九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
Wnt/β-catenin signal alteration and its
diagnostic utility in basal cell adenoma and histologically similar tumors of the salivary gland
佐藤, 方宣
http://hdl.handle.net/2324/1937171
出版情報:九州大学, 2018, 博士(医学), 課程博士 バージョン:
権利関係:© 2018 Elsevier GmbH.
(別紙様式2)
氏 名 佐藤 方宣
論 文 名 Wnt/β-catenin signal alteration and its diagnostic utility in basal cell adenoma and histologically similar tumors of the salivary gland
論文調査委員 主 査 九州大学 教授 園田 康平 副 査 九州大学 教授 加藤 聖子 副 査 九州大学 教授 鈴木 淳史
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
唾液腺に発生する基底細胞腺腫(Basal cell adenoma: BCA)、基底細胞腺癌(Basal cell adenocarcinoma: BCAC)、腺様嚢胞癌(Adenoid cystic carcinoma: ACC)と多形腺腫
(Pleomorphic adenoma: PA)は、それぞれ類似する組織像をもつため、鑑別診断が時に 困難である。近年、BCAにおいて高頻度のβ-catenin核発現およびCTNNB1遺伝子変異が 報告されているが、その他の詳細なWnt/β-cateninシグナル経路異常については不明であ る。本研究の目的は、BCAと類似腫瘍におけるWnt/β-cateninシグナル経路異常を明らか にし、鑑別診断に有用かどうかを検討することである。本研究では、β-cateninの免疫組織 化学染色およびWnt/β-cateninシグナル経路関連遺伝子(CTNNB1, APC, AXIN1, AXIN2)
の変異解析をBCA34例、BCAC3例、ACC67例、PA31例を用いて行った。ACCについ ては、特異的なMYBおよびMYBL1遺伝子再構成を蛍光in situ ハイブリダイゼーション
(FISH)にて解析した。その結果、BCAでは32/34例(94.1%)にβ-catenin核発現を認 め、その標識指数は他の類似腫瘍に比べて有意に高かった(p=<0.0001)。さらにCTNNB1 遺伝子変異を41.1%に認めたほか、新たにAPCおよびAXIN1遺伝子変異をそれぞれ2.9%
と8.8%に認めた。BCACでは、1/3例(33.3%)にβ-catenin核発現とCTNNB1遺伝子変 異を認めた。ACCでは、3/67(4.4%)にβ-catenin核発現を認めたが、その3例すべてに MYBもしくはMYBL1遺伝子再構成を認めた。本研究により、適切なカットオフ値を用い
てβ-catenin核発現を評価することにより、BCAと形態学的に類似する腫瘍との鑑別診断
に有用であることが示された。しかし、一部のACCにはβ-catenin核発現を有するため、
注意深い診断が必要である。加えて、BCAとBCACの一部の腫瘍発生にWnt/β-cateninシ グナル経路異常が関連している可能性が示唆された。
以上の成績はこの方面の研究の発展に重要な知見を加えた意義あるものと考えら れる。本論文についての試験はまず論文の研究目的、方法、実験成績などについて 説明を求め、各調査委員より専門的な観点から論文内容及びこれに関連した事項に ついて種々質問を行ったが適切な回答を得た。よって調査委員合議の結果、試験は 合格と決定した。