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蜜柑の防寒設備につし
上原膠樹・磯崎義政
■
MicrometeorologicalobsミrVation?nthelprOteCtionagainstthe cold
for the Satsumaora,nge(Citrus Unshiu MARC.)trees.Ⅰ
By
MasakiUEHARA and¥oshimasaISOZAKI
(Labor9.tOry 緒 言 相病弊その他蘭芸作物に対する冬季保護(主として防寒)の重安であることほ今更多言を要しない ところであり,叉これらについては既に.多くの人々によって究明せられつゝあるが’,私達はこゝに微 ☆1 細気象の人工乳禦に関する研究の・一部として,本学傾斜地果樹園に・おいて,蜜柑の樹に軽々の軍を施 して,その内外に・おける微細気象状態の鏑−を詳細に吸出して,蘭寒設備実施に・際しての参考資料を 得るためにり昭和26年1月⊥3即とかけて観測を行ったので;その概要を報告する.勿論これほ短期間 の観測にして,叉測乱入貞辱め関係で不倫の点が多く ないが,足らないところほ今後の研究に・まちたい. 侍実験に際して,観面に廟カされた∴当時の盛葉物塔寺故学生尿量,央野益一両君に感謝の意を表 ほサ. 観測実施の概況 これは香川県木田那平井町高尾に・ある,南西に突出した.療高約45革の楕円形丘状をなす本学傾斜 地果樹勘こ・おいて,その頂上に極く近いキころの,北東に漸かに傾斜した風当りのよい場所の温州盛 租(梯令約10年,樹高約1.7米,樹の栄西方向の直径約2.2米,痩下約0.5米)に贋1由に示す様な,高 さ2米,長さ4.66米の防風堵を,短等蔑包装用の菰を以 て作り’,日射の透通,風向等,種々の条件を考慮に・入れ て1盈柏の北側から南西側までに.婁る問に,螺旋状の弧 をなす様に設屈したのである.この場合を鼻1実験と呼 ぶことにし,上記の増の西隣りの方の蜜柑の樹に,直径 約2.5米,高さ約13米の半球状で天井を開けた啓■を,同 じ材料で作って,参考的に.実験を試みた,この場合を弟 2賛助とする. ・溶2 而してこれらの防風埼の前面(外部)及び後面(内部) における最低温度の水平及び垂直分布,並びに蒸凝盈の 水平分布等を観測したのであるが,以下その方法につい て述べる. 1.最低温度の観測Fig■..1.A plan of the wind br・eak
防風埼附近事両国
最低温度の地表面における水平分布状態を検出する為めに,第1実験においては,15本の棒状1/20
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C目盛の最低温度計を,牧草の関係等を考慮して,防風埼の前後にあたり,東西方向に.1直線状に,鞄
表面に排列して(内各1本宛は囁の前後面に魔く近接して設置した),晦射黎冷の旺盛な夜を選んで
観測した.療2実験においては,最低温度計を10本ほ凍西の方向に,6本は南北の方向に,各々直線状に地表面
に排列して,何棟な要領で観測 次に主として防風囁の後面覧・おける最低温度の垂直分布状鎗を検出するため,第1実験においては東西方向に5ケ所.各え地面,地上10.50.150糎の各層に・最低温度計をset(地表面以外ほ支柱に・と
りつけた)して観測し年・即ちこれは夫々囁の前面及び後卸こ履く近接した所,墳の後方約50糎の蜜柑と嗜の略中間,樹の中央部,樹木を出て約20板東の5ケ肝である.
2こ蒸発量の観測防風囁前後転おける蒸発量の水平分布状態を検出する為めに,第1実験においては平田式紙面蒸発
計を地上1米の高さに・,東西方向にユ0個直線状に・し,増と樹木との顔係等を考慮して設置し風のある日 を選んで観測した.叉同様に層2実験に.おいてほ,9ケを貴西方向にsetして何れも日中1博聞置きに儲測した・同時に
風速はビラム型測風計に・て,蒸発量観測時に1ケ所で一腰風の5分間平均値を観取った・侍蒸発量の垂直分布,風速の垂平,垂直分布等の観測の出来なかったことほ,誠に遺憾であるがi
これらは今後の実験に待つとして,とりあへず今回ほ以上の結果につい七考察を進めることにする・
実験結果並びに考察
1.最低温度の水車並甲に垂直分布
嗜ゐ前後転おける最低地衣面温度の水平分布ほ層1笑鰍こおいてほ,昭和26年1朋1日におけ志快
由無風で,咤射放冷め理想的な次態の霜夜における実験結果の−・例を示した第2図についてみると,
噴の前面においてほ,培を去るに従って低湿とな ってをり,即ち囁の直前においてほ約−・0.lOcで あるのに対し,1米の閉では・−・1.00C,約2米即ち 墳の高さの1倍の腰離においては−2.30Cを示し ている. 次に埼の律面においては,前面に・おけるより例 外なぐ高温を示しでをり,囁の償後に・おいては急 に温度ほ上昇して約1?C余り高温を示している. それから墟を去るに.つれて,複雑に変化している が,蜜柑の樹幹附近(樹の中央部附近)において 最高に達してをり,そこと囁との間において,第 Fig.,2.Horizontaldistributionofthelowest tempeT’at11r■?OntIlegrOundsurface (east and west directions) 嗜の前後における最低地表面温度の分布 (束西方向)2の最高温度の瘍朗が出来ている棟である.樹の中央部附近せ過ぎると再び温度は急に・降下し額めて,
自然状態の場合に接近してくる楼である.以上の様に,防風囁の後面ほ前面に比べて約30Cの昇温を示しているが,これは埼の存在と,蜜柑
の樹との綜合作用によって,噂彼の昇温をより効果的に・したものと恩はれるが,樹木の存在しない場
合,或は反対に増のない場合等について観測を行はなかったので,その両者の間の関係を明かに∵する
ことは出来ない.第2実験の場合については,測滑の関係で第1実験と同日に行うことが出来なかったので,こゝに・
杖1例として昭和26年2月19日の結果について考察しよう(第3図)選良 この場合に.ほ,その東西及び南北方向何れの場合においても,嗜の内部が,外部′より何れも高温で あつで,衷西方向には填の中央部より少し衆寄りり斬 に.,南北方向には嗜の中央部即ち樹幹附近堪.最も高湿 である.そして何れの場合においても,そこより埴に 接近するにつれて低下し,噴を出る七更に低温と▲なり; 更に嗜を遠ざかるに・つれて白虎状襲の温度に近づいて ノダ いる. そしで東西方向にありては約30C,南北方向に・は約 20C天火増の内部の方が高準を示している・この場合 も囁と蜜柑の綜合作斯こよって,内部の温度を一層高 めた結果になっているであろうけれども,今の場合帝
三ニニご
Fig.a∴Hor・izontaldistributionofthelowest temper’ature On the ground sur■ゴ■ece 増の内外における最低地表面温度の分布 者の間の関係を詳かにザることは出来ない・叉束西方向の水平分布に・おいて,埼の内部並び もに・東側が西側より高混を示しているし,叉南北方向における水平分布に・おいて,北側が叫・肢に低温 を示しているが,観測回数が少いのでこの結果のみを以て結論ずけること岬出来ない. 次に最低気温(地表面を含む)の垂直分布状態については,第1 の1例を昭和26年1月24日の結果について考察しよう. 第4図に示す様に・,嗜の食前に・お 声ふ 1SO いては,地表蘭が最も温度は低く(− 10.40C),地上10糎以上に・おいては 略等温状でlOC内外である.囁の直 後に.おいてほ地表面は前者より約1? C高いが,地上10糎以上においては 。_......_ 乱ta叩OtriglltfroれtOfth?独伊く埼の田圃l 。_.__.ataSpO亡rightもellindoftkゐ、【en00く地の世故拶〉 \−−一疇ntthemiddl¢pa,tOfule伝ee(癒の中央部再由 仙。atふ¢Oqt地d旭tQtbet用(掴外方) \ \†州一江t乱印Ot50¢mb¢llind心feれ虎(嗜の離恥叫 い \ \ 1&−\ \1 各高さを通じて0.50c内外低くなつ ている. 10 叉囁を約50糎はなれた蜜蘭準・趣く 0 近いところでほ,後易者ながら更に低 下(地表面は襖霧ながら高温)して
…1O p
1 2 弼 FigI.4.Ver・ticえ1distributionofthe王owesttempe− rature(east andwest\directions) いる.そして樹木の中央部附掛こ・至 境の前後における最低温度の垂直分布(東西方向卜 ると,今度は各高さともに昇温してこを′り,地上10∼50糎は前者の場合より約壬OC蒔く,更にこれを埴 の食前部のもの匹.餃べると,侍0.50C内外■高温であり,地表面は約lOC高湿を示している.次に樹木 の外部に出ると,今度は全般的に急に濁度は低下(1・30C内外)し,J地上10糎附近を除いて00C以下 になって一般大気の温度に近づいてくる嘩である. 即ちこ.の場合,防風嗜の後方の最低温度を囁の直前部のものに絞べると,囁に接して低く,塔と樹 木の間の空間において更に低下し,樹木の内部に・入ると今度は昇湿しで,鱒上50糎以下においては最 も高く,樹木の外部に出ると急に低下して,何れの場合より最も低くなって白魚状態の場合に近づく 凝セある.この場合に,一最低温度のIsopletbを画いてみると,穏の後方樹木との間の空間(地上50 慣附近)に低温部が出来てをり,樹木の中央部の地上10∼50輝附近に高温部のあることがわかる. 2.蒸発豊の水平分布 第1実験において,昭和26年3月3−4日にかけて夫々9−16時の間毎時観測を行ったのであるが,こ ゝには昼間合計の2日間の平均を示した第5図について考察しよう.但しこの場合平均風速並びに雲 盈は天火3.4m/sec.,4であった.5鶉 野原噂の節方2米,即ち塔の高きの1倍に率けるとこ 琴の蒸発螢を琴準に≒ると,蒸発盈は卸ほ接するに 従って疲ネに減少 囁の直前部においては81%になってをり,嗜を越えて その清澄に至るとよ真に急激に鱒少し57%とな1り′て,約 半分準減少㌧ている・ に・至ると更に∴減少して50%,樹木の内部に・入ると38∼ 48%鱒・減少して最初の4割内外に・も減ってをり,番笹嘩 Fig.5.HoT=izontaldi由ibl止ion of tlleeva一 匹rati叩(eastチndwes卜direcdons) 塔の前鎮に.おける蒸発盈のゐ布(貰西方向) 木の外部に出ると61%∼66%という夙に次第に増加してくる. ≠衆に第2芙掛買おいても,何日の9−・16暗までの稔盈の2日間平均を示し糞第6翠についてみると潤 の甲孝約1・6米に・おけるものを棟準にすると.,頓に近 接するに.つれて,蒸発量は除々に減少し,囁より60 癖め主ころで畠3%,藤に凝く■近いと∴↓ろでほ75%, 嗜の内部に入ると賓に.急激旺減少して46−3脚こ.なニ つてをり, て54%と▲なっているがこれは綺最初の約単分ぐらい である、更に囁を遠ざかるに・つれで87’∼86%と増加 して宙然状態のものに庭づいでくるここ Fig.6.ⅠIorizontAldistr・iblltioilOf′tbeevapo− ration(east andwest dire∈tions) 噂の内外に.おける蒸発盈の分布(葛西方向) 以上何れわ場合においても,防風囁の存在に・よって;蒸発盈ほ例外なく激減し,倒木の存在は.この 披少を⊥・層助艮してい、る楼であゎ琉今わ場合囁の存在しない場合;叉ほ反対に噌のみで樹木のない 場合における観測を行はなかったから,両者の問の散漫的関係を静かにすることほ出来ない.勿論風 速とめ関係も衷めることば出来なかったJ而・し何れに・してもこの程魔の塔の・存在瞳よって,∴蒸発澄が 囁の前方(外方)囁高の約1倍のところの半分以下にも減少するこ.とは注目に・催するところであろう.i 要 結 これほ微細気象の人工制勢に醸する実験研究の一部として,澄雄の冬季喋蕗(虫と′して防寒準)む羊 ついて,本学傾斜地果樹園の蜜柑の樹にいろいろ尭防風囁を設けて,壌の前夜(舟恥頼接地寒層(埠 表面を食む)における最低温度の水平並びに垂直分布及び蒸発量の水平分布等を,イ昭和26年の冬観測 むた結果の概要であるが,測乱入貞等の関藤憲凰その他に威する詳細な観測の出来なかつ■年ことほ, 誠に遺憾であった.これらの詳細について昭和報にて述べることゝして,こゝ、に.をキ・岬牲して今寧篠 た結果を要約すると次の棟である. Ⅰ欝1実験 (1)最低地表面温度の水平分布(東西方向)は,一墳の前面では埴に接近するにつれで阜昇し,聴 を越す皐更に急昇し,そして埴を離れるにつれて複軌こ変動しているが 樹木の中央部齢申こ率いて 最も高くなり,そこを過ぎて樹木の外部に出ると急に低下して後攻第に自然状戴笹・近づく,ノそして今 の場合囁の前後の温度差は30cであった. (2)最低湿度(地表面も含む)の垂直分布(粛西方向)は,埼の徽方においては噂の直萌部のも のよ:り埴に接して低く,囁と樹木との問の垂間において更に低下し樹木の内部に入ると昇湿して, 地上50餅以下においては最も高く,樹木の外部に出ると急に低下して何れの場合より最も低くなって いる. (3)蒸発盈の日中絶息の水平分布(東西方向)は,嗜の前面では噂に接近するにつれて除々に滅
づ60 少しでをり,嗜を越して後酢・至ると貫咤激減し七をり,?いで樹木内に・入ると・最も少くなり,それ より樹木外に出て囁を速如ゝるに腐って次第に増大している.そして今の場合囁高の約1倍前方のも の㌣ご級長ネと.,増の壌方の最も少いとこころでは右、ゐ38%にも減少して小る▲
≠第2宍験
(1)最低地表蘭温度め水平分布ほ,その寛西友び南北方向何れも嗜め中央部即ち樹幹部附近に濁 度ほ高く,それより噴に近づくに.つれて低下し,痕の外部転出る ’.:。離南外方錐如と廓す組轍柳
城少しており,噂を越して内部に入ると衷に急赦しセ,鳩め中央部より少し東寄りのところにおいせ 最も歩くなってい畠∴今の場合囁高の約1倍西外方におけるものに麿べると,その30%に・なつ互いる. R‘占um岳ごThi烏.report、isthe^Outlinebfr軽Sultsw卑一・Obtainedfromthestudyofthe
slopeorthardinour、COl19geandLfrbptheobs甲Vationofthehoriiontal・andverticaldistri1)u・
tidnofthelowesttemper:a;tureand theWinterofI951,+嘩Study which we made,.aS−a p画一t′ノOf′the eFPeri車e血alinvestigatio竺Of
artiiicially・COntrOllingmicrometeor91og′y,fpr.しthe purpose ofLStudyinghow toprotect Satsuma
Orange treeinwinter;
The pointsムfthis′Paper:i血注sfollows;∼
J,.hth6conditionthat叩buiit spir・?1′1y the wind breakOf about2m height frIOm the
ndrthside to・th畠southNWeStOf、a Sa七草umaOrange tr?eOf aboutl・7m heig抽
(1)Therhorizontal、distr・i如tion of th¢1owest_te坤わera押e onthe ground、Surfaceis shown
in万一ig・.2・(2)Thevef・ticald録ibdtioh:Ofthei三1頑姉妹卸鱒eisIShowninFig・4・
Tntheseca声eS,ifwedrawisothermallines,partS6flow temperature appearin spacesof
about5Ocmheight・frIOmthe、ノSurLface与betweehtreesandth色fence・W寧ICahSee bytheselines
thatpartsOfhightemperaturelapPearinthehiddleof・thetree・
(3)Tfwemaketheeぬporationrq・tノthefront2血fromthefencethemeasuIlingstanderd,the
distribution d仁evaporationin the day time、is shownin Fig,5・h addition申these,the
averagewindvelocityふas3・4m/Sec・
Tr.In the conditionwhen a r・Oundfence of′about2”5m diameter and of aboutl.3mheight
wasbuilt,havingthe Satsumaorangetree ofaboutl・7mheig.ht asthecenter;
(1)ThehoriiontaldistributionoftilelowestteTnPeratureonthe grouhd surfac6is s垣0如 inFig.3.
(2)Ifwe makeaplaceaboutl.6mwestwardfromthef6ncethemeasuring?tandard,th争
hoIIizontaldistribution of the evaporationinthe day timeis shownin Fig・6・In addition to