ニューポルシェ パナメーラ
目次
ハイライト 3
概要 5
ボディコンセプトとエクステリアデザイン 8
インテリアとインフォテイメント 11
セーフティシステムとアシストシステム 15
エンジン、トランスミッション、4WD 19
シャシーコンセプトとドライビングダイナミックシステム 27
標準装備 31
オプション装備 34
ハイライト 3
ニューポルシェ パナメーラ – 快適性、パフォーマン
ス、ラグジュアリー、および効率性を最も美しい形で
完全に再設計されたニューポルシェ パナメーラは、スポーツカーとラグジュアリーサルーンを融合させた 1台です。新しいエンジンとトランスミッション、改良されたシャシー、マルチタッチコントロールによる未来 志向のディスプレイと操作コンセプト。そしてそのデザインは、基本的なブランド価値をよりいっそう体現 しています。第2世代のグランツーリスモは、そのデビュー時に、パナメーラ4S、パナメーラ ターボ、そして パナメーラ4Sディーゼルの3つの4WDモデルが用意されます。 コンセプト 4ドアスポーツカー。4シーターグランツーリスモのコンセプトは、高性能スポーツ カーの走りとラグジュアリーサルーンの快適性を兼ね備えます。テールゲート、可 倒式リアシートバックレスト、そして1,304リッターのラゲッジコンパートメント容量 によって、パナメーラはクラス最高の多用途性を誇ります。 デザインとボディ 新たな進化の段階に入ったパナメーラ コンセプト。拡張されたダイナミックなプ ロポーション、張り出したショルダー、力強いサイドパネル、引き締まったルーフラ インによる表情豊かなデザイン。このポルシェ特有の「フライライン」が、デザイン アイコンの911とスタイル上のつながりを生み出します。アルミニウム/スチール のハイブリッド構造によるボディ。ドアパネル、フロントフード、テールゲート、フェン ダー、サイドパネル、およびルーフはいずれもアルミニウム製です。 ドライブシステム 3種類の新しいツインターボエンジン:パナメーラ4S:2.9リッターV6ガソリンエンジ ン、最高出力324kW(440PS)。パナメーラ ターボ:4.0リッターV8ガソリンエンジ ン、最高出力404kW(550PS)。パナメーラ4Sディーゼル: 4.0リッターV8ディー ゼルエンジン、最高出力310kW(422PS)。全モデルに新しい8速ポルシェ・ドッ ペルクップルング(PDK)と4WDを装備。 シャシー 走りの性能と快適性の両立がラグジュアリーセグメントの基準を設定します。新 しい装備には、リアアクスルステアリング、3チャンバー式エアサスペンション、電 気機械式ロール制御システムのポルシェ・ダイナミックシャシー・コントロール・ス ポーツ(PDCC Sport)とポルシェ・トルク・ベクトリングプラス(PTV Plus)、および4D シャシーコントロールシステムによるシャシーシステム全体のネットワーク化が含 まれます。ハイライト 4 エレクトリック/ 新しいポルシェ・アドバンストコックピットと最新の接続性。ブラックのパネルとイ エレクトロニック ンタラクティブなディスプレイは、スマートフォンの視覚的・直感的操作と自動車 制御の実用的側面を兼ね備えます。新しいLEDマトリックスヘッドライトおよび、 ポルシェ・イノドライブやナイトビジョンなどの新しいアシストシステム。 装備 標準装備:19インチホイール(4S/4Sディーゼル)および20インチホイール(ター ボ)、LEDヘッドライト(ターボではポルシェ・ダイナミック・ライトシステム(PDLS)を 含む)、LEDテールライト、レインセンサー、オートマチックテールゲート、オンライン ナビゲーションとポルシェ・コネクト・プラス(スマートフォンによるオンラインサービ スとアプリのネットワーク化)を含むポルシェ・コミュニケーションマネージメントシス テム(PCM)、150Wサウンドシステム、キーレスエンジン始動システム、パーシャル レザーシート(4S/4Sディーゼル)またはフルレザーインテリア(ターボ)。
概要 5
ポルシェ パナメーラ – ラグジュアリーサルーンのス
ポーツカー
パナメーラは4ドアと4シートに価値を見出すスポーツカードライバー、そしてスポーティなハンドリングを 好むサルーンドライバーのために開発され、相反する要素を最高の形で調和させます。スポーツカーと ラグジュアリーサルーンを融合させた1台、ニューパナメーラは方向性を慎重に見直すことで誕生した グランツーリスモです。第2世代となるこのモデルはラグジュアリークラスのパフォーマンスアイコンで す。これを達成するために、ポルシェは細かい点の一つ一つに至るまで再設計とスタイル変更を行うな ど、パナメーラのコンセプトを体系的に改善しました。エンジンとトランスミッションは再設計、シャシーは 改良され、ディスプレイと制御コンセプトは未来志向のマルチタッチジェスチャー方式となりました。さら にニューパナメーラは、リアアクスルステアリング、電気機械式ロール抑制システム、3チャンバーエア サスペンションなどの優れた技術を搭載することで、野心的なスポーツカーと快適なクルージングカー の間の境界をまたしても排除しています。さらにダイナミックなフライラインを備えた911デザインランゲージ
グランツーリスモのユニークなコンセプトは、新しい表情豊かなデザインに視覚的に反映されていま す。つまり、長く、ダイナミックなプロポーションと目立つショルダー、力強いサイドパネル、そしてリアを 20mm低くした極めてダイナミックなルーフラインによる紛れもないパナメーラ、紛れもないスポーツカー です。このポルシェ特有のフライラインが、デザインアイコンである911とスタイル上のつながりを生み 出します。高い出力と重厚感のあるサウンドを生み出す新しい
V6およびV8ツインターボエンジン
ポルシェ車は、出力だけでなく効率性によっても常に感銘を与えてきました。ニューパナメーラをさらに 効率的にするために、第2世代パナメーラの全てのエンジンが再設計されています。全てのエンジン は、さらにパワーアップしながら燃料消費量とエミッションが改善されています。パナメーラ ターボ、パ ナメーラ4S、およびパナメーラ4Sディーゼルの3つの新しいツインターボ直噴エンジンがデビュー時に 導入されます。これらの全てに(ディーゼルでは初めて)可変式フルタイム4WDと新しい8速ポルシェ・ド ッペルクップルング(PDK)が装備されます。パナメーラ ターボの4リッターV8ガソリンエンジンは最高 出力404kW(550PS)、パナメーラ4Sの2.9リッターV6ガソリンエンジンは最高出力324kW(440PS) を発生し、パナメーラ4Sディーゼルの4リッターV8エンジンは最高出力310kW(422PS)と最大トルク 850N・mがパワフルな推進力を発揮します。テーラーメイドのスーツでサーキットを走る
つい先日、伝説のニュルブルクリンクのノルドシュライフェサーキットで4ドア車の新記録となる7分38 秒のラップタイムを実現したニューパナメーラ。その総合コンセプトと同じく、シャシーもラグジュアリーサ ルーンの走行快適性と正真正銘のスポーツカーの性能を兼ね備えます。これは完璧に調整されたサ スペンションコンセプト、すなわち、ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム(PASM、 電子制御ダンパーコントロール)を含む新しい3チャンバーテクノロジーによるアダプディブエアサスペ ンション、ポルシェ・トルク・ベクトリングプラス(PTV Plus)を含むさらに進化したポルシェ・ダイナミックシャ シー・コントロール・スポーツ(PDCC Sport)、および新しい電気機械式ステアリングシステムなどの革 新的なメカトロニクスシステムによって可能になりました。統合された4Dシャシーコントロールシステム は、現在の走行条件をリアルタイムに分析し、全てのシステムを最適化および調整してハンドリングを 向上させます。ポルシェはグランツーリスモのステアリング精度とハンドリングも、918スパイダーと911 ターボ由来の新しいリアアクスルステアリングによってスポーツカーのクラスに引き上げます。向上し た走行性能は、より高性能なブレーキシステムによって制御されます。新しい水準の快適性、接続性、および安全性
自動車のデジタル化は現在、モビリティをこれまで以上に集約的かつ高速に転換しています。新しい ディスプレイと制御コンセプト、さらにインテリジェントなアシストシステム、そして持続的に高速でパワフ ルなオンボードエレクトロニクスが、新たな水準の快適性、外部との接続性、および安全性をもたらしま す。ニューパナメーラにはこのような動向が反映されており、ポルシェのモデルレンジの中で最もデジタ ル化とネットワーク化が進んだモデルです。しかしエレクトロニクスが走行体験を薄めてしまうことはあり ません。ポルシェは、最高の利便性を最高のドライビングダイナミクスおよび直観的な操作と融合させ るために今日のデジタル化のメリットを利用しました。ポルシェ・アドバンストコックピットの多数の機能と簡単な操作
ニューパナメーラのポルシェ特有のインテリアは、未来志向のデザインに仕上げられています。ブラッ クのパネル面とインタラクティブなディスプレイは、スマートフォンやタブレットの見やすく直感的なユー ザーインターフェースと、車の制御のための実用性を兼ね備えます。従来のハードキーとメータ類は大 幅に削除され、代わりにタッチパネルと個別に設定可能なディスプレイが新しいポルシェ・アドバンスト コックピットの中でひときわ目立っています。これは、ドライバーと助手席および後席の乗員に大きなメ リットをもたらします。コミュニケーション、便利な機能およびアシストシステムが大幅に拡張されている にもかかわらず、各機能はさらに明確かつ直感的に使用・操作することができます。ポルシェ・アドバン ストコックピットは、モビリティの世界をアナログの実証済みのソリューションから現代的なデジタル表 示に転換します。 概要 6概要 7
次世代のアシストシステム
パナメーラには、標準装備とオプションで走行をいっそう便利かつ安全にするアシストシステムが装備 されます。最も重要な新システムのひとつが、人や大型動物を検知する熱探知カメラを使用してコッ クピットにカラーハイライトの警告灯を表示するナイトビジョンアシスタントです。84の像点を備えた新 しいオプションのLED マトリックスヘッドライトを選択すると、計算された走行経路内に入っている場合 は、ロービームの照射範囲を超えた場所にいる人々も短時間だけライトが照射されるため、ドライバー はより迅速に対応することが可能になります。遥か前方を見るのが、アダプティブクルーズコントロール を含む新しいポルシェ・イノドライブです。3D高解像度ナビゲーションデータに基づいて、次の3kmの 最適な加速度と減速度、ギア選択、およびコースティングフェーズを計算して起動します。この電子制 御コパイロットは、その際にコーナー、勾配、および制限速度を自動的に考慮します。他の車両と現在 の制限速度がレーダーとビデオセンサーによって検出されてコントロールシステムに組み込まれます。ポルシェ911とのつながりを生み出すニュ
ーパナメーラのデザイン
パナメーラのエクステリアは第2世代においてよりシャープなデザインになっています。非常にダイナミッ クなプロポーションに基づくニューパナメーラは、全長5,049mm(+34mm)、全幅1,937mm(+6mm) 、全高1,423mm(+5mm)となり、最高のパッケージを実現しています。4名がくつろいで移動することが でき、リアシートはショーファードリブンのサルーンとして十分なスペースを提供します。同時に、ポルシェ パナメーラはラグジュアリークラスにおいて最高のレイアウト可変性を提供し、オプションのスキーバッグ を装着できる40:20:40分割可倒式リアベンチバックレスト(ラゲッジスペースが495リッターから1,304 リッターまで拡大)によって日常使用のために優れた実用性をもたらします。 全高が少し高くなったことで車内が広々としているにもかかわらず、この4ドアカーはボディがより低く、そ してより長くなったように感じられます。ヘッドルームを十分に確保しつつ、リアボディのルーフラインを 20mm低くしたことで、車全体の印象が完全に変わりました。ホイールベースは30mm長い2,950mm で、車のプロポーションを延長します。フロントホイールは前方に移動して、フロントオーバーハングの短 縮とAピラーとフロントアクスル間の距離の拡大によって威信のあるプロポーションに寄与します。リア オーバーハングは、より長くいっそうパワフルな印象を与えます。 パナメーラの全幅はわずか6mmしか拡大されていませんが、数センチ拡大されたように見えます。両側 に広がった完全に新しいフロントエンドデザインを生み出すA形エアインテークなどによって、このよう な効果が創出されています。同時に、ラジエーターグリルの厳密にデザインされたクロスバーが車幅を 強調します。矢形のフロントフードは、ラインがバンパーに達する目立つ輪郭のパワードームによって以 前よりさらに前方に向かって延長され低くなっているように見えます。低いフロントエンドは車両コンセ プトの新しいコンパクトなエンジン構造によって可能になりました。フロントフードはパワードームの左右 で、ポルシェ特有のデザイン特徴である力強く張り出したフロントフェンダーに見事に溶け込みます。さ らに、3つのバージョンが揃う4灯のLEDデイタイムランニングライトを組み込んだLEDヘッドライトにも自 信がみなぎります。 ボディコンセプトとエクステリアデザイン 8ボディコンセプトとエクステリアデザイン 9 新しいサイドボディは、ダイナミックなルーフラインがこれまで以上にスポーツカーのシルエットを強調し ます。このルーフラインは、カリスマ的な「ポルシェ フライライン」を形成します。サイドのルーフラインの 精密に設計された2つのエッジはシルエットの重心を視覚的に下げます。サイドウインドウのデザインも 新しくなっており、リアボディのラインとともに視覚的に連続する表面がポルシェ911とスタイルの親和 性を意図的に生み出します。立体的な構造が特徴のドアとフェンダーは、凹凸の外形を照らす入射光 線が力強い緊張感を付加します。この部分における統合デザインコンポーネントがフロントホイール後 方のエアエグゾーストポートです。張り出したホイールアーチのリップもパワフルな効果をもたらします。 その下には、19インチホイール(パナメーラ4S/4Sディーゼル)から20インチホイール(パナメーラ ター ボ) 、さらにはオプションの21インチホイールまで、さまざまな種類の軽合金ホイールのためのスペース があります。 パナメーラが従来のサルーンとは異なる4ドアクーペであることは、リアから見た時が最もはっきり と分かります。ルーフ、ルーフピラー、ウインドウ面で構成される「グリーンハウス」は、パワルフな広 いショルダーセクションによってサポートされています。パナメーラは明らかにスポーツカーです。3D の“PORSCHE”の文字に加え、リアボディを特徴付ける最も目立つコンポーネントが4灯のブレーキライ トを統合した立体的なLEDテールライトです。左右のテールライトは細長いLEDのバンドで結ばれてい ます。これらの全てのエレメントが見紛うことのないナイトタイムデザインを生み出します。ボディカラー 同色塗装仕上げのエクステンダブルリアスポイラーは、電動開閉装置を標準装備するテールゲートへ エレガントに組み込まれています。パナメーラ ターボのウイングは、分割しながら展開して表面積を拡 張します。リアロワーボディの完成度を高めているのがディフューザーです。このディフューザーの両側 には、エグゾーストシステムのステンレススチール製ツインテールパイプが備わっています。パナメーラ 4Sと4Sディーゼルは丸型のテールパイプ、パナメーラ ターボは台形のテールパイプによって識別でき ます。
高強度軽量アルミニウム/スチールによるハイブリッド構造
ニューパナメーラは、再設計されたハイテク軽量ボディを備えます。ポルシェはこれまで以上にアルミニ ウムを使用しています。先代ではアウタードアパネル、フロントフード、テールゲート、およびフロントフェ ンダーがアルミニウム製でしたが、ニューパナメーラでは、さらにサイドセクション全体やルーフなどの大 型ボディパーツをアルミニウムで製造しています。ボディコンセプトとエクステリアデザイン 10 パナメーラのボディは、フォルクスワーゲングループにおいてポルシェが開発責任を負うモジュラースタ ンダードドライブトレーンプラットフォーム(MSB)に基づきます。数多くあるMSBの長所のひとつが卓越 した多用途性です。たとえばポルシェは、2つの異なるホイールベースと、このセグメントのために考えら れる全ドライブタイプのニューパナメーラをライプツィヒ工場で製造することができます。さらに異なるボ ディタイプも比較的簡単に実現することができます。 プラットフォームは、フロントボディ、ミドルフロアセクション、およびリアボディの3つのモジュールで構成 されています。ポルシェ パナメーラの場合、これらのモジュールは「軽量マルチ素材構造」で製造され ています。これは異なる種類の素材(さまざまな合金鋼、アルミニウム、およびプラスチック)を組み合わ せた革新的な製法です。パナメーラのフロントエンドはアルミニウム製です。さらに、衝突特性のために 非常に重要なファイアウォールクロスメンバーを製造するため、新しい製造工程が採用されています。 ニューパナメーラの超高強度チューブは合金ボロン鋼製です。このタイプの高強度合金ボロン鋼チュ ーブは以前から存在しましたが、自動車業界において、パナメーラのような複雑なファイアウォールクロ スメンバーに使用されたことはありませんでした。さらに、ファイアウォール全体とパッセンジャーセルが、 高強度熱間圧延形鋼の使用によって最適な保護を提供します。
ポルシェ・アドバンストコックピット –
未来のためのデジタル化
ニューパナメーラは完全に新しいディスプレイと制御コンセプトが特徴です。多数の部分で従来の ハードキーがタッチパネルに代わっているほか、高解像度ディスプレイがインテリアと一体化していま す。918スパイダーから始まったポルシェ インテリアのデジタル化は、新しいポルシェ・アドバンストコッ クピットという形でパナメーラに搭載され、ラグジュアリサルーン・セグメントにまで到達しました。スポー ツカー特有の低いシートポジションからは、フェンダーとパワードームによる魅力的なフロントエンドが見 えるだけではありません。人間工学に基づく理想的な2つの7インチディスプレイがドライバーの視線 の先に設置され、標準仕様では各々に2つの丸型メータが備わります。これらの2つのディスプレイの 中央にはアナログのレブカウンターが設置されています。 レブカウンターの左隣には、バーチャルスピードメーターがあり、アシストシステムの情報がその中央に 表示されます。これは「スピード&アシスト」と呼ばれるメータです。ポルシェでは通常、走行速度はアナ ログのレブカウンター内にデジタル表示されます。レブカウンターの右隣が「カー&インフォ」ディスプレ イです。ここでは車両の設定や読み出しが可能で、ドライバーは表示されているトリップメータから情報 を得ることができます。ドライバーは、一定枠の中の「スピード&アシスト」メータと「カー&インフォ」メータ の横の2つの小型の丸型メータを自由にコンフィギュレーションすることができます。これらの全てがマ ルチファンクションステアリングホイールのスイッチから直感的に操作されます。ポルシェ・コミュニケーションマネージメントシステム(PCM)
一方、ドライバーと助手席乗員の間のギアシフトコンソールには、次世代ポルシェ・コミュニケーション マネージメントシステム(PCM)の12.3インチタッチスクリーンが設置されています。スタート画面のサブ エリアは、タイル形のウインドウでカスタマイズすることができます。ユーザーの操作は、新しいマルチタ ッチコントロールの影響を受けています。スマートフォンやタブレットと同様に、2本の指でナビゲーショ ンマップを希望の方向に回転させることができます。さらに、ディスプレイは手書き入力を識別するの で、画面にナビゲーションの目的地を簡単に手書き入力することが可能です。 インテリアとインフォテイメント 11インテリアとインフォテイメント 12 メニューは直感的な操作が可能です。ユーザーが手をPCMに近づけると、近接センサーがこれを検出 して、12.3インチディスプレイ左側のコンテキスト関連追加機能を提供するメニューバーを開きます。メ ニューが複数ページにまたがる場合は、スマートフォン同様にスワイプ操作でメニューをスクロールする ことができます。ディスプレイの右側には、ウィジェットと呼ばれる画面をユーザー定義のレイアウトでカ スタマイズして表示することが可能です。ユーザーの好みと状況に応じて、ウィジェットにナビゲーショ ン情報、現在のプレイリスト、あるいはクライメートコントロールを表示できます。つまりウィジェットは、個 別に設定可能な画面を追加してPCMメインメニューを拡張します。PCMには、CD/DVDチェンジャー、TV チューナー、デジタルラジオ、BOSE社製およびBurmester 社製の2つのサウンドシステム、ならびに新 しいポルシェ・リアシートエンターテイメントなどの機能もオプションとして用意されています。
ポルシェ・コネクト・プラスがパナメーラをワールドワイドウェブに接続
ポルシェ・コネクト・プラスは、PCMの機能領域に標準で組み込まれています。このオンライン世界への インターフェースは、Apple CarPlay やポルシェ・カーコネクトアプリなどの機能を含んでいます。スマー トフォンやApple Watch で制御可能な機能には、セーフティサービス(ロードサイドアシスタンス、オート マチックエマージェンシーコール)、セキュリティサービス(車両盗難時の車両位置の特定、エマージェ ンシーセンターへの通報)、リモート&Eモビリティサービス(カーファインダー、情報へのアクセス、機能 の制御)などがあります。さらに、SIMカードリーダー付LTEフォンモジュール、無線インターネットアクセス (WiFiホットスポット)、リアルタイム交通情報、Google Earth、およびGoogle Street Viewも組み込まれています。 ポルシェ・コネクトアプリ(PCMコネクト)は、オンラインコミュニケーションの新たな段階に到達していま す。PCMコネクトは、最初にスマートフォンやGoogleを使ってナビゲーションの目的地を見つけ、それを 目的地として保存し、後でPCMへ転送することを可能にします。また新しい機能として、カレンダーに追 加された予定や保存されている住所の連絡先を表示・管理し、PCM内のナビゲーションに統合するこ とができます。もうひとつの革新的機能として、GPSデータにリンクしたスマートフォンの写真をナビゲー ションの目的地として使うこともできます。さらにPCMコネクトにより、ニューパナメーラは、ほぼ無限とい えるインターネットラジオ局やオンライン上の楽曲にアクセスできます。曲は、Napsterやradio.netなど のサービスを介して呼び出されます。多くのPCMコネクト機能は、ポルシェ・カーコネクトアプリと同様に Apple Watch で操作することもできます。
インテリアとインフォテイメント 13 コネクト・プラスはPCMにもアプリを組み込んでおり、それらはメニュー項目として簡単に起動できます。 さらに、コネクト・プラスは、駐車場(駐車場の検索と空き状況)、燃料価格(燃料価格表示を含むガソ リンスタンド検索)、メッセージの口述(ボイスコントロールによるSMS)、鉄道情報、フライト情報、天気( 現在の場所または目的地)、イベント情報、およびニュースなどのアプリをPCMに組み込みます。
センターコンソールの機能を再編成するダイレクトタッチコントロール
ハイエンドの高解像度ディスプレイが設置されたPCMエリアは、シフトバイワイヤーのPDKセレクターレ バーを備えたセンターコンソールのブラックパネルコンセプトと調和しています。センターコンソールのタ ッチセンサー式スイッチを配した洗練されたガラスルックの新しいコントロールパネルによって様々な機 能を直感的に操作することができます。センターエアベントのルーバーもタッチセンサー式スライダーで 電子制御されます。後席乗員は、オプションの4ゾーンオートマチッククライメートコントロールシステムと の組み合わせで7インチブラックパネルからエアコンディショニングとインフォテイメント機能を操作でき ます。最大で1,455Wの出力を備える3つのサウンドシステム
10個のスピーカーと150Wの出力を備えるハイファイシステムは、パナメーラ4S/4Sディーゼルの標準 装備として最適なサウンドを提供します。パナメーラ ターボには、BOSEサウンドシステムが標準装備さ れます(パナメーラ4S/4Sディーゼルにはオプションとして設定)。パッシブサブウーファーを含む14個 のスピーカー、14アンプチャンネル、および合計出力710WがBOSEシステムの主な仕様データです。 ポルシェが提供する3つ目のシステムは、直接駆動される20個のスピーカーと1個のアクティブサブウ ーファーを備える出力1,455WのBurmester 社製3Dハイエンドサラウンドサウンドシステムです。パナ メーラの室内でスマートフォンやタブレットのプレイリストをサウンドシステムのメディアソースとして長時 間使用している間も、追加された2つのUSB充電ポートによってスマートフォンやタブレットに常に最適 に電気が供給されます。ポルシェ・リアシートエンターテイメント
2つの10インチタッチスクリーンは、完全に再設計されたポルシェ・リアシートエンターテイメントの技術 的および視覚的な中心です。反射防止加工が施された高解像度スクリーン(1,920 x 1,200ピクセ ル)は、リアシートバックのブラケットにはめ込まれ、パナメーラの車外からでも使うことができます。リア シートエンターテイメントのサウンドは、タッチスクリーンに内蔵されたスピーカー、車両のサウンドシステ ム、またはポルシェBluetoothヘッドフォンから再生されます。使用可能なデジタルソースは広範囲に及 びます。PCMメディアは、SDカード、ジュークボックス、CD/DVDドライブ、またはUSBメモリー経由で入力インテリアとインフォテイメント 14
できます。加えて後席乗員も、ラジオやオプションのTVチューナーにアクセスできます。画面には、車両 データと現在のナビゲーションルートを関連する補足情報とともに表示させることもできます。ポルシェ・ リアシートエンターテイメントからは、PCMのナビゲーションシステムの目的地を入力することさえ可能で
す。さらに、Google® Play Storeで入手可能な全製品へのアクセスを後席乗員に与えることで、機能
範囲が大幅に拡張されています。ポルシェ・リアシートエンターテイメントは、タッチスクリーンまたはPCM から制御することができます。
ポルシェ・リアシートエンターテイメントは、Android OS を使用しています。32ギガバイトの内蔵フラッシ ュメモリーは、マイクロSDカードを追加することで拡張できます。タッチスクリーンには、ビデオ通話/チャ ット用のカメラも備わります。
ナイトビジョンアシスタントとイノドライブを備える
初めてのポルシェ
パナメーラには、標準装備とオプションで走行をいっそう便利かつ安全にするアシストシステムが装備 されます。最も重要な新システムのひとつが、人や大型動物を検知する熱探知カメラを使用してコック ピットにカラーハイライトの警告灯を表示するナイトビジョンアシスタントです。個別に制御可能な84の 像点を備えた新しいオプションのLED マトリックスヘッドライトを選択すると、計算された走行経路内に 入っている場合は、ロービームの照射範囲を超えた場所にいる人々も短時間だけライトが照射される ため、ドライバーはより迅速に対応することが可能になります。道路に沿って遥か前方を見るのが、ア ダプティブクルーズコントロールを含む新しいポルシェ・イノドライブです。3D高解像度ナビゲーションデ ータに基づいて、次の3kmの最適な加速度と減速度、ギア選択、およびコースティングフェーズを計算 して起動します。この電子制御コパイロットは、その際にコーナー、勾配、および制限速度を自動的に 考慮します。他の車両と現在の制限速度もレーダーとビデオセンサーによって検出されてポルシェ・イノ ドライブのコントロールシステムに読みみ込まれます。ポルシェ初のナイトビジョンアシスタントをパナメーラに採用
新しいナイトビジョンアシスタントは、重大な状況の事前回避を助けるアシストシステムです。人や大型 動物を検知する熱探知カメラを使用してコックピットにカラーハイライトの警告灯を表示します。システ ムは熱源を分類して、人と、エンジンが熱いまま駐車されたオートバイなどを区別することができます。検 知された人と大型動物は、ドライバーの前方のメータパネルに最初はイエローで表示されます。システ ムが人や動物の動きと位置に基づいて危険を認識すると、ハイライトがイエローからレッドへと変わり 警告音を鳴らします。84の像点を備えた新しいオプションのLED マトリックスヘッドライトが装着されて いると、計算された走行経路内に入っている場合はロービームの視距離を超えた場所にいる人々も 短く3回照射され、ドライバーはより迅速に対応することが可能になります。建物が密集した場所では、 ナイトビジョンアシスタントを作動解除して、舗道をリードにつながれて歩く犬などによってアラームが誤 作動するのを防ぎます。 セーフティシステムとアシストシステム 15セーフティシステムとアシストシステム 16
電子制御コパイロットとしてのイノドライブ
道路に沿って遥か前方を見るのが、アダプティブクルーズコントロールを含む新しいポルシェ・イノドライ ブです。システムは、ナビゲーションデータに基づいて次の3kmの最適な加速値と制動値を計算し、エ ンジン、8速PDK、およびブレーキシステムを介してこれを適用します。この電子制御コパイロットは、コ ーナー、勾配、および速度制限を自動的に考慮します。レーダーとセンサーによって交通状況が刻一 刻と検知され、それに応じて制御が適合されます。ポルシェが社内で独自に開発したこのシステムは、 パナメーラの効率性を大幅に改善し、ナビゲーション予測データに基づくコースティング、オーバーラン カットオフおよびブレーキングなどの車両機能の制御において、これまで以上に燃費を改善します。現 在、世界中に同等のテクノロジーはありません。 さらにポルシェ・イノドライブは、アダプティブクルーズコントロールによる走行中に確実に便利でダイナ ミックなメリットをもたらします。システムはラウンダバウトを認識し、前もってその条件に速度を独立して 適合させます。スポーツモードの作動時には、イノドライブもダイナミックな特性のマップに切り替わりま す。従来のアダプティブクルーズコントロール同様に、レーダーとビデオセンサーももちろん前方車両と の距離を連続的にモニターして車間距離を調節します。ポルシェ・イノドライブは2017年1月以降ドイ ツ、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、スイス、オーストリア、スペイン、ポルトガル、フランス、イタリア、 英国およびアイルランドで使用が開始されます。その後すぐに米国、カナダ、その他の国が続きます。アダプティブクルーズコントロールが高速道路での利便性と安全性を高める
アダプティブクルーズコントロールの従来の形態の機能範囲と特徴が大幅に改善されています。こ の改善の重大な要素は、初代パナメーラに対する2つの大幅な革新です。まず、ニューパナメーラで は、1台(通常はフロントエンドの中央に設置)ではなく、2台のレーダーセンサーが使用されています( 左右のバンパーに設置)。さらに、アダプティブクルーズコントロールは制御装置の中にカメラセンサー も組み込んでいます。このようなシステムの拡張によって、前方車両の距離のモニターの信頼性がさ らに高まり、横の車線から車線変更して合流する車両がより迅速に検出されます。必要に応じて、シ ステムは停止するまで車にブレーキをかけることができます。パナメーラは、ストップ&ゴー機能によって 自律的に走行を再開することもできます。3秒以上停止すると、ドライバーがアクセルペダルを軽く踏む か、ステアリングホイールのスイッチを操作して、再度発進する必要があります。アダプティブクルーズ コントロールは、30-210km/hの走行速度で作動します。システムは可能な限りコースティング機能( エンジンアイドリング、クラッチ解除)を使用して燃費をさらに低減します。セーフティシステムとアシストシステム 17
レーンチェンジアシストが安全性を大幅に高める
初代パナメーラと他のポルシェ車ですでに知られたレーンチェンジアシストは、リアバンパーの2つのレ ーダーセンサーを使用して左右後方車線から近づく車の距離と走行速度を検出します。これらの2つ の要素から危険を判断すると、関連側のドアミラーに警告灯を点灯して、死角に入る他の車を見逃す 危険を低減します。システムは、走行速度が15-250km/hのときに70m以内の距離の車両を検出し ます。システムが作動する走行速度の低下によって、市街地のコーナリング操作にも使用することが できます。道路標識の認識を含むレーンデパーチャーウォーニング
パナメーラに初めて装備されるレーンデパーチャーウォーニングは、郊外の道路において最も頻度の 高い事故原因となっている、不注意による走行車線の逸脱をできるだけ防止します。パナメーラに備 わるシステムは、この種のものとしては最先端を誇るもののひとつです。システムは、走行速度が65 -250km/hのときにフロントウインドウのカメラによって車線のマーキングを検出します。インジケーター ライトを作動させずに車線を外れると、新しい電気機械式ステアリングシステムが速やかに反応し、自 動的に反対方向に操舵されます。警告音やメータパネルへの警告表示はPCMで設定することもでき ます。システムはレーンデパーチャーウォーニングと同じカメラを使用して道路標識も認識します。高品質画像によるリアビューカメラとサラウンドビュー
標準装備のパークアシストシステムに加えて、内蔵されているカメラが後退駐車や低速での取り回し を容易にします。カメラはテールゲートに設置されています。転送された画像はPCMディスプレイに表 示され、動的に生成されるガイド線によって補助されます。オプションで機能を拡張した場合、合計4台 の高解像度カメラが使用されて360度のサラウンドビューを生成します。追加のカメラは、フロントバン パーとドアミラーに設置されます。画質は、ECUとPCMを結ぶ新開発のデジタルインターフェースによっ てさらに改善されました。360度の視界に加えて、前後のさまざまな角度から見た交差交通も映すこと で、視界の悪い駐車場出口でドライバーを支援します。PDLS Plusを含むLEDマトリックスヘッドライト
ポルシェ・ダイナミック・ライトシステムプラス(PDLS Plus)を内蔵した新開発のLEDマトリックスヘッドラ イトは、今日のライティングテクノロジーの最高の可能性をパナメーラに導入するシステムです。それぞ れのLED マトリックスヘッドライトには、あらゆるライティング機能のために合計109個のLEDが含まれ ます。LEDマトリックスモジュールだけで84個の個別に制御可能なLEDが含まれており、レンズとリフレ クターを介してロービームとアダプティブハイビームのレンジを調節します。ライトはフロントウインドウにセーフティシステムとアシストシステム 18 装着されたカメラに接続しています。カメラは前方車両と対向車両を検出して、他の車への眩惑を防 ぎながら最大の路面照射が得られるようにハイビームの配光をインテリジェントに制御します。複雑な ヘッドライトモジュールは、カメラにネットワーク接続しているだけでなく、ナビゲーションデータと車両ス テータスも、高度に可変的で互いに独立した方法で84個のLEDの制御に統合します。配光のインテ リジェントな制御は、他の便利で安全な機能を統合するために使用することができます。たとえば、シス テムは眩惑の原因となる反射する道路標識を識別します。ヘッドライトパターン内のゾーンがドライバ ーへの眩惑や走行を損なうことがないように減光します。LEDマトリックスヘッドライトは、対向車に関す るもうひとつの新しい機能も提供します。ヘッドライトはセグメント内のライティングパターンを減光する だけでなく、ブースト機能とともに自分のレーンの照射を強めます。これはドライバーの視界を改善して 快適性と安全性を高めます。ダイナミックコーナリングライトは、機械式ではなく電子制御されます。
高い出力とフルボディのサウンドを備えたV6および
V8ツインターボ直噴エンジン
ポルシェからの新しいグランツーリスモは、当初パナメーラ ターボ、パナメーラ4S、およびパナメーラ4S ディーゼルの3バージョンでデビューします。全てのモデルにオールタイム4WDと新しい8速ポルシェ・ド ッペルクップルング(PDK)が装備されます。パナメーラ ターボの4リッターV8ガソリンエンジンは最高出 力404kW(550PS)、パナメーラ4Sの2.9リッターV6ガソリンエンジンは最高出力324kW(440PS)を発 生し、パナメーラ4Sディーゼルの4リッターV8ターボディーゼルは最高出力310kW(422PS)によってパ ワフルな推進力を発揮します。新しい8気筒ツインターボエンジンが純粋なダイナ
ミクスと最高の効率性を提供
ポルシェ パナメーラのための新しい8気筒エンジンによって革新的なエンジンファミリーが生まれまし た。最高の効率性と卓越した性能が主な開発目標でした。このような仕様を満たすために、ポルシェ のエンジニアはハイテクモジュラー世代のV8エンジンを開発しました。このエンジンの技術アーキテク チャは、通常は相反する要素である低燃費、低エミッションなどの数値を、高出力、高トルクの数値と 調和させます。 現時点で、パナメーラ ターボはモデルシリーズ内で最もパワフルなガソリンエンジンを備えます。4.0リッ ターエンジンが最高出力404kW(550PS)/5,750-6,000rpmを発生します。3,000rpmをわずかに超 える回転域からでも250kW(340PS)の出力が得られます。最大トルクは770N・m/1,960-4,500rpm です。0-100km/h加速タイムは3. 8秒、スポーツクロノ仕様車の0-100km/h加速タイムは3.6 秒。0-200km/h加速タイムは13.0秒、スポーツクロノ仕様車の0-200km/h加速タイムは12.7秒で す。最高速度は306km/hに達します。パワーウエイトレシオはわずか3.6kg/PSです。抜群の性能に並 び燃料消費量は、先代より1.1リッター/100km少ない9.4–9.3リッター/100km(NEDC)、CO2排出量 は214–212g/kmです。 新しい8気筒エンジンは縦置き90度V型で、50度まで調整可能な4本のインテークおよびエグゾースト カムシャフトがチェーン駆動されます。1気筒あたり4つのバルブを備えた最高回転数6,800rpmのエン ジンの総排気量は3,996ccです。V8ツインターボ直噴ガソリンエンジンの主な技術的特徴は、Vバン ク内にターボチャージャーを備えた新しいセンターターボレイアウト、燃焼室中央のインジェクター、サー キット対応オイル循環、ほぼ磨耗のないシリンダーライニングのコーティング、およびシリンダーの作動 解除です。 エンジン、トランスミッション、4WD 19エンジン、トランスミッション、4WD 20
革新的な気筒休止機能 – 4つのピストンが積極的に休止
パナメーラ ターボは、エンジンに新しいアダプティブシリンダーコントロールシステムを備えた初のポル シェです。部分負荷作動において、システムは気付かないうちに一時的に8気筒から4気筒エンジンに 変わります。これによって、出力要求に応じて4気筒フェーズの燃料消費量が最大30%まで削減されま す。作動解除と再作動は2ステージスライディングカムシステムを備えたバリオカムプラスによって制御 されます。新しいV8の場合、2番、3番、5番、8番シリンダーのバルブギアが負荷要求に応じて作動解 除または再作動します。これらのシリンダーのインテークおよびエグゾーストバルブは4気筒作動時に は完全に停止します。シリンダーの作動解除は950-3,500rpmの回転域で作動し、250N・m以下に トルクを制限します。9.5kgの軽量化とコンパクトパッケージ
新しい8気筒エンジンはさらにコンパクトなデザインとなり、先代より9.5kg軽量化されています。ポルシ ェは多彩なエンジニアリングを使用して軽量化を達成しました。たとえば、アルミニウム製クランクケー スはわずか39.1kgで、先代の4.8リッターエンジンより6.7kg軽量化されています。全てのコンポーネン トが分析され、可能な場合は軽量化されました。たとえばクランクシャフトドライブです。ポルシェはこれ を1.4kg軽量化しました。5つのベアリングによってサポートされるクランクシャフトを備えたクランクケー スドライブの特別なデザインは、コンパクトなエンジンデザインのもうひとつの要素です。、ウォーターポ ンプとタイミングドライブの駆動に採用されたインターメディエイトシャフトは、クランクシャフトドライブの 特徴と言えます。エンジン内側のウォーターポンプの歯付ギアドライブによって、エンジンパッケージを 圧縮することができました。さらに、センターターボレイアウトと0.8リッターの排気量の削減がマウントス ペースと重量にプラスの影響を与えます。新しい4リッター V8エンジンの比出力は4.8リッターエンジン を上回っており、その進化は注目に値します。たとえば、ニューパナメーラ ターボのリッターあたり出力 は137.5PS/リッター(先代は108.3 PS/リッター)です。センターターボレイアウト – パナメーラの全エンジンの設計特徴
パナメーラのV8ガソリンエンジンは、高回転および高出力域まで一気に吹け上がります。同時に低回 転域から最大トルクを発生します。これは新しいV6ガソリンエンジンとV8ディーゼルにも当てはまるスポ ーツカーのダイナミックなエンジン特性で、このキャラクターは全モデルに装備されるツインターボチャ ージャーのセンターターボレイアウトに起因します。その代表的なモデルがパナメーラ ターボです。最 新式ツインスクロールターボチャージャーはV8の燃焼室に圧縮された空気を供給します。反対方向に 回転する2つのタービンが低回転域から最大のトルクを発生します。ターボチャージャーの最大過給圧 は0.3barです。排出ガスによって駆動されるコンプレッサーは各ターボチャージャーで吸気を圧縮しまエンジン、トランスミッション、4WD 21 す。デュアルブランチシステムによって生み出されるエアフローは、最適なエンジンレスポンスを実現し ます。この外側から流れる空気は、V8の上流側に設けられた左右のインタークーラーを通過した後、各 スロットルバルブを通って左右のシリンダーバンクに入ります。インタークーラーは圧縮過程で上昇した 空気の温度を大幅に下げます。これが、シリンダーに酸素が充満するまで空気の密度を高めて、最終 的に効率性を向上させます。
中央に取り付けたインジェクター – V6とV8、ガソリンとディーゼルに最適
高圧インジェクションバルブを備えたインジェクターが燃焼室の中央に取り付けられていることが、パナ メーラの全てのエンジンに共通するもうひとつの特徴です。パナメーラ ターボを例に挙げると、7つの ノズル孔を備えたバルブが使用されており、あらゆる作動フェーズで完璧に均質な混合気と最適な燃 焼を得るために各ジェットが個々に位置合わせされます。ポルシェはインジェクターを使用して、エンジン の始動、触媒コンバーターの加熱、エンジンの暖機、および温間時の作動エンジンに固有のインジェ クションプログラムを実施します。各シリンダーに最大噴射圧250bar(先代140bar)の高圧ポンプが 使用されています。Vバンク内に触媒コンバーターを配置したエミッションコントロール
V8エンジンは、上流側触媒コンバーターとメイン触媒コンバーター、上流側および下流側サイレンサー を備えたデュアルブランチエグゾーストシステムを装備します。8気筒エンジンのもうひとつの工学的特 徴は、センターターボレイアウトと同様に、触媒コンバーターがVバンクの内側に設けられているためエ ンジンに近接しています。この構成によって、エミッションコントロールシステムは非常に迅速に最適な 作動温度に達します。さらに、ターボチャージャーのウエストゲートバルブの作動によってエンジン始動 時の触媒コンバーターの加熱が加速されます。鉄合金のシリンダーライニングによる磨耗とオイル消費の低減
V8エンジンのハイライトが、鋳造アルミニウムブロックのシリンダーライニングに対する鉄コーティングで す。これは内側の摩擦、磨耗(燃料の品質が良くない場合も同様)、およびオイル消費を大幅に低減 します。製造工程において、大気プラズマ溶射法を使用して非常に丈夫で低摩擦の鉄コーティングを シリンダーの表面に施します。層の厚さはわずか150ミクロンです。V8エンジンに適用された以前のコ ンセプトに比べて、ライニングの磨耗が、ピストンリングの運動反転ポイントで10分の1まで削減され、 ほぼ解消されています。軽量鋳造ピストンのデザインは新しい合金により実現しています。ピンストンリ ングは窒化クロムコーティングが施され、鉄コーティングと完全に調和します。このような全ての対策の 相互作用において、オイル消費も先代エンジンに比べて50%低減されています。エンジン、トランスミッション、4WD 22
サーキットにおいても信頼性の高いオイル循環
全てのポルシェは、サーキットの走行条件下においても信頼性をもって作動しなければなりません。ニ ューポルシェ パナメーラは、革新的なオイル循環システムによって、このような要求にも対応します。レ イアウトも極端な前後Gと横Gを補正します。オイル通路がエンジンのオイル供給とシリンダーヘッドの オイル供給に分割されているのが特徴です。オイル通路の供給開口部は、オイル循環システムの専 用コンポーネントの要求に適合されています。これがエンジン始動時の油圧の増大に要する時間にプ ラスの効果を与えます。迅速な圧力の増大は、オイルポンプのチェックバルブによってもアシストされま す。これはVバンク内側の大量のオイルがオイルパンに戻り、エンジンの油圧が低減することを防ぎま す。可変ベーンオイルポンプによって油圧は増大し、それをマップに基づいて制御するためにバルブが 使用されます。このコントロールバルブに油圧リミッターが統合されており、外気温が低い時にはエンジ ンの始動とともに自動的に作動します。Vバンクの内側にある中央の電子制御スイッチングバルブも、 ピストンの冷却の要求と関連するマップパラメーターに応じてピストンのスプレーノズルを制御します。 この制御は攪拌ロスを低減してオイル循環量も制御します。ポルシェ パナメーラ ターボはニュルブル クリンクのノルドシュライフェを高速で走ることもできます。スポーツクロノパッケージとスポーツレスポンススイッチ
オプションのスポーツクロノパッケージは、ローンチコントロールとモードスイッチ、マルチファンクション ステアリングホイールのスポーツレスポンススイッチを含み、サーキット走行のために完璧に設定されて います。ポルシェ918スパイダーで初めて導入されたモードスイッチは、エルゴノミクスを考慮に入れて 設計したステアリングホイールのロータリースイッチであり、4つのドライビングモード(ノーマル、スポー ツ、スポーツ・プラス、インディビジュアル)を素早く作動することができます。スポーツ・プラスモードはサ ーキットに理想的です。このときドライブトレインは最適なレスポンスと最高の加速にあらかじめ設定さ れます。さらに、3チャンバーエアサスペンション、ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシス テム(PASM)、PDCC Sport、ポルシェ・トルク・ベクトリングプラス、およびリアアクスルステアリングなど のアクティブサスペンションコンポーネントがよりスポーティなモードに切り替わって、最高の性能を発 揮します。 スポーツレスポンススイッチはモードスイッチの中央に付いており、このスイッチを短く押すとパナメー ラの最高の出力を20秒間引き出すことができます。このときエンジンのレスポンスはよりダイレクトにな ります。PDKもスポーツ・プラスモードよりダイナミックなシフティングマップに切り替わり、直ちに3,000 -6,000rpmの回転域にシフトダウンします(フルスロットルでスイッチを押した場合を除く)。同時に次 のギアにシフトアップするのが遅くなります。エンジン、トランスミッション、4WD 23
新しい2.9リッターエンジンを備えたパナメーラ4S
パナメーラ4Sの6気筒ガソリンエンジンも完全に新開発されました。バンク角90度のV型で総排気量 は2,894ccです。あらゆるモデルチェンジと同様に、ポルシェは新しい6気筒エンジンの出力を向上さ せながら燃費とエミッションを低減しました。たとえばパナメーラ4Sは、先代の最高出力を20PS上回り ながら燃費を11%削減しています。数値を見ると、パナメーラ4SのV6ツインターボエンジンは、最高出 力324kW(440PS)/5,650rpmを発生し、リッターあたりの出力は152PS/リッター(先代140 PS/リッ ター)です。最大トルクは550N・m/1,750-5,500rpm(先代を30N・m上回る)で、従来より広い回転 域で最大トルクを得ることが可能です。0-100km/h加速タイムはわずか4.4秒(スポーツクロノ仕様 車の0-100km/h加速タイムは4.2秒)。0-200km/h加速タイムは16.2秒(スポーツクロノ仕様車の 0-200km/h加速タイムは15.9秒)です。最高速度は289 km/hに達し、目標の300km/hに近づきま す。燃料消費量(NEDC)は、先代より1.0リッター/100km少ない8.2–8.1リッター/100km(CO2排出 量は186–184g/km)です。 8気筒エンジン同様にセンターターボレイアウトが新しい6気筒エンジンの主な特徴です。新しいV6エ ンジンの2つのターボチャージャーもシリンダーバンク間の中央に統合されています。ここでも吸気がデ ュアルブランチレイアウトを経由して各ターボチャージャーと燃焼室に送られてエンジンの応答性を改 善します。 さらに、Vバンクの内側に設けたオイルクーラーとオイルフィルターと中央に取り付けたインジェクターに よってV8エンジンとのつながりが生まれます。しかしV6エンジンは、8気筒エンジンと異なり、軽量化の ためにエグゾーストマニホールドもVバンクの内側に取り付けられています。新しい6気筒エンジンは、 全体的に統合された機能パーツの割合が非常に高く、そこにはエグゾーストマニホールドに加えて、部 分的に鋳造されたインテークマニホールドとオイルクーラーも含まれます。V6ターボエンジンのクランク ケースは軽量アルミニウム合金製で、クランクケースは砂型鋳造されています。これによって高水準 の機能統合による軽量化が可能です。その結果パナメーラ4Sのエンジンの重量は先代のV6ターボ を14kg下回ります。インテークバルブの可変タイミングを備えたV6エンジン
ダイレクト・フューエル・インジェクションのために燃焼室の中央に取り付けられたインジェクターも6気 筒および8気筒エンジンの共通の特徴です。V8エンジン同様に、燃焼室中央に取り付けられた高圧イ ンジェクションバルブも燃焼を大幅に改善し、効率性と応答性を高めます。しかしV6エンジンとV8エン ジンには違いもあります。たとえば6気筒エンジンのインテークバルブは、部分負荷作動と高負荷の両 方で効率性とダイナミクスを最適化する可変タイミングを備えます。エンジン、トランスミッション、4WD 24 部分負荷作動において、V6エンジンの燃焼過程は、高い圧縮比による短い圧縮フェーズによって特 徴付けられます。通常の燃焼サイクルを備えながら圧縮より長い膨張フェーズとの組み合わせによっ て、効率性と燃費にメリットがもたらされます。つまり、インテークの開放時間が短くなると圧縮比が高く なって効率性が向上しますが、短い開放時間によって燃焼室の充填量が減少します。そのため、バル ブの制御と圧縮は可変機能を備えており、ドライバーが高い出力を要求するとすぐにインテークバル ブの制御が吸気時間を長めに切り替えます。こうしてエンジンは、フルスロットル時に最適な効率性で 最高出力を発生することができます。 初代パナメーラ同様に、新しいV6エンジンもバリオカムプラスを備えます。このシステムによって、イン テークおよびエグゾーストカムシャフトの調節(各々50度まで)とインテークカムシャフトのバルブストロ ークの切り替えができます。バリオカムプラスは、クルージングなどの通常の出力要求と追い越しなど の非常にダイナミックな要求のフェーズ間を区別します。アクセルペダルの位置に応じて、インテーク バルブのストロークを6-10mm切り替えることができます。インテークバルブの可変バルブストロークと 可変オープニングタイミングによって特に部分負荷時の俊敏性と燃費を改善します。
世界最速ディーゼルサルーン、パナメーラ4Sディーゼル
第2世代のポルシェ パナメーラは、新開発の8気筒ディーゼルエンジンも用意されています。さらに パナメーラ4S ディーゼルは初めて4WDを備えます。これまでのポルシェ市販車で最もパワフルな総 排気量3,956ccのディーゼルエンジンは、最高出力310kW(422PS)/3,500-5,000rpmと最大ト ルク850N・m/1,000-3,250rpmを発生します。高圧直噴のコモンレールシステムは最大噴射圧 2,500barを備えます。 8気筒ディーゼルエンジンの快適性とダイナミズムはガソリンエンジンに匹敵します。最高速度は市販 のディーゼル車において現在世界最速の285km/hに達します。0-100km/h加速タイムは4.5秒(ス ポーツクロノ仕様車の0-100km/h加速タイムは4.3秒)、0-200km/h加速タイムは17.1秒(スポー ツクロノ仕様車の0-200km/h加速タイムは16.8秒)です。一方で燃料消費量(NEDC)はコンパクト カーに匹敵する6.8–6.7リッター/100km(CO2排出量は178–176g/km)です。75リッターのタンク容 量によって1,200kmの航続距離を備え、オプションの90リッタータンクを使用すると1,475 kmまで延 長されます。エンジン、トランスミッション、4WD 25
センターターボレイアウトのシーケンシャルターボチャージャー
ポルシェ パナメーラ4Sディーゼルもセンターターボレイアウトのツインターボチャージャーを備えます。タ ーボチャージャー、エグゾーストガスリサーキュレーション、およびエグゾーストマニホールドは、90度のV バンク内側に完全に収まるコンパクトなユニットを形成します。コモンレールエンジンは、ガソリンエンジ ンと異なり、シーケンシャルターボチャージャーを備えます。これによって8気筒エンジンは、作動状態に 応じてツインターボまたはシングルターボとして作動します。低、中回転域では、全ての排出ガスが2つ のうちの1つのターボチャージャーのみに向けられスロットルレスポンスを改善します。V8ディーゼルエン ジンは1つのターボチャージャーのみで1,000rpmの低回転域から最大トルクを発生します。2つめのタ ーボチャージャーは最高出力が要求される高回転域でのみ作動します。どちらのチャージャーも可変タ ービンジオメトリー(VTG)を備えます。 シーケンシャルターボチャージャーでは、排出ガスは各シリンダーの2つのエグゾーストバルブから2つに 分割されて2つのタービンに流れます。2,200rpmを超える回転域では2番目のフローのエグゾーストバ ルブが閉まり、2番目のターボチャージャーがこの作動フェーズで過給圧を加えることはありません。約 2,700rpmでツインターボモードへの切り替えが開始して2番目のフローのエグゾーストバルブが開きま す。シーケンシャルターボチャージングを可能にする可変バルブタイミング
2つのターボチャージャーのシーケンシャルターボチャージングは、インテークおよびエグゾーストバルブ の可変バルブタイミングによって可能になります。切り替え位置を変更するためにカムシャフトの軸方 向のスライディングカム部品が使用されます。電磁アクチュエーターがカム部品をスライドさせます。イ ンテーク側の2つのカムの一方は発進性能を最適化し、他方は長いバルブ開放期間にわたって全出 力を引き出します。さらに、エグゾーストバルブ側にも2つの切り替え位置があります。シングルモードに 関連する1つめの切り替え位置はバルブストロークなしでカムを切り替え、シリンダーごとに1つのエグ ゾーストバルブを閉めたままにします。2つめの切り替え位置は、バルブストロークを備えたカムの外形 が前述の段階で閉まっていたエグゾーストバルブを開いて2つめのターボチャージャーを作動します。パナメーラ初の8速PDKがワールドプレミア
第2世代パナメーラは、7速の代わりに8速のデュアルクラッチトランスミッションを備えたポルシェ初の モデルです。一般に8速トランスミッションは、より適切なギアレシオを実現します。最高の快適性と俊 敏性を兼ね備え、7速と8速がエンジン回転数を低減するオーバードライブギアとして設計されているの で、燃料消費量をさらに削減します。全てのパナメーラは6速で最高速度に達します。エンジン、トランスミッション、4WD 26 パナメーラの新しい8速PDKは、全てのデュアルクラッチトランスミッション同様に、「スタンバイ状態」 で作動を待つことによって瞬時に次のギアに移動し、トルクの中断がありません。スポーティでありなが ら非常に快適なPDKのシフト特性は、ポルシェ パナメーラのようなダイナミックなグランツーリスモに最 適です。8速PDKは最大1,000Nmまでのトルクに対応できるよう設計されています。