ミシガン州立大学教育学部
教育実習の様子
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ミシガン州立大学の教師インターンシップ
岸 本 実
(教育学部教授)
海外研究報告
2005年3月1日から5月31日までの3 ヶ月間、海外先進教育研究
実践支援プログラムにより、アメリカ合衆国の三つの州立大学教育学
部(ミシガン州立大学、ペンシルヴェニア州立大学、カリフォルニア
州立大学ノースリッジ校)における教員養成および教育実習のプログ
ラムを調査・研究してきました。
今回は特に2ヶ月あまり滞在したミシガン州立大学(MSU)の様
子を報告します。1983年の『危機に立つ国家』という報告書は、米国
の子どもの学力低下などの教育危機は国家の危機であると警鐘をなら
し、その原因の一つとして教師の質の問題を指摘しました。そうした状況の中、全米の教育学部長を中心
に構成されたホームズ・グループは、今日の米国の教師教育の動向を方向付けている重要な報告書の一つ
『明日の教師』(1986年)を発表し、教師教育の改革を提言しました。当時のグループ代表でもあった、
MSU教育学部長ラニア(Judith Lanier)の指導により、MSUでは1988年より、学部の3年生から大学院
レベルの1年間のインターンシップまでの3年間の教員養成プログラムが開発されました。現在でもこの
プログラムの基本の構造は継承されていて全米でも高い評価を得ています(U.S. News & World Report
による2007年のランキングでは初等教育、中等教育の教員養成では12年間連続1位)。
訪問をして特に印象に残ったのは、卒業時に求められる教師の専門性
がスタンダードとして明確に規定されていることでした。教科の知識と
教授法、子ども理解、学級経営、そして学校の同僚や保護者との連携を
とる能力など、初任者として十分に責任を果たす有能性が卒業生に求め
られています。また、即戦力としての実践的指導力だけでなく、生涯に
わたって教師として成長・発達をしていくための基礎となるような、自
己の実践を振り返り反省できるような探究能力を備えさせることが強調
されています。この目標に沿って子どもや学習の理解、教科の教授法などの科目が構造化され、最後の1
年間のインターンシップの経験の中で仕上げられるようになっています。この1年間の見習い期間は、地
域の協力校のクラスの担任教師の下で、最初は補助的な役割から最後には単独ですべての責任を任される
指導者になるように成長するようにプログラム化されています。教育実習が1年間に延長されただけでは
ないことは特に次の2点で示されています。一つは、協力校で実習を行うのは週の4日間で、残りの1日
は大学に戻り学部教師の指導の下、実習を振り返り、次の見通しを持つようなリフレクションの時間を持
つことです。もう一つは、協力校での指導を担任教師にまかせっきりにするのではなく、大学のスタッフ
として実地指導講師(fi eld instructor)がひとり当たり6名を担当して巡回指導を行っている点です。イン
ターンの評価は担任の教師とも協議の上で、実地指導講師が責任を持って行うようになっています。
MSUでの2 ヶ月間は学生寮のゲストルームに泊まり、大学の講義や演習に出席したり、小中高校を訪問
したりして、久しぶりに学生生活を楽しみました。期間中MSUのバスケットボールチームが男女共にファ
イナル・フォーに(女子は決勝戦まで)勝ち進みました。社会科教育法のオールマン先生も、試合の翌日
にはスクールカラーのグリーン一色のスーツで登場し雰囲気を盛り上げていました。家族的でアットホー
ムな雰囲気は、地域の協力校にも共通していて、こうした中で、学生が育っていることを実感しました。
しがだい25号.indb 24 2007/02/23 16:25:39