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DBMS統合環境を考慮したトランザクション制御手法

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(1)Vol.2015-ARC-215 No.17 Vol.2015-OS-133 No.17 2015/5/27. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. DBMS 統合環境を考慮したトランザクション制御手法 斎藤 直人1,a). 山田 浩史1,b). 概要:仮想化技術を利用したデータベース管理システム (DBMS) の統合が実運用されている.DBMS は トランザクションをログ先行書き込みで実現しているものが多く,ログ先行書き込みはストレージへシー ケンシャルに書き込むことで高速化している.DBMS の統合を行い,複数の DBMS でログ書き込みが発 生するとホスト OS で書き込みをまとめて処理するが,各 VM イメージ内の DBMS ログファイル間を往 復しながら書き込まれるためシーケンシャルに書き込みを行えない.本研究では,複数 DBMS で発生し たログ書き込みをハイパーバイザで制御し,シーケンシャルに行う手法を提案する.提案手法はログファ イルの統合とリクエストの制御で構成される.ログファイルの統合により DBMS のログファイルを VM イメージから取り出し,ディスク上で近い位置に保存することでシーク時間を軽減しシーケンシャル書き 込みに近づける.そして,リクエストの制御によりログ書き込みを優先的に処理する.提案手法を Xen 4.2.1,MySQL 5.6.17 に実装し,4 つの DBMS で同時にワークロード TPC-C を実行した.結果,DBMS のスループットが 30%向上し,提案手法の有効性が確認できた.. 1. Introduction 仮想化技術を利用したデータベース管理システム (DBMS)の統合が実運用されている.仮想化技術とは ハードウェアを仮想化し,1 台の物理マシン上で複数の仮想. 障害によってダウンした場合でもログファイルからデー タベースの状態を復元できる.ログファイルへの書き込み は頻繁に生じるため,全てシーケンシャルに行うことで処 理の高速化を行っている.ログ先行書き込みは MySQL,. PostgreSQL など多くの DBMS で採用されている.. マシン(VM)を動作させる技術である.仮想化技術を利用. しかしながら,ログをシーケンシャルに書き込むことに. した DBMS の統合では,1 台の物理マシン上で複数の VM. よる DBMS のトランザクション書き込みの高速化は,仮. を起動し,各 VM 上で DBMS を動作させる.DBMS の統. 想化環境で複数の DBMS が動作すると無効化されてしま. 合を行うことにより,仮想マシン数の増減によってサービ. う.複数の仮想マシンで発行されたディスクへの書き込み. スの規模拡張が容易になることや,効率的にリソースを利. はハイパーバイザでまとめて処理する.複数の DBMS の. 用することで管理する物理マシン数を減らすことができる. ログファイル間を往復しながら,小さな書き込みが頻繁に. などのメリットがある.実際に,Amazon RDS [1] などの. 処理されるため,結果的にランダム書き込みになってしま. サービスで利用されている.Amazon RDS は DBMS をオ. う.実際に TPC-C を用いた実験をしたところ,仮想化環. ンラインで作成,利用できるサービスである簡単なコマン. 境で 4 つの DBMS が動作するとシーケンシャル書き込み. ドでデータベースインスタンスの作成,設定を行うことが. が 22%減少している.シーケンシャル書き込みが減少する. でき,このデータベースインスタンスは VM 上で動作する. と遅いランダム書き込みでデータを書き込む割合が増え,. DBMS である.. DBMS 統合環境で動作する DBMS の性能が劣化してしま. 一般的に利用されている DBMS の多くはログ先行書き. う.その結果,望んだ性能を DBMS に発揮させるためには. 込みでトランザクション書き込みを実現している.ログ先. DBMS の統合数を減らすことになり,効率的にリソースを. 行書き込みは全てのデータベースの更新内容を事前にログ. 利用するという DBMS 統合の効果が小さくなってしまう.. ファイルに書き込む.ログファイルからデータベースへの. 本研究では,複数の DBMS からのトランザクション書. 反映は非同期で行われるが,すでにログファイルへの書き. き込みを制御して,DBMS のスループットを向上させる. 込みでディスクに書き込まれているため,突然 DBMS が. 手法を提案する.ハイパーバイザで複数 DBMS のログ先 行書き込みを捕捉し,シーケンシャルにディスクへ書き込. 1 a) b). 東京農工大学 [email protected] [email protected]. c 2015 Information Processing Society of Japan ⃝. む.提案手法を実現するために,ログファイルの統合とリ クエストの制御を行う.ログファイルの統合は,複数の仮. 1.

(2) Vol.2015-ARC-215 No.17 Vol.2015-OS-133 No.17 2015/5/27. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 物理マシン 物理マシン . 物理マシン . DBMS . DBMS . OS . OS . ハードウェア . ハードウェア . 仮想マシン . 仮想マシン . DBMS . DBMS . OS . OS . 仮想   ハードウェア . 仮想   ハードウェア . Domain0 Backend  . Domain1 . Domain2 . DBMS . DBMS . Frontend . Frontend . Hypervisor ハードウェア . 図 1. Hypervisor . 2 つの DBMS を統合する例. 想マシン上で動作するそれぞれの DBMS のログファイル. Domain1 Image . Domain2 Image . DBMS  Logfile . DBMS  Logfile . Disk . をディスク上で近い位置に配置する.リクエストの制御 は,ログファイルへの書き込みリクエストをハイパーバイ. 図 2. DBMS 統合環境におけるログファイルへの書き込み. ザで判別し,他の I/O リクエストよりも優先的に行えるよ うにする.提案手法により,ディスクへのシーケンシャル. る前にログファイルに書き込み,データベースへの反映は. アクセスを増加させ,トランザクション書き込みの高速化. 非同期で行う.ログファイルに変更は書き込まれているた. が可能となる.. め,データベースへ反映する前にマシンが障害でダウンし. 提案手法を Xen 4.2.1,Linux 3.4.103,MySQL 5.6 上に. てもログファイルからデータを復元できる.ログファイル. 行い,DBMS を統合した環境でワークロードとして TPC-C. への書き込みは頻繁に発生するため,シーケンシャル書き. を実行した結果,2 つの DBMS を統合した環境では 12.3%,. 込みにより高速化している.ログ先行書き込みは MySQL,. 4 つの DBMS を統合した環境では 30.4%スループットが. PostgreSQL,Oracle Database など多くの DBMS で採用. 向上した.また,書き込みを行わないワークロードとして. されている.. TPC-H を実行したところ,デフォルト環境と変わらない 処理時間でワークロードを完了できた.. 2. Background and Motivation 2.1 DBMS Consolidation. 2.2 Issues ログをシーケンシャルに書き込むことによる DBMS の トランザクション書き込みの高速化は,仮想化環境で複 数の DBMS が動作すると無効化されてしまう.仮想化. 仮想化技術を利用したデータベース管理システム. 環境における I/O の実現方法として広く利用されている. (DBMS)の統合は,複数の物理マシン上で一つずつ動. Paravirtual I/O がある.Paravirtual I/O はホスト OS と. 作していた DBMS を仮想化技術を利用して 1 台の物理マ. ゲスト OS が協調して動作する I/O 仮想化であり,ゲス. シン上で複数の DBMS を動作させる.2 つの DBMS を統. ト OS は Frontend Driver を通して,ホスト OS で動作す. 合する例を図 1 に示す.DBMS を統合することにより,リ. る Backend Driver に I/O 処理を要求し,実際の I/O 処理. ソースの有効活用が可能になる.DBMS は常にマシンのリ. はホスト OS で行う.それゆえ,複数のゲスト OS から発. ソースをすべて使うわけではない.そのため,1 台の物理. 行された I/O はホスト OS でまとめて処理される.2 つの. マシンに一つの DBMS を動作させても,使用していない. DBMS を統合した環境での各 DBMS のログファイルへの. リソースが発生する.仮想化技術を利用して,1 台の物理. 書き込みの様子を図 2 に示す.複数の DBMS でログへの. マシンに複数の DBMS を動作させることでリソースの共. 書き込みが発生すると,ホスト OS で I/O がまとめて処理. 有が可能になり,リソースの無駄を減らすことができる.. される.結果として,複数の DBMS のログファイル間を. また,VM 数の増減によりサービスの規模拡張が容易に行. 往復しながら,小さな書き込みが頻繁に処理されるため,. える.. ランダム書き込みになってしまう.. 一般的な DBMS としてリレーショナルデータベース管理. 仮想化環境で複数の DBMS が動作したとき,DBMS の. システム(RDBMS)が利用されている.RDBMS はその. 書き込みリクエストをシーケンシャルに行えた割合を調. 多くがトランザクションを提供している.トランザクショ. べる予備実験を行った.Xen 上で複数の DBMS が動作す. ンは SQL クエリのまとまりをアトミックに処理するため. る DBMS の統合環境において,各 DBMS で同時にワーク. の DBMS の機能である.一連のクエリが全てデータベー. ロード TPC-C を実行し,そのとき発行された VM のディ. スに反映されるか,全て反映されないかのどちらかの状態. スク書き込みリクエストの情報をハイパーバイザで取得し. になることを保証する.トランザクションの一般的な実現. た.また,DBMS として MySQL を利用し,コミットの開. 方法としてログ先行書き込みがある.ログ先行書き込みで. 始と完了時にハイパーバイザにメッセージを出力するよう. はトランザクションによる変更をデータベースに反映す. に変更を加えた.取得したリクエストの情報から,コミッ. c 2015 Information Processing Society of Japan ⃝. 2.

(3) Vol.2015-ARC-215 No.17 Vol.2015-OS-133 No.17 2015/5/27. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 1  . Domain1 . Domain2 . DBMS . DBMS . Frontend . Frontend . 0.9   シーケンシャル率 . 0.8  . Domain0 . 0.7   0.6  . Backend  . 0.5   0.4   0.3  . Hypervisor . 0.2   0.1   0   1  . 2  . 4  . DBMS   DBMS   Logfile Logfile . VM  数 . 図 3. Domain1 Image . Domain2 Image . Disk . DBMS 統合数とシーケンシャル率の関係 図 4. ログファイル統合後のログファイルへの書き込み. ト開始と完了メッセージの間で,同じ VM が連続で書き込 めた割合(シーケンシャル率)を求める. ワークロードを実行する VM 数を 1,2,4 と変化させ,. 4. Design Details. シーケンシャル率を比較した結果を図 3 に示す.VM 数が. 提案手法はログファイルの統合とリクエストの制御に. 1 のときの 100%から VM 数が増えるほど,シーケンシャ. よって構成される.ログファイルの統合では各 VM のディ. ル率が下がっている.VM 数が 4 つのときにはシーケン. スクイメージに保存されていたログファイルを抽出し,ハ. シャル率は 78%まで減少している.この結果から DBMS. イパーバイザでまとめて管理する.ディスク上で近い位置. 統合環境ではシーケンシャル書き込みによるトランザク. に各ログファイルを置くことでシーク時間を軽減し,シー. ション書き込みの高速化が働いていないことが確認できる.. ケンシャル書き込みに近づける.ログファイル統合の概要. TPC-C の実行結果ではトランザクションは 1 つの VM で. を図 4 に示す.ログファイル統合の実現には,ホスト OS. 毎分 600 程度処理されており,DBMS を統合すると更に処. でログファイル保存用の小さなディスクイメージを VM ご. 理すべきトランザクションが増える.DBMS 統合環境で. とに作成して各 VM に与える.VM 側ではログファイル. は最悪の場合 1 つ 1 つのトランザクション書き込みがラン. 保存用のディスクイメージをマウントすることで,一つの. ダム書き込みになってしまうことになる.ストレージにお. パーティションとして扱える.DBMS の設定を行い,この. いてランダムアクセスはシーケンシャルアクセスに比べて. パーティションにログファイルを保存する.各 VM に与え. 遅いことが知られており,fio ベンチマークによってスルー. るログファイル保存用のディスクイメージはホスト OS 上. プットを測定すると,ハードディスクではシーケンシャル. で同じフォルダに作成することにより,ファイルシステム. 書き込みはランダム書き込みの 70 倍高いスループットで. の最適化が働き,ディスク上で近い位置に保存される.加. 処理ができ,SSD においてもシーケンシャル書き込みの方. えて,ハイパーバイザからはこのディスクイメージへの書. がランダム書き込みに対して約 30%高いスループットを発. き込みを DBMS のログ書き込みであると検出できるよう. 揮する.DBMS 統合環境で遅いランダム書き込みが増える. になる.. と,各 DBMS のスループットが大きく劣化してしまうと 考えられる.. 3. Approach 2.2 章で述べた問題に対処する手法として,本研究では. リクエストの制御では DBMS のログファイルへの書き 込みを優先的に処理するように制御する.提案手法では. VM による書き込みリクエストを,DBMS のログファイル への書き込みであるログリクエストと,その他の書き込み リクエストであるデータリクエストの 2 種類に判別する.. 複数の DBMS からのトランザクション書き込みを制御し. Backend にリクエストのロック機構を追加し,DBMS がト. て,DBMS のスループットを向上させる手法を提案する.. ランザクション書き込みを行うコミットの実行中はロック. ハイパーバイザで複数 DBMS のログ先行書き込みを捕捉. を取得し,データリクエストの発行を停止し,ログリクエ. し,シーケンシャルにディスクへ書き込む.提案手法を実. ストのみを実行できるようにすることでログリクエストを. 現するアプローチとして,ログファイルの統合とリクエス. 優先的に処理する.リクエストの制御の例を図 5 に示す.. トの制御を行う.ログファイルの統合ではディスク上で散. 図 5(a) では各 VM の Backend プロセスにてコミット中か. らばっていた各 DBMS のログファイルを統合する.そし. どうか VM から情報を取得し,コミット中ならばロック. て,リクエストの制御ではトランザクション単位のシーケ. を取得し,リクエストを発行する.図 5(b) では VM1 がコ. ンシャル書き込みを他の VM の書き込みに邪魔されないよ. ミットを実行中のため,VM2 はロックが解放されるまで. うにリクエストを制御する.. リクエストの発行を止める.図 5(c) では VM1 でコミット. c 2015 Information Processing Society of Japan ⃝. 3.

(4) Vol.2015-ARC-215 No.17 Vol.2015-OS-133 No.17 2015/5/27. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 表 1 設定の略称. VM1 VM2 Backend Backend ログ3 . データ . ログ2 . データ . ログ1 . ログ1 . 比較する実験設定 設定の内容. デフォルト. 提案手法を実装しない標準の設定. ログファイル統合. 提案手法のログファイル統合のみを導入した設定. データレベルロック. 提案手法のログファイル統合とデータレベルロックを導入した設定. ログレベルロック. 提案手法のログファイル統合とデータレベルロックを導入した設定. VM1 VM2 Backend Backend . VM1 VM2 Backend Backend . 6.1 Experimental setup. データ ログ3 . 2 台の同じスペックの物理マシンを使用し,一方を DBMS. データ . 統合環境サーバ,もう一方をワークロードを送るクライ. × ログ2 . データ . ログ1 . データ . ログ1 . host . 図 5. ログ3 . host . (b) ロック取得中は データリクエスト を停止 . (a) ロックを取得し, リクエストを発行 . 6. Experiments. アントとして使用する.使用した物理マシンは,CPU が. Intel Xeon E3-1270 V2(4 コア,ハイパースレッディング host . (c) VM1のトランザクションが 完了後にロックは解放され, データリクエストが発行可能 . リクエストの制御の例. オフ),メモリ 16GB である.ストレージはハードディス クを使用している.各 VM は,VCPU 1 コア,仮想メモリ. 2GB であり,VM 上で動作する MySQL のバッファプール は 1024MB,ログファイルサイズは 128MB に設定してい る.提案手法を実装した DBMS 統合環境とデフォルトの. が完了後,ロックが解放され VM2 のデータリクエストを. DBMS 統合環境で実験結果を取得し比較を行う.比較する. 発行する.. 実験設定を表 1 に示す.. Paravirtual I/O の Backend では,リクエストの発行を 非同期 I/O で行っている.非同期 I/O では I/O の完了を 待たないため,ロックの待ち時間は少ない.ロックはデー. 6.2 Results 提案手法の評価のために DBMS 統合環境の書き込みス. タレベルロックとログレベルロックの 2 種類を検討する.. ループット評価とシーケンシャル率の評価,そして読み込. データレベルロックはログリクエストをブロックしない. みスループット評価を行った.. ロックであり,ログレベルロックはログリクエストをブ. 書き込みスループットの評価として,DBMS 統合環境下. ロックし,1 つの VM のログリクエストのみが処理される. で複数の DBMS に対し同時に書き込みワークロードを実行. ロックである.図 5 は 2 つの VM のログリクエストを一緒. しパフォーマンスを調べる.同時に DBMS を動作させる. に処理しているため,データレベルロックになる.. VM 数を 1,2,4 と変化させる.ワークロードは TPC-C [2]. ロック機構に加えて,Backend でトランザクション書き. を実行する.TPC-C は DBMS に対して 5 種類のトランザ. 込み(コミット)が実行中か知るために,コミット中かど. クション処理から乱数で処理を選択し,書き込みリクエス. うかを判定するコミットカウンタを導入している.各 VM. トを中心に発生させる.本実験では TPC-C の MySQL 向. で動作する DBMS でコミット開始時にカウンタをインク. けの簡易実装である tpcc-mysql を使用し,1 分間当たりの. リメントし,コミット完了後にカウンタをデクリメントす. トランザクションスループットを取得する.tpcc-mysql の. る.Backend にてコミットカウンタを確認し,ロックを取. 設定は warehouse を 20,実行時間を 30 分,ウォームアッ. 得するかどうか判断する.. プタイムを 3 分,クライアント数は 1 に設定している.実. 5. Implementation. 験を 5 回繰り返し行った中央値で比較する.. TPC-C の結果を図 6 に示す.図 6 の縦軸はデフォルト 仮想化環境に Xen 4.2.1,DBMS に MySQL 5.6.17 を利用. 設定のトランザクションスループットで正規化した結果を. して提案手法のプロトタイプを実装した.Xen の Backend. 示している.VM 数が 1 のときは提案手法の恩恵を受ける. Driver には qemu-backend を利用した.リクエストの制御. ことができないため,スループットが低下してしまう.特. は Backend に実装している.ログリクエストとデータリ. にデータレベルロックとログレベルロックの実験設定では. クエストは書き込み先のディスクイメージの違いによって. 必要のないロックを取得していることから,オーバーヘッ. 判別でき,Backend の動作するホスト OS のシステムコー. ドが大きくなっている.VM 数が 2 のとき,デフォルトに. ルとして実装しているロックを取得する.トランザクショ. 対してログファイル統合は 12.3%スループットが向上して. ン単位でロックを取得するために,コミット実行中か否か. いる.ログファイル統合とデータレベルロックを比較する. 判別するコミットカウンタは VM とやりとりを行うため,. とデータレベルロックの結果が 1%ほど上回っている.あ. Xen のハイパーコールとして実装している.. c 2015 Information Processing Society of Japan ⃝. 4.

(5) Vol.2015-ARC-215 No.17 Vol.2015-OS-133 No.17 2015/5/27. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 1.4  . 1.2   1  . 1   0.8  . デフォルト . 0.6  . ログファイル統合 . 0.4  . データレベルロック ログレベルロック . 0.2  . クエリ完了時間 . トランザクション/分 . 1.2  . 0   1  . 2  . 0.8   デフォルト 0.6  . ログファイル統合 . 0.4  . データレベルロック . 0.2  . ログレベルロック . 4  . 0  . VM数 . 1  . 図 6. 2  . 3  . 4  . 6   10   15   19   20   21  . TPC-­‐Hクエリ番号 . デフォルト設定の結果を 1 とした TPC-C による書き込みス ループットの比較 図 8. デフォルト設定の結果を 1 とした TPC-H による読み込みス ループットの比較. 1  . シーケンシャル率 . 0.9   0.8  . 行しパフォーマンスを調べる.同時に DBMS を動作させ. 0.7   0.6  . デフォルト . 0.5  . ログファイル統合 . 0.4   0.3  . データレベルロック . 0.2  . ログレベルロック . 0.1  . の読み込みのみを発生させ集計処理などを行う TPC-H [3] を実行する.TPC-H はデータセットサイズのオプション を 2 に設定している.また TPC-H のクエリは 1,2,3,. 0   2  . 4   VM数 . 図 7. る VM 数を 4 に設定している.ワークロードはディスク. 提案手法によるシーケンシャル率の変化. 4,6,10,15,19,20,21 を実行する.クエリの選出は Application Level Ballooning [4] で行われた実験を参考に している.各クエリの完了時間を実験設定毎に比較する.. TPC-H の結果を図 8 に示す.クエリ完了時間の差は最大 まり差が出ていない理由はログファイル統合の効果により. でクエリ 20 番の 9%であるが,他のクエリはほぼ同じ時. 各 VM のログリクエストがホスト OS の I/O スケジューリ. 間でクエリが完了している.書き込みのワークロードでな. ングでまとまりやすくなっており,ロックを取ることによ. ければログファイルへの書き込みは発生しない.実装上も. るリクエストの整理の影響が小さくなるためである.ログ. 書き込みリクエストにのみリクエストの制御を適用するた. レベルロックはロック待ちが多くなりやすく,スループッ. め,読み込みワークロードの結果には影響を与えない.. トがわずかに劣化している.VM 数が 4 のとき,デフォル トに対してログファイル統合は 30.4%スループットが向上 している.スループットの向上率は VM 数が 2 のときより. 7. Related work DBMS を統合する上での課題への取り組みは様々ある.. も大きくなっており,DBMS の統合数が増えるほど提案手. 本章では,DBMS を統合する上での課題に取り組んだ研究. 法の効果が大きくなっている.. について紹介する.. 予備実験と同じ方法で TPC-C を実行した際のシーケン. Virtualization Design Advisor [5],SmartSLA [6] では仮. シャル率を評価する.提案手法のログファイル統合を導入. 想化技術を利用した DBMS 統合環境でのリソース分配の. すると,ログファイルがディスク上で近い位置に配置され. 自動設定手法を提案している.これらの研究は必要最小. る.そこで複数 DBMS のログファイルの塊を 1 つの大き. 限のリソースを VM に設定することで DBMS の統合数を. なログファイルのようにみて,シーケンシャル率の計算の. 増やそうとしている.本研究は DBMS 統合環境のスルー. 際,他の DBMS のログファイルへの書き込みもシーケン. プットを向上する研究であり競合する部分がない,協調で. シャルな書き込みとして計算する.. きる立ち位置にある.. シーケンシャル率を VM 数と実験設定で比較したグラ. SQLVM [7] は DBMS 統合において VM を利用する上で. フを図 7 に示す.VM 数が 2,4 のどちらの結果において. のオーバヘッドを課題として,DBMS プロセス内で VM. も,提案手法を実装した結果はデフォルトを上回っている.. のようなリソース分配を行うことを提案している.DBMS. デフォルトとログファイル統合のシーケンシャル率を比較. プロセス内でリソース分配が可能になれば,VM による. すると,VM 数が 2 のときは 4.7%,VM 数が 4 のときは. DBMS の統合よりも一つの DBMS ごとのリソース使用量. 27.3%,シーケンシャル率が向上している.. が小さくなり,より多くの DBMS の統合を可能にする.. 読み込みスループットの評価として,DBMS 統合環境下. VM を利用しない DBMS 統合は Azure SQL Database で. で複数の DBMS に対し同時に読み込みワークロードを実. 利用されている.本研究では VM を利用した統合環境の. c 2015 Information Processing Society of Japan ⃝. 5.

(6) Vol.2015-ARC-215 No.17 Vol.2015-OS-133 No.17 2015/5/27. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. オーバヘッドを減らす取り組みなので,前提としている環. う.この点を解決する手法として,すべての DBMS のト. 境の違いがある.. ランザクションログを一つのログファイルにシーケンシャ. I/O 仮想化のオーバーヘッドを課題とした取り組みであ. ルに書き込むことが挙げられる.この解決手法では全ての. る ELVIS [8] はそれを解決するための Paravirtual I/O の. DBMS のトランザクションログ書き込みを抽出し,書き込. 高速化手法を提案している.ハイパーバイザとして KVM. み先をマシン上で一つのログファイルに変更する.そのと. を利用する Paravirtual I/O を対象としている.本研究を. き,全ての DBMS のログを追記していくことでシーケン. KVM で実装する場合に導入することができる.. シャルに書き込んでいくことで,DBMS の統合数が増えて. IaaS において Availability を高めることは共通の課題と. もリクエストは完全にシーケンシャルに処理される.. なっている.PipeCloud [9] や RemusDB [10] では本来の サービスへ与える影響を少なくして,Availability を高め. 参考文献. るための取り組みが行われている.これらの研究は VM を. [1]. 利用したクラウドサービスを想定しているため,DBMS 統 合環境を実現する場合は,本研究と組み合わせることがで. [2]. きる. [3]. 8. Conclusion 本研究では DBMS 統合環境においてトランザクション. [4]. 書き込みの高速化が効化されてしまう問題に取り組んだ. 複数の DBMS からのトランザクション書き込みを制御し て,DBMS のスループットを向上させる手法を提案する. ハイパーバイザで複数 DBMS のログ先行書き込みを捕捉. [5]. し,シーケンシャルにディスクへ書き込む.提案手法はロ グファイル統合とリクエストの制御から構成され,ログ ファイル統合は各 VM のディスクイメージからログファ イルを取り出して統合し,リクエストの制御はリクエスト. [6]. をログリクエストとデータリクエストに判別し,ホスト. OS にてログリクエストを優先的に発行する,提案手法の プロトタイプを実装し,DBMS を統合した環境でワーク ロードとして TPC-C を実行した結果,2 つの DBMS を統. [7]. 合した環境では 12.3%,4 つの DBMS を統合した環境では. 30.4%スループットが向上した.また,書き込みを行わな いワークロードとして TPC-H を実行したところ,デフォ ルト環境と変わらない処理時間でワークロードを完了でき. [8]. た.提案手法によりトランザクション書き込みを効率化さ せ,DBMS の統合環境のスループットを向上させることが 確認できた.. [9]. 9. Future Work 本研究で提案したログファイルの統合では各 DBMS の ログファイルをディスク上で近い位置に配置する.それに よりシーケンシャルな書き込みに近づけている.実験でも スループットの向上が確認できている.しかしながら,そ れぞれのログファイルは別々のファイルで扱っているため,. [10]. Amazon Web Services, Inc: Amazon RDS, http://aws.amazon.com/jp/rds/. Council, T. P. P.: TPC-C, Transaction Processing Performance Council (online), available from ⟨http://www.tpc.org/tpcc/⟩ (accessed 2013-08-13). Council, T. P. P.: TPC-H, Transaction Processing Performance Council (online), available from ⟨http://www.tpc.org/tpch/⟩ (accessed 2013-08-13). Salomie, T.-I., Alonso, G., Roscoe, T. and Elphinstone, K.: Application Level Ballooning for Efficient Server Consolidation, Proceedings of the 8th ACM European Conference on Computer Systems (EuroSys ’13), pp. 337–350 (2013). Soror, A. A., Minhas, U. F., Aboulnaga, A., Salem, K., Kokosielis, P. and Kamath, S.: Automatic Virtual Machine Configuration for Database Workloads, Proceedings of the 2008 ACM SIGMOD International Conference on Management of data (SIGMOD ’08), pp. 953– 966 (2008). Xiong, P., Chi, Y., Zhu, S., Moon, H. J., Pu, C. and Hacigumus, H.: Intelligent Management of Virtualized Resources for Database Systems in Cloud Environment, Proceedings of the 2011 IEEE 27th International Conference on Data Engineering (ICDE ’11), pp. 87–98 (2011). Narasayya, V., Das, S., Syamala, M., Chandramouli, B. and Chaudhuri, S.: SQLVM: Performance Isolation in Multi-Tenant Relational Database-as-a-Service, Proceedings of the 6th Biennial Conference on Innovative Data Systems Research (CIDR ’13), pp. 1–9 (2013). Har’El, N., Gordon, A., Landau, A., Ben-Yehuda, M., Traeger, A. and Ladelsky, R.: Efficient and Scalable Paravirtual I/O System, Proceedings of the 2013 USENIX Annual Technical Conference (USENIX ATC ’13), pp. 231–242 (2013). Wood, T., Lagar-Cavilla, H. A., Ramakrishnan, K. K., Shenoy, P. and der Merwe, J. V.: PipeCloud: Using Causality to Overcome Speed-of-Light Delays in CloudBased Disaster Recovery, Proceedings of the 2nd ACM Symposium on Cloud Computing (SoCC ’11), pp. 17:1– 17:13 (2011). Minhas, U., Rajagopalan, S., Cully, B., Aboulnaga, A., Salem, K. and Warfield, A.: RemusDB: transparent high availability for database systems, The VLDB Journal, Vol. 22, No. 1, pp. 29–45 (2013).. DBMS の統合数が増えてログファイルの数も増えると,統 合したログファイルを保存しているディスク領域の最初と 最後にあるログファイルは離れてしまう.この二つのログ ファイルでリクエストが発生していると,シーク時間は増 加し,ログファイルの統合の効果が得られなくなってしま. c 2015 Information Processing Society of Japan ⃝. 6.

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表 1 比較する実験設定 設定の略称 設定の内容 デフォルト 提案手法を実装しない標準の設定 ログファイル統合 提案手法のログファイル統合のみを導入した設定 データレベルロック 提案手法のログファイル統合とデータレベルロックを導入した設定 ログレベルロック 提案手法のログファイル統合とデータレベルロックを導入した設定 ×  host ログ1 ログ1 ログ2 ログ3 データ データ VM1 Backend host ログ1 ログ1 ログ2 ログ3 データ データ  (b) ロック取得中は    データリクエス

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