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食生活で重視することとメニュー選択の関係について

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第4章

食生活で重視することとメニュー選択の関係について

滋賀大学データサイエンス学部 釼持実祐

1.問題の所在 近年、日本人の食生活をめぐって、安全・安心を揺るがす問題、食の偏りや栄養バラン スの偏り、グローバル化に伴う食の海外への依存、単身や共働き世帯の増加による加工食 品利用の増加や子どもの孤食の増加、「一汁三菜」といわれる日本の伝統的食生活の喪失な ど様々な問題が生じている。このような問題に加え、栄養バランスの崩れに伴う肥満や生 活習慣病患者が増加し、高齢化が急速に進んでいる今、「健康」に関心が高まり、「日本型 食生活」が改めて見直されている。「栄養バランスの良い食事」や「家族や仲間との楽し い食事」などの健康習慣は、はつらつと生活をするうえで重要である(菊池ほか 2020)。 このような中で栄養バランスをとる手段は沢山あり、その1つとして 会社 X などの食材 配達サービスがある。 食材配達サービスとはカタログやインターネットで注文した食材が 定期的に家に配達されるサービスで、メリットとして、買い物時間の短縮や食材の安全性 の確保、栄養バランスの取れた食事の実現が挙げられる。さらに働く女性の増加や高齢化 の進行などライフスタ イルの多様化に伴い、共働き世帯や高齢者を中心に需要が高まって いる。このような食材配達サービスの中でも会社 X には多数のメニューがあり、利用者そ れぞれのライフスタイルに合わせて、利用メニューを選択することができる。 このように、様々なメニューがある中で、どのような背景を持っている人がそれぞれの メニューを選ぶのだろうか。消費者の食事メニューの選択には、「安価であること」や「野 菜が入っていること」など消費者がそれぞれ持っている価値基準や重視項目などの消費者 ニーズが関連していると考えられる。食生活の改善を図るためには 、食環境の整備が必要 であり、食環境の整備には消費者のニーズを捉えることが重要であると考える。 以上をふまえ、本稿では、「食生活において重視していることとメニュー選択の関連」 を明らかにすることを目的とする。続く第 2 節では先行研究を整理し、本稿で分析をする 仮説を構築する。第 3 節では使用するデータと変数を概観し、第 4 節で分析結果を報告す る。最後に第 5 節で分析結果から考察を行う。 2.先行研究と仮説 2―1.先行研究の整理 食生活において重視していることとメニュー選択の関係を検討した先行研究は少ない。 しかし、「食生活において重視していること」と「メニュー選択の基準」のそれぞれに着目 した研究は存在する。 まず、「食生活において重視していること」に着目した研究として、村田・政木・萩原

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20 (2016)がある。この調査からは、10 年前と比べ、食品を買う際に重視することに「安全 なこと」を挙げる人が増えていることがわかる。特に、国産の食材か外国産の食材かの選 択において、強い安全志向が顕著に現れた。生鮮食品は高価でも国産を選ぶ人が 8 割に上 り、その多くが安全性を理由に挙げたことから、日本人は食の安全や食品の産地を重視す る傾向にあることがわかる。また、若者ほど「おいしいものを食べること」が、高齢にな るほど「栄養がとれること」や「楽しく食べること」が重視されることが確認された。 次に、「メニュー選択の基準」についての研究として、緒方・久野 (2019)がある。緒方・ 久野は勤労者の昼食選択における価値基準からニーズを想起し、勤労者の食事選択傾向を 把握した。昼食選択の価値基準を分類した結果、「グルメ型」「価格評価型」「こだわり無し 型」の 4 つに分類でき、それにより、昼食選択行動の特徴に違いがある可能性が示唆され た。 以上のように、「食生活において重視していること」と「メニュー選択の基準」のそれぞ れに着目した研究はあるが、双方に着目した研究は乏しい。また、「メニュー選択の基準」 に関しては、勤労者に絞った調査であるため、ライフスタイルを考慮する必要があると考 える。 2-2.仮説と分析方法 2-2-1 会社 X の商品の特徴 会社 X には「タイプ A」、「タイプ B」、「タイプ C」と3タイプのメニューが存在する。本 稿では、利用者の多くが利用している「タイプ A」に着目した。「タイプ A」には、本格手 作りメニューから冷凍弁当まで様々なコースが用意されており、利用者のライフスタイル に合わせて、メニューを選択することができる。その中でも、利用者自ら「手作り」する コースである「商品 A」、「商品 B」、「商品 C」に着目した。各メニューの特徴と想定する利 用者のライフスタイルを表1に示す。この表によると、「手作り」するコースの中でも、特 徴は異なっている。よって、利用者がメニューを選択する際、メニューの 特徴が基準にな るのではないかと考えた。そして、その特徴は利用者が「食生活において重視しているこ と」と一致していると考える。 表1.各メニューの特徴 メニュー 特徴 想定する利用者のライフスタイル 商品A 子育て応援 料理初心者 共働き 子育てママ 商品B 栄養バランス 料理好き 食材バランス 共働き 子育てママ 商品C 旬のおいしさ 料理好き 共働き

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21 2-2-2 仮説と分析方法 以上をふまえて、本稿では「利用メニューの特徴と食生活において重視していることは 一致する」仮説を検討する。商品 A の特徴は「子育て応援」であるが、「食生活において 重視していること」にそのような質問項目はない。そこで、「食育」の視点から、「家族 と一緒に食事をとること」を特徴にあてはめて、 商品 A を利用している人ほど「家族と一 緒に食事をとること」を重視しているという仮説を立てる。また、商品 B の特徴である「食 材バランス」については「夕食におかずを 3 品以上用意すること」とし、商品 B を利用し ている人ほど「栄養バランス」や「夕食におかずを 3 品以上用意すること」を重視してい るという仮説を立てる。更に、商品 C に関しては、商品 C を利用している人ほど「旬の食 材を食べること」を重視しているという仮説を立てる。仮説を検討するにあたり、まず、 各メニューの利用経験と重視していることの各項目との 2 変数のクロス表によって検討す る。しかし、今回の仮説を検討するには、 メニューの利用経験と重視していることの関連 を観るだけでは不十分である。なぜなら、重視していることには年代、利用メニューには ライフスタイルが関連していると想起されるためである。よって、 2 変数の関連だけでは なく、年齢やライフスタイルを統制した多変量解析によって重視していることとの関連が なお有意であるか検討する。 3.使用するデータと変数 3-1.使用するデータ 使用するデータには、「食とライフスタイルに関するアンケート」(以下 会社 X 調査と表 記)を使う。調査の概要を表2に示す。 表2.調査概要 3-2.使用する変数 従属変数には「利用したことのあるメニュー」を使用する。「 会社 X 調査」では、1 週間 あたりの平均的な利用頻度についてメニューごとに尋ねている。この中から、「 商品 A」・ 「商品 B」・「商品 C」の利用頻度を使用する。利用頻度については、1 度は利用したことが あれば「利用」、1 度も利用したことがなければ「非利用」とし、2カテゴリに分類した。 独立変数には「食生活において重視していること」を使用する。「食生活において重視し 調査名 食とライフスタイルに関する調査 調査対象 会社Xの利用世帯の中で主に調理を担当している人 調査時期 2020年9月17日~2020年10月2日 調査方法 留置法(郵送による回収) 抽出方法 会社Xの利用世帯から無作為抽出 計画標本 2000 サンプルサイズ 986 回収率 49.3%

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22 ていること」は5段階で尋ねられているが、「あてはまる」・「どちらかといえばあ てはまる」 を「重視している」、「どちらともいえない」・「どちらかといえばあてはまらない」・「あて はまらない」を「重視していない」とし、2 カテゴリに統合した。統制変数として、性別 (2 カテゴリ)、年齢(8 カテゴリ)、子どもと同居(2 カテゴリ)を使用した。年齢に関し ては、10 代と 20 代を統合し 20 代以下、80 代・90 代以上を統合し 80 代以上とした。なお 欠損値のある回答者は、分析から除外し、最終的に欠損値のない 798 名を使用した。 表3.使用する変数の記述統計量 表3に使用する変数の記述統計量を示す。この表 によると、すべてのメニューについて 一定数利用者が存在していることが確認できる。また、重視していることについて、「野菜 をたべること」が最も重視されている一方で、「地産地消」は最も重視されていないようで ある。 利用者(n=798) 変数 Mean(%) 従属変数  利用メニュー   商品A 40.0   商品B 44.7   商品C 22.4 独立変数  重視していること   国産の食材を食べること 77.4   旬の食材を食べること 78.1   和食を食べること 48.4   栄養のバランス 81.6   魚を食べること 61.9   肉を食べること 66.9   野菜を食べること 89.2   夕食におかずを3品以上用意すること 54.5   安い食材を購入すること 59.4   食品添加物を含まない 52.3   地産地消 44.1   家族と一緒に食事をとること 77.2 統制変数  年齢   20・30代 16.8   40代 33.0   50代 24.1   60代 14.4   70代 9.9   80代・90代以上 1.9  性別   女性 91.4   男性 8.6  同居人:子ども 71.8

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23 4.分析 4-1.基礎的な分析 まず、基礎的な集計として、重視項目別のメニュー選択についてクロス集計したものを 図1~3に示す。クロス集計の結果、重視していることの項目のうち、利用率に差がある 項目が存在することが確認された。具体的には、「夕食におかずを 3 品以上用意すること」 は、3 メニュー全ての利用率に差があった。商品 A は重視していないほど利用率が高く(χ 2=48.305, df=1, p<0.001)、商品 B(χ2=13.182, df=1, p<0.001)と商品 C(χ2=17.327, df=1, p<0.001)に関しては、重視しているほど利用率が高い。 図1. 重視項目別の利用率(商品 A)

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図2. 重視項目別の利用率(商品 B)

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25 次に、メニュー別にクロス集計の結果を見ていく。 商品 A は「家族と一緒に食事をとる こと」を重視するか否かで、利用することに差はなかった(χ2=0.002, df=1, p=0.996)。 商品 B は、「栄養バランス」を重視する人ほど(χ2=3.907, df=1, p<0.05)、商品 C は「旬 の食材を食べること」を重視する人ほど(χ2=6.317, df=1, p<0.05)、利用している。商 品 A 以外の 2 メニューに関しては、仮説どおりの結果が得られたが、重視することのメニ ュー選択に対する効果は、性別や年齢といった別の変数と交絡している可能性がある。よ って次節では、多変量解析によってこれらの変数を統制した上でも、重視することとメニ ュー選択の関連が見られるか確認する。また、 商品 C に関しては、「旬の食材を食べるこ と」以外にも、「国産の食材を食べること」や「地産地消」を重視する傾向があり、「エシ カル志向」が強いことが示唆されている。そのため、「食生活において重視していること」 にある潜在因子を探り、その潜在因子とメニュー選択の関連についても確認する。 4-2.多変量解析 本節では、重視していることが他の変数を統制しても影響があるか、多変量解析によっ て検討する。表4は、「性別」、「年齢」、「子どもと同居している」を統制変数としたときの、 各メニューと重視することの関連について分析した、ロジスティック回帰分析の結果であ る。この表によると、クロス集計で確認した通り、商品 A の利用について、「家族と一緒に 食事をとること」との関連はなかった。また、「夕食におかずを 3 品以上用意すること」は 他の変数を統制しても 3 メニューの選択に影響があることが明らかとなった。一方で、ク ロス集計では確認された商品 B の利用と「栄養バランス」の関連、商品 C の利用と「旬の 食材を食べること」の関連がないことが明らかとなった。 商品 B 以外のメニューについては、仮説どおりの関連は認められなかったが、他の重視 していることや統制変数に用いた変数との関連が確認された。商品 A については、「夕食に おかずを 3 品以上用意すること」を重視せず、「魚を食べること」を重視するほど、また子 どもと同居しているほど、利用する可能性が高まる。また、「夕食におかずを 3 品以上用意 すること」を重視し、「安い食材を購入すること」を重視しないほど、また年齢が 70 代で あるほど、商品 C を利用しやすい。商品 B は「夕食におかずを 3 品以上用意すること」以 外に「家族と一緒に食事をとること」を重視するほど、また利用者が女性であるほど利用 しやすいことが明らかとなった。

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26 表4.ロジスティック回帰分析の結果 4-3.因子分析 本節では、「食生活において重視していること」にある潜在因子について因子分析を用い て探り、メニュー選択との関連を多変量解析によって検討する。図4は「食生活において 重視していること」についての因子分析の結果である。「家族と一緒に食事をとること」と 「安い食材を購入すること」は他の項目と共通性が小さいことが確認されたため、分析か ら除外した。この図によると、第一因子として「エシカル志向」、第二因子として「栄養バ ランス志向」が「食生活において重視していること」の背後に存在していることが確認さ れた。

変数 B Exp(B) B Exp(B) B Exp(B)

 切片 0.453 1.573 -1.962 0.141 ** -3.986 0.019 ***  国産の食材を食べること 0.022 1.023 0.242 1.274 0.381 1.463  旬の食材を食べること 0.089 1.093 -0.165 0.848 0.302 1.352  和食を食べること 0.13 1.139 0.137 1.147 -0.231 0.793  栄養のバランス -0.129 0.879 0.268 1.307 0.107 1.113  魚を食べること 0.468 1.596 * -0.269 0.764 -0.031 0.969  肉を食べること -0.232 0.793 -0.084 0.919 -0.144 0.866  野菜を食べること -0.503 0.604 + -0.027 0.973 -0.238 0.788  夕食におかずを3品以上用意すること -0.79 0.454 *** 0.361 1.435 * 0.668 1.951 **  安い食材を購入すること -0.048 0.954 0.027 1.028 -0.579 0.56 **  食品添加物を含まない -0.148 0.862 0.02 1.02 -0.021 0.98  地産地消 -0.237 0.789 0.066 1.068 0.119 1.127  家族と一緒に食事をとること 0.133 1.143 0.582 1.789 ** 0.442 1.555 +  年齢_20・30代 0.61 1.841 -0.167 0.847 0.94 2.561  年齢_40代 0.042 1.043 0.31 1.363 1.564 4.778  年齢_50代 -0.622 0.537 0.37 1.448 1.936 6.934 +  年齢_60代 -0.561 0.571 0.219 1.245 1.696 5.453  年齢_70代 -0.86 0.423 0.559 1.749 2.242 9.407 *  女性 -0.241 0.786 0.613 1.846 * 0.524 1.705  同居人:あなたの子 0.429 1.535 * 0.176 1.192 -0.101 0.904 n 798 798 798 Nagalkerke R2 0.178 0.072 0.116 Cox and Shell R2 0.132 0.054 0.076 Note. +p< .10 *p < .05 **p < .01 ***p < .001

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27 図4. 因子分析 表5は因子分析で得られた因子得点を独立変数とし、2つの潜在因子とメニュー選択の 関連についてロジスティック回帰分析を行った結果である。この表によると、クロス集計 で確認した通り、商品 C の利用とエシカル志向との関連が認められた。商品 C だけでなく、 商品 A や商品 B の利用もエシカル志向と関連があることが確認された。また、栄養バラン ス志向でないほど、商品 C を利用する可能性が高いことが明らかとなった。 表5. 因子得点を用いたロジスティック回帰分析の結果 次に、各メニューと重視することの関連についての分析と同じように、「性別」、「年 齢」、「子どもと同居している」を統制変数としたときの潜在因子とメニュー選択の関連に ついても分析を行った。表6がその結果である。表5で確認された 商品 A とエシカル志向 の関連は疑似相関であることが確認された。商品 C と2つの潜在因子の関連、商品 B とエ シカル志向の関連については、統制変数を入れてもなお有意であった。以上の結果を踏ま えて、次節では考察を行う。 国産 旬 和食 栄養バランス 魚 肉 野菜 夕食3品 食品添加物地産地消 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 第二因子 第一因子

変数 B Exp(B) B Exp(B) B Exp(B)

 切片 -0.414 0.661 *** -0.214 0.807 ** -1.283 0.277 ***

 第一因子(エシカル志向) -0.427 0.652 *** 0.321 1.378 ** 0.635 1.887 ***

 第二因子(栄養バランス志向) 0.159 1.172 -0.125 0.882 -0.402 0.669 *

n 798 798 798

Nagalkerke R2 0.028 0.016 0.036

Cox and Shell R2 0.021 0.012 0.024

Note. +p< .10 *p < .05 **p < .01 ***p < .001

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28 表6. 統制変数を用いたロジスティック回帰分析の結果 5.考察 本稿では、「利用メニューの特徴と食生活において重視していることの関連」を明らかに することを目的とした 。分析の結果、仮説において関連が認められたのは、 商品 B の特徴 である「食材バランス」と「おかずを 3 品以上用意すること」の関連のみであった。おか ずを 3 品以上用意することで、食材バランスがとれるため、これら2つに関連があると考 えられる。 その他3つの仮説が立証されなかった要因について考える。1つ目に、 商品 A の特徴で ある「子育て支援」と重視してい ることの関連である。今回の分析では、食育の視点から 「家族と一緒に食事をすること」と「子育て支援」の関連があるのではないかと考えたが、 認められなかった。一方で、商品 A の利用者は「夕食におかずを 3 品以上用意すること」 を重視していない傾向が見られた。これは、子育て支援のとらえ方に問題があったと考え る。商品 A の利用者は、食育という観点ではなく、料理に時間をかけず子育てに専念する といった時短という観点から商品 A を選んでいると考える。 2つ目に、商品 B の特徴である「栄養バランス」と重視していることの関連である。分 析の結果、栄養バランスを重視していても商品 B を利用する可能性は低いことがわかった。 表3より、会社 X の利用者全体で「栄養バランス」を重視している人は8割存在する。こ のことから、商品 B を利用していない人も「栄養バランス」を重視しているため、2つの 間の関連がなかったと考えられる。 3つ目に、商品 C の特徴である「旬のおいしさ」と重視していることの関連である。ロ ジスティック回帰分析の結果から、関連は認められなかった。しかし、因子得点を用いた ロジスティック回帰分析の結果から、商品 C の利用者はエシカル志向である可能性が高い ことが明らかとなった。これは、 商品 C の利用者は、「旬のおいしさ」に限らず、「地産地

変数 B Exp(B) B Exp(B) B Exp(B)

 切片 -0.217 0.805 -1.181 0.307 * -3.237 0.039 **  第一因子(エシカル志向) -0.2 0.819 0.267 1.207 * 0.494 1.639 **  第二因子(栄養バランス志向) 0.159 1.011 -0.086 0.917 -0.315 0.73 *  年齢_20・30代 0.728 2.072 -0.197 0.822 0.803 2.233  年齢_40代 0.121 1.129 0.27 1.31 1.398 4.409  年齢_50代 -0.591 0.554 0.283 1.327 1.794 6.011 +  年齢_60代 -0.603 0.547 0.189 1.208 1.633 5.119  年齢_70代 -0.902 0.406 0.515 1.674 2.163 8.699 *  女性 -0.369 0.691 0.696 2.005 * 0.532 0.126  同居人:あなたの子 0.37 1.447 * 0.172 1.187 -0.085 0.673 n 798 798 798 Nagalkerke R2 0.122 0.038 0.051

Cox and Shell R2 0.09 0.028 0.078

Note. +p< .10 *p < .05 **p < .01 ***p < .001

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29 消」や「国産の食材を食べること」といったエシカル志向を持っている傾向が強く、食へ のこだわりが強いと考えられる。 最後に、残された課題について、2点指摘する。1点目は、今回の分析では、統制変数 として「年齢」、「女性」、「子供と一緒に住んでいる」の 3 変数を分析に用いた。しかし、 子どもの年齢や共働き世帯といった他に影響しうるライフスタイルも存在する。多様化す るライフスタイルごとの関連について今後検討する必要がある。2点目は、分析の結果か ら、メニュー選択には質問項目以外の重視していることとの関連が示唆された。したがっ て、時短など料理に対する意欲や食材の品質など食材に対して重視していることとの関連 についての検討が必要である。 6.むすび 本稿の結果から、メニューの選択には利用者が食生活において重視していることが関連 していることが示唆された。第 1 節でも述べたように、日本人の食生活における課題は山 積みである。会社 X のような多様なライフスタイルや消費者のニーズに合わせた食事業が 展開されることで、食環境が整備される家庭が多くなるだろうと考える。そして、食環境 が整備されることで、食生活における課題解決への糸口の発見が図れるだろう。 参考文献 菊池・千田・山路・西岡・野田・内田,2020,「A 市市民の健康習慣とはつらつ感の実態 2016 年の調査から(第 3 報)」,『埼玉医科大学看護学科紀要』13,1:31-40 村田ひろ子・政木みき・萩原潤治,2016,「調査からみえる日本人の食卓~「食生活に関す る世論調査」から①~」,『放送研究と調査』66:53-83 緒方智宏・久野一恵,2020,「勤労者のニーズを考慮した食環境整備の検討 -昼食選択時 の価 値基 準か ら食 事選 択傾 向を 把握 する -」,『 西九 州大 学健 康栄 養学 部紀 要』 5:17-24 農林水産省,2016,「農林水産省 平成 28 年度 新たに食環境に応じた食育モデル推進事 業 食生活の実態・意識調査アンケート」

参照

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