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1.研究の背景と目的

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Academic year: 2022

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(1)

40

回土木学会関東支部技術研究発表会 第Ⅰ部門

高強度鋼材(SM570,SBHS500)を用いたアーチリブの耐荷力特性と基準耐荷力曲線に関する研究

首都大学東京大学院 学生会員 ○山下 洋平 首都大学東京大学院 フェロー会員 野上 邦栄

1.研究の背景と目的

H14

の道路橋示方書(以下,道示と呼称)

1)

が定める柱の基準耐荷力曲線は,それまでの研究成果を基に,下限値相 当の唯一

1

本の曲線を採用していたが,H24の道示改訂において箱断面部材に対する新しい耐荷力曲線が導入され た.現在,さらなる性能照査型設計法への改訂に向けて検討しており,耐荷力曲線の緩和見直しが可能な状況にあ る.H14道示に基づき設計された実際のアーチリブは,圧縮部材として安全側な箱断面が採用される傾向にあると の報告がある.そこで,本研究では実際のアーチリブ断面に採用されている高強度鋼材の

SM570

と,JIS化され数 橋に適応され始めている

SBHS

に着目し,実際のアーチリブ断面を対象にしてそれらの柱としての弾塑性有限変位 解析を実施し,弾塑性挙動および耐荷力特性を明らかにすると共に,道示の耐荷力曲線を緩和した新しい柱の基準 耐荷力曲線の提案に向けた基礎的検討を行う.

2.対象部材

対象部材は,日本橋梁建設協会から提供いただいた

H14

道示に基づき設計された全

29

アーチ橋の中から

7

橋を選び,表

1

のアーチリブ断面を抽出した.断面形状 は補剛・無補剛断面があり,それぞれ代表的な断面を

No,3,No,5

とし図

1,2

に示す.換算細長比λが

1.0

の 断面諸元を表

2

に示す.

3.解析モデル

解析には,汎用弾塑性有限変位解析ソフトウェア

MARC2011

を用いた.解析パラメータを表

3

に示す.初

期たわみは図

3

のような半波形状を仮定し,3種類のた わみ量をパラメータとした.残留応力は,図

4

のような 理想的直線分布とし,5種類の圧縮残留応力度をパラメ ータとした.部材はシェル要素でモデル化し,全体座屈 および局部座屈変形の考慮できる十分な要素分割をし た.構成則は,図

5

に示す折れ線近似モデルを適用した.

また,境界条件は,両端単純支持で集中荷重

P

を断面重

心位置に載荷する.なお,両端部には荷重載荷時の応力集中による局所的変形を防ぐため,板厚

1

㎜の剛体を配置 した.なお,SBHS500の断面は,SM570の断面を準用している.非線形数値解析には弧長増分法を適用した.

キーワード アーチリブ,複数耐荷力曲線,残留応力,初期たわみ,道路橋示方書,高強度鋼材 連絡先 〒

192-0397

東京都八王子市南大沢

1-1 TEL042-677-1111

内線

(4564)

P

1:実橋アーチリブ

板厚(㎜) リブ本数 材質 板厚(㎜) リブ本数 材質

1 H2200×W1250 21~35 1 SM570 18~25 3 SM570

2 H2500×W1200 28~50 1 SM570 28~36 2 SM570

3 H1000×W1400 55~82 0 SM490Y,SM570 55~82 0 SM490Y,SM570

4 H550×W600 19~40 0 SM570 22~43 0 SM570

5 H1200×W800 22~35 1 SM490Y,SM570 22~27 2 SM490Y,SM570 6 H1800×W1400 32~40 1 SM490Y,SM570 32~41 2 SM490Y,SM570 7 H2400×W1300 21~42 1 SM490Y,SM570 20~42 2 SM490Y,SM570 橋梁

No,

アーチリブ断

フランジ ウェブ

1

:無補剛断面(No,3)

2:補剛断面(No,5)

部材長 L

Ly Lz

Top-PL 1400 × 55 800 × 22

L-Web 1000 × 55 1000 × 22

R-Web 1000 × 55 1000 × 22

Bottom-PL 1400 × 55 800 × 22

T.PL-Rib - 140 × 16

B.PL-Rib - 140 × 16

Web.PL-Rib - 150 × 22

Y0

Z0

A Iz

最大細長比 Lz/rz 48.80 120 63.61 120

Top-PL 12.73 18.18

L-Web 6.06 15.15

R-Web 6.06 15.15

Bottom-PL 12.73 18.18

12.73 60 18.18 60

0.31 0.45

断面形状 無補剛断面 補剛断面

断面

1.0 1.0

190.31 159.22

210 210

0 0

251900 103744

69453899170 17885171525 500

25627 26412

25627 26412

0 0

座屈パラメータ(両縁板)R

3 5

25627 26412

SBHS500 SBHS500

500

最大幅厚比

軸方向圧縮部材許容応力度 両縁支持板圧縮許容応力度 座屈パラメータ(柱)λ 幅厚比 部材No,

材質 基準降伏点 有効座屈長

断面諸量

2:断面諸元(mm,N/mm 2 )

項目 パラメータ 種類

断面

No,1,No,2,No,3,No,4,No,5,No,6,No,7 7種

解析モデル シェル要素ダイアフラムなし

1種

座屈パラメータ λ=0.2,0.4,0.6,0.8,1.0,1.2,1.4,1.6,1.8,2.0

10種

残留応力

0,0.1,0.2,0.4,0.6σy(圧縮応力) 1.0σy(引張応力) 5種

初期たわみ

L/1000,L/1500,L/5000 3種

鋼種

SM570,SBHS500 2種

3:解析パラメータ

3:境界条件と荷重載荷方法

4:残留応力分布

5:構成則

初期たわみδ

z 0

100 200 300 400 500 600

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12

応力

σ( N /m m2 )

ひずみ

ε

SM570 SBHS500

L

(2)

40

回土木学会関東支部技術研究発表会 第Ⅰ部門

4.弾塑性挙動と耐荷力特性

6・7

はそれぞれ

No,3

断面および

No,5

断面における細長比ごとの荷重変 位 曲 線 を 示 す . こ こ に , 使 用 鋼 材

SBHS500,初期たわみδ z =L/1000,圧縮

残留応力σ

rc =0.2σ y

である.横軸は橋軸

方向変位

u,縦軸は載荷荷重の無次元量

を示す.図

8・9

は,No,3,No,5断面に

おいて

SBHS500

を使用したモデルの初

期たわみδ

z

と圧縮残留応力σ

rc

の変化 による耐荷力を示している.図中の横 軸は換算細長比λ,縦軸は載荷荷重の 無次元量を示す.なお,黒色の曲線は

H14

道示の耐荷力曲線

1)

を,青色曲線は 土木学会の

Group-2

曲線

2)

,赤色は

SSRC-2

曲線

2)

を示す.

8・9

から,初期不整の増加に伴い 耐荷力は低下する.また,図

10

は全

7

断面について初期不整として圧縮残留 応力σ

rc =0.2σ y

,初期たわみδ

z =L/1000

の時の耐荷力をまとめたものである.

10

から

SM570

SBHS500

の材質に よる耐荷力特性には大きな相違はない ことが分かった.なお,図中の▲印は 過去の実験結果である.今回の解析結 果に基づく下限値曲線として新しい耐 荷力曲線として赤色の曲線を提案した.

5.結論

箱断面アーチリブの耐荷力特性に関 するパラメトリック解析結果は,以下 のようにまとめることができる.

1)

既往の統計資料などを調査した結果,残留応力の値は,図

11 3)

に示すように圧縮応力としてσ

rc =0.2σ y

が適用で きる.また,初期たわみは現場精度など参考資料が少ないため,従来のδ

z =L/1000

を適用した.

2)

高強度鋼材である

SM570

および

SBHS500

を使用した箱断面圧縮部材の耐荷力曲線は,

H24

道示の箱断面を 対象とした基準耐荷力曲線に対して,式

(1)

のような高強度耐荷力曲線を提案できた.

謝辞:本研究は,日本鋼構造協会/鋼橋の合理化構造・設計法研究委員会/合理化構造・設計法研究部会活動の一環 として行ったものである.

参考文献:1)日本道路協会:道路橋示方書Ⅰ共通編,Ⅱ鋼橋編,2012,2)土木学会:座屈設計ガイドライン,2005

3)(独)土木研究所:鋼箱形断面圧縮部材の耐荷力に関する検討,土木研究所資料 No,4221,2012,3

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

0 20 40 60 80 100

σ/ σy

橋軸方向変位u(㎜)

7:荷重変位曲線(No,5)

6:荷重変位曲線(No,3)

9:耐荷力曲線(No,5)

8:耐荷力曲線(No,3)

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

0 20 40 60 80 100

σ/ σy

橋軸方向変位u(㎜)

11:残留応力分布

10:提案曲線

2 2

1.0

1.0525 0.225 0.1875 1.4400 1.000 0.2000 σ

σ λ λ

σ λ λ

=

= − −

= − +

-式(1)

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1

0 0.5 1 1.5 2

σrc /σ y

λ(換算細長比)

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1

0 0.5 1 1.5 2

σrc /σ y

λ(換算細長比)

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1

0 0.5 1 1.5 2

σcr /σy

λ(換算細長比)

Itoh(HT60,実験) Itoh(HT80,実験) No,1 SM570 No,1 SBHS500 No,2 SM570 No,2 SBHS500 No,3 SM570 No,3 SHBH500 No,4 SM570 No,4 SBHS500 No,5 SM570 No,5 SBHS500 No,6 SM570 No,6 SBHS500 No,7 SM570 No,7 SBHS500

H24

道示(箱断面)

H24

道示(箱断面以外)

0 20 40 60 80

0 0.2 0.4

b / t σ

rc

/ σ

y

SS41(Komatsu, t=4.4~15.5mm) SS41(Okumura, t=6, 10mm) SM41(PWRI, t=15mm) SM58(HSBAS, t=50mm) SM58(HSBAS, t=28~38mm) SM58(Komatsu, t=16.1mm) HT60(Komatsu, t=8.4, 12.4mm) HT80(Komatsu, t=8.6~12.7mm) HT80(Okumura, t=6, 9mm) HT80(Usami, t=6mm) HT80(Itoh, t=11mm)

λ=0.2 λ=0.6

λ=1.0 λ=1.4

λ

=2.0

λ

=0.2

λ=0.6 λ

=1.0

λ=1.4

λ=2.0

提案曲線

参照

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