九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
トラクタ直装型培土機の開発に関する研究
杉本, 光穗
https://doi.org/10.15017/1441316
出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(農学), 課程博士 バージョン:
権利関係:Fulltext available.
氏 名:杉本 光穗
論文題目:トラクタ直装型培土機の開発に関する研究 区 分:甲
論 文 内 容 の 要 旨
本研究は,無培土栽培での収量や品質の低下への対策として,省力化・軽労化による培 土作業の復活を目的とし,乗用トラクタが走行可能な畦溝を広げた栽植様式に対応した 20kw級のトラクタに装着可能なサトイモ用培土機の開発を行ったものである.
まず,側方投てきが可能な市販の作業機(溝掘ロータリ成形機)の培土性能について調 査した.その結果,耕深と培土高さの関係は,高い正の相関を示した.一方で,目標の培 土高さ(100mm)を得るにはロータリづめの回転半径以上の耕深が必要であり,前方に投て きされた土塊が多く,畦頂部に達した土塊量は全投てき量のわずか35%~37%であった.
以上の結果より,成形機による培土作業は困難であることが明らかになり,側方投てき性 に優れた培土機の開発研究を行った.
培土機の開発を行うためにまず,土塊の側方移動と投てきの向上を目的とした形状が異 なる3種類のロータリづめを試作し,PTO軸トルクの特性を調べ,トルク波形モデルを作 成した.次いで,側方投てき距離を求め,ロータリ軸最外側に適したロータリづめを選定 した.さらに,ロータリづめの配置を,耕うん軸の動力学的評価(土塊の抱込み条件,軸 空転時の平衡条件,耕うん中の作業機の振動条件およびトルク特性)により決定した.ま た,前方への土塊飛散の抑制ためサイドカバーを拡張し,土塊付着の減少のため先端部を スリット状にした.他方,トラクタ等によるサトイモへのダメージを緩和するため,トラ クタおよび培土機の側面に分草桿を設けた.その結果,培土機の耕深と培土高さおよびPTO 軸トルクの関係は高い正の相関を示し,土壌水分の影響は微小であったが,耕深とPTO軸 トルクの関係は土塊の大きさに大きく影響を受けた.耕うん量とPTO軸トルクの関係は正 の相関を示したが,作業条件により回帰式間に有意差が認められた. PTO軸トルクを耕深,
耕うんピッチおよび土壌密度で重回帰分析を行った結果,耕深,耕うんピッチ,土壌密度 の順に標準偏回帰係数が高いことが示された.
最後に,培土機評価のために作業性能試験を行った.2回の培土作業の圃場作業量は 0.12ha/hと0.15 ha/h,理論作業量は両方とも0.16 ha/hとなり,歩行型管理機による培土
作業の1.7~2.2倍であった.また,耕深(51~166mm)と培土高さ(34~170mm)の関係は
正の相関を示し,培土機は目標の培土高さに十分対応できることが明らかとなり,所期の 目標を達成した.また,収量は無培土栽培と同等であったが,いもの大きさは M ザイズ以 上の割合が高くなり,培土作業による改善が認められた.
以上より,サトイモ栽培におけるトラクタ直装型培土機の開発ができ,乗用トラクタで の追肥・培土作業が可能となり,担い手の高齢化への対応した軽労化作業の見通しを得た.