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学位論文題名 Involvement of extracellular ATPin mycoplasmal membrane-bound lipoproteins‐induced cellular responses in leukocytes

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Academic year: 2021

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博 士 ( 歯 学 ) 引 頭    毅

     学位論文題名

    Involvement of extracellular ATP

in mycoplasmal membrane‑bound lipoproteins ‐induced     cellular responses in leukocytes

   (マイコプラズマの細胞膜リポタンパク質が誘導する 自血球の細胞応答における細胞外ATP の関与について)

学位論文内容の要旨

  マイコプラズマは細胞壁を欠く微生物であり、肺炎、尿路感染症、関節炎等、ヒトの炎症性 疾患に広く関与している。近年、マイコプラズマの細胞膜リポタンパク質(LP)がマクロファ     ´

ージや線維芽細胞を活性化して炎症性サイトカインの産生を誘導することが報告され、LPが マイコプラズマ感染症においてなんらかの病因的役割を果たしていることが指摘されている。

微生物感染症においては、微生物が宿主細胞に誘導する細胞死がその病態において重要となる。

本研究ではLPが細胞毒性を有しているかどうかを調べた。

  ヒ 卜由来の マイコプ ラズマで あるMycoplasma fermentansならびにM. salivariumから Triton‑X114二相分離法により調製したLP(LPferならびにLPsal)は、様々なヒト自血球細 胞株に対して濃度依存的に細胞死を誘導した。LPferはLPsalよりも数倍強い細胞死誘導活性 を有していた。フローサイトメーターによる解析により、LP刺激によってりンパ球では主に ネクローシス、単球では主にアポトーシスが誘導されていることが明らかとなった。電子顕微 鏡 像やゲノ ムDNAの電気泳動像でも同様の所見が得られた。さらに、LPferならびにLPsal の 細 胞 死誘 導 活 性は 種 々のcaspaseの 阻害 剤に よって阻 害され、 またLP処理 細胞では caspase‑3の基質であるpoly(ADP‑ribose) polymeraseの分解がみられることから、LPが誘導 する細胞死ではcaspaseが重要な役割を果たしていることが示唆された。LPは炎症性サイト カイン誘導活性を有していることから、LPの細胞死誘導活性はTNF‑a、IL‑lp等により間接     丶

的に誘導されることが推測された。しかしながら、これらのサイトカインに対する抗体はほと んど細胞死には影響しなかった。一方、LPの受容体である′roll‑like receptor(TLR)2に対.

する抗体はLPが誘導する細胞死を部分的に阻害した。このことから、LPが誘導する細胞死 にはTLR2が惹起するシグナル伝達経路が部分的に関与している可能性が示唆された。LPの 細胞死誘導活性部位を調べるため、LPferとLPsalをproteinaseKまたはlipoproteinlipase で処理したところ、LPferの細胞死誘導活性はlipoproteinlipase処理で顕著な減少がみられた

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のに対し、LPsalの細胞死誘導活性はproteinaseK処理で顕著な減少がみられた。この結果か ら、LPferの細胞死誘導は主にりピド部分が、またLPsalの細胞死誘導には主にタンパク質部 分が関与していることが示唆された。ヒ卜由来マイコプラズマM. hominis、M. penetrans、 M. pneumoniaeから同様にLPを調製し、細胞死誘導活性を検討したところ、M. pneumoniae のLPはLPferと同 等に 強い 細胞死誘導活性を有しており、またM. penetransのLPも強い 細胞死誘導活性を有していた。このことから、糖発酵性マイコプラズマが非発酵性のものより も強い細胞死誘導活性を有している傾向が得られた。以上の結果から、ヒト由来マイコプラズ マのLPは細胞死誘導活性を有しており、マイコプラズマ感染症においてLPが重要な役割を 果たしていることが示唆された。

  細胞外ATPはP2X受容体によって認識され、短時間で強カにアポトーシスやネクローシス を誘導することが報告されている。そこで、LPferやLPsalの誘導する細胞死における細胞外 ATPなら びにP2X受容 体の 関与について調べた。まず、LP刺激による細胞外液のATP濃度 の変化について調べたところ、LP刺激後、時間経過に伴って細胞外ATP濃度が上昇した。ま た、LP刺激により細胞膜透過性の亢進がみられることから、ATP放出がLPによる細胞膜透 過性の変化に伴って誘導されることが示唆された。さらに、LPによる細胞死は細胞外に添加 したATPの濃度に依存的に増強されることがわかった。細胞外ATP受容体であるP2X7受容 体のアンタゴニス卜であるperiodate‑oxidized ATPによってLPによって誘導されるネク口ー シス、caspase‑3の活性化、さらにはpoly(ADP‑ribose) polymeraseの分解が阻害された。こ のことから、P2X7受容体はネクローシスとアポトーシスの両者を誘導しうることが示された。

以 上の 結果 から 、LPは細 胞から のATP放 出を 誘導 し、 細胞外ATPがP2X7受容体を介して 細胞死産誘導することが示された。

  マイコプラズマの細胞膜リポタンパク質の構造を基に合成された.リポペプチドFSL‑1や MALP‑2はマクロファージの活性化を誘導することが報告されている。最近、これらのりポペ プチドがTLR2ならびにTLR6によって認識され種々の細胞応答を誘導することが示されてい る。そこでマイコプラズマ由来リポペプチドが誘導するマクロファージ活性化において細胞外 ATPがどうのような効果を示すかを調べた。ヒト単球系細胞株THP‑1細胞に対してFSL‑1や MALP‑2は濃度依存的にTNFーa産生を誘導したが、ATPを添加するとTNF‑a産生誘導活性は 増強され、500 vMのATPを添加した場合には約2倍に増加した。また、TNF‑a、IL‑ip、IL‑6、 IL‑8のmRNAレベ ルはFSL‑1やATP単独 刺激 の場 合よ りも 増加していることが明らかとな った。また、IL‑10ではこのような効果はみられなかった。THP‑1細胞では細胞外ATP受容 体、P2Xl、P2X7、P2Y2、P2YllのmRNA発現が確認されたが、これらの発現レベルはFSL‑1 や ATPの 影 響 を 受 け な か っ た 。 P2受 容 体 の ア ン タ ゴ ニ ス 卜 PPADSな ら び に periodate‑oxidized ATPの影響を調べたところ、この両者はFSL‑1とATPによって誘導され たTNF‑a産生を濃度依存的に阻害することがわかった。また、転写因子NF‑KBやAP‑1の阻 害剤であるデキサメタゾンはFSL‑1とATPによって誘導されたTNF‑a産生をほぼ完全に阻害

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オることが明らかになった。以上の結果から、細胞外ATPはマイコプラズマのLPにより誘導 される炎症性サイ卜カイン産生を増強し、この増強効果はP2X7受容体を介する転写因子 NF‑KBやAP‑1活性化によるものであることが示唆された。

  以上のように、マイコプラズマのLPは細胞死ならびにマクロファージ活性化誘導活性を有 しているが、これらの活性には細胞外ATPが密接に関わっている。よって、マイコプラズマ 感 染 症 に お い て こ れ ら の 因 子 が 重 要 な 役 割 を 担 っ て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。

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学位論 文審査の要旨

     学位論文題名

    Involvement of extracellular ATP

in mycoplasmal membrane ‐bound lipoproteins‑induced     cellular responses in leukocytes

     (マイコプラズマの細胞膜リポタンパク質が誘導する      自血球の細胞応答における細胞外ATP の関与について)

  申 請 者は 既に 出版 され た3筆 頭論 文(impact factor l.07の2論文 始よ ぴ4.20の1論文 ) から なる 原著 引用 論文 を提出 して いる 。審査は柴田、中村、田村審査員出席のもとに、申 請 者 に 対 し 提 出 論 文 の 内 容 と 、 そ れ に 関 す る 口 頭 試 問 が 行 わ れ た 。

  マ イ弓 プラ ズマ は細 胞壁 を欠 く微 生物 であ り、 肺炎、尿路感染症、関節炎等、ヒトの炎 症性 疾患 に広 く関 与し てい る。 近年 、マ イコ プラ ズマの細胞膜リポタンパク質がマクロフ アー ジや 線維 芽細 胞を 活性 化し て炎 症性 サイ トカ インの産生を誘導することが報告され、

リポ タン パク 質が マイ コプ ラズ マ感 染症 にお いて 何らかの病因的役割を果たしていること が指 摘さ れて いる 。微 生物 感染 症に おい ては 、微 生物が宿主細胞に誘導する細胞死がその 病態 形成 にお いて 重要 な役 割を 果た す場 合が ある 。本論文ではりポタンパク質のヒト白血 球に対する細胞毒性について調べ、以下のことを明らかにした。

1.ヒト由来のマイコプラズマであるiVycopla.sina fermentansならびにM.  salivar iumから調     製し たり ポタ ンパ ク質 は様 々た ヒト 白血 球細 胞株に対してカスパーゼ依存性の細胞死     を誘導した。また、本活性はりポタンパク質の受容体であるToll‑Iike receptor(´rLR)2     に対 する 抗体 によ り部 分的 に阻 害さ れた こと から、TLR2が惹起するシグナル伝達経路     が 本 活 性 発 現 に 部 分 的に 関 与 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。(Microbiol. Immunol.

    46(4):265‑276,2002)

2.リ ポ タ ン パ ク 質 の 細 胞 死誘 導 活 性 は 細 胞 外ATPに よ り増 強 さ れ 、 ま た 、ATP受 容体 で     あるのP2X7アンタゴニストであるperiodate‑oxidized ATPで阻害された。リポタンパク     質は ヒト 自血 球細 胞株 に対 して 細胞 膜透 過性 を増強 させ 、細 胞外 へのATPの放出を誘     導し た。 以上 のこ とか ら、 リポ タン パク 質の 細胞死 誘導 活性 にはAIPの受 容体である

郎 保

健 太

田 村

柴 中

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

  、 P2X7受容 体 の 関与が示 唆された 。微生物由 来リポタ ンパク質 の細胞死 誘導活性 にMP     が関与することを明らかにした最初の論文である。(Microbiol. Immunol. 46(10):66T675,     2002)

3.細 胞 外ATPは り ポタ ン パク 質 の 細胞 死 誘 導活 性 だけ で な く、 リ ポタ ン パ ク質 のN末端   領 域の 構 造を 基 に 合成 し たり ポ ペ プチ ド のマ クロ ファージ 活性化能 も促進し た。本研     究 は、炎症 における微 生物由来 リポタン パク質の 病因的役 割を示唆 しただけでなく、

  生 物 の エ ネ ル ギ ー 源 で あ るATPが 微 生 物 感 染 をmodifyす る 可 能性 を 示唆 し た 点で 高     く 評 価 さ れ て し ヽ る 。 (Infct. hnmun.70( 7) : 3586−3591,2002)

  以 上のよう に、申請 者はマイ コプラズ マのりポ タンパク質 が細胞死 ならびに マクロフ ァ ー ジ 活 性化 能 を 有し て おり 、 ま た、 こ れら の 活 性に 細 胞外ATPと 受容 体P2X7で誘 導 さ れ る シグナル 伝達経路 が密接に 関わって いること を明らかに した。リ ポタンパ ク質は微 生物 全 般に存在 すること から、本 研究成果 はマイコ プラズマ感 染症だけ でなく、 微生物感 染症 全 般 に お け る り ポ タ ン パ ク 質 の 病 因 的 役 割 を 示 唆 し て い る 点 で 高 く 評 価 で き る 。

  続い て、審査 担当者か ら本研究 およびそ の関連事項 について 下記のよ うな種々の質問が なさ れた。  f

1.  リポ タ ン パク 質 の細 胞 死 誘導 活 性と サ イ トカ イ ン誘 導 活 性は ど の よう にコント ロ     ール されてい るのか。

2.ATP受容 体の下流 でcaspase8が動く シグナル があるの か

3.  ネ ク ロ ー シ ス が お き て 、AIPが 放 出 さ れ 、 細 胞 死 が誘 導 され た と 考え ら れ るの か 4.  リン パ球や単 球以外に は細胞死 を誘導し ないのか

5.  Toll‑Iike receptorの細 胞毒性と の関与に っいて 6.  マイ コプラズ マの種類 はどれぐ らいある のか

申請者 はこれら の質問に対して適切に、しかも論理的に答えていた。

  以上より、 本論文内 容が高く 評価され るととも に、申請 者は広い知 識を有し 、博士(歯 学)を授与 するのに 値するも のと判定 された。

参照

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