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地方における橋梁の維持管理の現状と点検の効率化について

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Academic year: 2022

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地方における橋梁の維持管理の現状と点検の効率化について

長崎大学大学院工学研究科 正会員 ○森田千尋,松田 浩 清水建設株式会社 正会員 稲田 裕,丹 博美 大村市役所都市整備部 非会員 江崎 圭

諫早市役所財務部 非会員 甲斐紀行

1.研究目的

日本において橋梁を含め多くのインフラは,1960 年~1980年代の高度経済成長期に整備され,これら のインフラは今後一斉に高齢化を迎えてしまう。労 働人口減少による技術者不足と税収入の減少等の財 政問題から,特に過疎化が進む地方公共団体におい て,全てのインフラを従来のように一様に補修更新 していくことは困難である。そのため,各自治体の 予算減少が進む中でも住民に不可欠なサービスは継 続できるように,自治体職員で維持管理手法を検討 し実行していくことが急務となっている。これらの 背景から,本研究では諫早市を対象に橋梁の維持管 理手法の検討を行っていく。限られた予算の中で対 応するため,公共施設等の維持管理方法の効率化の1 つとして,諫早市にある橋梁の現状を分析し点検の 効率化に向けて考察する。

2.諌早市管理橋梁の状況

諫早市が管理する橋梁の 6割以上は架設年度が不 明である。図1に示したように2015年現在,対象デ ータ887橋のうち架設年度不明の585橋を除き,69 橋が架設後50年以上経過したもので,233橋が架設 後50年未満である。30年後は架設後50年以上経過 するのが69橋から 253橋となり1) ,今後,高経年 化橋梁の増大に対応した維持管理が求められる。

3.健全度評価

諫早市では,橋梁の健全度は長崎県の橋梁点検マ ニュアル 2) に基づいて評価しており,概略点検の記 録を詳細点検に変換し,健全度(HI;Health Index) が算出されている。平成26年度までに実施された点 検と健全度の算定結果を用いて,全887橋のデータ を基に健全度評価の分析を行った。

図2は,橋長15m以上の橋梁HIの健全度と橋長

15m 未満の橋梁 HIの健全度との比較である。橋長 15m未満の対象橋梁705橋の内,640橋が健全度80 点を超え,9割以上が健全度80点以上である。これ より,橋長の短い小規模橋梁まで全ての橋梁につい て同じ評価を行うのは効率的ではなく,点検の簡易 化の可能性が考えられる。

図3は,橋長15m未満の橋梁に対して,橋梁全体 のHIと主構,下部工,支承部のそれぞれのHIとの 関係を示したものである。主構HIは橋梁全体のHI とある程度の相関性は見られ,下部工のHIはほとん どが健全で相関性はなく,支承部のHIはある決まっ た値に集中しており,相関性はあまり見られない。

図1 諫早市にある橋梁の架設年度の推移 図2 橋梁HIの比較

キーワード:地方公共団体,橋梁,維持管理,健全度,簡易点検

連絡先:〒852-8521 長崎市文教町1-14 長崎大学大学院工学研究科システム科学部門 TEL 095-819-2591

2015年 2045年

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑185‑

Ⅰ‑093

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4.現地調査

点検の効率化を検討するため,サンプル橋梁を選 び長崎県の橋梁点検マニュアル 2) に従って目視点検 を行い,前節に示した既往の調査との比較を行った。

サンプル橋梁は,図4 に示す諫早市における健全性 の判定フロー1) より「④架替え検討が必要」と判定 された28橋の内,目視点検可能な22橋(全て鋼橋)

と「②予防的な修繕が必要」か「③早期の修繕が必 要」と判定されたPC橋5橋,RC橋8橋である。

図 5 には,鋼橋の主構 HIにおける既往の調査と の比較を示す。22 橋の内 14 橋において,今回の現 地調査結果の健全度が高い結果となった。既往の主 構HIが低い橋梁の劣化状況を見ると,主構に亀裂や 断面欠損は確認されなかったが錆や塗膜劣化は激し く,そのため錆や塗膜劣化からの腐食の評価だけで 主構の健全度の低下につながったと考えられる。

図6には,RC橋の主構HIにおける既往の調査と の比較を示す。8 橋の内 6 橋において,今回の現地 調査結果の健全度が低い結果となった。今回調査し た主構HIが低い橋梁の劣化状況を見ると,鉄筋露出 やひび割れが多く見られた。経年による劣化を考慮 しても健全度が大きく低下しており,その損傷が部 分的なのか全体なのかの判断によって,差異が出た ものと考えられる。なお,PC橋の主構HIについて は,大幅な差異は出なかった。

5.まとめ

本研究において,以下のことが明らかとなった。

・主構HIは橋梁全体のHIと高い相関性がある。

・防食機能の低下は健全度が低く出る傾向にある。

・劣化範囲の取り方により健全度が大きく異なる。

これより,地方公共団体における橋梁点検の効率 化を図る上で,次のような解決策が考えられる。

・点検における重点的監視部位のしぼり込み

・劣化状況や範囲の健全度への影響度合いの見直し

また,点検者により損傷の捉え方が異なるため,

点検項目を明瞭にすることも重要である。今後,こ れらの改善点を踏まえた橋梁の簡易点検診断法を提 案し,実施に向けて検討していく予定である。

参考文献 1) 諫早市建設部道路課:諫早市橋梁長寿命化修繕計画,

2015 2) 長崎県土木部道路維持課:橋梁点検マニュアル(案),2015

図3 橋梁全体のHIと主構,下部工,支承部のHIの関係

図4 諫早市の橋梁の健全度の判定フロー

図5 鋼橋(主構)の健全度の比較

図6 RC橋(主構)の健全度の比較 土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

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参照

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