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河川の洪水特性と氾濫原の特性に関する研究

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Academic year: 2022

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河川の洪水特性と氾濫原の特性に関する研究

日本大学大学院理工学研究科 学生会員 ○伊藤学 日本大学理工学部 正会員 宮本守 日本大学理工学部 正会員 吉川勝秀

1.はじめに

河川堤防は洪水時に氾濫原の人命・資産を浸水被害か ら守る役目を担っている。しかし、計画を超える規模の 出水が起きた場合、越水・決壊によって氾濫する可能性 がある。そのため、氾濫した場合の被害を最小限に抑え た治水対策の検討が重要となる。また、氾濫原の土地利 用(被害ポテンシャル)は一様ではないため、治水対策 を検討するにあたって、流量などの外力だけでなく被害 ポテンシャルを考慮する必要がある。本研究では、利根 川水系を対象とし、過去の堤防決壊要因の類型化、越水 箇所の推定を行い、浸水範囲の推定と被害ポテンシャル の分布の関係を示した。

2.堤防決壊要因の類型化

堤防決壊要因は、越水、構造物周りの漏水、漏水・浸 透、洗掘に分けられる。図-1に利根川流域における約 80 年間の堤防決壊箇所と決壊要因の分布を示す1)。図-

2に図-1で示された、堤防決壊要因別の割合を示す。

図-2に示すように、利根川水系において越水による堤 防決壊が 88%を占めており、利根川水系において越水に よる堤防決壊が最大の堤防決壊要因といえる。

3.越水箇所の推定

前述したように、越水は最大の堤防決壊要因である。

そこで、1次元不定流解析モデルを用い、流量の増加に 伴う越水箇所の推定を行った。本研究では越水しても堤 防は決壊しないと仮定して計算を行った。

(1)河川データ

対象は利根川本川のみとし、八斗島から銚子(河口)

までの約180kmとした。縦断形は利根川整備基本方針に

示されている値を用いた。利根川上流(八斗島~取手)

の横断面形状は公開されている代表断面(八斗島、古戸、

利根川俣、栗橋、芽吹橋、取手)を用い、利根川下流(取 手~河口)の横断面形状は実際の横断面形状を使用し、

4km間隔で設定した。河床粗度は1981年8月、1982年 8月、1982年9月の洪水実績から逆算された粗度係数を

使用した。

(2)境界条件

上流端境界条件は 16500m3/s(計画高水流量)と、超 過洪水として計画高水流量から 1 割ずつ増加させた 18510 m3/s、19800 m3/s、21450 m3/s、23100 m3/sをそ れぞれ一定値で与えた。下流端境界条件は銚子港の朔望 平均満潮位である 2.3m を一定値で与えた。また利根川 の計画高水流量配分図に基づき、支流を横流入量として、

渡良瀬川0m3/s、鬼怒川5000m3/s、小貝川1300m3/sを 一定値で与え、分派流量は江戸川7000 m3/s、印旛沼1000 m3/sの一定値とした。

(3)解析結果による越水箇所の推定

図-3に各流量条件の最高水位と天端高との関係を縦 断的に示す。図-4、5は右左岸の天端高を基準した場 合の各流量条件の水位との差分値を示す。

図-4、5を利根川上流部(八斗島~栗橋間)、利根川 中流部(栗橋~小貝川合流点間)、利根川下流部(小貝川 合流点~河口)の3区間に分けると、流量の増加に伴い

88%

9% 3%

越水 構造物周りの漏水 漏水、浸透

図-1 利根川水系における約80年の堤防決壊実績1)

キーワード 堤防、堤防決壊、越水、治水整備、被害ポテンシャル 連絡先 〒274‐8501 千葉県船橋市習志野台 7-24-1 737教室 日本大学理工学部社会交通工学科水環境システム研究室 TEL/FAX:047-469-5228

図-2 利根川水系における堤防決壊要因の割合

Ⅱ−48 第36回土木学会関東支部技術研究発表会

(2)

図-7 推定した浸水範囲と人口分布 利根川中流部で天端高を超え、流量の増加に伴い利根川

上流、利根川下流も天端高を超える結果であった。

4.被害ポテンシャルの分布

被害ポテンシャルを考慮した治水対策を行うためには、

越水・決壊による浸水範囲の推定と被害ポテンシャルの 分布を明らかにする必要がある。

図-6は治水地形分類図から浸水範囲を推定し、ブロ ック分割した結果である。浸水範囲は流れの境界となる 箇所(河川、丘陵地)で区切ることで推定した。図-7 は平成17年の国勢調査をもとに、利根川流域における人 口分布と図-6より推定した浸水範囲を示している。図

-7を利根川上流部、利根川中流部、利根川下流部に分 けて下記に考察した。

(1)利根川上流部の浸水範囲の被害ポテンシャル 右岸側で越水・決壊した場合、氾濫流は東京まで流れ、

浸水範囲は人口分布が高い値であることから被害ポテン シャルは高いことがわかる。しかし、左岸側で越水・決 壊した場合浸水域は小さく、人口分布が低い値を示して いるため、被害ポテンシャルは低いと考えられる。

(2)利根川中流部の浸水範囲の被害ポテンシャル 左右岸の浸水域は共に丘陵地に囲まれているため小さ く、人口分布が低い値を示しているため、被害ポテンシ ャルは低いと考えられる。

(3)利根川下流部の浸水範囲の被害ポテンシャル 利根川中流同様、浸水域は丘陵地に囲まれているため 比較的小さく、人口分布が低い値を示しているため被害 ポテンシャルは低いと考えられる。

以上より利根川上流部右岸側で越水・決壊した場合の 浸水範囲が最も高い被害ポテンシャルを有している。

5.まとめ

本研究では堤防決壊事例の類型化、越水箇所の推定、

浸水範囲の推定、被害ポテンシャルの分布を明らかにし た。それにより得られた知見を以下に示す。

x 流量の増加に伴い水位上昇量は利根川中流部で天端高 を超え、流量の増加に伴い利根川上流、利根川下流も天 端高を超える結果であった

x 利根川上流右岸側で越水・決壊した際の浸水域は最も高 い被害ポテンシャルを有している。

参考文献

1) 吉川勝秀:河川堤防学、技報堂出版、p108、2007

‐5

‐4

‐3

‐2

‐1 0 1 2 3 4 5

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 difference value based on levee crown height (m) 

Distance from the river mouth (km)

16500m3/s(Design Flood) 18510m3/s 19800m3/s 21450m3/s 23100m3/s(Excess Flood) Sawara Kokai

River Kinu River

Toride Edo

River Kurihashi Watarase

River Yattajima

Right bank

‐5

‐4

‐3

‐2

‐1 0 1 2 3 4 5

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 difference value based on levee crown height (m) 

Distance from the river mouth (km)

16500m3/s(Design Flood) 18510m3/s 19800m3/s 21450m3/s 23100m3/s(Excess Flood) Sawara Kokai River Kinu River

Toride Edo

River Kurihashi Watarase

River Yattajima

Left bank

図-3 計画高水流量時と仮定した超過洪水時 の水位と天端高の比較

図-5 左岸側の天端高を基準とした際の水位と の差分値

図-4 右岸側の天端高を基準とした際の水位と の差分値

‐20

‐10 0 10 20 30 40 50 60

0.0  50.0 

100.0  150.0 

200.0 

Water level, Elevation

Distance from the river mouth (km)

16500m3/s(Design Flood) 18510m3/s

19800m3/s 21450m3/s

23100m3/s Levee crest height(left bank)

Levee crest height (right bank) Heght of average depth river bed HWL

Watarase River

Kurihashi Edo River

Kinu River

Toride Kokai River

Sawara T.P.

Yattajima

図-6 地形的特性からの推定した浸水範囲の ブロック分割

Ⅱ−48 第36回土木学会関東支部技術研究発表会

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