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レポート

ペルー鉱業を巡る争議の動向

ペルー鉱業を巡る争議の動向

西川 信康

ペルーでは、鉱業を巡る争議が後を絶たず、大きな社会・政治問題化しており、一部では、その影響で鉱業活動 が一時的に停止する等、好調な鉱業投資に水を差す動きが拡大している。また、最近の争議の傾向として、地元住 民による反鉱山運動や労使対立に留まらず、カノン税や鉱山労働者への利益配当の配分問題を巡る地方対地方、住 民対鉱山労働者といったペルー人同士の内部抗争に発展する等、ペルーの鉱業争議は、ますます複雑化、混迷化の 様相を呈している。

本稿では、ペルーの公的仲裁機関であるオンブズマン(Defensoria del Pueblo)*による調査報告書の中から、最

近のペルー国内の争議の現況、特に鉱業分野を取り巻く争議の実情と特徴を概観するとともに、最近発生した既得 権を巡るペルー人同士の内部抗争の実例とペルー政府の対応等を紹介する。

1. ペルー国内の争議の概況

オ ン ブ ズ マ ン レ ポ ー ト(Reporte de Conflictos Sociales 7 月 31 日号)によると、2008 年 7 月時点で オンブズマンに登録されている全国の争議件数は、 147 件(うち、顕在状態のものが 97 件、近い将来発 生が予見されるもの(潜在状態)が 50 件)で、この うち、7 月に新規に発生した争議は 16 件、潜在状態 から再び顕在化した争議が 1 件、顕在状態から潜在状 態へと沈静化した争議が 5 件、解決された争議が 1 件 となっている。また、これとは別に、7 月に一時的に 発生した争議(オンブズマンでは、軽度と見なし未登 録)は 74 件で、これを併せると 7 月時点の争議総数 は 221 件となる。 図 1 は、この 1 年間の争議総数とオンブズマンに登 録された争議件数の推移を示したものである。全体の 争議件数は、1 年前と比較すると、約 2.5 倍に拡大し ており、特に 2008 年 4 月以降、増加傾向が顕著となっ ている。 争議の発生要因としては、全争議 221 件中、社会環 境争議が 86 件と約 4 割を占め、次に郡・区行政を巡 る争議が 49 件、労働争議が 31 件、中央政府行政を巡 る争議が 21 件 と続いている(図 2)。 0 50 100 150 200 250 07/7 07/8 07/9 07/10 07/11 07/12 08/1 08/2 08/3 08/4 08/5 08/6 08/7 総数 オンブズマン登録数 図 1. この 1 年間の争議件数の推移 社会環境 86件(39%) 郡・区行政 49件(22%) 労働問題 31件(14%) 中央政府行政 21件(10%) 県政府行政 12件(5%) コミュニティ間 9件(4%) コカ違法栽培 3件(1%) 選挙 6件(3%) 領域 4件(2%) 図 2. 争議要因 リマ事務所 所長

*オンブズマン(Defensoria del Pueblo)

1993 年憲法により設立された独立監査機関であり、憲法が国民や共同体に対して保障する権利の保護、行政の監査、市民への支援サービス提供等を 行う。オンブズマンの代表は国会の 3 分の 2 以上の賛成をもって選出され、任期は 5 年間。

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ペルー鉱業を巡る争議の動向 (426) 次に、県別の争議分布を見ると、争議はペルー全県 で確認されており、最も多く争議が発生しているのは Lima 県(28 件)で、次いで Cajamarca 県と Ayacucho 県(両県とも 18 件)、Puno 県(16 件)、Junin 県(14 件)、Ancash 県(13 件)の順となる(図 3)。 争議件数上位 3 県の発生要因を見ると(図 4)、Lima 県では労働争議が半分を占めている一方、Cajamarca 県と Ayacucho 県では、労働争議はわずかで社会環境 争議が最も多く、都市部と地方とでは争議の性格が構 造的に異なっていることが分かる。 また、オンブズマンに登録されている顕在状態の争 議 97 件の段階を分析したところ、初期段階 15 件、悪 化 31 件、暴動・物理的被害 1 件、沈静化 21 件、対話 中 29 件となっている(図 5)。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

Lima Cajamarca Ayacucho

その他 中央政府行政 労働問題 郡・区行政 社会環境 図 4. 上位 3 県の争議要因 初期 15 悪化 31 暴動 1 沈静化 21 対話中 29 停滞 0 顕在状態 潜在状態 図 5. 段階別争議件数 図 3. 県別争議件数(数字は件数、括弧の数字は顕在化している争議件数)

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ペルー鉱業を巡る争議の動向

2. 鉱業関連争議の動向

鉱業関連の争議は、全体の争議 221 件の 35%にあ たる 77 件となっている。なお、このうちオンブズマ ンに登録されている鉱業関連争議は 65 件である。 鉱業関連争議の発生要因別では、社会環境争議が 66 件、労働争議が 10 件、中央政府行政に関する争議 1 件となっており、社会環境を巡る争議が支配的であ る(図 6)。 一方、社会環境争議を産業分野別で見ると(図 7)、 鉱業関連が 66 件と社会環境争議全体の約 8 割を占め、 次いで炭化水素関連が 3 件、発電所関連が 3 件となっ ている。その他の分野は、畜産関連、廃棄物処理関連、 森林伐採関連等である。 社会環境争議の県別分布状況(図 8)については、 最も発生件数が多い県が Cajamarca 県(11 件)で、次 いで Ancash 県、Cusco 県、Junin 県(それぞれ 8 件) となっており、全体の 60%がこれら 4 県と Ayacucho、 Pasco、Puno を加えた 7 県に偏在している。 鉱業関連 66件(78%) 発電所関連 3件(3%) 炭化水素関連 3件(3%) その他 14件(16%) 図 7. 社会環境争議の内訳 鉱業関連 77件(35%) その他 144件(65%) 社会環境 66件 (86%) 労働問題 10件 (13%) 中央政府 1件(1%) 図 6. 鉱業関連争議が占める割合 Cajamarca 11件(13%) Ancash 8件(9%) Cusco 8件(9%) Junin 8件(9%) Ayacucho 7件(8%) Pasco 5件(6%) Puno 5件(6%) その他 34件(40%) 図 8. 社会環境争議の県別件数 争議が発生している代表的な鉱山や探鉱開発プロ ジ ェ ク ト と し て は、Cajamarca 県 の Yanacocha、La Zanja、Michiquillay、Ancash 県の Antamina、Cusco 県 の Tintaya、Junin 県の Toromocho、Pasco 県の Cerro de Pasco、Moquegua 県の Cuajone、Ilo、Tacna 県の Toquepara、Piura 県の Rio Blanco、Lambayeque 県の La Granja 等で、主要な鉱山や鉱山開発プロジェクト が含まれている(表 1)。 社会環境争議 86 件のうち、オンブズマンに登録さ れている 75 件について、その原因をみると(図 9)、 最大の原因は「環境汚染」で 28 件、2 番目の原因は 「環境汚染への危惧」で 26 件となっており、全体の約 7 割が環境汚染問題に端を発している。次いで、「プ ロジェクト不履行」が 11 件で、これは主に鉱山会社 が地域住民らに対してコミットした社会プロジェクト が実行されていないことへの不満によるものである。 さらに、地域経済発展への支援要求 9 件、鉱山会社等 に対する利益還元 9 件と続いている。なお、これらは 単独の要因ではなく、複数の要因が重複しているケー スが少なくないと指摘されている。 社会環境争議の中で、オンブズマンに登録されてい る鉱業関連争議 61 件の生産段階別比率は、操業段階 が 59%、探査段階が 39%、製錬段階が 2%となって いる(図 10)。 一方、鉱山の規模別では、大規模・中規模鉱山が 79%、小規模・零細鉱山が 21%となっている(図 11)。 また、違法鉱業を巡る争議は、1 年前の 4 件から 9 件 に増加しており、貧困度の高い地域に集中している 他、環境汚染や土地争議等との関連性が高い。

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ペルー鉱業を巡る争議の動向 (428) 1 2 4 6 9 9 11 26 28 0 5 10 15 20 25 30 基金管理への疑惑 市街地汚染 不法占拠 土地抗争 利益還元・補償要求 地域発展支援要求 プロジェクト不履行 環境汚染への危惧 環境汚染 図 9. 社会環境争議の原因 探査段階 39% 操業段階 59% 製錬段階 2% 図 10. 鉱業関連争議の段階別比率 大規模鉱山 43% 中規模鉱山 36% 小規模鉱山 7% 零細鉱山 14% 図 11. 鉱業関連争議の鉱山規模別比率 鉱業サイト(県名) 社会環境争議の内容 対応状況 Antamina 鉱山 (Ancash) 鉱山による約束の不履行と環境汚染の可能性を指摘 する住民が抗議表明 7 月 24 日に対話協議を実施し、鉱山による道路修復 計画書が住民らへ提出され、8 月 5 日に再度協議の 予定 Las Bambas 銅プロジェクト (Apurimac) 周辺地域住民らが、同プロジェクトの信託基金管理 委員会の再編成を要求 住民らは、コミュニティ代表に対する Xstrata キャン プ地占拠による逮捕令の取り消しを対話の条件とし ており、7 月 18 日に予定されていた交渉は未実施 La Zanja 金プロジェクト (Cajamarca) 周辺地区住民らが環境汚染を理由にプロジェクトへ 反対 7 月 3 日に住民総会が開催され、同プロジェクトの 環境影響評価が可決されたが、多数の住民が総会へ の出席を阻まれたことが発覚 Michiquillay 銅プロジェクト (Cajamarca) 周辺住民は、過去の操業を原因とする鉱害対策と補 償、周辺地域の社会プロジェクトを要求 7 月中、交渉は実施されなかった Yanacocha 鉱山 (Cajamarca) Quishuar 地区住民らが、Yanacocha の操業による 水質汚染に対して抗議 鉱山労働者に対する危害が加えられたため 6 月 3 日 より操業が停止していたが、住民側による対話の呼 びかけにより再開 Tintaya 鉱山 (Cusco) 同鉱山周辺の不法採掘者らが、鉱山に対して採掘権を要求 7 月中、交渉は実施されなかった Toromocho 銅プロジェクト (Junin) Morococha 村住民らが、村の移転に関する条件等に ついて話し合いを要求 7 月 14 日に 2 度目の協議会が開かれたが、その後予 定されていた 8 月 1 日の協議会はキャンセルされた Cajone 鉱山 (Moquegua) Ilo 郡・Ilo 区住民や市民団体らが、鉱山に対して鉱 山操業及び環境汚染に対する補償を要求 7 月 22 日に対話を実施、8 月 29 日に次回協議予定 Cerro de Pasco 鉱山 (Pasco) 同鉱山の露天拡張に対して Chaupimarca 村住民らが 反対 対話なし Chaupimarca 村移転が検討されている Rio Blanco 銅プロジェクト (Piura) Majaz による鉱業活動の違法性及び環境汚染に抗議 する住民による反鉱山運動 対話なし 住民らと鉱山の間で発生した暴力事件に関して検察 局が捜査中 Toquepara 鉱山 (Tacna) Candarave 郡及び市民団体が、同鉱山への水資源利 用を原因とする Callazas 川水量減少に抗議 対話なし 7 月 21 日に協議が実施されたが合意に至らず次回協 議日も決定されなかった 表 1. 主な鉱業関連争議の概要(2008 年 7 月時点)

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ペルー鉱業を巡る争議の動向

3. 鉱業既得権を巡る最近の争議の実例と政

府の対応

3-1. 鉱業カノン税配分を巡る争い (1)鉱業カノン税の問題点と改正議論 鉱業カノン税とは、鉱山会社が納める所得税のう ち、その 50%を鉱山地域が存在する地方に還元され る制度で(地方の配分比率は図 12 を参照)、毎年 7 月 に交付額が明らかとなる。ここ数年、金属価格の高騰 による鉱山会社の業績拡大により、カノン税は鰻登り に上昇しており、2008 年においても昨年度を 4.5%上 回る 4,436 百万 N.Soles(約 1,584 百万 US $)と、伸び 率は大きく落ち込んだものの、依然、高水準を維持し ている(図 13)。 カノン税を巡っては、従前より、配分先が鉱山の存 在する地域や県に限定されること(例えば、図 14 に 示すように、2007 年のカノン税交付額は上位 5 県で 全体の約 3/4 を占める)による地域格差の助長、ま た、地方自治体の行政能力の不足、さらに地元住民の 裨益感の欠如等運用面での問題が指摘されていた。こ うした問題を改善するため、カノン税を鉱山地域以外 の貧しい県にも再分配すべきとの考えやカノン税の一 部を地元住民に直接現金支給する等といった制度改革 案が議論されてきた。しかしながら、他県への再配分 問題に関しては、鉱山地域の県や地方議員による猛反 発を受け、また、地元住民への直接支給については、 地方の持続的発展というカノン税の目的から外れると ともに、支給を受ける家庭と受けない家庭との間の格 差や不公平感が生まれ、新たな対立を生むとの批判を 受け、改正に向けた国会内での議論は、事実上、棚上 げ状態となっていた。 こうした中、今年 6 月に、カノン税配分を巡る新た な対立が表面化した。 (2)Moquegua(モケグア)県におけるカノン税の 適切な配分を求めた抗議行動 6 月 11 日、カノン税の配分を巡って、ペルー南部 の Moquegua 県で、2 万人規模の抗議行動が発生し、 大きな社会問題となった。 この抗議行動は、Southern Copper 社が操業してい る Moquegua 県の Cuajone 鉱山とその南部に隣接す る Tacna( タ ク ナ ) 県 の Toquepara 鉱 山 に お け る 2007 年 の 銅 鉱 山 生 産 量( 金 属 量 ) が、 そ れ ぞ れ、 187,090t、172,570t とほぼ同量であったにも拘わらず、 政 府 が 示 し た 2008 年 の カ ノ ン 税 の 交 付 額 は、 Moquegua 県:225 百 万 N.Soles( 約 80 百 万 US $)、 Tacna 県:715 百万 N.Soles(約 255 百万 US $) と大 きな開きがあるとして、Moquegua 県政府が適正な配 分を求めて起されたものである。なお、政府は、この 計算の根拠として、金属量ではなく粗鉱量に基づいて 算出したと説明している。 抗議行動の参加者は 2 万人に達し、Tacna 県との県 境に位置する橋やパン・アメリカンハイウェイを封鎖 し、投石や車両放火等抗議運動が激化し、デモ鎮圧に 出動した警察との衝突で約 80 名の負傷者が出た他、 一時、警察官約 60 名が Moquegua 市内の教会に軟禁 さ れ る 事 態 と な っ た。 さ ら に デ モ 隊 は、Southern Copper 社の鉱山施設の一部襲撃や鉱山アクセス道路 の封鎖等を行ったため、一時的に供給不安が広がり、 銅の国際価格にも影響を与えた。 両県境でデモ隊によって唯一の道路アクセスを阻ま れた Tacna 県では、食糧不足によって食料価格が高 騰した他、Tacna・Moquegua 両県で学校の休校や観光 客が足止めを食らう等、多方面に影響が出た。Tacna 商工会議所によれば、本暴動によって両県の経済的損 鉱山地区の ある郡 25% 鉱山地区以 外の郡 40% 鉱山地区 10% 県政府 (含、大学) 25% 図 12. カノン税の配分比率 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 百万US$ 図 13. カノン税交付額の推移 ANCASH 32% TACNA 14% CAJAMARCA 10% MOQUEGUA 9% PASCO 8% LA LIBERTAD 6% CUSCO 6% JUNIN 2% LIMA 4% その他 6% AREQUIPA 3% 図 14. 2007 年県別のカノン税配分比率

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ペルー鉱業を巡る争議の動向 (430) 失は 8,000 万 N.Soles(約 2,857 万 US $)にのぼるとし ている。 6 月 19 日、政府代表者と Moquegua 県知事らとの 14 時間にわたる協議の結果、以下の特別措置を講ず ることで合意に達し、同県内の抗議活動はようやく沈 静化、パン・アメリカンハイウェイの封鎖も 10 日ぶ りに解除された。 ・ Moquegua 県内の貧困対策プロジェクトに国費から 82 百万 N.Soles(約 29 百万 US $)を当てること ・ 複数の県で操業する鉱山の会計を個別化する制度を 設置すること ・ Moquegua 県に対して 150 百万 N.Soles(約 53.6 百万 US $)の鉱業ロイヤルティを還元すること ・ Moquegua 県に対して 2007 年度の鉱山会社からの 自発的拠出金 24.8 百万 N.Soles(約 8.9 百万 US $)、 2008 年度分 26 百万 N.Soles(約 9.3 百万 US $)を割 当てること 等となっている。 また、Castillo 首相は、Tacna 県知事とも会談し、同 県への鉱業カノン税は減額せず予定どおり交付するこ とを言明するとともに、Moquegua・Tacna 両知事に 対し、両県は多くの財源を抱えているにも拘わらず、 県内の貧困率が高い点を批判し、これらの財源を有効 活用するよう釘を刺した。 (3)カノン税改正法案が国会に提出 Moquegua 県での暴動が呼び水となり、カノン税配 分を巡る本格的な議論が加速化している。国会のカノ ン税改正検討委員会は、7 月 17 日、12 項目からなる カノン税改正法案を国会に提出した。主な改正ポイン トは以下のとおり。 ・ カノン税の算出ベースを、資源採掘企業が納める 第 3 種所得税だけでなく、鉱山地域に納付されてい る消費税や付加価値税、さらに第 5 種所得税(資源 採掘企業の社員が納める所得税)に拡大する。 ・ 上記措置によって得られる税収を貧困地域やカノ ン税収がない或いは少ない地域に配分する。 ・ 同一企業が複数の異なる地域で操業する場合、鉱 山ごとに計上する。 ・ 鉱山の存在する郡に還元されるカノン税全体の 25% のうち、5%を精鉱パイプラインや製錬所等の存在 する影響下地域へ配分する。 ・ カノンの利用目的を、インフラ事業だけでなく、行 政能力向上のための職員研修や投資プロジェクト企 画専門家の契約に拡大する。 ・ 地方自治体は、カノン税の利用報告を、会計監査 院だけでなく内閣及び国会予算委員会へ報告する。 またカノン税利用状況について、バルディビア・エ ネルギー鉱山大臣は、既にカノン税の恩恵を受ける 地方政府の反発を視野に入れた慎重な審議を国会に 要請した。本改正案は、国会の経済・地方分権委員 会での審査を経たあと、次期国会で審議される予定 となっている。 これに対し、Cusco 県や Tacna 県知事らは、一定の 理解を示しながらも自分たちの県に対するカノン税削 減は受け入れられないとし、貧困地域に対する拠出は 超過利益税等別の税の導入によって実現するべきだと 主張した。一方、Cajamarca 県知事は、カノン税が同 県の鉱害対策に充てられていることを理由に、削減に 反対を表明し、同県に対するカノン税が削減された場 合、Moquegua 県で起こった暴動と同様の抗議行動が 起こるだろうと警告した。このように、既得権益を守 ろうとする勢力の反対は根強く、本法案が新たな対立 の火種となって、争議が拡大していくことが懸念され る。 (4)Puno 県におけるカノン税の適正配分を求める 抗議行動の動き カノン税配分を巡る地方自治体同士の対立は、他県 にも波及している。6 月、Puno 県の自治体及び市民 団体の代表者らは、同県及び Moquegua 県の県境に 位置する Aruntani 鉱山のカノン税が Moquegua 県に 交付されていることを問題視し、政府に対しカノン税 の適正な配分を要求。代表者らは、対話交渉が優先で あ る と し な が ら も、 現 状 が 改 善 さ れ な い 場 合、 Moquegua 県と同様の抗議活動を行う考えを表明。ま た、Moquegua 県へ水を供給するダムが Puno 県に存 写真 1. 県境での抗議行動 写真 2. パン・アメリカンハイウェイの封鎖風景

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ペルー鉱業を巡る争議の動向 在している等、水利権を巡る対立も顕在化している。 3-2. 利益配当を巡る労働争議 (1)全国鉱山労働者ストライキの発生 もう一つの最近の大きな争議は、利益配当を巡る全 国規模の鉱山労働者ストライキである。これは、利益 配当金上限の撤廃(詳細は後述)、早期退職制度や年 金制度の確立等、労働環境や労務制度の改善を求めた ストライキで、昨年も、5 月及び 11 月に全国規模の 鉱山労働者ストライキが発生した。今年に入ってから も、鉱業労働者連盟は、国会内での法案審議が一向に 進展しないことに業を煮やし、法案の早期成立を求め て 6 月 30 日に無期限ストライキを開始した。ストラ イキに参加した労働者数について、同連盟は鉱山労働 者全体の約 70%に相当する 2 万 7 千人と発表する一 方、 エ ネ ル ギ ー 鉱 山 省 は、Shougang 鉱 山 で 70 %、 Antamina 鉱山で 60%、Southern Copper 社では 90% の労働者がストライキに参加したが、Cerro Verde 鉱 山や Tintaya 鉱山、Yanacocha 鉱山ではストライキは 実施されておらず、生産への影響は限定的であるとの 発表を行った。 全国ストライキは、その後、Shougang 社や Southern Copper 社等離脱する組合が相次いだことと、法案成 立に向けて政府が積極的な姿勢を示したことから、7 月 6 日夜に組合幹部の協議で中止を決め、全国ストラ イキは 1 週間で終結した。 (2)利益配当金上限の撤廃法案を巡る攻防 本法案のポイントは、利益配当の対象を正社員だけ でなく派遣労働者に拡大すること、労働者 1 人当たり の年間利益配当上限を現在の 18 か月分から 80 か月分 に引上げること等である。現行法においては、鉱山の 利益のうち 8%を労働者に配当することが規定されて いるが、労働者への配当後の余剰金額については、鉱 山が存在する地方政府に配当し、県内におけるインフ ラ事業に充当することとなっている。この余剰金額は、 全国で年間 7 億 N.Soles(約 2.5 億 US $)に上るとい われている。本法案の行方について、パスコ労働雇用 促進大臣は、政府は同法案を支持する旨表明し、国会 での審議が長引いているものの必ず可決し、2009 年 から施行する見通しであることを強調した。 これに対し、鉱山が存在する地方の県知事や地方出 身の国会議員らは、県に対する余剰利益の配当機会が 失われることを理由に本法案に対して強く反対してい る。6 月 11 日には、Ancash 県知事の呼びかけで、本 法案反対の意思表示をするために、同県のパン・アメ リカンハイウェイの一部の区間において、道路封鎖を 強行した。これにより、抗議行動に参加した住民と警 察との間で衝突が起こり、通行車両への投石・襲撃が 行われ、複数の怪我人が出た。本抗議行動は、半日で 中止されたが、このように、本法案を巡っては、単に 労働者対企業、労働者対国といった対立だけではな く、鉱山労働者と地方政府・地域住民との新たな対立 を生む問題もはらんでいる。いずれにせよ、法案成立 までには、なお紆余曲折が予想され、その審議の進展 状況によっては、全国規模の鉱山労働者ストライキが 再発する可能性もあり、今後の動向を注視していく必 要がある。

4. おわりに

今年に入り、社会争議がハイペースで拡大を続けて いる背景としては、急激な物価上昇、貧富の格差拡 大、環境汚染の広がり等、昨今の経済発展の負の側面 が、国民の半分近くとされる貧困層に浸透し始めたこ とによる表れと見られる。 また、ペルーでの鉱業争議は、最近、これまでにも 増して複雑化、混迷化の兆しがある。鉱業争議は、も ともと、Yanacocha 鉱山や Rio Blanco 銅開発プロジェ クト等に代表されるような環境汚染に根ざした反鉱山 運動や、利益還元を求めた抗争等、鉱山単位、プロ ジェクト単位で実行されることが主体であったが、こ こ最近はこれに加え、今回紹介したような制度改革を 巡る既得権争いに端を発した、地方自治体レベル或い は全国労働者レベルでの争議が表面化しており、今後 の政府の対応次第では、さらに拡大していく様相を呈 している。 政府としては、エネルギー鉱山省内に社会問題総局 を新設して、問題解決の対応にあたるとともに、首 相・大臣クラスを紛争地域に派遣して、当事者同士の 話し合いの仲介を行う等、争議沈静化に向けて積極的 に対応する姿勢を見せている。また、鉱山会社に対し ては、自らの社会的責任を果たすよう強く求めるとと もに、自発的拠出金制度を創設し、地元密着型の社会 事業の推進を図っている。しかしながら、そうした地 道な取り組みを上回る勢いで、鉱業争議が広がりを見 せているというのがペルーの現実である。 いずれにせよ、このように活発化、複雑化している 一連の争議は、現在、好調に推移しているペルー経済 が、脆弱な社会構造、行政システムの上に成り立って いることを改めて強く印象づけるものとなっている。 こうした中、持続的な経済発展に向けて、3 期目に 入ったガルシア政権の今後の社会政策、経済政策の舵 取りが注目される。 (2008.9.23)

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②藤橋 40 は中位段丘面(約 12~13 万年前) の下に堆積していることから約 13 万年前 の火山灰. ③したがって、藤橋

結果は表 2

能率競争の確保 競争者の競争単位としての存立の確保について︑述べる︒

事業の財源は、運営費交付金(平成 30 年度 4,025 百万円)及び自己収入(平成 30 年度 1,554 百万円)となっている。.

たこともわかっている。この現象のため,約2億3,000万年前から6,500万年

事業の財源は、運営費交付金(平成 29 年度 4,109 百万円)及び自己収入(平成 29 年 度 1,385 百万円)となっている。.