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ミニチュアプレィルームを用いた障害児臨床実践 : "Communicative Space"に関する検討を通して

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Academic year: 2021

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(1)Title. ミニチュアプレィルームを用いた障害児臨床実践 : "Communicative Spa ce"に関する検討を通して. Author(s). 金澤, 克美; 後藤, 恵美子; 高久, 宏一; 後藤, 守. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 49(1): 79-89. Issue Date. 1998-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/502. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道教育大学紀要 (教育科学編) 第4 9巻 第1号. 平成1 0年8月. i ion)VO lofHokka i i i I 9 I do Un t Journa t v e r ucat on(Bduca s yofEd .4 - r ,No. Au t き犯s ,1998. ミ ニチ ュ ア プ レィ ルーム を用いた障害児臨床実践 - “Comm 叩dca錠▽espa c e” に 関 す る 検 討 を 通 して -. 金. 津. 克. 美・後. 藤. 恵 美子 o高. 久. 宏. 一o後. 藤. 守. 1 問題の所在. 現在, 我々は大学と附属校特殊学級との共同研究 「障害をもつ子 ども達の生活空間の再構成に関する研究」 の一環として, 特殊学級体育館において実施している行動空間療法を導入した 「遊びの指導」 に関する研究 と併 行さ せ, ミ ニチ ュ ア プ レィ ルー ム を 用 い た 研究 を進 め て き てい る (後 藤 ら, 1997a; 金 津 ・後藤・後藤, 1997; 金 津 ・ 渡辺 ・ 後 藤・ 三浦 ・ 後 藤, 1998) . ミ ニチ ュ ア プ レィ ルー ム による 指 導 と は, 行 動 空 間 療 法 の. 世界を一視野に入るミニチュアの世界に提示しながら対象児の内化された社会的場を解発し, その解発され た行動に対して指導者が指導の意図性をもった応答をすることにより, 対象児の対人関係行動の発達を促し ていこうとする取組である‐ したがって, 体育館における行動空間療法を導入した 「遊びの指導」 とミニチュ ア プ レィ ルー ム を 用 い た指 導 は相 補 的 関係 にある‐ このミ ニチ ュ ア プ レィ ルー ム の指 導 を前 者 の指 導 と 併行 さ せ て 展 開す る こと により, 対象 児 に対 して 体育 館 の指 導場 面 とミ ニチ ュ ア プ レィ ルーム場 面 を対 提示 し,. 子どもの体育館における指導場面, さらには日常の学級活動場面における対人関係行動を促進していこうと するところにその目的が定位されている‐ なお, 体育館における指導が集団指導形態であるのに対して, ミ ニチ ュ ア プ レィ ルー ム によ る 指 導 はこ れま で の と ころ個 別 指 導 形 態 で進 め られ てき て いる‐ こ のミ ニチ ュ ア プ レィ ルー ム によ る 指 導 の 枠 組 み は上 述 してき たよう に, 行 動 空 間 療 法の 基 本 的骨 子 を踏. 襲して構築してきているものである. 「行動空間療法」 とは, 後藤ら ( 198 4 ) によって, 主に障害をもつ 子 ども達のために開発された集団指導法である. 後藤らは, 障害をもつ子ども達の生活空間の再構成にかかわ る取組の中で, 「応答する環境作り」 と 「構造化された場の構成」 と言う2つ の課題を提起し, 行動空間療 法の開発, 体系化を図ってきている‐ この指導法では, 時間と空間を他者と共有する中で生起する行動を重 視し, そのような行動が生起しやすいような場を設定して指導を展開していくところに力点がかけられてい る‐ そ こ で は, 子 どもの か か わり 行動 の 自 発 的な 生 起 を重 視 し, かか わ り 行動 の 連鎖 の 中 で, そ の行動 が ひ. とつの方向性を持つことができるような指導者間の相互連関性を持った動きが要求されている. この指導法 の基本的骨子は,( 1 2 )遊具の選定,( 3兄・理学的・社会的場の構成, の3点に要約される. )物理的場の構成,( これらの行動空間療法の3つ の基本的骨子は, いずれも 「応答する環境作り」 と 「構造化された場の構 規 と言う課題を具現化していく手だてとして考えられているものである‐ このうち 「物理的場の構成」 は指導 が展開されるプレィ ルーム, ないしは体育館の中央に2段重ねの舞台を設定し, 空間が構造化されやすいよ う に工 夫 を 図 っ た もの であり, Commun i i cat veSpace (以 下, Co 空 間 と 言 う) と 名 づ け ら れ た 舞 台 上 の 空 間 が集 団の 構 成メ ン バ ー に と っ て, どのよう な 活 動 の 場 にな っ て いる か が指導 の 焦 点 と さ れ て いる. そ し て, この こ と にか か わ っ て 「心 理学 的 ・社 会 的場 の 構成」 にお いて 示さ れ て いるチ ー フ の 指 導者 の 存在 と指. 導者達の果たす機能性が強調されている. これまでの先行研究においては, 舞台上の空間が子どもの対人関 係行動の形成にあたって肯定的に機能していることが明らかにされ, 指導者に関する検討が加えられてきて 79.

(3) . 金津. 克美・後藤恵美子・高久 宏一・後藤. 守. いる (金 津, 1994 ) , 1998; 金 棒・ 後 藤 ・後 藤, 1995; 後 藤 ら, 1997b: 後 藤 ・ 金 津 ・帰 家 ・後 藤, 1997 .. ところで, ある物理的環境が子どもの特有な行動に影響を及ぼすであろうことは, 生態学的心理学の中心 的人 物 で あ る パ ーカ ー (Barker 1968 ) の 行動 セ ッ テ ィ ン グ理 論 に よ っ て 理 解 可 能 で あ る‐ パ ー カ ー ,R‐G‐ ,. の理論はその論拠の視点を環境と個体から分離したニュートラルな位置に定位させることにより得られたも の であ り, 人 間の行動 とそ れ が生起 す るセ ッ テ ィ ン グ (場 面) と を 関連 づ けた もの で ある. この パ ーカ ー の. 理論では津田 ( 199 1 ) が指摘しているように, 人間がその環境を能動的に取り込み, 心理学的環境に変換さ せ て, 他 者 と の 関係 性 の 中で行動 を起 こ して いく その プロ セス につ い て はふ れ られて いな い. 障害 を もつ 子. ども達の生活空間の再構成に取り組むにあたっては, 障害をもたない子どもの発達に関する研究と同様, む しろ, そのプロセスに関する検討が求められていると考えられる. 行動空間療法で考えられている 「物理的 場の構成」 が子 どものある特定の行動を解発することは, 前述のパーカーの理論によって理解可能であるが, 後藤 ( 1992) はプ レィ ルー ム の 中央 に2 段 重ね の 舞台 を置く こと によ っ て, 以 前 は, 四方 の壁 を背 に して立 ち どま っ たり, プ レィ ルー ム の 隅を杉日回し た り, 窓 か ら外 を 見続 けて いた 子 ども達 が 舞台 へ近 づ き, そ のま. わりを走ったり, 舞台に腰掛けたり, 乗ってみると言う舞台空間を中心とした行動を起こすようになってき たことをこの指導法のチーフ指導者の視点から報告している. 行動空間療法においては, この舞台空間は上 述 し て き た よ う に Com municat iv ie Space と名 づ け られた 「集ま り の場」 であ り, 指 導 者 に と っ て は 心 理. 学的・社会的特性がすでに付与された意味性の高い空間である‐ したがって, 中央に2段重ねの舞台を置く ことによって解発されたこれらの子どもの行動をより社会的脈絡の中へ方向づけていくところに指導者の存 在性の意義を見い出せると考えられる. 本研究の目的は, 行動空間療法の基本的骨子の1つであるこの 「物理的場の構 閲 に視点をあて, ミニチュ アプレィ ルームによる指導場面に検討を加え, 空間の中央に設定された2段重ねの舞台が子どもと指導者間 の 関係 行動 を 通 して どのよう な活 動 の 場 と し て機 能 して いく の かそ の プロセ ス を明 らか にする こと にあ る. そ して, 本 論 文 で は子 どもの 内的な 世 界 に関与 しな が ら進 め られ るミ ニチ ュ ア プ レィ ルームの 特性を生か し,. 指導対象となっている子どもによって捉えられた舞台上の空間が, Co 空間として舞台上の空間を認識して いる指導者との関係行動を通して どのような心理学的・社会的場として機能するのかを明らかにすることに より, 「物理的場の構成」 に関する実証的検討を深めていくことにする. ミ ニ チ ュ ア プ レィ ルーム を用 いた指 導 の輪 郭. 口 1. 媒 体 の選 定. ミ ニチ ュ ア プ レィ ルー ム によ る指 導 で は, 行 動 空 間 療 法の 世 界 を一 視 野 に入 る ミ ニ チ ュ’ア の世 界 に提示 し. ながら対象児の内化された社会的場を解発することが目的とされており, この観点から以下の媒体を選定し て いる‐ な お, この媒 体の選 定 にあ た っ て は箱 庭 療 法 と ソ シオメ トリ ーの 理 論 と技 法を一部, 参 考 と して い る‐. ま ず, 図 1 に示 す, 行動 空 間 療法 による 指導 が展 開さ れる プ レィ ルーム の ミ ニチ ュ ア を箱 庭療 法 で用 い ら れる箱 庭 の大 きさ を参 考 に縦57セ ンチ × 横57セ ンチ と し, こ れ に高さ 7セ ンチ の 枠 取り を付 けて作 成する.. この大きさは, 児童用の机の上にこの箱を置き, 子どもが四方から見下ろした場合, 一視野に入る大きさと 考え る. そ の 中央 に は, 上段 が 円形, そ し て下 段 が正 方 形 の 舞 台 を 重ね て設 定する‐ な お, プ レィ ルーム の. 舞台と同様に円形の舞台には薄い緑色の塗料を, また, 正方形の舞台には白い色の塗料が塗られている. こ の舞台上の空間がCo 空間にあたり, それをとりまく空間は RoundSpac e (以下, Ro 空間と言う) と命 名されている (後藤・小笠原・後藤・福原, 1984 ) . 次 に, 行動 空 間療 法 で用 い られる 大型組 み立 て ブロ ッ ク はそ れと 類似 した 市 販の レ ゴ ブロ ッ ク, デ ュ プロ 80.

(4) . ミニチュアプレィ ルームを用いた障害児臨床実践. 24 .4c m 2. 18C m. 57c m. 図1. ミ ニ チ ュ ア プ レィ ル ー ム. ブロ ッ ク を選 定 する. そ し て, 体 育 館 に お ける 「遊 びの指 導」 に参 加 している 構 成メ ン バ ー の 人形 を この ブ. ロックに装着可能な付属ブロックで作成し, 子どもが自分自身や特定の他者と同一視し得るようにその上部 に各々の顔写真を付けたものを用意する. 2. 指 導 の立 案. ミ ニチ ュ ア プ レィ ルー ム によ る 指 導 は, 体 育 館 にお ける 行 動 空 間 療法 を 導入 した 「遊 びの 指 導」 のス タ ー. ト1年後に開始されている‐ 指導は体育館における 「遊びの指導」 と併行させて, 各学期毎に1週間から2 , 3週間の範囲に集中して3回程度実施してきている‐ 体育館における 「遊びの指導」 では, その構成メ ンバーが附属校特殊学級小学部の低学年 (1年生及び2 年生) と中学年 (3年生及び4年生) の2クラスに在籍する児童1 5名, そして, このクラスの学級担任3名 と大 学側 ス タ ッ フ 3名 の計 6名 の 指 導 者 によ っ て 構成 さ れ て いる こ れに 対 して ミ ニチ ュ ア プ レィ ルー ム . ,. による指導では, 体育館の指導に参加している子どもと指導者のうち, その子どもの所属している本児自身 を含めた学級の児童と担任教諭, および大学側スタッフ (筆者) を被対象集団として提示している なお . , ミ ニチ ュ ア プ レィ ルー ム に よる 指 導 は体育 館 の指 導 に加 わ っ て い る 大学側 ス タ ッ フ (筆 者) が 継 続 して 担当 してき て いる. ま た, 指 導 は基本 的 に 対象 児 の 教 室 にお い て実 施 して いる ‐. m. 研究の方法. 1. 研究対象児. 対象となる児童は小学部2年生男児 (以下, A児と言う) である‐ 本児の所属する学級は, 1年生4名 , 2 年 生4名 の 計 8名 の 児 童 で 構 成さ れ て お り, 2 名 の 担 任 によ っ て 受 け持 た れ て いる 本児 に対 して こ の . , 81.

(5) . 金津. 克美・後藤恵美子・高久. 宏一・後藤. 守. 学級集団の構成メ ンバーにミニチュア プレィ ルームの取組に介在する指導者を加えた計11名の集団を被対象 集団として提示する‐ 2. 分析の方法. 指導場面の VTR 録画資料を分析対象資料とし, 本研究では研究目的に照らして初回から4回目にかけて の4回に渡る指導場面の資料を分析対象として検討を加える. { 1 )相互作用過程分析法の導入 97 ) の開発した相互作用過程分析法を適用して, A児の表出行動を逐一, 分析にあたっては, 後藤ら ( 1 4 文章化することを基本に, 指導者に関しては 「A児の行動に反応した行動」 , および 「A児の行動を引き 起 こした行動」 の2つの分析観点からその文章化を進める. そして, 相互作用過程分析法で設定されている分 ion Un 析 単位, すな わち, lnt i t t(以下, ェU と言う) を用いて, A児と指導者間に生じた関係行動の erac 連鎖を分析する. なお, ここで示さ れている 「行動」 とは, 音声言語行動と非音声言語行動を含めた, 表出 行動 の全 て を 表 して いる.. ( 2 }舞台空間に関するIU の設定 全工U のうち, 以下の2つの基準に合わせて舞台に関する工U (以下, 舞台工U と言う) を抽出する. A. 舞台の上に ブロックや人形を置くなどの操作活動, 及び舞台にふれる, 舞台を指さすなどの舞台に 対する非音声言語行動が含まれるIU B‐ 舞台に関する 「これ, なーに?」 と言った質問や, 「おふる」 と言った意味の付与にあたる音声言 語 行動 が含ま れる工U さ らに, 本 研究 で は この2つ の 基 準 に した が っ て抽 出さ れた 舞 台工U を, 以 下の 3つ のカ テ ゴ リ ー に よ っ. て分類し, 舞台上の空間がA児と指導者の関係行動の連鎖を通して, どのような活動の場として機能 してい く の か, その プロ セス に関す る検 討 を深 め て いく‐. カテ ゴリーA. 舞台空間の物理的特性が特徴づけられるIU 正 方 形の 舞台 と その 上 にの せ られ た 円形 の 舞台 によ っ て構 成さ れる 舞台 空 間の 保 持す る物 理 的特徴 が 強調 さ れる工U. カ テ ゴリーB‐ 舞台空間へ心理学的・社会的特性が付与されるIU 2段の舞台によって構成さ れる舞台空間に心理学的な意味の付与, あるいは社会的意 味性が付与される工U カ テ ゴリー C. ブロ ッ ク の 介 在 により 舞 台 空 間 へ の活動 の 方 向 性 が特 徴 づ け られるエU. すでに心理学的ないし, 社会的特性の付与された舞台空間へ新たな ブロックの介在に よって, 活動の方向性がさらに舞台空間へ収れんしていく工U (以下, 収れんと言う) , および舞台空間を取り囲む空間, あるいは他の空間へと活動の方向性が拡がっていく 工U (以下, 開放と言う) の2つ から構成される. ( 3 )舞台空間に関するエ ピソー ドの抽出 舞台IU を中核として, 舞台に関する同一のテーマを構成し合う工U をひとつにまと め, 舞台に関するエ ピソードとして抽出する. この舞台に関するエ ピソードはA児と指導者間の関係行動の連鎖を文章化するこ とを基本に分析を行う‐ 82.

(6) . ミニチュアプレィ ルームを用いた障害児臨床実践. W. 結果と考察 1. 舞 台IU に関する カ テ ゴリ ー分 析. 表 1 は, 4 回 にわ た る 指 導場 面 毎 に舞台工U に関す るカ テ ゴリ ー分 析 を行 っ た結 果 を表 した も の で あ る‐ 各 指 導場 面 の全IU の 総 数 を 表 の 一 番右 の 欄 の ( ) 内 に示 してあ る が, そ の 数 値 は336ユ ニ ッ ト (第 1 回 目指 導) か ら365ユ ニ ッ ト (第 3 回 目指 導) の 範 囲 にある こ と がわ かる. こ れ に 対 し て, 舞 台 IU の 数 は 第 1 回 目指 導34ユ ニ ッ ト, 第 2 回 目指 導52ユ ニ ッ ト, 第 3 回 目指 導29ユ ニ ッ ト, そ して, 第 4 回 目 指 導114ユ ニ ッ トと第 3 回 目指 導 を 除く と指 導 の 回 を重 ね る こ と によ っ て 増 加 傾 向 を 認 め る こ と が で き る. ま た, 全. 1% (第1回目指導) 9%を除いて, 10 2% (第2回目指導) エU に占める舞台IU の割合も第3回目指導7 . . , 15 . , 33 3% (第4回目指導) と指導が進むにつ れて高くなってきており, 舞台空間に関する関係行動が指導を重 ‐ ねる こと によ り 強ま っ てき て い る こ と が 理解さ れ る‐ 表1 \\ カテゴリー 、 \ \\ 指導回 \\. カ テ ゴリ ー A. 第1回目指導. 32. 第2回目指導. 5. 第3回目指導 第4回目指導. 舞台IU に関するカテ ゴリー分析結果 全IU に 占め る. カ テ ゴリ ー C カ テ ゴリ ー B. 収れん. 開. 放. 計. その他. 合. 計. 舞台IUの割合 *()内は全町数を示している‐. 1▲. 0. O. O. I. 34. 10 1% ( 3 3 6 ) .. 13. 8. 19. 27. 7. 52. 15 2% ( 3 42 ) ‐. 0. 15. 0. 12. 12. 2. 29. 7 9% ( 3 6 5 ) .. O. 77. 5. 17. 22. 15. 114. 33 3% ( 2 34 ) ‐. この時間的推移の中で示されている舞台空間に焦点化された関係行動の連鎖は, 内容的側面から見た場合, どの よ う な 特徴 をそ こ に捉 え 得る の であ ろう か‐ 次 に, 舞台工U に 関す るカ テ ゴリ ー 分 析 の 結 果 を 検 討 し て み よう‐ な お, こ こ で言う 「そ の 他」 のカ テ ゴリ ー と は 「舞 台 上 の 人 形 の 同 定」 や 「無 意 図 的 に触 れた 舞台. 上の人形の向きをなおす」 と言った, 直接, 舞台空間のもつ物理的特性や舞台空間への心理学的・社会的特 性 の 付 与 と はか か わ らな い 舞 台IU に関するカ テ ゴ リー で あり, カ テ ゴリ ー A, B およ びC に 分 類 す る こ と が 不 可能 な もの であ る. この 結 果 か ら は, カ テ ゴリ ーA は第 1回 目指 導 にお い て 最 も多く 認 め られ, 第 3 回 目の 指 導以 降 は全く 生 起 して い な いカ テ ゴリ ー であ る こと がわ か る‐ このカ テ ゴ リー A が減少 していく 傾向と対象的に カ テ ゴリー , B およ びCの 頻度 は比 較 的, 高ま っ て き て おり, カ テ ゴリ ー B は第 1 回 目指 導が 1ユ ニ ッ トであ っ たの に対 し て第 4 回 目指 導 に おい て は77ユ ニ ッ ト にま で増 加 し て き て いる ま た カ テ ゴリ ー C に つ い て も第 1回 目 ‐ , の 指 導 で はそ の 形成 が認 め られな か っ た もの が, 第 2 回 目指 導 以 降 は27ユ ニ ッ ト (第 2 回目指導) 12ユニ ッ , ト (第 3 回 目指 導) 2 2ユ ニ ト ( 4 と 第 回 目指 導 ) 一 定の が示さ 出 れる結 現 と 果 な ッ っ て い る‐ こ の カ テ ゴ , リ ー C の 下 位カ テ ゴ リ ー 「収 れん」 と 「開 放」 に 関 し て は, 収 れん に比 して 開 放の 出現 頻度 が高 い こと が い. ずれの指導場面においても指摘される‐ ここ で 取り 上 げて いるカ テ ゴ リー は, 子 どもの 視 点 か ら捉 え た 場 合, 舞台 空 間 に対 す る 子 どもと指 導 者 間. の関係行動がカテ ゴリーAの舞台空間のもつ 物理的特性を特徴づけるIU から, カ テ ゴリーBの舞台空間へ 心理学的・社会的特性を付与するIU へ と, 発展 的な 展 開 を示 して いく と言う 仮 説 にの っ と っ て 設 定 さ れ た もの で あ り, 上 述 してき た分 析結 果 はこの 仮 説 を実 証 的 に肯 定 する 結果 とな っ て いる‐ このカ テ ゴリ ーA の 83.

(7) . 金津 克美・後藤恵美子・高久 宏一・後藤. 守. 舞台空間が備えている物理的特性に特徴づけられる工U が, 心理学的・社会的特性の付与された空間へと変 換されるエU に発展していくには子 どもと指導者間の関係行動の連鎖が重要な意味を担っている と考えられ よう. 次 節 で は, さ らに舞台 空 間 に 関する エ ピソ ー ドに考 察 を加 え て いく 中で, 舞台 空 間 を 中核 と した 子 ど. もと指導者間の関係行動の様相を明らかにしてみよう‐ 2. ・舞台空間に関するエ ピソー ド分析. 表2は4回の指導場面毎にA児の舞台空間に関するエ ピソードを3つのカテ ゴリーに分類した結果をまと め た もの であ る. こ こで の エ ピソー ドの 文 章 化 にあ た っ て は, A 児 の舞 台 空 間 にか かわる 行動 を中核 に し,. 指導者に関してはA児の行動を引き起こした行動, 及びそのA児の行動に反応した行動のうち舞台空間の機 能化にあたって関連性の高いと判断される指導者の行動を記述することを基本にしている‐ 分析の結果, カ テ ゴリー A 「舞 台空 間の物 理 的特 性 が特 徴 づ け られる エ ピソ ー ド」 に お いて は7エ ピソ ー ド, カ テ ゴリ ーB 「舞台 空 間 へ心 理 学 的・ 社 会 的特 性 が付 与さ れる エ ピソ ー ド」 におい て は12エ ピソ ー ド, そ して, カテ ゴリー C 「ブロ ッ ク の 介在 に より 舞台 空 間 への 活 動 の 方 向性 が 特徴 づ け られる エ ピソ ー ド」 にお いて は 「収 れん」 4 エ ピソ ー ドと 「開放」 5エ ピソ ー ドの合 計 9エ ピソ ー ドがそ れ ぞれ 得 られて いる‐ この結 果 を 時間 的尺 度 を 取り 入 れて 捉 え て みる と, 前 節 の 舞 台工U に 関するカ テ ゴリ ー 分 析の 結果 を反 映 して, エ ピ ソ ー ドA が 減 少 して いく の に対 して, エ ピソ ー ドB およ びC が増加 して いる こと がわ かる. 以下, エ ピソ ー ドの ナ ン バ ー の 前 に3つ のカ テ ゴリ ー を弁 別 す る ア ル フ ァ ベ ッ トを 付す こと により, 特 定 のエ ピソ ー ドを 表 して いく こ と にす る. エ ピソ ー ドA は舞台 空 間の もつ 物 理 的特 性 が直接, 強調 さ れる もの であ る が, エ ピソ ー ドA- 1 及 び A -. 3はいずれもA児の 「こーれ, とれな一に?」「こーれ, なに?」 と言う舞台空間に関する質問 から開始さ れている. この質問に代表されるように, A児の視野の中へ提示されている舞台空間がA児の注意を喚起す る視覚刺激を提示していることが理解されよう. このA-1及 びAー3に示されたA児の舞台空間に関する 質 問 に対 して, 指 導 者 は 「う ~ ん, み ど りさ ん と 白さ ん あ るね」 「な にかね ぇ, とん とん っ て」 な ど, そ の. 舞台が内包している物理的特性を言語化し, A児の質問を反復する応答をしており, それらは舞台空間その もの の物理 的特性 に言及 する に と どま っ た 関係 行動 である こと が エ ピソ ー ドA に特 徴 的な 点 である. ま た, A ー2 におけるA児の 「舞台へフロックを置く」 と言う表出行動に対しても, 指導者は 「あっ, 上手, あっ,. いいね」 と言うA児の行動それ自体を肯定するにとどめた応答をしており, 置かれた ブロックを何かに見立 てることや舞台空間へ社会的特性を付与することは認められていない. しかしながら, このA児の 「舞台へ ブロックを置く」 と言う行動は, その後, 何度も繰り返し表出さ れ, その行動に対してはほとん ど全て指導 者のA児の行動を肯定する行動が随伴して形成されていることが明らかにされている. したがって, 舞台空 間がA児の ブロックを置く と言う行動を解発し, その行動を指導者が肯定することにより, A児の 「舞台へ ブロックを置く」 と言う表出行動が指導者との関係行動を形成していく中で社会的意味性を内包した行動へ と推移していったと考察され, その意味において舞台空間が子どもと指導者にとっては単に物理的空間にと どま らな い 空 間 であ っ た と言 え よう. エ ピソ ー ドA -5 とA - 7 も同様 に舞台 空 間 の も つ 物 理 的 特性 を表 し て い る エ ピソ ー ドであ る が, こ こで は正方 形 の舞 台 とそ の 上 にの せ られ た 円形 の 舞台 か ら構成さ れる 舞台 空. 間が円形の舞台にそって正方形の舞台上を回ると言う循環性をもった円運動を解発する特性を備えているこ と を 示 して い る. と ころ で, 行動 空 間療法 の 世 界 を 子 どもの一視 野 に入 る 鳥 徽図的空間に提示 しているミニチ ュ ア プレィ ルー. ムは体育館の指導場面における舞台空間の認知と異なった位置, 視点から舞台空間を捉える機会を子どもへ 199 5 ) は, 日常生活空間の認知にかかわる研究の 中で空間の対象化を分 提供していると考えられる. 杉村 ( 84.

(8) . ミニチュ アプレィ ルームを用いた障害児臨床実践. 表2 A . 物理的特性に特徴づけられるエピソード. 第1回目. 指導. 第2回目 指導. 第3回目. 指導. 舞台空間に関するエピソー ド. B. 心理学的・社会的特性の付与されたエピソード. C こより活動の方向性が . ブロックの介在i 特徴づけられるエピソード. 1. 舞台に手をかけ’ なぞりながら 1‐ 舞台に手をかけて, 「こ, これ, とって」 と言い, 「こーれ, とれな一に?」 と言 指導者が 「なかよしだからずっと一緒にいたいん だって」 と言うと, うなづく‐ う‐ 指導者が 「これ, なんかあ るねぇ」 , 「うーん, みどりさん 2‐ 指導が終わってプレィ ルームを片付ける時, 舞台 をさわって 「なかよくするところ?」 と言い, 指 と白さんあるね」 と言うとうな づく. 導者が 「そうだね, なかよくするところだね」 と 応答する. 2. 舞台に ブロックをおく. 3. 舞台をさわって, 指さし ,「こー れなに?」 と言う‐ 指導者 も 「これなにかなあ?ふ 「ここか?」 と言ったり, 「なにかね ぇ, と んとんって」 と舞台を指さしさ わる. 4‐ 舞台へ手をかけてとろうとする. 指導者が 「あ, これとれないみ たいね」 と言うと, 「うん」 と 言ってうなづく‐ 5. 円い舞台にそわせながら, 正方 3‐ 舞台に手をかけて 「こ, こーれ, とって」 と言い, 1. 指導者が作ったトンネルを 「トン 指導者が 「これね, なかよしだからとれないのね」 ネルだ」 と言って, 人形がおいて 形の舞台をなぞり 「とおれない?」 と言うとうなづく. ある舞台におき, それを人形の上 と言う. 指導者が 「あっ, ここ とおれるかやってみようか?」 4. Ro空間においた人形を舞台 にあ げ, 指導者が にかける. (収れん) 「おっ, 誰かな?いたかな?」 と言うと,「な, こー 2‐ トンネルがかけられた舞台の上に と言うと, うなづく‐ 指導者が ブロックカーを正方形の舞台上 れは, なかよしだから, みんなは」 と言う. 順に ある人形をその名前を言いながら , を円い舞台にそわせながら動か 人形を舞台へのせていき, 指導者が 「あ, みんな Ro空間へ降ろして, トンネルも かっこいい, みんな, なかよしだから集まったね」 すと, それへ手をのばし少しそ Ro空間へおく. (開放) と言う‐ のまま動かした後, その ブロッ 3. Ro空間においたトンネルを舞台 クカーをRo空間へおく. の上におこうとするが壊れ, なお 6. 舞台にブロックをおく. そうとするがなおらず, 「もお, 7. Ro空間にあるブロックカーを みんなかえるって言ったわ, うん, 正方形の舞台上で少し動かし, て言った」 と言う‐ (開放) 舞台の上にあるブロックをRo 空間へおいた後, ブロックカー もRo空間へおく. 5. Ro空間においた人形をその名前を言いながら, 4 . 指導者が舞台の上の人形をRo空 舞台へ上げ, 「これで, よにんだ」 間にある ブロックカーにつけるの , 「これで, ご にんになる」 と言って, 全部人形を上げる‐ を見て, 舞台から人形をとりRo 空間にあるブロックカーにつけて. いく‐ (開放). 第4回目. 指導. 6‐ 「こんでるから」 と言って, Ro空間においた人 形を舞台の上に全部おく. 指導者は 「あら, いい ねぇ, みんなきちゃったあ」 と言う‐ 7. 「さて, みんなかえろ」 と言って, 舞台 にある人 形を手にとり, 「バイ バイ」 , 「バイ バイ ずるか ら ね」 , 「バイ バイ, わっちゃん」 と言いながら, 近 くにある児童用の机の上におく‐ 8. 「こーれ, とれなに?」 と舞台に手をかけて言い, 指導者が 「これね-なにかなかよしだからとれな いみたい」 , 「ねぇ, ここ, ぶーんってまるくなっ て, みんながいいよねぇ, ここにのっかってねぇ」 と言うと, うなづく. さらに 「こーこはなあに?」 と言う. 9. 「がっこうですよ」 と言って, 児童用 机にある 人 形を舞台の上におき, 「お はよう ございま す」 , 「お・は・よ」 と言って全部人形をおいていく. 1 0 . 「こっちはこっち」 , 「ここはここ」 と言 っ て, R o空間においた洋服にみたてたブロックの固まり や ブロックカーから人形をとり, Ro空間におき, その ブロックを舞台の上におく. 1 1 . 「もお, いいわ」「いいわ」 と言って, 舞台の上の ブロックをかごに入れる‐ 指導者が 「お, 写真と るか」 と言うと, 「ブロ ッ ク はうつ らないの」 , 「に, にんげんはしゃ しんとるの」 と言っ て, ブ ロックを全部か ごへ入れ, Ro空間にある人形を 舞台におく. 12 . Ro空間にある人形を 「おー, わあ-」 と言っ て 舞台の上にのせようとしながらころげ落とし, 指 導者が 「えーん, えーん, いたいよお」 とその人. 5. 「みんな, じゃ, 工事 して車にの れるかな?」 と指導者が言うと, 「のれる」 と言って, 舞台 にある 人形をRo空間にあるブロックカー や洋服にみたてたブロックにつけ ていく. (開放) 6. Ro空間にあるブロックカーから 人形をとり, 「ここは」 と言って, そのブロックカーを舞台におく競 滑り落ち, Ro空間にある人形に ぶつかり, 指導者がそのブロック カーを舞台に戻す.「ぶつかっちゃっ たね」 と言う. (収れん) 7. 「もっと, はなれた らい‐んだか ら」 と言って, ブロックカーがぶ つかった人形を手にとり舞台にあ て, またRo空間へおく. (開放) 8‐ 「ぶつかるかな」 と言 っ て, Ro 空間にある人形を手にして舞台に あるブロックカーを人形にあてて から, また舞台におく‐ (収れん) 9‐ Ro空間 にある人形を手にして 「またぶつかるかな」 と言っ て, 舞台のブロックカーを人形にあて る‐ その ブロ ックカーが壊れ, 「あれ?」 , 「なおしてく ださい」 と言う。 指導者がそれをなおし舞 台の上におく‐ (収れん). 形を手にして言うと, 舞台の上にある他の人形を とって 「だいじょうぶかい」 と言う. そして, 指 導者がもっている人形も手に持ち, 「いっ しょ に のぼりましょ」 と言って, その2つの人形を舞台 へおく‐. 85.

(9) . 金津 克美・後藤恵美子・高久 宏一・後藤. 守. 類し, 身体移動に関連させて, 空間認知の位置と視点, 外在化の形態及び視点移動の4点から検討を加えて いる. 空間認知の位置は, 認知する主体の人間が対象とした空間の外側に存在する場合と, 空間が人間を取 り 囲ん で いる 場 合, そ して, 体制 感 覚 に依 拠 す る人 間の 身体上 の場 合, の 3 つ に分 類 さ れている‐ このうち,. 体育館の指導場面における舞台空間の認知は第2番目に示さ れている空間が人間を取り囲んでいる状態で行 われていると考えられ, その認知の視点は地上に据えられており, 子どもは舞台空間を地上のある特定の視 点 か ら捉え る こ と にな ろう. これ に対 して ミ ニチ ュ ア プ レィ ルームの 場合 は一 番最 初 にあ げられて いる, 対. 象とする空間を子 どもが外側から認知する状態に適合し, その視点は上空真上, ないし上空ななめ上からの もの で あ る. 実 際の 体育 館の 指導 場面 にお い て も, 上 述 して き たエ ピソ ー ドA ー 5 およ びA - 7 に表さ れた. 正方形の舞台空間をブロックで作った車に乗って回ると言う行動が子どもや指導者に観察されており, この 点にかかわる舞台空間の内包する物理的特性は空間認知の位置や視点の相違にかかわらず確認できるものと な っ て い る‐ こ れ に 対 し て, エ ピ ソ ー ド A - 1 と A ー 3 に見 られるA児が表出した, 舞台に手を か け, なぞっ. た り, 指 差 したり しな が ら 「こー れ, と れな 一 に?」 「こー れ, な に?」 と いう 音声 言 語 行 動 は 舞 台 空 間 の. 全景を上空真上, 上空ななめ上から眺めると言う空間認知の位置と視点の特異性に強く裏付けられた行動と して 考え られよう. こ れ らの 舞台 空 間の も つ 物理 的特 性 を特徴 づ ける エ ピソ ー ドA に対 して, エ ピソ ー ドB は舞 台 空 間 へ心 理 学 的・社 会 的特 性 が付 与さ れて いる エ ピソ ー ドで構 成さ れて いる. エ ピソー ドB-1, B-3, そ して, B-. 8 はエ ピソ ー ドA - 1, A - 3と 同 じよう にA 児 の 「こ, こ れ, と っ て」 「こー れ, と れ な に ? ! と言う舞 台 空 間の 存 在 そ の もの にか かわ る 関係 行動 によ っ て 開 始さ れ て おり, エ ピソ ー ドA と 異 なる 点 は指 導者 の 関 係 行動 に見 て とる こと がで き る. エ ピソ ー ドA - 1及 びA - 3 にお い て は指 導 者 の か かわり は単 にA 児 の 質 問 を反 復 したり, 舞 台 空 間 の備 え て いる 物理 的特性 を言 語 化 して いる に過 ぎな か っ た が, エ ピソ ー ドB に お. いては指導者は 「なかよしだから」 と言う言語的意味づけを行っており, それに対してA児もうなづくこと によって指導者の意味 づ けを肯定している. 既に触 れたよう に, 行動空間療法における舞台上の空間は iveSpa Commnunicat ceと命名された. 「集まりの場」 であり, 指導者にとって意味性の高い心理学的・社. 会的場となっている‐ この指導者の 「なかよしだから」 とする言語的意味づけは指導者の舞台空間への認識 を言語化したものと捉えられ, 子ども自身が舞台空間へ社会的特性を付与していく行動を形成する上で重要 な 意 味 を担 っ て い る 関係 行動 で ある と考 察さ れる‐ 実 際, エ ピソ ー ドB -1, B-2, Bー4, そ して, B - 9 を 時間 的 推移 の 中で 見 た場 合 に明 らか にな る よう に, 指 導者 のエ ピソ ー ドB - 1 に示さ れた 「な かよ しだ か らず っ と一 緒 にい たい ん だ っ て」 と言 う A 児 への 関係 行動 は, エ ピソ ー ドB ー2 にお ける A 児 の 舞台 空 間. そのものを心理学的・社会的場に変換していく 「なかよくするところ?」 と言う音声言語行動を引き出して いる. そして, そこには空間の中央に設定さた2段重ねの舞台空間が指導者の言語的介在によって心理学的・ 社会的特性を付与された空間へと変換され (エ ピソー ドB-1) , それをA児が自ら言語的に 意味 づ けし (エ ピソードB ー2) , 「なかよしだから」 と言う意味づけによって人形を実際に舞台 空間に置くと言う行動 が表出され (エ ピソードBー4) , これがさらに 「がっこう」 と言う, より心理学的・社会的特性 が強調さ れ 得る エ ピソ ー ド (B - 9) に発展 して いく 様 相 を捉 え 得る. エ ピソ ー ドB -9 に示さ れて いる よう にA 児 の 場合 は, ミ ニチ ュ ア プ レィ ルーム 場 面 にお いて 舞 台 空 間 を 「が っ こう」 に見立 て て, 全て の 人形 を 「お は よう ございま す」 「お・ は・ よ」 と言 いな が ら舞台 の 上 にお い て, 学 級 のメ ン バ ー が 学 校 へ 登 校 して く る 場. 面を展開させているが, 体育館の集団指導場面ではこの空間は 「おしろ」「おんせん」「おうち」 と言う場と して ブロ ッ ク を介 在さ せ な が ら集 団 の 構 成メ ン バ ー の 間 で 意 味 づ けさ れ, 集 団 内の 関係 行動 の形 成 の場 と し. て機能化さ れていることが観察所見に表されている. 行動空間療法による指導の場合, Co 空間と Ro 空間 の2つから構成される空間に集団全体の活動の軸点となる軸空間がチーフの指導者によって設定されていく 86.

(10) . ミニチュアプレィ ルームを用いた障害児臨床実践. と ころ に力点 が か け られて おり, そ のマ ニ ュ ア ルの 中で は, 大 型 組 み 立て ブロ ッ ク が置 か れ た ブロ ッ ク コ ー ナ ー にお ける軸 空 間の 構成 か ら始ま り, 順 次, Ro 空 間 をベー ス に した 軸 空 間 の 構 成, Co 空 間 と 接 点 の あ る Ro 空間をベースにした軸空間の構成へと, 集団全体の活動が時間的な流れの中で Co 空間を ベースにし た 活動 へ と収 れん して いく よう な軸 空 間の 構成 が 図 られ てい る (後 藤 ら, 1998 ) ‐ した が っ て, こ の 軸 空 間. の推移の中でどのようにCo 空間が社会的意味性を内包した 「おんせん」 「おしろ」 として機能していくの か そ の プロ セス が重 視さ れよう‐ 舞台 空 間 への活 動 の方 向性 を示 して いるカ テ ゴ リー Cを 構成 す る2 つ の 下 位カ テ ゴリ ー 「収 れん」 と 「開放」 に関 する エ ピソ ー ドは, この 観 点 を検 討 していく 上 で いく らかの 知 見 を 提示 で きる もの と考 え る. カ テ ゴリ ー C 「ブロ ッ ク の 介 在 により 舞 台 空 間 への 活動 の 方 向性 が 特 徴 づ け られる エ ピソ ー ド」 は, す で. に心理学的, ないし社会的特性の付与されている舞台空間が前提とされるものであり, 活動の方向性がさら に 舞台 空 間へ収 れん して いく 「収 れん」 と, 舞 台 空 間 を 取り 囲 む空 間, な い し, ミ ニチ ュ ア プ レィ ルーム の 空 間 を越 え た空 間へ と 活動 の 方 向性 が 拡 が っ て いく 「開 放」 の 2 つ のエ ピソー ドから成立 している. エ ピソー ドCの 出 現 は第 2 回 目指 導 に おい て 初 め て 認 め られ, 第 1 回 目指 導 で は形成 さ れて いないエ ピソ ー ドである. 実 際の 体育 館 に お ける指 導 で は, 初 め に集 団のメ ン バ ー が全 員, 舞台の上に上がり, チーフの指導者によ っ. て子どもと他の指導者の名前が呼ばれ, 「遊びの指導」 への動機づけがされた後に体育館の壁面に積み重ね られ て い る 大 型 組 み立 て ブロ ッ ク を 用 い た 「遊 びの 指 導」 が展 開さ れる. そ して, 指 導の 終 わり に は後片 づ. けをして, 再び舞台へ集まり, 終わりの歌と手遊びをすると言う一連の指導の流れが示されている (後藤ら , 19 97a) ‐ これをカテ ゴリーCにおける舞台空間への活動の方向性を示す 「収れん」 と 「開放」 と言う対概 念の視点から捉えた場合, 初めのメ ンバー全員が舞台へ上がり 「遊びの指導」 への動機づけが行われる段階 は, カ テ ゴリ ーB にお ける エ ピソ ー ドB - 4, B -5, およ びB -6 に見られる舞台空間への心理学的・社 会的特性の付与, すなわち, 舞台空間をCo 空間として機能化させることを意味し, この段階からブロ ック コ ー ナ ー へ移動 し ブロ ッ ク を 用 い た 「遊 びの 指 導」 が 開始 さ れる段 階 へ の移 行 はカ テ ゴリ ー C の 「開 放」 , つ ま り 活動 の 方 向が Co 空 間か ら Ro 空 間へ 拡 が っ て いく こと を表 して いる と言 えよう. そ して, この ブロ ッ. クを用いた 「遊びの指導」 の展開においては, 集団全体の活動が時間的推移の中で Co 空間へ, まさに 「収 れん」 し て いく 方 向 が志 向さ れて いる こと は前 述 した 通り で ある. した が っ て, 体育 館 にお ける 行動 空 間療. 法を導入した 「遊びの指導」 の場合, カテ ゴリーBにおける 「舞台空間への心理学的・社会的特性の付与」 から, カテ ゴリーCにおける舞台空間から活動の方向性を拡げていく 「開放」 , そして, その 「開放」 され た 活動 を ブロ ッ ク を介 在さ せ な が ら舞 台 空 間 へと 「収 れ ん」 さ せ て いく と 言う カ テ ゴリ ーB → カ テ ゴリ ー , C 「開 放」 → カ テ ゴリ ー C 「収 れん」 の 図 式 によ っ て 表 現さ れる ÷連の流れを抽出し得ると考える ミニチュ ‐ ア プ レィ ルー ム の 場 合 に お いて は, エ ピソ ー ドC - 4 と C -5 における指導者が自分自身の舞台の上にある. 人形を Ro 空間にある車へ付ける行動, および 「みんな, じゃ, 工事して車にのれるかな?」 と言う行動に よって, 舞台へ上げられた人形を Ro 空間にある車へ乗せて (付けて) いくと言うA児の行動を引き出し , 「開放」 の エ ピソ ー ドが構 成 さ れ て いる こ と が 理 解 さ れる こ れ は 体育 館 に お ける 指 導 の カ テ ゴ リ ー B か ‐ , らカ テ ゴリ ー C 「開放」 へ の 流 れ に符 号 する もの と して 捉え られ よう 体育 館 に お ける 指 導 で は この後 に . , カ テ ゴリ ー C 「収 れん」 のエ ピソ ー ドが形 成さ れて いく 方 向 が 求め られて い る が ミ ニチ ュ ア プ レィ ルー ム ,. 場面の場合, これに対応するエピソー ドは本研究で分析対象となっている初回から第4回目ま での指導にお い て は認 め られ て いな い. 第 4 回 目指 導 に お ける 「開放」 の エ ピソ ー ドC- 5 の 次 に構 成さ れ てい る 「収 れ ん」 の エ ピソ ー ドC -6, C - 8 およ びC - 9 は, エ ピソ ー ドC -5 に おい て 示さ れ た 舞 台 上 の 人 形 を Ro. 空間にある車へ乗せる (付ける) と言う 「開放」 のエ ピソー ドが, 車から人形を降ろして ( まずして) 人形 を は Ro 空 間 へ お き 車 を 舞台 空 間 へ おく と 言う 「収 れん」 の エ ピソ ー ドへ展 開 して いく 様相 を示 し て いる が , 87.

(11) . 金津 克美・後藤恵美子・高久. 宏一・後藤. 守. ここでは体育館における活動と異なり人形は Ro 空間に残されている‐ 体育館の指導では, その活動主体で ある集団の構成メ ンバー自体がブロックを介在させながらその活動を舞台空間へと 「収れん」 させていく場 が 志 向さ れて いる が, ミ ニチ ュ ア プ レィ ルー ム の 場 面 で は 「活 動 主体 の 二 重 構 造」 , す な わ ち, 直 接 的 な 活. 動の主体は人形であり, 子どもはその人形を操作する操作主体となっており体育館の指導には見られない特 異 性 を有 して いる と 考 え られる. ま た, 第 2 回 目指 導 にお ける エ ピソー ドC - l r収れん」 も人形を動かす 操作主体である子どもが存在することによって得られた体育館場面とは異なるカテ ゴリーBからカテ ゴリー C 「収れん」 への展開と考察される. ミ ニチ ュ ア プ レィ ルー ム によ る指 導 は, 本論 文 で研 究 対象 とな っ て いる 4 回 目の 指 導以 降 も継 続さ れて お. り, それらの資料を分析対象とすることにより, この指導の特異性とともに体育館の指導場面との共通性を 析 出 し得 る と考 え る. 今 後 は, 本研 究 で 得 られた ミ ニチ ュ ア プ レィ ルーム の 指 導 場面 の 「物 理 的場 の 構 成」. に関する知見に関して, 体育館における行動空間療法を導入した 「遊びの指導」 との連関性を重視しながら, さらに検討を深めていきたいと考える‐ 附 記 本論文は, 日本特殊教育学会第35回大会における発表 「行動空間療法の体系化に関する基礎的検討(W) , ミ ニ チ ュ ア プ レィ ルー ム を用 いた 行動 空 間療 法 の世 界」 に加 筆 した もの であ る. 本 研 究 を進 める にあ たり,. 多くの ご協力をいただいている本学附属校特殊学級の先生方に心より感謝申し上げます.. 引用文献 ( ) 後藤 守他( 97a):精神発達に遅れをもつ子ども達の生活空間の再構成に関する研究 (第1報) 1 19 , 大学および附属校教官 による 教育的遊戯療法に関する予備的研究を通して. 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第47巻2号, 135一150 . ):児童臨床実践におけるミニチュアプレィ ルームの導入の試み‐ 乳幼児療育研究第10号, 1997 ( 2 ) 金揮克美・後藤恵美子・後藤 守( 67一73 ‐. 19 98 ):ミニチュアプレィ ルームを用いた教育実習事前学習に関する研究 ( 3 ) 金棒克美・渡辺泰行・後藤恵美子・三浦 哲・後藤 守( (1) ‐ ‐ 北海道教育大学附属教育実践研究指導センター紀要第17号, 103一113 ):行動空間療法の体系化に関する研究. 北海道教育大学紀要 (第1部C) 1984 ( 4 ) 後藤 守・小笠原詠子・後藤恵美子・福原真理子( 7一86 第37巻2号, 7 . 2 ):障害をもつ子どもの社会的場に関する研究. 北海道教育大学コミュニケーショ ン障害研究創刊号, 1-4 ( ) 金樫克美( 1 994 5 . 6 ) 金樫克美( 1 99 8 ):障害をもつ子どもの発達を支える社会的場の探求. 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第48巻2号, 17一31 ( ‐ ( 5 ) 金津克美・後藤恵美子・後藤. 守( 95 ):障害をもつ子どもの社会的場に関する研究(=) 19 . 北海道教育大学コミュニケーショ ン障. 害研究第2号, 1‐42 ‐ 1 997b ):精神発達に遅れをもつ子ども達の生活空間の再構成に関する研究 (第3報) { 6 ) 後藤 守他( , Co 空間と Ro 空間におけるか かわり行動の分析を通して. 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第48巻1号, 107一116 .. 5回大会発表論 1 9 9 7 ):行動空間療法に関する基礎的検討(V) ( ) 後藤恵美子・金棒克美・帰家大祐・後藤 守( 7 . 日本特殊教育学会第3 文集, 7 96一7 97 ‐ ) Barker 196 8 ):Ecologicalpsychology:Conceptsand methodsforstudyingtheenvironment ofhuman behav‐ ( 8 ,R.G‐( ior l i f .Stanford,Ca .:Stanford University Press. と対人的相互作用との相補的関係について. 広島大学教育学部紀要第1 ) 子どもの文化的発達を支える物理的環境 ( ) 1 9 9 1 9 躍田英三( :. 部第39号, 213一221 . 19 92 ):子どものコミュニケーショ ン能力育成のための地域臨床実践の試み. 北海道教育大学言語障害教育研究第5号, Q o ) 後藤恵美子( 1 3一26 ‐. 2- 3号,4 回 後藤 守( 4 ):相互作用過程分析法の検討‐ (三宅和夫編)乳幼児発達研究法の探求(ロ) 1 9 7 ‐ 北海道大学教育学部紀要第2 59 ‐. 88.

(12) . ミニチュアプレィ ルームを用いた障害児臨床実践. 鋤 杉村伸一郎( ):5章 さがす, 探索行動と空間認知. (空間認知の発達研究会編)空間に生きる 北大路書房 199 5 . . 0 3 ) 後藤 守・後藤恵美子・金津克美・高畠 晋・渡辺泰行・木村格昭・山田浩富・宿田幸江( 199 8 ):障害児教育実習生のための指導 マニュアル, 行動空間療法による遊びの指導. 北海道教育大学附属教育実践研究指導センター紀要第17号 1 37 , 29一1 ‐. 金津 克美 (本学講師岩見沢校) 後藤 恵美子 (札幌市児童家庭部障害児保育巡回指導専門員) 高久 後藤. 宏一 (北海道教育大学附属教育実践指導センター技官) 守 (本学教授札幌校). 8 9.

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参照

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