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コーディネータにおける動的部分再構成を用いた匿名化ハードウェアの提案

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(1)Vol.2016-ARC-219 No.17 Vol.2016-SLDM-175 No.17 Vol.2016-EMB-40 No.17 2016/3/24. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. コーディネータにおける動的部分再構成を用いた 匿名化ハードウェアの提案 澤口 聡太†. 西 宏章†. †慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科 〒223-8522 神奈川県横浜市港区日吉 3-14-1 E-mail: †{sawaguchi, west}@west.sd.keio.ac.jp あらまし 近年,クラウドやエッジ,フォグといったコンピューティング環境が導入・提案されている一方で, ネットワークにおけるアプリケーションが多様化している.アプリケーションによって許容遅延や要求セキュリテ ィレベル,地域性などが大きく異なるため,その都度適切なコンピューティング環境の選択が重要となる.本研究 では匿名化処理に焦点を当て,動的部分再構成による複数の匿名化処理に対応可能な中間処理ノードの実装と提案 を行い,回路規模削減,低消費電力化,高スループット化の可能性を示す. キーワード 動的部分再構成,匿名化,コーディネータ,中間処理ノード. Hardware Accelerator for Data Anonymization Using Dynamic Partial Reconfiguration of Coordinator Sota SAWAGUCHI†. and Hiroaki NISHI†. †Department of System Design Engineering 3-14-1 Hiyoshi, Yokohama-shi Kanagawa, 223-8522 Japan E-mail: †{sawaguchi, west}@west.sd.keio.ac.jp Abstract Recently, cloud, edge, and fog computing have been introduced or proposed, whilst several different kinds of applications exist in the network. All the parameters such as delay envelope, security requirement, locality and so on vary from application to application, so that it is of the essence to choose a proper computing resource every time each application needs to be dealt with. In this research, we have focused on anonymization, implemented an intermediate node adapting itself to different kinds of anonymization methods using dynamic partial reconfiguration, and attempted to prove the possibility that less area usage, less energy consumption, and high throughput could be achieved. Keywords Dynamic Partial Reconfiguration,Anonymization,Coordinator,Intermediate node. 1. は じ め に ネットワーク上には多様なサービスとそれに伴う 多様なアプリケーションが存在する.機械学習や電力 モニタリングに始まるデータの解析,データベース処 理などのデータの保存,匿名化や暗号化といったデー タの加工,そしてスマートハウスにおける家電機器の 制御などに見られるデバイスへの指令がアプリケーシ ョン例として挙げられる.これらのアプリケーション は,適用対象となるサービスによって,その許容遅延 や要求セキュリティレベル,地域性が大きく異なる. 一方でクラウドやエッジ,フォグやセンサネットワー クといった様々なコンピューティング環 境が導入・提 案されており,それぞれにおける処理・通信遅延,セ キ ュ リ テ ィ レ ベ ル , 対 象 地 域 な ど は 互 い に 異 な る (図. 図 1. 階層深さによる特性の違い. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 1). そ の た め , ア プ リ ケ ー シ ョ ン 毎 に 適 し た コ ン ピ ュ ーティング環境を選択することが重要となる. Internet of Things(IoT) が 近 年 注 目 さ れ て お り , 経 済 産 業 省 に よ れ ば ,2020 年 ま で に 250 億 も の 端 末 が イ ン タ ー ネ ッ ト に 接 続 さ れ る と 推 計 さ れ て い る [1]. また,エッジコンピューティングやスマートシティ, M2M と い っ た 流 れ が 存 在 し , 多 く の 中 間 処 理 ノ ー ド が 配 置 さ れ る と 考 え ら れ る . こ う し た IoT, エ ッ ジ コ ン ピューティング,スマートシティといった取り組みが 広がるにつれ,センサノードや,その集めた情報を処 理するノードが増加し,これらの機器による消費電力 増加が予想される.今後サービスの多様性に対応する にあたり,その多様性に見合う様々なセンサや処理ノ ードが必要となり,機器導入数の削減は望みにくい. さ ら に , IoT の 促 進 に よ り , 今 後 よ り 多 く の 種 類 の デ ー タ が 取 得 で き ,デ ー タ 量 が 増 大 す る と 考 え ら れ る . すべてのアプリケーションの要求に対応するためには, これらすべてのデータ処理を許容遅延以内に収める必 要がある.そのため,各処理ノードにおける高スルー プット化も要求される.. 1.

(2) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2016-ARC-219 No.17 Vol.2016-SLDM-175 No.17 Vol.2016-EMB-40 No.17 2016/3/24. そこで本研究では,低消費電力化を実現するために. ッドプログラミングモデルを構築することにより,ス. Field Programmable Gate Array( FPGA)を 使 用 し , 動 的. トリーミングアプリケーションにおけるハードウェア. 部分再構成(以下再構成)による論理回路の時分割多. 効率を向上し,低消費電力化・高スループット化を図. 重化を用いることで,複数のアプリケーションに対応. っ て い る .ア プ リ ケ ー シ ョ ン 例 と し て AES,DES,3DES. 可能なコーディネータを提案する.再構成により複数. の 3 つ の 暗 号 化 処 理 を 挙 げ て お り ,従 来 の GPU と 比 較. の処理機構を実装できるため,多能性を有しつつ回路. し て 1.61-4.59 倍 の 電 力 効 率 を 示 し て い る .し か し ,ス. 面 積 削 減 を 図 り ,低 消 費 電 力 化 も 期 待 で き る .さ ら に ,. ル ー プ ッ ト の 観 点 で 見 る と ,GPU と 比 較 し て 少 な く と. 専用ハードウェアによる高スループット化も期待でき. も 7 倍 低 く 数 百 Mbps 程 度 の ス ル ー プ ッ ト で あ り , 使. る.. 用される環境が限定されることが考えられる .本研究. アプリケーションの一例として,本研究では匿名化. 報告では,想定する使用環境と算出したスループット. 処 理 を 実 装 し た . 今 後 IoT や 企 業 に よ る 事 業 の ク ラ ウ. から,スループットが必要充分であるかを定量的に評. ド化などの促進に伴い,非常に多くの種類・量のデー. 価 す る .ま た 論 文 [4]で は ,1920x1080 の 静 止 画 処 理 に. タがクラウドやエッジ,フォグ等で処理されることが. おけるパイプライン処理機構を, 再構成を用いて実装. 予想される.こうしたデータには企業の機密情報や個. することで,回路コストの削減と高スループット化を. 人情報が多く含まれているため,データの 2 次利用や. 提案している.また,再構成にはコンフィギュレーシ. 第 3 者機関へのデータ公開においてプライバシ保護を. ョ ン エ ン ジ ン を 構 築 し ,Zynq に 搭 載 さ れ て い る コ ン フ. 考慮する必要がある.こうしたプライバシ保護を行う. ィギュレーションポートと比較して, 再構成の高速化. 際に用いられる技術の 1 つが,匿名化技術である.匿. を実現している.これにより高スループット化が実現. 名化技術は処理対象のデータの特徴によって適した処. されている上,再構成により回路規模が削減されてい. 理 手 法 が 異 な る .例 え ば ,IP ア ド レ ス に は 大 域 的 再 符. る.以上のように,再構成を用いたリコンフィギュラ. 号化や局所再符号化などの一般化処理,温度データで. ブルなシステムを構築することにより,回路規模の削. あれば,マイクロ・アグリゲーションやノイズ付加な. 減による低消費電力化を図りつつ,高スループットを. どが適していると言える.そのため,サービスやアプ. 達成することが可能であると言える.. リケーション,データの種類に適した匿名化処理を適. 匿名化に関する研究も数多く行われている.例えば. 宜選択することが求められる.以上の理由から ,本研. Ubik ら は 論 文 [5]に お い て , FPGA を 用 い て , ネ ッ ト. 究の提案機構では複数存在する匿名化処理モジュール. ワ ー ク を 流 れ る 実 際 の パ ケ ッ ト デ ー タ に 含 ま れ る IP. を,再構成を用いて実装し,提案する .. アドレスのツリー構造を生成し,そのノードを入れ替. 本研究報告の構成は次のとおりである.2 章では,. えるスワッピングによって,匿名化処理高速化を提案. 本研究の関連研究を述べ,3 章では,本研究で実装し. している.この手法ではツリー構造を事前処理で生成. た提案機構について述べる.具体的には,提案機構延. する必要があり,ネットワーク上での運用では柔軟性. 滞の概念と再構成領域における再構成モジュールの動. が 失 わ れ る . 一 方 , 事 前 処 理 が 不 要 で FPGA に 実 装 可. 作について説明する.4 章では,提案機構における再. 能 な ス ワ ッ ピ ン グ に よ る IP ア ド レ ス の 匿 名 化 機 構 が. 構成にかかる時間と消費電力,回路規模,スループッ. Blake ら に よ り 提 案 さ れ て い る [6].し か し ,こ の 提 案. ト そ れ ぞ れ に つ い て , Raspberry Pi 2 Model B の ソ フ ト. 手 法 で は IP ア ド レ ス の 匿 名 化 の み で 汎 用 性 が 無 く ,. ウ ェ ア 処 理 と の 比 較 と 評 価 を 行 っ た .5 章 で は 結 論 ,6. 様々なデータの匿名化が求められる環境には適さない.. 章では今後の課題を述べる.. 澤 田 ら は , TCAM と キ ャ ッ シ ュ 機 構 を 用 い た マ ス キ ン. 2. 関 連 研 究. グによる匿名化機構を提案し,匿名化の高速化 と情報. 再構成を用いた低消費電力かつ高スループットで. 損 失 率 の 低 減 を 図 っ て い る [7]. ま た 山 口 ら は , RAM. あるシステムの構築に関して多くの研究がなされてい. ベースの機構に依る回路規模削減とそれに伴う 高速な. る . 例 え ば , 論 文 [2]で は , 低 エ ネ ル ギ 指 向 型 SQL ク. マスキング処理に基づく匿名化処理機構を提案してい. エ リ 処 理 の 高 速 化 を 行 う た め , FPGA の 専 用 ハ ー ド ウ. る [8]. 両 手 法 と も に 情 報 損 失 率 に 加 え , k-匿 名 性 と. ェアを利用しつつ,再構成を用いて複数のクエリ処理. l-多 様 性 を 満 た し た 手 法 で あ り , 後 者 は ス ル ー プ ッ ト. にオンザフライで対応するアーキテクチャの実装と提. が 10Gbps を 超 え る . し か し , 匿 名 化 処 理 手 法 と し て. 案を行っている.データセンタでの利用を想定し,サ. はマスキング処理のみで,処理の多様性に欠ける.. ーバのソフトウェア処理と比較した結果,電力効率が. ネットワーク上では様々なデータ通信が利用され,. 提 案 機 構 に よ り 改 善 さ れ て い る . 論 文 [3] で は ,. 時間帯によりデータの種類や量が変化する.そこを流. SPREAD と い う ス ト リ ー ミ ン グ ベ ー ス の 再 構 成 ア ー キ. れるデータの匿名化処理を行う場合,事前処理を行う. テクチャとソフトウェア・ハードウェアのマルチスレ. ことは困難であり,また,データはそれぞれ異なる特. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 2.

(3) Vol.2016-ARC-219 No.17 Vol.2016-SLDM-175 No.17 Vol.2016-EMB-40 No.17 2016/3/24. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 徴を持つため,それぞれのデータの特徴に合わせた匿. 表 1. ノイズ付加における各値の例. 名化を行う必要がある.つまり, データの特徴に合わ せて適切な匿名化処理を動的に選択することが重要だ と言える.しかし,これまで述べたように,複数の匿 名化処理を動的に選択して実行するアーキテクチャを 再構成により実装した研究例は筆者の調べた限り存在 しない.そこで本研究では,複数の匿名化処理を ,再 構成を用いて実装し,提案する. 匿名化処理の種類であるが,数値データに適した攪 乱的手法と,文字列データに適した非攪乱的手法が存 在する.前者では,ノイズ付加,スワッピング,マイ ク ロ・ア グ リ ゲ ー シ ョ ン ,端 数 処 理 ,リ サ ン プ リ ン グ , 後者では,サンプリング,大域的再符号化や局所再符 号 化 (マ ス キ ン グ 処 理 な ど )が 挙 げ ら れ る .本 研 究 で は , ノイズ付加,スワッピング,マイクロ・アグリゲーシ ョン,大域的再符号化の 4 つの匿名化処理を再構成モ ジュールとして,再構成により実装した.. 3. 提 案 機 構 本 研 究 で の 提 案 機 構 を 図 2 に 示 す .実 装 環 境 と し て , Zynq ZC702 評 価 ボ ー ド を 用 い て い る .再 構 成 モ ジ ュ ー ルとして,マスキング,ノイズ付加,マイクロ・アグ リゲーション,スワッピングの 4 つの匿名化処理モジ ュールを実装した.これにより,動作中にそれぞれの 匿名化処理から必要な処理モジュールを選択し,再構 成を行うことが可能となる.今回の処理フローは次の 通 り で あ る . ま ず , DDR か ら AXI DMA に 32bit デ ー タ を 32 個 バ ー ス ト 転 送 し , そ れ を Reconfigurable Anonymization Module に ス ト リ ー ミ ン グ す る . 処 理 結 果 は DMA を 介 し て , 再 び DDR に 書 き 込 ま れ る . 4 つの処理モジュールの動作について説明する.マ スキング処理では,処理機構としては, 指定された値 だ け 入 力 デ ー タ の 下 位 ビ ッ ト を 0 に よ り AND 演 算 し , マスキング処理を行うことができる.しかし,本研究 では下位 8 ビットに固定してマスキングを行っている. 1 つのデータのマスキングには,1 クロックを要する.. ノイズ付加では,入力データに対して,入力データ以 下 の 任 意 の 値 を 付 加 す る 処 理 を 実 装 し た .ま ず 32 個 の データエントリをバッファに格納したのち, 当該デー タを 2 進数としてとらえ,最上位ビットから見て初め て 1 が出現する位置をバレルシフタにより算出 する. こ の 処 理 を 32 個 並 列 で 行 い ,算 出 さ れ た 位 置 情 報 を も と に 32 個 の マ ス ク 値 を 作 成 し 乱 数 と の AND 演 算 を 行 う こ と で ,入 力 デ ー タ 以 下 の ノ イ ズ 値 を 生 成 す る .表 1 に 8 ビットのノイズ値の生成の例を示す.マイクロ・ アグリゲーションに関して,ストリーミングで入力さ れ る 32 個 の デ ー タ の う ち ,値 の 近 い 8 個 の デ ー タ の 累 積和を算出し,3 ビット右シフトにより平均値を返す 処 理 と し た .値 の 近 い デ ー タ を ス ト リ ー ム で 得 る た め , FIFO ベ ー ス の マ ー ジ ソ ー ト を 用 い て 昇 順 に 整 列 し た . 最 後 に ス ワ ッ ピ ン グ 処 理 に 関 し て , 論 文 [5]の ス ワ ッ ピ ン グ 手 法 を 実 装 し た .図 3 は 3 ビ ッ ト で 表 現 で き る 8 つ の 連 続 す る 値 の ス ワ ッ ピ ン グ の 概 要 図 で あ る .8 つの連続する値を木構造の末端に対応させ,スワッピ ン グ を 行 う 木 の ノ ー ド を 1, 行 わ な い ノ ー ド は 0 で 指 定 す る .図 3 で は ,前 者 を 黒 色 ,後 者 を 白 色 に 対 応 さ せている.木構造の最上位ノードから末端のそれぞれ の値へのパスを通る際の各ノードの値を組み合わせた 3 桁 の 値 を ,そ の 末 端 の 値 と XOR 演 算 す る こ と で ,ス ワ ッ ピ ン グ が 完 了 す る .こ の ア ル ゴ リ ズ ム を 利 用 し て , 32 個 の デ ー タ を ラ ン ダ ム に 入 れ 替 え る 処 理 を 実 装 し た .32 個 の ア ド レ ス 値 を ス ワ ッ ピ ン グ す る 際 ,木 構 造 を 組 ん だ 時 の 31 個 の ノ ー ド に お け る 値 (0 も し く は 1) を 決 定 す る 必 要 が あ る が , 本 研 究 で は Xorshift に よ り 生 成 し た 32 ビ ッ ト 乱 数 の 下 位 31 ビ ッ ト を そ れ ぞ れ の ノードに対応させた.このスワッピング処理は,デー タが入力される直前に 1 クロックでアドレスをスワッ ピングできるため,1 クロックでのデータのスワッピ ングが可能となる.. 図 2. 提案機構. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 図 3. スワッピング処理の概念図. 3.

(4) Vol.2016-ARC-219 No.17 Vol.2016-SLDM-175 No.17 Vol.2016-EMB-40 No.17 2016/3/24. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 表 2. 再構成を用いない場合と比較して,回路規模が増加し. スワッピングにおける元の値に対する. た と 言 え る . Xilinx に よ れ ば , 再 構 成 を 用 い る と , 配. パスの値とスワッピング結果. 置 配 線 の 影 響 で 20%程 度 の 回 路 規 模 の オ ー バ ヘ ッ ド を 考 慮 し な け れ ば な ら な い [9]が , 表 3 よ り 提 案 機 構 に お け る 再 構 成 領 域 の 回 路 規 模 の オ ー バ ヘ ッ ド は 約 50% であることが読み取れる.以上より,再構成を用いた 回路規模の削減方法として,より多くの処理モジュー ルを実装すること,もしくは,回路規模の類似する処 理モジュールを同一再構成領域に実装することなどが 考えられる. 次に提案機構の匿名化処理のスループットと消費. 4. 評 価 図 2 に 示 し た 機 構 は ,Vivado 2015.3 を 用 い て 実 装 し た . 再 構 成 は , Processor. Configuration. Access. Port(PCAP)を 介 し て 行 う こ と が で き , 再 構 成 に か か る 時 間 Reconf. Time は 以 下 の 式 (1)で 表 す こ と が で き る . Reconf. Time(s) =. The size of a partial bitstream(bit) The Bandwidth of PCAP(bps). (1). PCAP の バ ン ド 幅 は ノ ン セ キ ュ ア モ ー ド で 400MB/s であり,本研究で実装した再構成モジュールのパーシ ャ ル ビ ッ ト ス ト リ ー ム の デ ー タ サ イ ズ は 323KB で あ っ た た め ,上 式 (1)よ り 再 構 成 に か か る 時 間 は ,. 323KB. 400MB/𝑠. =. ータを想定しており,比較対象の一例として, Raspberry Pi 2 Model B(以 下 Raspi 2)が 挙 げ ら れ る た め [10] [11], 本 研 究 報 告 で は , Zynq ZC702 の Artix-7 に お け る 専 用 ハ ー ド ウ ェ ア に よ る 処 理 (HW 処 理 )と Raspi 2 の Cortex-A7 に お け る ソ フ ト ウ ェ ア 処 理 (SW 処 理 )に よ る ス ル ー プ ッ ト と 消 費 電 力 量 の 比 較・評 価 を 行 っ た . な お ,Zynq 上 の FPGA の 動 作 周 波 数 は 100MHz,Raspi 2 の 動 作 周 波 数 は 900MHz で あ り , ク ア ッ ド コ ア で あ る [12]. 表 4 は Raspi 2 と Zynq ZC702 で の 各 匿 名 化 処 理 で の 消 費 電 力 を 表 す . Adafruit に よ れ ば ア イ ド ル 時 の 電 流 は 200mA で 供 給 電 源 は 5W よ り Raspi 2 の 消. 0.8075𝑚𝑠と 求 ま る . 本 研 究 で 実 装 し た 再 構 成 領 域 pblock と 再 構 成 モ ジ ュ ー ル そ れ ぞ れ の 回 路 規 模 を 表 3 に 示 し た .pblock は , Zynq ZC702 に 含 ま れ る Artix-7 の 回 路 規 模 の 約 11.2% の 使 用 率 で あ っ た . pblock に お け る そ れ ぞ れ の 再 構 成 モジュールの回路規模について,マスキング,マイク ロ・アグリゲーション,ノイズ付加,スワッピングの 順 に , LUT は 662 個 , 3,165 個 , 1,590 個 , 531 個 で , そ の 合 計 値 は 5,948 個 と な り , レ ジ ス タ は 1,107 個 , 5,840 個 , 2,402 個 , 1,387 個 で , 合 計 値 は 10,736 個 と なった.したがって,再構成を用いた提案機構では, 表 3. 電力量に関する評価を述べる.本研究ではコーディネ. 再構成領域における回路規模. 費 電 力 は 1.0W と 求 め ら れ [13],Zynq ZC702 に 関 し て は そ れ ぞ れ の 処 理 モ ジ ュ ー ル に お い て Vivado で 解 析 し た .ま た 以 下 の 表 5 は ,各 匿 名 化 処 理 に お い て ,32 ビ ッ ト デ ー タ 32 個 の う ち ,は じ め の デ ー タ が 処 理 モ ジ ュールに入力されてから,最後のデータが出力される までのクロック数とそのクロック数より算出されたス ループットが示されている.表 6 と表 7 はそれぞれ, 各 匿 名 化 処 理 の SW 処 理 , HW 処 理 に よ る 処 理 時 間 , スループット,消費電力量を示している. ここで処理 時 間 と は ,1 つ の 32 ビ ッ ト デ ー タ を 処 理 す る の に か か る 時 間 を 指 す .図 1 を 考 慮 す る と ,マ ス キ ン グ と ス ワ ッ ピ ン グ 処 理 で は , 1Gbps を 超 え て お り , 中 継 器 等 の 中間階層での利用を視野に入れることができ,無線セ ンサネットワークでの利用には十分な スループットで あることがわかる.また,ノイズ付加とマイクロ・ア グ リ ゲ ー シ ョ ン に 関 し て は , 1Gbps を 下 回 っ て は い る も の の , SW 処 理 と 比 較 し て , よ り 高 ス ル ー プ ッ ト で. 表 4. 消費電力. あり,他のアプリケーションを処理する余地ができた と考えられる. 表 8 は , 表 6 と 表 7 に 示 す SW 処 理 に 対 す る HW 処理のスループット・消費電力量の改善率を示してい る.改善率はスワッピングで最も大きく,スループッ ト が 約 328 倍 ,消 費 電 力 量 は 約. 1 200. 倍 と な っ た .こ れ は ,. ハ ー ド ウ ェ ア 実 装 に 適 し た XOR 演 算 を 多 用 し て い る. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 4.

(5) Vol.2016-ARC-219 No.17 Vol.2016-SLDM-175 No.17 Vol.2016-EMB-40 No.17 2016/3/24. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 表 5. クロック数とスループット. 5. 結 論 本研究では,マスキング,ノイズ付加,マイクロ・ アグリゲーション,スワッピングの 4 つの匿名化処理 モ ジ ュ ー ル を , 再 構 成 を 用 い て Zynq ZC702 評 価 ボ ー ド上に実装し,動作を確認した.再構成による回路規 模の削減を試みたが,再構成する処理モジュール の回 路規模のバラつきが大きく,結果として,回路規模の. 表 6. 各 匿 名 化 処 理 の SW 処 理 に よ る 処 理 時 間・スループット・消費電力量. 削減を達成できなかった.しかし,同一再構成領域で の処理モジュールを増やす,もしくは類似する回路規 模を有する処理モジュールを複数実装することなどに より,回路規模削減が期待できると考えられる .スル ー プ ッ ト に 関 し て は , Raspi 2 の SW 処 理 と 比 較 し て , そ の 改 善 率 に 差 は あ る も の の ,基 本 的 に HW 処 理 に よ り高スループット化が図れ,また 消費電力量に関して も , FPGA を 用 い た シ ス テ ム 設 計 に よ り 低 消 費 電 力 化 が図れることが示された.無線センサネットワークの. 表 7. 各 匿 名 化 処 理 の HW 処 理 に よ る 処 理 時 間・スループット・消費電力量. コーディネータにおいて,スループット・電力効率で ともに優れたシステムを設計できる可能性が示された と考えられる.. 6. 今 後 の 課 題 現在のシステムでは,データに対して匿名化処理を 行うのみであり,実行した匿名化処理の種類や匿名化 の程度などの情報を結果として返すシステムを構築す る必要がある.また,匿名化処理には明確な匿名化基 準 と し て k-匿 名 性 や l-多 様 性 が 存 在 し , デ ー タ の 2 次 表 8. 各 匿 名 化 処 理 の SW 処 理 に 対 す る HW 処理による改善率. 利用や情報公開のためにこうした 基準を満たす必要が あ る .そ の た め ,k-匿 名 性 や l-多 様 性 の 処 理 を Zynq PS 上のプロセッサで処理を行うなどが課題として挙げら れる.さらに,匿名化処理後のデータが,元データと 比較してどれだけ情報が損失されたかを示す情報損失 率の評価も同時に行う. 再構成の観点では,回路規模削減とスループット向 上のため,処理モジュールの並列性などの改良が必要 と考えられる.回路規模の削減において,回路規模の 大きさにバラつきがある場合,同一の再構成領域に実. ことに起因すると考えられる.一方,ノイズ付加の改 善 率 が 最 も 小 さ く ,ス ル ー プ ッ ト が 約 12 倍 ,消 費 電 力 表 9 各 匿 名 化 処 理 の SW 処 理 に 対 す る HW 1 量が約 倍 で あ っ処 た理 .改 善る 率改 が善 低率 い 理 由 と し て ,ノ イ によ 6.67. ズを付加する処理の並列処理化を実装してい ないこと が挙げられる.表 3 の回路規模の結果を考慮すれば, ノイズ付加処理を並列化することで, スループットの 向 上 と 再 構 成 領 域 の 回 路 規 模 削 減 が 期 待 で き る .ま た , マイクロ・アグリゲーションにおける改善率もノイズ 付 加 と 同 様 に 低 い が , こ れ は SW 処 理 で 利 用 し て い る qsort に よ る ソ ー ト 処 理 が 十 分 高 速 で あ る こ と が 考 え られる.. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 装せず,それぞれを独立に実装して回路規模削減を図 ることも課題として挙げる.. 謝. 辞. 本研究は,公益財団法人セコム科学技術振興財団研 究助成,文部科学省科学技術研究費補助金基盤研究 B 「機能維持性を高める建物・複数機器の協調制御」 (24360230)な ら び に 「 コ ン テ ン ツ ベ ー ス ・ ス マ ー ト コ ミ ュ ニ テ ィ イ ン フ ラ の 構 築 と 展 開 」 (25280033), 国 土 交通省住宅・建築物技術高度化事業」の一環としてな された.. 文. 献. [1] 経 済 産 業 省 商 務 情 報 政 策 局 , “ IoT 時 代 に 対 応 し た デ ー タ 経 営 2.0 の 促 進 の た め の 論 点 に つ い て (討 議 ⽤ 資 料 ),” 2 2015. [オ ン ラ イ ン ]. Available:. 5.

(6) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2016-ARC-219 No.17 Vol.2016-SLDM-175 No.17 Vol.2016-EMB-40 No.17 2016/3/24. http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/shojo/j ohokeizai/pdf/002_07_00.pdf. [ ア ク セ ス 日 : 13 1 2016]. [2] B. Andreas, B. Florian, Z. Daniel , J. Teich, “ Energy-Aware SQL Query Acceleration through FPGA-Based Dynamic Partial Reconfiguration ” [3] W. Ying, Z. Xuegong, W. Lingli, Y. Jian, L. Wayne, P. Chenglian , T. Jiarong, “ SPREAD: A Streaming-Based Partially Reconfigurable Architecture and Programming Model, ” IEEE TRANSACTIONS ON VERY LARGE SCALE INTEGRATION (VLSI) SYSTEMS, VOL. 21, NO. 12, DECEMBER 2013, 2013. [4] K. Jalal, E. Ali, A. Adewale , A. Tughrul, “ A Dynamic Partial Reconfiguration Design for Camera systems,” Adaptive Hardware and Systems (AHS), 2015 NASA/ESA Conference on , 2015. [5] S. Ubik, P. Zejdl and J. Halák, "Real-time anonymization in passive network monitoring," Third International Conference on Networking and Services, 2007. [6] A. Blake and R. Nelson, "Scalable Architecture for Prefix Preserving Anonymization of IP Addresses," 8th International Workshop SAMOS, pp. 33 - 42, 2008. [7] J. Sawada and H. Nishi, "Hardware acceleration and data-utility improvement for low-latency privacy preserving mechanism," 22nd International Conference on Field Programmable Logic and Applications, pp. 499 - 502, 2012. [8] Y. Fumito, M. Kanae , N. Hiroaki, “ RAM-based Hardware Accelerator for Network Data Anonymization, ” Field Programmable Logic and Applications (FPL), 2014 24th Internat ional Conference, 2014. [9] C. Kohn, “ Partial Reconfiguration of a Hardware Accelerator on Zynq-7000 All Programmable SoC Devices,” 2013. [10] F. Mio, I. Minako, Y. Fumito , N. Hiroaki, “ Construction of HEMS in Japanese Cold District for Reduction of Carbon Dioxide Emissions, ” Industrial Electronics Society, IECON 2014 - 40th Annual Conference of the IEEE, 2014. [11] X. Patrick, F. George, O. Seán, K. Niall, E. -M. Fiona, L. Paul , P. Emanuel, “ Sensing wind for environmental and energy applications, ” Irish Signals & Systems Conference 2014 and 2014 China-Ireland International Conference on Information and Communications Technologies (ISSC 2014/CIICT 2014). 25th IET , 2014. [12] Raspberry Pi Foundation, [ オ ン ラ イ ン ]. Available: https://www.raspberrypi.org/products/raspberry-pi-2model-b/. [ア ク セ ス 日 : 21 2 2016]. [13] Adafruit, [ オ ン ラ イ ン ]. Available: https://learn.adafruit.com/introducing-the-raspberrypi-2-model-b?view=all. [ア ク セ ス 日 : 21 2 2016].. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 6.

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図  2 に 示 し た 機 構 は , Vivado 2015.3 を 用 い て 実 装 し た . 再 構 成 は , Processor  Configuration  Access  Port(PCAP)を 介 し て 行 う こ と が で き , 再 構 成 に か か る 時 間 Reconf

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