• 検索結果がありません。

第4章 情報の時間

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "第4章 情報の時間"

Copied!
14
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

第4章 情報の時間

教科等ならびに総合的な学習の時間における言語活用能力の向上を図るための,

教科横断型「情報の時間」開設を核とした教育課程の研究開発

河野 卓也

� �情報の時間�の��

「情報の時間」を新設して各学年で 35 時間(週 1時間)の授業を実施することで,各教科で習得し た知識を総合的な学習の時間等での探究活動につ なげるための「活用」を通して体系的に学ばせた。

「情報の時間」では,批判的思考力・問題解決 能力・問題発見能力を育成し,生徒の感性と論理 的に考える力を高めることと,高度情報通信社会 に生きる力の育成を図ることを目標とし,情報を 吟味したり生産したりするための基本的な知識や 思考法を,中学生の発達段階を考慮し教科横断的 に学ばせるようにした。

「情報の時間」の構築にあたっては,学習活動そ のものを情報の観点から捉えなおし,情報の本質の 探究や,情報の活用,内容の吟味等に必要な力を育 てることを軸にカリキュラムを作成した。また,教 科等及び総合的な学習の時間において,「情報の時 間」で学習した内容をフィードバックすることで,

言葉(言語活動)と体験,習得と探究を関連づけよう とする教育課程の研究開発を行った。各教科で習得 した知識を総合的な学習の時間での探究につなげ るための「活用」を,「情報の時間」を通して体系 的に学ばせようとした。

「情報の時間」の創設は,本校が従前から取り組

んでいるさまざまな学習から表出してきた問題点 や,生徒に求められる力の変化,情報に関する社会 の変化などがきっかけとなっている。このカリキュ ラムを構築し実践することになった主たる理由は 以下の三点である。

����情報�������情報の時間��

本校では,情報活用能力の育成を目的とした「情 報生活科」を平成12年度に創設し,実践を行って きた。この「情報生活科」では,情報機器の扱いに 主眼を置いて作品などの制作を通して学習するこ とが多く,授業時間の多くをコンピュータなどの情 報機器を用いた学習にあてていた。情報生活科の創 設と前後して,校内からインターネットに接続でき る環境が整備され,簡単にコンピュータを利用でき るようになった。生徒はこれらの情報機器や手段に 強い興味を示すことが多く,この要望に応えること もコンピュータをつかう授業の目的としていた。そ れまでコンピュータにふれたことがなかった生徒 に対して,コンピュータの操作に慣れさせるととも に,学習に利用する方法を学ばせるという要望に当 時の情報生活科の内容はよく対応しており,効果を あげることができた。しかし,生徒が家庭で簡単に コンピュータなどを扱うことができるようになり,

携帯電話などの情報端末を個人で所有することが 本論の要旨

新しい学習指導要領[1]において重視されている,知識基盤社会で必要な知識を活用する力を高めるため に,中学校での新教科「情報科」を平成19年度より実施してきた。本教科では,情報機器の取り扱いを 学ばせることに主眼を置かず,情報を活用し創造するための能力の育成を目指して,情報を正しく取り 扱う手法を学ぶことを中心としたカリキュラムを構築した。

平成 22年度からは文部科学省研究開発学校指定を受け,言葉(言語活動)と体験,習得と探究を関連づ けるための新教科の構築を中心とした教育課程の研究開発を行っている。

研究開発では,「情報の本質を探究する・情報の活用を実行する・情報の内容を吟味する」の視点を明 確にした学習を深めさせることによって,各教科や総合的な学習の時間における言語活用能力の向上を 図ることができると考え,「情報の時間」のカリキュラムを構築し,授業実践を通して効果を測定した。

キーワード 言語活動,情報科,カリキュラム

(2)

情報 2 多くなる中で,情報機器や手段に対する興味・関心 をもとにした授業は徐々にその主たる役割を失う ことになった。

情報生活科の実践をはじめて 5 年目にあたる平 成 16年度に,各家庭における情報機器などの環境 について調査したところ,生徒の家庭での情報に関 する環境は予想以上に充実していることがわかっ た。調査は第3学年の105名に対して行ったもので ある。

家庭でのコンピュータ所有率 99% うち複数台所有率 57% 家庭でのインターネット接続率 94% コンピュータの利用制限なし 88%

以上の結果から,情報生活科を創設した当初とは 生徒のコンピュータ利用の形態は大きく異なって おり,コンピュータに慣れさせることが必要な段階 ではないことを確認することができた。また,イン ターネット利用について家庭で約束していること を聞いたところ「時間の制限」が12%,「閲覧す るサイトの制限」が4%となり,ほとんどの生徒が 自宅にコンピュータを所有し,特に制限なくインタ ーネットを利用していることがうかがえた。この段 階から,情報生活科の学習はコンピュータ利用では なく,コンピュータの正しい利用,モラル・ルール に軸足を移していくことになった。

平成17年度以降の「情報生活科」では,情報機 器や手段の取り扱いに対して,アクセルを踏むので はなく,ブレーキをかけることも重要であると考 え,情報を取り扱うためのモラルやルールについて の指導を充実させた。しかし,情報機器や手段の正 しい利用については指導をすることができても,情 報を活用し生活や学習に生かすための能動的な情 報の取り扱いについては,充実した指導をすること が難しい状況になっていた。

これらの経緯から,情報機器の取り扱いを指導す る前に情報の正しい取り扱いを指導することが重 要な課題であると考え,「情報生活科」をベースに して新たな学習をさせる場を構築する必要が生じ てきた。

������������������

�������

生徒がコンピュータやインターネットを簡単に 扱うことができるようになってから,本校が27 年 間にわたり実践してきた,異学年合同のグループで 各グループの課題について調査研究を行う総合学

習「BIWAKO TIME」の実践にも大きな変化が起

こってきた。

グループでの課題について調査することは,イン ターネットを利用することで劇的に簡単になった。

それまでは,図書室などの限られた情報源と,関連 する施設などを実際に訪問することによってしか 調査を進める手段がなかったが,多くの情報をたや すく入手し保存することができるようになった。し かし,これらの情報を掻き集めて吟味せずに用いる 生徒も多く,情報の切り貼りだけの研究に終始する グループが増えることにつながった。体験を通して 学ぶ場面が減ったこともあり,この変化によって,

生徒の学びの質は著しく低下したと感じる教員が 多くなった。また,調査した内容を発表することも,

コンピュータによるプレゼンテーションにより大 変簡単に効率的にできるようになった。しかし,発 表の派手さに気を取られる生徒が多く,内容は薄い ものの表現が派手なものを高く評価する傾向がみ られるようになった。これらのことは,コンピュー タやインターネットを導入したことが生徒の学習 の場に負の影響を与えていると考えられた。コンピ ュータやインターネットの導入による影響につい ては,ネットワークの不適切な利用による問題の発 生や,生徒を危険にさらす状況をつくってしまう可 能性をあげることが多いが,そのことよりも,適切 な指導を欠いた状態での安易な利用が,生徒の学び の質を低下させる要因になることがわかってきた。

総合学習などの時間において,教科等で学習した 知識を活きて働かせるためには,活用の「場」を準 備するだけでなく,活用するための「方法」を学ぶ ことが重要であり,教科を超えて普遍的なこれらの 方法知を体系的にかつ効率的に学ばせることの必 要を強く感じることになった。総合的な学習の時間 の学習をより良いものにするために,教科で学んだ 知識を,探究活動につなげるための活用方法につい て,整理し学習させたいと考えた。

�����������������

新しい学習指導要領では,言語活用能力や知識基 盤型社会で必要な知識を活用する力を高めること が重要視されている。各教科での学習の中で学習内 容を単に理解することはできても,与えられた情報 について深く考え,新たな考えを作り出すための思 考力や,読解力,創造力が身についていない生徒が 多いことに問題を感じていた。

これらの能力を身に着けさせるための指導が各 教科での授業で求められている。しかし,教科の学 習内容を確実に理解させるための授業の中で,この

— 174 —

(3)

目標に近づくことは容易ではない。各教科にまかせ るのではなく,求められる力を身に着けさせるため の指導内容を,新たな教科として体系的に再編する ことによって,すべての教科にフィードバックでき る内容の教科を構築できるのではないかと考えた。

求められる内容を包括的に考えるためのキーワー ドは,「情報の取り扱い」であり,「情報機器や手 段の取り扱い」とは一線を画すものである。このこ とから,言語活用能力や知識を活用する力を身に着 けさせる授業の構築の礎として,「情報を正しく取 り扱う力」を置くこととし,新たな学習内容を編み 出す基本的な方針としている。

㧞 ᖱႎߩᤨ㑆 ࠞ࡝ࠠࡘ࡜ࡓ

「情報の時間」の構築にあたっては,文・理系 双方を含む「情報学」に基づいて学習活動そのも のを情報の観点から捉えなおし,情報の本質の探 究や,情報の活用,内容の吟味等に必要な力を育 てることを軸にカリキュラムを作成した。また,

教科等及び総合的な学習の時間において,「情報 の時間」で学習した内容をフィードバックするこ とで,言葉(言語活動)と体験,習得と探究を関

連づけようとする教育課程の研究開発を行った。

カリキュラムの構築には,高等学校普通教科「情 報」などを参考にし,生徒が情報の正しい扱いを学 ぶために必要な内容を抽出し,網羅的なカリキュラ ムのもと細分化した単元構成をとった。

「情報の時間」は,情報機器の構造や操作につい ての学習と情報に関する技術の一部も扱うが,主た る内容とはしていない。教科等や総合的な学習の時 間の基底の知識・技能としてはたらく学習内容を主 とし,中学校の技術・家庭科技術分野の「情報に関 する技術」や,オフィスソフトの使用法を教えるこ とが多い今般の情報教育とは異なる内容の授業実 践を行うことにした。表1に今年度の「情報の時間」

のカリキュラムを示す。

各学年の「情報の時間」の半期ごとの内容につい て,単元の概要,各授業の内容を紹介する。

1)╙ ቇᐕ೨ᦼ ޟࠦࡒࡘ࠾ࠤ࡯࡚ࠪࡦޠ

「コミュニケーション」は「人のコミュニケーシ ョン」,「メディアによるコミュニケーション」の 二単元で構成した。「コミュニケーション」の内容 を,人間同士の直接的な情報のやりとりに特化した 単元と,さまざまなメディアを通した情報のやりと

表1 平成22年度「情報の時間」カリキュラム

学年・期 内容 単元 時数

1年

前期 コミュニケーション(10)

人とのコミュニケーション 5

メディアによるコミュニケーション 5

1年

後期 情報の活用(24)

アイデアを練ろう 8

分析しよう 8

発表しよう 8

2年

前期 データと情報(10)

データ量と情報量 5

データの質とディジタルデータ 5

2年

後期 情報の処理(24)

データを集めよう 8

データを処理しよう 8

情報を表現しよう 8

3年

前期 思考と創造(16)

論理的に理解しよう 8

論理的に表現しよう 8

3年

後期 情報社会(15)

情報の本質 5

情報と経済・犯罪 5

これからの情報社会 5

(4)

情報 4 りを学ぶ単元に分けることで,両者の特性を比較 し,場面に応じたコミュニケーションについて学ば せた。

「人とのコミュニケーション」単元では,普段あ まり意識されることのないコミュニケーションに ついて, 多様な場面設定の議論などを通して情報 のやりとりの面からの理解を深めさせた。人同士の 情報のやりとりや,対多数の場合での情報伝達に関 して考えることで,その情報伝達の技術や工夫につ いて理解させた。

「メディアによるコミュニケーション」単元で は,情報が一方的に伝達されるものと相互にやりと りされているものについて目を向けて,特徴をまと めさせたり,比較させたりして,望ましい情報の発 信や,情報を受け取る態度について考えさせた。あ るシーンを音のみ聞いて,あるいは,映像も合わせ て想定する場合などの場面を設定し,情報伝達には 様々な手段が講じられていることを実感させ,メデ ィアを通したコミュニケーションの特徴について,

さまざまな活動を通して考えさせた。

ޟࠦࡒࡘ࠾ࠤ࡯࡚ࠪࡦޠ ᝼ᬺߩౝኈ

ੱߣߩࠦࡒࡘ࠾ࠤ࡯࡚ࠪࡦ 㧡ᤨ㑆 授業 内容

第1時 アンケート調査

第2時 人とのコミュニケーション 第3時 コミュニケーションの手段 第4時 人に伝えるコミュニケーション 第5時 人とのコミュニケーション

ࡔ࠺ࠖࠕߦࠃࠆࠦࡒࡘ࠾ࠤ࡯࡚ࠪࡦ 㧡ᤨ㑆 授業 内容

第1時 電話の歴史

第2時 情報伝達の形を考える 第3時 情報の流れの方向を考える。

(単方向と双方向)

第4時 メディアの性質

(モールス信号の体験)

第5時 インターネットとコミュニケーシ ョン

㧔㧕╙ ቇᐕᓟᦼ ޟᖱႎࠍᵴ↪ߒࠃ߁ޠ

「情報を活用しよう」は,「アイデアを練ろう」,

「分析をしよう」,「発表をしよう」の三単元で校 正した。

「アイデアを練ろう」の単元では,ものごとをいろ いろな視点から興味を持って見ないと大切な情報 でさえ見落としてしまうことを体験させたるとと

もに,アイデアを見える形にするためにシンキング ツールを利用し,個人やグループでアイデアを練り 込む方法について学習させた。アウトラインを考え てから構造的に情報を構築したり, 対比や集合を つかって,見落としている要素に気づかせたりする ことでアイデアを具現化していく手法について考 えさせた。総合的な学習の時間での研究の企画な ど,課題解決型学習では,生徒がアイデアを出して 実現可能な企画にまで高めることが必要となる。情 報を収集し編集して発信することは容易になった が,一次的なアイデアを自ら生み出すための手法に ついては学習させていないことについての反省か ら本単元を構築した。

「分析をしよう」の単元では,情報源からの情報 を整理し,その特徴を分析することを体験させた。

情報源とは様々な特徴や特質をもった情報の集ま りであることを確認し,いくつかの情報源から情報 を抽出して分析を行わせた。既習のシンキングツー ルを用いて情報を分析し,原因を確認したり検証し たりする一連の流れを学ばせた。授業では,生徒個 々のバスケットボール技能や百人一首の技能につ いて分析をさせ,引き分けが期待されるチーム作り

上「人とのコミュニケーション」

下「メディアによるコミュニケーション」

— 176 —

(5)

をさせた。体育館などで実際に対戦して検証するこ とで,分析の結果を確認させた。

「発表をしよう」の単元では,言葉を聞いて「絵」

を描いたり,「絵」に描いたものを言葉に直したり することを例に,情報をより効率的・効果的に伝え る方法を学ばせた。情報を人づてに言葉で伝える と,情報が欠落したりゆがんだりすることを体験さ せ,情報を人づてに言葉で伝えるときに,できるだ け早く正確に伝える方法を学習させた。「情報を言 葉で伝える」という点ではニュースや演説,プレゼ ンテーションも同じであるが,それぞれに話し方が 異なることを確認させると共に,「よりよく伝わる」

ためにどのように話せばよいかについて学ばせた。

ޟᖱႎࠍᵴ↪ߒࠃ߁ޠ ᝼ᬺߩౝኈ ࠕࠗ࠺ࠕࠍ✵ࠈ߁

授業 内容

第1時 導入 一筆がき

第2時 川の始まりは?この写真は? 発散 的思考

第3時 ブレーンストーミングとKJ法 第4時 KJ法のまとめ

第5時 ベン図

第6時 ベン図の視点と著作権

第7時 イメージマップから物語を作ろう 第8時 情報の発信

ಽᨆߒࠃ߁ 授業 内容

第1時 何%の確率で傘を持って出るか?

第2時 新聞を細かく見てみよう 第3時 マインドマップ 分解の木 第4時 クラスを分析しよう 情報収集 第5時 クラスを分析しよう チーム作り 第6時 分析を確認しよう 百人一首 第7時 結果を考察しよう

第8時 再分析を確認しよう 百人一首(100 句)

⊒⴫ߒࠃ߁ 授業 内容

第1時 正確に人に伝えるには? 伝達を考 える

第2時 ニュースから考える情報発信の工夫 第3時 演説から考える情報発信の工夫 第4時 コマーシャルから考える情報発信の

工夫

第5時 プレゼンテーションに大切なこと 第6時 プレゼンテーションの工夫

第7時 プレゼンテーションの作成 第8時 発表

㧔㧕╙ ቇᐕ೨ᦼ ޟ࠺࡯࠲ߣᖱႎޠ

「データと情報」は「データ量と情報量」,「情

報の質とディジタルデータ」の二単元で構成した。

「データ量と情報量」ではデータ量と情報量の違 いを確認させ,文字数の多い文章の情報量が必ずし も大きくないことを確認させた。作文・新聞記事・

標語・川柳・俳句などを比較したり,情報の価値に よる情報量の違いを体験させたりした。生徒はデー タ量が多く膨大な情報に価値があると考え,情報の 価値に目を向けず,多くのデータを集めることが情 報収集において重要であると考えること多い。デー タ量が大きい情報より,情報量が大きい情報に価値 があることに気づかせた。

「情報の質とディジタルデータ」ではアナログ情 報処理とディジタル情報処理の違いやそれぞれの 良い点・悪い点について理解し,ディジタル化の利 点や問題点などについても議論を通して学ばせた。

ディジタルデータをコンピュータで用いながら,デ ィジタル化することによる便利さについて体感さ せた。さらに情報の符号化や圧縮にもふれ,情報量

上「アイデアを練ろう」

下「分析をしよう」

(6)

情報 6 を大きく変えずにデータ量を大きく減らす方法に ついても学習させた。

�������� �����

��������

授業 内容

第1時 アンケート調査

第2時 情報(データ)の整理と分類① 第3時 さまざまな「分類」の手段 第4時 分類とデータの取り扱い 第5時 文字の情報量とデータ量

��������������

授業 内容

第1時 データの中身にこだわろう

(平均の意味)

第2時 アナログメディアとディジタルメ ディアの比較

第3時 アナログとディジタルの本質を考 えよう

第4時 画像と音のディジタル化 第5時 ディジタル化のメリットとデメリ

ット

���� � ���� �������

「情報の処理」は「データを集めよう」,「デー タを処理しよう」,「情報を表現しよう」の三単元 で構成した。「意味のあるデータの集まり」を「情 報」と捉え,データを集め,処理して,情報として 表現する流れを学習させた。「情報の処理」では,

アイデアを練り,データを集め,編集・処理してき た情報を,的確に表現する技能について学習させる とともに,特にマルチメディアによる情報の表現・

発信・共有により,より有効に情報を利用すること を体験させた。

「データを集めよう」単元では,意味のあるデー タの集まりである「情報」を創造するために,デー タを効率的・効果的に集める方法を学ばせた。WEB からの情報だけではなく,ディジタルカメラやイメ ージスキャナなどの機器を使いながら,情報を創造 するためを目標としたデータの作成方法を学ばせ た。

「データを処理しよう」単元では,コンピュータ をつかってデータを蓄積・検索するための方法と,

それらを学習や生活に有効に利用する方法につい て学ばせた。データベースを簡単に扱えるソフトウ ェアをつかって身の回りのデータを整理する方法 や,表計算ソフトウェアを用いて電卓では不可能な

計算処理をさせる方法について,生活の中の場面を 想定した課題を元に学習させた。

「情報を表現しよう」単元では,マルチメディア によって情報を発信する時に留意することについ て考え,Web ページのデザインを通してインターネ ットによる情報発信の方法について学ばせた。公開 するにふさわしいかどうか考えてから発信するこ とが大切さを理解させると共に,内容・デザイン性 についても吟味させ,適正にまた効果的にコンテン ツやデザインを考えさせた

������ ������

��������

授業 内容

第1時 マスメディアとの付き合い方 第2時 カメラを使ってデータを集めよう 第3時 画像データから報告書を作ろう 第4時 メディアを使ってデータを集めよう 第5時 インターネットから情報を集めよう 第6時 集めたデータを整理しよう

第7時 プレゼンテーションの作成 第8時 プレゼンテーションの交流

上「データ量と情報量」

下「データの質とディジタルデータ」

— 178 —

(7)

࠺࡯࠲ࠍಣℂߒࠃ߁ 授業 内容

第1時 パソコンの処理を知ろう 第2時 エクセルを操作してみよう 第3時 エクセルを操作してみよう 関数 第4時 エクセルを操作してみよう 関数 第5時 データベースの操作

ポケモン・打率ソート 第6時 データベースの操作

グラフの作成

第7時 データベースを作成して

処理しよう 1 第8時 データベースを作成して

処理しよう 2 ᖱႎࠍ⴫⃻ߒࠃ߁

授業 内容

第1時 webページ作成 構想を練る 第2時 webページ作成

ソフトウェアの使い方 第3時 webページ作成 素材加工 第4時 webページ作成 階層構造 第5時 webページ作成 全体構成1 第6時 webページ作成 全体構成2 第7時 webページ作成 全体構成3 第8時 webページ 鑑賞 評価 㧔㧕╙ ቇᐕ೨ᦼ ޟᕁ⠨ߣഃㅧޠ

「思考と創造」は「論理的に理解しよう」,「論 理的に表現しよう」の二単元で構成した。

「論理的に理解しよう」では,学校や家庭のあら ゆる生活において触れるメディアの情報が一方的 に処理・加工されて伝えられていること知り,情報 の本質が明確でない場合があることを理解させた。

新聞など多様なメディアを用いて,周りにあるいら ない情報に目を奪われずに,本当に知るべき情報を 見抜く力を身につけさせた。論理的に情報を理解す ることで,筋道を明らかにして物事の本質に至る思 考を身に付ける重要性を理解させ,溢れる情報の中 で本当に必要となる情報を見抜く力が必要である ことを学ばせた。

「論理的に表現しよう」では,発信される情報を 整理し,本当に伝えるべき内容について論理的に思 考して表現することで,相手に自分の考えがはっき りと伝わることを体験させた。授業では,文章を論 理的に理解し,的確にまとめて表現する活動や,相 手に明確に伝わるような物語を作り出す活動,4コ

マ漫画など限定的な表現の中で自分の考えを伝え る活動などを通して,論理性のある表現活動の重要 性をについて学ばせた。

ޟᕁ⠨ߣഃㅧޠ ᝼ᬺߩౝኈ

⺰ℂ⊛ߦℂ⸃ߒࠃ߁ 授業 内容

第1時 アンケート調査 第2時 論理とは何なのか 第3時 論理と論理的は違う

第4時 テレビから考えるメディアとの付き 合い方

第5時 テレビから考えるメディアとの付き 合い方2

第6時 論理的思考 MECE

第7時 論理的思考 じゃまな言葉をそぎ落 とす(ツール)

第8時 新聞の投書分析による論理的思考訓 練

⺰ℂ⊛ߦ⴫⃻ߒࠃ߁ 授業 内容

上「データをあつめよう」

下「データを処理しよう」

(8)

情報 8 第1時 200 字で表現しよう 練習

第2時 200 字で表現しよう 題名の重要性 第3時 200 字で表現しよう 論理と文章の三

段構成

第4時 200 字で表現しよう 制限と限定して 構成する文章

第5時 200 字で表現しよう 反論の先取り 第6時 200 字で表現しよう 反論の先取りと

類似からの議論

第7時 まとめ 300 字で表現しよう 1 第8時 まとめ 300 字で表現しよう 2

㧔㧕╙ ቇᐕᓟᦼ ޟᖱႎ␠ળޠ

「情報社会」は,「情報の本質」,「情報と経済

・犯罪」,「これからの情報社会」の三単元で構成 した。

「情報の本質」では,情報が複雑になる一方で,

極度に単純化された情報が存在することに目を向 け,その存在意義について考えさせた。単純であっ ても複雑な情報を伝えることを知り,情報エントロ ピーなどの概念について学習させた。学校や道路な ど身近にあるピクトグラフなどの簡素化された情 報の本質を探り,情報を見つめる際の着眼点の重要 性について理解させる活動を通して,普段意識して いなかった情報への気づきへとつなげさせた。「情 報」の概念を生徒が理解できる言葉で簡単に定義す ることは難しいため,学習した情報の特性を整理す ることで,情報の本質を理解させるようにした。

「情報と経済・犯罪」では,社会の情報化が進展 していることによって自分がどのような影響を受 けることになるのか,身近にある多様なメディアか ら体験的に理解させた。キャッシュカードやクレジ ットカードなど情報を記憶するカードの性質や利 便性,危険性を学習し,会員カードなど自分たち普 段使うものにもそのシステムが応用されているこ とを実感させた。また,情報を集積することが多く の経済的なメリットを生じさせることや,情報の漏 えいなどの安全面にデメリットが存在することを 学ばせた。

「これからの情報社会」ではμチップなど最先端 のメディアの存在,その機能や利便性,可能性を体 験させることによって,卒業を間近に控えた状況で これからの情報社会について意識を向けさせた。メ ディアの発達やユビキタス社会の到来で想定され る状況について,資料からの情報を分析したり,様 々な意見を交流したりすることでメリットとデメ リット,自分たちが将来どのような社会で生活して

いくのか,何をすることができるのか,広い視野を 持って建設的なビジョンを描かせた。

ޟᖱႎ␠ળޠ ᝼ᬺߩౝኈ ᖱႎߩᧄ⾰

授業 内容

第1時 デザインによる情報の伝達 第2時 デザイン比較

第3時 デザインを考えよう(シンボル)

第4時 デザインを考えよう(ピクトグラム)

第5時 デザインを考えよう(完成)

ᖱႎߣ⚻ᷣ࡮‽⟋

授業 内容

第1時 カード社会と情報の安全性と危険性 第2時 クレジットカード CM・申込書の分析 第3時 利率の計算 情報社会の経済と犯罪 第4時 情報社会にみられる犯罪と身を守る

第5時 情報社会での生活 ߎࠇ߆ࠄߩᖱႎ␠ળ 授業 内容

第1時 ネットワークの本質を考える 第2時 ネットワーク社会の情報の価値と工

第3時 リアルとヴァーチャルを考える 第4時 リアルとヴァーチャルの技術 第5時 ユビキタス社会を考える

上「データをあつめよう」

下「データを処理しよう」

— 180 —

(9)

㧟ޟᖱႎߩᤨ㑆ޠߩ᝼ᬺታ〣

「情報の時間」では,プロジェクト的な学習の流 れを中心とし操作を伴う活動の多い単元には 8 時 間,知識理解が中心となる単元には 5 時間を配当 し,2~3 名のチーム・ティーチングで指導すること で,教員の専門性を生かしつつ,本校の全教員が授 業を行った。指導内容や題材の多くの部分をそれぞ れの教員に任せることにより,各担当教科の中にあ る「情報の取り扱い」の要素を掘り起こし単元内容 を構築した。また,各学年の半期単位で主担当教員 を決め,この教員が全体の進行や生徒の評価の管 理,テキストの管理などについて責任を持ち,実際 の授業は主担当教員と副担当教員が行う体制とし た。このことにより,半期や一年を見通した授業の 展開が可能となり,単元ごとの内容の重なりがない ように調整したり,学級による授業進度の違いを調 整したりすることが可能になり,スムーズに実践す ることができた。

「情報の時間」は,単元によっては必要な知識を 先に与え,演習的に作業や体験を行う展開とした。

例えば,「調べ学習」が「丸写し学習」にならない ための複数情報源の比較検討法や,調査データの読 み取り方など,正確な思考を教科等や総合的な学習 の時間で充分に働かせるため,判断の根底となる部 分を体系づけるために必要な知識・技術を提示し た。作品の制作を最終目標とせず,作品づくりを演 習として位置づけることで,情報との関わり方を生 徒の気づきに委ねるのではなく,目的意識を持たせ ながら感得させるようにした。

「情報の時間」の授業は,時間割上の特別な要素 として取り扱わず,日常の時間割の中に組み込んで 授業を行っている。週1時間を基本とし,必要があ れば2時間続きの授業も柔軟に確保している。週間

・月間で見たときにも,大きな偏りが内容に時間割 を編成している。将来的に単独の教科として機能さ せることを視野に入れ,他の教科と同じように扱っ ている。しかし,「情報の時間」の指導にあたる教 員は単元によって替わるため,他の教科の授業を組 み替えることも必要になることが多くあった。

「情報の時間」の授業の多くは各学級の普通教室 で行うことが多く,生徒全員がコンピュータをつか う授業は,2年生の後期に行っている「情報の処理」

での授業がほとんどである。

「情報の時間」で利用するテキストを作成し,授 業で使用している。毎年,カリキュラムの変更や,

テキストの内容の見直しを行うため製本はせず,授 業の度に生徒に配布し,生徒は大型のファイルに綴 じて利用している。また,担当する教員が製作した

ワークシートを授業の度に配布して授業を行って いる。テキスト・ワークシートは全単元について作 成することができた。テキストがあることにより,

教員にとってそれまで指導した経験のない単元の 指導にあたることが容易にできるようになった。ワ ークシートについては,テキストをもとに各教員が 授業ごとに作成している。テキストには各単元の内 容をまとめてあり,ワークシートにはテキストの内 容をもとに各教員がタイムリーな話題を取り上げ ている。生徒はテキストとワークシートを別のファ イルに綴じ,テキストは教科書的に,ワークシート はノート的に活用している。

「情報の時間」の生徒の学習に対する評価は,年 度末に生徒に示している。評価は4つの観点につい て,授業者から評価を統合している。主担当教員が 評価の統合を行い,4つの観点についての年間評価 とそれらを統合した評価を生徒に示している。

㧠 ޟᖱႎߩᤨ㑆ޠߩലᨐ

生徒の「情報の時間」に対する興味・関心は大変 強く,授業を楽しみにしている生徒が大変多い。情 報機器の操作スキルについては生徒間の差が大き いが,「情報の時間」の内容はこれまでに学習した り経験したりしている内容が少ないため,生徒間の

「情報の本質」

(10)

情報 10 能力が差はあまり見られない。

全教員が指導にあたる「情報の時間」を中心とし た教育課程であるため,学年間の一貫性・継続性は 大変強く保つことができている。しかし,小学校段 階から情報にかかわる学習をコンピュータの操作 学習ととらえている生徒も多く,小学校との学習の 継続性はない。高等学校の情報科に対しては継続性 がある単元が多いものの,かなりの内容においては

「情報の時間」に特有のものになっていると思われ る。

「情報の時間」の授業内容を構築する上では,各 教員の専門教科の中にある情報に関連した内容を 抽出することが大きなポイントとなっている。これ まで教科の中で指導してきた内容を体系的にまと めたものが多いため,「情報の時間」と教科との関 連性は大変高い。また,「情報の時間」で学習した 内容,指導した内容が,各教科の中で新たに活用さ れることも多く,相乗的な効果があがっている。

「情報の時間」では,単に知識伝達の授業になら ないように,情報を扱うプロセスを実際に体験させ ることや,新しいメディアの実物にふれること,さ らに生徒同士のディスカッションや共同作業をで きるだけ多く組み入れたことが,生徒の興味・関心 を強く引きつけることにつながったと考える。

「情報の時間」の授業でコンピュータを扱うこと を期待している生徒も多数いたが,これらの生徒に も,教室でコンピュータだけではないさまざまなメ ディアを扱いながらの授業は,大変好意的に受け入 れられている。

しかし,「情報の時間」を特徴づけるために,コ ンピュータやインターネットを扱わない単元の比 率を増やしたために,他の教科などでのコンピュー タ操作を難しく感じる生徒が増える傾向が見られ た。これらの手段について否定するのではなく,必 要な時に問題なく使えるだけの技能を確保してお く必要があり,今後はコンピュータ・インターネッ トを使って授業を行う時間を適切に増やすことを 検討している。

1�生徒への効果

ࠕࡦࠤ࡯࠻ߦࠃࠆ↢ᓤߩ᝼ᬺ⹏ଔ

これまで,生徒に配布する各授業のワークシー トに,生徒が授業の評価をするためのマークシー ト欄をもうけ,すべての授業について生徒の評価 を蓄積してきた。生徒の授業への評価は大変良く,

コンピュータを利用する単元と利用しない単元の 間で生徒の評価に大きな差はない。コンピュータ

・インターネットを利用させることは,生徒の興 味・関心を引きやすい活動であると考えられるこ とが多いが,コンピュータを使わない情報の扱い 方についての授業についても,必ずしも生徒が興 味・関心を持たないものではないことを示してい ると考えている。生徒の身近に多くの情報機器や 情報通信手段があふれている現状では,コンピュ ータを利用さえすれば強い興味・関心を持たせる ことができるような状況ではないとも考えられる。

深く考え,議論をしながら学習を進める「情報の 時間」に対する生徒の良い評価は,本校の教員が これまで実践してきた生徒通しの学び合いによる 学習活動が広く生徒に定着してきたことによる効 果であると考えている。

「情報の時間」の目標に最も近く,また特徴的な 単元である1年生「アイデアを練ろう」について,

生徒の評価を表4に示す。

「アイデアを練ろう」単元の授業時数は8時間で あるが,2時間連続の授業が含まれるため,7回分 の評価を得た。それぞれの授業について,「楽しく 学習できた」,「他の教科に役立つ」,「生活に役 立つ」,「中学生に必要である」の4つの観点につ いて,授業の内容を4段階で評価させた。

「楽しく学習できた」の観点について,生徒の評 価は大変高く,さまざまなツールを用いて実際にア イデアを練り込んでいく課程を体験する授業が,生 徒の興味・関心を引くものであったと考えられる。

「他の教科に役立つ」,「生活に役立つ」,「中学 生に必要である」の評価は「楽しく学習できた」よ

図1 ワークシートの生徒評価欄 今日の情報の授業について答えてください

4:とてもそう思う 3:ややそう思う 2:あまり思わない 1:全然思わない

1 楽しく学習できた。 4 3 2 1

2 他の教科等に役立ちそうだ。 4 3 2 1

3 これからの生活に役立ちそうだ。 4 3 2 1

4 中学生に必要な学習だ。 4 3 2 1

— 182 —

(11)

り低い傾向が見られる。第1学年の段階では,授業 で学習したことが他の活動にいきることを実感し にくいのではないかと推測している。この評価を受 けて,情報科の学習内容を他の活動でいかせるよう にワークシートなどの工夫をするようにしている。

「アイデアを練ろう」の単元では,第2時のみ コンピュータを使用した。コンピュータを利用す る授業と利用しない授業の間で生徒の評価に大き な差はない。コンピュータ・インターネットを利

用させることは,生徒の興味・関心を引きやすい 活動であると考えられることが多いが,コンピュ ータをつかわない情報の扱い方についての授業に ついても,必ずしも生徒が興味・関心を持たない ものではないことを示していた。生徒の身近に多 くの情報機器や情報通信手段があふれている現状 では,コンピュータを利用さえすれば強い興味・

関心を持たせることができるような状況ではない ことがはっきりした。深く考え,議論をしながら 学習を進める情報科に対する生徒の良い評価は,

本校の教員がこれまで実践してきた生徒通しの学 び合いによる学習活動が広く生徒に定着してきた ことによる効果であると考えている。

10月に実施した学校評価アンケートで,生徒は

「情報の学習を通して,情報マナーやモラルが身 についた。」という設問に対して,7割以上の生徒

が「そう思う」と答えている。「情報の時間」には,

特にマナーやモラルについて特化した単元は設け ず,すべての単元の中で扱うことにしているが,

多くの生徒が高度情報通信社会でのよりよい振る 舞いについて考えることができるようになってき ている。

表2 1年生情報の活用「アイデアを練ろう」生徒評価

授業の内容 評価 楽しく学習できた 他の教科に役立つ 生活に役立つ 中学生に必要

1

作品レビューを鑑賞して,

読み手を意識した工夫を みつけよう<対比>

とてもそう思う 85 58 66 62

ややそう思う 24 44 31 36

あまり思わない 0 6 9 6

全然思わない 0 0 2 3

2

キーワードから連想して,

冒険小説をつくってみよう

<アウトラインプロセッサ>

とてもそう思う 98 66 71 69

ややそう思う 6 36 32 32

あまり思わない 4 7 6 7

全然思わない 0 1 0 1

3

キーワードをつないで 事件を説明してみよう

<概念地図法>

とてもそう思う 87 71 64 69

ややそう思う 14 25 34 28

あまり思わない 3 8 7 6

全然思わない 0 0 0 1

4

文化祭成功のためのキーワ ードをつくり,目標をつくろう

<KJ 法>

とてもそう思う 83 68 70 75

ややそう思う 28 35 38 34

あまり思わない 5 12 6 7

全然思わない 0 0 2 0

5

二つの昔話を比べて心をつ かむコツをみつけよう

<ベン図>

とてもそう思う 102 68 71 85

ややそう思う 9 36 36 20

あまり思わない 3 7 4 8

全然思わない 0 3 2 0

6

家電を比べて 新機能を付加しよう

<マトリックス>

とてもそう思う 98 55 69 69

ややそう思う 12 42 38 35

あまり思わない 0 11 5 6

全然思わない 1 3 0 2

7

似ている物語を比べてまね は認められか考えよう

<アイデアと知的所有権>

とてもそう思う 86 56 63 71

ややそう思う 24 47 39 30

あまり思わない 0 7 8 8

全然思わない 2 2 2 3

(12)

情報 12

ࠗࡔ࡯ࠫࡑ࠶ࡊߦࠃࠆ⺞ᩏ

生徒が持っている「情報」のイメージは,コンピ ュータやインターネットに強く結びつき,広がりを 持たないことが,研究開始以前に懸念されていた。

そこで,イメージマップを用いて,「情報」という 用語に関する生徒のイメージの変化を調査した。現 二年生が一年生に入学した当初の同一調査と比較 すると大きな変化が見られた。1年生時に生徒 120 名が最初にイメージしたものは,パソコン 47 名,

ニュース 28 名,インターネット 12 名であり,生徒 の情報に関するイメージが画一的であることが読 み取れた。2年生時には解答の種類数も大幅に増 え,上位にインターネット 18 名,ニュース 18 名,

コミュニケーション 10 名,メディア 10 名などの解 答が並んだ。生徒の情報に対する意識が大きく広が り,多面的な見方ができるようになっていることが 読み取れる結果となった。ファーストワード以降に つながりがあるとしてかかれた言葉についても大 幅な広がりを見せている。このことは「情報の時間」

で体系的・網羅的に情報に関する内容を学んだ効果 が現れているものと考えている。

図2に生徒が作成したイメージマップの例を,表 3に 2009 年入学生の1年生時と2年生時の「情報」

に対するイメージマップのファーストワードを示 す。

2�教��の効果

「情報の時間」では,一部の教員が授業を行う のではなく,本校の全教員が担当教科に関係な く情報科の指導に当たっている。研究を始めた当 初,全員で指導にあたることに対して多くの教員

から指導に対する不安の声が上がった。はじめの 段階では授業の構築に時間がかかり,教員同士で 研修を行うことも多々あったが,内容に関する書 籍をそろえて教員がすぐに閲覧できるようにした り,サーバに開発された単元の指導案やテキスト

・ワークシートを集めてすぐに使えるようにした りすることで,徐々に不安は解消された。各自の 教科専門の特性を生かし,各教科の中の情報の要 素を抽出することで,新たな情報の題材を開発し ている教員が多い。

「情報の時間」の実践成果は,各教員のそれぞ れの教科の授業にも現れている。情報科で学習し た情報の取り扱いや活用の方法を用い,各教科の 授業を充実させている。このことは,各教科で求 められている言語活動の充実のための一つの方法 となっている。社会科では,「イメージマップ」

を用いて歴史的事象の関連を整理させた。歴史的 事象を,教科書・資料集などを使ってイメージマ ップ状に表現させた。歴史的事象の配置は記述の ままや年表順とせず,民衆の動きや諸外国の動向 とも関連させ,事象と事象をつなぐ線上に「つな ぎの言葉」を記入し,つながりや影響をどのよう に評価したのか記す。この方法により歴史的事象 の複雑な関係を理解させることが容易になった。

国語科では,「ベン図」を用いて作者の文章表 現の素晴らしさに気づかせる実践を行った。あ る人物の行動の描写を表す部分を二つの段落 から抜き出し,ベン図に表して,∩の部分にふ さわしい,ある人物の性格を行動の描写から考 えさせた。その性格からえられる心情の描写を 考え,4人グループで描写を出し合い,最もふ

図2 イメージマップ 上段1年生男子 下段左 2年生女子 右 3年生男子

— 184 —

(13)

さわしい文章表現を発表する。文章から心情を よみとらせる一つの技法として,活用されてい る。

総合学習「BIWAKO TIME」では,ハンドブックに も「シンキングツール」のページを設け,「イメー ジマップ」「マインドマップ」「樹形図」「ベン図」

「KJ 法」などを,生徒が問題解決の場に利用でき るようにした。特に,各グループの課題を練り込む 段階で活用されている。また,情報をさまざまなメ ディアで集めて比較したり,情報の信憑性を検討し たりするような学習の中で,情報の価値についての 深い学習につなげることができた。図3に BIWAKO TIME ワークブックに記載され生徒が利用している シンキングツールの例を示す。

教員の中には情報機器の操作などへの不安感か ら,コンピュータを授業に積極的に取り入れない者 もいた。しかし,本研究を通じて,情報教育はコン ピュータを使うことだけではないことを各教員が 理解し,自分の教科の中にも情報の取り扱いを学ば せる要素が多くあることに気づいたことによって,

教員の情報教育への見方がかわり,結果的にさまざ

まな ICT 機器を授業に利用する教員が増えたこと も大きな成果である。

3)保護者などへの�果

保護者からの「情報の時間」への期待は高い。前 述の学校評価での,保護者への「情報の学習を通し て,情報マナーやモラルが身につけさせたい。」と いう設問では,実に9割超の保護者が「そう思う」

と解答している。携帯電話などでのトラブルなどが 後を絶たない状況の中での保護者の切実な思いで あると考える。

本校の「情報の時間」の実践について,さまざま なメディアを通じて保護者に内容を知らせると共 に,新聞などのメディアに何度か取り上げたことに よって,保護者のこの研究に対する理解は深くな り,さらに大きな期待を集めている。しかし,保護 者の中には,「情報の時間」をコンピュータ学習の 時間ととらえている傾向も強く,すべての学習の礎 となり,将来にわたって生徒の大きな力になる学習 であることをさらにアピールしていく必要を感じ る。次年度は「情報の時間」の参観授業などを増や

語彙 人数

パソコン 47

ニュース 28

インターネット 12

テレビ 7

新聞 6

コンピューター 5

知識 2

会社のこと 1

雑誌 1

情報化社会 1

調べて学ぶデータ 1

知りたいこと 1

生活にかかせない 1 世界で何がおきているか 1

図書館 1

ハイテク 1

見えないが存在する 1

耳 1

物事の内容,中身 1

本 1

合計 120

語彙 人数

インターネット 18

ニュース 18

コミュニケーション 10

メディア 10

新聞 6

テレビ(TV) 9 パソコン(PC) 6

授業 3

伝達 2

マインドマップ 2

NEWS 2

頭をフル回転させる 1

アニメ 1

生きるのに必要なもの 1 いろいろ知ることができ

るもの 1

インフォメーション 1

ウワサ 1

噂 1

大きいもの 1

おもしろい 1

ゲーム 1

語彙 人数

結果 1

五感 1

誤報 1

実態がないが確かにある

もの 1

社会 1

乗法 1

情報 1

情報統合思念体 1

知らせ 1

資料 1

伝える 1

ネットワーク 1

はいかい 1

ファイル 1

ふれあい 1

便利 1

本 1

マスコミ 1

未知 1

メディア機器 1

野球 1

合計 117

表3 イメージマップ「情報」から連想するファーストワード

(14)

情報 14 して,保護者にも「情報の時間」の有効性について さらに理解を得るように努力したい。

㧡 ޟᖱႎߩᤨ㑆ޠߩ੹ᓟ

研究を進める中で持ち上がった最も大きな問題 点は,本研究が結実する姿として中学校版の教科

「情報」を目指していくことについてである。現 時点で専門の免許を持つ者は当然存在しないため,

「情報の時間」の内容の中で専門性が高い内容に ついて指導できる者は限られる。「情報の時間」

の学習要素は,すべての学習活動の中にも,日常 生活の中にも存在するため,すべてが専門性の高 い内容ではない。高等学校の教科「情報」の内容 と比べても,中学生ではより専門性を必要としな い内容が増えてくることになる。このような状況 の中で専門性の高い「教科」としての確立を目指 すのか,多くの教員が指導に当たる「領域」とし ての確立が良いのかについて,多くの議論を積み

上げてきた。現時点で,教科としての確立を目指 しつつも,学級の人間関係を知る担任が指導すべ き内容や,各教科の中での関連する要素を体系づ けたがほうがよい内容などを整理し,よりよき方 向を模索していきたいと考えている。既存の教科 や総合的学習の時間とのかかわりを整理しながら,

教科としての指導要領にあたるものの開発に取り 組んでいきたいと考えている。

このよう経緯から,次年度は「情報の時間」の授 業時数を各学年50時間程度に拡張し,教科とし ての情報の内容と,領域としての情報内容をハイ ブリット化すること目指して,カリキュラムを見 直すことを考えている。(図4 平成23年以降 の情報の時間 構成概念図)

次年度以降,「情報の時間」の創設時の目標に立 ち返り,カリキュラムを見直すと共に,より内容の 充実をはかっていきたい。

区分 教科(専門性) 共通部分 領域(担任)

時数 各学年

15時間程度

各学年

20時間程度

各学年

15時間程度

パターンA

領域としての「情報の時間」

道徳・学活・総合的な扱い

(全教員)35時間 パターンB

教科としての「情報の時間」

新教科「情報」の構築

(免許をもった専門教員)35時間

中心的な内容 専門性の高い内容 各教科から抽出した内容 現在の内容のコア部分

コミュニケーション モラル的内容 図4 平成23年以降の情報の時間 構成概念図

— 186 —

参照

関連したドキュメント

ても情報活用の実践力を育てていくことが求められているのである︒

全国の 研究者情報 各大学の.

当社は、お客様が本サイトを通じて取得された個人情報(個人情報とは、個人に関する情報

J-STAGE は、日本の学協会が発行する論文集やジャー ナルなどの国内外への情報発信のサポートを目的とした 事業で、平成

「系統情報の公開」に関する留意事項

第16回(2月17日 横浜)

生活のしづらさを抱えている方に対し、 それ らを解決するために活用する各種の 制度・施 設・機関・設備・資金・物質・

Google マップ上で誰もがその情報を閲覧することが可能となる。Google マイマップは、Google マップの情報を基に作成されるため、Google