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カンキツかいよう病菌における細菌学的性質と非病原力/病原力遺伝子に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

カンキツかいよう病菌における細菌学的性質と非病原力/病

原力遺伝子に関する研究( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

塩谷, 浩

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 乙第122号

Issue Date

2007-09-12

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/23501

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

名(本(国)籍)

の 種 類

記 番 号

学位授与年月

学位授与の要件

学 位

論 文 題 目

査 委

塩 谷 浩

(島根県)

博士(農学)

農博乙第122号

平成19年9月12日

学位規則第3条第2項該当

カンキツかいよう病菌における細菌学的性質と非病

原力/病原力遺伝子に関する研究

主査

岐阜大学

授 副査

静岡大学

副査

岐阜大学

授 副査

信州大学

准教授

朗二 之巧

博 ゆ 町 無 山 我 百 露 小 久

文 の 内

の 要 旨 カンキツかいよう病はカンキツかいよう病菌彪血払加舶銅胴叫押血pv.d出によって引き 起こされる世界的にも重要なカンキツ病害のひとつである。カンキツかいよう病菌は広い宿主範 囲を持ち,全てのカンキツ属とカラタチ属を含むミカン科植物に感染するが,各植物の間では感 受性が異なる。南アメリカ諸国では,カンキツにかいよう症状を引き起こすがカンキツかいよう 病菌とは系統発生学的に異なる病原型且8調印βゐ匹aロ花月正銘血が確認されている。わが国 で分離されるカンキツかいよう病の病原細菌は,血清学的性質,脇月班αⅢ皿agam呼0血匹 d出を特異的に検出するPCR法及び本細菌のb叩遺伝子群をプローブとしたハイプリダイゼー ションにより,全て彪血血那朋朋朋叫押血甲用加と同定された。 日本産カンキツかいよう病菌では既報のとおり,本細菌のファージCplとCp2に対する感受 性がそれぞれ異なる4つの系統が存在した。Cplに感受性の細菌株のみがマンニトールを単独の 炭素源として利用できた。また,Cp2に感受性の株はウンシュウミカンから優勢に分離された。 カンキツかいよう病菌の細菌株間における病原力の違いを調べるため,ネーブルオレンジ,グ レープフルーツ,ウンシュウミカン,メキシカンライム,ユズ,タチバナ及びブンタン類の3品 種(`大桶,、`晩白柚'及び`安政柑')を用いて付傷接種法により評価した。その結果,カンキ ツかいよう病菌はブンタン類に対する病原力の違いに基づき,2つの系統に分化していることが 判明した。また,ブンタンに対して病原力が異なる系統間ではファージ感受性が異なった。すな わち,Cplに感受性でCp2に抵抗性の細菌株は弱い病原力を,一方,Cplに抵抗性でCp2に感 受性の株は標準的な病原力を示す傾向が認められた。さらに,病原力が異なる系統はERIC (enterobacterialrepetitiveintergenicconsensus)配列をプライマーとしたrep・PCRにより識 別可能で,標準病原力系統でのみ1.8・kbのDNA断片が特異的に増幅された。この1・8-址DNA 配列が存在するゲノム領域を調べた結果,標準病原力系統では1.8・kb配列近傍に可動遺伝因子で ありファージ由来のインテグラーゼと思しき遺伝子が存在した。一方,弱病原力系統では本遺伝 子が欠損していた。この結果は本細菌の病原力分化にファージが関与している可能性を示唆した。

8-地上埠頭Aホモログのうち,幾つかの遺伝子は脇刀班α皿00aβ属植物病原細菌の病原力発現

に劇的な効果を発揮する。そのような遺伝子の中でもカンキツかいよう病菌の病原力遺伝子p虚A はカンキツに対する完全な病原力発現に決定的な役割を果たす。本細菌KC21株から見出された

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-226-病徴発現に必須な遺伝子p地Ar肥Jは中央部反復領域において,その構成単位の数及び配置が 叩〟及びク班Aと極めてよく似ていた。この結果はカンキツに完全な病原力を発現するためには βIdお%舶遺伝子翻訳タンパク質が適切な構造をとる必要があることを示唆した。 カンキツかいよう病菌の弱病原力系統EC21株を用いたトランスポゾンタギング実験により, ブンタン類に対して標準的な病原力を示す突然変異株EC21T46株が得られた。トランスポゾン の挿入により不活化された遺伝子ム朗β且♂はブンタン類に対する病原力発現を特異的に抑制した。 本遺伝子は同じくEC21株に存在するaIワ蝕J埠頭Aホモログのp且まJと♪βよ7間の組換えによ って生じたと思われるキメラ遺伝子であった。ム戯βよ♂は調査した全ての弱病原力系統の細菌株 に存在したが標準病原力系統の株では認められなかった。本遺伝子はブンタン類に抵抗反応を引 き起こす。しかし,ムぷ眉且のま♪班A戯〃によって引き起こされるかいよう症状の進展を完全に 妨げることができない。非病原力遺伝子は通常,宿主植物における過敏感反応を誘導するため, 感染が停止して病徴がさらに進展することはない。この観点から血艮β且βを非病原力遺伝子とみ なすことは困難である。 核ゲノムと細胞質ゲノムがそれぞれネーブルオレンジとウンシュウミカンに由来するカンキツ 細胞質雑種(サイブリッド)のカンキツかいよう病菌に対する感受性を調べた。サイブリッドに おける細菌増殖と病斑の大きさは核ゲノム親のネーブルオレンジと同等でありウンシュウミカン に勝っていた。圃場における発病程度も同様な傾向を示したことから,宿主の核ゲノムこそがカ ンキツかいよう病に対する感受性に決定的な役割を果たすと考えられた。しかし,ネーブルオレ ンジとウンシュウミカンの間では,病原力遺伝子♪虚ArⅢ∫が破壊された突然変異株EC21T14 の接種でも細菌増殖ならびに病斑の大きさに有意な違いが認められた。したがって,ウンシュウ ミカンとネーブルオレンジ間の感受性の違いに病原力遺伝子p班Ar把Jは関与していないと考 えられた。しかし∴KC21T14株の接種でもサイブリッドの本棟に対する感受性がウンシュウミカ ンではなくネーブルオレンジと同等であったことから,病原力遺伝子の有無に関わらず,核ゲノ ムがカンキツかいよう病菌に対する感受性を支配していると考えられた。

結 果 の 要

本論文の公開学位論文発表会は、審査委員全員を含む関連教員や学生の出席者のもと、平成

19年8月7日(火)午後4時30分より岐阜大学連合大学院棟6F会議室において実施され た。 カンキツかいよう病はカンキツかいよう病菌脇月虎αⅢdβagβズaロ嘩〉βd由pv二d妨によって引 き起こされる世界的にも重要なカンキツ病害のひとつである。カンキツかいよう病菌は広い宿

主範囲を持ち,全てのカンキツ属とカラタチ属を含むミカン科植物に感染するが,各植物の間

では感受性が異なる。南アメリカ諸国では,カンキツにかいよう症状を引き起こすがカンキツ かいよう病菌とは系統発生学的に異なる病原型ヱaエロ刀(p∂d由pv」a∽月山泌が確認されてい る。わが国で分離されるカンキツかいよう病の病原細菌は,血清学的性質,」払月虎α皿8舶β

朋Ⅷ叩肌鮎pⅥC元dを特異的に検出するPCR法及び本細菌のb叩遺伝子群をプローブとした

ハイプリダイゼーションにより,全て助成払m朗銅朋叫叩血pⅥC鷹山と同定された。 日本産カンキツかいよう病菌では既報のとおり,本細菌のファージCplとCp2に対する感 受性がそれぞれ異なる4つの系統が存在した。Cplに感受性の細菌株のみがマンニトールを単 独の炭素源として利用できた。また,Cp2に感受性の株はウンシュウミカンから優勢に分離さ れた。 カンキツかいよう病菌の細菌株間における病原力の違いを調べるため,ネーブルオレンジ, グレープフルーツ,ウンシュウミカン,メキシカンライム,ユズ,タチバナ及びブンタン類の 3品種(`大桶'、`晩白柚'及び`安政柑')を用いて付傷接種法により評価した。その結果,

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-227-カンキツかいよう病菌はブンタン類に対する病原力の違いに基づき,2つの系統に分化してい ることが判明した。また,ブンタンに対して病原力が異なる系統間ではファージ感受性が異な った。すなわち,Cplに感受性でCp2に抵抗性の細菌株は弱い病原力を,一方,Cplに抵抗 性でCp2に感受性の株は標準的な病原力を示す傾向が認められた。さらに,病原力が異なる 系統はERIC(enterobacterialrepetitiveintergenic consensus)配列をプライマーとした rep・PCRにより識別可能で,標準病原力系統でのみ1・8・kbのDNA断片が特異的に増幅され

た。この1.8・肋DNA配列が存在するゲノム領域を調べた結果,標準病原力系統では1・針kb

配列近傍に可動遺伝因子でありファージ由来のインテグラーゼと思しき遺伝子が存在した。一

方,弱病原力系統では本遺伝子が欠損していた。この結果は本細菌の病原力分化にファージが

関与している可能性を示唆した。

8嘲地Aホモログのうち,幾つかの遺伝子はJ臨月班α皿皿aβ属植物病原細菌の病原力発

現に劇的な効果を発揮する。そのような遺伝子の中でもカンキツかいよう病菌の病原力遺伝子 〆Mはカンキツに対する完全な病原力発現に決定的な役割を果たす。本細菌EC21株から見 出された痛徴発現に必須な遺伝子♪虎AぜαJは中央部反復領域において,その構成単位の数 及び配置が叩〟及びp虎Aと極めてよく似ていた。この結果はカンキツに完全な病原力を発現

するためには8臆朝地A遺伝子翻訳タンパク質が適切な構造をとる必要があることを示唆

した。 カンキツかいよう病菌の弱病原力系統KC21株を用いたトランスポゾンタギング実験によ り,ブンタン類に対して標準的な病原力を示す突然変異株EC21T46株が得られた。トランス ポゾンの挿入により不活化された遺伝子ム朗β且βはブンタン類に対する病原力発現を特異的

に抑制した。本遺伝子は同じくEC21株に存在するa嘲虎A・ホモログの知鮎Uと〆㍑7

間の組換えによって生じたと思われるキメラ遺伝子であった。血感知川は調査した全ての弱病 原力系統の細菌株に存在したが標準病原力系統の株では認められなかった。本遺伝子はプンタ ン類に抵抗反応を引き起こす。しかし,ム朗βaβはp虎ArgC2Jによって引き起こされるかい よう症状の進展を完全に妨げることができない。非病原力遺伝子は通常,宿主植物における過 敏感反応を誘導するため,感染が停止して病徴がさらに進展することはない。この観点から ム朗βまβを非病原力遺伝子とみなすことは困難である。

核ゲノムと細胞質ゲノムがそれぞれネーブルオレンジとウンシュウミカンに由来するカン

キツ細胞質雑種(サイブリッド)のカンキツかいよう病菌に対する感受性を調べた。サイブリ

ッドにおける細菌増殖と病斑の大きさは核ゲノム親のネーブルオレンジと同等でありウンシ

ュウミカンに勝っていた。圃場における発病程度も同様な傾向を示したことから,宿主の核ゲ

ノムこそがカンキツかいよう病に対する感受性に決定的な役割を果たすと考えられた。しか

し,ネーブルオレンジとウンシュウミカンの間では,病原力遺伝子ク班ArⅢJが破壊された

突然変異株KC21T14の接種でも細菌増殖ならびに病斑の大きさに有意な違いが認められた。

したがって,ウンシュウミカンとネーブルオレンジ間の感受性の違いに病原力遺伝子 ク舶「肥Jは関与していないと考えられた。しかし,KC21T14株の接種でもサイブリッドの 本株に対する感受性がウンシュウミカンではなくネーブルオレンジと同等であったことから,

病原力遺伝子の有無に関わらず,核ゲノムがカンキツかいよう病菌に対する感受性を支配して

いると考えられた。

以上について、審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位論文とし

て十分価値あるものと認めた。 【基礎となる学術論文】 1.HiroshiShiotaniandTaknshiThge(1995).Efficientgenetargetinginthefi1amentousfungus Ahma血ahema由.MolecularandGeneralGenetics248,142-150.

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一228-2.HiroshiShiotani,EatsumiOzakiand ShiqjiThyumu(2000).pathogenicinteractions between hntboLZ20DaSamqPOdLgpv.dよziandcultivars ofpummel(att・ZLgg招BdLi).Phytopathology90, 1383・1389. 3.HiroshiShiotani,Taka$hiFujikawa,HiromichiIshihara,ShinjiTsuyumuandKatsumiOzaki(2007).A PthAho皿OlogfromhBLbozz20naS乱m叫叩血pvld出■responsibleforhost・SPeCificsuppressionof virulence.JournalofBacteriology189,3271・3279. 【既発表学術論文】 1.佐藤豊三、塩谷浩、植松清次、小林正伸、中村靖弘(1994).fb血由a∫eガ∂血eによるジプシー系カーネー ション黒さび病の初発生.日本植物病理学会報60,535-539. 2.塩谷浩、尾崎克己(1996).仇肋わ血皿g血e叩血によるカンキツ品種「不知火」の幼果果項腐敗 症の発生.九州病害虫研究会報42,37-40. 3.AlkoTanaka,HiroshiShiotani,Mikihiro%mamotoandTakashiTsuge(1999).Insertionalmutagenesis andcloningofthegene$requiredforbiosynthesisofthehost・SPeCificAK・tOXinintheJapanesepear pathotypeofAhema血a血ab・MolecularPlant・MicrobeInteractions12,691・702・ 4.JinmeiZhou,‰takaHirata,Ⅰ辻・SupNou,HiroshiShiotaniandTsutauIto(2002).Interactionsbetween di蝕rentgenotypetissuesincitruSgraftchimeras.Euphytica126,355・364. 5.TakaoIto,TsutaeIto,HiroshiShiotani,TbruIwanami,Eatsumi02:akiandKazuyukiMuramoto(2007), GeneticdiversityandaheterogeneouspopulationofCitru$mOSaicviru8WithinasinglecitruStree. JournalofGeneralPlantpath0logy73,147-151.

参照

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