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ポリウレタンフォームを用いた 六価クロムの予備濃縮に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

ポリウレタンフォームを用いた 六価クロムの予備濃縮に関する研究

日大生産工(院) ○大村 和也 日大生産工 朝本 紘充 齊藤 和憲 中釜 達朗 南澤 宏明

【緒言】

一般的に生体または環境試料などの実試 料中には多種多様な物質が存在しているた め,実試料中から分析対象物質の定量を行う 際には他の共存物質がその測定を妨害する ことがある.そこで,高感度に分析対象物質 の定量分析を行うためには予備濃縮法など の前処理操作が必要になる1).代表的な予備 濃縮法として,様々な吸着剤を用いて実試料 中の分析対象物質を抽出,濃縮する固相抽出 法が挙げられる.固相抽出法は,固相(各種吸 着体)を用いて試料中の目的成分を抽出,濃縮 する方法である.また,有機溶媒を使用せず に濃縮が可能であるために環境への負荷が 尐ないことから,最近では環境試料の前処理 によく用いられている.代表的な固相抽出剤 として活性炭が知られている2).本研究では 固相抽出剤としてポリウレタンフォーム

(PUF)を使用した. PUFはウレタン結合基を含

有した発泡体のポリマーの総称であり,通常 壁の断熱剤などに利用されている3). 我々は,これまでに塩酸で表面処理した軟 質ポリウレタンフォーム(HCl-PUF)が六価ク ロム(Cr(VI))に対して優れた吸着能を示すこ とを明らかとした.しかし,市販の軟質PUF の材料が入手困難になったため,継続的に入 手が可能で,しかも耐久性があり,繰り返し

の吸脱着も可能と予想される硬質PUFに注目 し,この硬質PUFに塩酸処理を施した新規な

HCl-PUFを調製した.本報告では新規HCl- PUFへのCr(VI)の吸着に関する詳細な検討を

行った結果について報告する.

【実験】

ポリウレタンフォームの合成法

実験では日清レジン社製の発泡ウレタン ソフトN(ソフトN),発泡ウレタンハード(ハ ード)及びCr(VI)の吸着能を有しない発泡ウ レタンソフトF(ソフトF)を使用した.PUFは 変性ポリオールを含む主剤にソフトF及びハ ードの4-4-Diphenylmethane diisocyanate

(MDI)を含む硬化剤をそれぞれ重量比1:1ま

たは,2:1で調合して作成した.その後,ミ キサーを用いて細かく粉砕し,純水で洗浄し たものを未処理PUFとした.HCl-PUFは未処 理PUFを所定濃度のHClに浸漬させて10分間 超音波処理を行った後,純水で洗浄しながら 吸引ろ過により水相から分離し,デシケータ 内で24時間以上乾燥させて調製した.得られ た種々のPUFへのCr(VI)の吸着実験をバッチ 法で行い,市販品PUF中に含まれるCr(VI)吸 着能を有する成分ついて検討した.

バッチ法によるCr(VI)の吸着溶離実験 所定のpHに調整した任意の濃度のCr(VI) 水溶液50 mlにHCl-PUF を添加し,かき混ぜ

Study of a preconcentration method for heavy metal ions using a polyurethane foam

Kazuya OMURA,Hiromichi ASAMOTO,Kazunori SAITOH,

Tatsuro NAKAGAMA and Hiroaki MINAMISAWA

−日本大学生産工学部第43回学術講演会(2010-12-4)−

― 107 ―

5-50

(2)

てCr(VI)をHCl-PUF吸着させた.固相と液相 を分離後,残った液相中の残存Cr(VI)濃度を 誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)に より測定し,Cr(VI)の吸着率を求めた.その 他,HCl-PUF調製条件についても検討を行っ た.さらに,吸着したCr(VI)の溶離について も検討を行った.実験はCr(VI)を吸着後の

HCl-PUFを乾燥後,3 M-HNO

3

50 mlに加え,

24時間かき混ぜてCr(VI)の溶離を行った.溶

離後,吸引ろ過を行い,固相は乾燥させて再 び吸着実験に用いた.吸着後の液相および溶 離液中のCr(VI)濃度をICP-AESで測定した.

【結果および考察】

吸着溶離条件の検討

水相のpHを1-12として検討した結果を図1

に示す.

pHを大きくすることで徐々に吸着率

は上昇した.pH 9.0で吸着率は最大値をとり

90 %以上の吸着率が得られた.また,吸着時

間とPUFの添加量についても検討した.吸着 時間は1時間でほぼ平衡となった.硬質HCl-

PUFの添加量は,0.1 g以上で吸着率が最大と

なった.

硬質HCl-PUFを調製する際の塩酸処理は,

2 M HClで10分間の表面処理が最も優れた Cr(VI)の吸着率を示した.

市販品PUF中のCr(VI)吸着能を有する成分 の検討

Cr(VI)吸着能を有するソフトNとハードF,

Cr(VI)吸着能がないソフトFの主剤と硬化剤

の組み合わせを変えてCr(VI)の吸着率を検討 した結果を表1に示す.表より,ソフトFの主 剤を使用したHCl-PUFのみCr(VI)を吸着しな いことから,Cr(VI)の吸着能を有する成分が ソフトFの主剤に含まれていないことがわか った.

【結論】

pH 9.0の1.0ppmまたは10ppmCr(VI)水溶液 50 mlに硬質HCl-PUF0.1 gを加え,1時間かき

混ぜたところ90 %以上の吸着率が得られた.

このことより,硬質HCl-PUFがCr(VI)の予備 濃縮における新規な固相抽出剤として応用 可能であることが明らかとなった.また,主 剤中にCr(VI)吸着能を有する成分が含まれて いることが示唆されたが,成分の同定には至 らなかった.今後,その成分を明らかにし

Cr(VI)吸着能を有するオリジナルPUFの作成

を試みる.

【参考文献】

1)

小熊幸一,ぶんせき,

399, 3 (2008) 110-117.

2) Zhenhua,L.,Xijun,C.,Xiaojun,Z.,

Xiangbing,Z.,Rong,N.,Zheng,H.,Ruijun,L.,

Analytica Chimica Acta,632, (2009),272-277 3)

今井嘉夫,ポリウレタンフォーム,大阪タ イガー印刷(株),(2000),1.

表1 Cr(VI)の吸着率に及ぼす材料の影響 主剤 硬化剤 吸着率(%) ソフトN ソフトN

96.4

ハード ハード

94.8

ソフトF ソフトF

0

ソフトN ハード

95.6

ソフトF ハード

4.10

ソフトN ソフトF

95.8

ハード ソフトF

61.6

図1 pHの影響によるCr(VI)の吸着率の変化

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

C r( V I)

の吸着率

(% )

pH

― 108 ―

参照

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