皮膚表皮の角化とSyntaxin4 との関わり : アンタ ゴニストによる制御
著者 葛野 菜々子
URL http://hdl.handle.net/10236/11247
2012 年度 修士論文要旨
皮膚表皮の角化とSyntaxin4 との関わり
~アンタゴニストによる制御~
関西学院大学大学院理工学研究科 生命科学専攻 平井研究室 葛野 菜々子
t-SNAREタンパク質ファミリーの 1 つであるSyntaxin4 は、広くさまざまな細胞種の細胞膜に 発現しており、膜融合の仲介者としての役割を担っている。Syntaxin4 はEpimorphin (別名 Syntaxin2) という同じファミリーに属するタンパク質と構造上非常によく似ており、通常C末 端が表皮細胞の細胞膜に埋め込まれたかたちで存在する。Epimorphinは、細胞外の刺激に応じ て細胞膜反転により細胞外へ提示・分泌されシグナル分子として作用するが、私は、Syntaxin4 もEpimorphinと同様のプロセスで細胞外へと局在変化し、細胞外で隣接した表皮細胞の機能に 影響を及ぼすことを発見した。その 1 つとして、細胞外に提示されたSyntaxin4 は表皮角化細胞 の角化を大きく促進し、この効果は細胞外Epimorphinとは全く逆の効果であった。さらに、
Epimorphinの活性中心から予測したSyntaxin4 の推定活性中心 (a.a. 103-108) を環状化したペ プチド (ST4n1 と命名した) が、このSyntaxin4 の表皮角化促進活性を中和した。興味深いこと に、Epimorphinの活性中心をSyntaxin4 の推定活性中心に置き換えたキメラ分子 (EP4Mと名付け た) は、Epimorphinが示す表皮角質化阻害活性 (Syntaxin4 とは逆) を持ち、この活性もST4n1 によって中和された。SDS-PAGEゲル電気泳動解析から、Syntaxin4 とEpimorphinおよびEP4Mの構 造が異なっていることがわかり、これらの分子の活性がタンパク質全体の構造に支配されてい る可能性が示唆された。