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日本教育学会第40回大会雑記

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Academic year: 2021

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日本教育学会第40回大会雑記

大 串 隆 吉

 日本教育学会第会大会は,本年8月28日から30日にかけて,東京都立大学に おいてひらかれた。日本教育学会の大会を東京都立大学においてひらく話は,

7,8年前にあった。その時は,大学「紛争」後,日が浅かったこともあり,

成功させる確信がなかっので遠慮したのであった。

 東京都立大学の教育学研究室は,人文学部の一専攻にすぎない。すなわち,

人文学部人文科学教育学専攻であり,3講座からしかなりたっていない。した がって,引き受けるにさいしてはいろいろな危惧があったが,引き受けたから には,実務的な面だけでなく内容の面でも成功させたいといういきごみで準備 にとりかかった。

 実行委員長は大蔵隆雄iが引き受け,事務局長は山住正己,財政担当は坂元忠 芳,プログラム担当は小沢有作がなった。また事務局は,柿沼秀雄,大串隆 吉,甲斐千代子が中心となった。

 プログラムの内容を実のあるものにするため,英智を集めた。自由研究と学 会がおこなっている課題研究は動かせないので,他のところで都立大学の特色 をもりこむことになった。とはいっても,自由研究発表をたんなる業績発表の 場にするのではなく,実のある討論と研究交流ができるようにする努力をおこ なった。そのために,司会者を依頼するのに心をくだき,各々の分野での実力 者を中心として中堅の人々にご足労を願うことにした。しかし,分野によって は,発表希望者が集中し,討論の時間が少なくなったのがあった。発表者が多 かったのは,教育学説・思想,子ども・青年の発達と教育,幼児教育,教育行 財政であり,少なかったのは,地域と教育,社会教育,教育工学であった(社 会教育の場合,社会教育推進全国協議会の全国集会と,ほぼ日程が重なってい

た)。

(2)

 昨年の北海道大学で開かれた大会では,コロキウムがもたれ,北海道大学の 教育学研究者の課題意識がうかがえた。今回は,全体集会シンポジウム,シソ ポジウム,公開講座に特色をもたせようとした。研究室では,これまでの大会 では数百人の会員が集まっても,その人たちがひとつのテーマをめぐって考え 合う場がない,一堂に会して教育研究の重要な問題について何人かの報告をき き論じあい考えあう場があってもいいではないか,という意見が出された。報 告者には,さまざまな考えの持主に登場してもらうようにしたいというのが一 致した意見であった。この案を常任理事会に持参し賛同をえた。そこで多くの 人が集まりやすい時間帯として第1日の午後に全体集会シンポジウムをひらい たところ,ほぼ400人の参加者があり満席とすることができた。全体集会シソ ポジウムのテーマは,現代における人間の問題と教育学の課題であった。

 シンポジウムは,①現代社会と非行問題②子どもの発達と視聴覚文化,③ 教育内容における自由と統制,④同和教育における今日的課題⑤教育計画と 住民自治,であった。これらのテーマをたてた理由は,あらためてのべる必要 はないであろう。いずれも現在の教育ないし教育学の課題としてとりあげられ るべき課題であり,民間教育研究団体にかぎらず議論されている事がらである が,学会らしくさまざまな立場,関心から議論しようとした。したがってバネ ラーは学会員以外の方にもお願いした。筆者はすべてのシソポジウムには参加 できなかったが,概して好評だったようである。続けて開催してほしいという 意見があったテーマもあった。同和教育のシンポジウムについて若干しるして おこう。      

 同和教育が,シンポジウムないし課題研究として学会で設定されたのは2度 目であると思う。1968年から69年にかけて課題研究としてとりくまれ,1971年 には『教育学研究』誌で特集がくまれた。それ以後,共同討議の場はなかっ た。その意味で,やや大げさに自画自讃的になってしまうが「画期的」なこと であった。シンポジウムでは,パネラーの問題設定が各々異なり,共同討議の むずかしさを感じさせたが,これをきっかけにして研究討議がおこなわれてい けぽ幸いである。

 最終日にもたれた公開講座も400人収容の大教室が満席であった。地域の住

(3)

民の方も参加したようである。講演は大田尭学会長,永井道雄氏,小田実氏の 順ですすんだ。大田学会長の講演は,r教育』1981年11月号に掲載されている。

永井道雄氏は,国連大学特別顧問としての話から,日本人がかかえている問題 はグローバルな世界的問題の一環であることから,日本人の世界認識形成の課 題を話された。氏の講演がはじまって30分ぐらいたって,小田氏が会場にあら われた。すると永井氏は,かつての全共闘運動にかかわった人たちが世界のあ り方を考えていなかったのではないかと小田氏に問うた。っついてたった小田 氏は,原子力空母ミッドウェーの寄港先を追跡された話から,あたらしい世界 秩序形成の課題にふれ,そこから日本憲法の意義をあらためて強調した。

 期せずして両者の話は,世界のなかでの日本人の形成の課題にふれた。両者 の見解は,さまざまなところで交錯し,火花をちらしていた。教科書問題もそ うであった。永井氏はフロアーからの質問にこたえて,教科書が悪くなったと しても教師がしっかりしておれば心配することはない旨のこたえをした。小田 氏は,それをうけて,自らの少年時代の体験から教科書問題は重要な問題だと 述べた。教科書問題をめぐっても火花が散ったが,最後に小田氏が永井氏とは 一緒にやっていけると思ったとのべ,この公開講演は知的興奮と問題の重さを 残すとともに,スガスガしいおわり方であった。

 学会に参加した人は,のべ843人であった。例年にくらべて多いかどうかわ からないが,3日間をつうじて参加人数が減らなかったのが特色であるそう だ。人数だけで学会が成功したか速断できないが,準備した者にとってうれし いことであった。

 学会を成功させるにあたって学生の力は大きかった。学生は,準備や設営に とびまわり,てきぱきとかつ自発的に仕事をこなしてくれた。率直に言って学 生の活動力におどろいた。また,自由研究のベルならしや,シソポジウム,課 題研究の録音をおこなって発表をきくことができ得るところが大きかったよう だ。また,院生は準備段階から会議にも参加し,学会当日は,自由研究の発表 に全力をつくしていた。

 又,本学の学生だけでなく和田洋子氏の娘さんやその友達,立教大学の学生

がアルバイトをひきうけてくれた。学会事務局が全面的に援助してくれ,私達

(4)

のいたらないところをひきうけてくれた。少なくない学会員の方からも励まし の言葉をいただいた。大会がまがりなりにも成功したのは,これらの方の援助 があったからだとおもう。

 (これは,大串「教育情報,日本教育学会第40回大会ひらかる」r教育』1981  年12月号をもとにし,山住正己「日本教育学会第40回大会一般報告」r教育  学研究』48巻3号,1981年を参考にして,大串の責任でまとめたものであ  る。なお,本研究室院生の大会自由研究での報告及び報告者をのせておく。)

 教育学説・思想       8月28日

篠原助市の教育思想研究       。近藤 真庸(東京都立大学大学院)

一明治以降日本教育学説史研究1(その1)一

       藤木 雅巳(東京都立大学大学院)

      。中江 和恵(東京都立大学大学院)

      。草野 滋之(東京都立大学大学院)

       隠田 正昭(東京都立大学大学院)

 福祉と教育       8月28日 子ども会研究(1)一戦後子ども会論の検討一

      。小木美代子(日本福祉大学)

      。増山  均(東京都立大学大学院)

       山下 雅彦(東京都立大学大学院)

 教育行財政       8月28日  阿部重孝の教育制度改革論

一明治以降教育学説史研究1(その2)一

      。三石 初雄(東京都立大学大学院)

      。佐藤 広美(東京都立大学大学院)

       小林 平造(東京都立大学大学院)

      ・平田 勝政(東京都立大学大学院)

       伊藤 伸也(東京都立大学大学院)

 教育の歴史       8月28日

青年学校研究(3)       小林 平造(東京都立大学大学院)

(5)

一教育刷新委員会における青年学校問題一  教育学説・思想

沢柳政太郎の「体育」論(1)

 子ども・青年の発達と教育

山下徳治の発達観の展開と教育方法論 一明治以降日本教育学説史研究1

 幼児教育

乳児期における交流の発達

8月29日

近藤 真庸(東京都立大学大学院)

8月29日

(その3)一

  。秋池  薫(東京都立大学大学院)

  。山下 雅彦(東京都立大学大学院)

   甲斐千代子(東京都立大学大学院)

   中島 哲史(  同   聴講生)

   村井 淳志(  同   聴講生)

   8月29日

   荒木美知子(東京都立大学大学院)

参照

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