• 検索結果がありません。

日本における内部告発制度の確立と企業の運用

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "日本における内部告発制度の確立と企業の運用"

Copied!
27
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

神奈川大学大学 院経営学研究科 『研究年報』 第14 20103 193

■ 研究論文

日本における内部告発制度の確立と企業の運用

Es t a b l i s hme n to f W h i s t l e b l o wi n gs y s t e ma n dp r a c t i c ei nJ a p a ne s eCo r po r a t i o n

神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士前期課程

舟 山 宜 宏

FUNAY AM

A

, Ta ka hi r o

■キーワー ド

内部告発/内部通報/法令遵守/内部通報制度/従業員によるチェック

1 は じめに

今 日、世界では、 イギ リスやアメ リカをは じめ とす る国々で、内部告発者保護法が制定 されてい る。 また、国際機 関や各国の国内機 関が内部告発 に関す る会議 を開いているとともに、各機関が策 定 したコーポ レー ト・ガバ ナ ンス原則 (原則) に おいて、企業 に対 して従業員が取締役 などに自由 に発言で きる制度の構築 を要請 している。

一方、 日本 において

、2 0 0 0

年 前後 に、従業員 などか らの内部告発によって三菱 自動車の リコー ル隠 しや東京電力の原子力発電所 トラブル隠 しな どをは じめ とす る企 業不祥 事 が、発覚 した。 そ して

、2 0 0 6

年 に、公益通報者保護法 が制定 され、

内部告発制度の構築が進め られている。今 日、 日 本の内部告発制度 は、量的拡大か ら質的拡充が求 め られ、制度の見直 しがな されている。 また、企 業において、従業員などか らの通報や相談 を受け 付 ける制度構築 が進 め られてい る。 この制度 は、

内部通報制度 とい う通称で呼ばれている。そ して、

企業 は、内部通報制度 を構築す ることで、企業内 で不正行為へ対処 しようとしている。

本稿 では、 (1)企業 において内部通報制度 は 如何 に して実 践 され て い るの か、 (2) 企 業 の 内部通報制度 には如何 なる課題 が存在す るのか、

(3)今後、企業 が内部告発制度 を構築 してい く にあたって考慮すべ き点、 を明 らかに し今後の展 望 を論 じることを目的 とす る。具体的には、 まず、

第 2節で、 日本企業 において、内部通報制度が構 築 されは じめた背景 を検討す るとともに、如何 な る制度が構築 されているのか検証す る。 また、第

3

節 と第

4

節で、内部通報制度 を構築 して実践 し ている企業 を取 り上げ、内部通報制度の詳細 を検 討す る。そ して、第 5節で、第 2節 と第 3節、第

4

節において検討 した内容 をもとに、内部通報制 度の体系 を明 らかにす る。 さらに、第

6

節で、企 業における内部告発制度の課題 と展望 を明 らかに す る

(2)

194 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第14号 2010年3月

2

日本企業 における内部通報制度構築の 背景 と実態

2.1 日本企業における内部通報制度構築の背景 日本企業 において、内部通報制度が整備 されは じめた背景 は、 (1)不正行為 が明 らかになった 際 に、企業 内部 で対処 す る体制 が必要 とされて い ること、 (

2

)不祥事の頻発 によって、企業 に おけ る法令遵守体制 の構 築 が必要 とされてい る こと、が挙 げ られ る。 まず、 (1) で あるが、近 年発覚 している日本企業の不祥事の多 くが従業員 (元従業貝 を含 む) などによる内部告発 によって 発覚 してい る。 そ して、内部告発によって企業不 祥事が発覚す ると、内部告発者が不利益 な扱いを 受 けていることが明 らかにな りは じめた。そこで、

2006年4月には、内部告発者保護法で ある 「公益 通報者保護法」が施行 され、企業内部が通報先 と して定め られたことも大 きな要因になっている1。 つ ぎに、 (2)で あるが、今 日、企業不祥事 が 起 こると、必ず と言 って もいいほどにコーポ レー ト・ガバ ナ ンスが論 じられ る。 コーポレー ト・ガ バ ナ ンスは、企業不祥事への対処 と企業競争力の 強化 を、如何 に して構築 してい くべ きかに焦点が 集 まってい る。 そ して、 「コ ンプ ライア ンス (汰 令遵守一筆者) はガバナ ンスの基底 をな し、企業 不祥事の発生 を抑止す ることによって、経営の健 全化 を図 ろ うとす る2」 と指摘 が あるよ うに、法 令遵守 は、 コーポ レー ト・ガバナ ンスの基底 をな す ものであると考 えられてい る。具体的には、企 業行 動規 範 や倫理綱領 の策定、法令遵守担 当の 部署の設置 がな されてい る3。 こうした背景か ら、

日本企業 における内部通報制度 は、コーポレー ト ガバ ナ ンス と関連 し、企業不祥事への対処 とい う 視点か ら構築 されてお り、企業が、法令遵守体制

を構築 してい くなかで実践 されている4。

2.2 日本企業における内部通報制度の実態 日本企業 における内部通報制度の実態 を検討 し た ものが、表 1である。 ここでは、内部通報制度 を導入 してい る東京証券取引所上場企業 を①建設

業、①食料品業、③繊維 ・パルプ・紙業、④化学業、

①医薬品業、①石油 ・石炭 ・ゴム製品 ・硝子 ・土 石業、⑦鉄鋼 ・非鉄金属業 ・金属業、⑧輸送 ・精 密 ・その他製品業、⑨電気機器業、⑩小売業、⑪ 銀行 ・証券 ・保 険業、 の

1

1業種 に分類 し考 察 し た5。各企業 の、通報制度 の名称 や通報制度構築 の 目的、通報制度の構成や通報方法について検討

した。

検討 した結果 として、内部通報制度 は、その多 くが 「内部通報窓 口

」「 (

コンプライア ンス ・企業 倫理) ホ ッ トライ ン

「(コンプライア ンス ・企業 倫理)ヘルプライン」 「(コンプライア ンス ・企業 倫理)相談窓 口

相談室」 とい った名称 が多 く 用い られていた。一方で、アサ ヒビールグル ープ、

雪印グル ープ、帝人、資生堂、第‑三共 グル ープ、

タケダ薬品、昭和 シェル

、HOYA

、 コク ヨ、 セブ ン&アイ ・ホール デ ィングス、サークルKサ ンク ス、 りそなホールデ ィングスでは、上記のような 名称 は用いずに企業名 を含 めるなど独 自の名称 を 用いていた。

つ ぎに、内部通報制度構築の 目的は、法令や行 動規範 に反す る行為 を早期 に発見 し解決す ること

とい うものが多かった。 また、帝人、 タケダ薬品、

昭和 シェルのように、会社 を良 くす るために従業 員の意見 を聞 き、経営 に反映す ることを明示 して い る企業や、第一三共 グル ープやサークルKサ ン クスのように、公益通報者保護法に対応す るシス テムを構築す ること、 を目的 としている企業 もみ られた。そ して、内部通報制度の構成 は、ほ とん どの企業 が企業 内部 に通報窓 口を設 け るととも に、企業外部 に通報窓 口を設 け られていた。 そ し て、企業外部の通報窓 口は、ほ とんどの企業 が顧 問弁護士の法律事務所 を通報先 としていた。 さら に、キ リンホールデ ィングス、 日本製紙、第‑三 共 グル ープ、昭和 シェル、 ク リモ ト、サークルK サ ンクスが、第三者機 関を通報窓 口として設置 し ていた。

くわ えて、通報方法 は、企業 の 多 くが電話や

F A

X、電子 メールや郵送で受 け付 け、複数の連絡 方法 を設 けていた。帝人やエーザイ、 ローソンで

(3)

日本における内部告発制度の確立と企業の運用

1 9 5

は、 イ ン トラネ ッ トや ホームペ‑ジか らの通報や 相談 も受 け付 けてお り、容易 に通報や相談 がで き るように していた。以上の ことか ら、内部通報制 度 は、業種 を問わず構築 されてい ると考 え られ る。

くわ えて、企業 は、それぞれに異 なる目的で制度 を構築 してい ることなどか ら、企業 が各々に適 し たシステ ムを構築 してい るとい えよう。次節では、

表1の内容 を基 に、企業内で具体 的に如何 なる制 度 が構築 されてい るのか を検討す る。 そ こで、委 員会設置会社で あるソニ ーと監査役設置会社で あ る帝 人、 そ して

、2 0 00

年 に、 内部 告 発 に よって リコール隠 しが発覚 した三菱 自動車の内部通報制 度 を考察す る6。

(4)

表1内部通報制度を構築している主な日本企業とその概要

) 9 6 巻翻JrI汁亜jC亜覇甫碑亜電器茸 ﹃雪鴇や甚﹄湖)4亜

2 0 ) 0

3R

業種企業名称1∃的構成方法備考 ①建設業三井住友建設内部通報制度組織的あるいは個人的な法令違反行為に関する通報.相談の適正な処理の仕組み通報窓口を総務.法務部電話、FAX、E‑mail、面談匿名による通報も受け

を定めることにより、不正行為の早期発見と是正、未然防止に資する体制を構築することoおよび顧問弁護士事務所に設置するo付けるo 三機工業企業倫理ホットライン‑(1)社内窓口はCSR推進部、社外窓口は顧問弁護士事務所に設置するo(2)通報内容はすべて企業倫理担当役員に集約される○‑‑ ミサワホームヘルプライン不祥事の拡大防止や不正行為の是正などを実施し、グループの社会的信頼を維持するo・外部と内部に窓口を設けるo‑実名と匿名いずれの通報も受け付けるo 大和ハウス企業倫理ヘルプライン解決すべき課題の早期発見を目的とするo‑電話、Web.電子メール、面会、郵送全従業員を対象とする○ (か食料品業日本製粉企業倫理ヘルプラインコンプライアンス体制強化の一環として、こうした行為(法令違反や社内不正‑筆者)を防止もしくは早期発見し、是正することo‑‑グループ全従業員を対象にするo

キリンホールディングス相談窓口(ホットライン)‑社内窓口と第三者機関が窓口の社外窓口を設ける‑‑ アサヒビールクリ‑シ.ライン企業活動にともなうリスクの早期発見を促し、重大な社内窓口企業倫理委員会事務局、社外窓口は顧問弁護士に設置するoFAX、電子メール、‑ グループ制度問題を未然に防ぐことを目指すo面会、封書

(5)

E]耕 E;h.1かさ鷲津謹fBIJ撫0)蔀匝 t粉継o)融B] )97

業種企業名称目的構成方法備考 (釘繊維、パルプ.紙業帝人

C or po ra te E th ic s O pi ni on B oX

グループ内の法的、倫理的に不適切な問題の発生に対して、組織の自浄作用を働かせて組織内で解決することを目的とするOグループ

C SR

責任者

(C SR O )、 C SR

室長へ送信される○社内英語版イントラネット(海外)通報内容はプライバシーを守りつつ開示するo

企業倫理意見箱グループ

C SR

責任者

(C SR O )、 C SR

室長へ送信されるo社内イントラネット

(E ‑m ai l

、電話、手紙) コンプライアンス.ホットライン法律事務所を通報先とするo通報された内容はグループ

C SR

責任者

(C SR O )、 C SR

室長へ報告されるo

E ‑m ai l

、電話、郵送 セクハラ.ホットライン外部機関に委託するo通報された内容はグループ

C SR

責任者

(C SR O )

C SR

室長へ報告されるo電話 社外通報受付窓口社外の取引先を対象とした窓口、実名での通報を対象とするoインターネットHP 北越製紙コンプライアンス.ホットライン‑社内窓口は、総務部に社外窓口は顧問弁護士に設置するo通報内容はチーフ.コンプライアンス.オフィサー

(C C O )

から社長へと報告される○‑ 日本製紙ヘルプライン職場における、法令.社会規範.企業倫理上、問題になりそうな行為についてグループ従業員が職場の指示系統を離れて直接通報一相談できるような体制を構築するo社内窓口は

、 C SR

部コンプライアンス室に、社外窓口は弁護士事務所と電話相談.受付専門会社に設置するo‑‑

(6)

)98 巻鋤JrI*燕汁亜罰南贈亜電報丑 ﹃iiJf韻事甚﹄湖)4細

2 0 t

OIT 13jj

業種企業名称目的構成方法備考 ④化学業マンダムヘルプラインシスコンプライアンス違反に関顧問弁護士を含めた考働電話

、 FA

X

、 E一 m a

i1、通報内容に関して、考働規範委員会が事実

するリスクの早期発見.未規範推進委員

16

名を受関係の調査、原因究 テム然防止.再発防止を目的とするo付窓口とするo郵送明、違反行為の未然防止、差し止め、再発防止などの解決を行うO 資生堂資生堂相談ルーム(社内)資生堂社外相談窓口(社外)万が一社内で不正行為があった場合も小さな芽のうちに社内で解決するため設置するo社内窓口と社外窓口として弁護士事務所に通報窓口を設けるo‑通報窓口の周知徹底を図り、公正な調査解決ルートや通報(相談)者の不利益扱いの禁止を明示した「資生堂グループ相談窓口規程

を制定するo クラレ社員相談室コンプライアンス違反を防止、または早期に発見し、解決するために設置するo相談窓口

は、社外弁護士と社外コンサルタントを起用するo電話

、 FA

、 E一 m a

ii、郵送‑ 花王コンプライアンス相談.通報窓口法律.倫理違反のおそれがある業務に関する社員の相読.通報窓口として設置するo(1)コンプライアンス事務局を社内相談.通報窓口とし、弁護士.専門家に委託した社外相談.通報窓口を設置する○

( 2 )

海外の関係会社へも窓口を設置する○‑‑ G)医薬品業協和発酵キリンホットライン社内で法令や倫理に違反する行為などが行われているあるいは行われようとしていることを発見した場合に速やかに解決するためo社内窓口を企業倫理担当役員と法務部企業倫理室の

2

カ所の設置し、社外窓口を弁護Lに設置する‑全ての従業員を対象とするo 第‑‑三共グループ

D

s‑ホットライン

20 06

4

月に施行された公益通報者保護法を受けて企業内の内部通報に適切に対応するためo通報窓口として、社内窓口、第三者機関、社外弁護士の3つを設置するo電話

、 FA

X

、 E一 m ai

1、郵送‑

(7)

皿卦 巾日計耳 かPg畿昨報愛撫0)轟匝 t給源8滴遍 )99

業種企業名称目的構成方法備考 ①医薬品業タケダ薬品VoiceofTakedaSystemコンプライアンスに関する質問、1通報、提案など、従業員の声を聞き、コンプライアンスの実践に反映させるとともに、公益通報者の保護に資するためのシステムとして設置するoコンプライアンス事務局が担当し、従業員からコンプライアンスに関する質問や通報、提案を聞きコンプライアンスの実践・に反映させる○E‑mail、社内メール等‑ (む石油.石戻.ゴム製品.硝子.土石業昭和シェルⅥ)iceofPeople行動原則遵守や人事処遇や職場環境に関する疑問や悩み、会社を良くするための建設的な意見.提案を社員から吸い上げ、経営に反映させるために設置するo社内窓口の他に、第三者機関を外部窓口として設置するo‑行動原則遵守や職場環境に関する疑問や悩み、会社を良くする建設的な意見.提案を社員から吸い上げ経営に反映させるシステムとしているo

東洋ゴムホットライン相談法令違反行為や当社の行動憲章.行動規範に反する行社内窓口と顧問弁讃士に‑グループを含む全ての従業員と取引先の従業 室為等の未然防止を目的として設置する○よる社外窓口の設置員を対象とするo 住友ゴム企業倫理ヘルプライン「法令遵守.企業倫理の維持は、企業存続の根幹にかかわるものであり、企業として長期的に活力を維持し競争力を高めていくために必要不可欠である」と考えているために設置するo(1)社内窓口にコンプライアンス相談室を設置し、社外窓口を顧問弁護士とするo(2)必要に応じて、取締役会.監査役会に報告するo‑‑ 太平洋セメントコンプライアンス.ホットライン‑社内窓口をCSR推進室に設置し、社外窓口を弁護士事務所に設置するoまた、社内窓口は、関係者以外が対入りできないようにしているo電話.FAX.、E‑mail‑ ⑦鉄鋼.非鉄金属.金属業新日本製織コンプライアンス.ホットラインより広範なリスクへの対応力を強化する観点から設置するo‑‑全ての従業貝のみならず、その家族を対象とするo クリモト企業倫理ホットラ法令と企業倫理の順守を目中立な立場の民間相談機電話、FAX、Web匿名での通報も受け付

(8)

200 寄 翻 JH汁 亜*罰覇贈亜頚油丑 F電器や避﹄湖)4亜 20)0車 3R

業種企業名称目的構成方法備考 (む鉄鋼一非鉄金属.金属業住友金属コンプライアンス.ホットライン制度グループの社員または派遣社員からの通報を受け、調査是正などの措置を行うために設置するo社内窓口を内部監査室へ社外窓口を弁護士事務所へ設置する○nAX、E一mai1、郵送従業員らから通報を受け、調査是正を行うための制度 三菱マテリアル社員相談室

社内窓口とともに社外窓口を弁護士事務所に設置するo‑グループ全体を対象とするo (む輸送精三菱自動車ヘルプライン不祥事の防止.早期発見ならびに自浄作用を発揮する透明性の高い職場環境をつくるためo社内窓口とともに社外窓口を弁護士事務所に設置する○‑‑

オリンパスルプライン‑コンプライアンス室に設置するo‑‑ HOYAHOⅥゝルプライ法令や「HOYA行動基準

に違反する行為があった場合、早期に発見し、トップへスムーズに伝達する仕組みを構築することで会社社内窓口を専任組織へ、社外窓口を弁護士事務所法令や行動規範の違反行為を、トップマネジ 密.その他製品業ンとしての迅速で適切な対処を促し、グループ全体の健全性を確保することを目的としているoヘ設置するoメン卜へスムーズに伝達するo コクヨコクヨホットラインコンプライアンスや企業倫理に関する情報、および、職場で発生する可能性があるさまざまな悩み事に対する相談窓口として設置する‑‑(1)匿名での通報.棉談を受け付ける○(2)通報者の氏名は本人の了解を得ない限り所属会社に開示しない○(3)通報者が不利益を受けた場合は厳正に処分するo

(9)

El耕 巾日計 耳かPg畿蹄瀬愛撫8轟匝 t給湘0)徹詔 20)

業種企業名称目的構成方法備考 (9電気機器莱東芝リスク相談ホットライン(社内)クリーン.パートナー.ライン(取引先)東芝では法令、社会規範、倫理、社内規程などの遵守をグローバルに徹底し、公正.誠実な競争による事業活動を推進、さらに生活者の視点と立場を重視したお客様の安全.安心を図るために設置するo取引先専用の通報窓口を設けるo‑‑ 富士通ヘルプライン制度行動規範に則って社貝が業務を遂行する際、「判断に迷った場合」や「違反の疑いのある行為について通常の職制を通じて報告できない場合」、あるいは「法令や社会規範に照らして疑問が年じた場合lでの運用を想定している○社内窓口を法務本部.審査法規局へ、社外窓口を弁護士事務所へ設置するグループ全ての従業員を対象とする○ ソニーコンプライアンス.ホットライン社員のコンプライアンス活動への参画を容易にし、法令や社内規則違反の潜在的なリスクに対して早期に対処するために設置するo(1)コンプライアンス執行担当役へ直結する○(2)通常の指揮命令系統から独立して運営される○電話、E‑mail、郵送 ⑩小売業ファミリーマートホットライン‑通報.相談内容をコンプライアンス委員長へ報告し、代表取締役へ報告されるo‑‑ ローソン・相談窓FT(社内)・ヘルプライン(社外)社員(従業員‑筆者)のかかえるコンプライアンス上の疑問点を収集するために設置するo社外窓口を弁護士事務所へ設置するo‑社内uゝNで相談を通報を行うo

(10)

業種企業名称目的構成方法備考 ⑩小売業サークルKサンクスES.CSコール窓口公益通報者保護法に対応するために、法律、企業倫理違反や社会道徳の欠如に対する社内通報制度として設置するoどちらも第三者機関に設置するo(1)ESコールは、社内で法令違反や規則違反などや、職場環境の悪化についての通報を受けるo(2)CSコールは、商品を製造している工場より、食品に関する情報を収集するo ⑪銀行一証みずほフィナンシャルグループホットライン財務報告に係る内部統制、監査に係る不適切な事項について、社内外から通報を受けつけるためOに設置する社外の法律事務所へ設置するoE‑mail、郵送匿名の通報も受け付けるoりそなホールりそなコンプライアンス.ホットラコンプライアンスの浸透にコンプライアンス統括部電話、E‑mail匿名による通報.相談も受け付ける○ ティングスイン(社内)は、従業員一人ひとりの問題意識と透明なコミュニケーションが重要であると署へ設置するoりそな弁護士ホツ社外の契約金諸士が受け 券.保険業卜ライン(社外)の認識から設置するo′、ナ「。付けるo 野村諾券コンプライアンス.ホットライン社内において法令違反の疑いのある行為などに気づいた場合に、当該情報を各社の枠を超えて、直接に野村ホールディングスの経営に提供し得る手段として設置する○執行役や社外取締役、社外弁護士へも直接通報することが可能である○‑匿名による通報も受け付けるo ⑪銀行.証大和証券企業倫理ホットラグループ.ブランドを傷つける行為、法令.諸規則に抵触する行為について早期に発見し、是正するための制度として設置する○(1)社内窓口は企業倫理担当へ、社外窓口は法律事務所へ設置する○(2)通報内容は最終的にCEOへ報告されるo電話、E‑mail、エク匿名による通報も受け (注)「‑」は、詳細が不明であったことを表す。 (出所)各企業のホ‑ムページおよび報告書を基に筆者が表を作成する。

202 巻翻)"*亜汁亜罰覇姫服毒鴇茸 ﹃葺鴇令弟﹄湖14亜

2 0 1 0

3F]

(11)

日本における内部告発制度の確立 と企業の運用

2 0 3

3

日本企業における内部通幸臨 r1度構築の 実践

3.1 ソニー にお け る内部通報制 度 の実践

2 0 0 3

5

月 に、 ソニ ーは、 グル ープ行 動規 範 と して 『ソニ ー グル ー プ行 動規 範 (ソニ ー原 則 )』 を策 定 した。 ソニ ー原 則 で は、法 令 遵 守 に加 え、

人権 尊重 、製 品 ・サ ー ビスの安全 、環境保全 、企 業情 報 開示 な ど、 ソニ ーグル ープの企業倫 理 や事 業活 動 にかかわ る基本方針 を定 めてい る7。ソニ ー 原 則 で は、 【条 項

1‑5 】

に 「ソニ ー グ ル ー プ で は、全 ての ソニ ー役員 ・社 員 に対 して、会社 の方 針、事業 活動 あ るい はその他 の行為 が、法令 ・規 則 または この行 動規 範 を含 む社 内規 則 ・方針 に違 反 して い る (も しくは違反 の おそれ が あ る) と確 信 す る場合 、 その 旨 を速 や か に報告 す るこ とを奨 励 します。 ソニ ーグル ープは、 この よ うな懸念 が 速や か に報告 され、 またその報告 が適切 に処 理 さ れ るよ う、通常 の指揮命令系統 か ら独立 した社 内 通報 制度 を構築 し、維持 して い きます。 ソニ ーグ ル ープは、 かか る情報 を基 に誠実 に通報 を行 った ソニ ー役 員 ・社員 を、公正 に また丁重 に取 り扱 い ます。 ソニ ーグル ープは、 かか る通報者 が違反行 為 に加担 して い ない限 り、 かか る通報者 に対 す る 一切 の報復 措置 を許容 せず、 また、 かか る通報者 の匿名性 を可 能 な限 り維 持 す る こ とに努 め ます8

と、 内部 通報 に関す る規 定 を定 め る とともに、社 内通報制度 を整備 し、従業 員 か らの通報 を奨励 し て い る

つ ぎに、 ソニ ーで は 「ソニ ーグル ープ ・コ ンプ ライア ンス ・ホ ッ トライ ン (ソニ ー ・ホ ッ トライ ン)」 の名称 で 内部 通 報 制度 を構 築 し、海 外 子 会 社 や関連会 社 を含 めた、全従業 員 が企 業 内の不正 行為 な どに関す る懸念 を通報 で きるよ うに整備 し てい る。 ソニ ー ・ホ ッ トライ ンの概 要 を示 した も の が、 図1で あ る。 ソニ ー ・ホ ッ トライ ンは、通 報者 が電 話 や郵便 、電 子 メール な どの通報 手段 を 用 いて米州 、 欧州 、 日本 、東 ア ジア、パ ンア ジア の各地域 に設置 されて い る通報窓 口へ通報 で きる 体制 を整備 して い る9。

くわ えて、 ソニ ー ・ホ ッ トライ ンで は、 コ ンプ ライア ンス担 当執行 役 に直 結 す る窓 口 と して、通 常 の指揮命 令系統 か ら独 立 して運 営 され、通 報 内 容 や 内部通報制度 の運用状況 な どが、経 営 陣 お よ び監査委 員会 に報告 され る。 そ して、受 け付 けた 通報 は、所 定 の手続 きに則 って取 り扱 われ、ソニ ー 原則 に規 定 して い るよ うに、通報 を行 った者 が不 利益 な扱 い を受 け る ことが ない よ うに整備 されて い る。

3. 2

帝人 にお ける内部通手踊 り度 の実践

帝人 は、企業活 動 の基 本 と して 「企 業倫理 の徹 底」 を掲 げ、 「企 業 行動規 範」 や 「企 業 行動基準」

を定 め実践 して きた10。 まず、 帝人 は

、1 9 9 8

年 に 策 定 した 『帝 人 グル ー プ企 業 行 動 基 準 』 を

2 0 0 7

年 に改 定 した。 そ して

、【 5

ステ ークホル ダーへ の情 報 開示 】 を 「私 た ちは、 ステ ークホル ダーに 対 し、企 業 経営 と事業 活 動 に関す る情 報 を適 時 ・

表 2 ソニ ー グル ー プ行動規 範 にお ける内部通幸締 り度 に関 す る内容

条項 内容

1 5 ソニーグル ープでは、全ての ソニー役員 .社員 に対 して、会社 の方針、事業活動 あるいはその他

の行為 が、法令 .規則 またはこの行動規範 を含む社内規則 .方針 に違反 している (もしくは違反 のおそれがある) と確信す る場合、 その旨を速やかに報告す ることを奨励 しますo ソニ ーグル ー プは、 このような懸念 が速やかに報告 され、 またその報告が適切 に処理 され るよ う、通常の指揮 命令系統 か ら独立 した社内通報制度 を構築 し、維持 してい きますo ソニーグル ープは、かか る情 報 を基 に誠実 に通報 を行 った ソニ‑役員 .社員 を、公正 にまた丁重 に取 り扱 いますo ソニーグル ー プは、かかる通報者 が違反行為 に加担 していない限 り、かか る通報者 に対す る一切の報復措置 を

(出所) ソニー原則 を基 に筆者作成 。

(12)

204 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第14 2010年3月 図1 ソニーにおける内部通幸締 り度

(出所) ソニー株式会社ホームページhttp://www.sony.cojp/とソニー[20091を基に筆者が一部修正 したO 適切 に開示 します。 また、 ステークホル ダーか ら

の意 見 や情 報提供 に対 して も誠実 に対応 します 11」 と し、 ステークホル ダーか らの通報 を含 む情 報提供 に対す る対応基準 を追加 してい る。

つ ぎに、帝人 は、グル ープ内の法的、倫理的に 不適切 な問題の発生 に対 して組織 内で解決す るこ とを 目的に内部通報制度 を構築 してい る12。帝人 グル ープの相 談 ・通報 制度 は1999年 に イ ン トラ ネ ッ トお よび外部委託機 関 に窓 口 を設 けて開始13

した。帝 人 の 内部 通報制 度 を示 した もの が、 図 2で ある。帝人 の 内部通報制度 は、図2の よ うに、

グル ープ役 員 と従 業 員 を対象 とす る 「CoIPOrate E仇icsOpinionBox」 と 「企業倫理意 見箱」、 「コ

ンプ ライア ンス・ホ ッ トライ ン」と「セクハ ラ・ホ ッ トライン」、そ して、社外取引先 を対象 とす る 「社 外通報受付窓 口」の

5

つ が構築 されてい る。

くわ えて、帝 人 にお け る

5

つ の 内部 通報 制度 は、以下 の特徴 が ある。 まず、「Co叩OrateEthics

(13)

日本における内部告発制度の確立と企業の運用

2 0 5

2

帝人における内部通報制度 株 主総会

ガバナンス体制 アドバイザリー ボ ー ド報酬委員会

取 締 役 会 TRMコミュニティー

(

CEO、CSRO、CTO、CFO、CHO)

グll

l

LF

・専 i

;

社 外 .

取引莞

監 査 役 会 グループ監査役会

Corporate Ethilcs Ophlion Box

(社内英語イントラ、海外)

企業倫理意見箱

社内イントラ(Eメール、電話、手紙) ライアンス・ホットライン 外部法律事務所(Eメール、電話)

セクハラ・ホットライン 外部法律事務所(Eメール、電話)

インタ ーネッ

トHP

R./ q l CS RL .杏 ‑;.童 :

:A ; 育 ; dSRJ

̲.,企画套

(出所)帝人株式会社ホームページ

h

ttp

: / / www. t e i j i n. c o . j p / i n d e x . h

tmlと帝人

【 2 0 0 9

1を基に筆者が一部修正 した。

Op i n i o nBo x

」 と 「企業倫理意見箱」 は、英語 と 日本語のイ ン トラネ ッ トを利用 し、Eメールや電 話、手紙 などで匿名の通報 も受 け付 けてい る。 ま た、 「コ ンプライア ンス ・ホ ッ トライ ン」 と 「セ クハ ラ ・ホ ッ トライン」 は、企業外部の法律事務 所や委託期間へ、Eメールや電話 などで匿名の通 報 も受 け付けている。そ して、「社外通報受付窓 口」

は、 インターネ ッ ト上で通報 を受けて受 け付 けて

いる. くわえて、通報 内容 は、 グル ープ

CS R

責任 者

( Chi e fSo c i a lRe s p o n s i bi l i t yOf f ic e r , CSRO)

の 基 に報告 され る。 さらに、企業 に重大 な リスクを 与 える可能性 の あ る通報 は、取締 役会 内 に ある

TR

M コ ミテ ィー (トー タル リスクマ ネ ジメ ン ト 委員会)へ も報告 され、経営者 らが対処す る仕組 みになってい る。

(14)

206 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第14 2010年3月

3.3 三菱 自動車 における内部通報制度の構築

三菱 自動車 は、2007年4月に 自社 の企業倫理基

準である 『三菱 自動車企業倫理』 を改訂 し、全従

業員 に冊子 を配布 してい る14。 まず、三菱 自動車 企業倫理 は、従業員 に、 日常の業務のなかで法令 遵守 に関 して考慮すべ き事項 を記 してい る。 また、

三 菱 自動車企業倫理 で は、 「職場 の問題 は、 まず 同僚、コー ドリーダーや コンプ ライア ンス ・オ フ ィ サ ーに相談す ることが、問題解決 に もっとも早 く 効果的です。 ‑ (中略) ‑ しか し、職場全体 に問 題 があ り上司等 に相談 しに くい、 あるいは職場で 解決 され ない といった場合 などは、ヘル プライ ン (社員相 談窓 口) の担 当者 や弁護士 な どの専 門家 が一緒 に考 え、解決策立案、実行、 フォローに責

任 を負い ます。情報の秘密 は厳守 され、相談者 が 不利益 を被 ることがない よ う配慮 され ます15」 と、

内部通報制度の構築 と通報 による不利益 な扱いを 禁止す る内容 が記 されてい る。

つ ぎに、三菱 自動車 は、不祥事の防止 や早期発 見 な らびに自浄作用 を発揮す る透 明性の高い職場 環境 をつ くることを 目的に内部通報制度 を構築 し てい る16。三菱 自動車 の内部通報制度 を示 した も のが、図

3

で ある。三菱 自動車 では、図

3

の ように、

自社 と雇用関係 の ある従業員 を対象 に、内部通報 制度 を整備 してい る。内部通報制度 は、ヘル プラ イ ンの名称 で企業 内部 と企業外部 に、社員相談室 と弁護士事務所 を窓 口と して設 けてい る。 くわえ

て、三菱 自動車では、(1)部長 (コー ドリーダー)

3

三菱 自動車 における内部通報制度

(出所)三菱 自動車株式会社ホームページ hq)://W .mitsubishi一motors.cojp/と三菱 自動車【2007]を基に筆 者が一部修正 した。

(15)

日本における内部告発制度の確立 と企業の運用

2 0 7

経 由で、 コ ンプ ライア ンス ・オ フ ィサ ーへ相 談 や 通報 を行 う、 (2) コ ンプ ライア ンス ・オ フ ィサ ー へ相 談 や通 報 を行 う、 (3) ヘル プ ライ ン (社 員 相 談室 と弁護士事務所)へ相 談 や通報 を行 う、(4)

コ ンプ ライア ンス ・オ フ ィサ ーが、企 業 に重大 な 影 響 を及 ぼす可能性 が あ る と判 断 した場合 は、企 業倫理 担 当役員 に報告 す る、 な ど大 き く

4

つ の方 法 で通 報 内容 を受 け付 け報告 が な され る。

くわ えて、通報 を受 けて企 業倫 理担 当役 員 が コ ンプ ライア ンス ・オ フ ィサ ーへ通報 内容 に関す る 対処方 法 を指示 す る とと もに、コ ンプ ライア ンス ・ オ フ ィサ ーの監督 を行 う。 コ ンプ ライア ンス ・オ フ イサ ‑ は、 コ ンプ ライア ンス部へ 、具体 的 な施 策 を指示 す る。 くわ えて、企業倫理 委貞会 は、企 業 倫理 担 当役 員 か ら報告 を受 け

、CS R

推 進本部 や コ ンプ ライア ンス部 へ 指導 や助言 を行 うとと もに、

取締 役会 へ意 見 や提言 をす る体 制 が構 築 され てい る。

4

日本国外 の企業 における内部通幸踊 り度 の実践

4.1 ゼ ロ ックス にお け る内部 通報制度 の実践 ゼ ロ ック ス は、倫 理 と法 令 遵 守 に 関 す る問 題 を、適切 に対処 す るこ とを意 図 して 『企 業 行動規 範 』 を策 定 して い る。 企 業 行 動規 範 で は、

【5

報 告 と指導 】 や 【6 報復 行為 の禁止 】 の箇所 で、

内部 通 報 制 度 に関 す る内容 を明 記 して い る。 ま ず、 【報告 と指導 】 で は、 「倫 理違 反 と法令 違反 に 関 して報告 す る必要 が あ る。 また は、誠実 に倫 理 違反 や法令違 反 に関す る懸念 や相談 を報告 しな け れ ば な らない。電 話 また は別 の報告経 路 に よって

3

ゼ ロ ックスの企業 行動規 範 にお ける内部通報制 度 に関 す る内容

5

報告 と指導

倫理違反 と法令違反に関 して報告す る必要がある。 または、誠実 に倫理違反や法令違反 に関す る懸念や相談 を報告 しなければな らない。電話 または別の報告経路 によって報告 された内容 は、情報の乱用や第三者 による意識的に偽情報 をファイルす るために容認 さ れない.我々は、従業員やサプライヤー、顧客 たちか ら複数の経路で相談や通報 を受 け 付 ける. これ らの経路は、電子 メール などインターネ ッ ト経由で企業 内部 と企業外部か らの受け付 け も含 まれ る。エ シックスヘル プラインは、世界中で24時間利用可能 なフ リーダイヤル を介 して受 け付 ける。 また、第三者機 関への報告 ツール もある。我 々は、

独立 した第三者機関 と契約 し、ヘルプ ラインで管理す る報告 を専用の報告経路 などを経 由 して報告す るO第三者機 関か らの報告 は、専門家 と文書 レポ‑ トを経由 して、ゼ ロッ クス社の倫理 ・コンプライア ンス部門においてすべての報告が適切 に対処 され る。 もし、

懸念 や違反 を報告す るな らば、徹底的な調査や応答 を可能 にす るために、正確 で完全 な 情報 を提供す ることが奨励 され る。初期 データにおける省略か誤 りが報告 した内容 に存 在すれば(誰が/何 を

/

いつ/どこで)、調査 に遅れ を引 き起 こすか、延着す るなど、調査 の過程 に影響 を与 えるか もしれ ません。ヘルプラインは、機密性 を維持 しなが ら、通報 者 と捜査官が現地語で 情報交換 をす るか もしれ ません。 もし、匿名 による通報 を選ぶな ら、 その件 を調査す る能力は減少す るか もしれ ません。 そ して、私 たちは完全 にあなた の関心に応 えることはで きないか もしれ ませ ん。通報 は、匿名で報告 され るか否 かに関 係 な く、機密性 が保持 され るか、申 し立て られた違反の詳細 な調査 を行 うか適切 な行動

が とられ るなど対処 され る。

6報復行為の禁止

通報者が、身元 を明 らかにす るか否かに関係 な く、相談や通報 は機密性 を保持 して扱わ れ、 フィー ドバ ック過程 として調査の内容 をで きる限 り知 らせ ます。企業倫理部門 との コ ミュニケーシ ョンについて高 い機密性 を保持 し、直接指示 がない限 りだれに も話すべ きではあ りません。行動規範や他の指針にそって、倫理違反や法令違反 を報告す ること は、企業の利益 にな り、従業員の期待す る対応 がな され るであろう。 そ うした過程で、

違反 に関 して報告 した従業員 に対 して如何 なる報復 もしてはな らない0 (出所)

Ⅹe r o x【 2 0 0 8

】を基 に筆者作成。

(16)

208 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』 第14 2010年3月

4

ゼロックスにお ける内部通幸踊 り度

(出所)Xeroxホームページhttp://ww .xerox.com/とⅩerox【2008】を基に筆者作成。

報告 された内容 は、情報の乱用や第三者 による意 識的に偽情報 をファイルす るために容認 されない。

我 々は、従業員やサプライヤー、顧客 たちか ら複 数の経路で相談や通報 を受 け付 ける。 これ らの経 路 は、電子 メ‑ル などイ ンターネ ッ ト経由で企業 内部 と企業外部 か らの受 け付 け も含 まれ る。 エ シ ックスヘル プ ライ ンは、世 界 中で24時間利 用

可能 なフ リーダイヤル を介 して受 け付 ける・・・(省 略)」 としてい る。

つ ぎに、 【報復 行 為 の禁 止 】 で は 「通報 者 が、

身元 を明 らかにす るか否 かに関係 な く、相談や通 報 は機密性 を保持 して扱 われ、 フィー ドバ ック過 程 として調査の内容 をで きる限 り知 らせ ます。企 業倫理部門 との コ ミュニケーシ ョンにつ いて高 い

(17)

日本における内部告発制度の確立と企業の運用

2 0 9

機密性 を保持 し、直接指示 がない限 りだれに も話

すべ きで はあ りませ ん。行動規範 や他 の指針 に そって、倫理違反や法令違反 を報告す ることは、

企業の利益 にな り、従業員の期待す る対応 がな さ れ るであろう。そ うした過程で、違反 に関 して報 告 した従業員 に対 して如何 なる報復 もしてはな ら ない」 としている。

くわ えて、 ゼ ロ ックスでは、「エ シ ックスヘル プ ライン」の名称で内部通報制度 を構築 し、従業 員や供給先、顧客 などか ら倫理違反や法令違反に 関す る通報や相談 を受け付 けてい る。エ シックス ヘル プライ ンの仕組み を示 した ものが図4で ある。

エシックスヘル プラインは、企業内の倫理 ・コン プライアンス部門 と企業外の第三者機 関へ通報す る2つの方法が設 け られてい る。第三者機 関へ通 報 された内容 は、倫理 ・コンプライアンス部門へ 機密性 を保持 しなが ら報告 され る。 くわえて、エ シックスヘル プライ ンは、24時間365日いつで も 通報や相談 を受 け付 け、電話や

E

メール、イ ンター ネ ッ トなどで受 け付 けてい る。 さらに、電話での 通報 は、子会社 などがある

1 48

の国々に、通報制 度 が設 け られてい る17。 こうした流れか ら、報告

された内容が調査 され る。

4.2 ロイヤル ・ダ ッチ ・シ ェル における内部通 報制度の実践

ロイヤル ・ダ ッチ ・シェル (シェル) は、誠実 で尊敬 され る企業 を目指 して 『企業行動規範』 を

策定 している。企業行動規範では、倫理や法令遵 守 に関す る相談や通報 を受け付 ける内部通報制度 に関す る内容 を明記 している。まず、シェル は、「グ ローバルヘル プライ ン」の名称で、全ての従業員 と請負業者 を対象に、倫理や法令遵守 に関す る通 報や相談 を受 け付 ける制度 を構築 してい る。それ まで、 シェルでは、子会社や関連会社がある国 ご とに、ヘル プライン (ホ ッ トラインやホイ ッスル ブローイングライン、スピークアウ トラインのよ うな名称 で) が既 に構築 されていた18。 これ らを、

一貫 した方法で誰で も簡単に利用で きる制度 とし て、 グ ローバ ル ヘル プ ライ ンと入 れ替 えたので あった。

つ ぎに、グローバルヘル プラインをどの ような 場合 に利用すべ きで あるのか を示 した ものが表

4

である。 グローバルヘル プラインは、表4によう に、 (1)独 占禁止法や競争法違反 に関す ること、

(2)収賄や政治活動 に関す ること、 (3) マネー ロンダ リングや財務報告 に関す ること

、( 4)

健 康や安全、環境 などに関す ること、 (

5)

ハ ラス メ ン トや薬物乱用 に関す ること、 (6)輸 出 ・輸 入統 制、制裁、 ボイ コ ッ トに関す る こ と、 (7) 知的財産や個人情報、rrリソースの使用 に関す る

こと、 (8)資産 の窃盗や詐欺、偽造や乱用 に関 す ること、の大 きく

8

つ を例示 してい る。

くわ えて、グローバルヘル プラインは、図

5

の ように示す ことがで きる。グローバルヘルプ ライ ンは、図5の よ うに、 (1)24時間365日いつで も 表

4

グローバルヘルプラインの利用例

内容 (1) 独占禁止法や競争法違反に関することo (2) 収賄や政治活動に関することo

(3) マネーロンダリングや財務報告に関することo (4) 健康や安全、環境などに関することo

(5) ハ ラスメン トや薬物乱用に関することo

(6) 輸出 .輸入統制、制裁、ボイコッ トに関することo

( 7)

知的財産や個人情報、ⅠTリソースの使用に関することo

(出所)

S he

llグローバルヘルプライン

h t t p s : / / www. c o mp l i a n c e ‑ he l p l i n e . c o m/

を基に筆者作成。

(18)

210 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第14 20103月

5

ロイヤル ・ダ ッチ ・シェルにお ける内部通幸締 り度 通報 、相談内容の調査

倫理・コンプライアンス部門

ローバルヘルプライン (第三者機関)

(1)24時間365日いつでも利用できる。

(2)電話、Eメール、インターネットなど で受け付ける。

(3)電話では、子会社や関連会社など がある各国で対応する。(122の国に窓 口を設置)

(4)インターネットでは、英語を含む14 力国語で対応する。

(出所)Shellホームページhttp://www.shell.com/やShellグローバルヘルプラインhttps://W .compliance helpline.com/を基 に筆者作成。

利用 で きる、 (2)電話、Eメール、イ ンターネ ッ トで受 け付 け る、 (3)電話 で は子会社や関連会 社 な どの あ る各国で対応 す る (122の国に窓 口を 設置)

、( 4)

イ ンターネ ッ トで は、英 語 を含 む 14カ国語 で対応 す る、 こ とが特徴 と して挙 げ ら れ る。 くわ えて、法的な理由によ り、現在、オー ス トラ リア、ベル ギー、 フランス、 ドイツ、 イタ リア、ル クセ ンブル グ、オ ランダの各国か ら利用 で きない19。 さらに、 グ ローバル ヘル プ ライ ンへ の通報や相談 は、 シェル 内部の倫理 ・コンプライ アンス部門へ報告 され、調査 が進 め られ る。 この ように、 シェルで は、経営活動がグローバル に展 開 されてい ることか ら、子会社 や関連会社 などが 設置 されてい る国々 をも対象 に、一貫 した通報制 度 を構築 してい る。

5

企業経営における内部通報制度の役割 5.1 内部通報制度の共通点 と特徴

前項 において企業の内部通報制度 に関す る実践 を考 察 したが、法律 で は、 内部通 報制度 を構 築

しなければ な らない とは定 めていない20。 そ こで、

企業 ごとに多様 なシステムが構築 されてい る。 内 部通報制度 に関す る共通点 は、表

5

の よ うに、(1) 従業 員 な どか らの通報 や相 談 の受 け付 け、 (2) 経営者 や コ ンプ ライア ンス委員会 な どへ の報告、

(3)通報 内容 や相談 内容の調査 と対処、の 3つ が挙 げ られ る。

まず、 (1) は、(∋不正行為 に関す る通報 の受 け付 け、①法令遵守 に関連 す る相談 の受 け付 け、

といった特徴 がある。 これ は、企業 内における法 令や行動規範 に反す る行為 に関す る通報や相談 を 受 けるシステムで あるとい えよう。 また、(2) は、

(∋通報 内容 を報告す る、⑦通報 内容 に関す る行動 の支持 を受 け る、 とい った特徴 が ある。 これ は、

企業 の業務執行 とも関係 す るシステムで あるとい えよ う。 そ して、(3) は、①通報 内容 を調査す る、

(参関連部署へ対処方法 を指示 す る、 といった特徴 がある。 これ は、通報 に対 して企業 内で対処す る ことを目的 としたシステムで あるとい えよ う。

この ような特徴 か ら、内部通報制度 は、企業 に おける不祥事 の芽 をつみ取 るとともに、法令や行

(19)

日本における内部告発制度の確立と企業の運用 211

5

内部通報制度の共通点 と特徴

共通点 内容 詳細

(1)従業員などか らの通報や相談の受け付け (∋不正行為に関する通報 おもに法令や行動規範に反す る行為に関 して

の受け付 け 通報 を受け付けるo

(談の受け付けむ法令遵守に関連する相 おもに法令遵守や行動規範について、 どのよ受け付けるoうに行動す るべ きであるのかについて相談 を

(2)経営者やコンプライアンス委 (∋通報内容 を報告する 経営者やコンプライアンス委員会など、企業告する○また、通報者に不利益のないように内の法令遵守に関係する機関へ通報内容 を報

貝会などへの報告 考慮 しなが ら報告 される○

②通報内容に関する行動 報告 した内容に関 して、どのような対処 をす

の支持を受ける るべ きであるか指示 を受ける○

(3)通報内容や相談内容の調査 と対処 ①通報内容 を調査す る 受け付けた通報内容について調査 を行 うととアンス委員長などヘ報告するもに、取締役会および監査役会、コンプライ

(出所)筆者作成。

動規範 に反す ることが行 われていた場合 に、早期 に発見 し解決 を図 ろ うとす る制度 といえよう。 ま た、企業 は、従業員 に対 して内部通報制度の利用 を推奨 し、企業 内へ浸透す るよ う取 り組 んでい る。

具体的には、行動規範への明文化やパ ンフレッ ト の作成、社 内教育 な どが実施 されてい る21。 内部 通報制度 は、企業 ごとに異 なるシステムを構築 し て い るが、共通点 も持 ち合 わせ て い る。 そ こで、

各企業 の内部通報制度 が持つ共通点 を踏 まえなが ら、具体 的な構造 につ いて詳 しく論 じてい く。

5. 2

内部通幸臨 f1度の機能

内部通報制度 は、筆者 が調査 した限 りでは、図 6に示 した よ うに、 「内部通報窓 口

」「 (

コ ンプ ラ

イア ンス ・企業倫理) ホ ッ トライ ン

「(コンプ ラ イア ンス ・企業倫理)ヘル プ ライ ン

「(コンプ ラ

6

内部通報制度の名称

(出所)著者作成。

(20)

212 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第14 2010年3

6

内部通幸締 り度の構造

機能 特徴

(1) 目的 ① 企業内の不正行為などに関 して対処するo

① 法令や企業行動指針に反する行為の抑制や防止 をする○

③ 法令や企業行動規範に反する行為の早期解決 を図るo

④ 企業の自浄能力の向上を図るo

① 企業の リスク情報 を把握するo

(2)役割 ① 法令や行動指針に反 した行為に関する通報 を受けるo

② 法令遵守に関する判断が難 しい場合に相談 を受ける○

③ (丑や⑦以外の疑問や相談、提案などを受けるo

④ 通報や相談の内容 を経営者や各委員会 (コンプライアンス委員会、企業倫理委員会、

CS R

委員会など)に報告するo G)通報者や相談者への回答

(3)組織 ① 多くの企業でコンプライアンス委員会や企業倫理委員会

、CS R

委員会などに窓口が設置

されているo

② 企業内の法令遵守に関する部署に設置 されている○

① 社外に窓口を設けている企業 もあり、顧問弁護士や第三者機関を窓口としているo (4)連絡手段 ① 電話や

E ‑ ma i l 、F A

Ⅹをする.

(む郵送をするo (釘面会をする○

(彰 イン トラネッ ト等の利用による○

(出所)筆者作成。

イア ンス ・企業倫理)相談窓 口

「相談室

「その 他 (企業名 を入れ るな どした独 自の名称)」とい っ た名称 が用 い られて設置 されてい る22。 また、 内 部通報制度 の機能 を、(1)目的 と (2)役割、(3) 組織 と (4)通報手段 に分類 し、分析す ると内部 通報制度 の具体 的 な構造 は、表6の よ うに考 え ら れ よ う

まず、 (1) 目的 は、①企業 内の不正行為 な ど に関 して対処す る、②法令や企業行動指針 に反す る行為 の抑制や防止 をす る、(彰法令や企業行動規 範 に反す る行為 の早期解決 を図 る、(彰企業の 自浄 能力の向上 を図 る、⑤企業 の リスク情報 を把握す

る、などが挙 げ られ る。つ ぎに、(

2

)役割 として、

①法令や行動指針 に反 した行為 に関す る通報 を受 ける、⑦法令遵守 に関す る判 断が難 しい場合 に相 談 を受 ける、③① や②以外の疑 問や相談、提案 な

どを受 ける、(釘通報や相談 の内容 を経営者や各委 員会 (コンプ ライア ンス委員会、企業倫理委員会、

CS R

委員会 な ど) に報告す る、①通報者や相談者 への回答、が挙 げ られ る。

つ ぎに、 (3)組織 と して、① 多 くの企業 で コ ンプ ライア ンス委員会や企業倫理委員会

、CS R

委 員会 な どに窓 口が設置 されてい る、①企業 内の法 令遵守 に関す る部署 に設置 されてい る、①社外 に 窓 口 を設 けて い る企 業 もあ り、顧 問弁 護士 や第 三者機 関 を窓 口 と して い る、 な どが挙 げ られ る。

つ ぎに

、( 5 )

連 絡 手段 と して、① 電 話や

E‑ ma i l

nA

Xをす る、②郵送 をす る、③面会 をす る、④ イ ン トラネ ッ ト等の利用 による、①弁護士や第三者 機 関 な ど社外 に設置 され た通報窓 口へ通報 す る、

な どが挙 げ られ る。

(21)

日本における内部告発制度の確立と企業の運用 213

5. 3

内部通報制度の役割 な流 れ で表 され よ う 内部通報制度 は、図

7

の よ

内部通報 に関す る対処 は、おおむね図7のよ う うに、通報段階、調査 と対処段階、 フォローア ッ 図

7

内部通報対処 の フローチ ャー ト

貴報p 向春茸最浄当れ轟 轟き青

速 報 通報窓 口〕 報告 ) 通報内容の報告をうける i

通知

理通知 /通報事実の特定通報の受け付け.

調査する必要 のないことをその理 由を付けて通知する 、

. 通知

雇 . 1

調査の必要性 l

なし あLJ

調査の指示

面談や証拠提供などの依頼 . ・是正措置と再発防止策、l関係行政機関への報告等の決定報告を受ける 1iiIiiiIIIIiiiiii

調査 調査計画の策定調査の実施

や必要に応じて経過の通知 '

r 結果の通知 通知 調査結果の検討調査結果の確定

報告 指示

是正措置 や再発防止策などの実施

l l 報告

i i I

! f i

! i

!

; 直ちに是正するよう措置をとる

! li l i

I / 的に報告を受ける J!IIiiIiIiiiiiiiiit

フォローアップ 通報者が、通報を行ったことに より不利益な扱いを受けていないか確認する 是正措置や再発防止策が橡能しているのか確認する

ll

「可 不駕篭為など

i

i

継続してフォローア

ッ プ を 行 う

(出所)内閣府国民生活局 公益通報者保護制度 ウェブサイ ト http://www.caa.go.jp/seikatsu/koueki/ minkan/files/nagare.pdfを参考に作成する。

r王.〜M圭一、書.i

(22)

214 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第14 2010年3

プ段 階の大 き く

3

つ に分 け られ よ う

。 1

つ 目の 通報段階は、企業内部 もしくは企業外部に設置 し ている通報窓 口で通報 を受 け付 け、通報内容の特 定がな され る。通報 内容 は、通報窓 口を設置 して い る法令遵守関連 の部署へ報告 され る23。 さらに、

通報内容 に関 して調査が必要であると判断 された 場合 に取締役会へ報告がな され る。

つ ぎに

、 2

つ 目の調査 と対処段階は、通報内容 に関 して調査 され どのように対処すべ きで あるか が判断 され る。法令遵守関連の部署 は、調査 が必 要であると判断 された場合 に、取締役会か らどの ように対処す るか指示 を受 ける24。 そ して、取締 役会か ら受 けた指示 の もとで、関係部署 などへの 調査 がな され是正措置 をとる。通報 内容 は、その ように して対処 がな され、通報 に関す る対処 が終 了 され る。 さらに、通報社 が実名で ある場合 は、

通報者 に対 して通報 内容 に関す る結果 を報告がな され る。

そ して、 3つ 目の フォローア ップ段階は、 (1) 通報者 が通報 を行 ったことによ り不利益な扱いを 受 けていないか、 (2)是正措置や再発防止策 が 機 能 してい るか、 につ いて検討 され る。 そ して、

不利益 な扱いを受 けていた場合 は、直 ちに是正 さ れ、不正行為 などが再発 した場合 は、再び調査や

対処 といった是正措置がとられ る。一方で、問題 がない場合 は、定期的にフォローア ップが行われ る。

6

内部通報制度における現状 と課題 6.1 内部通報制度 における今後の課題

企業が内部通報制度 を整備 してい くなかで、い くつかの課題が考 えられ る。内部通報制度 におけ る主 な課題は、表

7

のように、大 きく

3

つ存在 し ていると考 えられ る

。 1

つ 目は、通報 を行 った従 業貝が不利益 な扱いを受 けないように規定 されて いるが、現実的に不利益 な扱いを受 ける恐れがあ ることである。多 くの企業では、内部通報制度 と ともに、不利益 な扱いを行わない としている。 し か し、実際には、オ リンパ スの事例のように、そ うした行為 は行わない と規定 してあるに もかかわ らず、通報 したことによる報復人事 とみ られ る行 為 が行 われ ることも考 えられ る25。 そのため、通 報者の安全 を保証す ることについては注意 を払 う 必要がある。つ まり、内部通報制度の信頼性に不 安が残 るとい うことである26。

つ ぎに

、2

つ 目は、経営者が主導 にな り不正 を 行 っていた場合 に、はた して内部通報制度 が機能 表7 内部通報制度にお ける現状 と課題

課題 内容 詳細

課題1準報を行った従業員が不利益な扱いを受けな 多 くの企業では、内部通報制度 とともに、不利益な 扱いを行わないとしてい るo しか し、現実 として、

いように規定 されているが、現実的に不利益 オ リンパスの事例のように、不利益な扱いと思われ な扱いを受ける恐れがあること る行為が行われていることか ら通報者の安全 を確保

することについては注意を払 う必要がある○

課題

2

経営者が主導になり不正 を行っていた場合に 多くの企業では、通報内容 を経営者に報告 し、指示 を出す場合が多い○ そのため、経営者が主導 して不 はたして内部通報制度が機能するのかという 正 を行 っていた場合 に、内部通報制度が目的として

こと いる不正行為の抑制や防止、早期解決 といった機能

が全 く働かなくなることが考 えられるo

課題3通報窓口に寄せ られる内容が、上司のセクハ 通報窓口に寄せ られ る内容 として、通報者個人に関ラやパ ワハラ、処遇の不満などのような、企 係す る問題が多く、企業全体に関係するような内容 業経営にとって大 きな意味を持たない内容が ではなく、想定 しているような機能は働かないと考 (出所)筆者作成。

(23)

日本における内部告発制度の確立と企業の運用

2 1 5

す るのか とい うことで ある。 多 くの企業では、通

報内容 を経営者に報告 し、指示 を出す ことが多い。

そのため、経営者 が主導 して不正 を行 っていた場 合 に、内部通報制度が 目的 としている不正行為の 抑制や防止、早期解決 といった機能が全 く働 かな くなることが考 えられ る。た とえば、久保利英明

【2004】は、「内部通報制度は万一の ときに社長 (経 営者 一筆者) と対立す る可能性 もある (社長 が違 法行為 を自 ら行 っていたよ うな場合)。 したがっ て独立性 につ いて格別の配慮 が求 め られ る27」 と 指摘 している。つ まり、経営者が率先 して、違法 行為 をしていた場合 に、はた して内部通報制度 が 機能す るのか とい うことである28。

そ して

、3

つ 目は、通報窓 口に寄せ られ る内容 が、上司のセクシャル ・ハ ラスメ ン トやパ ワー ・ ハ ラスメン ト、処遇の不満 などのような、企業経 営にとって大 きな意味のない内容 がほ とんどであ るとい うことである。内閣府 国民生活局【2007】に よると、通報窓 口に寄せ られ る内容 と して、通 報者個人 に関係す る問題が多 く寄せ られてい る29。

つ ま り、企業全体 に関係す るような内容ではな く、

想定 しているような機能が働いていない と考 え ら れ る。

6. 2

内部通報制度における今後の展望

内部通報制度 は、企業内に潜む不祥事の芽 をつ みつつ、不祥事が起 きた場合 に早期に対処 して解 決す ることがで きることを目的 としている。 また、

従業員 らか ら情報 を集めることは、企業経営の健 全性 を確保す るうえで有用なものであると考 えら れ る。 しか し、内部通報制度 には、表

7

で示 した 課題の ように、はた して想定 しているような機能 が働 くのか とい う点について疑問が生 じる。た と えば、行動規範 などにおいて通報者 に対 して不利 益 な扱 いは行わない と規定 しているとして も、そ うした扱いを受 ける可能性 があるな らば、通報が 行われ ることは少 ないであろう。

そ して、従業員は、内部通報制度の信頼性に対 して、少 なか らず疑問 を抱いていると解す ことが で きよ う。 くわ えて、 内部告発 には、「密告」や

「裏切 り」 とい った負の印象 を持 たれ る場合 が多 い。 これは、 日本だけでな く諸外国において も同 様 の ことがいえよう。 さらに、内部告発が行われ ることは、社会か らの信頼 を失 い、企業の存続が 困難 になる事態 を招 く可能性が高い と考 えられ る。

内部告発 には、そ うした負の部分 も存在す ること について も理解 してお く必要がある。

このようなことか ら、企業が制度 を整備 して も、

想定 しているような機能が働 くことは難 しいであ ろう。企業経営の健全性 を高めるためには、制度 のあり方 その もの を検討 し直す必要があると考 え られ る。そこで、従業員 に企業経営 をチ ェックす る役割 を持たせ、経営者 に対 して不正 に関す る懸 念 を自由に報告で きるような制度 を構築 してい く ことが、有効 な手段の 1つ になるのではないか と 考 えられ る。

7

おわりに

本稿で は、 (1)企業 において内部通報制度 は 如何 に して実 践 され て い るの か、 (2)企 業 の 内部通報制度 には如何 なる課題 が存在す るのか、

(3)今後、企業 が内部告発制度 を構築 してい く にあたって考慮すべ き点、 を明 らかに し今後の展 望 を論 じるこ とを 目的 と して きた。 まず、 (1) で あるが、内部通報制度 は、企業 によって異なる システムが構築 されていたが、おおむね、従業員 などか ら受 けた相談や通報 を経営者 らに報告 し、

企業 内で調査 し対処す る仕組みであるといえよう。

くわ えて、内部通報制度 は、企業の自浄能力 を高 めて、違反行為 を抑制 もしくは早期 に解決す ると い う目的の もとで設置 された機 関で あるといえよ

う。

また、 (2)で あるが、内部通報制度 は、制度 の信頼性や独立性、実効性の

3

点か ら見直 してい く必要があろう。内部通報制度 を実践 してい くう えで、①通報者が、不利益 な扱いを受 けない こと を保証す ること、や⑦経営者の主導 によって、不 正行為 がなされていた場合 に、如何 に して対処す るのか とい うこと、③通報窓 口が通報者の不満の

参照

関連したドキュメント

このように資本主義経済における競争の作用を二つに分けたうえで, 『資本

テキストマイニング は,大量の構 造化されていないテキスト情報を様々な観点から

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に

  

ASTM E2500-07 ISPE は、2005 年初頭、FDA から奨励され、設備や施設が意図された使用に適しているこ

Google マップ上で誰もがその情報を閲覧することが可能となる。Google マイマップは、Google マップの情報を基に作成されるため、Google

1.実態調査を通して、市民協働課からある一定の啓発があったため、 (事業報告書を提出するこ と)

活用することとともに,デメリットを克服することが不可欠となるが,メ