へき地小規模校における「総合的な学習の時間」実践の創出 : きたのまち市立北嵐雪小学校の事例 : この子たちの事実からの出発
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(2) 2000.12. へき地小規模校における「総合的な学習の時間」実践の創出. No.55. へき地小規模校における「総合的な学習の時間」実践の創出 −きたのまち市立北嵐雪小学校の事例:この子たちの事実からの出発一 書田 正生. 須田 康之. 木谷 静香. (北海道教育大学旭川校). (北海道教育大学旭川校). (旭川校学生). ACaseStudyofaPracticingoftheIntegratedEducation ataruralelementaryschooI MasaoYOSHIDA,YasuyukiSUDAandshizukaKIYA. こうしたきたのまち市内の動きをみて,北嵐雪小学校. は じめに. でも従来から行われていた「総合的な学習」と「総合的. 平成12年3月31日,北海道からまた一つ小学校が消え. な学習の時間」との対応関係について考えていかなくて. た。きたのまち市立北嵐雪小学校1)である。統合された 時点での児童数は8名,教職員数が10名2)という極小規. 諭も,思いを強くしていた。しかし,統合されてしまう. 模校であった。4月から,児童は隣接学区にある嵐雪小. 学校である以上,この学校独自の「総合的な学習の時間」. はいけないと,山形茂美校長も研究部担当の守田達夫教. 学校に通うことになる。北嵐雪小学校の時には学校から. を創ることは不可能である。そこで北嵐雪小学校の教師. 一番遠い子どもでも,2キロメートル程度の通学距離で. たちが採ったストラテジーは,これまで行っていた「総. あった。しかし,嵐雪小学校に替わるとそれは,4∼5. 合的な活動」を閉枚の年にふさわしい実践にする,そし. キロメートルになる。. てそれが「総合的な学習の時間」の実践に適合的なもの になることをめざすというものであった。. 北嵐雪小学校は,きたのまち駅からおよそ11キロメー. 本論は,北嵐雪小学校が残した最終年度の「総合的な. トル南に離れた農村部にある。校区の世帯数は49戸で, 大部分が稲作農家である。49戸すべてが,PTAを支え. 学習」(「総合的な学習の時間」の実践に適合的なものを. て来た。すなわち,小学校に通う児童のいる家は,会貞,. めざしているという意味でこのように改称)がこれまで. いない家は準会員となっていたのである。最後のPTA. に教育雑誌等で発表されてきた先駆的な「総合的な学習」. 会長となった平成11年度の会長は,準会員のなかから選. と同じように子どもたちの生きる力を育もうとしており. ながら,それらとはまた異なった教育的意義をもつもの. ばれていた。. 北嵐雪地区は,駅までのバスの便もあるし,道路も整. であり,北嵐雪小学校と同じような小規模枚にとって一 つの範例となるものであるという前提に立って,実践の. 備されており日常の暮しに不便なところではない。しか. し,国の減反政策等の影響もあって,離農する人々がい. 有り様を主としてインタビューによって紹介すると共. たり若年人口が流出したりで,児童数は昭和35年の111. に,そのカリキュラム構成原理を明らかにしようとする. 人をピークに減少の一途を辿り,平成4年からは10名以. ものである。. 文部省は,「総合的な学習の時間」を導入することに. 下という状態が続いていた。そして遂に平成11年,地域 の人々は嵐雪小学校への統合を市の教育委員会に願い出. よって各学校がその特色を発揮できるような自校独自の. たのである。. 教育課程を開発・実践することを期待している。そして,. 北嵐雪小学校がこうして姿を消そうとしていた平成11. 各地の附属小学校や地域の中心校として伝統的に研究開. 年度は,きたのまち市の各小学校で2002年(平成14年). 発校的な役割を果たしてきた学校が,そうした文部省の. から始まる「総合的な学習の時間」に向けて様々な準備. 期待に応えるべく,実践的研究を積み重ねている。そう. が,いよいよ活発化した年でもあった。市内の小学校の. した様子の一端は,例えば明治図書から出されている教. なかには校内で授業研究を始めるところも現れ始め,中. 育雑誌『総合的学習を創る』から窺うことができる。同. にはきたのまち小学校や北埜小学校,華北小学校のよう. 誌1999年7月号の特集記事「わが県の総合的学習=見た. に,公開授業研究会を行うところも出て来た。. い学校・話をしたい人一全国各県」や水越敏行氏の「百. − 1 −.
(3) 吉田 正生・須田 康之・木谷 静香. 花りょう乱∼だがその中身は∼」には,北海道教育大学. で行われた総合の実践の積み重ねがある」,「だから,小. 教育学部附属釧路小学校をはじめとして各地の附属校の. 規模校は総合的な学習の時間に比較的容易に適応でき. 取り組みが,また昔から総合的な学習等の研究校として. る」という楽観的言明は,具体的なレベルの教育内容が. 全国的に知られている長野県の伊那小学校,新潟県の上. 実践というかたちで蓄積されているという側面をついて. 越市立大手町小学校,千葉県の北条小学校などの研究状. いるという意味では当を得たものである。つまり,総合. 況が簡単ではあるが紹介されている。更に,特集記事の. 的な学習の時間のためには,教師が授業づくり/実践の. 青森県,島根県,大分県の実践校紹介は,明らかに僻地. ために参考にすべき教科書が創られないのであるから,. 小規模校であると思われる学校の実践の様子も紹介して. 具体的レベルにおける総合の実践を積み重ねていた小規. いる。しかし,大分県の場合にはインターネットを活用. 模校の方が,そうでない多学級の学校よりも有利なのだ. した情報教育の事例として紹介されており,そのような. ということは言えるであろう。しかし,このように具体. 設備の整っていない学校に勤務する教師にとっては,直. 的積み重ねがあるということは,「総合的な学習の時間」. 接益するものではない。また,島根県の場合も青森県の. において自校の子どもたちにどのような力をつけるべき. 場合も僻地小規模校とは言っても,児童数が25名,40名 と言う記述がある所から推測すると,全校で6学級はあ. なのか,その為にどのような(既開発)単元を残すべき. る学校と思われる。しかし北海道の場合,北嵐雪小学校. 新たにどのような単元を開発すべきなのかという作業を. のように6学級未満,すなわち複式をとっている小学校. 免除するものではないのである。このことは,戟前の国. は1543校中593校,実に全体の38.4ヲ‘にのぼる3)。. 史や地理の教育内容が,そのままでは戦後の歴史教育や. なのか,どの点にどのような改善を加えるべきなのか,. 地理教育,社会科教育の教育内容として使えなかったこ. 財団法人中央教育研究所が出している研究報告『「総. 合的な学習」の実践一当事者に聞くわが校の歩み−』も. ととある意味で,同じである。. 中学枚編と小学校編の二つを出し,ユニークな研究であ. 小規模校は,教員が少ない・若年の教貞が多いなど「総. るがやはり北嵐雪小学校のような小さな学校への聞き取. 合的な学習の時間」実施に向けて教育課程を検討・再編. り調査は行われていない。. する上ではむしろ不利な条件を抱えている。管理職は, 管理職としての仕事に追われ,若年のクラス担任は,日々. このように,へき地小規模校に見合った「総合的な学. 習」の実践事例が発表されていないにもかかわらず,へ. の教科等の授業をこなすことで精一杯と思われるからで. き地小規模校には「ふるさと学習」などの名称で行われ. ある。 北嵐雪小学校の事例は,管理職が総合的な学習の時間. た総合の実践の積み重ねがある,また地域の人々の協力 も得やすい,したがって比較的容易に総合的な学習の時. の創出にどのように関われるのか,へき地小規模枚の総. 間の実践をつくれるという楽観的な見方もある4)。この. 合的な学習のカリキュラム構成原理として何をとり上. ような楽観論が全く見当違いであるとは言えない。しか. げ,従来の蓄積をどう活用したらよいのか・新たに何を. し,自校の総合的な学習の時間のカリキュラム構成原理. 付け加えるべきなのかを示唆してくれるものである。. の明確化・教育課程全体への位置付けなど,各学校が行. 確かに,北嵐雪小学校では経験年数が10年以上のベテ. わなくてはいけない仕事がある。これらの仕事は,実際. ランの教貞ばかりが,教鞭をとっていた。したがって,. の単元開発/実施とは,別の次元の作業を要求するもの. 若年教貞として/あるいは若年教員だからこそ行えるこ. とはなにかを,北嵐雪小学校の事例から引き出すことは. である。. 従来の各教科・領域については,教科・領域の目標一. できないであろう. 。しかし,若年教員も北嵐雪小学校の. 教科・領域の教育内容が『学習指導要領』や『指導書』. ベテラン教師たちのやったことのこの部分なら何とかで. によって示され,更に教科の場合にはその学習指導の様. きるというものは見つけることができるかもしれない。. 子のイメージや学習指導資料が教科書や市販の資料集に. 北嵐雪小学校の事例をこのようなかたちで取り上げよ. よって,さらには教科書会社発行の教師用指導書によっ. うとするのは,次のような理由からである。. て与えられていた。すなわち,従来,教師は,教科の指 導にあたっては,その教科論的根拠(何ゆえに,この教. 筆者は,へき地小規模校においては一人ひとりの教師 が負担過剰のため「総合的な学習の時間」など,文部省. 科で,これを教えるのか/教えなくてはならないのか). が次々に出して来る教育改革施策に十分に対応しきれな. を『学習指導要領』によって与えられ,かなり具体的な. いのではないかという危倶感を抱いている。また,文部. レベルまでの教育内容を教科書等によって与えられるな. どして,教科の授業実践に関しては,単なる技術者/職. 省が出して来る教育改革施策とは,あくまでも都会に住 む子どもたちやその子どもたちが住む,少なくとも各学. 人にとどまることもできたのである。. 年1学級はあるような学校を念頭においたものであり,. たしかに「/ト規模校には『ふるさと学習』などの名称. 北海道に多いへき地小規模校の実態を十分視野に入れて. ー 2 −.
(4) へき地小規模校における「総合的な学習の時間」実践の創出. NO.55. 遠隔教育というものが着々と進められ,へき地小規模枚. 本来なら,上記に続けて,教職貞の協業がどのよう なものであったか,さらにまた地域の人々の協力がど. いないのではないかという危慎も抱いている。もちろん,. とその地方の中心校(比較的規模の大きな学校)や都会. のようなものであったのかなどについて,インタ. の学校との共同授業などがコンピュータを使っておこな. ビューをもとに論述すべきであろう。しかし,そのた. われるようになっていることは知っている。しかし,こ. めのインタビューを実施できなかったので,この点に. れは今のところ,研究指定を受けた一部の学校でのみ展. 2000.12. ついては断念せざるを得ない。. ○ 最後に,北嵐雪小学枚の実践が小規模校の実践に示. 開されていることである。. これに対して,「総合的な学習の時間」にはどこの学. 唆する所をまとめて論述する(おわりに)。. 校も取り組まなければならないとされたために,個々の 教貞あるいは個々の学校は何らかの対処方略を生み出さ. Ⅰ 北見雪小学校の「総合的な学習」について. なくてはならなくなった。そうした対処方略をへき地小. のインタビュー. 規模枚が考える際に,北嵐雪小学校の実践事例が(指導 の困難な子どもにどう対処し,総合的な学習に取り込ん. 以下のインタビュー記述は,聞き取ったことを再構成. でいくかも含めて)何らかの示唆を与えるものであれば. したものである。したがって,実際の話は必ずしもこの. という思いが,本稿を貫いている。. とおりに進行したわけではない。また,語られていない. 従来の北嵐雪小学校の「総合的な学習」は,子どもた. ことでも,語られた如く記述されている部分もある。し. ちを地域の自然のすばらしさに気付かせ,浸り切らせる. かし,それは記述をわかりやすいものにするための工夫. ところに留まっていた。しかし,平成11年度のそれは,. に過ぎず,事実無根のことが善かれているわけではない。. そのレベルから脱却し「総合的な学習の時間」の内実を. 草稿をインタビュイーたちに読んでもらい,事実と異な. 備えたものに飛翔しようとしたのである。その飛翔を可. る部分についての指摘を受け,修正した。さらに,草稿. 能にしたものは,単元構成原理の変換であり,教職貞の. の語り口が,インタビュイーたちのものと離れすぎてい. 協業と地域の人々の実践への多様なかたちでの参加/協. ると思われる場合,インタビュイーたちにとってキー ワードだと思われる言葉が他の言葉に変えられている場. 力であった。. そこで以下,本論を次のように構成し,上述の点を明. 合にも,指摘してもらい修正した。. らかにしていく。. さて,本論のはじめで北嵐雪小学校の様子について簡. ○ 実践の様子を明らかにする為に,学校長をはじめと. 単にふれたが,ここでさらに学校の歴史と総合的な学習. した教職員から聞き取ったことを記述する(第Ⅰ章)。. の実施の仕方,児童の様子などについて,若干の補いを. ○ カリキュラム構成原理は,どのようなものからどの. しておく。. ようなものに変えられたのか。それは何故起こったの. 北嵐雪小学校は,平成11年度で開枚50周年を迎えた。. か。この点について,Ⅰ章のインタビュー及び指導案. 昭和21年,北嵐雪地区に隣接する共栄地区に開拓民が 入ってきた。子どものいる家族もあったので,従来の嵐. の分析によって明らかにする(Ⅱ章)。 ここで言うカリキュラム構成原理とは,各教科・領. 雪小学校に4キロメートルも5キロメートルも歩いて通. 域を包摂した教育課程全般の構成原理ではなく,「総. うのでは,夏の間はともかく冬は大変だということで,. 合的な学習の時間」という1領域のそれである。. 北嵐雪に学校を建ててもらおうという学校設置の運動が. カリキュラム構成原理は,単元構成原理と単元配. 起こった。その結果,開拓学枚として設置が認可され,. 列/発展原理からなる。単元構成原理を見る時には, 活動位相,認識位相,モラル位相の三つの視点から. 昭和24年に嵐雪小学校から分かれて北嵐雪小学校ができ. 検討する。活動位相の原理とは,ある単元の学習活動 を選択する際に働いている選択基準であり,認識位相. 供し,労力まで提供した。このようにして,北嵐雪小学 枚は地域の学校として誕生した。そこで子ども連の教育. の原理とは学習内容を選択する際に働いている基準で. を行うという簡易教育所としての歴史を持っているので. ある。また,モラル位相の原理とは,この教科/領域 は,子どもの人格形成のどの部分を担当すべきかを決. ある。 校舎は昭和63年に建て替えられたばかりで,まだ真新. 断する時に働く基準である。 単元配列/発展原理とは,個々の単元がどのような. しい感じがする。平成5年度には「きたのまち市都市景 観賞認定施設」とされたほど,清酒な建物である。. たのである。地域の人々は,校舎を建てるのに材料を提. 全校児童数は先に述べた通り年々減少し,平成11年度. 連関性のもとに選択されているのか,各学年間の学習. は,1年生1名,2年生1名,3年生3名,4年生1名, 5年生0,6年生2名という内訳である。1,2年生で. 内容・活動の質がどのような原理によって差異化され. ているかということである。. − 3 −.
(5) 吉田 正生・須田 康之・木谷 静香. 一つの学級を作り,楓学級という名で呼ばれている。3. が言う総合的な学習と言ってしまっていいのかという思. 年生は単独学年で学級ができており松組という名称を. いがあります。だから,どこも「総合」とは言わずに的. 持っている。4,6年生が桂姐という学級になっている。. をつけて「総合的学習」と呼んでいます。うちのこれま. この他に桜組という学級を設け,そこに6年生の児童が. での実践もそういうものとして,聞いてください。. 一人所属している5)。. (a)北嵐雪小学校「総合的活動」の構成. 教科学習は,学級が基本となって進められ,総合的な. 一四季という柱と最終目標としての食−. 活動は,全校で二つの縦割グループ(AグループとB. うちの「総合的活動」は,大きく4本の柱からでき. グループ)を基本にして行われる。. ています。春,夏,秋,冬という四季の柱です。. 学校の様子と児童の実態について,資料には次のよう. それぞれの季節にふさわしい活動を組んで,その活. に善かれている6)。. 動の最終ゴールに食べるということをおいて「総合的 活動」をこれまでは進めて来ました。. 先ず,春の学習から話しましょう。「春を探そう」. 本校は,全児童8名の極小規模校である。地域は豊か な自然に恵まれており,山あり,川あり,折々の草花が. という単元名で行います。時数は,ゆとりの時間とか. 見られ,心を和ませる野鳥の声も一年中聞こえてくる。. 図工とか音楽など,いろんなところからもってきます。. また,校地に造られた「ふれあい農園」をはじめ校地内. 全校児童8名ですから,この8人全部で行います。地. 外は「野外学習」などに極めて恵まれた環境である。し. 域探検なんですけど,学区を1時間位めぐって,山菜. かし,子供たちは,このような環境に慣れ浸っているた. をとるんです。校長先生とかもー緒にいきますし,市. め,身近な自然の美しさや不思議さに気づい. の指導主事の先生に来てもらっているときには,やは. たりするこ. ともなく過ごしてきた。. り一緒に回ってもらって山菜を摘んでもらいます。. 私が赴任した3年前にこれをやったんですけど,そ のときは,山菜を摘んできてそれでおしまいだったん. (り 平成10年鹿の実践について. 一岡田勇教諭へのインタビューから−. です。子どもたちは摘んで来た山菜を家にもって帰っ. (平成11年5月22日,岡田教諭のお宅に行き,北嵐雪. て行くだけ……,こちらとしては親に調理してもらう. 小学校の総合的な学習の進捗状況などについて,お話し. ことを期待していたんだけれど,この時期はどこの家. を聞かせていただいた。. も田植えですごく忙しいんです。だから親たちは,そ. 岡田教諭は,今の北嵐雪小学校に赴任してこの時点で. んな山菜を料理してやるゆとりなんてないんです。結. 満3年が過ぎた所である。その前は,やはりきたのまち. 局,採ってきたけれど,食べないまま枯らせてしまっ. 市内にある豊富小・中学校7)に8年間勤めて居られた。. ているということがわかったんです。子どもたちに「昨. 理科指導に造詣が深いだけでなく,春・秋の山菜採り,. 日の蕗,食べたかい」つて聞くと「まだ」つていう返. 茸がりなど,土曜・日曜には学区を含めてきたのまち近. 事が返ってくる,そしてそのうち枯れちゃって駄目に. 郊の野山を歩き回っておられる,いわゆるアウトドア派. しちゃってるっていうことだったんですね。それなら. である。また,テレビの修理も簡単なものなら自分でやっ. 学校でつくらせようって,高学年の子どもたちを中心. てしまうし,自宅のベランダも作ってしまったという工. にして調理をさせて,それをみんなで食べるというと. 作人でもある。平成12年の3月で定年退職となるが,い. ころまでもっていこうじゃないかということになった. つも若々しい笑顔で子どもにも町内会の人々にも接して. んです。. いる。). この学区で採れる山菜ですか。たらの芽,いらくさ,. コンフリー,蕗,蕨,うど,ぜんまいが学区の林道を 1時間位歩くと採れますよ。たらの芽は,やっぱり天. ① 「総合的な学習」につながり得ると思われる自校. ぶらにします。いらくさはまだ10センチくらいのやつ. の実践. 私たちの学校は,来年の3月で廃校になってしまいま. を採ってこれは茄でてやるんです。さらっとしてなか. すから,今年がまとめの年だということで,これまでと. なかの珍味です。とげですか,小さくてももうちゃん. は違った実践をやろうとしています。お米を取り上げた. ととげはあります。刺さると,とても痛いもんですよ。. ものにしようとして研究部担当の先生が,今一生懸命プ. コンフリーつていうのは,20年くらい前に薬草にな. ランを練っているところです。でも,この話しは後回し. るっていうんでこの辺の農家の多くが栽培を始めたも. にして先に「総合的活動」ということで,これまでにど. のです。ピンクの小さな花が咲くもんで,1回覚えれ. んなことをやって来たかという話しをしましょう。. ば,すぐ見分けられるものです。. ただ,どこの学校でもまだそうですが,これを文部省. こうした山菜を摘んで来て,高学年の子どもたちを. − 4 −.
(6) NO.55. へき地小規模校における「総合的な学習の時間」実践の創出. 中心にして天ぶら,おひたし,味噌汁をつくります。. るんです。ただ,その日1日ではできませんから,何. そうしてお昼の時間にみんなで食べるんです。やっぱ. 日かかけて作業を進めていきます。草木染めをやると. り1日がかりの活動になってしまいますね,図鑑なん. ころまで活動を広げたこともありましたけど,今はも. かを使って名前を調べたり,これは食べられるものか. う食にしぼっています。. 2000.12. 冬は,「冬の遊び」という活動です。校庭に雪を積. 食べられないものかなんて仕分けることもやらせたり. しますから。だけど,この活動をやるまで,「本当に. んで迷路を作ったり,坂を作ったりして遊びます。た. これ食べられるの」つて言っていた子どもたちも,コ. だ,食に落としてやるにはどうしたらいいかというこ. ンフリーなんかを見つけるとすぐに「あっ,食べられ. とで,餅つきをやるようにしました。農家に残ってい. るやつだね。コンフリーつていうんだよね」つていう. る杵とか臼を借りて,親に餅つきの仕方を教えてもら. 様に反応するようになりましたよ。家が農家をやって. いながら,子どもたちにも餅をつかせんるんです。. いても,今の子どもたちは山菜を採ってきて食べるっ ていう経験はないんですよ。. (b)文部省の「総合的な学習」へどう対処するか. 夏は,「川の探検」です。4年生の理科の学習「川 の流れ」なんていうのがあるでしょう。それから生活. うにやってみようかって話し合うだけで,そもそも総. 科,むかしの低学年理科だと石を拾って来て,それを. 合的な学習とは何かなんていうことは,やってきませ. 子どもなりにいろいろ仕分けてみるという学習があっ. んでした。これからはきちんとカリキュラムのなかに. たじゃないですか。それと結び付けてやっています。. 位置づけることをやっていかなくちゃいけないでしょ. それから,網を使ってうぐいやどじょうをつかまえ. うね。 3人しかいませんからね,学級担任は。だから,細. こんなふうに今まではやって来たんです。こんなふ. るっていうこともやっています。網は,むかし雑魚捕 りに使っていた三角の形をしたやつがあるでしょう,. かいところまではできなかった。カリキュラムへの位. 高学年の子どもは,あれを使っています。学枚が買っ. 置づけっていうのを何よりやらなくちゃいけないで. しょうね。つまり,時数をきちんと何時間という具合. たものが2つばかりあるんです。私が勤めている学校 の子どもたちでも,雑魚をどうやってつかまえたらい. にとって,きちんとした枠っていうか,容れ物をつくっ. いか,全然知らなかったんですよ。でも,高学年の子. てやらなくちゃいけない。その容れ物のなかで,どん. どもに教えると文化の伝承で,その子たちが下の学年. なことができるかっていうことを考えていかなくちゃ. の子どもたちに敢えていきますからね。今はちゃんと. いけないでしょう。つまり,総合的な学習には1年間. 捕まえられます。三角の網は小さな子どもたちには重. で何時間とれる,そうすると春の活動には何時間,夏. いんで,そういう子たちはとんぼ捕りの網を使ってい. の活動には何時間という具合に時数を割り振ってみ. ますけどね。. て,その割り振られた時数のなかで何ができるのかと いうことを考えなくちゃいけないでしょうね。. でも,これだけだと子どもたちがあきちゃうんで,. その次に,もう私たちの学校は廃校になってしまう. 筏を2台用意して,これを使って,嵐雪川で川下りを. からできませんが,やるんだとすれば地域の人材の掘. やっています。水深は,深いところでも50センチメー トルくらい,平均30∼40センチメートルぐらいだし大. り起こしですね。地域にはいろんなことのできる人た. 人がついていますからね,大丈夫なんです。筏は,大. ちがいる。どこにどんな人がいるのかっていうことを. 型トラックのタイヤのチューブ4本とその上にコンパ. 調べておいて,その人たちに協力してもらえるかどう. ネを固定して作ります。川下りの途中で1本くらいパ. かっていうことをきちんとつかんでおく必要があるで. ンクすることがあるんですよ,そうするとそこだけ傾. しょうね。私たちの学枚に牛乳を入れてくれている業. くけど沈むことはない,却って面白いもんです。. 者さんがいるんだけど,この人たちが地域の人で,脱. サラで牧場を始めた人たちだったんですね。それで大. チューブやコンパネは,私の知り合いの業者からも. らってきたものです。まあ,筏下りがメインになって. 学は酪農関係の大学を夫婦2人そろって出ているんで. いますけど,最後はやっばり食に落としています。魚. すよ。この人たちに去年,アイスクリームの作り方を. を調理して食べるということをやっています。. 敢えてもらったんです,嵐雪の農業センターででした. 秋は,「木の実を探そう」ということでやっています。. けど。こういう例のほかにもいるでしょう,草履を作. これは徒歩遠足を兼ねてますから学区から出て,40分. れるお年寄りとか……。私たちの学区には,郷土民芸. くらい歩くとS牧場にいけますからそこに行って,こ. の木彫りができるなんていう人たちもいるんですよ。. くわだとか山ぶどうを採ってきます。そうして学校に. こういう地域の人材掘り起こしが大切だと思います ね,総合には。. 帰ってきてから,ジャム作りだとかジュース作りをす. − 5 −.
(7) 吉田 正生・須田 康之・木谷 静香. ただ,みんなそれを「総合」つて言ってしまってい. る). 昨年度の終わり頃,平成10年度の学校評価をやってい. いのかわからない。今までやってきたこととつなげて 総合的な学習へと入っていきたいんだけど,自分たち. るときですが,校長先生の方から次のような提案があり. が今までやってきたことをそのまま「総合」つて言い. ました。. 切ってしまっていいのかどうかわからない。だから,. 「来年度一杯で,北嵐雪小学校もいよいよ閉校になる。. みんな「総合的」つていう具合に“的”をつけてしまっ. そこで,ひとつ総合的な学習で地域にある 〈K地方水稲. て何となくぼかしてしまう。. 発祥の地〉という記念碑をとりあげてみてはどうだろう。. 今年は,まだプランを練っている段階だけど,総合. 本校最後の児童となる子どもたちに 〈北嵐雪地域〉 とい. 的な学習って言えるようなものを今,研究主任が米作. う学び舎を心に刻んでもらいたい。そうして,自信と誇. りを核にして創り出そうとしているんです。小さい学. りを持って,新しい学校に通ってもらいたい」というも. 校で人数が少ないっていっても,大きな学校と同じ様. のでした。. にやることはやらなくちゃいけない。そりゃあ,みん. これまでの本校の総合的な活動というのは,春,夏,. な一人何役もやっていて大変だけど,やることはやら. 秋,冬の四季毎に地域の自然を取り上げて,その自然に. なくちゃいけないんだから。まあ,今年は最後にきち. 浸り切らせるというものでしたから,子どもたちの興. んとまとめようっていうことで米作りに取り組みまし. 味・関心と無理なくつなげることのできるものでした。. たから,今までのものを総合っていうことではできな. 春には,山菜をとってきてそれをみんなで料理して食べ. くなりましたけど。学区の用水路に施されたいろんな. るというものでしたし,夏にはいかだをつくって嵐雪川. 工夫とかを子どもに教えていこう,それに用水路をた. を下るといったものですから……。ところが稲作となる. どっていくと嵐雪川に行き着くんです。また米作り発. と,今の子どもたちの生活と結びついていませんし,興. 祥の地っていう碑もある。そうしたものを手がかりに. 味・関心と結びついているものでもない。. して,総合的な学習を創ってみようとしているんです。. 北嵐雪地域は御覧の通り,水田がある農業地域です。. まとめとして何かそれなりのものをやってみようとい. でも,北嵐雪小の子ども8人のうち,農家の子どもとい. うところです。. うのはたった2人です。しかも,自分も実際に米作りの 手伝いをしたことがあるというのは,そのうちの1人だ. (2)平成11年鹿の実践について(その1). けでした。農業が機械化されていて,子どもの手伝いは. 一守田達夫教輸へのインタビューから−. 危険だし,かえって足手まといになる。夫婦2人でも機. (平成11年11月20日(土),きたのまち市立北嵐雪小. 械を使えば何とかやっていけるというのが,今の日本の. 学校を訪ねて研究部長をなさっている守田達夫教諭か. 農業です。もちろん,甫を育てるときには,近所で協力. ら,北嵐雪小学校の今年度の総合的な活動の取り組みに. 体制をとってやっていますけどね。. ついてお話しを伺った。インタビューは,10時頃から始. 校長先生のそういった提案を受けて3月,4月と自分. まって11時55分頃まで,およそ2時間に亘って,校長室. で原案を練って,それを職貞会議に提案してみんなで. をお借りして行われた。. 練って創り上げたのが,5月でした。それでもまだ子ど. 守田教諭は,経験年数26年,きたのまちへき地小規模. もたちにやりたくもないものを無理に押しつけることに. 校教育研究連盟の副委貞長をなさっているベテランの教. なるのではないかと心配でしたが,5月31日,子どもた. 師である。教科指導の履歴を言うなら,理科教育に造詣. ちが実際に田植えをしている姿を見て,これならやって. が深い。なお,以下の括弧書きはインタビュアーが,イ. いけるとようやく確信できました。. ンタビュイーの話をわかりやすくする為に補ったもので. 前年度までに創り上げたものを葉っぱとするなら,今 年度新しく取り入れた米作りに関わる学習内容が幹にな. ある). るわけです。この地域の主産業である米作りのこと,そ 北嵐雪小が統廃合されるという話は,私がこちらに赴. れから米作りをやっている地域の人々とふれあってその. 任してきた一昨年度の終わり頃から出ていました。. 人々のことを,心に刻み込んで欲しい。そんな願いを込. (この校区について,前掲資料の「学校の概要」には,. めて米づくりの学習を中核にして,今年度の総合的な学. 次のように書かれている:日本経済の成長や減反,休耕. 習を創りました。だから,今までと同じように「川のた. 政策などにより,若年層の流出が続き,それにともなっ. んけん」という単元を用意しても,今年度はいかだをつ. て児童数も減少してきた。. くって川下りをするという学習活動はやらないで,この. 学校沿革史によって北嵐雪小学校の昭和20年代から現. 田んぼに来ている水は一体どこから来ているんだろうと. 在までの児童数の変化を示したものが,次頁の図1であ. いう疑問をもたせて,用水を遡って川に辿りつかせると − 6 −.
(8) NO.55. 2000.12. へき地小規模校における「総合的な学習の時間」実践の創出. いう学習に変えました。子どもたちは, 〉く. 去年,いかだで川下りをやっています から,今年もそれを期待していたのか もしれませんが,米作りの方に目を向 けた学習を進めていくためにあえて. カットしました。. 今,私達がやっている総合的な学習 を「総合的な学習の時間」と呼んでい. いのかどうか,自信はありませんが, それについてはこれから勉強していき たいと思っています。 とにかく,はじめは押しつけになる んではないかと心配でしたが,子ども たちが口では「田んぼのなかに入るの いやだ」とか「泥んこになっちゃう」 ︵廿〓軍陣∼寸N早野︶. と言っていても,実際に田んぼのなか に入ってヌルヌルした感触に慣れて, そのうちそれを楽しむようになる姿だ. とか,一生懸命甫を植えている姿や次 の日の満足気な自倍の溢れた笑顔を見. て,これならやっていけると思えまし. 於蒙合銀側壁昭ト︼紹‖︼婁朴÷帥叫ギ. た。. 田んぼは,学校のすぐ前にあるPTA. 会長さんのものを借りました。稲のこ とを学習するんだといったら,すぐに. 田んぼを貸してくれました。 地域の主産業である稲作について知 ることが目標だといっても,すべてや らせることなんてできませんから,温 床の種まきや田植えから刈り取りまで. 〓凶. は,理科的な学習で観察にしました。 勿論,観察といっても何も観察ノート をもって見にいかなくてはいけないと. いうんじゃなくて,自分たちが植えた 稲がどうなっているのかを見にいけば いいんです。. でも,この見に行くという活動で, 私達が願っていた子どもたちと地域の 吊. ヨ. 暑. 宗. 署. ○. 窮. つ. 詫. 宅. ヨ. 人々とのふれあいが生まれました。子. ○. どもたちは,稲を見に行くと何か不思 議に思うこととか心配なことを見つけ るんです。つまり,自分の植えた苗が どのように育っていくかに強い関心を 示して,それがずっと続いたというこ. とです。そうすると,近くにいる地域. く ■・. ∼くコ. ■■ lの tO ト・. ○. 1■ lJつ tO ト 1n. ○ くⅥ. 日 ■1 N (ウ 田 1■ OJ l−I N tp N N ● 臼 R 臼 ○ (り. B (} 凹 臼 ▼ 臼 巾 tl〉. 臼 ト_ 田 く○ 門 ■I tり. t■ ◆ N ヽ■. ■■. 寸 lJ) ■■ (‘I 寸. ■■ ■〉 寸 く■ 1■. l′〉. の人たち,そのなかにはPTA会長さ. 小一=門. んとか奥さんとかもいるんですが,そ. − 7 −.
(9) 吉田 正生・須田 康之・木谷 静香. ういう地域の人たちにいろいろ聞くんですね。地域の人. がおかしいなと思えば「おかしい」といってくれます。. たちも子どもたちに聞かれるから喜んで教えてくれて. だから,農作業について子どもたちに教えるということ. ……. 。子どもたちは,葉の中には途中から斜めに出て来. についての抵抗は自分のなかにありませんでした。. るものがあるなんていう私も知らないようなことを聞い. これまでも「地域のことを知る」を目標にして,総合. てきてくれたりもしましたね。. 的な活動を創ってきましたが,今年度は今までお話しし. 今年度の総合的な学習のねらいとして,子どもたちが. 地域の人々とふれあう,自分たちから疑問をもっていろ. たように,稲作を大きく取り上げました。そして学芸会 で調べたこ とを発表させたのです。これが,前半の山場. いろ調べるというのがありましたから,そういう点から. でした。子どもたちの人数が少ないですから劇や合唱を. 見ても総合的な学習はねらいが達成できて,成功だった. 中心とした学芸会では十分なことはできないということ. と言えると思います。. で,昨年度から学習したことを群読や歌などを織り混ぜ. 子どもたちは,この地域に住んでいるにもかかわらず,. て発表する学習発表会に作り替えました。. 地域の主産業である稲作のことをほとんど知らない,そ. そのシナリオは,学校中で創りましたし,指導も全点. れに地域の人たちとのふれあいもあまりない……。これ. で行いました。最後の群読の所は校長先生が創って指導. は子どもたちにとってマイナスだと思ったのです。ここ. も受け持ってくれました。川の探検の所,このシナリオ. にずうっと住んで,農業をやる子どもたちにとってはも. だと「水の行方」となっているところですが,そこは岡. ちろん,将来この土地を出ていく子どもにとっても故郷. 田先生が創って指導したところです。音楽の先生がいま. を思い出すときに,田植えの経験というのは,なつかし. すから,選曲や歌,楽器の指導は,その先生が担当です。. い,すばらしいものになるだろうと思うのです。. 音楽の先生と話し合って筋を創っていきながら,ナレー. とにかく,北嵐雪という故郷を心に刻み込む,それに. ションの部分を全体のつながりがうまくいくように私の. は稲作,そして実体験としての田植え・収穫というのが,. 方で創りました。. 子どもたちの学びとしてとても大切なものと思ったので. このシナリオの一部を,年度末の閉校式でやる予定. す。. だったのですが,式次第が一杯になって時間が十分にと. この地域にとって稲作というのは,特別な意味がある. れそうにないので,できないかもしれません。. んです。何しろ,ここには「K地方水稲栽培発祥の地」 という石碑があります。この地域の人々は,ここがK地. (シナリオは,要するに,春の田植えから始まって,. 方の稲作の発祥の地だということを誇りにしていて,私. 秋の刈り取り,脱穀・精米までの学習の足跡を劇風にア. なんかここに赴任してきたばかりのときに,地域の年配. レンジしたものである。山形校長が創ったというシナリ. の方に「ここにはK地方の稲作の発祥の地」の石碑があ. オの最後にある群読の内容が,北嵐雪小学校の教職貞た. るから見に行けといわれました。. ちが,この単元に子どもへのどのような思いと願いを託. だから,稲作によって働く地域の人々の姿,これが今. していたかをよく伝えてくれるものになっている。その. の近代的な農業の学習になりますね,それから,この地. 一部を簡単に紹介する。. を開拓した人々の姿というものを子どもたちの心に刻み. たいと思ったのです。. 魚や むしを さがして あそんだ 嵐雪川. (この石碑は,昭和45年,「北海道開基百年」を記念. こぶしや さくらの はなが うつる うつくしい 水田. して建てられたものである。石碑の文字は,当時の北海. …(中略)…. 道知事,町村金吾によるものである). いっぱい いっぱい あそんだ きょうえいの おか. この総合的な活動を考えるのに参考にした資料です. なんねんも なんねんも かけてひらかれた ふるさと. か。直接,参考になるようなものはありませんでした。. おじいちゃん おばあちゃん とうさん かあさん. ただ,前任校の東山第一小学校で,ここと同じように小. おじさん おばさんの. 規模校なんですが,そこの同僚の社会科の授業が参考に. たくさんの あせと よろこびの なみだが. なりました。中学年の,市のくらしのうつりかわりとか 町のくらしのうつりかわりといった単元がありますね。. にじんでいる. そこで稲作を取り上げていたんですが,それが単元の大. ふるさと. こころ あふれる 北嵐雪 ぼくたち わたしたちの. きな流れを考えるときに,参考になりました。それから, 田植えの経験なんかは,私なんかでも前の学校でやって. …(中略)… きたのまちで 一番 きれいな 学校花壇. いますから,少しはあります。校長先生や岡田先生は, 小さいときに実際にやっていますから,私の計画なんか. わたしたちの学校 ぼくたちの北嵐雪小学校 北嵐雪小学校は こころの たからだ. − 8 −.
(10) NO.55. 2000.12. へき地小規模校における「総合的な学習の時間」実践の創出. このシナリオは,閉校式の時にも使われ北海道新聞の平. を感じていたのか)。. 成12年2月28日の朝刊でも取り上げられていた。). ○ 小さな規模の学校が,総合的な学習を成功させよう とするなら,どんなことに留意して計画を練るべきだ. ともかく,校長先生が昨年度の終わりに言った「地域. と思うか。. にある『水稲発祥の地』の石碑を生かして,閉校の年に ふさわしい学習をつくれないものか」を,総合的な学習. ① なぜ,シナリオづくりに携わったのか この学校で,1番古いのが岡田先生で4年。その次. の形で実現しようと今年は実践して来たというところで. に古いのが,研究主任の守田先生と私なんです。それ. す。. に,枚長として校区のいろいろな方からこの土地の先 人の苦労とかこの土地の歴史とかの話を聞いていて,. (3)平成11年度の実践について(その2). 地域の歴史を知っていましたから……。. 一山形茂美校長へのインタビューから−. (平成12年1月4日,嵐雪小学校との統合の準備で忙. たとえば,この北嵐雪の地区は明治の頃から水田が. しい山形校長に,北嵐雪小学校の総合的学習についてお. 開かれていましたが,共栄と呼ばれる地区は昭和に. 話しを聞かせていただいた。平成11年魔の総合的な学習. なってから開かれたんです。北嵐雪小学校の校区には,. で稲をとりあげることを捷案したのも山形校長である. 御存知のように北嵐雪という地区と共栄という地区が. し,学芸会のシナリオの呼びかけ部分も山形校長が,自. あります。共栄に入った一番古い開拓民は,昭和19年. ら書いて居られるからである。. 3月10日の大空襲で家も財産もすっかり焼かれてし. 山形校長は,今の北嵐雪小学校に赴任して今年度が2. まった人たちなんです。それから,終戦後,まあ大陸. 年目である。北嵐雪小学校に赴任する前は,新町小学校 の教頭をしておられた。新町小学校は,きたのまち市内. ちの町に住んでいたけれど,自分の土地を新たに持ち. の繁華街に比較的近い所にある。新町小学校の前はきた. たいという人たちが入って来たんです。. なんかから引き揚げて来た人たちやこれまできたのま. のまち市立五番丁/ト学校の教頭だった。きたのまち市立. ところが,共栄という地区の土は農業には本来向い. 五番丁小学校は,4クラス・児童数30人弱というへき地. ていないものだったんです。石ころだらけの痩せた土. 1級の指定を受けている学校である。したがって,小さ. 地で……。一生懸命作っても,思うような収穫が上が. な学校での管理職経験はすでに持っていたことになる。. らない。それで共栄の人たちはずいぶん苦労されたそ. 五番丁小学校の前は,きたのまち市内にある緑堂小学. うです。自分のところで農業をやっているだけでは経. 校で研究主任をしておられた。そのときに,緑堂小学校. 済的にたちいかないというので,この北嵐雪に出面に. はソニー賞をとっている。その頃の思い出として山形校. 来るなんていうこともやっていたそうです。そんなふ. 長が自ら語ってくれたことは,指導案作りや研究物作り. うに苦労して開いたんだけれど,もう離農されてし. の為に深夜までパソコンに向かっているうちに居眠りを. まった人たちもいるんですよ。. してしまい,気づいたら夜が明けてしまっていたこと,. こうした先人たちの苦労を子どもたちに分かってほ. 平成元年版の学習指導要領から性教育的要素をかなり強. しい,北嵐雪小学枚の姿を心に刻み込んでおいてほし. めた小学校5年生の理科「人のからだ」単元の指導の為. いという思いからあの「呼びかけ」を作ったんです。. に授業看たちと知恵を出し合って教具や教材を作ったこ. だから,北嵐雪のことも入れてあるし,「共栄の丘」. とであった。それは,母体の中における胎児の成長過程. という言葉を入れて,共栄地区のことも入れてある。. がわかるように工夫したものであった。また,水中に棲. 子どもたちに露骨に,お説教するみたいな感じで,こ. む魚が酸素を吸って生きているが,その酸素が水草に. の地区のことを忘れないようにとか先人が苦労して開. よって作られていることを確かめる実験装置を作ったと. いた土地なんだよとかやらないで,心に自然なかたち. きの詰も聞かせて頂いた。). で刻み込ませたいと思ったんです。. (「校長先生は,国語教育を長い間やってこられた. 以下の記述は,山形校長から聞き取ったことを再構成 したものである。インタビュアーが用意していた主たる. のですか」という質問に対して). いやあ,私はどちらかというと体育会系ですか. 質問は,次の三つであった。. ら……。でも,物語文の指導は好きでした。6年生の. ○ シナリオづくりに校長が自ら加わるというのは,大 変珍しいことと思われるのだが,なぜ「呼びかけ」部. 教科書に「川とノリオ」なんていうのがあったでしょ. 分の作成に携わったのか。. う。ああいう散文の指導は好きでした。個人的には,. ○ 稲を取り上げるという発想がなぜ生まれたのか(今. 小説を読んだり音楽を聴いたりするのは好きですけれ ど‥‥‥. までの北嵐雪小学校の総合的な学習に何か物足りなさ. ー 9 −.
(11) 吉田 正生・須田 康之・木谷 静香. この学校が,校長として初めての学校なんです。だ. 今年度から,英男のために教頭先生に来てもらいま. から,この学校には思い入れが強いと言えるかもしれ ません。……. した。今では,英男は本当に変わりました。これが,. ,守田先生とこの学枚に赴任して来たと. あの英男かと思うぐらいです。勉強態度も落ち着きま. きに本当に荒れているというか,野生のままというの. したし,暴力を振るうということも全くなくなりまし. がぴったりの子どもに出会ったんです。仮に英男とし. た。教頭先生のおかげです。. ておきます。. (「結局,校長先生が学校づくりに奔走されたとい. 英男は突っ張り風の言葉は使うわ,誰に対してもす ぐに暴力をふるうわでとにかくひどかった。かあっと. たと見ていいでしょうか」というインタビュアーの質. していわゆるパニック状態になると,友だちはおろか. 問に対して). うことも,自らシナリオづくりに加わる原動力になっ. 先生たちにまで飛び掛かるんですから。この子のこう. まあ,そうまとめることができるのかもしれません。. いう荒れた状態が,他の子どもたちにも大きく影響し. ……平成10年の12月にこの学校を閉校することについ. ていたんです。集会なんかで,子どもたちに話をして. て地元の方たちが合意しました。そこで私の中で,こ. もそれがすうっと入っていかないんです。子どもたち. の最後の1年で子どもたちに何を学んでもらえるかと. は,教師の話を聞いていないで,向こうで勝手にがちゃ. いうことが課題になって来ました。閉校することが決. がちゃ何か他のことをやっているっていう感じでし. まった後,岡田先生,守田先生とどうしようかという. た。こういう状態を何とかしなくちゃいけないと思っ. 話し合いをしました。その結果,子どもたちにやさし さを学ばせようじゃないかということになりました。. たんです。 「英男が変われば,学校が変わる」. やさしさというのは,思いやりをもっと狭くして,自. 守田先生にはそう言いました。. 分が大事だと思ったものを大切にする気持ちというよ. 結局,英男と触れ合っていて思ったのは,医者に診. うに押さえました。今,お話ししたような子どもたち. てもらう必要があるということでした。それで親を説. の実態というのがありましたから,子ども同士の人間. 得して医療機関に行ってもらいました。医者は付き添. 関係というのは決していいものではなかった。この子. いのお母さんにも,意識的にこの子とどう付き合った. どもたちの人間関係をよくするようにしていく,それ. らいいかを見せていたようですね,治療の場にお母さ. には「やさしさ」を学んでもらうことが不可欠だとい. んを立ち会わせていましたから。. うことになったのです。. 医者の方から医学的な判定が出て,英男にはこの子. それから協力し合っていくこと,これも子どもたち. に合った教育法が必要だということが認められまし. に学んでもらいたいと思ったことでした。この学校で. た。私たちの学校は,複式でしょう。だから,担任は,. みんなで力を合わせて何かをやっていく,そして「やっ. たとえば3年生の子どもをきりのいいところまで教え. たな,やりおおせたな」という充実感,満足感を持っ. ると,「それでは,この間題を解きなさい」というよ. て,そういう充実した思い出を持った上で,この北嵐. うに課題を出して,もう一つの学年の方へ移っていく. 雪小学校を心に刻み込んで行って欲しい。そんな思い. んですね。ところが,医者の判断では英男にはこうい. が,あのシナリオの呼びかけには入っています。. う指導法は合わないんです。教師が専属でついていて, ② なぜ,稲作りを取り上げるようにしたのか. 次に何をしたらいいかを順序立てて指示してあげなく. てはいけないんです。. 平成10年度までの本校の総合的な活動は,「子ども. 私の結論は,英男の荒れは生徒指導上の問題として. の思うまま」は大切にしていたと思います。しかし,「求. 扱うべきものではなく,就学指導上の問題として扱う べきものだというものでした。その旨を先生方にも話. 心力」のあるものではないと考えたのです。子どもの. 思うままに任せていただけでは,「やったな,やりお. して,英男への接し方を改めていきました。それから, 親御さんにも「英男はこの学校の子なんだから,この. 体を使って,地域の人々の苦労や伝統といったものを. 学校でできる限りのことをやりたい」と,ようく話し. 学ばせられるもの,そして自分たちにもこれだけのこ. 合って,英男のためにクラスを一つ作ることを認めて. とがやれたんだという思いを持たせられるもの,子ど. おせたな」という充実感,満足感は生み出せない。身. もらいました。もちろん,教育委貞会の了承をとって. も達の学習にまとまりを持たせられるもの,子どもた. です。それに,地域の方たちの了解もとりました。. ちがみんなで協力して活動できるもの,そういった要. PTA会長さんには,「そんなら,自分連も応援する。. 求にかなうものとして稲作りを考えました。勿論,稲. 英男の父親と頻繁に連絡をとるようにするから」と励. 作りがこの地域の歴史と深く結びついているというこ. ましてもらえました。. とも大きな理由です。. −10 −.
(12) へき地小規模校における「総合的な学習の時間」実践の創出. NO.55. 協力し合っていくこと。これはさっき言ったように,. 2000.12. 本当に楽しみだったんですね。毎日のようにPTA会. この北嵐雪小学校の最後の年に子どもたちにぜひと. 長が貸してくれた学校田に,稲の様子を見に行くんで. も,学んでほしいと思ったことでした。. す。ある日,会長さんが田んぼに水をはるのを忘れて しまったんですね。そしたらそれに子どもたちが気が. 子どもたちの個を大切にするとか,個性を育てると か言われます。確かに個だとか個性だとかは大切で. ついて. 「会長さん,水が入ってないよ」. しょう。でも,人間も子どもも集団の中で育つもので すし,社会あっての一人の人間の筈です。稲作りを通. ってわざわざ会長さんのところに言いに行ったなんて. して子どもたちにこのことを学んで欲しかったので. いうこともあったんです。. す。特にさっき言ったように,子どもたちの人間関係. こういう子どもたちの姿,変わりようを目のあたり. は決していいものではなかった。あのまま,嵐雪小学. にして,こういうふうに子どもの姿を変えることので. 校に行ったら,集団の中でうまくやっていけるかどう. きない「体験学習」つていうものは,大人が自分の思. か心配だったんです。体験学習を通して協力すること. い込みだけで子どもによかれと思って与えた,言葉は. の大切さを学んでいく,自分が大切だなと思ったもの. 悪いけれど「押し付けていた」体験学習だったんだな. をやさしく見守っていく,そんなことを最後の年に学. あって,自分自身の実践やこの学校の体験的な活動と. んでいって欲しかったんです。. いうことでやらせていたものを反省したんです。これ. が,子どもたちから教えられたことですね,本当の体. しかし,稲作りの学習を通して,私たちが逆に子ど もたちから教えられたことがあります。今までの自分 自身の学習指導を振り返っても言えるんですが,子ど. 験学習って何なのかっていうことで。 ③ 小さな規模の学校が総合的な学習を成功させるた. もたちに体験学習をさせるといっても,それは本当に. めには. 子どもたちの体験になっていなかったんじゃないか,. (a)「地域の人々と一緒に実践を作っていく一地域. 大人が頭の中で考えて,これなら子どもの体験になる. の中で子どもを育てていく」という姿勢. 実践を学枚の中だけでやってしまおうとせずに,. だろうと思って与えたものでしかなかったんじゃない. かっていうことに気づいたんです。つまり,私たちが. 地域の人たちを実践の中に巻き込んでいくことが必. 体験学習,体験学習って言ってたものは,実は大人の. 要じゃないでしょうか。いわゆる地域人材の活用と. 体験学習であって子ども自身の体験学習ではなかった. いうことになるのかもしれませんが,その人の持っ. んではないかということに気づかされたんです,子ど. ている特殊な技能や経験によって学校に協力しても. もたちの稲作りへのとりくみをみていて……。. らうという狭い意味での地域人材の活用だけにとど. まらないで,たとえば今回の場合のようにPTA会. 田植えに行ったとき,初め子どもたちははだしで田. んぼに入るのを嫌がっていました,気持ち悪いって. 長さんに田んぼを貸してもらうとか,それから実践. 言って。でも,実際に入ってみると,初めはぬるぬる. 記録や指導案には出ていませんが,子どもたちは地. しているけれど暫くすると気にならなくなる。それに. 域の酪農家さんのところにいって,子牛の誕生の様. 結構あったかくて気持ちがいい,田んぼに入って稲を. 子なんかも見せてもらっているんですね,命の大切 さを学んで欲しいということで。地域の方たちの. 植えていくことが面白くなっていくんですね。. 持っているもの,仕事といったものに触れさせるこ. 田植えをやった次の日,子どもたちが何かすごく楽 しそうにして学校に来るんですね。私がこの学校に来. とを通して,子どもたちを育てていく。そんな姿勢. て初めて見る子どもたちの姿でした。いつもどこかで,. が必要じゃないでしょうか。そうした地域の人たち. 子どもたちがぎゃあっと叫んだり泣いたりしているよ. の協力を得る為には,学校の活動を理解してもらわ なくてはいけない。その為には,広報活動が必要で. うな状態だったのと比べると,信じられないような子. す。この前やった学芸会なんかも,そうした広報活. どもたちの姿でした。先生たちと. 動の大きなものと見ているんです。. 「一体,これはどうしたんだ」. 学芸会のシナリオ作りは,私も参加して4人の教. って話したんですが,(そうか,あの田植えが子ども. 員全点の手で作り上げたものです。でも,学校の中 だけで見ても,あの学芸会は教員だけの手で作り上 げたものではないんです。業務吏貞の小竹さん,や. たちにこんな効果を及ぼしたのか)っていうことに なったんです。. (インタビュアー註:守田先生が,「これなら稲作. はりこの北嵐雪で農業をやっておられる方ですが,. りを核にして,総合的な学習を進めていける」と確信 した日の子どもたちの姿である。) 子どもたちは,自分が植えて育てている稲の成長が. その小竹さんの知君とか力とかも借りているんで. す。シナリオの中に,子どもたちが自分たちのやっ ー11−.
(13) 吉田 正生・須田 康之・木谷 静香. た田植えの様子を再現するところがあります。そう. るもので,お手本や見本がないんです。つまり,学. すると,甫を植えていく様子を見せなくちゃいけな. 習の内容や進め方,分けても教師の姿勢が児童の思. い。甫は,紙に絵を描いて作りました,そしてそれ. いや願いに寄り添って展開するようなものでないと. に針金をつけて発泡スチロールに刺すことにしてい. いけない。その意味で総合的な学習では,その学校. たんです。ところが,実際にやってみると発泡スチ. の力量が問われている訳です。たとえば,2年生は,. ロールには刺さらないということが分かったんです. 1年生のときの活動から学んだことと去年の2年生. ね。針なら刺さる。でも安全上,子どもたちに針を. の活動(1年生は自分たち自身の活動をしている一. 使わせる訳にはいかないんです。それから,小竹さ. 方で2年生の活動を見ている訳ですから),この二. んはいろんなものを試してみて,断熱材として家の. つを合わせて「教師にとっては全く思いがけない新. 壁の内壁と外壁の間に使われる青い色をしたものが. しい考え」を生み出すなんていうことがよくある。. あるでしょう,あれなら,針金でも刺さるというこ. つまり,昨年度の2年生の活動よりも一段と高い活. とを見つけてくれたんですよ。. 動内容となる場面もしばしばある訳です。こんなふ. 学芸会当日,子どもたちの田植えの様子をみてい. うにうまくいった場合には,児童の満足感と教師の. た他校の先生方からは「あれはどうやってんだろ. 意図とが重なり合って,なんとも言えないほのぼの. う」,「何を使っているんだろう」という声が上がり. とした感動があたりを包み込むものです。継続性と. ました。. いうのは,決しで惰性ではなく,前の学年が生み出 したものよりも賓の高いものを生み出していく,そ. (b)継続性のあるテーマを選ぷ必要性. して教師も子どもも感動に浸る。その為にこそ必要. (インタビュアー註:構成上,「小さな規模の学. なものなんです。. このような積み重ねが6年間継続したならば,一. 校が総合的な学習を成功させるためには」という項. 目のはじめに,「(a)『地域の人々と一緒に実践を. 人ひとりの成長がこれまでと比較にならないほど高. 作っていく一地域の中で子どもを育てていく』とい. まると言えるのではないでしょうか。だから,少な. う姿勢」をもっていったが,実は山形校長は,イン. くとも6年間の継続性が必要だと思われるのです。. タビュアーの「小さな規模の学校が総合的な学習を 成功させるためには,どんなことに配慮する必要が. 〈特色ある学校づくり〉. ありますか。今年度の実践での体験をもとにお話し. 学校の自主性・自立性が求められている教育改革. 下さい」という質問に対して,「継続性ですね」と. の中では,この学校ならではという特色ある教育を. 先ず答えたのである。). 創り出すことが大切です。. テーマが1年や2年で変わってしまうものではダ. 品川区の公立学校の取り組みについては知ってお. メです。とちゅうでの見直しがあるとしても,6年. られるだろうと思いますが,あそこは私立の学校と. サイクルのものが望ましいと思います。1年生で. 激烈な競争をやったんですね。そして破れた…。そ. やっていることが,年を追うごとに高度になってい. れで子どもたちを公立学校に取り戻そうっていうん. く,そういう計画性のある段階的に進めていけるよ. で,親が学校を選べるようにして,その一方で魅力. うなものを選ばないと。. ある学校づくりをするようにって指導していますよ. 継続性が,なぜ必要なのかについては,次の三つ. ね。公教育ということを考えたときには,本当にそ. の点から整理して,お話するとわかりやすいと思い. ういうやり方がいいのか疑問ですが,これからはそ. ます。児童の成長を保証するためという側面と特色. ういう流れになっていくんだろうと思うんです。. ある学校づくりという側面,それから地域との関わ. こういうふうに特色ある学枚をつくらなくてはい. り,この三つです。順番にお話していきます。. けないという時,総合学習はその突破口になるだろ うと思います。さっき言ったように各学校がそれぞ. (インタビュアー註:以下の部分は,山形校長自. れの実態に即して,具体的に展開するものが総合学. らが書いて補ってくれた部分に,インタビュアーが. 習ですから。もちろん,その学校の力量も問われま. 若干手を加えたものである。). すけど。ですから,総合学習には,その学校の特色 が表せるよう継続性が必要になってきます。つまり,. 〈児童の成長…1年生が6年生になったときは〉. その内容や学習の進め方の改善を年ごとに積み重. 総合学習のテーマ(対象となる学習)の内容は,. ね,ある程度児童の変容が表れるようにする為には,. 各学校がそれぞれの実態に即して,具体的に展開す. 一年や二年で他のものに変えちゃいけないんです。. ー12 −.
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