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ラジオで学ぶ電子回路 - 第13章 オーディオアンプ

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第13章 オーディオアンプ

この章ではオーディオアンプを取り上げますが、オーディオマニアの人達が製作するような音 質を追及したオーディオアンプではありません。あくまでラジオの音声を聞くための、トランジ スタラジオ用の小型スピーカをドライブするオーディオアンプです。このようなオーディオアン プではありますが、電子回路の習得には重要な基本的なものです。 ●スピーカについて 。 図13-1にスピーカの構造を示します。磁石と磁性体でボイスコイルと直交する磁界を作ります この状態でボイスコイルに電流を流すと、有名なフレミングの法則に従って、ボイスコイルに力 がかかります。この力により、ボイスコイルと一体になっている振動板(コーン)が、この図で上 下に振動します。この構造のスピーカは、磁石が固定されボイスコイルが動きますので、ダイナ ミック型とよばれています。現代、ほぼすべてのスピーカは、このダイナミック型です。 スピーカの等価回路はどうなっているのでしょうか。以下それについて考えます。スピーカと は電気エネルギを機械的エネルギに変換するものです。この等価回路を考えるとき、直流モータ 図13-2 の等価回路が大いに参考になります。まず、直流モータの等価回路を見ることにします。 に直流モータの等価回路を示します。モータに電源をつなぐとモータが回転しますが、モータが 回転しますと、発電機となって電機子には逆起電圧が発生します。もし、摩擦等の機械的な損失 。 が全くないとすれば、この逆起電圧と電源電圧が同じになるところまで回転して平衡に達します このときに電機子電流は になります。ここで、モータに負荷をつなぐと回転数が低下し、逆起電0 圧が低下します。そうすると、電源電圧と逆起電圧の差で電流が流れます。その電流をIaとしま すと、RaIaは電機子の抵抗で消費する電力で、これは熱になります。注目したいのはV IaR となる 電力です。この電力は摩擦を無視すれば、モータのトルク×回転数、すなわち機械的エネルギに 一致します。摩擦等の機械的な損失があれば、それらを含めた機械的エネルギとなります。この ようにして、電気エネルギと機械的エネルギの変換が図13-2で表されているのがわかります。 スピーカも電気エネルギを音という機械的エネルギに変換するものです。ですから図13-2のよ うな等価回路となります。ここで、スピーカの等価回路を図13-3に示します。L,Rは純粋な電気要 。 素です。スピーカの場合はコーンが振動することにより、ボイスコイルに逆起電圧が発生します がその逆起電圧です。 × がスピーカの機械的エネルギ、つまり機械的な出力です。 VR I VR

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ここで、理想的な場合を考えます。L,Rを とします。またコーンを振動するのにエネルギを要0 しないとします。さらに、このスピーカを真空の中に置き、音のエネルギが発生しないものとし ます。そうすると、逆起電圧と駆動電源の電圧が同じになるようにコーンが振動します。もちろ ん、そのときは電流 は になります。ここでこのスピーカを空気中に出します。そのときは空気I 0 が負荷となり、コーンが振動しにくくなります。ですから逆起電圧 が より小さくなり、その差VR V 。 で電流 が流れ、 × というエネルギが消費されます。このエネルギが音のエネルギになりますI VR I 以上では、コーンを振動するのにエネルギを要しないとしましたが、現実的にはこれは不可能 ですので、 × にはコーンを振動するのに必要なエネルギも含まれます。このエネルギは最終的VR I には熱となります。さらに、コーンには慣性質量がありますので急には動きませんし、またバネ のようにエネルギを一時的に蓄積する要素もあります。これらの要素により、 と の位相が違っVR V てきます。ですから、ボイスコイルのインダクタンス を としても、電流 と電源電圧 の位相がL 0 I V 違ってきます。 。 ここで逆起電圧 を、同じ電圧になる電気要素に置き換えます。その回路をVR 図13-4に示します は機械的エネルギの出力を表す要素であり、ここに流れる電流×電圧は機械的エネルギの出力 Rm と同じになります。Lmは一時的にエネルギを溜める要素であり、例えばコーンのバネ要素がこれ に相当します。Cmも同じく一時的にエネルギを溜める要素で、コーンの慣性質量がこれに相当し ます。 結局スピーカの等価回路は図13-4のような複雑がものとなります。Lm,Cmは、ある周波数で共振 しますので、この周波数ではスピーカのインピーダンスは大きくなります。このような回路です から、スピーカのインピーダンスを簡単に表すのは困難です。かつては、共振周波数以上で一番 小さくなるインピーダンスを公称インピーダンスとしていました。今は各メーカーが独自に規定

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しているようです。 今回使用するスピーカを写真13-1に示します。トランジスタラジオ用の小型スピーカです。イ ンピーダンスは Ωです。この Ωは8 8 図13-4では、ほぼボイスコイルの抵抗 に相当します。他の要R 素はすべてこの値に比べ無視できます。ですから、このスピーカの抵抗をマルチメータの抵抗レ ンジで測定しても、ほぼ Ωになります。最初にスピーカの等価回路を詳しく述べましたが、何の8 ことはなく、このような小型スピーカではボイスコイルの抵抗 だけになります。逆にいえば、こR のような小型のスピーカは非常に効率が悪く、ボイスコイルの抵抗 で、ほぼすべてのエネルギをR 消費しています。ですから全機械的エネルギは、スピーカに注入した全エネルギの内のごく僅か なものになります。さらに音のエネルギは全機械的エネルギのほんの僅かですから、スピーカに 注入したエネルギのごくごく僅かなエネルギを音に変換していることになります。 使用した小型スピーカ 写真13-1 図11-17 図12 今回のオーディオアンプの検討では、入力信号として トランジスタ自励ミキサーと の を用いた アンプの組み合わせを代表として使用します。この組み合わせで、音声出力 -13 IFT IF のトリマ(ボリューム)を最大にします。そうすると、 局の検波出力はC 表12-1より580mVとなりま 50 290mV 30 す。変調度を %として、音声信号のピーク値は になります。ここでは簡単になるように とします。実効値は√ で割れば求まります。このときの出力インピーダンスは約 Ωとな 0mV 2 2.3k ります。これは、コンデンサ100μ を介して抵抗を負荷とし、出力値が半分になる値を出力インF ピーダンスとして実測した値です。このときにコンデンサ100μ を介することが必要です。直接F に抵抗を負荷にすると、AGC特性に影響を与え、正確な出力インピーダンスが求まりません。 今回用いたスピーカでは0.4Vの電圧でドライブすれば、静かな家の中では十分な音量になりま す。電流ドライブでは50mAです。高級なスピーカでは電圧ドライブが前提ですが、今回のような 小型スピーカでは、電圧ドライブでも電流ドライブでも全く同じ音になります。このときの電力 は0.28V 0.28V/8 =10mW× Ω となります。 以上のことをまとめると図13-5となります。今回製作するオーディオアンプは、この図を満た すようなゲインであればよいことになります。必要な電圧ゲインは0.4V/0.3V=1.3倍です。しかし、

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入力の有効電力が0.21V 0.21V/ 4 2300× ( × Ω)=4.8 Wμ ですので、電力ゲインは10mW/4.8 W=2100μ 倍 必要です。なお、必要な電圧ゲインは1.3倍と非常に小さいですが、これは 局を聞くときの限界C の値です。いろいろな余裕を考慮すると、もっと必要です。 ●一石アンプ 一石アンプとしては、電流出力と電圧出力があります。前者はコレクタ共通回路であり、後者 はエミッタフォロアです。以下これらのアンプを検討します。なお、以下で検討する一石アンプ はゲインが不十分であり、また消費電流が多く実用性が全くありませんので、長期の使用を考慮 していません。あくまで検討用です。ですから、長期の使用を目的とする製作はしないでくださ い。 ・電流出力アンプ(コレクタ共通回路) でマグネチックイヤホンのドライブ方法を示しました。スピーカのドライブも全く同じ 図3-31 です。ここでも最も簡単な( )の方法で検討します。この方法ではスピーカに直流電流が流れるこc とに注意が必要です。その回路を図13-6に示します。抵抗R1は図13-5の信号の出力インピーダン スのために挿入しました。入力信号はオーディオ信号発生器の信号ですが、図13-5の信号と同じ 値に設定します。VR1はTr1のバイアス電流をいろいろと変化させるためのものです。使用したト 2SC1815 Y hFE 200 VBE=0.75V ランジスタは (ランク )で、直流電流増幅率 は約 のものです。ですから、 として(コレクタ電流が大きいのでVBEも大きくなります。)、6-0.75=5.25VをVR1の値で割った電 hFE=200 VR 流に、 を掛けた値が、ほぼコレクタ電流となります。なお、このコレクタ電流の調整は の値を最大にしてから、徐々に小さくしていきます。誤って をショートしたり、小さい値に 1 VR1 しすぎると、大きなコレクタ電流が流れ非常に危険ですので、注意してVR1を調整する必要があり ます。 ここでお断りがあります。それはコレクタ電流やエミッタ電圧を、バイアス(直流)にも、信号 (交流)にも使用します。紛らわしいときは明確にしますが、単に「コレクタ電流」や「エミッタ 電圧」としている場合は、どちらの方かを文脈で判断してください。

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まず、コレクタ電流を15mAとしたときの波形を図13-7に示します。なお、このデータを取ると き、スピーカではピーと大変うるさいので、スピーカの替わりに純抵抗の Ωを接続しています。8 以降でも波形を取るときは、すべて Ωの純抵抗におきかえています。厳密にはスピーカと純抵抗8 では波形が異なるのですが、今回の小型スピーカでは、ほぼ同じ波形になります。コレクタ電流 はこの Ω抵抗の両端の電圧から算出しています。8 15mAでは Ω抵抗両端の電圧が8 120mVになるよう に、VR1を調整します。 (上:コレクタ、下:入力信号) 図13-7 コレクタ電流15mA コレクタ電流が15mAのときの信号のコレクタ電流を求めてみます。ベースに加わる信号は、簡 易ラジオの増幅回路で扱ってきたような小信号ではありませんので、hieは一定にはならなくなり 。 ます(正確にはhieが定義できない)。しかし、だいたいの値は小信号のhieを用いて計算できます

15mA re re=26/15=1.7 hfe=170 hie= コレクタ電流が のときの内部エミッタ抵抗 は Ωです。 を用いて、 × Ωとなります。ですから、ベース電流は ( ) となり、求める信号 1.7 170=290 0.3/ 2.2+0.29 =0.12mA のコレクタ電流は0.12×170=20mAとなります。このコレクタ電流に Ωを掛けた ×8 8 20=160mVが信 号のピーク値になります。 ここで図13-7を見てみます。プラスの周期では120mVで信号が飽和しています。 Ω両端の直流8 。 電圧は、前述したように120mVですので、コレクタ電圧(直流)は、 から6V 120mV下がった電圧です ですから、プラスの周期では電源電圧の までしか上がることができませんので、6V 120mVで信号が 飽和してしまうのです。では、マイナスの周期はどうでしょうか。だいたい180mVくらいです。計 算値より少し大きくなっていますが、これはhieが大きく変わるためです。ちなみにhie=0として

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計算すると、信号のピーク値は185mVとなり、実測値に近くなります。 次にコレクタ電流を25mAに上げてみます。 Ω両端の直流電圧は、8 200mVになりますので、プラ スの周期での飽和はなくなるはずです。このときの波形を図13-8に示します。確かに図13-7の歪 みはなくなっています。また、プラスとマイナスの振幅がほとんど同じになっているのがわかり ます。プラスとマイナスではhieが大きく変わるのに、それらの振幅がほとんど同じなのはなぜで しょうか。それはhieに比べ、入力に挿入している抵抗 が大きいからです。つまりトランジスタR1 図3 を、ほぼ定電流でドライブしているからです。大振幅の信号で の変化を受けない回路としてre を紹介しましたが、このように定電流に近いドライブをしても、大振幅の信号で の変化を受 -35 re けない回路となるのがわかります。ちなみに出力信号の振幅は、hie=0として計算した185mVに近 い値になっています。hie=0として計算するのは、定電流として計算していることです。またこれ は、図3-43の説明でreがRi/hfeに比べ無視できるときの式を示しましたが、この式で計算してい ることにもなります。 (上:コレクタ、下:入力信号) 図13-8 コレクタ電流25mA ではコレクタ電流を50mAに上げてみるとどうなるでしょうか。その波形を図13-9に示します。 とほとんど変わらないのがわかります。つまり、ほぼ定電流のドライブになっていますの 図13-8 で、re変化の影響がないのがわかります。ただ少々わかりずらいのですが、図13-9では図13-8よ りも出力の振幅が小さくなっています。これはコレクタ電流が40~50mAになってくると、トラン ジスタ2SC1815 hfeの が低下し始めるからです。

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(上:コレクタ、下:入力信号) 図13-9 コレクタ電流50mA ここで図13-8の条件で、実際にミキサーとIFアンプ(以降ラジオ信号とします。)、およびスピ ーカをつないで音声を聞いてみます。図13-6の入力インピーダンスは低いので、IFアンプの出力 トリマを最大にすると、検波回路の平滑回路が十分に動作できず、IF信号がスピーカに漏れてき ます。ですからIFアンプの出力トリマを少しだけ絞りました。結果ですが、まあまあ聞こえます が、やはり音が小さすぎます。真夜中に静かな部屋では聞くことができるといったところでしょ うか。 の回路でもう少し大きい音にするにはどうすればよいでしょうか。 の大きいトランジ 図13-6 hfe スタを使うのも一つの方法です。しかし、この方法ではコレクタ電流(直流)をもっと大きくする 必要がでてきます。スピーカにもこの電流を流しているので、これ以上コレクタ電流を大きくし たくはありません。さらに図13-6でhfeを大きくすると、hieが大きくなり内部エミッタ抵抗の影 響がでてきます。そこで、出力トランスを用いて、もう少し大きい音にしてみます。出力トラン スを用いると、スピーカに直流が流れませんし、コレクタ電流(直流)も小さく、かつ音を大きく することができます。 に出力トランスを用いた回路を示します。用いた出力トランス の直流抵抗(1次の 図13-10 ST-32 30 15mA 赤白間)は Ωです。この間の電圧でコレクタ電流を調整します。図13-11にコレクタ電流を 450mV 8 流したときの波形を示します。出力トランス赤白間の電圧は です。この波形もスピーカを Ωの純抵抗に替えています。この波形は歪みが発生しない範囲で、最大の振幅になるように入力 を調整したものです。ラジオ信号では出力を小さくすると、出力インピーダンスが小さくなるの ですが、ここでは を一定にしています。R1

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(上: Ω両端、下:入力信号) 図13-11 コレクタ電流15mA 8 のときのトランスの 次側、すなわち のコレクタ信号は約 になります。 の 図13-11 1 Tr1 3V 図13-11 出力は約0.45Vですから、トランスの巻き数比 を掛けて、6 Tr1のコレクタ信号は0.45 6=2.7V× にな るはずですが、実測はこのように少し大きくなります。これはトランス 次の抵抗分のためと思わ1 れます。Tr1のコレクタ電圧(直流)は、前述したように から6V 450mV下がったところです。Tr1の信 号のコレクタ電圧はこの点を中心にして、約±3Vで振れていることになります。図13-6と違いコ 3V+0. イルが負荷ですから、電源電圧より大きく振れることになります。ただ、マイナスの振幅は ですから、あと で になってしまいます。トランジスタの の最低値を とすれ 45V=3.45V 2.55V 0V VBE 1V ば、あと1.55Vの余裕があるだけです。ですから図13-11の出力は、あと僅かしか大きくできない ことがわかります。このようにトランスを用いると出力を大きくできるのですが、 次の電圧が高1 くなる分、電源電圧も大きくする必要があるのがわかります。実はこのために、図13-10では中間 1 5V 2 5V/12=0.4 タップを用いています。もし、中間タップを用いないと、 次で に振れても、 次では しか振れないことになってしまいます。 2V Tr1の信号のコレクタ電圧の実測は約 と述べましたが、これを計算で求めてみます。3V Tr1 hieの を無視して、ベース電流は0.22V/2.2k =0.1mAΩ です。0.22Vは図13-11の入力信号です。 Ωをトラ8 1 8 6 6=290 hfe 0.1 ンスの 次に換算すると Ω× × Ωですので、ベース電流× にこの抵抗を掛けた値、 ×170 0.29=4.9V Tr1× が のコレクタ電圧になります。実測の に比べ随分大きくなりました。この3V 理由はトランスの 次のインダクタンスが十分大きくないからです。1 図13-11をみると、入力と出 力の位相が完全に180°でないのですが、これはトランスの 次のインダクタンスが十分大きくな1

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いことの証拠でもあります。なお、トランスの 次のインダクタンスが十分大きくない理由は、ト1 ランスに流している直流電流が大きいため、トランスの磁性体が磁気飽和を起こしインダクタン スが小さくなっているためと思われます。 では 流しましたが、これより少なくするとプラスの周期で歪みが発生します。では、 図13-11 15mA 大きくするとどうなるでしょうか。単純には、もう少し大きな入力にでき、したがってより大き な出力が得られそうですが、実際は逆にこのままの入力でも歪んできます。トランスに流す直流 電流をこれ以上大きくすると、トランスの磁性体が磁気飽和を起こしインダクタンスが小さくな る効果がさらに大きくなってしまうからです。ですから図13-11の条件がもっとも大きな出力が得 られる条件です。 ここで、実際にラジオ信号をつなぎ音声を聞いてみます。図13-11より電圧ゲインが約 倍あり2 ますので、図13-5の条件を十分満たしています。ですから、静かな家の中では十分な音量のラジ 。 オになります。ただ、これは私の感覚ですので、十分ではないと感じる人がいるかもしれません ・電圧出力アンプ(エミッタフォロア) では、必要な電圧ゲインは小さく、主に電力ゲインが必要です。ですから電圧ゲインが 図13-5 ほぼ のエミッタフォロアでも、電力ゲインがありますので1 図13-5のアンプとして使用できます。 以下、一石のエミッタフォロアを検討します。 電流出力アンプでスピーカをドライブする方法は図3-31でした。エミッタフォロアでも同じ方 法があります。図13-12にその方法を示します。今回はより簡単な( )の方法で検討します。ただb し、この方法はVBE変化の影響を強く受けますので、あくまで検討用です。 に検討した回路を示します。 で Ω両端の電圧を調整してコレクタ電流を変化させま 図13-13 VR1 8 、 す。図13-6とは逆で、VR1 0を Ωにしてから徐々に大きくしてコレクタ電流の調整をします。なお 、 はもう少し小さい方がベース電圧が安定してよいのですが、そうすると入力信号に、より R2 VR1 影響を与えますので、この定数にしています。

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に のコレクタ電流を流したときの波形を示します。このときのエミッタ電圧(直流) 図13-14 8mA は64mVです。ですから、図13-13ではマイナスの周期で、だいたいこのくらいの電圧で飽和してい ます。この飽和しているところは、 になっています。0V (上: Ω両端、下:入力信号) 図13-14 コレクタ電流8mA 8 以上の飽和はコレクタ電流をもっと流せばなくなります。図13-15 20mAに 流したときの波形を示 します。確かに歪みはなくなっています。ただ、エミッタフォロアは電圧ゲインがほぼ ですが、1 随分出力が小さくなっています。この原因を考えます。 Ωには8 100mV/8=12mAの信号電流が流れて います。このときhfe=170として12mA/170=0.07mAのベース電流が流れています。ですから、R1の 2.2k 0.07mA=150mV 300mV-150 両端には Ω× の電圧降下が発生しています。このためにベース電圧は になってしまいます。 の出力はこれよりさらに小さいですが、これは にも電 mV=150mV 図13-15 VR1 流が流れてしまうからです。

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(上: Ω両端、下:入力信号) 図13-15 コレクタ電流20mA 8 の出力では、スピーカから確かに音が出ますが、さすがに小さすぎます。 の出 図13-15 図13-15 力が小さくなる原因はベース電流が無視できないからでした。そこでトランジスタをダーリント ン接続にしてhfeを大きくし、ベース電流を小さくしてみます。その回路を図13-16に示します。 ベース電流が小さくなるので、R2を大きくしています。なお、この回路のVR1の調整は必ず Ωに0 してから、徐々に大きくしてください。VR1が大きくなりすぎると大電流が流れ危険ですので、十 分注意してください。さらにトランジスタが温まると電流も増えますので、実験は短時間で終了 してください。 Tr2 40mA R1 図13-16の回路で のコレクタ電流を にしたときの波形を図13-17に示します。これでも の電圧降下やVR1への電流がありますので、出力は入力信号よりは小さくなってしまいます。しか し、図13-15に比べ出力が約 倍になります。この出力は電流出力アンプの2 図13-8とほぼ同じです ので、音量もほぼ同じになります。

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(上: Ω両端、下:入力信号) 図13-17 Tr2コレクタ電流40mA 8 ところで、電流出力アンプでは図13-10のように出力トランスを用いて出力を大きくすることが できました。電圧出力であるエミッタフォロアでも出力トランスを用いて出力を大きくすること ができるでしょうか。その回路を図13-18に示します。トランスの直流抵抗が小さいためエミッタ R4,C2 Ro Ro=r に直接は接続できませんので が必要です。エミッタフォロアの出力インピーダンス は でしたから、スピーカのインピーダンス Ωが、この出力インピーダンスと同じになる巻 e+R1/hfe 8 re Ro=2. き数比にすれば最大の出力が得られます。実際の回路である図13-13の場合、 は無視して、 Ω Ωです。この値は、ほぼスピーカの Ωですから、このようにトランスを使用しても 2k /170=13 8 出力は大きくはなりません。では、もしRoがもっと小さかったならトランス使用で出力を大きく できるかといえば、現実的には、あまり期待できません。それはトランスでスピーカのインピー ダンスを下げることになるのですが、そうすると、トランスの抵抗も無視できなくなってくるか らです。 ●ニ石アンプ 一石アンプでは電圧ゲインがやはり不足でした。そこでトランジスタをもう一つ追加してニ石 アンプにしたいと思います。これには最終のスピーカをドライブする回路を電流出力にするか、 電圧出力にするかで、いろいろな形式が考えられます。まず、電流出力にした場合を図13-19に示 します。( )は電流出力で、( )は電圧出力で最終トランジスタをドライブする方法です。( )は二a b a つのトランジスタが共に電流出力になっており最適な方法です。( )は入力信号の出力インピーダb

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ンスを小さくしてから、電流出力アンプをドライブする方法です。これでも電圧ゲインを大きく できます。しかし、最終のトランジスタを定電流ドライブしなくなりますので、歪みが大きくな ります。つまり最終のトランジスタを小さい出力インピーダンスの信号でドライブすることにな り、最終のトランジスタの内部エミッタ抵抗 の影響を受けやすくなります。この( )の回路は図re b において、 にダーリントン接続したトランジスタを使用したものと同じものです。 13-6 Tr1 には最終のトランジスタを電圧出力にしたときを示します。( )はまず信号の電圧を大 図13-20 a きくしてからエミッタフォロアをドライブする方法であり、これも最適な方法です。( )はエミッb タフォロアのみですから電圧ゲインを大きくできません。この回路は図13-16と同じものです。 以上、ニ石にするには図13-19(a) 図13-20(a)と の方法があるのがわかりました。ただし、出力を 大きくするには最終のトランジスタのコレクタ電流(直流)も大きくする必要があります。どちら 、 の回路もこの電流がスピーカに流れますので、この電流は大きくしたくはありません。ところが 図13-19(a)では出力トランスを使用して、この電流を抑えることができます。ですから今回は図13 のみを実際に検討したいと思います。 -19(a) の構成の具体的な例を に示します。 の出力トランスを用いたものより、 図13-19(a) 図13-21 図13-10 より大きな出力にしたいので、出力トランスを巻き数比の小さなST-45に変更しています。この回 路では電圧ゲインが大きくなるので、ラジオ信号をつなぐときはIFアンプの出力を下げることに なりますが、このときはラジオ信号の出力インピーダンスも下がります。ですから はR1 470Ωと小 さくしています。ST-45の赤緑間の直流抵抗は17Ωです。この抵抗を利用して、ST-45の赤緑間の 電圧により、Tr2のコレクタ電流(直流)を調整します。Tr1には約1.1mAのコレクタ電流(直流)を流 しています。ですから、 両端の電圧は約R4 2.5Vになっています。Tr2は電流が大きくなりますので に変更しています。 の最大コレクタ電流は ですが、 は であり、 2SC2001 2SC1815 150mA 2SC2001 700mA くらいのコレクタ電流(直流)では の低下はありません。用いた の です。な 50mA hfe 2SC2001 hFE=180

お、この回路も検討のみの回路であり、長期使用時の安定性を考慮していませんので、長期使用 を目的とした製作はしないでください。

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(上: Ω両端、下:入力信号) 図13-22 コレクタ電流45mA 8 に のコレクタ電流を 流したときの波形を示します。入力信号にはノイズが目立 図13-22 Tr2 45mA ちますが、これはレンジが低い電圧のために発生するオシロスコープのノイズであり、信号源の ノイズではありません。ところで、図13-10では20mAぐらいの直流電流でトランスの磁性体が磁気 飽和を起こしましたが、St-45では巻き数が小さいらしく、この電流でもこの磁気飽和はありませ ん。ただし、インダクタンスは多少は小さくなっているものと思われます。 出力を見ると、あまり歪みが目立ちません。Tr2は大信号でドライブされていますから歪みが出 そうですが、なぜこんなに歪みが小さいのでしょうか。そこでTr2のベース電圧波形を見てみます。 Tr1 Tr2 Tr2 Tr 図13-23に のコレクタ波形、 のコレクタ波形を示します。この図から、 のベース波形( のコレクタ波形)は随分歪んでいるのがわかります。以下この理由を考えます。 の出力は電流 1 Tr1 ですが、この電流はすべてTr2のベースに流れます。Tr2の入力抵抗に比べR4は非常に大きいので 無視できて、Tr1の出力電流は、ほぼすべてTr2のベースに流れるからです。Tr2の入力抵抗(hieに 相当)はコレクタ電流によって大きく変化します。ですから、この図のようにベース電圧は大きく 歪むことになります。電圧はこのように歪んでいますが、電流は歪んでおらず、したがってコレ クタ電圧波形は歪んでいないのです。

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(上: コレクタ、下: コレクタ) 図13-23 各コレクタ波形 Tr2 Tr1 、 図13-22から電圧ゲインは600mV/10mV=60倍になっています。これを計算で求めてみます。まず Tr1のコレクタ電流(信号)を求めます。hie Tr1( は小信号)は Ωです。ですから、ベース電流は4k 10 Ω μ です。これに を掛けた が求めるコレクタ電流となります。この mV/4.47k =2.2 A hfe=170 0.37mA Tr2 8 1 120 Tr2 hfe=15 電流がすべて のベース電流になるとします。 Ωを 次に換算して Ωですから、 の すると、コレクタ電圧は × × となります。 Ω両端では です。実 0 0.37 150 0.12=6.7V 8 6.7/3.9=1.7V に計算では電圧ゲインは1700/10=170倍となってしまいます。実測では 倍ですから随分大きくな60 ってしまいました。 計算と実測の違いを以下考えます。 まずコレクタ電圧が計算では ですが、 では約 になっています。ここで随分違って 1. 6.7V 図13-23 3V います。これはST-45のインダクタンスが十分大きくないからです。事実、図13-23を見ると位 相が180°ではありません。このためにTr2のコレクタ電圧は計算よりかなり小さくなると思わ れます。 のコレクタ電圧 を使用すると、 Ω両端は となるはずですが、実測は 2.図13-23 3V 8 3000/3.9=770mV より です。これは でも同じことが起こりましたが、トランスの抵抗分が原 図13-22 600mV 図13-10 因と思われます。 のコレクタ電流がすべて のベースに流れるとしましたが、多少は も影響します。 3.Tr1 Tr2 R4 にも入力信号が流れますので、電圧ゲインは小さくなります。 4.R2,R3 以上の原因により計算値は実測より大幅に大きくなったと考えられます。 の波形は歪みの起こらない範囲での最大の出力です。 にもっと大きな入力のと 図13-22 図13-24 きの波形を示します。このように入力が大きくなると大きな歪が発生します。実は、このような 大きな入力でなくても、入力波形の違いによっても歪みが発生します。図13-25に330Hzの信号を 入力したものを示します。これは、トランスST-45の特性が主な原因です。図13-26は方形波を入 力したものです。この歪みもトランスの特性のためです。トランスでは高い周波数で大きなイン ダクタンスになりますので、このように立ち上がりや立下りが強調されてしまいます。

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(上:出力、下:入力) 図13-24 入力が大きくなったときの歪み (上:出力、下:入力) 図13-25 入力330Hzのときの歪み (上:出力、下:入力) 図13-26 入力方形波のときの歪み

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、 図13-21の回路は電圧ゲインが実測で 倍ほどありました。実際には 倍もあれば十分ですので60 3 以下では負帰還をかけて電圧ゲインを落とすことにします。逆にいえば電圧ゲインが60倍と十分 あるので、負帰還をかけられるともいえます。オーディオアンプでは、負帰還はいろいろな特性 を改善するために非常に重要な手段です。 Tr1,Tr2 R5 VR1 回路を図13-27に示します。 は直結しています。 が負帰還をかけている抵抗です。 はTr1の直流バイアスをかけるための抵抗です。図13-21ではトランスの極性(・で示される)を全 く気にせずに使いましたが、この回路では負帰還になるように注意する必要があります。C4は発 振防止用のコンデンサです。電圧ゲインを小さくしますので、 はR1 2.2kΩを使用しています。 ではコンデンサ で二つのトランジスタを結合しましたが、ここでは直結します。オー 図13-21 C3 ディオアンプではこのような直結がよく使用されます。直結するとTr1のバイアスの変動がTr2の Tr2 VR1 バイアスに影響を与えます。ですから、 のバイアスを安定化する方法が必要です。それが で、Tr1のバイアスをTr2のエミッタからかけます。今回はTr2のコレクタ電流を42mAとします。そ うすると、 両端電圧はR6 1.4Vとなります。この電圧でTr1をバイアスするわけです。こうすると、 Tr2 Tr1 Tr1 例えば のコレクタ電流が大きくなると、 のベース電圧が大きくなります。そうすると、 のコレクタ電圧が下がり、Tr2のコレクタ電流が下がります。つまり、Tr2のコレクタ電流の変化 を抑えます。実は、Tr1のコレクタ電圧とTr2のエミッタ電圧は同相ですので、この動作は図3-3の 自己バイアスと同じ動作です。なお、C3は信号に対して以上の効果をなくすためのバイパスコン デンサです。Tr2エミッタの出力インピーダンスは小さいので、このように大きい容量が必要です。 を調整して 両端の電圧を にするのですが、まず、 を にして徐々に大きくします。 VR1 R6 1.4V VR1 0 を大きくすると のエミッタ電圧が下がり、よって のコレクタ電圧が上がり のエミッ VR1 Tr1 Tr1 Tr2 タ電圧が上がります。ただ、このようになるためには、R2の値が最適でなければなりません。例 えば の値が大きいと、R2 Tr2のエミッタ電圧は1.4Vまで上がることができません。ですから、 はR2 のときの のエミッタ電圧が より、ほんの少し小さくなるような値を選ぶ必要があり VR1=0 Tr2 1.4V ます。さらに、実際にTr2のエミッタ電圧が1.4VになったときのVR1の値が10kΩより大きくなる必 要があります。VR1の値が小さいと、入力信号がこの抵抗に流れてしまうからです。図の の定数R2 ではVR1は約40kΩとなります。また、そのときの各部の直流電圧は図の四角で囲んだ値となりま す。

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次に負帰還についてです。図9-1で正帰還をかけたときの図を示しました。この図では入力と帰 還信号が+になっていますが、 にすると、負帰還の図になります。出力 は- Vo Vo=Vi A/ 1+A× ( β)と なりますが、 が十分大きいとA Vo=Vi/βとなってゲイン に関係がなくなります。ですから、 がA A 歪んでいても、それに関係しなくなりますので歪みが改善されるというわけです。 以上は一般的な議論ですが、ここでは図13-28で負帰還の効果を考えます。R1,R2は図13-27では 、 に相当します。出力 の出力インピーダンスは Ωと小さいので無視しています。各電流、 R4 R5 vo 8 電圧の方向を図のように決めると以下の関係が得られます。 (13-1)式は大雑把に考えても求まります。 が大きいと入力と が釣り合うところで出力が止まA v1 ります。つまり、vi=vo R1/ R1+R2× ( )です。これは(13-1)式です。 では、 はどのくらいになるでしょうか。 Ωを 次に換算してA 8 1 120Ωですから、Tr2のhfe=150と すると、A=150×120/3.9=4.6kΩとなります。図13-21では計算値と実測では随分ちがいましたの で、それを考慮して1/3になるとしてもA=1.5kΩです。一方、図13-27のR4,R5 100は Ω、220Ωです から、これらより は十分大きいとしてよいことになります。以上により、A 図13-27の電圧ゲイン は(R4+R5 /R4= 100+220 /100=3.2) ( ) 倍となるのがわかります。

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(上: Ω両端、下:入力信号) 図13-29 負帰還アンプの波形 8 実際の波形を図13-29に示します。図より電圧ゲインは600mV/200mV=3倍ですから、だいたい計 図13-28 図13-算通りです。ところで、電圧ゲインの計算に用いた の はvi Tr1のベース電圧ですが、 29の下の波形は入力信号です。これらを同じ値としてよいのでしょうか。実は、負帰還のためTr1 の入力インピーダンスは非常に大きい値になっています。そのために入力信号とベース電圧はほ ぼ同じとしてよいのです。以下これについて説明します。 より入力インピーダンスを計算すると、以下となります。 図13-28 ここで、hfe=170 A=1.5k、 Ω、R1=100Ω、R2=220Ωを代入すると、入力インピーダンス=80kΩと なり、非常に大きくなるのがわかります。これは負帰還により、Tr1のコレクタ電流(信号)が小さ くなり、よってベース電流が小さくなるためです。 以上、図13-27におけるR4,R5の働きについて説明しましたが、R3,C2がなぜ必要なのか気になら なかったでしょうか。前述したようにVR1のバイアスは図3-3の自己バイアスと同じものです。で すから、R3,C2がなくても、全く問題なく動作します。ただしこの場合、VR1は150kΩぐらいにな りますので、200kΩのトリマに変更が必要です。このバイアスにR3を追加してエミッタ抵抗の値 を大きくすると、図3-4の電流帰還バイアスの効果を付け加えられます。そうすると、Tr1 hFEの の 変化に対して、より影響の受けないバイアスとなります。C3は信号に対してR3の負帰還をなくす るためのバイパスコンデンサです。では、R3=0 R4 780で を Ω、 をR5 1.5kΩにしたらどうでしょうか。 これでも負帰還の効果は同じです。しかし、図13-28 R1,R2 Aの は より十分小さい必要があり、この 条件を満たさなくなってしまいます。 図13-21 ここで負帰還をかけたことによる歪みの軽減について見ることにします。負帰還のない ではトランスの特性により、図13-25や図13-26の歪みが発生しました。まず、図13-30に330Hzの

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入力のときを示します。確かに歪みがなくなっています。さらに位相が完全に °になっているの0 がわかります。図13-31では複雑な波形を入力しました。これも歪みがなく、完全にトランスの特 性を吸収しているのがわかります。 の入力(上:出力、下:入力) 図13-30 330Hz (上:出力、下:入力) 図13-31 複雑な入力 以上のように、この負帰還のアンプでは歪みが軽減されますので、図13-21のアンプより随分音 がよくなるはずですが、実際にラジオ音声を聞いてみると、あまり変わりません。これはラジオ 音声では周波数帯域が狭いのと、スピーカが小型で性能が決してよいとはいえないからです。 負帰還アンプはよいことばかりではありません。帰還がかかっていますので発振という問題が 発生します。信号では確かに負帰還ですが、高い周波数では正帰還になってしまう可能性がある からです。簡易ラジオでの発振はトランジスタ一石で起こる発振でしたが、こちらは複数のトラ ンジスタ回路で起こる発振です。複数のトランジスタ回路では、位相が変化する箇所が複数個存 在します。ですから、図4-2(b)で示したような発振のメカニズムになります。つまり高い周波数で、 位相が変化する箇所でのトータルの位相変化が180°に達すると発振してしまうわけです。では、 の回路で、位相が変化する箇所とはどこでしょうか。まずは です。トランジスタ 図13-27 Tr1,Tr2 にはミラー効果等のコンデンサが入力に入っていますので、高い周波数では、ここで位相が変化

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します。この二つのみですと、位相変化のトータルが180°に達しませんので発振は起こりません。 もう一つはトランスです。このトランスは、あくまで低周波用です。周波数が高くなると、巻き 線間の容量が効いてきて位相が変化します。ただ、この動作を完全に理解するのは困難です。 以上の三つの個所での位相変化により、図13-27の回路は何も対策しないと約1.4MHzで強烈に発 振します。ただし発振の検討には正式に使用するスピーカを接続しておく必要があります。 Ωの8 純抵抗では発振が弱くなります。このような発振には以下の対策が有効です。 発振している高い周波数でのゲインを下げる。 1. 発振している周波数で、位相が進む要素をどこかに付ける。 2. 今回の場合は発振周波数が1.4MHzと非常に高いので1.の方法が簡単です。ということで、発振対 策に付けたものが のコンデンサです。 のインピーダンスはC4 C4 1kHzでは7.2kΩ、1.4MHzでは Ωで5 す。ですから音声信号にはほとんど影響を与えずに、1.4MHzを小さくできるのがわかります。 では、このコンデンサをトランスの 次に換算した2 0.022 F 3.9 3.9=0.33 Fμ × × μ を、スピーカに 並列に付けても可能でしょうか。実はこのときには数100kHzで強烈に発振します。これはトラン スが完全に密結合でないのが原因です。とにかく低周波トランスは厄介なものです。この原因を で説明します。( )は低周波での正常な動作を示します。 は確かに逆位相になります。 図13-32 a v1,v2 ( )は 次に大きな容量のコンデンサを付けたときです。図では、このコンデンサを 次に換算してb 2 1 います。トランスが完全な密結合でないときは、漏れインダクタンス が直列に入ります。周波数L vc vL 1 が高くなると、図のベクトル関係となります。ここで、コンデンサの容量が大きいので と が °位相が異なること、および周波数が高いとしていますので、 次の電圧 はほぼ と等しくな 80 1 v1 vL ることが重要です。そうすると、正常時には逆相だったv1,v2が、同相になってしまいます。何と、 負帰還の配線が正帰還の配線に変わってしまいます。 最後に以上の検討した基板を写真13-2に示します。なお、この基板で一石、ニ石のすべての回 路を検討しました。

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写真13-2 図13-27の検討している基板 ●プッシュプルアンプ 前項の一石、ニ石アンプの弱点は出力が小さいのに必要なコレクタ電流が大変大きいことでし た。コレクタ電流が大きいことは、必要な電力が大きいことです。そこで図13-10の回路の各電力 を求めてみたいと思います。図13-33にこの回路のコレクタ電圧、コレクタ電流を示します。 はIo 直流(バイアス)のコレクタ電流であり、 、 は信号の電圧、電流です。vm im 平均の電力は瞬時の電力、つまり瞬時の(電圧×電流)を 周期で積分して、それを 周期で割れ1 1 ば求まります。図13-33の各電力は以下のようになります。

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、 必要な全電力は一定であり、im=0、つまり音声信号がないときも消費されています。このとき この電力はトランジスタで消費されていて、すべて熱になります。例えば図13-10ではIc=15mAで したから、 ×6V 15mA=90mWが信号がないときもトランジスタで消費されています。厳密には、トラ ンスの抵抗でも消費されていますが、ここでは議論を簡単にするためにトランスの直流抵抗を Ω0 としています。前項の一石、ニ石アンプの検討では言及しませんでしたが、このトランジスタの 、 消費電力は、使用するトランジスタに規定されるコレクタ損失より小さい必要があります。通常 余裕をみて規定値の半分ぐらいで使用するのが望ましいといえます。ちなみに、2SC1815のコレク タ損失は0.4Wで、2SC2001 0.6Wは です。 以上のように、前項で検討した一石、ニ石アンプは音声信号がないときも消費電力が大きいこ とが大きな問題です。確かに、これらを検討しているときは、常に直流のコレクタ電流を気にし ていました。出力をさらに大きくしたいときは、この問題は致命的となります。そこで登場する のがプッシュプルアンプです。なお以降では、プッシュプルアンプをPPアンプとします。PPアン プでは信号の正の周期と負の周期を別々のトランジスタでドライブすることにより、信号がない ときのコレクタ電流を極力なくそうとするものです。ちなみに、このPPアンプに対して、前項で 検討した一石、ニ石アンプはシングルアンプとよばれます。 に を アンプにした回路を示します。トランジスタを 個使用します。この回路 図13-34 図13-33 PP 2 では出力の正の周期はTr1によって、負の周期はTr2によって出力されます。このようにするため には、図に示すように、各トランジスタを位相の反転した信号でドライブする必要があります。 このようにトランジスタを 個使用することにより、必要な期間のみトランジスタを動作させます2 ので、信号がないときにはコレクタ電流が にできるわけです。0

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図13 ところで、トランジスタはVBE 0.6Vが 以下になると全く電流が流れませんでした。ですから の回路でも、この電圧分のバイアスは必要です。このバイアスを に示します。このよ -34 図13-35 うに、ぎりぎりトランジスタが働くようなバイアスを 級バイアスとよんでいます。ちなみに、今B まで用いてきた常にトランジスタが能動状態にあるようなバイアスは、 級バイアスとよんでいまA す。なお、この 級バイアスで、少し電流を大きくしたものは 級とよばれることがあるのですが、B AB この本ではこれも 級としています。B 今までの 級バイアスで信号が大きくなると、トランジスタの入力インピーダンスとして、小信A 号用のhieが使用できなくなりました。ですが、例えばゲインの計算には、hieを用いて、だいた いの目安を得ることができました。しかし、 級になると、いよいよこの計算もできなくなります。B これは図13-35を見れば納得できます。図では、歪みのない出力波形を描いていますが、実際は先 、 端の尖った歪みがでるのは明らかです。このように図の曲線に沿って出力が変わるわけですから のような線形の計算はできなくなるわけです。あえて を使うとすれば、信号の最大コレク hie hie タ電流の半分でのhieを使用するという方法もあるでしょうが、かなり実際の値と異なる計算結果 になってしまいます。 では、 級バイアスでの、例えば電圧ゲインはどう計算すればよいのでしょうか。それは、回路B をこの計算がし易いように構成するばよいということになります。少々妙な論理ですが、電圧ゲ

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インの計算ができないような回路は非常に歪みが大きいことを意味しています。ですから、定電 流ドライブとか、エミッタに小さな抵抗を入れて、極力、図13-35の曲線の影響をなくす回路にす るべきなのです。こうすれば波形歪みが少なくなり、結果として電圧ゲイン等の計算も簡単にで きるようになります。 の 級バイアスをした回路を に示します。トランジスタの書き方を変えています 図13-34 B 図13-36 ので、図13-34とは違うイメージですが全く同じものです。この図のD1が 級バイアスを与えるダB イオードです。このダイオードの両端電圧は0.6Vくらいなので、ちょうどTr1,Tr2を 級バイアスB できるわけです。さらにTr1,Tr2のVBEは温度で変化しますが、ダイオードも同じ変化をしますの で、ちょうど打ち消すことができます。ここではダイオードを使っていますが、このダイオード 図11-26 の替わりにコレクタとベースを接続したトランジスタ(ダイオードになる。)を考えると、 ( )で示したカレントミラーになっているのがわかります。つまり、 に流す電流とほぼ同じコレb D1 Tr1,Tr2 R1 D1 クタ電流が に流れるのがわかります。また、 には大きな電圧がかかっていますので、 D1 Tr1,Tr2 の順方向電圧が温度で変化しても、 の電流はあまり変化しません。これは温度によって のバイアス電流(コレクタ電流)もあまり変化しないことを意味しています。なお、このように 級B バイアスをしたときに流れるトランジスタのバイアス電流は、アイドリング電流とよばれます。 どのくらいのアイドリング電流を流すかは、ある歪みの発生に関わってきますので重要な事柄で すが、これは具体的な アンプの製作で説明します。PP の は位相反転させた信号を作り出すものです。このようにトランスを用いると位相反 図13-36 T1 転が容易にできます。逆にトランスを用いないと位相反転をするのが非常に困難になります。一 度どうすればよいか考えてみたらいかがでしょうか。容易でないのがすぐにわかると思います。

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の のコレクタ電圧とコレクタ電流を に示します。ここでは簡単にするために 図13-36 Tr1 図13-37 アイドリング電流を にしています。この図を用いて各電力を求めたものを以下に示します。これ0 らはTr1の電力であり、全体の電力は 倍になることに注意が必要です。2 im=0 0 0 シングルアンプと比べ最も重要なことは、 、すなわち信号の電流が のときは、全電力が 0 になるということです。ただし厳密にはアイドリング電流が流れていますので、実際には完全に 、 にはなりません。もう一つ注意していただきたいのは、トランジスタの消費電力です。もちろん のときは です。注意が必要なのは、ある で最大になるということです。その と、そのと im=0 0 im im きの最大のトランジスタの消費電力は以下となります。 の アンプでは出力にトランスが必要でした。低周波トランスは何かと厄介なものです 図13-36 PP ので、トランスを必要としない回路が欲しくなります。その回路を図13-38に示します。スピーカ PP の一端はグラウンドに接続され、シングルエンドの出力になるので、シングルエンディッド・ SEPP OTL アンプとよばれます。以降 アンプとよぶことにします。出力トランスを使用しないので、 (アウトプットトランスレス)回路ともよばれます。

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この回路ではコンデンサ の両端電圧が電源になります。ですから、その電圧はC1 Vcc/2になるよ うにする必要があります。また、十分大きな容量が必要です。そのときの各トランジスタの動作 電源は図13-39のようになります。ここで、Vcc/2の電源は の両端電圧であり、C1 Vccは元の電源で す。( )は( )と全く同じ回路となります。一見すると、b a Tr1とTr2の動作は違うように見えるので すが、このように全く同じ動作をします。図13-37 PPで アンプの各電力を計算しましたが、同じ計 算をこの回路で行うとすれば、電源電圧としてVcc/2を使う必要があります。 の アンプでは、依然として各トランジスタを位相反転した信号でドライブする必要 図13-38 SEPP があります。出力トランスを不要にしたのですから、この反転に図13-36のようなトランスを使用 したくはありません。ですから、反転を必要としない回路が欲しくなります。幸いにしてトラン 、 ジスタにはNPN PNPと という二つのタイプがあります。この二つのタイプをうまく組み合わせると 位相反転した信号の不要な回路を構成することができます。その回路を図13-40に示します。各特 性がほぼ同じで、タイプの違うトランジスタをコンプリメンタリー(相補)トランジスタとよびま すので、これらの回路はコンプリメンタリーSEPPアンプとよばれます。この本では単にSEPPアン プとよぶことにします。

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( )は電圧出力、つまりエミッタフォロアでスピーカをドライブするものです。入力信号の正のa 周期ではTr1が、負の周期ではTr2が動作します。一方、( )は電流出力、つまりエミッタ共通回路b でスピーカをドライブします。入力信号の正の周期ではTr2が、負の周期ではTr1が動作します。 ところで( )の回路は、a 図13-12(a)のエミッタ抵抗をPNPトランジスタに置きかえたものと考えるこ とができます。ですから、出力のコンデンサは図13-39のようにトランジスタの動作電源と考える 必要はありません。 a Tr1 V ここで、両方式での最大出力電圧を考えます。まず( )の正の出力ですが、 のベース電圧が になったときに最大になり、 となります。このときの は、コレクタ電流が大きいの cc Vcc-VBE VBE で ぐらいになります。ですから、正の最大出力は1V Vccより ぐらい小さくなります。ただし実際1V の回路では、ベース電圧をVccにまで上げることはできず、Vcc-1Vぐらいまでしか上げることがで きません。結局Vccより くらい下がったところが正の最大出力となります。以上は正の出力で考2V えましたが、負の出力でも同様です。ですから、( )の出力は正ではa Vcc-2.0Vくらいまでしか上が 2.0V Vcc=6V 2.0V 4.0V らず、負では くらいまでしか下がらないことになります。例えば の出力は ~ くらいになります。 が中心ですので、3V 1.0Vが出力信号のピーク値になります。 一方( )の最大出力はどうなるでしょうか。( )の正の最大出力はb b Tr1のベース電圧が下がったと きに得られます。ですから( )と違い、十分a Tr1をドライブすることができます。このとき、Tr1の は 飽和電圧という電圧まで小さくなることができます。この 飽和電圧は ~ とい VCE VCE VCE 0.1V 0.2V う非常に小さい電圧です。Tr1に十分ベース電流を流すと、コレクタにプラスの、ベースにマイナ スの電荷が蓄積され、コレクタ電圧がベース電圧よりも高くなる現象が起こります。この現象の ために、Tr1のVCBは0.1V~0.2Vという小さな値になることができるのです。( )のa Tr1ではベース 電圧がVccになったとき、コレクタとベースが同じ電位ですので、決してこの現象は起こりません。 なお、Tr2が働く負の出力でも同様に、Tr2のVCEはVCE飽和電圧である0.1V~0.2Vという非常に小 さい値まで下がることができます。以上のように( )の出力は、ほぼ から電源電圧まで動作できb 0V るのです。ちなみにOPアンプで「レール・ツー・レール」とよばれる、ほぼ0Vから電源電圧まで 動作できるタイプは、大抵はこの( )の構成になっています。b 以上述べたように電源電圧の利用度という点では圧倒的に( )が有利ですが、実際の回路を構成b するのは非常にむずかしくなります。以下、このことについて説明します。図13-40では 級バイB 図13-アスを考えていませんので、 級バイアスを考えることにします。まず( )の回路からです。B a に 級バイアスをかけたものを示します。 41 B

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が に 級バイアスをかけるダイオードです。 と同じように、これらのダイ D1,D2 Tr1,Tr2 B 図13-36 オードをコレクタとベースを接続したトランジスタで置きかえると、D1,D2とTr1,Tr2はカレント ミラーと考えることができます。ですから、図の とI0 I1,I2はほぼ同じ電流であり、さらに温度変 I1 I2 I1= 化も補償されることがわかります。ここで、 と が同じになる必要があるのですが、これは になるように のエミッタ電圧が自動的に上下します。例えば が大きいときはエミッタ I2 Tr1,Tr2 I1 電圧が上がり、よって が小さく が大きくなるように働き、必ずI1 I2 I1=I2になります。また、出力 であるエミッタ電圧はVcc/2になる必要があるのですが、これは の調整により容易に実現できまR1 す。この はR1 図13-27のVR1と同じ働きです。この図13-41の回路は、ほぼ実際の回路です。このよ うに図13-40(a)の回路は電源電圧の利用度が悪いのですが、実現は実に簡単です。 次に図13-40(b)の回路に 級バイアスをかけた回路の一例をB 図13-42に示します。D1、D2が 級バB イアスをかけるダイオードです。この回路もカレントミラーと考えることができます。Tr3,TR4は 一見すると図13-41の回路のようですが、エミッタをVcc/2で固定していますのでエミッタ共通回 D3,D4 Tr3,Tr4 I0 I3, 路になります。この と もカレントミラーと考えることができます。ですから と さらに は、ほぼ同じ電流ですので、 のアイドリング電流である は で調整で I4 I1,I2 Tr1,Tr2 I1,I2 I0 きるのがわかります。 この回路の動作ですが、例えば信号の正の周期では、Tr3がエミッタ共通回路として働きます。 もちろん、このときTr4は動作しません。そのTr3のコレクタ電流(信号)でD1,Tr1のカレントミラ ー回路をドライブしますので、Tr3のコレクタ電流がTr1のコレクタ電流となります。つまりTr1は 電流増幅していないことになります。

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以上のように図13-42で基本動作はしますが、問題点がいろいろとあり、実際に動作する回路に するのは非常に困難です。その問題点を以下に列挙します。 1.I0→I3→I1とニ段階でI1を制御するので、I0とI1がかなり違ってしまいます。またI0→I4→I2 も同じですから、最終のI1とI2がかなり違ってしまいます。ですから、I1とI2を同じにするた めの制御ループが必要ですが、これがなかなか大変です。 出力を に制御するループも必要ですが、これもなかなか大変です。 2. Vcc/2 はカレントミラーですので、このままでは の を 飽和電圧にできません。ですか 3.D1,Tr1 Tr1 VCE VCE ら に直列に抵抗を入れるなどして、大きいドライブ電流ではD1 Tr1 VCE VCEの を 飽和電圧になるよ うにしないと、この構成にした意味がなくなります。しかし、こうするとI3とI1のバランスが くずれてしまいます。 のために の電源が必要ですが、これを作るのも大変です。 4.Tr3,Tr4 Vcc/2 図13-42 図13-36 図13-以降では、 の構成は断念して、 の出力トランスを用いた アンプ、およびPP の アンプを具体的に製作します。一石、ニ石のシングルアンプでは実用性がなく、あくま 41 SEPP で検討用として製作したのですが、以降で製作するPPアンプは長期使用を目的としたものになり ます。 ●出力トランスを用いたPPアンプ に出力トランスを用いた アンプの基本構成を示しましたが、ここではこの アンプを 図13-36 PP PP 実際に製作します。かつての 石スーパーラジオでは、ほとんどこの構成の アンプが使われてい6 PP ました。いわば古典的な回路です。実際に製作したものを写真13-3に、その回路図を図13-43に示 します。以降で製作するアンプも同様ですが、前章で製作したIFアンプに接続できるようにコネ 。 クタを付けています。Tr2は図13-36の に相当するもので、トランジスタによるダイオードですD1 ですからTr2 Tr3 Tr4と 、 はカレントミラーとなります。かつては、ここにバリスターという、この 回路専用のダイオードが使われていましたが、このバリスターの入手は困難です。しかし、トラ ンジスタが安価になった今では、なにもバリスターを使用しなくてもトランジスタを使用すれば よいわけです。なんといっても、Tr3,Tr4のアイドリング電流の温度補償には同じトランジスタを 使うのがベストです。 ~ はアイドリング電流安定用であり、後で説明します。R6 R8 Tr1はドライバ トランスST-23のドライブ用です。この回路では電圧ゲインが高すぎますので、 にバイパスコンR4 デンサを付けていません。もっと電圧ゲインを高くしたいなら、ここにバイパスコンデンサを付 けてください。Tr3,Tr4の大電流によって電源電圧が変動する可能性がありますが、R1,C1はこの 電源電圧変動による電圧帰還を防止するフィルタです。念のために付けたもので、必ず必要なも のではありません。

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写真13-3 製作したトランス式PPアンプ のアイドリング電流について説明します。 によって のダイオードに電流を流しま Tr3,Tr4 R5 Tr2 すが、この電流はTr2の順方向電圧を0.65Vとして、(6V-0.65V /10k =0.54mA) Ω となります。実際に 両端の実測電圧は ですので、 Ω となります。 は とカレントミ R6 5.3mV 5.3mV/10 =0.53mA Tr3,Tr4 Tr2 ラー回路となっていますので、Tr3,Tr4のコレクタ電流もほぼ同じとなります。実測ではR7,R8両 端電圧が、5.6mV 5.3mV、 ですので、確かにこのようになっています。Tr2,Tr3,Tr4はこのようにカ 、 レントミラーとなっていますので、極力密着して配置する必要があります。密着して配置すると 例えばTr3が発熱してもTr2も同じ温度になりますので、Tr3のアイドリング電流が異常に大きくな ることがありません。 もしTr2,Tr3,Tr4が全く同じトランジスタで、かつ完全に密着されていれば、エミッタに入れた 抵抗R6,R7,R8は不要です。ですが実際には、各トランジスタのVBE-Ic特性が多少なりとも違いま すし、また温度も違ってきます。そうするとコレクタ電流に差が生じますが、これらの抵抗によ り、この差を小さく抑えることができます。例えばTr3のコレクタ電流だけが異常に大きかったと します。そうすると、R8両端の電圧も大きくなりなりますが、これはベース電流を減らし、よっ てコレクタ電流を減らすように働きます。ところで、この回路では電流が小さいので、まず起こ らないのですが、トランジスタの熱暴走という現象があります。これは例えば、Tr3のコレクタ電 流→Tr3が温まる→Tr3のhFEが大きくなる→コレクタ電流が増す→Tr3がますます温まる、といっ た正帰還でTr3が異常に発熱して壊れる現象です。この回路のように があると、この現象も抑えR8

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られます。この抵抗は大きい程、以上の効果が大きくなりますが、ここでの電圧降下の分だけ信 号電圧が小さくなりますので、むやみに大きくできません。 に示す の入力信号をつないだときの出力波形を に示します。 と同じ 図13-43 1kHz 図13-44 図13-21 く、このアンプの電圧ゲインは大きいので、入力信号の出力インピーダンス はRo 470Ωにしていま す。図13-45には、このときのTr1とTr3のコレクタ電圧波形を示します。Tr3は半分の周期しか働 いていないので、Tr3のコレクタ電圧波形は半波整流のような波形になるのではと思ってしまいま すが、トランスでTr4のコレクタと結合しているので、このような全波の波形となります。Tr3の コレクタ電圧(ピーク値)は約 ですので、だいたい、これくらいが最大の出力です。4V (上: Ω両端、下:入力信号) 図13-44 出力波形 8 各コレクタ電圧波形(上: 、下: ) 図13-45 Tr3 Tr1 950mV/110mV=8.6 Tr1 図13-44より電圧ゲインは 倍になります。これを計算で求めてみます。まず のコレクタ電流(信号)を求めます。Tr1の入力インピーダンスは高いので、ベース電圧はほぼ入力 R4 Tr1 110m 信号電圧です。このベース電圧が、ほぼ の両端電圧になりますので、 のコレクタ電流は Ω となります。ちなみに直流のコレクタ電流は、この電流より十分大きい に設 V/1k =0.11mA 0.7mA 定しています。このコレクタ電流がトランス を介して、T1 Tr3,Tr4のベース電流になります。です から、Tr3,Tr4を歪みの小さくなる定電流ドライブをしていることになります。Tr3,Tr4は同じ回

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Tr3 Tr3 8 3.9 3.9=120 Tr3 路ですので、ここでは で考えます。 のコレクタ抵抗は Ω× × Ωですから、 のコレクタ電圧は0.11mA 2 200 120 =5.3V× × × Ω となります。ここで× はトランス の巻き数比が2 T1 のためです。また、 は ですが、 級バイアスですので直流の電流増幅率 を使用しま 1:0.5 200 hFE B hFE した。 Ω両端では8 5.3V/3.9=1.4Vです。ですから計算での電圧ゲインは1.4V/110mV=13倍となりま す。以上の計算ではトランスでの損失を全く考慮していませんので、このように実測の8.6倍に比 べ随分大きくなります。なお図13-44には、図13-11 図13-23や のように信号間の位相差が認められ ません。これはトランスに流している直流電流が小さいために、トランスのインダクタンスが低 下することがないためと思われます。 ところで図13-45を見ると、Tr1のコレクタ電圧は、上がなまった波形になっています。これは 電流が大きくなると、Tr3,Tr4の入力抵抗が小さくなるためです。 級バイアスなので、この入力B 抵抗は非線形の抵抗です。なお、電圧がこのように歪んでいますが、電流は歪んでいないのは、 re=0 Tr3 hFE R8 図13-21のときと同じです。ここで、 として の入力インピーダンスを計算すると、 × =200×10Ω=2.0kΩです。ここでも 級バイアスですので直流の電流増幅率B hFEを使用します。Tr1 T1 2 2.0k 2 2=8.0k T のコレクタの負荷は、トランス の巻き数比の 乗を掛けて、 Ω× × Ωとなります。 のコレクタ電圧は、これにコレクタ電流 を掛けて、 Ω× となります。 r1 0.11mA 8.0k 0.11mA=880mV この計算結果は、だいたい図13-45と同じになりましたが、あくまで参考的な計算です 。。 以上、アイドリング電流が0.5mAのときの波形について述べましたが、この電流を小さくすると どうなるでしょうか。図13-46にTr3のドライブ電流を示します。ここでIdはアイドリング電流で す。Tr3のベース電流 は図のように流れますが、このとき実際は が小さくなります。ですから、ib Id は より必ず大きい必要があります。 の最大値は前述したように × でしたか Id ib ib 0.11mA 2=0.22mA ら、 はこれより大きくしておかなくてはなりません。Id

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図13-47 アイドリング電流0.1mAのときの出力波形 (上:出力、下:入力信号) 実際にR5を大きくしてIdを0.1mAにしたときの出力波形を図13-47に示します。このようにアイ ドリング電流を0.22mAより小さくすると、ピークが鈍った波形となってしまいます。ですから、 では余裕をみて に設定したのです。 図13-43 0.5mA では、図13-46でTr2、R6の直列回路にバイパスコンデンサを付ければよいのでは、と思ってし まいますが、これはできません。 級バイアスなので、B Tr2、R6の直列回路には、半波整流のよう に一方向の電流しか流れていませんので、バイパスコンデンサには直流電圧が発生してしまいま す。そして、この直流電圧が信号の強弱で変化するので、正常な動作ができなくなってしまうの です。このことは、R7,R8についてもいえることです。R7,R8を大きくしてバイパスコンデンサを 付けたくなりますが、これは絶対にできません。 では、 級バイアス電圧を小さくして、アイドリング電流を完全に にするとどうなるでしょうB 0 か。R5は10kΩのままで、TR2を470Ωに置きかえてみます。こうするとTr3,Tr4のベース電圧(直 流)は約0.3Vとなります。ですから、アイドリング電流は完全に になります。このときの出力波0 形を図13-48に示します。このように 級バイアス電圧を小さくすると、当然のことながらトランB ジスタの動作しないところが発生します。これをクロスオーバ歪みとよんでいます。今回は 級バB イアスの設定に同じトランジスタを用いましたので、このクロスオーバ歪みは非常に発生しにく いのですが、Tr2に実際のダイオードを使うときは十分注意する必要があります。

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(上:出力、下:入力信号) 図13-48 クロスオーバ歪み 最後に重要な注意があります。今回は検討しやすいように抵抗等にICソケットを使用していま T1 Tr す。ですから、部品の接触の信頼性がやや低下しています。図13-43の回路において、 の黒→ 2のベース・コレクタ→Tr2のエミッタ→ →グラウンドの配線の内、どの個所が外れてもR6 Tr3,Tr4 に非常に大きいコレクタ電流が流れてしまいます。長期使用をする場合、以上の個所はソケット の使用は止めて、必ず直接半田付けをするようにお願いします。 ●SEPPアンプ 。 ここでは図13-41のSEPPアンプを実際に製作します。実際に製作した回路を図13-49に示します と比べ、あまり変わったところはありません。 のダイオードはトランジスタによ 図13-41 図13-41 るダイオードに置きかえています。これは前項のトランス式PPアンプのときと同じです。各トラ 、 ンジスタのエミッタに入れた抵抗 ~ は、トランス式 アンプのときと同じ働きです。ただしR2 R5 PP のコレクタ電流が大きいので、このように小さい値しか使用できません。スピーカをドラ Tr4,Tr5 イブするトランジスタは2SC2001と、そのコンプリメンタリーである2SA952にしています。これは コレクタ電流(信号)が100mA 200mA~ に達するからです。ヒューズについては後で説明します。

参照

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