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失語症者へのインフォームド・ 

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Academic year: 2021

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(1)

失語症者へのインフォームド・ 

コンセントに関する研究

半構造化面接による失語症者の思いについての調査

1)

昭和大学医学部リハビリテーション医学講座

2)

首都医校言語聴覚学科

3)

医療法人社団帰厚堂南昌病院リハビリテーション科

松元 瑞枝

*1,2)

 吉岡 尚美

1,3)

 

川手 信行

1)

  水間 正澄

1)

抄録:医療従事者が失語症者に Informed consent(以下,IC)をする際になすべき支援を明 らかにするために,失語症者が IC について抱いている思いを調査して検討した.対象は,在 宅生活を送っている 40 〜 70 歳代の失語症者で,ボストン失語症重症度尺度 2 〜 5 の 22 名で あった.まず,描画を併用しながら研究についての IC を行った.その後,失語症者に回答の 選択肢を提示しながら急性期やリハビリ開始時そして退院時の日常診療における IC について の半構造化面接を実施した.1)半構造化面接の結果を集計した.2)本研究で用いた描画と回 答の選択肢についての感想を集計した.3)失語症者が IC を受けた時に抱いている思いにつ いての発話を抽出して検討した.1)の結果,説明を受けたか否かについては,急性期には覚 えていないと回答したヒトが最も多かった.リハビリ開始時と退院時には説明を受けたと回答 したヒトが多かった.説明が分かったかどうかについては,いずれの時期においても半数以上 のヒトが分かったと回答したが,退院時に分かったと回答したヒトが最も少なかった.説明を 受けた時のコミュニケーション支援については,いずれの時期においても過半数のヒトが工夫 はなかったと回答した.説明を受けたことによる不安の変化については,減らなかったとどち らとも言えないと回答したヒトが多かった.なお,不安が減ったと回答したヒトは全員説明が 分かったと回答したヒトであった.2)の結果,描画の提示が理解を促進したと回答したヒト が多かった.また,面接の際に選択肢が回答に役だったと答えたヒトが多かった.3)急性期 に理解できていたことやリハビリについての認識がなかったこと,退院後の生活を想像困難 だったことなどの発話が抽出された.以上の結果から,1.急性期の病気についての説明は覚 えていないヒトが多かったが,なかには表出は困難だが理解は可能である失語症者がいること を念頭に置いて IC をする必要がある.2.リハビリ開始についての説明は具体的にすること が望まれる.3.退院時の説明は,退院後の支援者と連携して行うと失語症者の不安を軽減で きる可能性がある.4.IC によって失語症者の不安を軽減するためには,まず,失語症者が分 かるように説明することが重要である.5.本研究の倫理規定としての IC の際の描画の提示 は,失語症者の理解を促進できたと思われる.また,半構造化面接で用いた回答の選択肢は表 出の支援になったと考えられる.しかし現状では,多くの失語症者は日常診療における IC の 際にコミュニケーション支援を受けていないことが明らかになり,今後の実践が望まれる.

キーワード:インフォームド・コンセント,失語症,コミュニケーション支援

 インフォームド・コンセント(Informed consent 以下,IC)は,医学研究における倫理的原則とし て規定されてきた流れと,日常診療における患者の 選択の自由と自己決定権として明確化されてきた流

れの二種類の歴史的背景をもつ用語である

1)

.本邦 では 1997 年の医療法改定により,医療担当者は適 切な説明を行い,医療を受ける者の理解を得るよう 努めなければならないと定められた.これを受け 原  著

責任著者

(2)

て,リハビリテーション医療の領域でも IC が実施 されるようになり,高次脳機能障害のある患者の自 己決定権の問題などが指摘されている

2)

.一方,欧 米の speech-language pathologists は失語症者が発 症後の初期段階から退院後まで,回復プロセスにお ける選択や回復計画に協働するのを支援していこう とする Life Participation Approach to Aphasia (以 下,LPAA)声明を出している

3)

.この LPAA 声明 のメンバーである Kagan ら

4)

は,主治医とのやりと りなども含めた広い意味での会話への失語症者の参 加を支援するのは,会話の相手によるコミュニケー ション支援と適切な会話資料であるとした.そして コミュニケーション支援の講習を受けた受講者は失 語症者との会話において,情報交換と相互作用を促 進することができたと報告している.ところで,失 語症者はこのようなコミュニケーション支援のある 状況で IC を受けているのであろうか.この点につ いて上田

5)

は,効果的なリハビリテーションをする ためにも障害のあるヒトの心の中にある主観的障害

の理解が重要であると指摘したうえで,主観的次元 を定義している.IC はこの主観的次元の形成に関 わるものであると考えられるが,失語症者が IC に ついてどのように思っているのかを調査した報告 は,渉猟しえた限りでは見当たらなかった.そこ で,本研究では,言語聴覚士が失語症者に半構造化 面接を実施し,失語症者が日常診療における IC に ついて抱いている思いと,さらに,本研究の倫理規 定としての IC への感想を聴取して検討した.本研 究の目的は,失語症者の IC に関する思いを調査し 検討することによって,医療従事者が失語症者に IC を行う際になすべき支援を明らかにすることで ある.

 用語の定義

 本研究で使用する用語を以下に定義する.「IC」

とは,医師の職業倫理指針改訂版

6)

を参考として,

医療従事者が患者に対して検査・治療・処置の目 的,内容,代替処置の有無などを十分に説明するこ とと,患者がそれを理解したうえで選択,同意する

表 1 対象

症例番号 性別 年齢 失語症のタイプ 失語症 重症度 尺度

失語症以外 の高次脳機 能障害

移動手段 原因疾患 病巣半球

発症から の経過月 数(約)

A 48 伝導失語 4 なし 独歩 脳梗塞 左半球  14

B 45 運動性失語 4 なし 独歩 もやもや病による脳出血 左半球  67

C 67 運動性失語 2 なし 独歩 脳梗塞 左半球  45

D 51 運動性失語 2 なし T 字杖歩行 脳出血 左半球 100

E 42 運動性失語 5 なし 独歩 被殻出血 左半球  94

F 72 健忘失語 4 なし 独歩 脳梗塞 左半球  9

G 53 運動性失語 3 なし T 字杖歩行 被殻出血 左半球  42

H 62 伝導失語 3 なし 独歩 脳出血 左半球  21

I 59 健忘失語 5 なし 独歩 脳梗塞 左半球  74

J 62 運動性失語 2 なし T 字杖歩行 脳出血 左半球 102

K 52 感覚性失語 2 なし 独歩 心原性脳梗塞 左半球  5

L 64 感覚性失語 4 なし 独歩 脳出血 左半球  59

M 62 運動性失語 3 なし T 字杖歩行 脳出血 左半球  34

N 79 運動性失語 3 なし 独歩 脳梗塞 左半球  22

O 80 感覚性失語 2 軽度認知症 独歩 脳梗塞 左半球 120

P 69 感覚性失語 2 なし 独歩 内頚動脈 OP 後脳梗塞 左半球  52

Q 73 運動性失語 4 なし 独歩 脳梗塞 左半球  50

R 69 運動性失語 2 なし 独歩 脳梗塞 左半球  70

S 60 運動性失語 4 なし 独歩 慢性硬膜下血腫 左半球  67

T 66 健忘失語 5 なし 独歩 脳出血 左半球 108

U 55 運動性失語 2 なし T 字杖歩行 脳梗塞 左半球  81

V 59 感覚性失語 3 前頭葉症状 独歩 脳出血 左半球  24

平均 61.3  3.2   57.3

(3)

こととする.また「コミュニケーション支援」とは,

失語症者とのコミュニケーションを補完・促進する ための支援,たとえば短い文を用いる,早口で話さ ない,ジェスチャーや絵・文字刺激などを利用して 理解できるように情報を提供すること,および,は いかいいえで答えられるような質問や選択肢を指さ すなどの意思表示の方法を確保することとする.そ して,「コメディカル」とは医師,看護師以外の医 療従事者とし,「急性期」とは発症から約 1 か月程 度とする.

研 究 方 法  1. 対象

 機縁法により募集した在宅生活を送っている東 京,神奈川,岩手の失語症者で,ボストン失語症重 症度尺度 2 〜 5 の 22 名であった(表 1).年齢は 40 代〜 70 代の失語症者(平均 61.3 歳)であり,原因 疾患は全例左半球の脳血管障害であった.今回の研 究では,ボストン失語症重症度尺度 0 と 1 の失語症 者は半構造化面接における質問の理解が困難だと思 われたので,対象から除外した.

 2.手続き

 まず,以下のようなコミュニケーション支援をし ながら,本研究についての IC を行った.文節ごと に分かち書きをした短い文章で表現し,MS ゴシッ ク 12 フォントで表記した説明文書(表 2)と同意 書および説明文書の内容を示す描画(図 1)を準備

表 2 説明文書(一部抜粋)

研究への 協力の お願い(説明文書)

私達は「失語症のある方に役立つ支援」を考えるために,患者様に面接のご協力をいただき,研究を行いたいと思っております.

研究名は,「失語症者に対する「説明と同意」に関する研究半構造化面接による実態調査 」です.

納得した後,この研究に,協力可能な 場合は, 同意書にご署名をお願いします.

(1)研究参加は 任意

  あなたの 自由意思で,研究に「協力する/参加しない」を 決めてください.

(2)参加を 断った場合

  この研究に 参加しない場合,何の不利益も 受けません.

(3)撤回の 自由

  いつでも 止めることができ,何の不利益も 受けません.

(4)研究参加を お願いする 理由

  失語症のある方の ご意見や 要望を 調査する ためです.

(5)研究の 目的 方法 期間    目的

   医療・介護サービスにおける  「説明と同意」 について 失語症のある方に 役立つ 支援を 考えます.

  方法

    面接を 行い,ボイスレコーダーで 録音します.

    「説明と同意」に 関する 質問に お答えいただき,思っていることを 話していただきます.結果を,記録して  分析します.

  期間

   面接は 1 回 1 時間程度 です.

図 1 説明用描画(一部抜粋)IC の際に,提示し       ながら説明した.

(4)

表 3 半構造化面接の質問項目と回答の選択肢

A)急性期における説明と同意

  1.最初の病院の入院中に,病気についての説明を受けましたか? 1.受けた 受けなかった 覚えていない

  2‑1.その説明をしてくれたのは,誰でしたか? 2‑1.医者,看護師,ST,PT,OT,ソーシャルワーカー,その他(  )   2‑2.医者であった場合には,説明をしてくれた先生は,何科の先生でした

か?

2‑2.脳外科,神経内科,外科,内科,リハビリ科

3.説明の内容は,分かりましたか? 3.分かった どちらとも言えない 分からなかった 覚えていない   4‑1.説明を受けた時に,誰か同席していましたか? 4‑1.同席していた 同席していなかった 覚えていない   4‑2.同席していた場合には,誰が同席していましたか? 4‑2.家族(  ),病院職員(  ),その他(  )   5‑1.説明を受けた時に,絵やジェスチャーを使う等の工夫をしてもらいま

したか?

5‑1.工夫をしてくれた どちらとも言えない 工夫はなかった 工夫の必要が ない 覚えていない

  5‑2.質問や意見を言えるように,選択肢や書字を使う等の工夫をしてもら いましたか?

5‑2.工夫をしてくれた どちらとも言えない 工夫はなかった 工夫の必要が ない 覚えていない

  6.同意書に署名をしましたか? 6.署名をした,署名しなかった,他の人が署名した[    ],覚えていない   7.説明を受けたことで,不安が減りましたか? 7.不安が減った どちらとも言えない 不安は減らなかった 覚えていない B)リハビリ開始についての説明と同意

  1.リハビリを開始することについての説明を受けましたか? 1.受けた 受けなかった 覚えていない

  2‑1.その説明をしてくれたのは,誰でしたか? 2‑1.医者,看護師,ST,PT,OT,ソーシャルワーカー,その他(  )   2‑2.医者であった場合には,説明をしてくれた先生は,何科の先生でした

か?

2‑2.脳外科,神経内科,外科,内科,リハビリ科

  3.リハビリについての説明の内容は,分かりましたか? 3.分かった どちらとも言えない 分からなかった 覚えていない   4‑1.説明を受けた時に,誰か同席していましたか? 4‑1.同席していた 同席していなかった 覚えていない   4‑2.同席していた場合には,誰が同席していましたか? 4‑2.家族(  ),病院職員(  ),その他(  )   5‑1.説明を受けた時に,絵やジェスチャーを使う等の工夫をしてもらいま

したか?

5‑1.工夫をしてくれた どちらとも言えない 工夫はなかった 工夫の必要が ない 覚えていない

  5‑2.質問や意見を言えるように,選択肢や書字を使う等の工夫をしてもら いましたか?

5‑2.工夫をしてくれた どちらとも言えない 工夫はなかった 工夫の必要が ない 覚えていない

  6.同意書に署名をしましたか? 6.署名をした,署名しなかった,他の人が署名した[    ],覚えていない   7.説明を受けたことで,不安が減りましたか? 7.不安が減った どちらとも言えない 不安は減らなかった 覚えていない C)退院についての説明と同意

  1.退院についての説明を受けましたか? 1.受けた 受けなかった 覚えていない

  2‑1.その説明をしてくれたのは,誰でしたか? 2‑1.医者,看護師,ST,PT,OT,ソーシャルワーカー,その他(  )   2‑2.医者であった場合には,説明をしてくれた先生は,何科の先生でした

か?

2‑2.脳外科,神経内科,外科,内科,リハビリ科

  3.退院についての説明の内容は,分かりましたか? 3.分かった どちらとも言えない 分からなかった 覚えていない   4‑1.説明を受けた時に,誰か同席していましたか? 4‑1.同席していた 同席していなかった 覚えていない   4‑2.同席していた場合には,誰が同席していましたか? 4‑2.家族(  ),病院職員(  ),その他(  )   5‑1.説明を受けた時に,絵やジェスチャーを使う等の工夫をしてもらいま

したか?

5‑1.工夫をしてくれた どちらとも言えない 工夫はなかった 工夫の必要が ない 覚えていない

  5‑2.質問や意見を言えるように,選択肢や書字を使う等の工夫をしてもら いましたか?

5‑2.工夫をしてくれた どちらとも言えない 工夫はなかった 工夫の必要が ない 覚えていない

  6.同意書に署名をしましたか? 6.署名をした,署名しなかった,他の人が署名した[    ],覚えていない   7.説明を受けたことで,不安が減りましたか? 7.不安が減った どちらとも言えない 不安は減らなかった 覚えていない D)自由なコメント

  1.今までの先生(担当医)からの説明を受けた時のことで,何か印象に残っ ていることがあれば,教えてください

  2.こうして欲しかった等の要望や意見はありますか?

  3.これは良かったということはありますか?

E)病状説明と理解について

  1.自分の病気や体調について言葉で伝えられないのではないかという不安 を感じますか?

1.不安はない どちらとも言えない 不安がある   2.自分の病気についての先生からの説明が分からないのではないかという

不安を感じますか?

2.不安はない どちらとも言えない 不安がある

F)本日の説明と同意について

  1.本日の説明文書の内容は分かりましたか? 1.分かった どちらとも言えない 分からなかった   2.本日の同意文書は分かりましたか? 2.分かった どちらとも言えない 分からなかった   3.本日使用したような絵は理解を助けましたか? 3.そう思う どちらとも言えない そう思わない G)本日のインタビューについて

  1.答えの選択肢を書いた物を指さしていただくことは分かりやすかったで すか?

1.そう思う どちらとも言えない そう思わない

H)自由なご意見

(5)

した.その説明文書と描画を提示したうえで,文書 を音読し理解を確認しながら説明した.同意書も同 様の手続きで行った.

 その後,同意を得られた失語症者 22 名に IC に ついての半構造化面接を行い,その様子を録音およ び録画した.面接は 2013 年 7 月〜 2015 年 1 月に病 院の外来又は失語症友の会の開催場所の個室で実施 した.質問項目は急性期やリハビリ開始時そして退 院時(以下,3 時点)の説明と同意について,病状 説明と理解について,本日の IC とコミュニケー ション支援について,その他自由な意見などである

(表 3).対象に質問提示用の文字カードと回答のた めの選択肢と 3 〜 5 件法のスケールを提示し(表 4),

指さしあるいは口頭にて回答を求め,関連する自由 発話をすべて聴取した.面接所要時間はおのおの 1 時間程度であった.半構造化面接記録の録音と録画 映像の音声と動作は,分析のためにすべて文字に書 き起こし逐語録を作成した.

 3.分析方法

 1)3 時点の説明と同意 , および病状説明と理解に ついて,半構造化面接の結果を集計して検討した.

 2)本研究で用いた IC の説明文書と同意文書の

理解,および IC の際に用いた描画と半構造化面接 で用いた回答の選択肢が役に立ったかどうかについ ての回答を集計して検討した.

 3)逐語録から失語症者が IC を受けた時の思い についての発話を,責任著者と研究に関与していな い言語聴覚士 2 名が別々に抽出して,合致した発話 について検討した.また,1 名の失語症者について は発話内容と標準失語症検査(以下,SLTA)の結 果を検討した.

 4.倫理的配慮 

 本研究は昭和大学医学部医の倫理委員会におい て,承認が得られている(番号 1368).

結 果

 1.急性期やリハビリ開始時そして退院時の説明 と同意,および病状説明と理解についての半構造化 面接の結果

 説明を受けたか否かについては,急性期には覚え ていないという回答が最も多かった.リハビリ開始 時と退院時に最も多かった回答は,受けたであった

(表 5).説明者は,医師が最も多くその次はコメ ディカルついで看護師であった.

表 4 提示用の質問と回答の選択肢(一部抜粋)

A)最初の 入院について お聞きします

1.最初の病院の 入院中に,病気についての 説明を 受けましたか?

   ○     ×

  受けた 受けなかった 覚えていない

2-1.その説明を してくれたのは,誰 ですか?

    医者,看護師,ST,PT,OT,ソーシャルワーカー,その他(    ) 2-2.説明をしてくれた先生は,何科の 先生でしたか?

   脳外科,神経内科,外科,内科,リハビリ科

3.説明の 内容は,分かりましたか?

  

    ○      △        ×

  分かった どちらとも言えない 分からなかった 覚えていない

4-1.説明を 受けた時に,誰か 同席していましたか?

     ○       ×

   同席していた 同席していなかった 覚えていない 4-2.誰が 同席していましたか?

   夫,妻,家族(  ),病院職員(  ),その他(  )

(6)

 説明が分かったか否かについては,3 時点のいず れにおいても,半数以上のヒトが説明の内容が分 かったと回答した. 

 説明を受けた時に家族が同席していたという回答 が 3 時点ともに過半数であった.

 コミュニケーション支援については,説明を受け た時に理解支援のための工夫があったと回答したの

はリハビリ開始時に 3 名,退院時に 3 名であり,3 時点のいずれも過半数のヒトが工夫はなかったと答 えた.表出のための支援の工夫があったと回答した のはリハビリ開始時に 2 名,退院時に 1 名であり,

3 時点のいずれも過半数のヒトが工夫はなかったと 答えた.そして,3 時点のいずれも理解と表出とも に支援の工夫の必要がないと回答したのは同一の 1

表 5 急性期,リハビリ開始時,退院時の説明と同意についての半構造化面接結果

質問項目 急性期 リハビリ開始時 退院時

説明を受けたかどうか n = 22 n = 22 n = 22

 説明を受けた 3 18 18

  <説明者(複数回答) 医 2,看 2 医 9,コ 5,看 2,覚 2  医 17,コ 4,看 3 >

 説明を受けなかった  3  2

 覚えていない 16  4  2

説明が分かったかどうか n = 3 n = 18 n = 18

 説明が分かった  2 11  9

 分からなかった  3  2

 どちらとも言えない  1  3  4

 覚えていない  1  3

同席者について n = 3 n = 18 n = 18

 家族が同席  3 13 13

 同席していなかった  4  3

 覚えていない  1  1

 質問を実施せず  1

コミュニケーション支援について n = 3 n = 18 n = 18  理解支援のための工夫の有無

  工夫があった  3  3

  工夫はなかった  2 13 10

  どちらとも言えない

  必要がない  1  1  1

  覚えていない  1  4

 表出支援のための工夫の有無

  工夫があった  2  1

  工夫はなかった  2 12  9

  どちらとも言えない  1  1

  必要がない  1  1  1

  覚えていない  2  6

説明を受けた後の不安の変化について n = 3 n = 18 n = 18

 減った  2  3

 減らなかった  2  6  4

 どちらとも言えない  1  8  8

 覚えていない  2  3

説明者の略標記は、医;医師,看;看護師,コ;コメディカル,覚;覚えていないを示す.

説明が分かったかどうか以降の質問項目は,説明を受けた人を対象とした.

(7)

名であり,ボストン失語症重症度尺度 5 のヒトで あった.

 説明を受けた後に署名をしたか否かについては,

回答にばらつきがあり一定の傾向は見られなかった.

 説明を受けたことで不安が減ったか否かについて は,減ったと回答したのはリハビリ開始時に 2 名,

退院時に 3 名であった.不安が減ったと回答したヒ トは,全員説明が分かったと答えたヒトであった. 

自分の病気や体調について言葉での伝達に不安を感 じるかどうかについては,不安を感じると答えたヒ トと不安を感じないと答えたヒトが 11 名の同数で あった.自分の病気についての先生からの説明の理 解に不安を感じるかどうかについては,不安はない と回答したのは 15 名,どちらとも言えないと回答 したのは 3 名,不安があると回答したのは 4 名で あった.

 2.本研究における IC と,コミュニケーション 支援について

 本研究の説明文書の内容について分かったと答え たヒトは 22 名であった.また,本研究の同意書の 内容が分かったと答えたヒトは 21 名,どちらとも いえないと答えたヒトは 1 名であった.

 本研究におけるコミュニケーション支援につい て,説明の際に提示した絵は理解を促進したと回答 したヒトは 18 名であり,促進したと思わないと答 えたヒトは 4 名であった.理解を促進したとは思わ ないと答えたヒトは,ボストン失語症重症度尺度 4 が 3 名,5 が 1 名であり「自分には必要がない」と 述べた.

 半構造化面接の際に答えの選択肢が役に立ったと 回答したヒトは 20 名であり,どちらともいえない と回答したヒトは 1 名,役にたったと思わないと回 答したヒトは 1 名であった.どちらともいえない,

役に立たなかったと回答したヒトはボストン失語症 重症度尺度 4 又は 5 であり,「自分には必要がない」

と述べた.

 3.IC を受けた時の思いについて(表 6)

 急性期に表出は困難だったが,医師が本人は何も 分からないだろうと判断し,目の前で話された予後 不良の話を全部理解できていたと話した失語症者が いた.そこで,その数日後に実施された SLTA の 結果を確認したところ,聴覚的理解については単語 の理解は 9 割,短文の理解は 8 割の正答であり口頭

命令に従うには正答がなかった(図 2).表出面は 呼称や動作説明が制限されており重度の障害が認め られた.

 リハビリについての説明は「一体なにをやるんだ ろうなあ」と分からず,「ST とか PT というのは 行ってみて分かった感じ」であった.元々リハビリ についての認識が不十分で,自分の状態把握が不十 分であった.退院については,退院することは分 かったが「退院後のことはさっぱり分からなかっ た」であった.

 どのようなコミュニケーション支援を受けたのか については,理解支援ではリハビリ開始時には,

ジェスチャー,絵,言語聴覚士が作ってくれたファ イルであり,退院時には「退院日を黒板に書いて あった,CT,いろんなこと」であった.表出支援で はリハビリ開始時には「選択肢」「あいうえお表が あったけれどあまり役に立たなかった」であり,退 院時には選択肢や文字を書いたということであった.

 一方,失語症発症後に受けた外科手術の説明につ いては,「絵を描いてくれましたね.100%分かった」

であった.

 説明を受けた時に質問したいことがあったけれど

「それすら言えない」で,また,家族が「代わりに 言ってくれる」であった.

 説明を受けて不安が減らなかったのは,急性期に は「まだ症状が分からなかった」,リハビリ開始時 には「私は重症だと初めて分かった」,退院時には 退院後に「一般の生活ができるのかな」であった.

考 察

 1.失語症者に対する IC の現状と,医療従事者 のなすべき支援について

 急性期に病気についての説明を受けたかどうかに ついては,半構造化面接の結果から覚えていない人 が多かった.しかし失語症者の発話から,急性期に は表出は困難で何も分かっていないようにみえて も,話の内容を理解して覚えていた失語症者がいる ことが示された(表 6).そして,この失語症者の 当時の SLTA 結果から複雑な内容を聞いて理解す ることは困難だが,日常会話の概要は理解できるレ ベルであったと考えられた(図 2).したがって,

本人の発話内容は信頼できると考えられた.このこ とから急性期における IC の際には,表出は困難で

(8)

表 6 失語症者が IC を受けた時の思い

分類 要約 発話者数 失語症者の発話

発症初期 分からないだろうと判 断されて,目の前でさ れた予後不良の話を理 解できていた

1 ン〜何か,俺に対して,やっぱり説明がしてないし

ただ名前言ってくださいって,そしたらあ〜言えないのかって感じで お母さんとかに,俺に対して言ってるかは分からないけれども あ〜難しいですよねって,普通に生活するのはちょっと

リハビリは長いし,やっぱり,厳しいリハビリになるかもしれないとか,普 通に生活はちょっととか,仕事ももしかしたらまずいかもとか

厳しい,○さんはたぶん厳しい症状が多いし たぶん言葉のほとんどがもし かしたらだめかもしれない

症状がだぶん症状がぼ〜っとした表情で,何でも言っても分からないと思っ たんじゃない,先生が若いから

でもだいたい分かるね,すぐ倒れたときも救急者の中でも いっちゃってた表情とかしてたかもしれないけど全部分かるね 言葉も聞く力も書く力も無くなったけど

頭の中では正常だから,だから何だろう,全部分かる みんな分からないから普通に喋るけれども

説明を受けて不安は減 らなかった

1 まだ症状が分からなかったので,不安が減ったとはいえない リハビリ

開始時

説明が分からなかった 4 どういうこと,なにすんのっていう感じ 一体なにをやるんだろうなあみたいな PT とか ST とか,全く分かんなかった いや,分かんない

リハビリについての認 識が不十分であった

5 最初はまずリハビリということが分かんないから

うん,リハビリっていうのはど,何なのっていうのはまだ頭が全然 3 つあるというのは何となくありましたけれど

ST とか PT というのは行ってみて分かった感じ

ST というのは,自分の言葉のことなんだなって,行ってみたら,ことば 自分の状態把握が不十

分であった

1 なんで私がリハビリて感じ 理解支援のための工夫

があった

3 ジェスチャー(選択肢の指さしにて回答)

ST がファイルを作ってくれた 表出支援のための工夫

があった

2 選択肢が有りました

あいうえお表があったけれど,あまり役に立たなかった 説明を受けて不安は減

らなかった

1 私は重症だということがね,そこで初めて分かった 退院時 説明が分からなかった 2 退院するだけは,分かりましたね

退院後のことについてはさっぱり分からなかった 理解支援のための工夫

があった

3 いろんなこと

退院日を黒板に書いてあった CT

表出支援のための工夫 があった

1 (選択肢や文字を書くとかを)してるしてる 説明を受けて不安は減

らなかった

1 退院して良かったと言う気持ちと,退院してこれからどうしよう,一般の生 活できるのかな,と言う気持ちが入り混じって

外科手術 説明がよく分かった 2 絵を描いてくれましたね.100 パーセント分かった.

(絵を使っての説明)ありました.あの先生はよくやってくれた 質問 質問できなかった 2 (質問したいことが)ありました,それすら言えない

(質問したいことがあったけれど)口ではなんにも話せなかったから 家族 代弁してくれた 1 (家族が)代わりに言ってくれる

(9)

も理解は可能である失語症者がいることを念頭に置 い て 説 明 を す る 必 要 が あ る と 思 わ れ た. ま た,

LPAA 声明にあるような,急性期から当事者に自 分の回復へのプロセスに参加してもらうという考え 方や主観的次元という観点からも,急性期に病気に ついて説明することは意義があると考えられた.一 方,リハビリ開始時と退院時の説明については説明 を受けたと回答する人が多かった.

 リハビリ開始についての説明は分かったと回答し たヒトが半数以上であった.しかし,どちらともい えないと回答したヒトが 3 名と分からないと回答し たヒトが 3 名いたことから,何をするのかが分から ないままにリハビリが始まったヒトがいたことを示 している.リハビリ開始の説明が分からなかった要 因の一つとして,失語症者はリハビリとは何かとい う認識を持っていなかったこと,特に理学療法とか 言語聴覚療法という部門分けについてはまったく知 らなかったことも関与しているのではないかと思わ れた.したがって,対策として,リハビリ開始につ いては具体的に説明をすることが必要だと考えられ

た.たとえば,理学療法,作業療法,言語聴覚療法 の訓練場面の一例などを撮影した説明用ビデオのよ うなツールを開発し,視覚的に示すことによって,

リハビリについての具体的な理解を促進できるかも しれないと考えられた.

 退院についての説明が分かったと回答したヒトは 半数であった.発話の抽出(表 6)から,退院する ことは分かったが,退院後の生活が予想できないと いう不安を抱えている可能性があると思われた.対 策として,退院後の生活が具体的に予測できるよう な退院計画を話しあうことが必要かもしれないと考 えられた.近年の課題である地域包括ケアシステム を視野に入れて,医療従事者と退院後に支援を担当 する地域の関係者が連携をとりあうことによって,

失語症者の不安を軽減できる可能性があると考えら れた.

 一方,失語症発症後に外科手術を受けた 2 名は,

絵が示され,手術についての説明はよく分かったと 答えていた(表 6).2 名の発言なので一般化するこ とは困難であるが,手術の説明はリハビリや退院の 説明よりはシンプルで失語症者にとって理解しやす かったのか,あるいは絵の提示により理解が促進さ れた可能性があるのかもしれないと考えられた.

 さらに,IC において医療従事者は患者が質問し やすい雰囲気をつくり,「何か分からないことはあ りませんか?」という一言を加えることが理解を助 けると提言されている

7)

.しかし,失語症者は質問 したいことがあっても表出できなかったと思われ た.対策としては,失語症者が質問できるようなコ ミュニケーション支援や,質問することを支援する 家族あるいは言語聴覚士などの支援者の同席を検討 する必要があると考えられた.

 署名については,一定の傾向がみられなかったこと から,失語症者の同意の確認についてはまだ共通し た対策は講じられていないのではないかと思われた.

 IC の説明者は,医師が一番多かったが,コメ ディカルや看護師もいたことから,関係職員が一貫 した説明を行うためにカンファレンスなどで情報を 共有しておくことが必要だと思われた.

 2.説明を受けた時のコミュニケーション支援に ついて

 理解と表出支援のための工夫はなかったと回答し たヒトが 3 時点ともに過半数であったことから現状

図 2  急性期に表出は困難だったが医師の話は理解で きていたと話した失語症者の,当時の標準失語 症検査結果

(10)

では多くの失語症者は,IC の際にコミュニケーショ ン支援を受けていないと考えられた.

 3.説明を受けたことによる不安の変化について  急性期やリハビリ開始時そして退院時に,説明を 受けたことによって必ずしも不安が減らなかったと いう結果であった.それは失語症者の発話の抽出

(表 6)から,急性期やリハビリ開始時には自己の 症状把握が不十分であること,退院時には退院後の 生活への不安があることが関与していると思われ た.また,失語症者は不安を感じた時に発話で尋ね ることができないことも,説明を受けた時に不安を 軽減できない理由の一つかもしれないと考えられ た.一方,不安が減ったと回答したヒトは全員説明 が分かったと回答したヒトであったことから,不安 の軽減のためにはまず,失語症者に対して分かるよ うに説明することが重要であると思われた.

 4.本研究の IC における説明文書と説明時のコ ミュニケーション支援について

 IC の説明文書の表現の分かりやすさについては,

米国で文書の readability を調べた研究が見られる.

Grossman ら

8)

は米国のリテラシー調査結果から IC の説明文書は教育年数 8 年生レベル程度の難易度で 書かれるべきであると考え,137 種類の IC 説明文 書を調べた結果,平均 11 〜 14 年生レベルであった と報告している.その後 Paasche-Orlow ら

9)

は米国 114 の医科大学が Web 上で公開している説明文書 の雛形について調べて,readability は平均 10.6 年 生レベルであったと報告している.本邦では,野呂 ら

10)

が健常者 181 名を対象に胃カメラの説明文書に ついての理解度を調査した結果,内容を 8 割以上理 解できたヒトは 22.8%であったと報告している.ま た,野呂ら

11)

は健常な大学生を対象にした調査の結 果,分かりやすい説明文書を読んだヒトの理解度の ほうが分かりにくい説明文書を読んだヒトより有意 に高かったと報告している.このように現状では説 明文書は一般のヒトにとっても難しい表現になって いること,更に説明文書を分かりやすく改善するこ とによる効果が報告されており,とりわけ失語症者 にとっては説明文書の工夫が必要であると思われ た.Worrall ら

12)

は失語症者に分かりやすい書字情 報の 4 原則は,本文の語彙と構文を単純にする,大 きいフォント,十分な余白,適切なイラストだと報 告している.本研究で IC を行う際に使用した説明

文書は,これらの原則に従った表現で記載すること に努めた.そして,IC の際には説明文書の内容を 示す描画も併用して示した.その結果,全員が説明 文書の内容は分かったと答えた.また,説明の際に 絵を提示したことが理解を促進したと回答した人が 多かったことから,IC の際に説明文書の描画を示 すことは,失語症者の理解を促進できたと考えられ た.一方,描画が理解を促進したとは思わないと回 答したヒトは,ボストン失語症重症度尺度 4 か 5 の 軽度失語症者であったので,コミュニケーション支 援の必要性は失語症の重症度によって変化すると思 われた.

 5.本研究における半構造化面接時の表出に関す るコミュニケーション支援について

 半構造化面接の回答の際に,答えの選択肢が役に 立ったと回答したヒトが多かったことから,答えの 選択肢は表出支援の一つとして有効であると考えら れた.

 6.意思疎通支援者について

 IC の際に家族が同席していたと回答したヒトが 多かったことや,家族が代弁してくれたという発話 が見られたこと,また半数のヒトは自分の病状をこ とばで伝えることに不安を感じていたことから,IC の際には失語症者の意思伝達や理解面を支援するヒ トの同席が必要な場合があると考えられた.特に,

単身者や本研究で対象に加えることができなかった ボストン失語症重症度尺度の 0 と 1 の重度失語症者 等は IC の際に困難を抱えている可能性があり,そ の支援のためにはコミュニケーション支援を実践で きる専門家が必要かもしれないと考えられた.本邦 では,Kagan ら

4)

の考え方に触発された言語聴覚士 が東京や神奈川などで失語症者との会話を支援でき る失語症会話パートナー養成講座を開催してい る

13)

.さらに,日本失語症協議会は,現在は手話通 訳などに限定されている意思疎通支援事業の対象を 失語症者に対しても認めるようにという意見書

14)

を 提出している.今後,失語症者に対しても意思疎通 支援者の派遣が実現された場合には,IC の際に同 席して理解や表出の支援をすることが役割の一つと して考えられるのではないかと思われた.また,失 語症者の自己決定能力について日本失語症協議会 は,失語症者は意思決定が可能な場合が多いとした うえで,場合によっては成年後見制度の利用を考慮

(11)

してゆく必要があると述べている

14)

.一方,イギリ スで 2005 年に制定された意思決定能力法では,判 断能力が不十分な状態にあっても本人を意思決定の 主体となるようエンパワーメントするという考え方 が盛り込まれている.失語症者にコミュニケーショ ン支援のある状況で IC をすることは,失語症者を エンパワーメントすることに繋がると考えられた.

 7.まとめと今後への課題

 急性期の IC をする際には,表出は困難だが理解 は可能である失語症者がいることを念頭に置く必要 があると考えられた.リハビリ開始についての説明 は具体的に行うことが望まれた.退院時の説明は,

退院後の生活を予想できるような話し合いにより失 語症者の不安を軽減できる可能性があると思われ た.IC によって失語症者の不安を軽減するために は,まず失語症者が理解できるように説明をするこ とが重要であると考えられた.本研究の倫理規定と しての IC の際の描画の提示は,失語症者の理解を 促進できたと思われた.また,半構造化面接で用い た回答の選択肢は表出の支援になったと考えられ た.しかし現状では,多くの失語症者は日常診療に おける IC の際にこのようなコミュニケーション支 援を受けていないことが明らかになり,今後の実践 が望まれた.

 本研究は IC に関する客観的な事実というよりも,

失語症者の思いについて調査し検討した.今回の対 象は機縁法で募集した 22 名であり,面接実施地域 も限定されている.分析結果を一般化するには限界 があると思われるので,今後さらに地域や対象者を 増やして面接調査とその分析をすることが必要だと 思われる.

謝辞 本研究に際しましては,半構造化面接に快くご協

力くださいました失語のある方々,紹介の労を取ってく ださいました先生方,また多大なるご指導をくださいま した筑波大学人間系教授宇野彰博士,逐語録の作成や分 析にご協力くださいました言語聴覚士の市川勝先生,高 濱美佐子先生,山崎友莉先生,宮内恵美先生,そして説 明用の描画を描いてくださった言語聴覚士の高橋政道先 生に深く感謝申し上げます.

利益相反

 本研究において開示すべき利益相反はない.

文  献

1) 水野 肇.インフォームド・コンセント 医療 現場における説明と同意.東京:  中央公論社; 

1990.

2) 鈴木堅二,竹内正人,脳卒中リハビリテーショ ンの IC と CP.脳と循環.2003;8:225‑229. 

3) The LPAA Project Group, Chapey R, Duchan  JF,  . Life participation approach to apha- sia : a statement of values for future. 

. 2000;15:4‑6.

4) Kagan A, Black SE, Duchan FJ,  . Training  volunteers  as  conversation  partners  using  Supported  Conversation  for  Adults  with  Aphasia  (SCA : a controlled trial). 

. 2001;44:624‑638.

5) 上田 敏.ICF の理解と活用 人が「生きること」

と「生きることの困難(障害)」をどうとらえ るか.東京: きょうされん; 2005.

6) 日本医師会.医師の職業倫理指針.改訂版.2008 年 6 月.(2016 年 1 月 20 日 ア ク セ ス ) http://

dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20080910̲1.pdf 7) 白浜雅司.インフォームド・コンセント.日本 内科学会認定内科専門医会編.医療ビックバン の基礎知識 医療の大変革を理解するために.

東京: 日本内科学会; 1999. pp52‑57.

8) Grossman SA, Piantadosi S, Covehey C,  . Are informed consent forms that describe clin- ical oncology research protocols readable by  most patients and their families?  . 1994;12:2211‑2215.

9) Paasche-Orlow MK, Taylor HA, Brancati FL. 

Readability  standards  for  informed-consent  forms as compared with actual readability. 

. 2003;348:721‑726.

10) 野呂幾久子,邑本俊亮.インフォームド・コン セントのための説明文書に対する一般市民の理 解度とわかりやすさ・安心感.医療の質・安全 会誌.2007;2:365‑377.

11) 野呂幾久子,邑本俊亮.インフォームド・コンセ ント説明文書のわかりやすさと情緒的配慮の記述 が患者アウトカムに与える影響 大学生を対象 とした調査.日医療行動会報.2009;24:102‑116.

12) Worrall L, Rose T, HOWE T,  . Access to  written information for people with aphasia.

. 2005;19:923‑929.

13) 地域 ST 連絡会失語症会話パートナー養成部会 編.失語症の人と話そう 失語症の理解と豊か なコミュニケーションのために.東京:  中央法 規出版; 2004.

14) 日本失語症協議会, 八島三男,園田尚美.障害

福祉サービスの在り方に関する論点整理のため

のワーキンググループ 手話通訳等を行う者の

派遣その他の聴覚,言語機能,音声機能その他

(12)

INFORMED CONSENT FOR ADULTS WITH APHASIA: EVALUATION OF   THEIR IMPRESSION OF A SEMI-STRUCTURED INTERVIEW

Mizue M

ATSUMOTO 1, 2)

, Naomi Y

OSHIOKA 1, 3)

,   Nobuyuki K

AWATE 1)

 and Masazumi M

IZUMA 1)

1)

Department of Rehabilitation Medicine, Showa University School of Medicine

2)

Department of Speech Therapy, Shuto Iko

3)

Department of Rehabilitation, Nansho Hospital

 Abstract    The purpose of this study was to clarify the necessary support to be provided for  adults with aphasia in Informed Consent (IC).  We investigated their impression of medical IC.  Twenty- two adults with aphasia in-home were recruited to have a semi-structured interview on IC at their acute  phase, the time of starting rehabilitation, on discharge, and in the current study.  The speech-language- hearing therapist obtained their IC for this study with drawings to illustrate key ideas and documents  written in short sentences.  When participants answered each question in the interview, they could use  the written choices by pointing, if necessary.  We, furthermore, extracted phrases which expressed their  feelings about IC from the interview records.  A number of the participants did not remember IC at the  acute phase. Some participants could not understand IC at the time of starting rehabilitation or on dis- charge.  The majority of them were provided the IC without communication support.  Obtaining IC did  not always help them to relieve their concerns about their disorders and prospects.  Most of them an- swered that the use of drawings helped to comprehend IC. They also reported that pointing to the writ- ten choices on the interview aided the  expression of their thoughts.  One participant reported he could  understand the talk of the doctor well although he could not speak clearly. They commented they could  not ask a question due to their disorders.  The results suggested the communication support is helpful,  but not sufficiently applied in clinical practice reporting IC.  Medical staffs should provide the communi- cation supports such as drawings and concrete terms when obtaining IC from adults with aphasia.

Key words:  informed consent, aphasia, communication support

〔受付:3 月 17 日,受理:4 月 12 日,2016〕

の障害のため意思疎通を図ることに支障がある 障害者等に対する支援の在り方に関する論点整 理のための作業チーム意見書.2015  年 3  月 12  日(2015 年 11 月 15 日アクセス) http://www.

japc.info/dl̲files/2015-3-12%20150311ikensho.pdf

15) 菅富美恵.自己決定を支援する法制度 支援者 を支援する法制度 イギリス 2005 年意思決定 能力法からの示唆.大原社会問題研究所雑誌.

2010;622:33‑49.

表 3 半構造化面接の質問項目と回答の選択肢 A)急性期における説明と同意   1.最初の病院の入院中に,病気についての説明を受けましたか? 1.受けた 受けなかった 覚えていない   2‑1.その説明をしてくれたのは,誰でしたか? 2‑1.医者,看護師,ST,PT,OT,ソーシャルワーカー,その他(  )   2‑2.医者であった場合には,説明をしてくれた先生は,何科の先生でした か? 2‑2.脳外科,神経内科,外科,内科,リハビリ科 3.説明の内容は,分かりましたか? 3.分かった どちらとも言えない 
表 6 失語症者が IC を受けた時の思い 分類 要約 発話者数 失語症者の発話 発症初期 分からないだろうと判 断されて,目の前でさ れた予後不良の話を理 解できていた 1 ン〜何か,俺に対して,やっぱり説明がしてないし ただ名前言ってくださいって,そしたらあ〜言えないのかって感じでお母さんとかに,俺に対して言ってるかは分からないけれどもあ〜難しいですよねって,普通に生活するのはちょっと リハビリは長いし,やっぱり,厳しいリハビリになるかもしれないとか,普 通に生活はちょっととか,仕事ももしかしたらまずい

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東海日本語ネットワーク 代表 酒井美賀