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翻刻『会稽多賀誉』(上)

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(1)

翻刻『会稽多賀誉』(上)

著者 翻刻の会

雑誌名 同志社国文学

号 74

ページ 96‑132

発行年 2011‑03‑20

権利 同志社大学国文学会

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000012695

(2)

翻刻

『 会 稽 多 賀 誉

﹄ ︵ 上 ︶

翻 刻 の 会

一︑ 底本 には 刷り が比 較的 よい と思 われ る︑ 大阪 府立 中之 島図 書館 の七 行九 十七 丁本 を用 いた

︒ 二︑ 底本 を忠 実に 翻刻 する こと を原 則と した が︑ 次の よう な校 訂方 針に 拠っ た︒ 本文 は文 字譜 を手 掛か りに して

︑適 宜改 行を 施し た︒ ただ し︑ 道行

・景 事の 類︑ 会話 の途 中等 では 改行 しな かっ た︒ 各丁 の表

・裏 の終 わり は︑ 丁数 の数 字と オ・ ウの 略号 を︵

︶で 示し た︒ 仮名 は現 行の 字体 に統 一し た︒ ただ し︑ 感動 詞︑ 送り 仮名

︑捨 て仮 名の 類以 外の

︑本 文中 の﹁ ニ﹂

﹁ハ

﹂﹁ ミ﹂ は

﹁に

﹂﹁ は﹂

﹁み

﹂と した

︒ 漢字 は︑ 一部 の異 体字 を除 いて は︑ 原則 とし て通 行の 字体 に統 一し た︒ 漢字

・仮 名と もに

︑誤 字︑ 脱字

︑当 て字

︑仮 名遣 い︑ 清濁 は底 本の 通り とし た︒ 特殊 な略 体︑ 草体

︑合 字等 は現 行の 表記 に改 めた

︒ 畳字 は︑ 平仮 名は

﹁ゝ

﹂︑ 片仮 名は

﹁ヽ

﹂︑ 漢字 は﹁ 々﹂ に統 一し た︒ ただ し︑

﹁〳 〵﹂ はそ のま ま残 した

︒ 文字 譜の 類は すべ て採 用し

︑本 文の 右傍 の適 切と 思わ れる 位置 に翻 字し た︒ 三︑ 本文 の翻 刻は

︑次 に掲 げる 翻刻 の会

︵学 部学 生の 研究 会︶ の会 員に よっ てな され た︒ 樋口 孝栄

︑前 泉有 里︑ 内川 澄恵

︒ 文字 譜︑ 改行 及び 本文 の最 終確 認は 山田 和人 が担 当し た︒

(山 田和 人)

(3)

浅沢 の杜 若 吉原 の庭 桜

稽 多 賀 誉

座本

竹本 金蔵 後見

竹本 政太 夫 元

の大 乱

も切 鎮 たる 足

の︒ 数

代重 る

家の 風︒ 靡

随ふ 其 中に

︒南

の余

迚及 ばぬ 譬

が︒ 己

ぬ 工

にて

︒屢

四海 を騒 がせ ば︒ 今 もや 戸ざ す清

見が 関︒ 固

の役 の足 利武 士兵 具に ひし と身

をか ため

︒眼 を 配 し有

は 事 厳︒ 重に 見へ にけ り︒

のこ なた の門 外

に差 扣へ たる 諸家 の武 士︒ 関

所に 向

高く

︵一 オ︶ 某 事は 仁

が家 中筆 森甚 右衛 門︒

者は 細 川頼

が家 来黒

文太

石堂 右 ノ頭

が家 臣刎

川金 兵衛

︒其 外西 国方 の家 中の 者共

︒一 ツ昨 日よ り御 頼申 せし 通り

︒何 卒 此関 所を

︒御 通し くだ さる ゝ様 偏 に頼 み存 ると 詞

を揃 へ申 にぞ

こな たに 打 向ひ

︒再

の御 頼み 御尤 もな れ共 先達 て申 渡せ し通 り︒ 此度 鎌倉 に謀

の 族 有て 事を なさ んと 計る 故︒ 俄 に固

むる 此関 所︒ 徃来 をと ゞむ るも 武将

︵一 ウ︶ 家の 下知 とし て我 々が 計ら ひな らず

︒ナ フ刑 部殿

成程 数馬 之助 殿申 さる ゝ通

かく 騒

の時 節な れば 武家 公家 の御 内は 申 に及 ばず

︒町 人百 性に 至る 5堅 く徃 来は 叶ひ ませ ぬと

︒尖

き詞 に諸 家中 は︒

詞ス リヤ いか 様に 申て もお 通し 下さ るゝ 事 は叶 ひま せぬ か

ハテ 厳

なれ は是 非に 及ば ぬ︒ 今暫 く御 逗留 有て 開

門の 時節 を相 待れ てよ から ふと

て皆 々投

首し し

ばし 詞も なか りし が︒ い づれ もお 聞な さる ゝ通

厳重 たる 御両 人の お詞

ハテ 扨︵ 二オ

︶難 義な 事で ござ る︒ 此 上は 是非 に及 ばぬ

︒又 々旅

宿 へ立 帰り

︒開 門

時節 を待 て通 りま せふ

左様 と打 連て 迷

なが ら諸 家中

︒は

(4)

宿を さし て立 帰る

山が 数 馬に 向ひ

︒ナ ニ坂 本殿

︒此 頃鎌 倉の 騒動 慥 な様 子

お聞 なさ れた かと

ば数 馬は 小 声に 成︒ な る程 佐 山殿 にお 咄申 さん と存 る折 から

︒先 刻

鎌倉 より 密 の注

︒彼 宇

治の 常

が隠

れ切 腹致 し相 果る

︒鞠

が一

も 過

半召 捕

しと いへ 共︒ いま だ爰 かし こに 隠れ 忍ぶ との 義で ござ る︒

ムヽ いか 様

左様 でも ご︵ 二ウ

︶さ らふ

︒然 らは 徃来 の人 留

も今 暫く と相 見へ ます る︒ ヤイ 者共 此上 共に 油

なく ソレ 心を 付よ と︒ 両人 が猶 厳

居る

が関 に影 見 ゆる

︒其

のか ゞみ 山︒ 早

の家 の譜 代の 臣︒ 唐

作十 郎は 鎌倉 の︒ 騒

いと ゞ急 がる ゝ旅

の道 さへ 侭な らで 閉

る︒ 心 も板

関の こ

なた に立 寄て

︒ハ ツア

︒昨 日御 届

申せ し多 賀の 家中

︒唐 橋作 十郎 でご ざる

︒御 両所 へ直 談の 義も ござ れば

︒ 開

門の 義を 頼

存る

︒此 旨取 次呉

られ よと

下部 が二 人 に向 ひ︒ 昨 日至

致さ れし 多賀 の家 中唐 橋作 十郎 殿︒ 御両 所様 へ御 直談 の旨 有

ば︒ 開門 のお 頼み

︒い かゞ

︵三 オ︶ 計ひ 申さ んや と伺 へば

部 頭 を打 振︒ 我 々に 直談 とは やは り 関所 を通 して 呉

よと の事 所

叶は ぬぼ つ返 せと

に数 馬か 暫し とと ゞめ

︒ナ ニ佐 山殿

︒当 時武 将の 御覚 よき 多賀 の家 中︒ 直

と有 に様 子も 聞ず 其侭 には 帰さ れま い︒ 一

承は つた 上の 事と

いへ ば刑 部は 不興

げに

︒ア ヽ無 益の 事に 隙取 は面

なれ 共︒ 相役 の其 元の お詞 無下 にも 致さ れま い︒ 去

なが ら家 来の 分は 相叶 はぬ

︒作 十郎 一人 門を 開い て是 へ通 せ

と下 部が 門 外へ

︒御 直 談と 有

故御 一人 はお 通し 申︒ 御家 来衆 は相 叶ひ ませ ぬと

︒云

ゝ開 く門

の外

郎は 家来 を招 き︒ ヤ イ其 方は なと 耳

︵三 ウ︶ に口

︒ナ 合点 か︒

ハア 畏

てご ざり ます

早行

︒〳 〵と か

こに 追や り︒ し

づ〳 〵 と打 通

︒両

に黙

礼し

︒御 両所 共に

︒御 勤

御苦 労に 存

ると

は数 馬之 介︒ 役 義な れば さの み苦 労に も存 ぜぬ

(5)

シテ 我々 に御 直談 とは いか 様

の義 でご ざる な︒

イヤ 余の 義で もご ざら ぬ︒ 昨日 より 再

も申 上る 通

と︒

て刑 部か

︒ イヤ 此関 所徃 来の 義で ござ らふ なら ば叶 ま

せぬ 罷成 ませ ぬと

べな き詞 に猶 も手 を さげ

︒成 程お 役目 を大 切に 思し 召 ての 義︒ 御尤 に存 る拙 者が 主人 多賀 の大 領︒ 在鎌 倉と 申︒ 又常 々家 中の 者へ 申渡 さる ゝに は︒ 鎌倉 の大 変

と承 らば 一時 も 早く かけ 付︒ 武︵ 四オ

︶将 の御 所を 相守 るが 肝要 と︒ 急て 申付 ござ れば

︒ケ 様

の時 節に 遅

致す は不 忠の 至

り切 腹に も及 ぶべ き事

︒斯 申せ ば︒ 武士 たる 者の 一命 を惜 むに 似た れ共

︒何 の益

なき 犬死 を致 さば

︒唐 橋の 苗

の穢

れ二 つに は主 人の 名 5汚

す道 理︒ そこ が武 士は 相互

︒御 両人 のお 心入 を以 て︒ 拙者 が家 来計 御通 し下 され ふな らば 千万 忝ふ 存る と︒

とさ らに 聞 入ず

︒コ レサ 作十 郎殿

︒ソ リヤ 昨日 より 申さ るゝ と同 事

︒其 方が 遅参 して 不忠 にな らば 此方 も通 して は役 目の 無念 越

に成 ます

スリ ヤい か様 にお 頼申 ても

くど い事 成ま せぬ と︒

るど き詞 に思 案

︵四 ウ︶ を極 め︒ 然 らば 後日 に御 両所 の越 度に なら ざる 様︒ 質

を差 置ま せふ

︒が いか ゞで ござ る︒

フウ シテ 又拙 者共 か申 訳に 成べ きと 有質 物は いか 様の 品で ござ る︒

リヤ 外で もご ざら ぬ︒ 拙者 が片

スリ ヤ其 馬手 の片

腕を

︒質 物と な︒

程︒ 御先 祖八 幡殿

︒近 くは 楠 正成 是等 の名 将は

︒計

を以 て諸

をつ かふ

︒我 々ご とき の侍 は戦

に 臨

が第 一︒ 其高 名致 す此 片腕

︒夫 を

当 所に 残し 置が

︒拙 者が 質物 でご ざる と︒

数馬 は打

︒御 尤の お詞 我々 が役 目を 思し 召て

︒ま さか の時 の御 用に 立る 片腕 の質 物︒

リヤ 御承 知で ござ るか な︒

かに も承 知︵ 五オ

︶致 した 上は 約

の其 片腕 と︒ 刀

に手 をか け立 寄刑 部

数 馬 押留

︒コ リヤ いか ゞな さる ゝぞ

イヤ 作十 郎か 広言 の片 腕イ サ請 取ふ と詰 かく る︒

イヤ 騒が れな 刑部 殿︒ 拙者 が片 腕 をお 渡

申に

︒其 元の お刀 は汚 さぬ

︒只 今お 目に かけ ませ ふと

︒か

しこ に向 ひ︒ ヤ ア〳 〵家 来共

︒申 付し 一品 を是 へ持

(6)

と答 へて 持出 る此 場の 首尾 も納 れる

︒印 は丸 に一 文字 直

成武 士の 身の かた め︒ 具足 の櫃 を直 し置

十郎 詞を 改 め︒ 戦 場に て命 を忘 るゝ は武 士の 常と は申 なが ら︒ まさ かの 時君 の御 用に 立5 は︒ 全ふ する が身 の肝 要︒ 其命 を保

つ随

の此 具足

︒作 十郎 が片 腕共

︒又 両腕 共︵ 五ウ

︶存 るか ら︒ 此関 所に 残し 置片 腕の 身が はり 何と 御承 知下 され ふか な︒

ホヽ ウ遖 の頓 智遉 は多 賀の お家 柄ヤ モ驚 入

た御 計

ひ︒ 此上 は其 元の 片腕 を清 見が 関所 相守 る︒ 坂本 数馬 之介 がし つか りと 預

申た

︒ 勝

手次 第に 通り 召れ いと

いふ を傍 から 支

へる 刑部

︒イ ヽヤ そり や成 ぬ︒ 譬貴 殿が 承知 さつ しや つて も︒ 拙者 も関 所の 横目 の役

サヽ 其御 承知 ない を某 が我 侭の 計ひ も︒ やは り武 将の お為 でご ざる

そり や又 どふ して

ホウ 南朝 の残

謀 叛の 萌

れ︒ 或

は亡 び︒ 又は 召捕

るゝ とい へど いま だ隠 忍

ぶ 族 も有

︒か ゝる 時節 に武 将の 膝元

︒役 に立 べき 武士 を

︵六 オ︶ 都へ 通す が我 侭か な︒

サア 夫は

ホウ 常

秋夜 が荷

の武 士数

有と 承つ たが

︒君 の守

する 侍を 妨

るゝ 貴殿 の心 底︒ 扨は 謀反 に同 心か

イヤ 全く 以て

ハテ 左様 なら ば身 共が 計ひ

︒横 目の 貴殿 のお とゞ めは 御無 用〳 〵︒

然 らば いか 様

共致 さふ 併後 日に お咎 有

ば︒

ヲヽ 其時 は身 共が 切腹

︒貴 殿の お腹 は借 ませ ぬと

り込 られ てむ つと 顔︒

郎は 数馬 に向

々の 御懇 情礼 は重 て申 上ん

イヤ 〳〵 是迚 も武 将の 御為

︒二 つに は多 賀殿 の忠

を感

ぜし 故︒ お 礼に 及ば ぬ急 の

道中

然ら ばお 暇仕 らふ

シテ 同勢 の御 人数 は︒

以上 三百 七十 五人 と︒

聞て 佐山 が 仰 天し

︒ 纔 五 百石 の︵ 六ウ

︶作 十郎 か同 勢三 百七 十五 人と な︒ 合点 の行 ぬと 咎る 詞︒

数馬 引取

︒俄 に多 賀は 大大 名︒

シテ 又御 辺の 合 印は

丸の 内に 一文 字︒

とく と改 通し てく れふ

︒ヤ ア〳 〵者 共東 西の 門を 開

ツと 答へ て押 開く

本数 馬声 高く

︒江 州か ゞみ 山の 城主 多賀 殿の 家中

︒唐 橋作 十郎

︒同 勢三 百七 十五 人通 ま

せい

と答 へて 門外 に︒

(7)

頃と ゞま る旅 人共

︒仁 木細 川吉

︒西

国か ため の諸 家の 臣︒ 我 も〳 〵と 押合 へし 合︒ 皆唐 橋が 合 印︒ 扨

丸い 関守 と︒ 真

一文 字に 打通 れば

つし と立 切西

の木 戸︒

は唐 橋両 人に

︒式

礼目

礼立 出る

︒︵ 七オ

に待 たる 諸士 の 面々

︒作 十郎 殿︒ 合印 のお かげ で︒ 首尾 能︒

シイ 声が 高い

︒と 押

ゆる 唐橋

にも 扨は と気 の付 佐山 立 寄東 の門 の戸 に︒

坂本

切下 部︒

サ参 らふ と夕

の︒ 鳥の 音な らぬ 弁

にて

︒関 を遁 し

を︒ 日 本に 伝ふ 唐橋 が︒ 才 智の

︒ 程こ そ

名に 高き 第二 東

︒北

とよ ぶ︒ 吉

原の

︒名 にし 桜 の中 の町

︒み んな 見に くる 色く らべ 老 木︒ 若木

のわ かち なく

︒花 の王

へ参

の沓

︒な

らぬ 駒下 駄や

︒衣

はい かな 大 名も

︒及

ばぬ 位松 田屋 の三

国と いへ る全 盛の

︒外 八文 字の 道中 に︒ お

先︵ 七ウ

︶手 を ふる 振 の︒ 禿 か対

のき んし 紋︒ 帯 の厚

箱ゆ

たん に包

も︒ 弓

張の

︒た めし かや

︒ 跡

への 大尽

はか ゞみ 山の 分

地︒ 大

道寺 学太 郎︒ 己

が威

を花 の本

しと 立 留り

︒ナ ント 軍蔵

︒一

千人 の枕

︒半

の朱

と云 しに 違は ぬ︒ 三国 一

の三 国

色香

︒揚

りの 俤

︒江 口の 君に 由縁

より 糸桜

︒ 少

しは 風に なび けよ と︒ 戯

れか ゝれ ば︒ 三

国は 浮ぬ 物思 ひ︒ 罪 なふ して 配

所の 月と

︒梅 や桜 も春 風の

︒障 りが 有て は中 々 に︒ 目に 付物 じや ござ んせ ぬと

︒す

んと

︒背 ける

︒顔 にさ へ︒ 花

と争 ふ品

︒実

折た き︒ 心

地せ り︒ 傍

ら差 出る 松

浦軍

蔵︵ 八オ

︶コ レサ 太夫 殿そ りや どふ でご さる

︒御 主人 学

太郎 様は 大道 寺の 若殿

︒こ なた に迷 ふて 此程 の 廓通 ひ︒ 金銀 にお 厭

ひな く中 の町 を一 面

に桜 の林 も︒ こな たの 心を 慰ん 為︒ お心 にさ へ随 へば

︒直 に根 引の 玉の 輿︒ 何

(8)

気は ござ らぬ か︒ ヲヽ アノ 軍蔵 様の いは しや んす 事は いな

︒う はの 空

恋風 にも

︒な びけ ばな びく 客有 ど︒ 世

に憂 ふし の傾

城を

︒国

傾く ると 諷は るゝ も契 る情 と

ゝも

︒其 源は 誠に て︒ 操

立る が廓 の教

へ︒ 野 な事 を云 しや んす なと

︒ や り込 られ て頬 ふく らし

︒せ ふ事 なし に懐 中よ り︒ 筆 取出 しさ

ら〳 〵と

︒書

認る も負 おし み︒ 学

太郎 手に 取 上︒ ム ヽナ ニ︒ 多賀 染の

︒采 女

強い 様な れど

︵八 ウ︶ 金の 切

たは 地が 弱

いか ら︒ 読

人松 浦軍 蔵︒ こり や 中々 出か しお つた と褒

美の 詞に 出

かし 顔︒ 辺

りの 桜に 結付 れば

︒三

国は くは つと せき 上 て︒ お 心に 随は ぬ迚 当り 眼に 采女 様︒ 恥を かゝ せる 其短

︒そ ふさ しや んす りや 猶の 事︒ 逢通 すの が廓

の張

︒身 共の 金

5く どき 落す が武 士の 意地

︒ヲ ヽし つこ ふ云 て

見る 気な ら勤 す

る身 の耳 の役

︒ハ テモ 聞て 居ま すで ござ んせ ふ其

と学 太郎 仡 相か はれ ば付 々の 禿

中居 が取 ま いて せ

いて は行 ぬ恋 の 道︒ 色

よい 返事 松田 屋で

︒晩 はお 寝間 の中 直り と︒ 機 嫌取 々仇 口も 其

場︒ 粉

らし 騒

立︒ 江

戸町 さし て伴 ひ行

︒ 大

寺︵ 九オ

︶美 作

守義 国︒ け ふ遠

乗の 出立 も

に逸

︒深

︒出 合頭 に軍 蔵が

︒夫

と見 るよ り両 手を つ き︒ 是 は〳 〵 大殿 には 軽々 敷

御通

と︒ 土

頭を ひ れ伏 は︒ い かに 軍蔵

︒本 家た る早 枝の 家

︒再

せし は我 家の 高

名︒ 夫

に何 ぞや 今百 万石 を領 する 内︒ 纔 分地 七万 石︒ 多賀 の大 領

か旗 にく ゞま る︒ 其無 念さ 止

事な し︒ 然る に此 度︒ 室町 殿の 厳命 によ つて

︒早 枝家 の重

上の 三品

︒ 術 を以 て

ひ取 ば︒ 家押

のよ い手 がゝ り︒ 成程 イヤ モ遖 の御 計

︒則 紅

の御 旗

の義 は︒ 先

達て 奪ひ 置

︒此 上は 菅

の一 軸

︒柴

の花 生︒ ヲヽ サ其 術は ナコ リヤ かう

︒〳 〵

と 点 きU く相 口同

︒人

喰 馬の 両人 はし

めし 合し て別 れけ る︒

︵九 ウ︶

(9)

と見 る︒ 花

の雪 吹

て︒ こ がれ 廓の 其主 に契

深き 中

の町

︒采

女之 介は 立留 り︒ コ リヤ 定平 太夫 が急 に

逢ね ばな らぬ

︒中 の町 に待 て居 ると

︒文 おこ せし には 様子 が有

らず と立 つ居 つ︒ 花 の香 した ふ蝶 々の 春風 い

とふ 風情 也︒ い か様 御近

も召 連

られ ず︒ どれ へお 越と 思ふ たに

︒夫 で

様子 がさ らり と知 た

︒先

と定 平が

︒有 合床

花の かげ

︒腰

打 かけ て采 女

之助

︒ナ ント 見事 でな いか

︒吉

も及 ぬ

と︒ 詠

る枝

に以 前

の短 冊︒ 何 心な く手 に取 て︒ 多 賀染 の采 女は 強

い様 なれ ど︒ 金の 切

たは 地が 弱

いか ら︒ 読人 松浦 軍蔵

︒ム ヽ扨 は三 国か 恋の 意趣

︒学 太郎 が計 ひに て︒

︵十 オ︶ 我に 恥 辱を あた ふる 所存

︒う ぬ軍 蔵め 一討 と欠

出す を定 平が 留 ても まと まら ぬ若

気の 逸徼

︒ヤ レ暫 くと 声を かけ 立 出る 唐橋 瀬左 衛 門︒ 聞

捨て 欠行 袖︒ しつ かと 留め て︒ チ ヱヽ 情な や浅 まし や︒ 百万 石の 領主 たる かゞ み山 の御 舎弟

︒御 部屋 住と は申 なが ら 御大 切な る御 身に て︒ 傾城 遊女 に 魂

はれ

︒昼 夜を 分た ぬ御 遊興

︒殊 に倍

の軍 蔵づ れ︒ 取に 足

ざる 意趣 を以 て

︒場 所を きら はず 御手 討に なさ れん とは

︒ヱ ヽ是 非も なき

︒御 所存 じや よな

︒殊 更

御分 地大 道寺 美作 御親 子

︒夫 に

付添

︒佞

原︒ 事が なあ らば 家国 をも 奪

ん企

︒此 頃は 学太 郎廓 へ入 込︒ 若殿 御寵

︵十 ウ︶ の三 国を くと くと 承

り︒ 合点 行す と 窺

に︒ 案に 違は ずま つ其 ごと く御 身を 怒

らせ 過

せ︒ 夫

を云 立

退

との 工み

︒そ この 所へ 御心 の付 ざる か︒ 一人 たん れい なれ ば一 国

の 基

︒御 身を 忘れ 此行

︒向

ふつ 〳〵

︒思 し切 此義 とゞ まり 給は らば

︒兄

君は 申に 及

ず︒ 一

中の 悦び

︒御

届下 され と 怒 つ宥

つ唐 橋が

︒誠

す諫

は人 の中 なる

︒人

也け り︒ 采

女之 介理 にふ くし

︒あ やま つて 改

るに 憚り なき 聖

の教

へ︒ 先

刻よ り諫 言采 女之 介聞 届た

︒今 こそ 誠に 心を 改

︒三 国 が事 は思 ひ切

武士 の詞 に二 言な し︒ 安堵 せよ 唐橋

︒ハ アヽ 有が たし 忝し

︒拙 者ご とき の御 諫言 御聞 入下 され しは

︒︵ 十

(10)

一オ

︶冥

に余 る仕 合せ と土

に頭 を摺 付 れば

︒ヲ ヽ其 方か 志

なぞ や唐 橋︒ 定平 供せ よい

ざ帰 らん と立 給ふ を︒ 暫 しと と ゞめ

︒其 御一 言

に相 違も あら じ︒ イヤ ナニ 定平

︒若 殿様 にも 今宵 は 廓 の御 名

︒其 方付 添

御大 切に 心を 付︒ 茶屋 方に て御 酒一 献︒ ハア 委細 畏

まし てご ざり ます

︒若 殿様

︒返 す〳 〵も 御短 慮な く︒ 御帰 館願 ひ奉 ると

︒い

も心 に一 思 案忠 義に かた き︒ 唐 橋が 引わ

かれ てぞ

〽行 も又

︒ 爰

中の 町の 夜︒ 桜花 にう かれ て曲

輪へ 通ひ

︒格

けば 嬉し やし んぞ

︒招 く禿 が相 図の 手管

︒忍 び逢 夜の 其 楽し み は千 代も かは らじ かは らじ な︒ 諷

ふ唱 哥 に︒ 間押 へさ

へつ

︒さ ゝ︵ 十一 ウ︶ れつ 盃の

︒さ

ゆる 座

敷も 浮立 ぬ︒ 采

女か 済

ぬ 顔色 を︒ い

さめ る亭

六か

︒コ レハ 又ど ふで ござ りま す︒ やま たの 大蛇

取巻 れた

︒稲 田姫 見る 様に

︒去 迚

はめ いり ま す︒ マア 〳〵 一つ お上 りな され ませ

︒イ ヤ〳 〵酒 は呑

ぬ︒ 置て たも 〳〵

︒ハ ヽア 扨は お気 の浮 ぬ

のは

︒お いら んの お出 が ない 故︒ 併

三国 様も 此間 は︒ 学太 郎様 の揚

︒殊 にア ノ学 太郎 様は 大の 悋

じや の大 やき 餅︒ 揚の 内は 女房 じや と︒ 三国 様の 傍

一寸 も放

れず でご ざり ます

︒ヲ ヽソ レ〳 〵あ んな お客 を勤 るも

︒い やな 事で はな いか いな と︒ 口

る其

中へ

︒出

軍蔵 千鳥 足︒ 亭 主〳 〵︒ 又六 〳〵

︒女 夫な がら 爰へ 来て

︒身 共は 構は ず何

︵十 二オ

︶か こり や︒ 采女 殿計 が客 で︒ 身共 は客 でな いか

︒屋 敷で こそ 倍

の本 家の と別 れて も有 ふず れ︒ 廓て は一 蓮詫 生︒ それ に何 ぞや

︒い けも せぬ 若殿 風︒ うぬ がW

方 の女 郎を 人に 取

れ︒ せふ 事な しの 一人 酒︒ 金の ない のは 不便 な物 だ︒ ヱヽ まじ 〳〵 とし たし やつ つら だと

︒い

に采 女は せき 立顔 色︒ 定 平透

さず 立寄 て︒ 軍 蔵を 投

付れ ば︒ 髻

を取 てぐ つと 引よ せ︒ 某 をさ みし たる 落

の短 冊︒ 殊更 今の 悪口 雑言

︒ 今一 度云 て見 よと

︒に

り付 られ 手を 合せ

︒ア 申〳 〵マ ア〳 〵待 て下 さり ませ

︒其 短冊 は学 太郎 様や 官兵 衛め が︒ 徃生 つく

(11)

めに 筆取 たは

︒私 は誤 り︒ 命計 はお 助

︵十 二ウ

︶と

︒あ

れの 様な 涙を 流し

︒^

廻る こそ 見苦 しき

︒ヱ ヽ娑

ふさ げの 畜 生め

︒手 討に する も刀 の

れ︒ 犬侍 の成 敗は まつ かう と︒ 眉

を鍔

にて 打破 れ

︒ワ ツト 一声 身を もた へ︒ 苦 しむ 所を 定 平が

︒下 緒手 早く 後手 に︒ 桜

が本 へく ゝる 内︒ 采

は用 意の 短冊 に︒ 返

哥の 落首 とさ ら〳 〵〳 〵︒ 定 平取 て打

︒大 道寺 いか んで 読は 横道 の︒ 苗字 にも れぬ 恥

を学 太郎

︒ハ ヽヽ ヽコ リヤ 若殿 出来 まし た︒ 是を 肴に 奥の 間で

︒御 酒一 献︒ 召上 られ よと 主

が︒ 打

連奥 に入 ける

︒ 始

小か げに 窺 ふ唐 橋︒ ず つと 寄て いま しめ 解︒ 辺

りを 見廻 し︒ 料 理人 の作 右衛 門大 義〳 〵︒ そち が働 きを 以て

︒若 殿に

︵十 三オ

︶も 別

条な く︒ 成

程︒ あな た様 のお 頼

の通

軍蔵 に面 体恰

たる を幸

若殿 様を 偽

此疵 を請 た故

︒御 立 腹も 納り

︒お 目出 たふ ござ りま す︒ イヤ モ身 が満 足此 上な し︒ ガ見 付ら れて は事 の妨

礼は 緩り と帰 宅の 後︒ 当座 の褒

金五 両︒ アヽ 勿体 ない 何の お礼

︒左 様な らば 唐橋 様︒ おさ らば

︒さ

ばと 引別 れ奥 と口

とへ 立て 行︒ 入

相の

︒鐘 の響 きも

︒余

所に 聞︒ 物

花の 色 揃へ

︒浮 ぬ三 国が

︒八

字︒ 跡 に続 て

学大 尽︒ 番

頭と 仲居 が取 巻て

︒入 来 る茶 屋の 大騒

ヤナ ニ若 殿︒ 三国 殿の 全

は︒ かう 見た 所が 花も 及は ぬ月 の丸 顔︒ さへ 〴〵 と雪 の肌

より 黄金 の︒ 光り で浮 む千 両箱

︒お 差

︵十 三ウ

︶の 通勝 手5

︒取 寄ま して ござ りま すソ レ又 六︒ 早く 〳〵

︒心

亭主 か勝 手よ り︒ かゝ へ出 たる 千 両箱

︒座 敷へ どつ さり

︒イ ヤも ふ学 太郎 様の 白 鼠

︒忠 義一 疋受 てお りま す︒ アヽ コリ ヤ〳 〵亭 主︒ 其様 にの ぼし て くれ ない やい

︒其 白鼠 も若 旦那 の黒 鼠に はこ まつ た物 だて

︒何 とい ふ︒ 此学 太郎 を黒 鼠と は︒ ムヽ 大遖 とい ふ事 か︒ コリ ヤ 出か した

︒よ く見 立た 大夫 一の 慰

に︒ 見立 尽で 其金 を︒ 手摑 次

第に 取せ い〳 〵︒ こい つは ごう ぎた 〳〵

︒ま つ先 陣に 官

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②上記以外の言語からの翻訳 ⇒ 各言語 200 語当たり 3,500 円上限 (1 字当たり 17.5

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