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学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 氏 名 李 偉強

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Academic year: 2021

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(様式第9号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名 李 偉強

審 査 委 員

主 査 田中 淨 ◯ 副 査 恒川 篤史 ◯ 副 査 柴田 均 ◯ 副 査 滝本 晃一 ◯ 副 査 岡 真理子 ◯

題 目

塩生植物 Suaeda salsa および Atriplex centralasiatica の多型種子の生理 生態学的特性 ( Physiological and ecological studies of polymorphic seedof two halophytes: Suaeda salsa and Atriplex centralasiatica )

審査結果の要旨(2,000字以内)

Suaeda salsa および Atriplex centralasiatica はアカザ科の一年生草本の塩性植物であり,中国 に広く分布している.この 2 種は燃料,食料,野菜および飼料の原料として,経済的に利用できる可 能性を秘めており,塩類土壌の植生回復にも有用な種である.既往の研究において,S. salsa および A. centralasiatica はそれぞれ同一植物が二型および多型種子を生産すると報告されている.しかし ながら,塩ストレス条件下における 2 種の二型/多型種子の発芽に関する生理生態的特性は明らかにさ れていない.そこで本研究では,二型/多型種子の発芽について 1)生態的側面,すなわち環境要因が 二型/多型種子の発芽にどのように影響するか,および 2)生理的側面,すなわち植物ホルモンが種子 発芽に,また環境要因が内生ホルモンにどのように影響するかを明らかにすることを目的とした.本 研究による主要な成果は下記の通りである.

1.塩条件下における Suaeda salsa の二型種子の発芽特性

室温で 1 年間保存すると,茶色種子の発芽率は低下するが,黒色種子は蒸留水,塩水(300 mM)のい ずれにおいても発芽率が向上することが明らかとなった.湿潤低温処理および GA4 処理では,黒色種 子の発芽率が向上したが,茶色種子ではその効果はほとんど認められなかった.塩,温度およびその 両方により,いずれの種子も発芽に対し有意な影響を受けた.茶色種子は,全ての条件で黒色種子よ りも高い発芽率を示した.いずれの種子でも蒸留水の 15/25ºC および 20/30ºC 条件で最も発芽率が高 かった.最大発芽速度は,茶色種子では 20/30ºC,黒色種子では 15/25ºC の蒸留水で認められた.

2.塩条件下における Atriplex centralasiatica の二型種子の発芽特性

多因子分散分析の結果,種子の色,温度,塩濃度,光およびこれらの相互作用が発芽に与える影響に ついて有意な差異があることが明らかとなった.蒸留水条件下で最も発芽率が高く,NaCl 濃度が増加 すると種子の全てにおいて発芽が阻害された.茶色種子は中程度の温度および高塩濃度条件で黒色種 子より高い発芽率を示したが,黒色種子は高温および低塩濃度条件で茶色種子より高い発芽率を示し た.黒色種子の発芽は塩ストレス条件下で光に感受的であったが,茶色種子は非感受的であった.小 苞葉が付着している場合は,黒色・茶色種子ともに発芽が阻害され,その程度は茶色種子よりも黒色 種子のほうが高かった.1 年間保存すると,茶色種子の発芽率は有意に低下したが,黒色種子では

(2)

塩ストレス条件下で増加した.フルリドン(ABA 生合成阻害剤)処理は,塩ストレス条件下における 両種子の発芽率を向上させた. ABA は塩ストレス条件下における両種子の発芽を阻害した.本実験の 結果,A. centralasiatica の多型種子は生態的な両賭け戦略を有することが明らかとなった.また,

ABA が塩ストレス条件下における A. centralasiatica の発芽に影響を及ぼす主要な植物ホルモンであ ると推察された.

3.塩ストレスが Suaeda salsa の二型種子の発芽期間中の内生ジベレリンおよびアブシジン酸レベル に及ぼす影響

乾燥した茶色種子中に含まれる内生 ABA 量は黒色種子の約 2.7 倍であるが,吸水後は黒色種子より も急速にその量が減少することが明らかとなった.塩ストレスは,発芽種子中の ABA 濃度の減少をや や軽減し,フルリドン(ABA 生合成阻害剤)は塩ストレス条件下における発芽を阻害した.乾燥およ び発芽種子中の活性ジベレリン(GA4)およびその前駆体の濃度は,蒸留水・塩水条件ともに黒色種子 よりも茶色種子のほうが高かった.しかし,不活性ジベレリンの濃度は茶色種子より黒色種子のほう が高かった.GA4 の濃度は,両種子ともに発芽の初期段階で塩濃度に応じて減少した.塩ストレスは 両種子の GA4 に対する感受性を低下させたが,その程度は黒色種子よりも茶色種子のほうが大きかっ た.塩ストレスは,GA4 の生合成を阻害し不活性化を促進させることで,その生産量に影響を及ぼす 可能性があると考えられた.その結果,ABA と同様に,GA4 に対する感受性も発芽に影響すると推察さ れた.

本研究をまとめると,S. salsa および A. centralasiatica の二型/多型種子は休眠,発芽,分散戦略 および貯蔵特性において明確な違いがあることが明らかとなった.また,貯蔵する場合には黒色種子 のほうが適している.この 2 種の二型/多型種子の発芽と休眠の制御に植物ホルモン(GA および ABA)

が関与していた.

以上のように、本研究は塩生植物の生理生態的特性に関する高いレベルの内容を含み、塩生植物の 塩害防止利用という応用面でも期待できることを示すなど、博士論文として十分な価値があると判断 した。

参照

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