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議論の前提

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Academic year: 2021

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表計算ソフトを用いた図表の作成1 私のホームページの「コンビニエンスストア統計」の「データ①」シートに、以下のような統 計が示されています2。このデータをもとにコンビニ業界の動向を分析し、それを表やグラフに まとめてレポートに盛り込むことを考えてみましょう。 コンビニ・チェーンを運営する企業にとって、出店はきわめて重要な経営判断です。通常、店 舗数を増やせば売上は増えますが、自社店舗間で顧客を奪い合うと経営効率は悪化します。ま た、コンビニの店舗の大半は本社の直営店ではなく、本社とフランチャイズ契約を結んだ自営 業者によって運営されています。これらは個人商店と同じなので、店主にとっては会社の売上 より自店の売上の方がずっと重要です。自分が契約しているコンビニ運営会社がすぐ近くに新 しい店舗をつくったら、店主は裏切られたと感じるかも知れません。 そこで、まず、上のデータの各年に関して「一店舗当たりの売上高」を計算して追加してみま しょう。同じシートのセルD2 に「一店舗当たり売上高」と入力し、セル D3 に=B3/C3と入力し 1 この資料はマイクロソフト社の Excel2016 を用いて作成しました。Excel の他のバージョンや類似 のソフトウェアでも基本的な操作はだいたい同じです。 2 このデータの店舗数は年間の平均値です。

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ます3。そして D3 セルの右下の■の部分にカーソルを置くとカーソルが「+」の記号に変化す るので、その状態のままカーソルを D20 セルまでドラッグします。すると同じ計算式で行番号 だけが変更されたものが各セルに入力され、すべての年の一店舗当たり売上高が計算されます。 計算結果を見ると、どの年も一店舗当たり売上高は190 百万円弱であまり変化していません。 コンビニは年中無休が原則なので、一日当たりの売上高が50 万円を少し上回る程度であること が分かります。フランチャイズ店の店主はその中から仕入代金や光熱費、アルバイト代、フラ ンチャイズ料などを支払わねばならないため、けっこう大変そうです。 次に、「店舗を増やすとどれだけ売上高に貢献するか」を分析するために、各項目の増減率を 計算してみます。もとのデータの期間が1999 年から 2016 年までなので、2000 年から 2006 年 にかけての対前年変化率を計算することができます。 最初に行2 の三つの項目名を行 22 の同じ列にコピーし、セル A3 から A20 の年数をセル A23 以下にコピーします。次にB23 に=(B4-B3)/B3*100と入力します。これで1999 年から 2000 年 にかけての売上高の増減率(パーセント表示)を計算できます。あとは先ほどの「一店舗当たり 売上高」と同じ要領でB23 の計算式を B24 から B39 までコピーし、さらに B22 から B39 まで の領域をハイライトした状態で右下の■にカーソルを置き、カーソルが「+」になった状態で D 列までドラッグします。これですべての項目の 2000~2016 年の対前年増減率が計算されたは ずです。 3 Excel のセルに計算式を入力する場合、最初を必ずで始めます。加減乗除(+、−、×、÷)のうち、 ×と÷は*と/(スラッシュ)で代用し、+と-はこれらの記号をそのまま使用します(すべて半角です)。 32などのべき乗を計算する場合、=3^2と入力します。 ここにカーソルを置く

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次に、計算結果を表にまとめてみましょう。計算式の入った領域をそのまま使用することも できますが、ここでは計算結果を別のシートにコピーして利用することにします。まず、もと のシートの上でマウスをドラッグしてA22 から D39 にかけての領域を選択し、この領域上のど こかにカーソルを置いた状態でマウスを右クリックし、「コピー」を選択します。

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次に、Excel の画面下のバーにある○+の記号をクリックし、新しいシートを作成します。新シ ートのセルA2 にカーソルを置いた状態でマウスを右クリックし、「形式を選択して貼り付け」 を選択すると以下のようなオプション画面が現れるので、「値(V)」を選択して「OK」をクリッ クします。

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くりコピーされるはずです。なお、コピーする際に「値(V)」(V は Value の意味)を選択した のは、もとのシートの計算結果だけをコピーするためです。代わりに「すべて(A)」(A は All の意味)を選択すると、計算式と書式がコピーされ、もとのシートのセルを書き換えるたびに その値が更新されます。 ここからは新シートを見やすい表にするために体裁を整えてゆきます。まず、シート上辺の 表頭記号がB の部分にカーソルを置いて右方向に D までドラッグし、列 B から列 D までをハ イライトさせます。その状態でマウスを右クリックするとオプションが現れるので、「列の幅(W)」 (W は Width の頭文字)を選択します。すると列幅を指定する画面が現れるので、ここでは 20 と入力してみます。これで適当な列幅になりました。 次に、先ほどと同じ要領でセル B2 から D19 までの領域を選択し、再びマウスを右クリック してオプションを表示させます。「セルの書式選択(F)」(Format)を選択すると以下のような画 面が現れますので、「分類(C)」(Category)のうち「数値」を選択し、「小数点以下の桁数(D)」 を1 とします。小数点以下を何桁まで表示すべきかは場合によりけりですが、ここでは 1 桁ま で表示することにします。 ここから先は説明を省略しますが、A 列の見出しを「年」とし、B 列の見出しの「(百万円)」 を消去します。そして見出しの上下に新しい行を挿入し、さらに適当なところに罫線を引いた 結果が以下の図です。罫線の書式にもいろいろな選択肢があります。

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論文やレポートに図表を盛り込む場合、図表の上に通し番号とタイトルをつけ、下にデータ の出所(と必要なら注)をつけるのがルールです。ここでは以下のように入力してみました。

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これでほぼ出来上がりですが、図表をレポート等に張り付ける際には見やすさや見栄えの良 さも重要です。そこで、Excel 最上段のメニューのうち「表示」を表示させ、「目盛線」のチェ ックをはずします。次に「ホーム」に戻り、セル A1 から D1 にかけての領域をハイライトさせ た状態で上部バナーの「セルを結合して中央揃え」を選択し、タイトルが表の中央に表示され るようにします。必要に応じて、文字のフォントや行の高さも調整しておくとよいでしょう4。 さて、いよいよ表を文書に貼り付けます。ここではMicrosoft 社の Word で文書を作成してい るものと仮定します。まず、Excel 上でコピーしたい箇所をハイライトした状態でマウスを右ク リックし、選択肢の中から「コピー」を選択します。そしてWord の画面に写り、表を張りつけ たい箇所にカーソルを置きます。その状態で上辺「ホーム」バナーの「貼り付け」オプションの 下の▼をクリックすると、以下のようなオプションが現れます。

4 文字のフォントは個人の好みですが、日本語は明朝体、英語は Times New Roman が標準的です。一つの 文書の中に異なるフォントを混在させるのは望ましくありません。

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ここで「形式を選択して貼り付け」を選択してオプションを表示させ、「図(拡張メタファイ ル)」か「ビットマップ」を選択します。その結果が以下の図です。貼り付け方のオプションと して「もとの書式を保持」などを選択することもできますが、「拡張メタファイル」等の方が文 書ファイルが安定する傾向があります。なお、張り付けた表は一種の画像ファイルになってい るので、拡大したり縮小したりして体裁を整えることが可能です5。 あるデータを表にすべきか図にすべきかは場合によりけりですが、人間は文字や数値より絵 や画像の方が認識しやすいので、図にすることも検討すべきでしょう。そこでExcel ファイルの 最初のデータシートに戻り、セルA22 から D39 までの領域を選択します。その状態で「挿入」 バナーを表示させ、「グラフ」の右下にある矢印をクリックすると、さまざまなグラフのオプシ ョンが別ウィンドウで表示されるはずです。 5 「ビッドマップ」と「拡張メタファイル」はいずれも画像ファイルですが、前者は点、後者は線によっ て画像を構成しているそうです。通常はどちらでも大した違いはありませんが、ファイルサイズは後者の 方が小さくなることが多いようです。

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グラフのオプションは多数あるので、目的に合ったものを選択する必要があります。ここで は新規出店がどれだけ売上に貢献するかに関心があるので、少し複雑なグラフを描いてみるこ とにします。まず、別ウィンドウの「すべてのグラフ」の中から「縦棒」を選択し、さらに右側 の選択肢から二番目の「積み上げ縦棒」を選択します。 すると以下のようなグラフが作成されるはずです。ただしこのグラフはまだ適切なものであ りません。このような積み上げ縦棒グラフは、個々の要素の和が何らかの意味のある変数にな っている場合にのみ意味を持ちます。しかし「売上高」=「店舗数」×「一店舗当たり売上高」 なので、「売上高の対前年増減率」は「店舗数の対前年増減率」と「一店舗当たり売上高の増減 率」にほぼ等しく6、これら三要素の和を計算しても意味のある値になりません。 6 正確には、 Z=  のとき、Z の変化率は X の変化率と Y の変化率、そして X の変化率と Y の変化率X Y

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そこで、ここでは「売上高」だけを折れ線グラフで表示することにします。上グラフの青い棒 グラフのどこかにカーソルを置いてマウスを右クリックし、「系列グラフの種類の変更(Y)」を 選択します。すると以下の画面が別ウィンドウで開くので、「売上高」のグラフの種類を「折れ 線」に変更して「OK」ボタンを押します。 の積の和になります。ただしX の変化率と Y の変化率があまり大きくない場合、X の変化率と Y の変化 率の積は非常に小さな値になるため、それを無視しても大きな問題は生じません。 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

グラフ タイトル

売上高 店舗数 一店舗当たり売上高

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そうしてグラフのタイトルだけを書き込んだのが上の図です。ここから先は微調整です。ま ず、横軸の年数と棒グラフの一部が重なっていて見づらいので、年数の表示を下にずらすこと にします。年数の表示箇所のいずれかにカーソルを置いて横軸と年数全体をハイライトさせ、 マウスを右クリックすると、以下のようなオプション・ウィンドウが開きます。 ここで「軸の書式設定(F)」を選択すると、画面の右側にさまざまな選択肢が現れます。大項 目「ラベル」の中にラベルの「軸からの距離」を調整する項目があるので、試しにこれを800 に してみます。また、このままだと文字の色が灰色でやや見づらいので、グラフ全体をハイライ トした状態で「ホーム」バナーを開いて黒に変更します。同時に、フォントも「MS 明朝+Times New Roman」に変更しておきます(先に「MS 明朝」を選択し、次に Times New Roman を選択 します)。 -4 -2 0 2 4 6 8 10 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 図1 全国のコンビニエンスストアの売上高と店舗数の増減率(%) 店舗数 一店舗当たり売上高 売上高

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これでほぼ完成ですが、このままグラフを張り付けると、周囲の線も表示されてしまいます。 そこでExcel 上のグラフのどこかのカーソルを置いてマウスを右クリックし、「グラフエリアの

書式設定(F)」を選択します。再び画面の右側にオプションが表示されるので、大項目「枠線」

の選択肢を表示させ、項目「枠線なし」にチェックを入れます。あとは先の表と同じ要領でワー ドの文書ファイルなどにグラフを張り付けるとよいでしょう。

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なお、論文やレポートの図表は、上に番号とタイトル、下に注や出所を記載するのが標準的 な形式です。タイトルと注、出所をすべてExcel のグラフの中に書き込むこともできますが、こ れらだけWord の文書に書き入れることも可能です。次ページは、こうした方法で図を完成させ た例です。ここでは棒グラフを調節してやや太くしています。詳細は省略しますが、こうした こともできることを知っておくとよいでしょう。 さて、完成した図からどのようなことが分かるでしょうか。店舗数はすべての年において増 加していますが、店舗の増加率が大きかった2000 年や 2012~2014 年にはいずれも一店舗当た り売上高が減少しています。この図の店舗数は大手コンビニ・チェーンの総数なので、各企業 の新規出店が相次ぐことによって顧客の奪い合いが生じたのかも知れませんし、各チェーンが 売上高の減少を食い止める目的で出店を加速させたのかも知れません。ただ、コンビニという 業界の成熟がすすむ中、むやみに店舗を増やしても売上増につながりにくくなっているらしい ことは推察できるでしょう。

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1 全国のコンビニエンスストアの売上高と店舗数の増減率(%) (注)店舗数は年間の平均値。増減率は対前年比。 (出所)日本フランチャイズチェーン協会「コンビニエンスストア統計月報」。 課題 同じファイルの「データ②」シートには、売上高と店舗に加え、来店客数と売上高の内訳に関 する統計が示されています。これらを活用し、今日のコンビニ業界にどのような課題があるか、 経営者がそれにどのように対応しようとしているかを推察してみて下さい。その結果を(Excel ではなく)Word 等の文書ファイルにまとめ、10 月 3 日(水)10:00 までに電子メールで提出し て下さい。なお、自分で作った図表を張り付けることは歓迎しますが、図表だけではダメです。 分析結果は文章にまとめて下さい。 -4 -2 0 2 4 6 8 10 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 店舗数 一店舗当たり売上高 売上高

図 1  全国のコンビニエンスストアの売上高と店舗数の増減率(%)  (注)店舗数は年間の平均値。増減率は対前年比。  (出所)日本フランチャイズチェーン協会「コンビニエンスストア統計月報」。  課題  同じファイルの「データ②」シートには、売上高と店舗に加え、来店客数と売上高の内訳に関 する統計が示されています。これらを活用し、今日のコンビニ業界にどのような課題があるか、 経営者がそれにどのように対応しようとしているかを推察してみて下さい。その結果を(Excel ではなく) Word 等の文書ファイルにま

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