確率論 I 練習問題 http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/˜nishioka/ 2015/01/21,西岡
1 確率空間, 条件付き確率, ベイズの定理
問題 1.1. ある銀行への融資申し込みは 40 %が優良企業である. 優良企業からの申し込みは 90 %の確率,そ うでない企業からの申し込みは20 %の確率で審査を通る. この銀行の審査を通過した企業が優良である確率を 求めよ.
問題1.2. 勝つ確率がpのチームを相手に7 回戦制のプレーオフを行う. 4回勝てばプレーオフに勝利する. プ レーオフに勝利するとして, 4連勝で勝つ確率を求めよ.
問題1.3. 毎週1000万円が確率pで当たるクジがある. 当たりが出ないときは賞金は次週に繰り越す. 10週間 で当たりが1回しかでなかったという条件の下で, 10週間後の繰り越し賞金額をX とするとき,X のとる値と その確率を求めよ.
問題1.4 (1999年アクチュアリー,難問). 1家族に子供がn人いる確率は (1−p)pn (
n >0, 0< p <1) で ある. 子供が男である確率および女である確率は,ともに1/2 とする. 有る家庭に男の子供が k人いる確率を求 めよ. ⋄
2 確率変数の平均, 分散, 共分散
問題2.1. 次の確率変数X にたいし,E[X], σ2[X], E[2X], σ2[2X],を計算せよ.
確率 2/6 1/6 2/6 1/6
X の値 0 1 2 3
問題2.2. 不良品発生率10%の製品がある. その中から,サンプルを四つ取り出す. k回目に取り出したサンプ ルにたいし,
Xk ≡
{ 1 サンプルが不良品
0 サンプルが良品, k= 1,· · · ,4
とおく. (i) 確率変数X1 の平均と分散を求めよ. (ii) 確率変数X2の平均と分散を求めよ. (iii) 確率変 数S≡X1+· · ·+X4 の平均と分散を求めよ. (ヒント: X1,· · · , X4 は, それぞれ独立なベルヌイ試行.) ⋄ 問題2.3 (2006年公認会計士試験). 表が出る確率がp,裏が出る確率1−pのコインをn 回投げた. このとき, 表が出た回数をSn とする.
(i) 確率変数Sn の平均 E[Sn]および分散 σ2[Sn]を求めよ.
(ii) p= 0.5 であるコインを10回投げ,各回毎に表が出れば1歩前に進み,裏が出れば1 歩後ろに進む. 10回 投げ終わったときに元の位置にいる確率を求めよ.
(iii) p= 0.5であるコインを10回投げたとき, 6歩以上前進している確率を求めよ.
問題2.4. 2つの株式A, B の1期当たりの収益率( 1単位当たり)を,それぞれRA,RB とする. 更に固定金利 2%の国債がある. RA, RB は確率変数で, E[RA] = 0.05, E[RB] = 0.1, σ2[RA] = 4, σ2[RB] = 16,, 両 者の相関係数は-0.5である.
このとき,株式Aにx単位,B にy 単位,国債に z単位,投資する.
(i) 1期当たりの平均収益額が6 単位となるポートフォリオI(z)をz で表せ. ただし
x+y+z= 100単位. (ii) このポートフォリオI(z)のリスクが最少となるz を求めよ. ⋄
1
3 解答
[問題1.1 解答] 優良企業の申し込み件数をx,それ以外の企業からの申込件数をy とする. 審査を通過した企 業の数z はz= 0.9x+ 0.2y. 一方 y/x= (1−0.4)/0.4 = 1.5. これより
審査を通過した企業が優良である確率= 0.9x
z = 0.9x
0.9x+ 0.2y = 0.9x
0.9x+ 0.2·1.5·x= 0.75. 2 [問題1.2 解答] W をプレーオフで自チームが勝利することとする. すると
W =∪7k=4Ak, ここでAk を“k回ゲームを行って,プレーオフに勝つ” とする, k= 4,· · ·,7.
次にAk, k= 4,· · ·,7,の確率を求める.
1. k= 4 のとき,開幕4連勝でプレーオフに勝利 ⇒P[A4] = (1−p)4, 2. k= 5 のとき, 5試合目は勝利,その前の4試合は “ 3勝1敗”
⇒P[A5] =4C1p(1−p)3·(1−p) = 4p(1−p)4,
3. k= 6 のとき, 6試合目は勝利,その前の5試合は “ 3勝2敗”
⇒P[A6] =5C2p2(1−p)3·(1−p) = 10p2(1−p)4,
4. k= 7 のとき, 7試合目は勝利,その前の6試合は “ 3勝3敗”
⇒P[A7] =6C3p3(1−p)3·(1−p) = 20p3(1−p)4, Ak, k = 4,· · · ,7,は互いに排反事象なので, P[W] =∑7
k=4P[Ak] = (1−p)4{
1 + 4p+ 10p2+ 20p3} . 次に,Bkを“自チームがk回戦目から4 連勝”,k= 1,· · ·,4,とすると,
P[Bk] =pk−1(1−p)4 ⇒
∑4
k=1
P[Bk] = (1−p)4{
1 +p+p2+p3} .
k= 1,2,3 ならBk⊂W なので, ベイズの定理より 求める確率=P[∪4k=1BkW] = P[∪4k=1Bk∩W]
P[W] =P[∪4k=1Bk]
P[W] = 1 +p+p2+p3
1 + 4p+ 10p2+ 20p3. 2 [問題 1.3 解答] “ 10 週の中でただ一つの当たりが出る” を A, “ 10 週の中で最初の当たりが出る週” を N とする. すると P[{N = k} ∩A] = (1−p)k−1p(1−p)10−k = p(1−p)9, k = 1,2,· · ·,10.
⇒ P[A] =
∑10
k=1
P[{N =k} ∩A] = 10p(1−p)9.
さらに,a= 1000万円とすると, k週目に只一つの当たりがでるとき, 繰り越された金額 X =a(10−k)は (N =k ⇔ X=a(10−k) ). よって {X =a(10−k)} ⊂Aとなり
P[X=a(10−k)A] = P[{N=k)} ∩A]
P[A] = p(1−p)9 10p(1−p)9 = 1
10, k= 1,· · ·,10. 2 [問題1.4 解答](難問) Step 1. n人子供がいて,男の子が k人で有る確率Q(k, n)は
Q(k, n) = (1−p)pnnCk (1 2)k(1
2)n−k = (1−p)nCk (p
2)n, n≥k.
よって,男の子供が k人いる確率は
∑∞ n=k
Q(k, n) =
∑n
n=k
(1−p)nCk (p
2)n この和は直接計算できない! Step 2. 母関数を使う. |s|<1なる実数 sにたいし,
R(s)≡
∑n
k=0
sk ∑
n≥k
Q(k, n) =
∑∞ n=0
∑n
k=0
Q(k, n)sk
=
∑∞ n=0
∑n
k=0
(1−p) (p
2)n nCk sk = (1−p)
∑∞ n=0
(p
2)n (1 +s)n= 1−p 1−p(1 +s)/2. 2
となり,
∑∞ n=k
Q(k, n) = 1 k!
dkR(s) d sk
s=0
を計算すればよい. Step 3. dk
d xk 1
1−x = k!
(1−x)k+1 だから 1 k!
dk
d skR(s) = 1
k! (1−p) k! (p/2)k (1−p(1 +s)/2)k+1.
⇒ ∑∞
n=k
Q(k, n) = 1 k!
dkR(s) d sk
s=0= (1−p) (p/2)k (1−p/2)k+1 . 2
[問題2.1 解答] X の分布表より 確率 2/6 1/6 2/6 1/6
X の値 0 1 2 3
X2の値 0 12 22 32 E[X] = 0·2
6 + 1·1 6 + 2· 2
6+ 3·1 6 =8
6. σ2[X] =E[X2]−(
E[X])2
= 02·2
6 + 12·1
6 + 22· 2
6+ 32·1 6 −(8
6)2= 11 9 . 2X はX から作られた新しい確率変数で,その確率分布は以下の通り:
確率 2/6 1/6 2/6 1/6
X の値 0 1 2 3
2X の値 20= 1 21= 2 22= 4 23= 8
E[ 2X] = 20·2
6 + 21·1
6 + 22· 2
6+ 23·1 6 = 10
3 σ2[ 2X] =E[ 22X]−(
E[ 2X])2
= 22·0· 2
6+ 22·1·1
6 + 22·2·2
6 + 22·3·1 6 −(10
3 )2= 17−100 9 =53
9 . 2 [問題2.2 解答] ベルヌイ試行Y が P[Y = 1] =p, P[Y = 0] = 1−p とすると,
(3.1) E[Y] = 1·p+ 0·(1−p) =p, σ2[Y] = 12·p+ 02·(1−p)−p2=p(1−p).
(i) X1 はベルヌイ試行で, (3.1)でp= 0.1. つまり
E[X1] =p= 0.1, σ2[X1] =p(1−p) = 0.1(1−0.01) = 0.09.
(ii) X2 もX1 と同じ確率分布をもつから, E[X2] = 0.1, σ2[X2] = 0.09.
(iii) X1,· · ·, X4 は独立で同分布. 「平均値/分散の計算ツール」から E[S] =E[X1] +· · ·+E[X4] = 4·0.1 = 0.4,
σ2[S] =σ2[X1] +· · ·+σ2[X1] = 4·0.09 = 0.36. 2 [問題2.3 解答] 確率変数Xk を
Xk=
{ 1 k回目のコイン投げで表がでた時 0 k回目のコイン投げで裏がでた時 とおく. すると Sn=X1+X2+· · ·+Xn であり, ‘勝率pの2項分布’に従う:
P[Sn=k] =nCk pk (1−p)n−k, k= 0,1,· · ·, n.
3
(i) Sn の平均と分散を2項分布から求めるのは面倒. Sn は独立, 同分布の確率変数の和だから E[Xk] = 1·p+ 0·(1−p) =p, σ2[Xk] = 12·p+ 02·(1−p)−p2=p(1−p).
これより
E[Sn] =n p, σ2[Sn] =n p(1−p).
(ii) 10回投げて元の位置にいるから,表が出た回数は5 回. P[S10= 5] =10C5(1
2)5 (1
2)5= 10!
5! 5! (1
2)10= 252
1024 ≃0.247. . . (iii) 10回投げて6 歩以上前進しているから,表が出た回数は8 回以上.
P[S10≥8] =P[S10= 8] +P[S10= 9] +P[S10= 10]
=10C8(1 2)5 (1
2)5+10C9 (1 2)5 (1
2)5+10C10 (1 2)5 (1
2)5= (45 + 10 + 1) (1 2)10
= 56
1024 ≃0.0547. . . 2 [問題2.4 解答] (i) 次の連立方程式の解:
x+y+z= 100, 0.05·x+ 0.1·y+ 0.02·z= 6,
⇒x= 80−1.6z, y= 20 + 0.6z.
(3.2)
(ii) I(z)のリスクは分散σ2[Iz]で評価できる. (3.2)を使って,
σ2[I(z)] =σ2[x·RA] +σ2[y·RB]−2 Cov[x·RA, y·RB]
=x2·4 +y2·16−2xy·0.5·√ 4·16
= 4x2−8xy+ 16y2= 4(x−y)2+ 12y2=592
25 z2−768z+ 19200
=592 25
(z− 25 592 ·768
2 )2
+ 19200− 25 592 ·(768
2 )2=592 25
(z−600 37
)2
+48×104 37 . よって,z= 600
37 のときσ2[I(z)]は最低. (0≤z≤50でないと,xが負になるがこの条件はOK. ) 2
4