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有理関数の原始関数と整数の積の逆数の無限和

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Academic year: 2021

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全文

(1)

有理関数の原始関数と整数の積の逆数の無限和

Abstract

整数の逆数に関する無限和:

11 2+1

3 − · · ·= log 2 (1.1)

11 3+1

5 − · · ·= π

4 (1.2)

を出発点にして分母を2数の積、3数の積にしたものを考えて行くと初めのうちは既知 のものの組み合わせなどで求まって行くのですが、そのうちどうにもならないものが出 現してきます。この困難は

π

の計算に使われる

BBP Formula

との出会いによって劇的 に解消されますが、そこには部分分数分解を駆使した有理関数の積分計算が潜んでい ます。

1 連続2数の積の逆数の和

事実

2.1 (

連続2数の積の逆数の和・交代和

)

1 1·2 + 1

2·3+ 1

3·4 +· · ·= 1 (2.1)

1 1·2 + 1

3·4+ 1

5·6 +· · ·= log 2 (2.2)

1 2·3 + 1

4·5+ 1

6·7 +· · ·= 1log 2 (2.3) 1

1·2 1 2·3+ 1

3·4 − · · ·= 2 log 21 (2.4) 1

1·2 1 3·4+ 1

5·6 − · · ·= π 4 1

2log 2 (2.5)

1 2·3 1

4·5+ 1

6·7 − · · ·= π

4 1 +1

2log 2 (2.6)

(1)

1 1·2+ 1

2·3+ 1

3·4+· · ·+ 1

n(n+ 1) =1 11

2+1 21

3+· · ·+1 n− 1

n+ 1 = 1 1 n+ 1 1

(2)

1 1·2 + 1

3·4+ 1

5·6 +· · ·= 1 1 1

2 +1 31

4 +· · ·= (1.1).

(3)これは

(2.1)(2.2).

(4)これは

(2.1)2(2.3).

(5)

1 1·2 1

3·4 + 1

5·6− · · ·= 1 11

21 3 +1

4+1 51

6 − · · ·

= µ1

11 3+1

5 − · · ·

∂ +

µ

1 2 +1

41 6 +· · ·

= (1.2)1 2(1.1).

(6)

1 2·3 1

4·5 + 1

6·7− · · ·= 1 21

31 4 +1

5 +1 61

7 1 8 +· · ·

= µ

1 +1 2 1

31 4+1

5 +1 61

71 8 +· · ·

1

= µ1

11 3+1

5 − · · ·

∂ +

µ1 21

4 +1 6 − · · ·

1

= (1.2) +1

2(1.1)1.

ただし、負の数を含む無限和は足す順番を換えると和が変わってしまう事があります から上の様に単純には行きませんよ。有限和で切って組み替えて極限をとる事を頭の中 で想像して補う必要があります。

基本演習

1 (

連続2奇数の積の逆数の和・交代和

) 1

1·3 + 1 3·5 + 1

5·7+· · ·=1

2 (2.7)

1 1·3 + 1

5·7+ 1

9·11+· · ·=π

8 (2.8)

1 3·5+ 1

7·9 + 1

11·13+· · ·=1 2 −π

8 (2.9)

1 1·3 1

3·5 + 1

5·7− · · ·=π 4 1

2 (2.10)

発展演習

2 (

極めて難しいもの

) 1

1·3 1

5·7 + 1

9·11− · · ·= coth1 2 2

2

=

2

8 log(32 2)

!

(2.11) 1

3·5 1

7·9+ 1

11·13− · · ·= π 4

2 1

2 (2.12)

(2)

2 連続3数の積の逆数の和

事実

3.1 (

連続3数の積の逆数の和

) 1

1·2·3+ 1

2·3·4+ 1

3·4·5 +· · ·=1

4 (3.1)

1

1·2·3+ 1

3·4·5+ 1

5·6·7 +· · ·= log 21

2 (3.2)

1

1·2·3+ 1

4·5·6+ 1

7·8·9 +· · ·=

3π 12 1

4log 3 (3.3) 1

1·3·5+ 1

3·5·7+ 1

5·7·9 +· · ·= 1

12 (3.4)

1

1·3·5+ 1

5·7·9+ 1

9·11·13+· · ·= π 161

8 (3.5)

1

1·3·5+ 1

7·9·11+ 1

13·15·17+· · ·= 1

16log 3 (3.6)

(1)、(2)、(4)、(5)は既知のものの組み合わせで行けます:

(1)

X1 n=1

1

n(n+ 1)(n+ 2) =1 2

X1 n=1

Ω 1

n(n+ 1) 1 (n+ 1)(n+ 2)

æ

=1 2

µ 1 1·2 1

2·3+ 1 2·3 − · · ·

= 1 4

(2)

1 X

n=1

1

(2n1)2n(2n+ 1) =1 2

X1 n=1

Ω 1

(2n1)2n 1 2n(2n+ 1)

æ

=1 2

µ 1 1·2 1

2·3+ 1 3·4 − · · ·

= log 21 2

しかし(3)と(6)はなかなか上手く行きません。

どうしようかなとあれこれ悩んでいる時に出会ったのが、

π

のコンピュータ計算に使 われるいわゆる

BBP Formula

でした。等比級数の和の公式によって有理関数の積分に 変形して計算してゆく事になります。

Bailey-Borwein-Plouffe formula X1

k=0

µ 4

8k+ 1 2

8k+ 4 1

8k+ 5 1 8k+ 6

∂ 1 16k =π

4 有理関数の積分への帰着

(3)題意の和を

S

とします。まず部分分数分解すると

1

(3n+ 1)(3n+ 2)(3n+ 3) = 1 2

µ 1

3n+ 1 2

3n+ 2+ 1 3n+ 3

ですが、次の積分

Jp,mn

Jp,mn =

Z 1 0

xm−1(1−xpn) 1−xp dx=

Z 1 0

n−1X

k=0

xpk+m−1dx=

n−1X

k=0

Z 1 0

xpk+m−1dx=

n−1X

k=0

1 pk+m

に注意すれば、

2S= lim

n→1 n1

X

k=0

µ 1

3k+ 1 2

3k+ 2+ 1 3k+ 3

= lim

n→1

©J3,1n 2J3,2n +J3,3n

= lim

n→1

Z 1 0

(12x+x2

1−x3n™ 1−x3 dx

= lim

n→1

Z 1 0

(1−x)©

1−x3n™ 1 +x+x2 dx

 ここで積分と極限の順序交換をするのですが、これは難しい問題を孕んでいる部分で すから色々やらなければ行けない事があります。ここではそう云う難しい事は省略して いるのだと云う認識は最低限必要です。

= Z 1

0

1−x 1 +x+x2dx

=1 2

Z 1 0

2x+ 1

x2+x+ 1dx+3 2

Z 1 0

1 x2+x+ 1dx

=1 2

£log|x2+x+ 1|§1 0+3

2 Z 1

0

° 1 x+12¢2

+34dx S=1

4log 3 + Z 1

0

1

4 3

°x+12¢2

+ 1dx

となりますからここで

2

3

°x+12¢

=y

と変数変換すれば

S=1 4log 3 +

3 2

Z 3

13

1

y2+ 1dy=1 4log 3 +

3 2

£Tan1y§3

13

=

3π 12 1

4log 3

となって和が求まりました。(6)も同じ様に積分を使って行ける筈です。

(3)

基本演習

3 (3.4)

(3.5)

(3.6)

を証明して下さい。

基本演習

4 (

連続3数の積の逆数の和 始まりがずれているもの

) 1

2·3·4+ 1

4·5·6+ 1

6·7·8+· · ·=3

4 log 2 (3.7)

1

2·3·4 + 1

5·6·7 + 1

8·9·10+· · ·=1

2log 31

2 (3.8)

1

3·4·5 + 1

6·7·8+ 1

9·10·11+· · ·=3 4 1

4log 3

12 (3.9)

1

3·5·7 + 1

7·9·11+ 1

11·13·15+· · ·= 5 24 π

16 (3.10)

1

3·5·7+ 1

9·11·13+ 1

15·17·19+· · ·=1 8 1

32log 3 +

32 (3.11) 1

5·7·9 + 1

11·13·15+ 1

17·19·21+· · ·= 5 24 1

32log 3

32 (3.12)

5 有理関数の部分分数分解

(多項式)

(x1)(x2)(x+ 3) = A

x−1+ B

x−2 + C x+ 3

【べきがある場合】

(多項式)

(x1)(x2)2 = A

x−1+ B

x−2 + C

(x2)2 = P

x−1 + Qx+R (x2)2

(多項式)

(x1)(x2)n = A

x−1+ B1

x−2 + B2

(x2)2 +· · ·+ Bn

(x2)n

= P

x−1+Qn1xn1+· · ·+Q1x+Q0

(x2)n

【虚数根がある場合】

(多項式)

(x1)(x24x+ 13)= A

x−1+ B1x+B0

x24x+ 13

= P

x−1+ Q1(x2)

(x2)2+ 9 + Q0

(x2)2+ 9

分子・分母が共に多項式である様な分数関数を有理関数と呼びます。

(有理関数)

=

(多項式)

(多項式)

分子の多項式の次数が分母と同じか分母より高い場合には分子を分母で割れば

−x4+x33x2+ 1

x2−x−1 =(x2−x−1)·

z }|商 { (−x24) +

z 余り}| { (4x3)

x2−x−1 =−x24 + 4x3 x2−x−1

などと変形出来て、多項式と分子が分母より次数の低い有理関数の和に分解されます。

5.1 係数の具体的な求め方

STEP 0

:分母を因数分解して分解の最終形を予想する。

まずはどんな形に分解出来そうなのか予測しますが、この段階で間違ってしまうと多 くの場合係数は求まりませんので注意して下さい。例えば、

1

(x1)(x2)(x+ 3) = A

x−1 + B

x−2 + C

x+ 3 (5.1)

と分解されるだろうと予測されますね。

STEP 1

:右辺を通分して分子を左辺と比較する。

上の例で右辺を通分すると

A

x−1 + B

x−2 + C

x+ 3 = A(x−2)(x3) +B(x−1)(x3) +C(x−1)(x2) (x1)(x2)(x3)

ですから、左辺の分子と右辺の分子が等しいと云う次式が得られます:

1 =A(x−2)(x3) +B(x−1)(x3) +C(x−1)(x2). (5.2)

STEP 2

:幾つかの値を代入する

基本的に何を代入しても良いのですが、出来れば計算が楽なものを選びたいところで す。ここでは3つの値

1,2,3

に注目します。まずは

(5.2)

式で

x= 1

としてみると、

1 =A(1−2)(1 + 3) =4A

(4)

であって

A=14

が出ます。また

x= 2

x=3

とすれば

B = 15, C = 201

が得られ、

以上により

1

(x1)(x2)(x+ 3) =1 4 · 1

x−1 +1 5 · 1

x−2 + 1 20· 1

x+ 3

が解るわけです。

他にも、展開して係数を比較する(連立方程式を解く事になります)とか、両辺微分 してみるなど幾つかのテクニックがありますが、ベストなのは色んなやり方を知ってて 臨機応変、その時その場にあったやり方を組み合わせて計算すると云う風です。

6 有理関数の原始関数

全ての有理関数は

(多項式)+(分子の次数が分母の次数より低い有理関数)

の形に変形する事が出来て、この型の有理関数の原始関数は部分分数分解を使って求め ますが、今見て来たように、結局のところ分解時に現れるものとしては

A

(x+a)m, B(x+b) +C {(x+b)2+c2}n

の型のものしかありません。

6.1 基本的な有理関数の原始関数

まず最初の型:

1

(x+a)m

ですが、これは簡単に

Z 1

(x+a)mdx=



1

1m(x+a)m+1 (m >1) log|x+a| (m= 1)

と求まってしまいますね。

問題は2番目の型ですが、これを更に

B(x+b) +C

{(x+b)2+c2}n = B(x+b)

{(x+b)2+c2}n + C {(x+b)2+c2}n

と2つのパートに分けて考えましょう。

最初の部分は、これは

Z x+b

{(x+b)2+c2}ndx= 1 2

Z 2(x+b)

{(x+b)2+c2}ndx= 1 2

Z 1 (t+c2)ndt

なので(

(x+b)2=t

と置換した。

2(x+b)dx=dt

Z x+b

(x+b)2+c2dx=1

2log|t+c2|= 1

2log|(x+b)2+c2| Z x+b

{(x+b)2+c2}ndx= 1

2(1−n)(t+c2)n+1= 1

2(1−n){(x+b)2+c2}n+1

となって原始関数が求まります(

n >1

)。

従って、我々に残された課題は2番目の型のもう1つのパートだけです。

n= 1

の時は、

x+b=t

とおけば、

Z 1

(x+b)2+c2dx= Z 1

t2+c2dt=1

cTan1t c =1

cTan1x+b c

です。

n= 2

の場合は、

Z 1

{(x+b)2+c2}2dx

=1 c2

Z (x+b)2+c2(x+b)2 {(x+b)2+c2}2 dx

=1 c2

Z (x+b)2+c2

{(x+b)2+c2}2dx+ 1 c2

Z (x+b)2 {(x+b)2+c2}2dx

=1 c2

Z 1

(x+b)2+c2dx+ 1 2c2

Z

(x+b) 2(x+b) {(x+b)2+c2}2dx

ですので、第1項はさっきの計算によって既に原始関数が分かっています:

=1

c3Tan1x+b c + 1

2c2 Z

(x+b) 2(x+b) {(x+b)2+c2}2dx

第2項は部分積分して

=1

c3Tan1x+b c + 1

2c2(x+b) 1

(x+b)2+c2 1 2c2

Z 1

(x+b)2+c2dx

= 1

2c3Tan1x+b c + 1

2c2

x+b (x+b)2+c2

ですか。

n≥3

の場合にもこれを順次計算して行けば求める事は出来ますが、なかなか大変で

すね。

(5)

Exercise

基本演習

5

次の各原始関数を求めて下さい:

(1)

Z 1

x21dx

(2)

Z 1

(x2+ 1)2dx

(3)

Z x4 x2+ 1dx

(4)

Z 1

x3+ 1dx

(5)

Z 1

(x1)2(x2+ 1)dx

(6)

Z 1 x4+ 1dx

(7)

Z 1 (x21)2dx

基本演習

6

In=

Z 1

(x2+A)ndx(A6= 0)

と置けば、

n= 1,2,3, . . .

に対して漸化式:

In+1= 1 2nA

Ω x

(x2+A)n + (2n1)In

æ

が成り立つことを証明して下さい。

Exercise 難しいもの

発展演習

7

Z x3+x4

1 +x+x2+x3dx

を計算して次式を示して下さい:

X1 k=0

1

(4k+ 4)(4k+ 6) = 1

4(1log 2).

発展演習

8

Z x3+x4+x5

1 +x+x2+x3dx= 1 3x31

4log(x2+ 1)1

2log(x+ 1) +1

2Tan1x

を示し、

X1 k=0

1

(4k+ 4)(4k+ 7) = 1

72(8 + 3π18 log 2)

を証明して下さい。

発展演習

9

Z x2+x3+x4+x5 1 +x+x2 dx=1

4x41

2log(x2+x+ 1) +x− 1

3Tan12x+ 1

3

を示し、

X1 k=0

1

(3k+ 3)(3k+ 7) = 1

144(452

18 log 3)

を証明して下さい。

発展演習

10

(1)次の関係式を証明して下さい:

Z 1 2

0

xm1 1−x8dx=

Z 1 2

0

X1 k=0

xm1+8kdx= 1 2m2

X1 k=0

1 16k

1 8k+m.

(2)上の結果を使って

BBP Formula:

X1 k=0

µ 4

8k+ 1 2

8k+ 4 1

8k+ 5 1 8k+ 6

∂ 1 16k =π

を証明して下さい。

発展演習

11

正の整数

m, p, d, h

に対して

X1

k=0

1

(m+kp)(m+d+kp)· · ·(m+hd+kp) = 1 h!dh

Z 1 0

xm1(1−xd)h 1−xp dx

となる事を証明して下さい。

発展演習

12

任意の正の整数

m, p, h

に対して

X1

k=0

1

(m+kp)h+1 = 1 h!

Z 1 0

xm1(logx)h 1−xp dx

となる事を証明して下さい。

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