ケ イ ンズ の投 資理 論 と資 金 調 達
加
納
正
雄
Keynes, Theory of Investment and Finance
Masao KANO 1 は じめ に 本 稿 の 目的 は 、 ケイ ン ズ のL般 理 論 』 に お い て 、投 資 の 資 金 調 達 の 問 題 が 、株 式 市 場 との 関 連 で 、 どの よ うに取 り扱 わ れ て い る か を 検 討 す る こ とで あ る。 L般 理 論 』 に お い て 、 投 資 は 、 資 本 の 限 界 効 率 が利 子 率 に等 し くな る よ うに 、 ま た は 、 投 資 の需 要 価 格 が供 給 価 格 に等 し くな る よ うに決 定 さ れ る。 こ の形 式 的 取 り扱 い に対 して 、 ケ イ ン ズ は 》L般 理 論 』の 各 所 に お い て 、 断 片 的 で あ る が 、 株 式 市 場 、 リス ク 、流 動 性 な ど に言 及 して い る。 本 稿 で は 、 それ らの要 因 が 投 資 に与 え る影 響 を、 モ ジ リア ー ニ と ミラ ーの 理 論(以 下MM理 論 と略 す)、 資 本 資 産 評価 モ デル な ど との 関連 で 検 討 す る。 2 ケ イ ン ズ の 投 資 理 論 と投 資 の 目的 L般 理 論 』に お いて は 、 周知 の よ うに、 投 資 決 定 の二 つ の 基 準 が 存 在 す る。 一 つ は 、 資 本 の 限 界 効 率 が 利 子 率 に等 し くな る こ とで あ り、他 の一 つ は 、 資 本 財 の需 要 価 格 が 供 給 価 格 に 等 し く な る こ と で あ る く文 献[4]、 邦 訳pp.135-8)。 後 の 議 論 の た め 、 この 関 係 を 簡 単 に式 で表 す 。 資 本 の 限 界 効 率 θは 次 の よ うに定 義 で き る。 (2・1)環 一 ∬ 」R・勤 (2・1)に お い て 、 誠 は 資 本 財 の 供 給 価 格 、 1は 投 資 量 、 ∠1∼は 投 資 の 実 質 予 想 収 益 で あ り、 、 各 期 同 じ と す る 。'は 時 間 で あ る 。資 本 減 耗 お よ び 投 資 の 調 整 コ ス トは な い も の と す る 。 (2・1)よ り 、1=、4ん で あ る か ら、 ∂1∼/∂κ (2・2) θ= ρ且 と な る 。(2・2)よ り、 θ は 投 資 の 収 益 率 、 ま た は 、 資 本 の1円 あ た りの 限 界(価 値)生 産 力 で あ る 。 投 資 は 、(2・2)の θ が 利 子 率 に 等 し く な る よ う に 決 定 さ れ る 。 し た が っ て 、 利 子 率 を'と す れ ぽ 、 ∂1∼/∂K (2・3) =2 ρ艮 で あ る。 次 に 、 資 本 財 の 需 要 価 格 撮 は 次 の よ うに 定 義 で きる。 (…)ρ 鉦 一 ∬ ∠R・ 一飼4' (2・4) よ り 、 ρ巽 セよ 、 (2.5)ρ 侵一 ∂R/軍 z で あ る。投 資 決 定 の第 二 の 基 準 は 、撮=城 で あ るが 、 この 関 係 を(2・5)に 代 入 す れ ぽ 、(2・ 3)と なる 。 ケ イ、ン ズの 二 つ の 基 準 は投 資 の 目的 を 明 らか に して い な い。 す な わ ち 、 企 業 が 投 資 に よ って 何 を 最 大 化 す る の か が 不 明で あ る。 (2・3)は 、 企 業 収 益 か ら利 子 を 控 除 した もの の 現 在 価 値 、これ をSLと す る、を 最 大 化 し て い る よ うに 思 え る。 す なわ ち 、 1984年9月10日 受 理
(2・6)s・ 一 ∬(・ 一 辺 ・)・ 4' 1∼は 企 業 収 益 、BLは 負 債 額 、 PLは 割 引 率 と す る と(2・6)よ り、 1∼一 溜L (2.7) 5 L= P L で あ る が 、 負 債 に よ っ て 投 資 資 金 を 調 達 す れ ぽ 、 ∠BL=蕪 ∠ん で あ る か ら 、投 資 に よ っ てPLと ゴ が 変 化 し な け れ ぽ 、 (2・8)籍 一 ∂測 ∂髪 一城 で あ る 。(2・8)よ り、SLが 最 大 の と き 、 ∂SL/ ∂κ=0で あ る か ら 、(2・3)が 得 ら れ る 。 し た が っ て 、 ケ イ ン ズ の 基 準 は 、(2・6)を ゴ と PLが 一 定 の も と で 最 大 化 す る 条 件 と 同 じ で あ る 。 し か し 、 投 資 資 金 を 内 部 留 保 で 調 達 す れ ぽ 、 SLの 増 加 分 は 、 (・ ・9)45・ 一 ∬ ∠・・ 4'一 雌 と な り、S乙 を最 大 に す る投 資 の条 件 は、 ∂'h'/∂K (2・10) =P L 誠 とな る。(2・10)よ り資 金 調 達 の方 法 に よ って 投 資 が 異 な る よ うに み え る が、 これ は 、MM理 論 に よれ ぽ 正 し くな い 。 3 MM理 論 との 関 連 MM理 論 に よれ ば 、 あ る諸 仮 定 の も とで 、企 業 の価 値(株 式 と負 債 の市 場 価 値 の 合 計)は 、 資 金 調 達 の方 法 に依 存 せ ず 、既 発 行株 式 価 値 を 最 大 に す る投 資 も資 金 調 達 の 方 法 に 依 存 しな い(1)。 負 債 の な い 企 業(U企 業 とす る)の 価 値 を 砺 、 そ の 企 業 の株 式 価 値 をSひ 、 負 債 の あ る企 業(L企 業 とす る)の 価 値 を 佐 、,その株 式 価 値 をS乙 、 負 債(債 券)の 市 場 価 値 を8Lと す る。 こ の と き、 γσニSσ,匹=SL+、8乙 で あ る が 、 MM理 論 に よれ ば 、U企 業 とL企 業 の収 益 の 期 待 値Rと リス ク(収 益 の確 率 分 布 の標 準 偏 差 に よ って 表 され る)が 同 じで あ れ ぽ、 投 資 家 の 裁 定 取 引 に よ り、y:び=佐 と な るω。 企 業 の 目的 を 既 発 行 株 式 価 値 の最 大 化 、 す な わ ち 、 既 存 株 主 の 保 有 す る株 式 価 値 の 最 大 化 と .す る。U企 業 の株 式 価 値 は 、 U企 業 の 配 当1∼ に 適 用 され る 割 引 率 を ρσ とす れ ぽ 、 (3・ ・)距 ・∬R・ 一働 一 番 で あ る 。(3・1)よ り 、U企 業 が 投 資 を 内 部 留 保 に よ っ て 資 金 調 達 し た 場 合 に は 、ρσが 一 定 で あ れ ぽ 、「 ・(3.2)∠s。=丞_ρ 泌 κ ρび で あ り、5σ を 最 大 にす る投 資 に お い て 、 ∂1∼/∂K (3・3) =ρ σ ρ災 とな る。(3・3)は 、 す べ て 自己 資 本 で 資 金 調 達 して い る企 業 に 必 要 な資 本 の 限 界 収 益 率 で あ り、 これ を 自己資 本 の 資 本 コス ト(投 資 の最 低 必 要 収 益 率)と 呼 ぶ 。 した が って 、 自己 資 本 の 資 本 コス トは ρひで あ る。 L企 業 の 株 式 価 値 は 、L企 業 の 配 当(R一 辺L) に 適 用 され る 割 引 率 をPLと す れ ば 、(2・6) で 表 され る が 、投 資 家 の裁 定 取 引 に よ り、y:σ= 琉 で あ る か ら、 これ は 、 (3●4) SLニ=S【1-BL と な る。負債 で 資 金 調 達 し、投 資 を す れ ば 、JBL =誠 ∠ん で あ る か ら、(3・2)が 成 立 す る 。 し た が っ て 、5Lを 最 大 に す る投 資 に お い て(3・ 3)が 成 立 す る。 この よ うに 、 企 業 が 負債 で 投 資 を す る場 合 も、 資 本 の 限 界 効 率 が ρ"に な る まで 投 資 を す る。 した が って 、 負 債 の 資 本 コ ス トも ρσ とな り、 既 発 行 株 式 価 値 を 最 大 にす る 投 資 は 、 資金 調 達 あ 方 法 か ら独 立 で あ る。 以 上 の よ うに、MM理 論 の 仮 定 が み た され る な らぽ 、 資 本 コ ス トほ 、 資 金 調 達 の 方 法 に 関 係 な く、 負債 の な い場 合 の 企 業 の 株 価 を 決 定 す る 割 引 率(し た が って 、 そ の よ うな 株 式 の収 益 率) ρσで あ る。既 発 行 株 式 価 値 を 最 大 に す る投 資 に お い て 必 要 な 条 件 は 、 資 本 の 限 界 効 率 が ρσに 等 し くな る こ とで あ り、 また 、 資 本 財 の 需 要 価 格 は 、 (3.5)ρ 琵 一 ∂R/∂K ρび とな る。 『 . ケ イ ン ズ の場 合 、 投 資 は 、資 本 の 限 界 効 率 が 利 子 率 に 等 し く な る よ うに 決 定 さ れ る か ら、一 MM理 論 の 観 点 か らい え ぽ 、資 本 コ ス トを 利 子 率 とみ な した 、既 発 行 株 式 価 値 最:大化 を 目的 と
す る 企 業 の 投 資 行 動 と み な す こ と が で き る 。 MM理 論 に よ れ ば 、負 債 比 率(BLISL)が 増 大 す る と き 、 そ の 企 業 の 株 式 の 配 当 に 適 用 さ れ る 割 引 率(し た が っ て 、 そ の 株 式 の 収 益 率)は 増 大 す る 。(3・4)に(2・7)と(3・1)を 代 入 す れ ぽ 、 ㌧ρ (・ ・6) ・・+(・ ・一 畳 で あ る。(3・6)よ り、一 般 的 にPu>ゴ で あ る か ら、BL/SLの 増 大 はPLを 大 き くす る。 しか し、 企 業 の収 益 の 期 待 値 とそ の リス クが 同 じで あ れ ぽ 、 そ の 収益 に 対 す る権 利 証 券 で あ る株 式 と債 券 の市 場 価値(企 業 の価 値)は 、 企 業 の資 金 調 達 の方 法 か らは 独 立 で あ る。 こ の よ うなMM理 論 には 、 企 業 の収 益(営 業 利 益)は 企 業 の 資 産 か ら生ず る もの で あ っ て、 資 金 調 達 の 方 法(財 務 内 容)か ら は独 立 で あ る とい う前 提 が あ る と思 わ れ る。 し か し、企 業 の 財 務 内容 が 企 業 ㊧効 率 的 経 営 に影 響 す る可 能 性 は 存 在 し うる。 また 、 負 債 比 率 の増 大 は企 業 の 破 産 の可 能 性 を 大 き くす る。 破 産 した場 合 、企 業 を解 散 し な けれ ぽ な ら ない が、 そ の と きの企 業 収 益 は 、 企 業 資 産 の 売 却 価 値 で あ る。 これ は 将 来 収益 の 現 在 価 値 よ りも小 さい で あ ろ う。 こ の よ うな 場 合 に は 、 企 業 価 値 は資 金 調 達 の 方 法 か ら独 立 と は い え な い 。 いず れ に して も、MM 理 論 と破 産 の問 題 は 、 十 分 に解 明 され て い な い よ うで あ る(3)。 MM理 論 に お い て 、負 債 比 率 を 決 定 す る大 き な要 因 は 法 人 税 で あ る。 法 人 税 が 税 引 後 の企 業 収 益 に 課 税 され る 場 合 に は 、 負 債 の 資 本 コス ト は 自己 資 本 の 資 本 コ ズ トよ りも小 さ い。 しか し、 負債 比 率 が 高 くな る と、貸 手 の 経 営 へ の 介 入 の 危 険 が 強 くな る。 した が って 、 経 営 者 は 、 経 営 の 機 動 性 と 自主 性 を 制 約 しな い範 囲 に 負債 比 率 を と どめ る。 これ らの要 因 は 、 経 営 者 の 将 来 収 益 の 見 通 し との 関 連 で 決 ま る。 また 、 借 入(債 券 の 発 行)に 関 して は 、 将 来 の 利 子 率 の 予 測 が 重 要 で あ る。 将 来 の 利 子 率 が 変 化 す る場 合 は、 債 券 価 格 の変 化 を通 じて 株 価 に 影 響 す る 。 した が って 、 将 来 の 利 子 率 が 不 確 実 な場 合 に は 、 資 金 調 達 の方 法 は 投 機 的 決 定 で あ るω。 4 リス ク と資 産 価 格 MM理 論 で は 、資 本 コ ス トが 企 業 の 資 金 調 達 の 方 法 に 依 存 し な い こ とを証 明 で きる が 、 リス クの 異 な る企 業 の 資 本 コス トを他 の 企 業 の リス ク との 関 連 で 導 出す る こ とは で きな い 。 これ は 、 資 本 資 産 評 価 モ デ ル(CAPM)に よ り可 能 で あ る。CAPMに よれ ば 、投 資 家 が 、 資 産 市 場 で 、 収 益 の 期 待 値 と リス ク(収 益 の 確 率 分 布 の 標 準 偏 差)の 関 数 で あ る期 待 効 用 を 最 大 に す る よ う に資 産 を 選 択 す る と き、 あ る証 券 ノの 収 益 率 の 期 待 値 は 次 の よ うに な る⑤。 (4 ・ 1) E(ρ5):i=ゴ! ・{・(・・)一・・}響 (4・1)に お い て 、Piは 証 券 ノ の 収 益 率 、E(ρ,) は ρ5の 期 待 値 、 み は 安 全 資 産(貸 倒 れ の 危 険 が な く収 益 率 が 確 定 し て い る 資 産)の 収 益 率 、 ρ飛 は マ ー ケ ッ ト・ポ ー ト フ ォ リ オ の 収 益 率 、E(ρ の は ρπ の 期 待 値 、 ♂(ρの は ρπ の 分 散 、cov(ρ5, ρの は ρ,と ρ加 の 共 分 散 で あ る 。 (4・1)は 、 証 券 ノ の 収 益 率 の 期 待 値 が 安 全 資 産 の 収 益 率 に 右 辺 第 二 項 で 表 さ れ る リ ス ク ・ プ レ ミ ア ム を 加 え た も の に な る こ と を 意 味 し て い る 。 リ ス ク ・プ レ ミ ア ム は 、 リ ス ク の.価 格 E(ρ の 一 み に 』cov(Pt, Pm)/6Z(pm)を か け た も の で あ る 。 リス ク ・プ レ ミ ア ム に 関 連 す る の は 、 ρ5の 分 散 で は な く 、 ρ配 と の 共 分 散 で あ る 。 資 本 コ ス トは 、 負 債 の な い 場 合 の 株 式 の 収 益 '率 で あ る か ら 、 そ れ に(4・1)を 適 用 す れ ぽ 、 安 全 資 産 の 収 益 率 に リス ク ・プ レ ミ ア ム を 加 え こた も の に な る 。 た だ し 、 こ の 場 合 の リス ク は 、 負 債 が 存 在 し な い か ら 、 企 業 収 益 に 関 す る リ ス ク で あ る 。 以 上 の よ う に 、CAPMに よ れ ぽ 、資 本 コ ス ト は 安 全 資 産 の 収 益 率 に 企 業 収 益 の リ ス ク ・プ レ ミア ム を 加 え た も の で あ る 。 リス ク の 価 格 を 一 定 と す れ ぽ 、cov(pig pm)/62(pm)で 表 さ れ る リ ス ク が 大 き い ほ ど 、 リ ス ク ・プ レ ミ ア ム は 大 き く な り、 資 本 コ ス トは 大 き く な る 。 し た が っ て 、 ケ イ ン ズ が 投 資 の 最 低 必 要 収 益 率(資 本 コ ス ト) を 利 子 率 と す る と き の 利 子 率 は 、 安 全 資 産 の 利 子 率 で は な く 、 リ ス ク を 考 慮 し た も の で な け れ
ぽ な らな い 。 この 点 に関 して 、 レイ ヨ ソ フ ー ヴ ッ ド(文 献 [8]、 邦 訳p.149)は 、 ケイ ン ズ理 論 の集 計 構 造 との 関 連 で 次 の よ うに考 え る。 『一 般 理 論 』 で は 、 「代 表 的 」 利 子 率 は債 券 の 収 益 率 で あ り、また 、そ れ は資 本財 の 収 益 率(負 債 が な い場 合 の 株 式 の収 益 率)で もあ る 。 した が って 、 債 券 と資 本 財 は 完 全 な代 替 財 とみ な さ れ 、 「非 貨 幣 資 産 」と して 集 計 され る。 ケ イ ン ズ 理 論 は 短 期 の 理 論 で あ り、 長 期 期 待 は 所 与 で あ るか ら、 資 産 の 予 想 収 益 は所 与 で あ る。 した が って 、丁代 表 的 」利 子 率 は 非 貨 幣 資 産 の 価 格 水 準 の(逆 数 の)指 標 とな る。 この よ うに 考 え れ ば 、 ケ イ ン ズ の 流 動 性 選 好 説 は、 代 表 的(長 期)非 貨 幣 資 産 の価 格 を ρκ と し て、 (4●2) ノV=乙1(y)十1,2(1》K) と表 す こ とが で き る(6,。た だ し(4・2)に お い て 、ルfは(短 期)貨 幣 資 産 の量 、yは 所 得 で あ る。ρκは 、代 表 的 非 貨 幣 資 産 の収 益 をR、 代 表 的 利 子 率 を'と す る と、 ρκ=R/iで あ る。 (4・2)の ヵκは 、 資 本 財 を 含 む 非 貨 幣 資 産 の価 格 で あ る が 、貯 蓄 者(ま た は 、 企 業 家 と区 別 され た 意 味 で の 投 資 家)が 実 物 資 本 財 そ の も の を保 有 す る こ とは 、 一 般 的 に は あ りえ な い。 した が って 、 こ こで の資 本財 とは 、 資 本 財 の 収 益 に対 す る請 求 権 で あ る株 式 とみ なす べ きで あ る。 貯 蓄 者 の流 動 性 選 好 とは 、 短 期 金 融 資 産 と 長 期 非 貨 幣 金 融 資 産 の間 で の 選 択 で あ り、非 貨 幣金 融 資 産 の価 格 は 実 物 資 本 財(企 業 資 産)の 金 融 市 場 で の評 価 を 表 す もの で あ る。 そ して 、 利 子 率 で は な く、こ の ρκが 投 資(実 物 資 本財 の 増 加)に 影 響 す る。 た だ し、ρκ を決 定 す るの は 貯 蓄 者 で あ り、 投 資 を 決 定 す る の は企 業 家 で あ る。 ケ イ ン ズ の 理 論 は 、債 券 の 収 益 率 が投 資 の 最 低 必 要 収 益 率 で あ る か ら、 形 式 的 に は 、 両 者 の リス ク の差 を 無 視 して い る。 し か し、 この こ と は 次 の よ うに 考 え る べ きで あ ろ う。 ケ イ ン ズ の 理 論 は 、 短 期 の 理 論 で あ り、 長 期 期 待 の 状 態 は 所 与 とさ れ る。 長 期 期 待 は 、 一 般 的 に は 、 収 益 の 期 待 値 に 関 す る もの で あ るが 、収 益 の リス ク に 関 し て も所 与 とみ な す べ きで あ ろ う。 この と き 、債 券 の 収 益 率 は投 資 の最 低 必 要 収 益 率 で は な い が 、 リス ク が変 化 しな け れ ぽ 、 両 者 は 同方 向 に変 化 す る と考 え て い た の で あ ろ う。 した が って 、 短 期 にお い て は 、債 券 の 収 益 率 を 投 資 の 最 低 必 要 収 益 率 の指 標 とみ な した の で あ ろ う。 ケ イ ン ズ の リス クの取 り扱 い は 、 一 般 的 に曖 昧 で あ るが 、 ケ イ ンズ は 、 投 資 に対 す る リス ク の 影 響 を 無 視 して い た わ け で は な い 。 ケ イ ン ズ は 、L般 理 論 』第11章(文 献[4]、 邦 訳p.142) に お い て 、 投 資 に影 響 す る リス ク と して 、 借 手 の リス ク と貸 手 の リス クを あ げ て い る。 ケ イ ン ズ は 、 純 粋 利 子 率(こ れ は 安 全 資 産 の 利 子 率 と 考 え られ る)に 借 手 リス ク と貸 手 リス ク の プ レ ミア ムが 加 わ った もの が 、 投 資 の最 低 必 要 収 益 率 と考 え て い る。 ケ イ ン ズ の い う借 手 の リス ク は 、 明 らか に 、 収 益 に関 す る リス クで あ る。 した が って 、 この リス ク の プ レ ミア ムは 純 粋 利 子 率 に 加 え な け れ ぽ な ら な い。 た だ し、CAPMに よれ ぽ 、関連 す る の は マ ー ケ ッ ト ・ポ ー トフ ォ リオ の収 益 率 と の 共 分 散 で表 され る リス クで あ る。 次 に 、 ケ イ ン ズの 貸 手 の リス ク と は、 債 務 不 履 行 の リス クで あ る 。 企 業 の 負債 が 多 くな れ ば 、 債 務 不 履 行 の 危 険 が 高 くな る た め 、 企 業 の借 入 利 子 率 が 負 債 比 率(BL/SL)の 増 加 関 数 と な る 場 合 で あ る。 こ の場 合 も、貸 倒 れ リス クを反 映 し て借 入利 子 率 が 調 整 さ れ る場 合 に は 、MM理 論 の命 題 は 成 立 す る。 した が って 、 投 資 の 最 低 必 要 収 益 率 は 借 入 利 子 率 の影 響 を 受 け な い ω。 ミンス キ ー(文 献[9]、PP.93-116)は 、 投 資 の決 定 要 因 と して 、 この よ うな 借 手 リス ク と貸 手 リス クを 重 視 す る。 ケイ ンズ の 理 論 で は、 投 資 の増 大 は 、 投 資 の 予 想 収益 を 減 少 させ 、 資 本 財 の供 給 価 格 を上 昇 させ る こ と に よ って 、 資 本 の 限 界 効 率 を低 下 させ 、 利 子 率 と等 し くさせ る。 しか し、 ミン ス キ ー は 、 投 資 の 予 想 収 益 の減 少 に 関 して は否 定 的 で あ り、 む し ろ重 要 な要 因 は 、 投 資 の 増 大 に よ る借 手 と貸 手 の リス ク の増 大 、 した が っ て 、 そ の結 果 と して の投 資 の最 低 必 要 収 益 率 の増 大 で あ る と考 え て い る。
5 流動性 と資産価格 CAPMで は 、資 産 の 収益 率 は 安 全 資 産 の 収 益 率 に 、 そ の 資 産 の収 益 の リス ク ・プ レ ミア ムを 加 えた もの に な る。 これ に 対 して 、 ケ イ ンズ は 、 L般 理 論 』 の17章 に お い て 、資産 の収益 率を 決 定 す る要 因 と して 、 資 産 の 流 動 性 を 強 調 して い る。ケ イ ン ズの 流 動 性 の 定 義 は、「この 処 分 し うる力 に よ っ て与 え られ る潜 在 的 な便 益 あ る い は 安 全 性(資 産 に 付 随 す る収 益 ま た は 持 越 費 用 を 除 く)の た め に 、 人 々が 喜 んで 支 払 お う とす る額(そ れ 自身 に よ って 測 られ た)を そ の 流 動 性 打 歩1と 呼 ぼ う」(文 献[4]、 邦 訳p.224)に よ っ て与 え られ る。 引 用 文 か らす れ ぽ 、 資 産 の 流 動 性 と は、 資産 を 売 却 す る場 合 の 換 金 の 容 易 性 お よび 価 格 の 確 実 性 で あ る と考 え られ る。 逆 に い えぽ 、 貨 幣 以 外 の資 産 の 売却 に は、 貨 幣的 お よ び非 貨 幣 的 コ ス トが 必 要 で あ る こ とを意 味 して い る。 CAPMで は 、 MM理 論 に お い て も 、資 産 の流 動 性 とい う概 念 は 使 用 され な い 。 しか し、安 全 資 産 の 収 益 率 を 説 明 す るた め には 流 動 性 の概 念 が必 要 で あ る。 す なわ ち 、収 益 の リス クが な い 安 全 資 産 の 収 益 率 が 正 で あ る の は 、安 全 資 産 が 貨 幣 に比 べ て 非 流 動 的 で あ る か ら と考 え る こ と が で き る。 安 全 資 産 の収 益 率 は、 安 全 資 産 の 非 流動 性 に起 因 す る リス ク ・プ レ ミア ム とみ な し て よ い。 この よ うに考 えれ ば 、資 産 の 収 益 率 は、 資産 の 収 益 の リス ク ・プ レ ミア ム に 資 産 の 非 流 動 性 に起 因 す る リス ク ・プ レ ミア ムを 加 えた 値 二 にな る。 した が って 、 資 産 の価 格 は 、 期 待 収 益 を そ の二 つ の プ レ ミア ム を加 え た 値 で 割 引 く こ ・ と に よ っ て 得 られ る。 以 上 の こ とは 、 ケ イ ン ズ の 『一 般 理 論 』17章 (文 献[4]、 邦 訳PP.220-241)の 議 論 に 、 資産 の流 動 性 プ レ ミア ム と収 益 の リス ク ・プ レ ミア ム の 区別 を 持 ち込 む こ とに よ って 、 次 の よ うに 表 す こ とが で き る。 資 産 ノを1期 間 保 有 す る こ と に よ って 得 られ る暗 黙 の 便 益 を 含 む 収 益(こ れ をy,と す る) は、 資 産 ノ1日 あ た りにつ い て 、 (5.1) yj=(1ノ ーcプ 十・ρκノー ρ 十1,一 γゴ で あ る 。 た だ し 、 の は 資 産 ノ の 産 出 物 ま た は 用 役 の 価 値 、C」は 持 越 費 用 、ρκノは 資 産 ノ の 価 格 上 昇 率 、ρ は 物 価 水 準 の 上 昇 率 、1;は 資 産 の 流 動 性 プ レ ミア ム 、 γ」は 収 益 の リ ス ク ・プ レ ミ ア ム で あ る 。の,の,15,r;は 物 価 水 準 の 変 化 を 考 慮 し た 実 質 値 で あ る 。 同 様 に 、 貨 幣1円 を1期 間 保 有 す る こ と に よ っ て 得 ら れ る 暗 黙 の 便 益 を 含 む 収 益(こ れ をy涜 とす る)は 、 (5 ・ 2) ニソ加=一 ρ一Cm十1加 一 γπ で あ る 。た だ し 、Cmは 貨 幣 の 持 越 費 用 、1π は 貨 幣 の 流 動 性 プ レ ミア ム 、 編 は 収 益 の リ ス ク ・プ レ ミ ア ム で あ り 、 こ れ ら の 値 は 物 価 水 準 の 変 化 を 考 慮 し た 実 質 値 で あ る 。 均 衡 に お い て は 、限 界 単 位 に お い て 、:め=yπ で あ る か ら 、(5・1)と(5・2)よ り、 (5●3) σ,一c,十 ρ κノー1)=r;一7四 一}一1解一1, 一Cm-P で あ る 。(5・3)に お い て 、, (…)藷 一 ・'・ゴ ガ で あ る か ら 、 R; (5●5) ρ κノ= η 一 γ加十1加 一15-Cm一 ρ と な る 。 貨 幣 の 持 越 費 用 は 無 視 で き る か らCm =0、 ま た 、物 価 水 準 の 上 昇 率 が 予 測 で き る と き 7別=0セ こよ り、 (5●5)を ま、 (5.6)ρ 眉= R; . γ5十1π一1;一p と な る 。(5・6)に お い て 、1ズ1ゴ は 貨 幣 と 資 産 ノの 流 動 性 の 差 で あ り、 こ れ を 資 産 の 非 流 動 性 に 起 因 す る リ ス ク ・プ レ ミア ム15と す れ ぽ 、
革.
(5●7) ρκノ= η 十1,一 ρ ロ と な る 。R;は 実 質 値 で あ る か ら 、 Y3+ら 一 ヵ も 実 質 値 で あ り、 ρκノの 名 目収 益 率 は η+る と な る 。 二 つ の リ ス ク を 区 別 す る こ と は 重 要 で あ る 。 資 産 の 流 動 性 を 問 題 に す る の は 、 資 産 を 将 来 売 却 す る 可 能 性 が 存 在 す るか らで あ る。 そ の可 能 性 は 、 将 来 の現 金 収 入 と支 出 の見 込 み に依 存 す る が 、 資 産 保 有 者 の 負 債 の増 大 は 、 収 入 に 関 す る期 待 が はず れ た 場 合 に 、資 産 を 売 却 す る必 要 性 を 高 め る。 した が って 、流 動 性 の 評 価 は 、 資 産 保 有 者 の 負債 の 状 態 に も依 存 す る。資 産 の 流 動 性 は 、 ケ イ ン ズ の 理 論 に お い て は 重 要 で あ る。資 産 が 流 動 的 で あ るた め に は 、「継 続 的 で 十 分 組 織 され た 市 場 」 を 必 要 とす るが 、 金 融 資 産 と異 な り、 実 物 資 産 に はそ の よ うな 市 場 は 存 在 しな い 。 した が って 、 実 物 資 産 に 比 し て 、 金 融 資 産 の 流 動 性 は遙 か に大 き く、 価 値 保 蔵 手 段 と して流 動 性 を重 視 す る貯 蓄 者 は 、 一 般 的 に は、 金 融 資 産 を 選 好 す る(8,。 ケ イ ン ズ は 、 金 融 資 産 に 関 し て も、流 動 性 の 相 違 が 存 在 す る と考 え て い る。す なわ ち 、『貨 幣 論 』に お いて ケ イ ンズ は 、 『逆 に手 形 割 引 お よ び コ ー ル ゼロ ー ソ は、 証 券 投 資 よ り'も「流 動 的 」、 す なわ ち短 い 予 告 で 、 損 失 な しに い っそ う確 実 に換 金 可 能 で あ り、 そ して 証 券 投 資 は 、 貸 出 し よ り もい っそ う 「流 動 的 」 で あ る』(文 献[5]、 邦 訳p.67)と 考 え て い る。 な お 、 この 引 用 文 は 、前 掲 の 『一 般 理 論 』 か らの 引用 文 よ り も、 流 動 性 の 具 体 的 定 義 を 示 し て い る(9}。 上 掲 の 引 用 文 か らす れ ぽ 、資 産 の 流 動 性 は資 産 の取 引 コ ス トと して 表 す こ とが で き る か も し れ な い 。例 え ば 、MM理 論 に お い て は、企 業 の 収 益 の 期 待 値 とそ の リス ク の み で な く、 株 式 と 債 券 の 流 動 性 を も考 慮 しな け れ ぽ な らな い が 、 これ は 、 仮 定 に よ り無 視 さ れ て い る、 株 式 と債 券 の 売 買 の取 引 コ ス トと して表 す こ とが で き る か も しれ な い。 た だ し、 こ の コ ス トは、 貨 幣 的 コ ス トのみ で な く、 資 産 の非 流 動 性 に起 因す る リス ク ・プ レ ミア ムに 相 当 す る もの で な け れ ば な ら な い。 6 投資 と株 式市場 個 々 の 資 産 の 需 要 価 格 は 、 そ の 資 産 の 期 待 収 益 と 収 益 の 割 引 率 を 決 定 す る 収 益 の リス ク ・プ レ ミ ア ム と 資 産 の 非 流 動 性 の リ ス ク ・プ レ ミ ア ム に よ っ て 決 ま る が 、 ケ イ ン ズ の 観 点 は マ ク ロ で あ る か ら 、 こ れ らが ど の よ う な 要 因 に よ っ て 決 ま る か が 問 題 と な る 。 ミ ン ス キ ー(文 献[9]、p.104)は 、 資 産 の 需' 要 価 格 を 、 (6●1) ρκfニ ρκf(ノ匠,Qf) と 表 す 。た だ し 、ヵκfは 資 産 ゴの 需 要 価 格 、Mは 貨 幣 量 、Qfは 資 産 ゴの 収 益(本 稿 の 記 号 で い え ぽ1∼)で あ る。(6・1)の 意 味 は 、 収益 の リス ク と資 産 の 流 動 性 の 状態 を所 与 とす れ ぽ 、 資 産 の需 要 価 格 が 貨 幣 量 と資 産 の 収 益 に よ って 決 ま る とい うこ とで あ る。 本 稿 の 用 語 で い えば 、 貨 幣 量 が 収 益 の リス ク ・'プレ ミア ム と資 産 の非 流 動 性 の リス ク ・プ レ ミア ムを 決 定 す る こ とを意 味 して い る。 た だ し、(6・1).に よ る資 産 の需 要 価 格 の決 定 に 関 して は 、 以 下 の三 つ の 要 因 を 考 慮 し な け れ ぽ な らな い 。 第 一 は 、(4・2)で 表 さ れ る投 機 的 関 係 で あ る。 ミ ン ス キ ー は 、 (6・1)を ケイ ンズ の 流 動 性 選 好 関 数 に代 わ る もの と考 え て い る。 第 二 は、 前 述 した 流 動 性 に 対 す る必 要 性 を 決 定 す る資 産 保 有 者 の負 債 の 状 態 で あ る。 第 三 は 、 景 気 循 環 の過 程 で の資 産 の 流 動 性 と収 益 の リス ク に対 す る評 価 の変 化 で あ る。 ミンス キ ーは 、 この 関 数 が 好 況 期 に は 上 方 ヘ シ フ トし、 不 況 期 に は下 方 ヘ シ フ トす る ど 考 えて い る働 。 投 資 は資 本 財 に 対 す る追 加 需 要 で あ るが 、 現 代 の企 業 経 済 に お い て 、 これ を 決 定 す るの は 企 業 家 で あ って 貯 蓄 者 で は な い。 貯 蓄 者 が 決 定 す る も の は 、 資 本 財 に対 す る権 利 証 券 で あ る株 式 や 債 券 な どの 金 融 資 産 の価 格 で あ る。MM理 論 で は、 企 業 家 は 既 発 行 株 式 価 値 を 最 大 に す る よ うに投 資 を 決 定 す る。 した が って 、 貯 蓄 者 の 資 産 選 択 に反 映 され る選 好 が投 資 を 決 定 す る。 ケ イ ンズ は 、 こ の点 に関 して 、 どの よ うに考 ゴえ て い た で あ ろ うか。 ケ イ ンズ の 株 式 市 場 に対 す る評 価 は 、 「一 般 理 論 」12章 に 述 べ られ て い る。 一 ケ イ ンズ は 、 株 価 が 企 業 の 将 来 収 益 を 反 映 し て 決 ま る とは 考 え て い な い 。株 価 を 決 定 す るた め に は 、 将 来 収 益 の期 待 値 と リス ク.に関 す る情 報 が必 要 で あ るが 、 そ れ ら に関 す る正 確 な情 報 を得 る こ とは 不 可 能 で あ る。 こ の よ うな状 況 こ そ 、 ま さ に リス ク と区別 され る意 味 で の、 ケイ ン ズ の い う、不 確 実 性(uncertainty)の 状 態 で あ る(11,。ケイ ン ズ に よれ ば 、 この よ ケな情 報 が不 完 全 な 状 況 に お い て 、 株 価 は、 現 在 の知 識 か ら 「一 種 の 慣 行(convention)」 に よ っ て 決 定 され る(文 献[4]、 邦 訳p.150)。 こ の よ うな慣 行 を さ さ えて い る の は 、慣 行 に対 す る信 頼 で あ る。 ケイ ゾ ズ は、不 確 実 な 状 況 に お い て は、「確 信 の
状 態 」が 重 要 で あ る こ とを 強 調 す る。 「確 信 の状 態 」 とは 、情 報 に対 す る信 頼 の程 度 で あ る とみ な して よ い(文 献[4]、 邦 訳p.146)。 株 式 市 場 に お け る 「確 信 の 状 態 」 とは 、 ま さに 、 慣 行 に 対 す る信 頼 の 程 度 で あ る。 株 式 市 場 は 、 慣 行 に 対 す る信 頼 を 基 礎 に して発 達 して きた 。 した が って 、 株 式 に 流 動 性 を与 え て い るの は 、 慣 行 に 対 す る信 頼 で あ る。 株 式 の 流動 化 は 、 資 本 コス トを 引 下 げ 、 投 資 を促 進 す る要 因 と な る。 しか し、 この よ うな慣 行 に対 す る信 頼 は 根 拠 の な い もの で あ るか ら、 確 信 は崩 れ や す く、 慣 行 的評 価 は 激 しい 変 化 に さ ら され や す い 。 専 門的 投 資 家 は 、長 期 期 待 に基 づ き投 資 を す る よ り も、市 ' 場 の 心 理 を 予 測 し、仲 間 を 出 し抜 くこ とに よ っ て 利 益 を 得 よ う とす る。 株 式 市 場 は、 この よ う な投 機 的 で 不 安 定 な市 場 で あ る。 そ して 、 この よ うな株 式 市 場 の不 安 定 性 が 企 業 の投 資 に 大 き な影 響 を 与 え る の で あ る。 た だ し、 ケイ ンズ の 場 合 、企 業 家 は 、株 主(金 利 生 活 者)と は 異 な った 独 自の 長 期 期 待 に 基 づ い て 投 資 を 決 定 す る ので あ り、 株 式 市 場(金 融 市 場)は 、 そ の よ う な投 資 に 攪 乱 的 な 影 響 を 与 え る と考 え て い た と 思 わ れ る。 7 お わ り に 資 本 主 義 経 済 の 不 安 定 性 を論 じ る ケ イ ン ズ の 議 論 の な か で 、 い うまで もな く、 投 資 理 論 は最 も重 要 な も の で あ る。 しか し、 ケ イ ン ズ ぱ 、短 期 理 論 の 想 定 の な か に、 投 資 に影 響 を 与 え る多 くの 要 因 を 閉 じ こめ て しま い 、,表面 に表 れ るの は ∼ 資 本 の 限 界 効 率 と利 子 率 の み で あ る。 しか し、 ケ イ ン ズ は 、 これ らの要 因 を 「余 談 風 の議 '論 」 で あ る が 、 い くつ か示 唆 して い る。 本 稿 で は 、 これ らの 要 因 の い くつ か を 資 金 調 達 との 関 連 で 整 理 し、 関 連 づ け る こ とに よ っ て 問題 点 を 指 摘 した に す ぎ な い。 しか し、 ケ イ ン ズ の 短 期 理 論 を 景 気 循 環 論 を含 む 長 期 理 論 に発 展 させ る と き、 こ れ らの 要 因 の 分 析 は 不 可 欠 で あ る と思 わ れ る。 注 (1)文 献[6]APP.13-15)に よ れ ば 、 MM理 論 の 仮 定 は 、 r U)投 資 家 の 合 理 的 行 動 、② 競 争 的 資 本 市 場 、(3)取 引 費 用 の 無 視 、(4)配 当 と 内 部 留 保 の 無 差 別 、㈲ 企 業 と投 資 家 の 借 入 条 件 の 均 等 、(6瀞 学 的 期 待 、(7)予 想 の 一 致 、 (8)法 人 税 ・所 得 税 の 無 視 、 ⑨ 企 業 の 最 大 化 行 動 、 で あ る 。 具 体 的 内 容 に 関 して は 同 書 を 参 照 。 な お 、本 稿 で は 、MM理 論 の 内 容 に 関 して は 同 書 に 全 面 的 に 依 存 し て い る 。 (2)証 明 に 関 し て は 、 文 献[6](PP.16-19)参 照 。 (3)MM理 論 と 破 産 の 問 題 に 関 し て は 、文 献[10](PP.1 -7)参 照 。 (4}MM理 論 の 立 場 か ら の 目標 負 債 比 率 の 決 定 に 関 し て は 、 文 献[6](PP.183-192)参 照 。 (5)CAPMに 関 し て は 、 文 献[7]2章(PP.23-51)参 照 。 (6)ケ イ ン ズ の 「一 般 理 論 」13章 の4(邦 訳PP.171-2) 参 照 。 ミ ン ス キ ー(文 献[9]、p.75)は 、 貨 幣 需 要 関 数 に ρκ を 使 用 し て い る。 (7}証 明 に 関 して は 、 文 献[6](PP。105-122)参 照 。 (8)デ ヴ ィ ッ ド ソ ン 、 文 献[2](邦 訳PP.67-77)参 照 。 (9)流 動 性 の 定 義 、お よ び ポ ー ト フ ォ リオ 理 論 との 関 連 に つ い て は 、 ピ ッ ク ス の 文 献[3]APP.31-57}参 照 。 α0) ミ ン ス キ ー の 文 献[9](PP.69-116)参 照 。 (19 ケ イ ン ズ がriskとuncertaintyを 区 別 し て い た こ と は 、 「一 般 理 論 」12章 の2の 注(1)(文 献[4]、 邦 訳p. 146)よ り明 ら か で あ る 。 参 考 文 献 ' [1] 青 木 達 彦 「ポ ス ト ・ケ イ ン ズ 派 動 学 と 貨 幣 的 生 産 経 済 」 「季 刊 現 代 経 済 」、49号 、PP.56-75,1982. [2] Davidson, P., Money and the Real World, Macmillan,1978.原 正 彦 監 訳 「貨 幣 的 経 済 理 論 」、 日本 経 済 評 論 社 、.1980.
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[8] Leijonhufvud, A.,0π κ卿 θ5責zπ 五=ごoηoη3fos and the Economics of Keynes:AStudy in
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