもつAgNO3500ppMを葉蘭散 布すると,子づる14∼18節の雌花は減少するが20∼28節に雌花と両性花が増加し大形化すること,しかし処理時期に よって反応の程度に差のあることを報告した。本報はスイカに対するAgNO3の影響を再検討しより有効な方法を追 求することと,広くウリ類の性表現に対するエチレンの働きを分析検討する目的で,エチレン増で雌花増加の明らか なキ.ユ.ウリ,プリンスメロンと,スイカまたはプリンスメロンに近い結実性をもつトウガン,ヒョウタンについて,内 生エチレンを増加させるエスレル.内生エチレンの生成を抑制するといわれる(27)薬剤のうち入手しやすいCoC12(8) (19〉 安息香酸(3),カプリゾン(16〉AOA(1)の処理を加えて調査した。 なお第1実験のエチレン発生愚消長の測定調査ほ取連正人票が行なったものである。 実験材料および方法 詔1実験,CoC12処理によるエチレンの発生消長について(スイカ箇) 1980年10月28日および11月1日まきのスイカ幼濁に11月18日,20,22日の3回,CoC121mM/1液を菓面散布し, 欝1表 試 験 区 の 概 要 種まきl定植 整 枝 法 使用した薬剤とその濃度 種類 品種 (1) (2) .甘 口 q H 5.9 5.12 AgNO3500ppM,CoC12,安息香酸,カ プリゾン,AOA各1mM/1 AgNO3500,CoC12カプリゾン各1mM/1 子づる4本

1方整枝

スイカ,秀 陽 スイカ,台湾稼 子づる3本

1方整枝

親づる誘引 子づる3本 子づる2本 子づる2本 エスレル100,AgNO8500,仝300,CoC12, カブソゾン,AOA各1mM/1 エスレル100,AgNO3500,CoC12,安息 香酸,カプリゾン,AOA各1mM/1 エスレル100,AgNOさ500,仝300,CoCl2, 安息香酸,カプリゾン,AOA各1mM/1 エスレル100,AgNO3500,仝300,CoC12, カプリゾン,AOA各1mM/1 エスレル100,AgNO3500PPM スイカ,秀 陽 キュウリ, ときわ3号P プリンスメロン トウガン,大白 ヒョウタン, 千成 6.12 (5.15 6.7 6。11 6ハ 7 6..11 6.13 61.15 6。13 6り15 2回

3回【スイカ,秀陽l5・20ト1‡苧募3壷′皆

7.9 7.11 館野3…鮎韻NOき200PPM

8・2 8・4願狩野磯諜200,AgNO3150

4回lスイカ,秀 陽!7.117.27 エスレル,60,40,20PPM AgNOさ200, 150ppM 5回lスイカ,秀 陽18.218.25 8.30 9.1 箱植ガラス室内 子づる3′〉4本 10.1110.131AgN08300,仝200PPM スイカ,秀 陽

(1)AOA…Aminooxy acetic acid

(2)エスレルは処理(1)の1回処理,その他は2回処理.,3∼4回実験の3,4回処理は処理(2)のあと2日毎に 処理.した。添着剤は加用しなかった。

(3)

散布当日から12月2日までエチレン鼠を測定した。測定は前報(15)と同様の方法でガスクロマトグラフィで定塗し た。 第2実験,エチレン調節薬剤処理 凡て1983年実施で試験区は欝1表の通りである○ 各薬剤処理の苗令はスイカ,トウガン,ヒョウタンは子づる2菓展開,キ・ユウリ,プリンスメロンは親づる3英展 開を目標としたが,個体によりつるにより若干の変異があるのはやむをえなかった0スイカは凡てユウガオ台(品種 かちどき)に接木し,他は実生である。第1回ほポリトンネル,白ポリマルチングの早熟栽培に準じたが,第2∼5 回はポリマルチングだけの露地栽培,筋6回は無力n温ガラス室内深さ11cmのトロ箱と直径15cmのポリ鉢植とし た.目的のつる以外はなるべく早く除去しそれぞれの作物の一・般的な仕立方に準じた0必要な節位の雌花(両性花) について節位,開花日を調べた。 実 験 結 果 第1実験 エチレン発生藍は罪1図のように処理区は処理直後から50∼一20%に減少した○この抑制がいつまでつづくかば明ら かでないが2週間以上つづくことば明らかである◇ 第2実験 算1回. AgNO3500ppM処理区の雌花(1部両性花)を節位 別にみると(欝2図,第3図)低節位の雌花は減少する, その範囲は秀陽で18節,台湾種で19節までで,それに っっく節位,秀陽で19∼20と22∼24節,台湾種で20∼ 花 24節は雌花が増加した。それ以上は差がない。CoC12処 理区は秀陽で22節まで減少したが台湾種では低節位から 標準区に似た数値を示した。従って雌花(両性花)開花 数 加積曲線(第4図,第5図)はAgNO3区は初期開花が なく,標準区に9∼10日程おくれて開花が急増するが最 15 10

10 12 14 16 18 20 22 24 26節

第2図 スイカ(筋1回)秀陽の雌花節位分布

18 20

25

%月 %月

10 12 1416 18 20 22 24 26 28節

欝1図 スイカ欝のCoC121mM/1処理が内生エチ レンの消長に及ぼす影響(測定,取違正人) 欝3図 スイカ(第1回)台湾種の雌花節位分布

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104 香川大学農学部学術報告 第35巻 欝2号(1984) 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30節 欝6図 スイカ(欝2回)雌花の節位分布

29 %月 2 4 6 8 %月

節4図 スイカ(第1回)秀陽雌花開花加硫曲線 ()内は連続雌花回数

26 28 %月 2 4 6

8 1012 ≡野月 第7図 スイカ(節2回)雌花開花加積曲線 ()内は連続雌花回数

3 5 7 9 ガ月

欝8図 スイカ(第2回)雄花開花状況 終花数で標準区より多くなることはなかった.CoC12区 は秀腸では全般的に増加傾向が劣ったが台湾柾では標準 区と差がなかった。 安息香酸,カプリゾンは着花節位,開花状況ともに標 準区と差がなく,AOAは薬害のためつるの生育がおく 欝5図 スイカ(罪1回)台湾秤,雌花開花加積曲線 ()内は連続雌花回数 れたが雌花の着生節位,密度には差がなかった。 節2回. スイカoAgNO3区は前回と同じ傾向を示した。罪6図,第7図のように300ppM区は500ppM区に比べ低節位 雌花抑制は拓く,19節から雌花密度が若干増したがその程度は僅かであった,開花初期ほ標準区より4∼5日おくれ 仝雌花数は標準区に近い数値を示した。500ppM区は低節位雌花抑制が強くそれにつづく雌花増が多くなかったので 仝雌花数ほかなり劣った。CoC12区は全般的に雌花が少なかった,これほ第1回と同様である。エスレル区は24節ま

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で完全に雌花を抑制しその後雌花の密度は高くならない,従って雌花開花は2週間以上おれく,その後の増加も7月 22日までに32花と著しく少ない。また雄花の開花は(第8図)AgNO3区は標準区と差がないがエスレル区は7月4 日まで開花せず,その後標準区に近づいて似た開花数を示した。 その他の処理区は第1回同様標準区と差がなかった。 キ.ユウリ。第2表の通り親づる芋づるともエスレル処理で雌花節数が増加しAgNo3処理で減少することは明らか で,とくにエスレル処理ほ親づる10′・}21節は70%以上が雌花節になり,AgNO3区は12∼24節には雌花節は全くあら われなかった。エスレ)L/,AgNO3処理の低節位には子房の短大の奇形雌花があらわれた。AgNO3区は若干薬害があ った.CoC12区は薬害がなく子づるの雌花節が若〒増加した。他の薬剤は花の性表現に影響は認めないo AOA ほか なり薬害がでた。 プリンスメロン。この品種ほ孫づる結実性で子づる4節以上には両性花のつかぬ品柾である.第2表のようにエス レル処理によって凡ての子づるの4節以上に直接両性花 がつ卓発育良好で標準区より約5日早く開花した(節9

80

図)が孫づるの両性花は減少した。AgNO3区ほ英字は なく孫づるの両性花が若干増加する傾向があらわれたが 開花ほ標準区より僅かおくれた。その他の薬剤は影響は 認めなかったがAOAの薬害は甚しかった。 トウガン。第1雌花節位の高い作物であるが罪2表の ようにエスレル処理区ほ解1雌花が上昇し個体変異も大 きくなる傾向を示した。AgNO3,AOA区は薬害があり, その他の薬剤は明らかな反応はあらわれなかった。 ヒョウタン。プリンスメロンのように孫づるの第1∼ 3節に雌花のつく作物であるが第2表のようにエスレル 処理区は子づるの欝5∼8節に直接雌花がついた株が33 %あらわれた。しかし孫づる1∼2節の雌花は減少し た。これらはプリンスメロンに似た反応である,AgNO3 の薬害はかなり著しい。

デM

′ ′ ′ J−/ ′ ′ ′々′ ′ ′′ r %月

28 野月 2 4 6

第9図 プリンスメロン両性花開花加硫曲線 欝2表 キュ.ウリ,プリンスメロン,トウガン,ヒョウタンに対する処理の影響 プリンスメ ロン両性花 子4 4る ∼ づ 節i lO蒜2 る節 づ節 ン雌花 トウガン雌花節 キュウリ雌花節数 ヒ ョ ウ タ 子着 子雌 雌 花 率 孫づる1∼2節 平 均 節 数 第1∼算2雌花 分 布 欝 1 雌 花

雌 花 節 子 づ

親8 子1芋

∼ i づ づ づ

25 3 る

る鮒 る節 整 花 づ 花 株 づ 処 理 区 る率 る数 る位

% コ 節 %

0 0 −・ 79.72 33.3 3.0 5′〉8 43.02 0 0 − 61.1l 節 節 節 17.37 15′〉22 6.25 22.20 20′}26 6.50 19.0017′)22 6.50 17.2513′〉20 6.73 17.5015′〉218.00 節 節 本 5.25 1.25 6.0 12.67 1.82 5.7 3.00 0.29 7.0 コ コ 0 1.24 3.33 1.00 0 1.75 0 1.67 0 1.16 0 1.02 0.09 1.10 0 1.28 標 準 エスレル100PPM 硝酸銀500PPM 〝 300PPM 塩加コバルト 1mM 安息香酸1mM カプリゾン1mM A O A lmM 0 5 4 5 6 6 7 6 4 4 3 3 9 6 ﹁⊥ 9 1 1 1 0 7 5 0 0 6 2 0 5 4 5 4 4 16.8014(ノ216.60 19.3314′〉22 7.45

(6)

香川大学農学部学術報告 努35巻 欝2号(1984) 106 欝3回. スイカに対しAgNO3の政彦と処理回数をかえた場合,第10図,第11図のように各処理区はAgNO3処理の−・般的 影響は明らかにあらわれたが,その影響は高濃度,処理回数の多い方が強くあらわれた。300ppM 2回処理と200 ppM 3回処理とははぼ同程度の影響であった。また低浪度程両性花の発生,連続雌花数ほ少なく,200ppM処理で ははとんど両性花はみられなかった。 第4回. スイカに対しAgNO3を300ppM2回,200および150ppM3∼4回処理すると(第12図)その成績は第3回と 同傾向で,影響の程度は同じ処理回数でははぼ濃度に比 例する傾向がみられた。 ′ (平箱植) ・−−・−不完全両性花 −【一両性花 一雌 花 / / / ′

10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30節

欝10図 スイカ(第3回)AgNO3処理の雌花開 花節位別加硫曲線 22 24 26 28 %月1 3 5 7 %月 欝13図 スイカ(欝6回)ガラス室内Ag・NO3処 理の雌花,両性花開花加積曲線 ∠ゝ不完全両性花 Cl両性花 ●雌 花

ム幽∞∞∞三仰︰︰

∞00

ム。。∞。。

20

2123 25 27 29 弊月%月

第11図 スイカ(第3回)AgNOさ処理の雌花開 花加硫曲線 0 位 ︵子 つ る︶ ● ● ● ● 00 ● ● ● ● ● ● ○ ● ●● ● ● ●● ●● ● ● 0 10−19 2.0−24 2.5−2.9 30∼34 35−39 40−44 AgNO)処理時の子づる展開薬数 欝14区IAg・NO3処理時の展開真数と雌花,両性花 節位との関係(スイカ,欝6回乎箱植)

16 18 20 22 24 26 28 %月 %月

第12図 スイカ(欝4回)AgNO3処理の雌花開 花加硫曲線

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第5回. スイカにエスレル60,40,20ppMを1回処理すると雌花,雄花の抑制は欝2回のエスレル処理と同傾向で,何れ の濃度においても雌花減少節位につづいて雌花密度の向上はみられなかった。AgNOさ処理の影響は第3回,欝4回 と同様であった。 第6回. 無加温ガラス室内のトロ箱植のスイカにAgNO3300,200ppM処理した場合,標準区に比べ処理2区は雌花開花が 早く多く(第13図)露地の場合のような低節位雌花抑制はあらわれなかった,また標準区では両性花は発生しなかっ たが処理区は10月31∼11月1日(処理後20′・】22日)頃から凡ての花が両性花になり更に11月9∼10日には若干不完全 両性花が出現した。両性花のあらわれた節位は(第14図)AgNO3処理時に1∼2.4某展開のつるでほ10∼11節か ら,3.0∼3.4展開のつるでは13節からで処理時未展菓のつるでは最初の花からである。つるの生育が極めて悪い15 cm鉢植の場合でもAgNOき処理区は11月3日から両性花が発生した。このようにAgNOき処理区で低節位雌花が抑 制されず雌花,両性花の早い開花が標準区に優ることは,過去2年8回の露地における処理では全くあらわれなかっ たことであり,生育が極めて悪いつるに両性花が出現することもー・般的にはないことである一◇ ま と め 以上の露地における影響をまとめると第3表のように要約される.スイカにおける()内数値は平均的なもので ある。 欝3表 処理による反応要約(露地栽培の場合) AgNOき 200′〉500PPM エ ス レ ル 60′〉100ppM CoC121mM/1 つる上の位置 花の種類 作 物 雌 花 親 づ る トウガン 子づる5∼8節 雌 花 ヒョウタン (1)○ 増加,± 差なし,一 減少,× 全く開花せず,※ 薬害が著しい (2)その他の薬品,安息香酸,カプリゾン,AOAは花に対する反応ほあらわれない。

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香川大学農学部学術報告 欝35巻 欝2号(1984) 108 考 察 キュウリはエスレル処理によってある節闇雌花が明らかに増加し,AgNO3 処理によってある節問雌花が明らかに 減少する,その節間ほ両者ほぼ共通し,親づる子づる共通に反応し雄花開花にほ影響はみられない。それに対しスイ カはAgNO3処理はある節間雌花は減少するがそれにつづく節間は雌花,両性花の密度が高くなる,エスレル処理は より広い節間雌花を抑制しそれにつづく節間は雌花密度は増加せず雄花の開花阻害が著しくあらわれる。この反応か らみてエスレルとAgNO3の影響はキ.ユウリとスイカと相反する分野が明らかで,これらの作物に対するエスレルの 働きとAgNOきの働きと異る性格をもっていると判断される。 これを反応のあらわれた節位,節数,処理時期の花の分化発育との関連についてみると,キ.ユ.ウリでは1回のエス レル処理による雌花節の増加は8∼10という比較的狭い範囲で,花の姶源体分化節を中心に,下限は雌雄決定節位に 及ぶという直接的速効的の働きであることを指摘した(13)ものと同様であった。またキ.ユ.ウリのAgNO3処理による 雌花抑制(とくに12∼24節の間)は処理時,花の始源体分化の上下に及.ぶ点はエスレルの影響と梅く似た関係にある と推察される.スイカでは親づるを摘心した場合花の始源体分化節位(y)と子づるの展開英数(Ⅹ)との関係,y= 7.67+7‖85Ⅹ(14)からみると,AgNOきを2菓期に処理したとき花の分化節位は(2菓期といっても平均数値で,この 頃の子づるの発育不揃いから10∼3。5某程度の巾がある)20′−ノ25節附近にあると推察される,処理によってこの附近 数節だけが雌花,両性花の密度を高めたことは,雌花,両性花の密度増加は花の姶源体分化節位附近のかなり狭い範 囲であること,それ以下の節位即ち花が分化して発育途上にあるものは雌花が抑制されることを示している。このこ とからAgNOき処理による雌花抑制節数はキ、ユウリに比べスイカが少ないことば納得される。またスイカのエスレル 処理による雌花抑制は24・−27節までと巾が広い,これは処理時に花の未分化節位から花の発育段階まで影響したこと を意味し,AgNOヱ処理の雌花抑制と雌花両性花密度増加する合計節数と同程度かやや広い範囲である。このように 反応の明らかなつる上の節位からみて,あるいは処理時の花の分化発育段階と雌花の増加または抑制との関連からみ て,キ、ユウリとスイカとはエスレルとAgNO3の影響に明らかな差が認められる。 プリンスメロンではエスレル処理で子づるに両性花が直接ついたが,孫づつの両性花はエスレルで減少しAgNO3で 増加の傾向を示した,キ.コウリやスイカではエスレルやAgNO3処理は親づると子づるまたは子づると孫づるは同一・ 方向の反応を示す−のに,プリンスメロンでほ子づると孫づるが相反する反応,少なくとも同一方向の反応を示さなか ったこと,キ、ユウリでCoClき区が子づるの雌花節だけを増加する傾向を示したことは注目される。 トウガンは高節位で変異があるがエスレルで雌花節位は上昇傾向を示すことからスイカに,ヒョウタンは個体差が あるがエスレルで子づるに直接雌花がついた処からプリンスメロンに近い反応と判断される,断定はできない。 スイカに対するAgNO3処理の影響は濃度150∼500ppMの範囲で,露地栽培において何れも低節位雌花の抑制と それにつづく節位の雌花(両性花)密度の増としてあらわれその程度ほはぼ濃度と処理回数に影響された,一般的に 薬害からみて500ppMは濃度の上限と考えるが,薬害,低節位雌花抑制,両性花の発生などからみて200∼300ppM が適当であろう。 CHRSTOPHORら(7)は節位分布を明らかにしていないがスイカの AgNO3処理の成蹴は本実験と同様の傾向と考え られる。またAgNO3処理とAVG単用またはAgNO3 との併用が同様の傾向を示したという,エチレン生成抑制 の働きであるAVGがAgNO,と同じ反応を示したというのに本実験でエチレンの生成を抑制するCoC12が全く反 応しないかあるいは却って雌花数を減少させたこと,同じエチレン抑制がトマトで明らかな安息香酸く3),リンゴで明 らかなカプリゾン(16),インゲン,リンゴで実証されているAOA(1)などで反応があらわれず,プリンスメロンの子 づると孫づる,キふウリの親づると子づるで1部性格の興る薬剤の反応がつる別に異ったことから,作物への影響は 用いる薬剤によって決定的な差が認められる。更に多くの薬剤,多くのウリ類について内生エチレンの発生消長とつ る別,節位別反応とを研究する必要があろう。 ・また無加温ガラス室内平箱植スイカではAgNO。処理の反応が異る場面のあることが実証され,前報(15Jでも処理 時期によって影響の程度の異ることを報告した。エチレン調節剤の影響,とくに内生エチレンの発生抑制又は作用阻 害という場面では,処理薬剤の単独な作用というよりも生長ホルモンその他植物体内の広い生化学的反応と対応しな がら働くことによるためと推察される。 用いた薬剤のう・ちAgNO3以外の処理濃度については,例えばCoC12の1∼2mM/1(6)(19)は本実験と同程度であ るが,AOAはリンゴ,インゲンで1×10−5M∼6×10−6M(1),カブソゾンはリンゴで10 ̄4M(16)でエチレン発生抑制

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を測定し濃度によってかなり変化している。本実験で両者1mM/1を用いたことは濃度が高すぎた,これがAOAの 薬害に適ったことが考えられる。従ってウリ類に適当な濃度の検索なしでその効果の有無を断言することはできない であろう。 スイカのAgNO3処王割こおいて濃度150∼500ppM,処理回数2∼4回をみると,同じ回数では高濃度程,同じ濃 度では多回数程反応程度が強くあらわれ,例えば300ppM 2回と200ppM3回のように合罰で似た処理の効果はほ ぼ同様であった,このことば処理濃度というよりも植物体附着鼻が作用の強さに影野するという考え方を導くもので キ、ユウリのエスレル処理の場合(13)と同様と考える。 以上のようにエチレンを増加させ,あるいは抑制したり作用を阻害する方向によヴてウリ類の性表現が影響される 薬剤の反応を作物別,つる別,つる上の節位即ち処理時の花の分化発育段階との関係について通覧すると,作物によ り薬剤により特異な反応を示して単純な形で結論はだせないように思われる.更に多くのウリ類の種類,多のく薬剤 について作物別,つる別,各つる節位別に反応を明らかにすることがこの種の研究を発展させる上に必要と考え.る。 またそれらの反応が栽培環境によって影響をうけることも注意を要する。 引 用 文 献 (追録8号)43∼52束京農文協(1983). (15)∴ ,敬遠正人:香川大農学部学報34(2)139 ∼146(1983) (16)LIEBERMAN,M.,AKuNISHI:PlantPhysiol.41 376∼382(1966) (17)McMuRRAY,A。Gい,CHMILLER:Science162 1396∼1397(1968) (18)MuLKEY,T.Th,K。M.KIZMANOFF,M.L.EvANS: Plant Physiol.70186∼188(1982). (19)OI−LIM,L,Y,SHANG F.,:PlantPhysiol.58114 ∼117(1976) (20)OwENS,K.W.,G.EToLLA,CEPETERSON: HoIt Science15(3)256∼257(1980) (21)− ,CEPETERSON,G”E.,ToLLA:Hort Science15(5)654∼655(1980) (22)RoDRIQUEZ,B.P,Ⅴ‖N,.LAMBETH:J.Amer, Soc.Hort.Sci…97(1)90∼92(1972) (23)RuDICH,J,,LB”BAKER,J”W‖ ScoTT,HM. SEll:J.Amer。Soc。Ho‡t.Sci.101(1)48∼51 (1976) (24)SHAUyingX.,M.T,BuKOUAE:J,Amer。Soc. HoItけSciい108(2)278∼282(1983). (25)SHIMOTSUMA,M,C”MJoNES:Hort Science 7(1)73∼75(1972) (26)TouA,G.E,C、E.PETERSON:Hort Science 14542∼544(1979) (27)吉井 博,今関英雄;植物の化学調節17(Ⅰ)13 ∼26(1982) て19蕗毎離如受理) (1)AMRBEIN,N,DWENKER:Plant cellPhysiol 20(8)1635∼1642(1979) (2)ArsMON,D‖,CTABBOK:Plant cellPhysiol 20(8)1547∼1555(1979) (3)BAKER,J.E,,M。LIEBERMAN,T..D.ANDERSON: Plant Physiol61886∼888(1978) (4)BEYER,E.Jr:Ho‡t Sciencell(3)195∼196 (1976) (5)BEYER,EM”Jr:Plant Physiol58268∼271 (1976)

(6)BIAU,YY,YSHANG FA:Plant PhYSiolh64 1074∼1077(1979) (7)CIiRISTOPHER,D.A,JBLoY:J‖AmeI∴Soc HoTtSci.、107(3)401∼404(1982) (8)DENNIS,FDりDDARCHBOLD,Cl0”VECINO: 丁AmeISocHortSci。108(4)570∼573 (1983)

(9)HoFFMAN,NE,h SF.YANG:Plant Physio169

317∼322(1982) (10)IwABORI,Sリ丁.MLYOMS,WL、SIMS:Nature 222171∼172(1969) (11)KARCHr,Z:TAmer。Soc HortSci95515 ∼518(1970) (12)KARCHI,ZA,A.GovERS:JAmer小Soc Hort Sci,97(3)357∼360(1970) (13)倉田久男:杏川大農学部学報24(2)143∼155 (1973). (14)− :農業技術大系 野菜編4,スイカ基礎編

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