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リンパ管腫におけるリンパ管内皮細胞の 分化増殖能に関する検討

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(1)

 リンパ管腫はリンパ管の形成不全であり,多くは 先天性で血管腫に比べると比較的稀な疾患である.

発生頻度は男女間に大差なく,本症の 50 〜 60%が 出生時にみられ,80 〜 90%が 2 歳までに見出され ると報告されている1).臨床上は限局性リンパ管 腫,海綿状リンパ管腫,嚢腫状リンパ管腫とリンパ 管腔の大きさにより分類されていることが多い2,3) これらは臨床像が全く異なるにも関わらず病理組織 学的には明瞭な相違はみられず4),3 者間の相違は 発生部位の解剖学的な違いにより生ずるものと考え られてきた5,6)

 今回われわれは,手術により摘出されたリンパ管 腫の病理標本に対して免疫染色を行い,リンパ管腫 の嚢腫形態別によるリンパ管内皮細胞の分化増殖能 に関して若干の知見を得たので報告する.

研 究 方 法

 対象は 1996 年 4 月から 2008 年 3 月までに埼玉県 立小児医療センター,昭和大学病院,東京労災病院 において CT ないし MRI を施行されて手術をうけ,

手術所見と病理組織学的所見からリンパ管腫と確定 診断された 14 症例 14 標本である(Table 1).

 MRI や CT において,2 cm 以上の嚢腫径がある

症例を Macrocystic type(以下 Ma),すべての嚢 腫径が 1 cm 未満の症例を Microcystic type(以下 Mi)と分類した.病理診断時に作成されたヘマト キシリン・エオジン染色(以下 HE 染色)標本の 所見から Ma において嚢腫径 2 cm 以上の嚢腫を Large cyst(以下 MLC),組織連続切片で確認して 径が 5 mm 未満の嚢腫を Small cyst(以下 MSC)

と規定し,全体を MLC 群,MSC 群,Mi 群に分類 した.嚢腫の形態分類に関しては,臨床分類では MRI や CT において嚢腫径が 1 cm より大きいもの を Ma,1 cm 未満のものを Mi として分類している 報告がある7)が,本研究では嚢腫の大きさによる分 類をより厳密にする必要性があったため,MRI や CT において 2 cm 以上の嚢腫径がある症例を Ma,

病変内のすべての嚢腫径が 1 cm 未満の症例を Mi と分類した.また,Ma のリンパ管嚢腫径が 2 cm 以上である MLC の周辺には 1 cm 以下の小嚢腫で ある MSC が散在しているが,手術後に生じる標本 の縮小や病理標本作成時に起こりうる嚢腫径の変化 を考慮して,病理標本上で内径 5 mm 以下のリンパ 管を MSC,2 cm 以上のリンパ管を MLC と規定し た.さらに MSC と判断した管腔が MLC の一部の 断面ではないことを確認するために連続切片を用い

リンパ管腫におけるリンパ管内皮細胞の  分化増殖能に関する検討

昭和大学医学部形成外科学教室

山本真理子  渡邊 彰二  安倍 弥生  保阪 善昭

要約:リンパ管腫の 14 症例を Macrocystic type(Ma)と Microcystic type(Mi)の 2 群に 分類し,Ma をさらに Large cyst(MLC)と Small cyst(MSC)の 2 群に分類した.免疫染 色を施行し,リンパ管内皮細胞数,細胞増殖能を示す LM-MIB1 index score,Prox1 の発現関 与を示す LM-Prox1 index score を上記 Mi,MLC,MSC の 3 群間で検討した.リンパ管内皮 細胞数は Mi 群が MLC 群と MSC 群に対して有意に多かった.LM-MIB1 index score は MLC 群が有意に低値,LM-Prox1 index score は MSC 群が Mi 群に対して有意に高値であった.

Ma 群において MLC 群より MSC 群のリンパ管内皮細胞の増殖能が亢進しており,Ma 群と Mi 群の再発形式の差異については Prox1 が関与している可能性が示唆された.

キーワード:リンパ管腫,リンパ管内皮細胞,MIB1,Prox1 原  著

(2)

て嚢腫径が MSC であることを確認した.実際に計 測してみると MSC の嚢腫径は 5 mm に及ぶものは なく,全て 500

μm 未満であった.HE 染色と同一

病理組織の未染標本に対しリンパ管内皮細胞のマー カ ー で あ る D2-40 抗 体(DAKO 社 M3619, 以 下 D2-40)と G0 期以外の増殖期にある核のマーカー である MIB1 抗体(DAKO 社 M7240,以下 MIB1)

を使用し avidin-biotin-complex(ABC)法によりペ ルオキシダーゼとアルカリフォスファターゼで二重 免疫染色を施行した.さらに二重免疫染色標本の連 続切片に対しホメオボックス転写因子である Prox1 抗体(ABN 社 H00005629-M05,以下 Prox1)を使 用して ABC 法によりペルオキシダーゼで免疫組織 染色を施行した.光学顕微鏡(OLYMPUS VENOX- SAH-2)を使用し,免疫染色された標本を同一検者 が観察した.二重免疫染色標本において倍率 100 倍 で D2-40 陽性であるリンパ管内皮細胞を確認でき た視野のうち,無作為に 3 か所を抽出して撮影し

(Fig. 1),500×500μm2内のリンパ管内皮細胞数 とリンパ管内皮細胞内の MIB1 陽性細胞核数を 2 名 の医師が別々に計測して 3 か所の平均値を標本の計 測値とし,melanoma の MIB1 index score8)を参考 にして LM-MIB1 index score として下記の計算式 により算出した.

LM-MIB1 index score =(MIB1 陽性核数の 平均値/ D2-40 陽性細胞数の平均値)×100  また Prox1 染色標本において二重免疫染色標本 と比較してリンパ管内皮細胞を確認し,同様の方法 論で無作為に選定した 3 か所のリンパ管内皮細胞数 とリンパ管内皮細胞中の Prox1 陽性細胞の核数を 計測し(Fig. 2,3),3 か所の平均値を計測値として,

その比を LM-Prox1 index score として下記の計算 式により算出した.

LM-Prox1  index  score =(Prox1 陽性核数の 平均値/リンパ管内皮細胞数の平均値)×100  群間比較は臨床分類における Ma 全体群と Mi 群,

ならびに MLC,MSC,Mi の 3 群に対してリンパ 管内皮細胞数,LM-MIB1 index score,LM-Prox1  index score の検討を行った.統計学的処理は Mann- Whitney の U 検定を使用し,危険率 5%以下を有 意差ありとした.

 リンパ管内皮細胞数に関しては,Mi 群は 80.19± 15.37 個であり,Ma 群は 61.74±17.26 個であった.

Mi 群は,MLC(32.33±19.46 個)に対し有意に高 値であり(p = 0.003),また MSC(29.40±11.26 個)

に対しても有意に高値を示した(p = 0.003).LM-

Table 1 Patient characteristics

患者 性別 切除時年齢 嚢胞タイプ 部位

1 男 4 歳 Mi 舌部

2 女 2 歳 Mi 右足背部

3 女 3 歳 Mi 左手母指球部

4 女 1 歳 Mi 左肘部

5 男 1 歳 Mi 耳下腺部

6 女 1 歳 Mi 左手部

7 女 1 歳 Mi 右大腿部

8 男 6 歳 Mi 腸間膜

9 女 1 歳 Mi 右大腿部

10 女 3 歳 MLC MSC 左腋窩部

11 女 4 歳 MLC MSC 左側頭部

12 女 1 歳 MLC MSC 頚部前縦隔部

13 男 2 か月 MLC MSC 右頸部

14 男 1 か月 MSC 頚部前縦隔部

Mi: Microcystic type Ma: Macrocystic type MLC: Large cyst(Ma)

MSC: Small cyst(Ma)

(3)

MIB1 index score において,Ma 群(10.72±3.37)

と Mi 群(10.50±3.27)間に有意差は認められな かった(p = 0.641).MLC 群(4.92±3.11)は MSC 群(20.46±12.48)と比較し有意に LM-MIB1 index が 低 値 で あ り(p = 0.047), ま た Mi 群(10.50± 3.27)と比較しても MLC 群は LM-MIB1 index が 有意に低値であった(p = 0.038).LM-Prox1 index において,Ma 群(11.41±4.45)が Mi 群(6.00± 1.70)より有意に高値を示した(p = 0.028).MLC 群(11.01±5.29) と Mi 群(11.73±3.60) 間 に 有 意差はなく,MSC 群のみが Mi に対して有意に高 値を示した(p = 0.028)(Table 2).

 リンパ管腫の成因は現在主要なもので 3 説存在す

るとされている.すなわち原始リンパ嚢が静脈に流 入することが出来なかったことにより孤立して中心 部に大きいリンパ管が形成されるという説,異常に 隔絶されたリンパ管組織が中心部の正常リンパ管に 接続できずリンパ管形成異常をきたすという説,

リンパ管構造の出芽異常がリンパ管腫の病因とする 説である9).臨床上,嚢腫の大きさが異なれば自然 経過や手術後の経過が異なることが知られている.

Mi のリンパ管腫は,自然経過中でも時間の経過と ともに Ma に変化することはきわめて稀であり,術 後再発する際も Mi として再発する.一方,Ma の リンパ管腫に硬化療法等を施行したり大きな嚢腫が 含まれる部分を切除しても,残存した MSC が増大 して MLC に変化することや,再発した MSC が時 間経過とともに MLC を伴う Ma に変化することは 臨床上稀ではない1,2,10).今回われわれは,このよ うなリンパ管腫の嚢腫形態によって自然経過や術後 の再発形式が異なる現象を,発生学的な由来を異に する内皮細胞の性質の違いにより生じていると仮説

Fig.  1  Double  Immunohistochemical staining of LECs

Fig.  2  Staining with Prox1 of Microcystic type (Mi)

Fig.  3 Staining of Prox1 of Macrocystic type(Ma)

Table 2  Number of Lymphatic endothelial cells (LECs) 

by Immunohistochemical study and average  score of index score

LEC 細胞数 MIB1 index Prox1 index Ma 61.74

±

17.26 個 10.72

±

3.37 11.41

±

4.45 MLC 32.33

±

29.46 個 4.92

±

3.11 11.01

±

5.29 MSC 29.40

±

11.26 個 20.46

±

12.48 11.73

±

3.60 Mi 80.19

±

15.37 個 10.50

±

3.27 6.00

±

1.70

(Average

±

SD)

(4)

を立て,それを確認する目的でリンパ管腫を構成し ている嚢腫の大きさにより内皮細胞を細分類して増 殖能と分化誘導の差異に関して検討を行った.また 連続切片を使用し,二重染色標本と Prox1 の免疫 染色標本を比較することにより Prox1 染色標本中 のリンパ管を同定した.結果から総合すると Mi 群 のリンパ管内皮細胞数は多く,個々の細胞の増殖能 は比較的高いが Prox1 の関与に関しては MSC 群と 比較すると少ないと考えられ,MLC 群は内皮細胞 数が少なく増殖能も低く Prox1 の関与も比較的少 なく,MSC 群はリンパ管内皮細胞数が Mi と比べ て少ないが増殖能は比較的高く,Prox1 の関与が Mi 群と比べて大きいと考えられた.

 嚢腫径の大きさによりリンパ管内皮細胞の増殖に おける差異が出現する原因として分化異常・細胞発 生由来の相違などリンパ管内皮細胞の性状の差異以 外には,内圧・周辺組織の解剖学的構造の問題,酸 素濃度・感染・炎症などの影響が可能性としてあげ られる.リンパ管腫におけるリンパ管内圧や周辺組 織の解剖学的構造の問題としては,リンパ液の内 圧上昇による増殖抑制が起きる可能性が考えられ る.20 MPa の高圧力下において細胞分裂の阻害 が顕著になり,核酸の圧変性ではなく DNA/RNA ポリメラーゼ,リボゾーム構造の崩壊,伸張速度 の低下を招くという報告がある11,12)が,20 MPa と いう圧力は 150000 mmHg に相当し,これほどの高 圧力がリンパ管腫内に生じているとは考えにくい.

解剖学的にも部位による筋肉の相違はあるが,同検 体の同部位内でありながら MLC と MSC に圧力差 が生じるとは考えにくい.筋肉や皮下結合組織など 周辺の構造物も同様で,リンパ管内圧や解剖学的構 造の問題がリンパ管腫の内皮細胞増殖能に関係する 可能性は少ないと思われる6).リンパ管そのものの 解剖学的な問題として,リンパ管を構成する筋肉が 欠損していれば内圧が上昇した場合に静脈奇形と同 じ理由で腫脹しうるが,今回の病理組織像において Mi にも MSC にも内皮細胞周辺に筋線維は存在せ ず,光学顕微鏡で観察しうる範囲においてリンパ管 自体の構造に差はないものと考えられたため,増殖 能の差に対しての影響は否定的である.

 酸素濃度・感染・炎症などの影響に関しては,高 酸素濃度下において集合リンパ管由来のリンパ管内 皮細胞は末梢由来のリンパ管内皮細胞に比べ増殖が

抑制されると報告されている13).径が異なるリンパ 管では条件により内皮細胞の増殖能が異なる可能性 を示唆していて興味深いが,リンパ管腫の嚢腫間に おいて個々の酸素濃度が極度に異なるという状況は 想定しにくい.また,血管内皮細胞においては炎症 によって増える IL-3 を加えることにより血管内皮 細胞から Prox1 産生が増加して血管内皮細胞新生 が促進することと,リンパ管内皮細胞では IL-3 が 産生されており Prox1 も関与してリンパ管新生が 促進されていることが判明している14‑16).種類は違 うが,腹腔内リンパ管腫の免疫染色の結果,原発の 腫瘍細胞の成長よりも,二次的な炎症を起こして いる部分の細胞増殖能が高いことも報告されてい 17).したがって自然経過中や手術後におきる炎症 がリンパ管内皮細胞に何らかの影響を与え,リンパ 管新生をもたらしている可能性は否定できないが,

リンパ管腫においては炎症や感染が沈静化した後で も臨床経過として MSC が徐々に MLC に変化しう ることから,炎症や感染がリンパ管内皮細胞の増殖 能の差異を引き起こす原因の主体になるものとは考 えにくい.可能性として最も考えやすいリンパ管内 皮細胞の性状の差異に関してリンパ管腫の発生学的 な見地から検討してみると,Ma は胎性 2 か月まで に形成される両側頚部リンパ嚢・後腹膜リンパ嚢・

両側後部リンパ嚢の 5 個の原始リンパ嚢の残遺物と して発生すると考えられている6).前述 3 説のリン パ管間吻合不全に相当する,原始リンパ嚢を基幹と してリンパ系が形成されていく際にリンパ系の閉塞 をきたした場合にはリンパ嚢胞が形成される.これ らが頚部や腋窩などの筋肉が比較的少なく疎性結合 組織の多い脂肪組織に富んだ部位で生じた場合に は,嚢腫腔の拡張があまり制限されてないために比 較的大きな嚢腫になるといわれている5,6).これに 対して前述 3 説のリンパ管構造の出芽異常あるいは 細リンパ管レベルでのリンパ管吻合不全に相当す る,末梢部のリンパ系の閉塞が筋肉内で発生した場 合には,周囲の筋線維の圧迫によって嚢腫腔の拡張 が制限されるため小さな管腫様構造を取るようにな るとされている5).中枢由来のリンパ管内皮細胞と 末梢由来のリンパ管内皮細胞は発生学的に由来が同 一でないという点で細胞の性質が異なる可能性はあ り,再発時のリンパ管形態に差が出現する理由とし ては考慮する必要がある.今回の研究において光学

(5)

顕微鏡下の観察では構造上の差異は確認できず,経 過中のリンパ管の形態変化は説明できない部分もあ るが,リンパ管内皮細胞の性質の差は臨床経過が異 なる原因となりうると考えられた.

 免疫染色に使用した抗体に関してだが,リンパ管 内皮細胞の増殖能を検討するために MIB1 を,分化 能を検討するために Prox1 を用いて免疫組織学的 染色を施行した.MIB1 は G0 期以外の増殖期(G1,

S,G2,M 期)にある細胞の核に発現する Ki-67 抗原を認識するもので,細胞の増殖能を反映し,

Melanoma では MIB1 index score が転移しやすさ の判断に利用されている22).今回の結果からは,

Ma の MLC と MSC において LM-MIB1 index に有 意差があり,MSC のリンパ管内皮細胞の増殖能が 高いことが示唆されている.現在 Ma の治療として は腫瘍全体の切除術よりも大きな嚢腫を標的とした 硬化療法が施行されることの方が多いが,臨床的な 加療対象として重視される MLC は内皮細胞の増殖 能が低く,周辺に存在する MSC は増殖能が比較的 高い.硬化療法を適応する際には,この増殖能の差 異を考慮する必要があるかもしれない.また,硬化 療法や切除術後の再発形式から,Ma の再発には治 療後の炎症や創傷治癒過程でのリンパ管新生に,遺 残する MSC が関与している可能性がある.Ma で は腫瘤内の MLC と MSC の増殖能が異なるという 結果からも,再発時のリンパ管増殖は MSC が中心 的な役割を果たしていることが考えられる.

 一方,Ma 全体と Mi では MIB1 index に有意差 は認められなかった.また,MSC と Mi の 2 群に おいても増殖能に有意差は認められなかった.この ことから,Ma と Mi の再発形式の差異はリンパ管 内皮細胞の増殖能の差だけでは説明がつかない.そ こでリンパ管腫 LEC におけるリンパ管新生の誘導 を評価するために Prox1 の免疫染色を施行した.

Prox1 は静脈血管内皮細胞にも発現し,血管マー カーの発現を低下させリンパ管内皮細胞のマーカー の発現を誘導し,それにより血管内皮細胞をリンパ 管内皮細胞へ分化させるとされている23).また,

Prox1 はヒト成体の正常リンパ管,リンパ浮腫患者 におけるリンパ管,さらには,リンパ管腫などの病 的リンパ管においてもその発現は維持され,何らか の役割を果たしているとされている24,25).IL-3 を血 管内皮細胞に加えることによって Prox1 発現が上

昇してリンパ管内皮細胞への分化を誘導している可 能性や,リンパ管内皮細胞が IL-3 を産生して自己 増殖を促進させている可能性も示唆されている23‑25) が,本邦でリンパ管腫の硬化療法に頻用されている OK-432 に関して,炎症惹起後にリンパ管腫が縮小 するプロセスに IL-3 を介してリンパ管新生がおき ている可能性を示唆するものとして興味深い.今回 の実験結果において,MSC の LM-Prox1 index は Mi より有意に高値を示した.これは MSC において 血管内皮細胞のリンパ管内皮細胞への誘導が Mi と 比較して積極的に行われているか,遺残リンパ管内 皮細胞から IL-3 のようなリンパ管内皮細胞の増殖 因子が MSC において Mi よりも多く分泌されてい た可能性があるが,両者とも IL-3 が炎症のないリ ンパ管において異なる量で分泌されている確証はな く,さらに後者では増殖因子が多ければ細胞の増殖 能が高くなると考えられるが,2 群間に LM-MIB1  index の有意差が存在しなかった結果と合致しない.

Ma 切除後に遺残 MSC は増殖したのち増大して Ma として再発するのはリンパ管内皮細胞の増殖能 が同一病変内でも嚢腫径により異なり,増殖する Ma と Mi のリンパ管内皮細胞の性質が基本的に 異なることが主たる原因であると想定されるが,

Prox1 発現によるリンパ管新生誘導がなんらかの役 割を果たしていることが示唆された.

 リンパ管腫切除標本に対して免疫組織学的検討を 施行した.Ma において MLC より MSC のリンパ 管増殖能が亢進しており,MSC が再発に関与して いることが考えられた.また,Ma と Mi の再発形 式の差異については Prox1 のリンパ管誘導の機序 が関与している可能性が示唆された.

謝辞 稿を終えるにあたり,免疫組織染色にご協力いた だいた埼玉県立小児医療センター病理科の岸本宏志先生,

昭和大学形成外科学研究室の飯嶋 歩さんに深謝いたし ます.

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(7)

ANALYSIS OF PROLIFERATION AND DIFFERENTIATION ACTIVITY   OF LYMPHATIC ENDOTHELIAL CELLS IN LYMPHANGIOMA

Mariko YAMAMOTO, Shoji WATANABE, Yayoi ABE   and Yoshiaki HOSAKA

Department of Plastic and Reconstructive Surgery, Showa University School of Medicine

 Abstract      Lymphatic endothelial cell(LEC) proliferation or differentiation in lymphangioma was  investigated by immnohistochemical study with D2-40, MIB1, and Prox1.  Clinical types of 14 lymphangio- ma cases were classified into two groups, i.e. macrocystic type (Ma) and microcystic type (Mi); Ma was  classified into two subgroups of large cysts (MLC) and small cysts (MSC).  In Mi, the number of LECs  stained with D2-40 was significantly higher than those of MLC and MSC.  The MIB1 index that indicats  proliferation activity showed a significantly lower score in MLC than in Mi and MSC.  The Prox1 index  score of MSC was significantly higher than in the other 2 groups.  This study suggests that proliferating  activity of LECs in Ma and MSC are higher than that of MLC, and differentiation to LEC in MSC might  be higher than those of MLC and Mi.  Prox1 is likely to participate more in local development of lym- phatic vessels after surgical and/or radiological intervention in MSC than in Mi.

Key words

:  lymphangioma, LEC, Prox1, MIB1

〔受付:12 月 18 日,2009,受理:1 月 29 日,2010〕

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