スポーツに対する興味と過去のスポーツ経験の
関連性に関す る研究
鳥取大学教育学部 山口大学教育学部
A Study on the Relationship bet、
veen lnterest in Sport
and Past Sports Experiences
Kazuyuki FuKUMOTO*, Katsue ENDO掛研 究 目的
人 々の具体的なスポーツ行動の生起 には様 々な要因が影響す るが,心
理的要因は看過できない重 要 な要因である。金崎はスポーツ行動にはスポー ツに対す る興味・ 関心,価
値・ 態度,さ
らには個 人的特性 と してのパー ソナ リテ ィーなどの心理的要因が重要 な影響 を及ぼ していることであろう。 と述べ′心理的要因の重要性を指摘 しているが,ス
ポーツに対す る態度についてはスポー ツの楽 しさ の認知 とスポー ツ経験 との関係 を分析 し,報
告 したか。そ こで,本
研究ではスポー ツに対す る興味 とスポーツ経験 との関連性について分析 を行 う。 典味 とは態度がよリー般的な反応の準備状態であるのに対 して,特
定の対象に向けての明確 な自 覚を持 った積極的,選
択的な注意を関心 という。 これに,好
き 。嫌いの情緒的緊張が伴 うとき,そ
れを興味 という0と規定 されているが,ス
ポーツに対す る興味は,主
体が,そ
の外 にあ るスポーツ をとりいれ ることによって, 自分の均衡 を得 ようとす る欲求の状態であ り,ス
ポーツを実践 した り, 見た り,聞
いた りして楽 しむ行動を起 こさせ る原動力であると考え られつている。 人 々は過去 において様 々なスポーツを経験 し,ま
たスポーツ活動の場での様 々な認知経験 も持 っ ているが,そ
れ らの経験がスポーツに対す る好・ 嫌の感情を育み,ス
ポーツに対す る興味 を規定 し ていないだろうか。 本研究 はこのような問題意識に立ち,過
去のスポーツ経験及びスポーツ活動に伴 う認知的側面 と スポーツに対す る興味の関連を検討す ることにより,い
つ頃の, どのようなスポー ツ経験及び認知 経験が現在のスポーツに対す る興味 と関連が深いかを検討 しようとす るものである。ネ Department of Physical Education,Faculty of EducatiOn,Tottori University **Department of Physlcal Education,Faculty of Education,Yamaguchi University
行
恵
和
勝
一
死
藤
福
遠
口 研 究 方 法
1
デー タの収集 本研究では山 口県教育委員会が1988年 12月12日か ら1989年 1月 20日にかけて郵送法 によ り県内の 56市町村か ら人 口の比率に基づき収集 したデー タの中か ら,男
子163名,女
子162名の合計325名分 を採用 し分析を行 った。 表1
標本の構成 男子 女 子% N %
1,年
令 20才 代 30才 代 40才 代 50才 以上 45 27.8 52 32.1 41 25.3 24 14.8 30 18.6 59 36.6 46 23.6 26 16.12.結
婚 未婚 既婚 37 23,1 13 8.2 123 76.9 146 91.83.末
子年令 社会人14 9.3 23 14.5
農林・ 漁業5 3.2
4.職
業 子供 い ない 就学 前 小 。中学 生 高 。大学 生 商業 事務職 専門管理職 土木・ 建設 公務員 無職 。その他 35 23 3 46 30,7 39 26.0 16 10.7 20 12.8 47 30.1 12 7.7 18 11.59 5,8
45 28,8 23 14.5 33 20.8 52 32,7 28 17.6 男 子 女 子 8,6 39.1 52.3 独身事務員 専業主婦 兼業主婦 3 9 9 1 5 75.居
住 地 区 商 。工 業地 区 住宅地 区 農 山漁村 地 区 8 2 6 7 7 3 3 3 1 6 8 8.2 39.6 52.2 5。1 46.2 48.76.通
勤時 間 15分 未満 15分 以上30分 未満 30分 以上 7 3 7 2 4 2 7 3 6 1 2 7 3 3 2 45.1 22.2 19.1 13.6 31.5 15.4 4,7 48.37.平
日の 自由時間 勤 して い な い3時
間3時
間以上4時
間未満4時
間以上5時
間未満 1 0 6 6 4 5 2 3 7 8 4 3 50.6 26.5 22.8 38,9 25.5 35,74時
間未満4時
間以上7時
間未満7時
間以上10時 間未満 10時 間以上 0 4 2 6 3 4 4 4 18.5 27.2 25,9 28.4 61 39.9 51 33.3 22 14.4 19 12.48.休
日の 自由時間鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第38巻 第
2号
(1997) 405
調査 内容は山 口県教育委員会が実施 した「 山 口県民のスポーツに関す る調査J注→の調査 内容の 中か ら個人的属性 に関 して9項
目,ス
ポーツ経験 に関 して40項 目,そ
して 目的変数に関 して1項
目 の合計50項目を採用 し,分
析 に使用 した。 なお,
目的変数であるスポーツに対す る興味の有無の測 定のための調査項 目は「 スポーツ (運動)に
対 して興味があ りますか」である。 また,ス
ポーツ経 験についての調査は小学校時代 より調査実施時期 までを調査対象期間 と した。2
デー タの分 析 スポーツに対す る興味の有無 と各変数 との関係 を探 るため χ2検定を行 ったが,有
意差の見 られ る2× 3以上の分割表を使用 した変数については,残
差分析 も行 った。残差分析の結果は表中の数 値の右肩 につけたアスタ リスクにより示 したが, │は
有意傾 向,*は
5%水
準,**は
1%水
準の 有意性をそれぞれ表 している。 連関の分析 には 2×2の
分割表の場合 φ係数を, 2×3以
上の分割表の場合 クラメールの連関係 数(Cr)を
使用 した。 なお,ス
ポー ツに対す る興味の有無及びスポーツ経験 に関す る調査項 目は,「非常に当てはまる」 か ら「 まった く当てはま らないJま
での リッカー ト尺度 の4段
階評定で構成 されていたが,ス
ポー ツ経験 については「 非常に当てはまる」「 かな り当てはまる」を「 当てはまる」 に,ま
た「 あま り 当てはまらないJ「まった く当てはまらない」を「 当てはま らない」に統合 し直 し,分
析 した。 また,ス
ポー ツに対す る興味の有無については,「ブF常に当てはまる」 を「 当てはまる」 に, ま た「 あまり当てはま らない」「 まった く当てはま らないJを
「 当てはま らない」に統合 し直 し,分
析 した。Ⅲ
結果及び考察
1
目的変数と説明変数のクロス集計結果
1)個
人的属性 表2は
女子での 目的変数 (スポーツに対す る興味の有無)と
末子年令 との関連を見ようと した ものである。 χ2検定の結果,末
子の年令 とスポー ツに対す る興味との間に有意差が認め られた ため,残
差分析を行 ったが,子
供 のいない人ではスポーツに対 して興味を持つ人が少な く,興
味 を持たない人が多 く見 られ る。また,末
子が高校生 。大学生の場合,有
意傾向が認め られ,ス
ポー ツに対 して興味を持つ人が多 く,興
味を示 さない人が少な くなっている。 表2
目的変数 と末子年令のクロス集計結果 (女子) 子供 い ない就学 前 小・ 中学生 高 。大学生
社会人 スポー ツに興味が あ る
26.1**
スポー ツに興味が ない73,9**
54.5 45.5 57.7 42.3 67.91 32.11 52.2 47.8(N=23) (N=33) (N=52) (N=28) (N=23)
χ2=9.665 *P<.05
2)小
学校時代のスポーツ経験 表3は
目的変数 と小学校時代のスポーツ経験 の関連を見 ようと したものである。男女とも8つ
の説明変数のすべてに有意差が認め られたが,女
子に比べて男子の方に φ係数の大きい変数が 目 立 っている。 表3
目的変数 と小学校時代のスポーツ経験のクロス集計結果 説 明 変 数 男 子 女 子 φ係数 χ2 φ係 数 スポー ツ・ クラブに所属 した 休 日などに自由に運動 した 地域のスポーツ大会 などに よ く参加 した娑
票埜夢
娃霰
菟堂
t二
よた
健康 に役立 った 仲間づ くりに役立 った よい思い出がある7.947 **
29,633 ***
17.917 ***
16.369 ***
22.226 ***
24.909 ***
32.581 ***
20.003 ***
.235 8,877 ** ,234
.428 6.410 * .199,33412.277 *** .275
.31711.172 *** .263
.369 8.381 ** .228
.39117.251 *** ,326
.44720.060 *** .352
.36016.401 *** ,327
*P<.05 **P<.01 ***P<.001
最 も大きな値 を示 したのは男女とも「 仲間づ くりに役立 ったJで
あ り,小
学校時代のスポーツ 経験は仲間づ くりに役だ った,と
回答 した人に,ス
ポー ツに対 して興味を持つ人が多い。 スポーツ事業に対応 したスポーツ経験では,ス
ポーツ・ クラブ経験者のスポーツに対す る欲求, 興味 。関心の高さはよ く指摘 され る所であるが,小
学校時代 にスポーツ・ クラブに所属 して活動 していた経験 を持つ人に他の運動者群 よりもスポー ツに対 して興味を持つ人が常に多いわけでは なく,男
女 とも地域のスポーツ大会 によく参加 した とす る人にスポーツに対 して興味を持つ人が 多 く見 られ る。 また,休
日や放課後 などに自由に運動 したスポーツ経験 を持つ人の内,相
対的に 男子ではスポー ツに対 して興味を持つ人が多いが,女
子では男子ほ ど多 くな く,小
学校時代の自 由な運動 と現在のスポーツに対す る興味の有無の関係 に男女差が見 られ る。 小学校時代のスポー ツ経験 は「 楽 しか ったJ「充実 していたJ「健康 に役だ ったJ「よい思い出 があるJと
いうスポーツ活動に伴 う認知面の変数では,い
ずれも男子の値が女子を上回 ってお り, 男女差が見 られ る。3)中
学校時代のスポーツ経験 表4は
目的変数 と中学校時代のスポーツ経験の関連を見ようと した ものである。男女とも8つ
の説明変数のすべてに有意差が認め られたが,特
に女子の場合,す
べての説明変数 に0.1%水
準 の有意差が認め られた。 最 も大 きな φ係数値 を示 したのは,男
女とも「 スポーツ・ クラブに所属 した」であ り,中
学校 時代にスポー ツ・ クラブヘの所属経験を持つ人は,男
女とも他の運動者群 よりもスポーツに対 し て興味を示す人が多 く,小
学校時代のスポーツ・ クラブ所属経験者 よりも明確 な傾 向を見せ てい る。席取大学教育学部研究報告 教育科学 第38巻 第
2号
(1997) 表4
目的変数 と中学校 時代 のスポー ツ経験 の クロス集計結 果 男 子 女 子 説 明 変 数P
φ係 数 χP
φ係 数 2 の 験 代 経 時 ツ 校 一 学 ポ 中 ス スポー ツ・ クラブに所属 した 休 日な どに 自由に運 動 した 地域 のスポー ツ大会 な どに よ く参加 した 楽 しか った 充実 していた 健康 に役 立 った 仲 間づ くりに役 立 った よい思い出が あ る21.398 ***
16.578 ***
12,791 ***
8.265 **
6.417 *
18.880 ***
16.578 ***
7.985 **
.36221.535 *** ,365
.31912.086 *** .274
.28015。189 *** .306
.22613.411 *** .288
■9812,345 *** .276
.34011.218 *** .263
.31911.141 *** .262
.22411.973 *** .279
*P<,05 **P<.01 ***P<.001
男子で女子よりも大きな φ係数 を示 したのは「休 日などに自由に運動 したJ「健康 に役だ ったJ 「 仲間づ くりに役立 った」の各変数であ り,女
子の方で大 きな値 を示 したのは「 地域 のスポー ツ大会 な どによ く参加 したJ「楽 しか ったJ「充実 していた」「 よい思い出が あ るJの
各変数で ある。4)高
校時代のスポーツ経験 表5は
目的変数 と高校時代のスポーツ経験の関連を見ようと した ものである。男女 とも8つ
の 説明変数のすべてに有意差が認め られた。 表5
目的変数 と高校 時代 のスポー ツ経験 の クロス集計結果 男 子 女 子 説 明 変 数P
φ係 数P
φ係 数靭
一 局 ス スポー ツ・ クラブに所属 した 休 日な どに 自由 に運 動 した 地域 のスポー ツ大会 な どに よ く参加 した 楽 しか った 充実 していた 健康 に役 立 った 仲 間づ くりに役 立 った よい思い出が あ る11.925 ***
10.015 **
12.164 ***
13,789 ***
18.900 ***
28.656 ***
23.128 ***
23.015 ***
.27022.234 *** .370
.248 9.086 ** .238
.27412.155 *** .275
.291 14.587 *** .300
.341 10.041 *** .249
。38811.480 ***
。266.37714.391 ***
。298.380 9.263 ** .243
**P<.01 ***P<.001
男子では高校時代のスポーツ経験 は「 健康 に役だ った」「仲間づ くりに役立 った」「 よい思い出 があ る」の各変数が他の変数 と比較 して大 きな φ係数値 を示 し
,ま
た,女
子の値 を上回 ってい る。 女子では「 スポーツ・ クラブに所属 したJが
最 も大きな値を示 してお り,高
校時代 にスポーツ。 クラブに所属 していた人に現在スポーツに対 して興味を持 っている人が多 く見 られ るが,男
子の 値は女子ほ ど大き くなく,男
女差が表れている。 「 休 日などに自由に運動 したJは
男女共に全変数の中で最低の値を示 しているが,高
校時代の 日常生活の中での手軽 な運動 と現在のスポーツに対す る興味は関連性はあるものの,他
のスポー ツ事業 に対応 したスポーツ経験ほ ど強い関連性を持たないと考え られ る。5)19才
∼22才のスポーツ経験 表6は
目的変数 と19才∼22才のスポーツ経験の関連を見ようと したものである。男女 とも8つ
の説明変数のすべてに有意差が認め られた。 表6
目的変数 と19才∼22才のスポーツ経験のクロス集計結果 男 子 女 子 説 明 変 数 φ係 数 χ2 φ係 数 スポー ツ・ クラブに所属 した 休 日な どに 自由に運 動 した 地域 のスポー ツ大会 な ど によ く参加 した要票
=笠
蓬霰
莞堂
t二
iた
健康 に役立 った 仲間づ くりに役立 った よい思い出がある22.657 ***
12.079 ***
8.212 **
18.171 ***
15.185 ***
18.217 ***
21.065 ***
15.909 ***
,38518.890 *** .353
.28223.597 ***
。394 ,232 10.606 ** .263.34713.727 *** .302
.31811.899 *** .281
.346 9,395 ** .249
,37212.740 *** .290
.32814.059 *** .311
**P<.01 ***P<,001
「 スポーツ・ クラブに所属 した」は男女ともに大 きな値を示 してお り,19才
∼22才のスポーツ。 クラブ所属経験 と現在のスポーツに対す る興味は強い関連性を持つ と考え られ る。 また,男
子で は「 仲間づ くりに役だ った」 も高い値 を示 している。 「 休 日などに自由に運動 した」 は男子では0.1%水
準の有意差が認め られ るものの,他
の変数 と比較 して相対的に φ係数値が小 さい。一方,女
子では高校時代 まで低か った値が急上昇 し,女
子の全変数の中で最大の値を示す とともに,男
子の値をも上回 ってお り,
日常の生活 の中で手軽 な運動を行 った経験を持つ人に現在スポーツに対 して興味を持つ人が多 く見 られ る。 「 地域のスポーツ大会 などによ く参加 したJは
男女とも他の変数 と比較 して相対的に係数値が 低 く,ス
ポーツに対する興味との関連性は他の変数ほど高 くないと考え られる。 「健康に役だったJは
男子では高い値を示 しているが,女
子では全変数中で最低の値を示 して お り,ス
ポーツに対する興味の有無に男女差が見 られる。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第38巻 第
2号
(1997)6)23才
以降のスポーツ経験 表7は
目的変数 と23才以降のスポーツ経験の関連 を見ようと したものであるが,男
女 とも8つ
の説明変数のすべてにO.1%水
準の有意差が認め られ 目的変数 との強い関連性が見 られ るが,特
に男子では他の時代区分 と比較 して大きな ψ係数値 を示す変数が多 く見 られ る。 表7
目的変数 と23才 以降のスポー ツ経験 のク ロス集計結果 男 子 女 子 説 明 変 数 ψ係数 χ2 φ係 数 スポーツ・ クラブに所属 した 休 日などに自由に運動 した 地域のスポーツ大会 などに よく参加 した安
靭 棧
菟
堂
t三
よ
た
健康 に役立 った 仲間づ くりに役立 った よい思い出がある22.207 ***
23,482 ***
20,032 ***
38.819 ***
36.077 ***
47.127 ***
32,471 ***
20,953 ***
.36912.732 ***
。286.380 18.145 ***
。342.352 14,073 *** ,301
.48817.142 *** .333
.47017.556 ***
。338.53912.969 *** .290
.44618.398 *** .347
.36219.600 *** .364
***P<.001
男子で最大の φ係数値を示 したのは「 健康 に役だ ったJで
あ り「 楽 しか ったJ「充実 していたJ 「仲間づ くりに役だ った」 と続いているが,い
づれ もスポーツ経験 に伴 う認知面 に関係 した変数 であ り,具
体的なスポーツ活動経験 よりも認知経験の方にスポーツに対す る興味との強 い関連が 見 られ る。 女子にもこの傾 向が男子ほ ど強 くはないなが らも表れてお り,「よい思い出がある」 をは じめ と した認知面 に関連 した変数の φ係数値の大 きさが 目立 っているが,ま
た一方では特徴的 な面 も 見 られ る。即ち,男
子では認知に関連 した5つの変数のすべてが具体的 なスポーツ活動経験 を上 回 っていたが,女
子では「 休 日などに自由に運動 したJが
認知面 に関係 した変数 に劣 らない値 を 示 してお り,女
子においては休 日や平 日の 自由時間に手軽 な運動 を行 った経験を持つ人 にスポー ツヘの興味を有す る人が多いことを物語 っている。 「 スポーツ・ クラブに所属 したJは
男女 とも相対的に値が低い。通常,ス
ポーツ・ クラブに所 属 し活動 している人は,運
動欲求や運動 に対す る興味 。関心が比較的強い0とされ てお り,
プロ グラム・ サー ビスやェ リア・ サー ビスに対応 して活動す る運動者 よ りも運動に対 して強い興味を 有 していると考え られているが,現
役のクラブ員だけでなく所属経験のある人をも対象者 と して いる本研究では男女 ともにそのような傾 向は見 られ なか った。 以上は各時代別のスポーツ経験 とスポーツに対す る興味の有無の関連性についての χ2検定及 び連関分析の結果であるが,総
体的に見て男子の方 に女子 と比較 して,高
い有意水準を示 し,強
い連関の見 られ る変数が多 く見 られたものの,中
学校時代のスポー ツ経験では女子の方 に高 い有 意水準を示す変数が多 く見 られた。個 別 の変 数 を時系列 的 に考 察す ると「 スポー ツ・ クラブに所 属 した」 は男子で は「 中学 時代J 「 19才 ∼22才
Jで
変数群 の 中で最 大 の φ係 数 値 を示 した。 また,女
子 で は「 中学 時代」「 高校 時 代Jで
変数群中の最大値を示 してお り,ス
ポーツに対す る興味 と強い関連性を持 っていることが わか った。 しか し,他
の時代区分ではスポー ツ活動 に伴 う認知関連変数や他 のスポー ツ経験 変数群 よ りも低 い値 を示 してお り,特
に後者 との関連 で は,ス
ポー ツ・ クラブ経験者が常 に 他の運動者群 よりもスポー ツに対 して強い興味を持 っているとはいえない,と
いうことがわか っ た。 「 休 日などに自由に運動 した」は男子では「 小学校時代Jで
スポー ツ経験変数群の中で最大の 値を,ま
た全変数の中で2番
目の値を示 した。 このことは,小
学校時代 に放課後や休み時間な ど の自由時間を使 って学校や地域で 自由に,手
軽 な運動を行 った人に現在スポーツに対 して強い興 味を持 っている人が多いことを示 してお り,こ
の年代の 自由な運動の重要性を示唆す ると共に, 自由に運動で きる運動環境の整備の必要性を示 している。 また,女
子では「 小学校時代」か ら「 高校時代」 までは全変数及びスポーツ経験変数群の中で, 相対的に低 い値 しか見 られ ないが,「19才∼22才」「23才以降Jで
はスポーツ経験変数群の中だけ ではなく,全
変数の中でも 目立つ大きな値 を示 している。 このことは19才以降に友人や家族 と自 由に手軽な運動を行 った経験を持つ人にスポーツに対 して強い興味を持つ人が多い,と
いうこと であ り,男
子の「23才以降」の結果 とも相倹 って,既
存の運動施設の一般開放の推進,近
隣での 小規模 な運動施設の建設 などエ リア運動者が手軽に, 自由に活動出来 る運動環境の整備 にもっと 配慮が払われ る必要のあることを示 している。 スポーツ活動 に関連 した認知面の変数である「 健康づ くりに役立 ったJは
男子の全時代区分を 通 して,3以上の φ係数値 を示 したが,「23歳以上Jで
φ係数値.539という男子の全時代区分の全 変数中の最高値 を示 してお り,ス
ポーツに対す る興味 と深 く関わ りのある変数であると考えるこ とができる。 しか し,女
子では,3以上の値 を示 したのは「 小学校時代Jの
みであり,男
女差が見 らン化る。 「 仲間づ くりに役だ った」 は男子では全時代区分を通 じて φ係数値.3以上の値を示 し,ま
た, 「小学校時代Jと
「23才以降」では,4以上の値 を示 しているスポーツに対す る興味 と関係 の深い 変数であると考え られるが,女
子では「小学校時代」 と「23才以降Jで
,3以上が見 られ るだけで, 他の時代区分では。2レベルに止 まってお り男子は ど明確 な連関が見 られ ない。2
目的変数 を規 定 す る要 因 の分析 表8は
目的変数 (スポーツに対す る興味の有無)と
説明変数の連関係数 (ψ係数)で
あ り,連
関 係数の大 きさにより順位をつけ,上
位20位までを掲載 した。 上位20位までの時代区分か ら見た内訳は男子では「23才以降のスポー ツ経験」8個
,「小学校時 代のスポーツ経験」5個
,「19才∼22才以降のスポーツ経験J4個
,「高校時代のスポーツ経験」2 個,「中学時代 のスポーツ経験Jl個
である。 また,女
子では「23才以降のスポーツ経験」7個
, 「19才∼22才のスポーツ経験J5個
,「高校時代のスポーツ経験」3個
,「小学校時代のスポーツ経 験J3個
,「中学校時代のスポーツ経験J2個
となっている。 「23才以降のスポーツ経験」は男女とも上位10位以内に5個
入 ってお り,
したが って,時
代区分 で見た場合,男
女とも23才以降のスポーツ経験がスポーツに対す る興味を最 も規定 している, と考 え られ る。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 38巻 第
2号
(1997) 表8
目的変数 と説 明変数 との連 関 説 明 変 数 男 子 女 子 φ係 数 順 位 φ係 数 順位 小学校時代 の スポー ツ経験 休 日などに 自由に運動 した 充実 していた 健康 に役立 った 仲間づ くりに役立 った よい思い出がある .428 ,369 ,391 ,447 .357 6 13 7 4 17 12 6 11 6 2 7 2 5 2 3 3 3 中学校時代 の スポー ツ経験 スポー ツ・ クラブに所属 した 地 域 のスポー ツ大会 な どによ く参加 した 2 6 6 0 3 3 15 14 ,365 高 校 時 代 の スポー ツ経験 スポーツ・ クラブに所属 した 楽 しか った 仲間づ くりに役立 った よい思い出がある .370 .300 ,298 2 17 18 .377 .380 11 10 の 験 才 経 22 ツ ” 一 才 ポ ︲9 ス スポー ツ・ クラブに所属 した 休 日な どに 自由に運動 した 楽 しか った 健康 に役 立 った 仲 間づ くりに役立 った よい思 い 出が あ る ,385 。347 .346 .372 8 19 20 12 ,353 .394 .302 5 1 15 20 13 0 1 9 1 2 3 の 験靭
ポ・ツ経
23 ス スポー ツ・ クラブに所属 した 休 日などに自由に運動 した 地域のスポーツ大会 などによ く参加 した 楽 しか った 充実 していた 健康 に役立 った 仲間づ くりに役立 った よい思い出がある .369 .380 .352 .488 .470 .539 。446 .362 14 9 18 2 3 1 5 16 .342 .301 .333 .338 .290 ,347 .364 8 16 10 9 19 7 4 注:χ2検定の結果5%水
準以上の有意差を示 した変数の φ係数を求め,上
位20位 までを掲載 した。 男子 の2位
は「 小学校 時代 のスポー ツ経験」 であ るが,女
子 の2位
は「 19才 ∼22才 のスポー ツ経 験Jで
あ り,女
子で は高校卒業後 のスポー ツ経験 とスポー ツに対す る興味 の連関が強 く,学
生 時代 のスポーツ経験 とスポーツに対す る興味の連関は相対的に強 くないのに対 して,男
子では時代区分 で現在 とは最 も離れた位置にある「 小学校時代のスポーツ経験Jと
スポー ツに対す る興味の連関が 強 く,男
女差が見 られ る。上位10位までの変数別に見た内訳は男子で「 休 日などに自由に運動 した」
2個
,「仲間づ くりに 役立 ったJ2個
,「健康 に役だ った」2個
,「スポー ツ・ クラブに所属 した」1個
,「楽 しか ったJ l個,「充実 していたJl個
,「よい思い出がある」1個である。また,女
子では「 スポーツ・ クラ ブに所属 した」3個
,「休 日な どに 自由に運動 した」2個
,「仲間づ くりに役だ った」2個
,「楽 し か った」1個,「充実 していた」1個,「よい思い出があるJl個
である。 また,上
位20位までの変数別 に見た 内訳は男子で「 仲間づ くりに役だ った」4個
,「スポーツ 。 クラブに所属 した」3個
,「健康 に役立 った」3個
,「よい思い出がある」3個
,「休 日などに 自由 に運動 したJ2個
,「楽 しか った」2個
,「充実 していたJ2個
,「地域 のスポーツ大会 などによ く 参加 した」 1個 である。また,女
子では「仲間づ くりに役だ ったJ4個
,「スポーツ・ クラブに所 属 した」3個
,「楽 しかった」3個
,「よい思い出がある」3個
,「休 日などに自由に運動 した」2 個,「地域のスポーツ大会などによく参加 したJ2個
,「健康に役立 ったJ2個
,「充実 していた」1個
である。 上位20位以内で男女ともに最多の変数であった「仲間づ くりに役だ ったJは
上位10位以内でも男 女とも2個
ずつランクされてお り,男
女に共通 してスポーツに対する興味を規定する変数であると 考え られる。また,「休 日などに自由に運動 したJや
「 よい思い出がある」なども男女に共通 して スポーツに対する興味を規定 していると考えられる。 一方,上
位10位以内で見ると,「健康に役立 ったJは
男子ではランクされているが,女
子ではラ ンクされていない。また,20位
以内を見ても男子の方が女子を上回 ってお り,「健康に役立 った」 という変数は男子のスポーツに対する興味と連関の深い変数であると考え られる。 「 スポーツ・ クラブに所属 したJは
上位20位以内では男女同数であるが,上
位10位以内では女子 の方が上回っており,女
子のスポーツに対する興味と連関の深い変数であると考えられる。 Ⅳ 要 約 本研究では過去のスポーツ経験及びスポーツ活動 に伴 う認知的側面 とスポーツに対す る興味 との 関連を検討す ることにより,い
つ頃の, どのようなスポーツ経験及び認知経験が現在 のスポーツに 対す る興味 と連関が深いかを探 ろうと したが,結
果は以下のように要約できる。1.χ
2検定の結果では,男
女 とも有意水準のちがいはあるものの,す
べての時代区分のすべての 変数で有意差が認め られた。 総体的に見ると,中
学校時代だけは女子が上回 っているが,男
子の方に女子 と比較 して高い有 意水準を示 し, 目的変数 と強い連関の見 られ る変数が多 く見 られた。2.時
代区分別に見て,ス
ポーツに対す る興味 と連関が高い変数が多いのは男女 とも「23才以降の スポーツ経験Jで
あったが,次
いで連関が高い変数が多いのは男子では「 小学校時代のスポーツ 経験」,女
子では「19才∼22才のスポーツ経験」 となってお り,男
子には学生時代のスポー ツ経 験 との関係が強 く表れているのに対 して,女
子では男子ほ ど強 く表れてお らず,男
女差が見 られ る。3.個
別 の変数では,「仲間づ くりに役立 った」「 休 日に自由に運動 したJ「よい思い出がある」 な どは男女に共通 した変数であると考え られ るが,「健康 に役立 ったJ「スポー ツ・ クラブに所属 し たJな
どは男女差の見 られ る変数であると考え られ る。 本研究ではスポーツ経験の実態を被調査者の回想を手がか りに把握 してお り,正
確 なデー タを鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第38巻 第