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【書評】SISの実際(上村孝来 著)

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Academic year: 2021

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S 1

S

の実際

日本経済新聞社 1991 年 4 月刊 定価750円 著者の上村孝樹氏は,日経コンピュータの副編集長. 情報システムの分野では,日本のジャーナリズムを代表 する人物として知られている.その明快で,かっ迫力あ る講演を OR 企業サロンで聞かれた方も多いはず. 本書は,その上村氏の弁舌力をそのまま文字にしたよ うな本である.ジャーナリストの著書ということで,実 践的な内容となっているのは当然としても,理論的な示 唆も決して少なくない.

f

1 粒で 2 度おいし L 、 J といった ような本である.

S 1

S ということばを世に送りだしたとされるチャー ルズ・ワイズマンは,これを「企業の競争戦略J との関 連で論じた.本書は,ワイズマン流の議論をある部分継 承しつつ,システム競争に関する「業界聞の比較J を新 たに試みている.そのような視点、は,業界の規制状況と システム競争との関連,といった議論に典型的に見られ る. 本書の構成は以下のとおりである. 第 l 章

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S を f経営戦略として構築・運用される 情報システム j と定義し,その効果として,大幅な経営 効率化,サービス・製品の差別化,顧客・取引先との関 係強化,商圏の拡大の 4 つをあげている.実務家の読者 は, f

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S は業界ピジネス構造を変革させ,競争条件を 変える恐ろしさがありますj のコピーに,どきっとさせ られるはず. 第 2 章 まず,

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S 競争のプロセスが,先行企業が 競争優位を獲得する第 l フェーズ,業界全体で競争する 第 2 フェーズ,他業界に影響がおよぶ第 3 フェーズとモ デル化されている.そして,

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S 競争を進展させる条 件として,業務自由度が高いこと,商品の差別化度が低 いこと,顧客ニーズへの対応が強く求められているこ と,規制緩和が進んでいることの 4 つを指摘している. また,第 2 フェーズにおける対応が企業の命運を揮って いるとし,具体的には,適切な連携,組織づくり,マネ ジメント上の改革を行なうべきとしている.この章以 降,具体的な企業の名前が続々登場する.著者上村氏の ことを知らない読者でも,本書の主張の裏側に著者自身 が足で稼いだ膨大な調査データがあることに気づくはず 1991 年 9 月号 である. 第 3 章

S 1

S のねらいについて述べている.自社単 独の場合は,大幅な経営効率化,サービス・製品の差別 化,商閣の拡大,取引先との関係強化・顧客の囲い込 み,新規事業の創出を S

1

S でねらえるという.共同化 による S

1

S の戦略には,オープン・同業連携,オープ ン異業連携, クローズ・同業連携, クローズ・異業連携 があるとしている.単独 S

1

S の事例が,何のために S

1

S を導入するかのまさに「ねら L 、 J を基準に論じられ ているのに対し,共同化 S

1

S の方は連携の「タイプ j を切口として書き進められており,読み手としては頭の 切り替えが必要である. 第 4 章 まず,失敗のポイントとして,経営戦略の失 敗,情報技術適用上の失敗,運用上の失敗,その他をあ げている.次に,成功のポイントとして,本業の確実な 支援,取引相手への気配り,人聞によるサポート,変更 ・拡張の容易さをあげている.最後に,構築にあたっ て,どの段階ではどのようなことに留意すべきかについ て言及している. 気になった点は次の 2 つ. 1 つは,各章がそれぞれ「日経コンビュータ J の特集 記事をもとにしているために, 1 j市の本としてのまとま りに欠けることである. f寄せ集め」的な感じがぬぐい きれない.全体としての一貫性が欲しかった. 第 2 点として,自社の価値活動と供給者の価値活動の リンケージが「価値連鎖j であるとし、う解釈には,少々 無理があるような気がする.ポーターのいう「価値連 鎖J は,本来は,主活動と支援活動からなる価値活動の 総体をさしている. しかし,本書は実務家にとっても,研究者にとっても 示唆に富む内容になっており,一読の価値があることは 疑いない東京大学:白石弘幸) (31)

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