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あおい

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Academic year: 2021

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瀬戸大橋開通とその影響

理学部3 回生 加納 将行 工学部1 回生 樋口 貴士

1. はじめに

1988(昭和 63)年 4 月 10 日、本州・四国(以下本四)を結ぶ連絡橋として瀬戸大橋が 開通した。瀬戸大橋は現在本四間を結ぶ3 本の橋の中で唯一の鉄道道路連絡橋である。本 州側から下津井瀬戸大橋、櫃石島橋、岩黒島橋、与島橋、北備讃瀬戸大橋、南備讃瀬戸大 橋の6 橋で構成され、鉄道道路併用橋としては世界最長を誇り、全長 9.4km(橋梁部)で ある。 この稿では、瀬戸大橋の開通までの経緯について述べた後、開通による鉄道輸送面の変 化を中心に述べる。尚、鉄道貨物、バスや自家用車、民間航路には触れない。

2. 開通までの経緯

2.1 概略

瀬戸大橋開通までの経緯を年表形式にしたものが下の表である。内容の詳細については 次節以降で述べる。 表1 「瀬戸大橋開通までの経緯」 1889(明治 22)年 5 月 23 日 香川県議大久保諶之丞が本四架橋を提案 1955(昭和 30)年 5 月 11 日 国鉄連絡船紫雲丸事故 1961(昭和 36)年 4 月 5 ルート調査開始 1969(昭和 44)年 5 月 30 日 3 ルートに決定 1970(昭和 45)年 7 月 1 日 本四公団設立 1977(昭和 52)年 11 月 4 日 児島・坂出ルートに決定 1978(昭和 53)年 9 月 29 日 環境庁(当時)児島-坂出ルート了承 1978(昭和 53)年 10 月 10 日 瀬戸大橋起工式・建設開始 1979(昭和 54)年 11 月 30 日 本四備讃線高架橋着工 1989(昭和 63)年 1 月 8 日 レール締結式 1989(昭和 63)年 2 月 8 日 訓練運転開始 1989(昭和 63)年 3 月 20 日 茶屋町~児島間開通

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2.2 大久保諶之丞による提案 ~瀬戸大橋開通を夢見て~

現在より100 年以上前の 1889(明治 22)年 5 月 23 日、香川県議会で県議会議員大久 保諶之丞は「塩飽諸島ヲ橋台トシテ架橋連絡セシメバ常ニ風波ノ憂ナク南来北向東奔西走 瞬時を費サズ、ソレ国利民裕コレヨリ大ナルハナシ」と発言したという記録が残っている。 これが初の本四連絡橋に関する言及であるとされている。しかしながら当時は技術的に実 現の可能性が低く、聞き入れられることはなかった。

2.3 紫雲丸事故

大久保の発言から半世紀以上経過した1955(昭和 30)年 5 月 11 日、高松港を出航し た宇高連絡線「紫雲丸」が濃霧の中で大型貨車運航船「第三宇高丸」と衝突・沈没し、修学旅 行中の小学生を中心に168 名の死者が出た(紫雲丸事故)。これにより、瀬戸大橋建設(本 四架橋)が現実味を帯びることとなった。

2.4 調査開始から開通に至るまで

紫雲丸事故の後各方面からさまざまな提唱がなされた。それを受けて1961(昭和 36) 年4 月、当時の建設省は明石・鳴門ルート、日比・高松ルート、児島・坂出ルート、尾道・ 今治ルート、宇野・高松ルートの計5 ルートについて調査を開始した(図 1 参照)。それ から8 年後の 1969(昭和 44)年 5 月 30 日、明石・鳴門ルート(現明石海峡大橋・大鳴 門橋)、尾道・今治ルート(現瀬戸内しまなみ海道)、児島・坂出ルート(現瀬戸大橋) の3 ルートに決定した。1970(昭和 45)年 7 月 1 日に本州四国連絡橋公団が設立され、 1977(昭和 52)年 11 月 4 日に早期完成ルートとして児島・坂出ルートが決定された。ル ート決定までにオイルショックの影響を受け多少遅れが生じたが、1978(昭和 53)年 10 月10 日の起工式を経て、瀬戸大橋は着工されることとなった。

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瀬戸大橋は付近の瀬戸内海の風景との調和を意識したライトグレーを基調としている。 海峡部の平面線形は160km/h の鉄道設計速度が確保され、将来新幹線規格の複線を併設 しうるような措置がとられている。 図1 「本四架橋調査ルート」 実線:現在供用中 破線:却下されたルート (1) 明石・鳴門ルート :大毛島・淡路島を経由 (2) 日比・高松ルート :大槌島・子槌島を経由 水深が深く不可 (3) 児島・坂出ルート :櫃石島・岩黒島・与島を経由 (4) 尾道・今治ルート :向島・因島・生口島・大三島・伯方島・大島を経由 (5) 宇野・高松ルート :直島・男木島・女木島などを経由 橋梁距離が長く不可 (1) (2) (5) (5) (3) (4)

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図2 「児島・坂出ルート 瀬戸大橋」

3. 瀬戸大橋開通とその影響

3.1 瀬戸大橋開通に伴う四国の路線事情の変化

瀬戸大橋から予讃線宇多津~坂出間へは利便性の観点からどちらの方向へも接続できる ようになっており、四国内で坂出・高松方面行きの線路と宇多津・丸亀方面行きの線路に 分岐する。それぞれ予讃線に接続するため鉄道高架線のデルタ地帯が形成されることとな った。 瀬戸大橋開通により、JR 四国は岡山という本州のターミナルが利用できるようになっ た。これら岡山・高松という2 大ターミナルから四国各都市への旅客輸送が乗り換えなし で行われることが最も望ましい。ところが、JR 四国では単線区間がその大半を占めると いう設備面の関係から特急は1 時間に 1 本が限界である。そこで現在は宇多津において優 等列車の分割併合を行うことによって、双方の旅客の需要にこたえる次善策がとられてい る。また、瀬戸大橋線と愛称のつく岡山~高松間のうち、宇野線に含まれる岡山~茶屋町 間にも単線区間が存在する(現在複線・高架化事業も進められている)ために、この場合 も宇多津において分割併合により列車総数を減らす工夫がなされている。

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表2 「本四間所要時間概要」 区間 所要時間 開通前(A) 開通直後(B) 現在(C) (A)-(B) 岡山~高松 約 1 時間 45 分 58 分 52 分 約50 分 岡山~松山 約 4 時間 45 分 約3 時間 約2 時間 40 分 約 1 時間 15 分 岡山~高知 約 4 時間 30 分 約3 時間 約2 時間 30 分 約 1 時間 30 分 岡山~徳島 約3 時間 約2 時間 15 分 約2 時間 約45 分 (注)表中の時間は最速列車の平均所要時間を示している。 開通前の高松における接続時間はいずれも最短の場合を採用している。 現在瀬戸大橋には特急の『南風』、『うずしお』、『しおかぜ』、『サンライズ瀬戸』、快速の 『マリンライナー』、普通列車、さらに季節列車として『瀬戸大橋アンパンマントロッコ』 『ムーンライト高知・松山』が走行している。利用者の拡充を図る上で、JR 四国では優 等列車に対して新型車を積極的に取り入れ、高速化を図っている(表2(B)(C)参照)。 マリンライナーも2003(平成 15)年秋から一斉置換が実施され、すべて新型車の 223 系 5000 代および 5000 系となり 130km/h 運転が可能となった。

3.3 開通に伴って生じた問題点

瀬戸大橋開通に伴って生じた問題のうち、特に大きなものは列車の走行による騒音問題 である。瀬戸大橋が開通した当初、国鉄型重量車両が多く走っていた。そのため、橋下の 地域では列車車内での騒音と同程度の80 ホンの騒音が記録されていた。近隣の住民から 訴えが相次いだことから、JR 四国は重量車両の早朝運用の差し替えや、減速運転などを 行うなどの対応をとった。現在は新型車への置き換えが進んだ上、引き続き鷲羽山トンネ ルから与島にかけての区間で減速運転がなされているため騒音基準値を下回っている。 また、しばしば強風が列車の運行に支障をきたす。瀬戸大橋では瞬間風速25m/s が抑止 の基準となっている。抑止となった場合、快速マリンライナーなどは児島で打ち切りもし くは宇野行きとなり宇高国道フェリーに接続し、岡山~高松間の代替輸送を図ることとな る。

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4. まとめ

以上のように、瀬戸大橋開通により本四間の交通の便は格段に良くなったと言える。い ったん減少した利用も近年は再び増加に転じ、JR 四国による統計では 2006(平成 18)年 度の瀬戸大橋線の列車別の1日平均利用者数は快速マリンライナーが12,926 人(前年度 比1.3%増)、特急しおかぜは 5,311 人、特急南風は 2,671 人である。また、1 年を通した 利用では開業当初の4 分の 3 程度の水準の 800 万人台となった。だが、依然開業当初と比 較すれば低水準であるといえる。 新型車の投入など高速化という対応の次にどのような手で瀬戸大橋、そしてJR 四国の 利用者増加が行われるのか、また同時に周辺住民への対応がどのようになされてゆくのか が重要であろう。

参考文献

藤本由光「概説:本州四国連絡橋―本四備讃線」『鉄道ピクトリアル』No.497(1988 年 6 月号)、鉄道図書刊行会、41-48 頁 種村直樹「JR〝63・3〟ダイヤ改正」『鉄道ジャーナル』No.259(1988 年 5 月号)、鉄道 ジャーナル社 編集部「レールウェイ・レビュー」『鉄道ジャーナル』No.263(1988 年 9 月号)、鉄道ジ ャーナル社、100 頁 編集部「JR〝63・3〟ダイヤ改正の全貌」『鉄道ジャーナル』No.257(1988 年 3 月号)、 鉄道ジャーナル社、64-74 頁 岩本亮「新型車両プロフィールガイド 新型<マリンライナー>JR 四国 5000 系 JR 西 日本223 系 5000 代」『鉄道ジャーナル』No.444(2003 年 10 月号)、鉄道ジャーナル 社、70-74 頁 井原健雄『本四架橋と地域経済―制度分析と整備効果・政策課題』勁草書房、2003

図 2  「児島・坂出ルート  瀬戸大橋」  3. 瀬戸大橋開通とその影響  3.1 瀬戸大橋開通に伴う四国の路線事情の変化  瀬戸大橋から予讃線宇多津~坂出間へは利便性の観点からどちらの方向へも接続できる ようになっており、四国内で坂出・高松方面行きの線路と宇多津・丸亀方面行きの線路に 分岐する。それぞれ予讃線に接続するため鉄道高架線のデルタ地帯が形成されることとな った。    瀬戸大橋開通により、JR 四国は岡山という本州のターミナルが利用できるようになっ た。これら岡山・高松という 2 大ターミナル
表 2  「本四間所要時間概要」  区間  所要時間  開通前(A)  開通直後(B)  現在(C)  (A)-(B) 岡山~高松  約 1 時間 45 分  58 分  52 分  約 50 分  岡山~松山  約 4 時間 45 分  約 3 時間  約 2 時間 40 分  約 1 時間 15 分  岡山~高知  約 4 時間 30 分  約 3 時間  約 2 時間 30 分  約 1 時間 30 分  岡山~徳島  約 3 時間  約 2 時間 15 分  約 2 時間  約 45 分  (注)表

参照

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