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|多読用教材等のキーワードの特定とその出現傾向|

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日本語版グレイディド・リーダー開発への取り組み

|多読用教材等のキーワードの特定とその出現傾向|

原田 照子 ・ 山形 美保子 ・ 中野 てい子 酒井 眞智子 ・ 宮崎 妙子 ・ 三上 京子

要 旨

 本研究では、日本語学習のための読み教材に現れる出現頻度の高い新出の名詞で、読み 教材の話題に密接に関係する語をその読み教材のキーワードとし、その出現傾向と分布傾 向を調べた。対象とした読み教材は、筆者らが開発した日本語版グレイディド・リーダー、

多読用教材、精読のためのコース用教材、小学校低学年用国語教科書の物語、小学校低学 年を対象とした児童書である。キーワードの出現傾向は、読み教材の字数が多くなるにし たがい、種類が増え、出現回数も多くなることが認められた。読み教材の種類ごとの比較 では、原作が同じ場合、同一語または類義語がキーワードとなる傾向が見られた。キーワ ードの分布傾向については、大きく分けて、全篇を通して満遍なく現れる「タイプ1」、あ る部分に偏って集中して現れる「タイプ2」、いくつかの部分に分散して現れる「タイプ3」

の3タイプがあることが分かった。どのタイプのキーワードが学習者の未知語に対する意 味づけに効果的に作用し、付随的語彙習得を促すかは今後の研究課題である。

 【キーワード】 多読、キーワード、出現傾向、分布傾向、付随的語彙学習

1.はじめに

 近年、英語を第二言語・外国語として学ぶ学習者のための英語の多読用教材の一つであ るグレイディド・リーダーは、対象者、レベル、ジャンル全てにおいて多様化し、学習者 文学(Day & Bamford, 1998)と呼ばれ、学習者文学賞もあるほどになっている。日本語 教育においても、多読用教材が市販され、教育機関での実践も始まっている(粟野 2008)。

 多読用教材の制作において、英語のグレイディド・リーダーでは読者が楽しく読め、かつ、

付随的に語彙が学べるように、読み物の 95%以上の語彙が各レベルまでの語彙と固有名詞 であることが望ましいとしている(Nation 1990, 2001)。

 筆者らが開発している日本語版グレイディド・リーダー(以下、JGR)の作品は日本語学 習者用の多読用読み教材である。難易度により A 〜 H の8段階にレベル付けされ、既知 語覆い率を 95%としているが、この 95%を構成する語は、それぞれのレベルまでの語彙、

固有名詞、および、キーワードである(Reynolds 他 2003)。このキーワードは、作品に特 有の語で、出現回数の多い名詞の新出語を指す(Reynolds 他 2003、原田他 2003)。筆者 らは JGR の作品制作において、キーワードの最低出現回数を 10 回としてきた。

 中野他(2007)は JGR の作品制作支援ツールとして JGR 語彙チェッカー(以下、チェッカ ー)を開発し、キーワード判定の規定値を「総語数の1%以上を占めるもの」(p. 33)とした。

̶ 71 ̶

̶研究論文̶

(2)

 原田他(2008)では、作品制作におけるチェッカーの有用性を知るためにチェッカーを用 いた JGR 作品を含む読み教材の解析を行った。その結果、キーワード判定の規定値に関し て、再検討の必要性が明らかになり、より適したキーワード判定の規定値と判定法を得る ために、長さの異なる読み教材の解析結果からキーワードになり得る語の分析を行う必要 性を提起した。また、付随的語彙学習の観点からの考察も必要であるとした。

 そこで、本稿ではまず、JGR のキーワードを再確認し、付随的語彙学習を促す読み教材 制作の条件整備のために、分析対象とした JGR 作品を含む読み教材のキーワードを特定す る。つぎに、特定したキーワードの出現傾向を分析し、明らかになったキーワードの分布 タイプから付随的語彙学習を促すと言われる多読用教材でのキーワードのあり方への示唆 を得る。

 以下、2章では、キーワードが作品の主題を知る手がかりになる語であることを確認し、

付随的語彙学習を促すためには、作品制作においてキーワードの判定が不可欠であること を述べる。3章では、本稿が分析対象とした JGR 作品と、多読用教材を含む 73 篇の読み 教材(原田 2008)のキーワードをどのように特定したか、その方法を説明する。4章では、

それらのキーワードの出現傾向と分布傾向を調べ、考察を加える。

2.JGR におけるキーワードの定義とキーワード判定の目的

 以下では、JGR におけるキーワードの定義を再確認し(2.1 参照)、キーワード判定の目 的(2.2 参照)を明らかにする。そして、キーワードと付随的語彙学習の関係について述べ る(2.3 参照)。

2. 1 JGR におけるキーワードの定義

 周知のとおり、キーワードという用語は、「 キーワード検索 」、「 論文のキーワード 」 等 の意味で使われている。

 一方、コーパス語彙意味論では、対象コーパスの語の頻度が参照コーパスのその語の頻 度より顕著に高頻度のとき、対象コーパスのその語はキーワードになりうるとする(スタ ッブズ 2006)。スタッブズ(2006)は、短編小説を参照コーパスと比較して、顕著に高頻度 の語をその小説のキーワードとし、テキストの主題を知る手がかりになるとした。

 JGR ではキーワードを名詞に限っているが、この点を除けば、本稿が考えるキーワード は概念的にスタッブズ(2006)のキーワードに近いと言える。そこで、JGR 作品の『クモの糸』

(以下、『(J)クモ』)のコーパスを JGR 語彙リスト作成のために開発した 「 電子パブリ 32 冊 コーパス(以下、DP32)」(原田他、2003)に参照し、チェッカーが判定した『(J)クモ』のキ ーワードの出現回数を比較した。

 DP32 は延べ語数 2,168,545 語、異なり語数 35,962 語である。これに、まず延べ語数 1,473、異なり語数 171 の『(J)クモ』の上位頻度語を参照し、それぞれの延べ語数に占める『(J)

クモ』の上位 10 語と、出現回数 10 回以上のキーワード7語の割合を見た。その結果、表1、

2に示すように、上位 10 語では 「 です 」、「 ます 」 を除く機能語の出現回数の延べ語数に占

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̶ 73 ̶

める割合は DP32 の延べ語数に占める割合に近い値を示したが、キーワード7語では『(J)

クモ』の延べ語数に占める割合が DP32 の延べ語数に占める割合と比べ明らかに高い値を示 した。

表1:『(J)クモ』の上位10語の『(J)クモ』とDP32の延べ語数における割合

『(J)クモ』の上位 10 語 ます です

『(J)クモ』での出現回数 88 87 85 77 49 44 42 36 35 30

『(J)クモ』に占める割合 5.97  5.91  5.77  5.23  3.33  2.99  2.85  2.44  2.38  2.04  DP32 での出現回数 10549 88755 106138 83171 70553 54704 12936 70455 77810 70454 DP32 に占める割合 0.49  4.09  4.89  3.84  3.25  2.52  0.60  3.25  3.59  3.25 

表2:『(J)クモ』のキーワード7語の『(J)クモ』とDP32の延べ語数における割合

『(J)クモ』の糸キーワード クモ 血の池 地獄 極楽 お釈迦様

『(J)クモ』における出現回数 23 21 19 18 15 13 10

『(J)クモ』の延べ数に占める割合 1.56  1.43  1.29  1.22  1.02  0.88  0.68 

DP32 における出現回数 7 41 302 40 13 79 3

DP32 延べ数に占める割合 0.0003  0.0019  0.0139  0.0018  0.0006  0.0036  0.0001 

DP32 には「お釈迦様」がないため、「釈迦」の出現回数を使用

 以上から、JGR 作品のキーワードは、作品の主題を知る手がかりになる語であると考え られる。これにより、Reynolds 他(2003)と原田他(2003)におけるキーワードの定義が支 持されると考える。

2. 2 キーワード判定の目的

 JGR におけるキーワード判定の目的は、作品制作の過程で既知語覆い率 95% を得るため である。JGR 作品に現れる未知語のうち、作品特有の語は自ずと出現回数が多くなると思 われる。たとえば、『(J)クモ』における「クモ」、「糸」が未知語であっても、学習者は読み 進めるうちに文脈と挿絵の助けにより意味づけを行い、物語の筋を理解していくと推測さ れる。であれば、読書中に意味づけが可能な語は既知語として先取りし、レベル判定の基 準である 95%に含めることができる(レイノルズ他 2003、原田他 2003、原田他 2008)。95

%という割合は英語のグレイディド・リーダーの知見から得られたものであるが(Nation  1990,  2001)、英語と比べ、語のカバー率が低い日本語(玉村 2002)の場合、作品の既知語 覆い率 95%を達成するためにも一定以上の頻度で出現するキーワードを含めることは不可 欠である

2. 3 キーワードと付随的語彙学習

 筆者らは、JGR の作品中に現れるキーワードは学習者に付随的語彙学習を促し得るもの であると考え、作品制作を行っている。

 付随的語彙学習とは、物語の内容理解を第一義として読み進めていく中で付随的に語彙

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を習得することをいう(Cody  1997、谷内 2003)。英語の第二言語習得研究では、多読によ る付随的語彙学習の研究が多く行われている(Nation  1990,  2001;  Waring  &  Nation  2004; 

Zahar, et al. 2001; Pulido 2007)。また、英語のグレイディド・リーダーでは 95%の既知語 覆い率を得る以外にも制作過程で付随的語彙習得への配慮が行われている。Longman  Structural  Readers の Handbook は、レベル以上の語で、物語を構成するキーワードとみ なされる語は、数行間に繰り返し出現し、さらに、数ページ後にも出現するのがよいとし ている(Nation  1990)。また、Nation(1990)によると、West は新出語は初出時に同一パ ラグラフ内に3回は出現し、その後もたびたび出現するべきであるとしている。

 付随的語彙学習を視野に入れた JGR 作品開発ではレベル以上の語で、その作品に不可欠 な語がキーワードとなるよう、作品制作過程でチェッカーを用いてキーワードの出現回数 を調べ、使用語彙の調整を行っている(山形他 2008)。

3.分析対象の読み教材とキーワードの特定

 本稿が分析対象とする読み教材ではキーワードにどのような特徴が見られるかを4章で 調べるために、ここでは読み教材の概要を述べ(3.1 参照)、つぎに、キーワードの選出方 法と分析対象教材の選定について述べる(3.2 参照)。

 JGR の作品は、多読を目的とした読み教材であるが、本稿では他の多読用教材との比較 を行うため、他の多読用教材を「多読用教材」とし、「JGR の作品」と区別して扱う。「 読み 教材 」 という語は、分析対象としたものの総称として用い、「73 篇の読み教材」のように限 定した場合を除き、JGR の作品も含まれる。

3. 1 JGR 作品と 「73 篇 」 の読み教材

 以下でキーワードの特徴を見る読み教材は、JGR 作品である『(J)クモ』と『大きな帽子 の女』(以下、『(J)帽子』)の2作品と、原田他(2008)で分析の対象とした「73 篇」の読み教 材である。

 「73 篇」の読み教材には、以下が含まれる。(1)多読用教材 26 篇、(2)コース用教材 30 篇、

(3)小学校第一学年から第三学年までの国語教科書の物語 10 篇、および、(4)児童書7篇で ある。多読用教材とは、初級日本語学習者向けに多読を目的として開発され、市販されて いるものを言い、コース用教材に比べ1篇の字数はかなり多い。コース用教材とは、一般 的に教室での日本語学習に用いられる、語彙や文法項目の学習を前提とした精読のための 読解教材である(原田他 2008)。

 なお、キーワードの数え方として、読み教材に異なるキーワードがいくつあるかを数え るときはキーワード種数とし、あるキーワードの出現回数を数えるときと区別する。

3. 2 キーワードの選出方法と分析対象教材の選定

 キーワードの特定のために、3.2.1 で述べる方法で「73 篇」および JGR 2作品からキーワ ードを選出した。なお、以下で行うキーワードの選出では、チェッカーのキーワード判定

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̶ 74 ̶ ̶ 75 ̶

の規定値、「総語数の1%」を改め、「 レベル外の語で、出現回数 10 回以上の名詞 」 とした。

レベル外とは、JGR の難易度レベル A 〜 H 以外の語を指す。レベル A 〜 D が初級、E 以 上が中級である。

3. 2. 1 チェッカーと手作業によるキーワード選出

 JGR の2作品と「73 篇」の読み教材をチェッカーにかけ、得られたデータからキーワー ドと判定された語を取り出した。

 JGR 作品のように語数の多いものでは、異なり語の出現回数が多くなるので、レベル外 の語彙でも異なり語の出現回数が相対的に多くなる。したがって、語数の多いものではチ ェッカーが判定したものを選出するので問題ないと考える。しかし、分析の対象とした読 み教材の多くは(1)語数が少なく異なり語の出現回数が低く、(2)初級学習者向けのもので あり、(3)『(J)クモ』と『(J)帽子』は出現回数の問題はないものの、それぞれ初級学習者向 けのレベル A と C である。

 このことを考慮に入れ、レベル外で出現回数 10 回以上というチェッカーのキーワード判 定条件を緩め、分析の対象とする読み教材のキーワードの条件を、レベル D 以上かつ出現 回数4回以上の名詞とした。

 この条件で、手作業によってキーワード判定を行い、チェッカーが判定したキーワード に加えた。この段階でキーワードが得られなかった「73 篇」の読み教材の中の5篇を分析 対象から除外した。

3. 2. 2 分析の対象とする読み教材の選定

 分析の対象とする読み教材を、キーワードが得られたものの中から JGR 2作品を含む 18 篇に絞った(表3参照)。その理由は、比較するために(1)原作が同一、(2)同一の原作者に よる異なる作品、(3)内容的に傾向が似ているもの、(4)成人学習者のための読み物として 成り立つもの、が分析対象としてふさわしいと考えたからである。

表3:分析考察の対象とした読み教材

読み教材の種類 篇数 タ   イ   ト   ル

JGR 作品 2 『クモの糸』  『大きな帽子の女』

多読用教材 7 『ハチの話』  『浦島太郎』  『象のトンキー』  『注文の多い料理店』

『かぐや姫』  『蜘蛛の糸』  『野菊の墓』

コース用教材 5 『竹取物語』  『新入社員の教育』  『高層住宅』  『かさじぞう』

『わらしべ長者』

国語教科書の物語 2 『大きなかぶ』  『スーホの白い馬』

児童書 2 『かわいそうな象』  『セロひきのゴーシュ』

 これらの読み教材のキーワード種数は 135 であった。このうち 67 がレベル D 〜 H の語で あり、68 がレベル外の語であった。

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4.18 篇の読み教材におけるキーワードの分析と考察

    以下では、上記 18 篇の読み教材のキーワードを読み教材の字数別に分析し(4.1 参照)、

類似する読み教材別に比較する(4.2 参照)。さらに、字数別にキーワードの出現間隔と分 布傾向を見る(4.3 参照)。

4. 1 読み教材の字数別による分析

 JGR 作品を含む 18 篇の読み教材を字数により、2,000 字まで、3,000 字まで、4,000 字まで、

および 10,000 字以上の4つのグループに分類した。表4が示すように、各篇のキーワード 種数は 2,000 字まででは、1から6、3,000 字まででは、8から 11、4,000 字まででは、8か ら 11、10,000 字以上では、12 から 23 で、字数が増えるにしたがい、キーワード種数も増え ている。また、字数が多いものでは 10 回以上出現するキーワードも多いという傾向が見ら れる。

表4:JGR作品を含む18篇の読み教材(字数順)

類型 種 類 タイトル 字数 延べ語数 異なり語数 キーワード

種数 文数

d コース用教材 新入社員の教育 479 245 152 3  20

d コース用教材 高層住宅 487 266 116 3  14

f 多読用教材 ハチの話 594 308 73 2  47

f 国語教科書 大きなかぶ 651 272 41 2 (1) 26 c コース用教材 かさじぞう 694 206 53 4 (2) 40 a1 コース用教材 竹取物語 1130 658 181 1  39 c コース用教材 わらしべ長者 1352 460 95 6 (1) 76 c 多読用教材 浦島太郎 1425 723 146 2 (1) 91 a2 多読用教材 蜘蛛の糸 2271 1215 248 9 (4) 108 a3 多読用教材 象のトンキー 2467 838 116 8 174 a3 児童書 かわいそうな象 2591 1401 402 11 (2) 88 a2 JGR クモの糸 2822 1473 171 8 (7) 172 f 国語教科書 スーホの白い馬 3475 1069 575 10 (2) 117 b 多読用教材 注文の多い料理店 3530 1892 325 11 (3)  216 a1 多読用教材 かぐや姫 3994 2220 329 8 (2) 203 e 多読用教材 野菊の墓 11407 6574 733 12 (4) 532 b 児童書 セロひきのゴーシュ 12429 6062 984 23 (6) 473 e JGR  大きな帽子の女 17609 9922 660 12(12) 740

   ( )内の数字はキーワードのうち出現回数が 10 回以上あったキーワードの数。

 

4. 2 類似する読み教材別のキーワードの比較

 18 篇の読み教材を物語のタイプ、原作、文章のタイプなどにより、6つに分類した。そ れらは、①原作が同じもの(表4の類型欄の a:同じ数字は原作が同じであることを示す)、

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②原作者が同一のもの(同 b)、③内容が似ているもの(同 c)、④説明文(同 d)、⑤ 10,000 字 を超える成人向け多読用教材(同 e)、⑥その他(同 f)である。以下、類型ごとにキーワー ドを比較し、考察を加える。

4. 2. 1 読み教材の原作が同じもの

 3 篇の多読用教材と原作が同じ読み教材で出現するキーワードを比較する。

(1) 多読用教材とコース用教材

 『かぐや姫』(以下、『(多)かぐや』)と『竹取物語』(以下、『(コ)竹取』)のキーワードを見 る(丸括弧内は読み教材の種類を示す。以下、同様)。『(多)かぐや』はキーワード種数が8 で、出現回数が多い順に 「 天皇(20)」、「若者(12)」、「 家来(8)」、「 竹(7)」、「 姫(6)」、「 不 二(5)」、「 十五夜(5)」、「 雲(4)」 である(丸括弧内の数字はキーワードの出現回数を示す。

以下、同様)。一方、『(コ)竹取』のキーワードは 「 天皇(4)」 1種である。『(多)かぐや』の キーワード 「 竹 」 と 「 不二 」 は『(コ)竹取』でも使われている。また、「 若者 」、「 家来 」、「十 五夜 」 に相当する語として、『(コ)竹取』では 「 男たち 」、「 兵隊 」、「 満月 」 が使われているが、

キーワードの条件を満たさないため、キーワードとはならない。「 姫 」 に関しては、固有 名詞の 「 かぐや姫 」 として使われているため、キーワードにならない。

 この2篇は、原作が同じであることから、同じ語や類義語が使われているが、『(多)か ぐや』は字数が『(コ)竹取』の約4倍あるため、同一の異なり語が繰り返し現れる。この点 に多読用教材とコース用教材の違いが顕著に現れている。

(2) 多読用教材と JGR 作品

 『蜘蛛の糸』(以下、『(多)蜘蛛』)と『(J)クモ』のキーワードを比べる。2篇に共通するキ ーワードは、「 蜘蛛 」、「 地獄 」、「 糸 」、「 血の池 」、「 池 」、「 お釈迦様 」 である。出現回数 は表5のとおりで、似通っている。10 回以上出現するキーワード種数は『(J)クモ』の方が 多い。これは、JGR の作品は新出語をキーワードとするために、10 回以上の出現回数を 目指して制作しているからである。

表5:『(多)蜘蛛』と『(J)クモ』のキーワードと、その出現回数の比較

蜘蛛 地獄 糸 極楽 血の池 池 お釈迦様

『(多)蜘蛛』 19 18 18 12 12 9 8

『(J)クモ』 23 18 21 15 19 13 10

(3) 多読用教材と児童書 

 『象のトンキー』と『かわいそうな象』のキーワードを比べる。それぞれキーワード種数 が8と 11 であるが、2篇に共通するものは 「 戦争 」 と 「 じゃがいも 」 である。類義語とし て 「 芸 」 と 「 芸当 」 が見られるが、上記(2)のようなキーワードの共通性は見られない。こ れは、対象とする読者の違いによるものと推測される。

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4. 2. 2 読み教材の原作者が同一のもの

 『注文の多い料理店』(以下、『(多)注文』)と児童書の『セロひきのゴーシュ』(以下、『(児)

セロ』)の原作者は宮沢賢治である。『(多)注文』は日本語学習者用に書き換えられているが、

『(児)セロ』は書き換えられていない。『(多)注文』と『(児)セロ』のキーワードを比べると、

『(多)注文』では、「 鉄砲 」 を除けば、「クリーム」「靴」、「塩」、「香水」、「 字 」、「 ブラシ 」 など、日常よく目にするものが多い。これに対して、『(児)セロ』では、「 かっこう 」、「 た ぬき 」、「 野ねずみ 」、「 ねずみ 」 などの動物、「 セロ弾き 」、「 セロ 」、「 楽長 」、「 譜 」、「 曲 」、

「 楽器 」、「 ホール 」、「 舞台 」 といった日常あまり目にしないものが多い。当然ともいえよ うが、原作者が同じであっても、物語のテーマが違えば、キーワードは違ってくる。キー ワードは作品の主題を知る手がかりになる語であるということが当てはまる(2.1 参照)。

 付随的語彙学習を視野に入れた多読を行うための教材という視点でこの2篇のキーワー ドを比べれば、日常よく目にするものを表す語が繰り返し現れる読み教材の方が、覚えた 後も運用場面が多いと思われるので、『(多)注文』がより学習者に資するかもしれない。

4. 2. 3 内容が似ているもの

 『浦島太郎』(以下、『(多)浦島』)、『わらしべ長者』と『かさじぞう』(以下、『(コ)かさ』)

は昔話である。この3篇に共通するキーワードはない。『(多)浦島』のキーワードについて は、4.3.2 でその出現傾向を見る。

4. 2. 4 説明文

 『新入社員の教育』(以下、『(コ)新入』)と『高層住宅』(以下、『(コ)住宅』)は説明文であり、

16 篇の中でもっとも字数が少ない2篇であることから、キーワードの出現回数は低いと予 想した。しかし、『(コ)新入』では 「 社員 」 が7回、『(コ)住宅』では、「 層 」 が7回出現し ている。一般的に、説明文ではある事柄を説明するので、その事柄がキーワードとなるの は当然とも言える。これらのキーワードについても、4.3.2 で出現傾向を見る。

4. 2. 5 10,000 字を超える成人向け多読用教材

 『野菊の墓』(以下、『(多)野菊』)と『(J)帽子』は 10,000 字を超える成人学習者向け多読用 教材である。キーワードを比べると、どちらもタイトルの一部である「野菊(28)」と「帽子

(33)」が最頻出キーワードとなっている。その他のキーワードの出現回数を比べると、『(多)

野菊』では 10 回以上出現しているキーワードが 「 野菊 」 を含めて4語であるのに対して、

『(J)帽子』は全てのキーワードで 10 回以上となっている。これは、4.2.1 で述べたように、

JGR の作品は新出語をキーワードとするために、出現回数 10 回以上を目指して制作して いるからである(山形他 2008)。

4. 2. 6 その他

 『ハチの話』(以下『(多)ハチ』)と『大きなかぶ』(以下、『(国)かぶ』)はどちらも字数が少

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なく、キーワード種数も2である。『(多)ハチ』のキーワードは、そのどちらも出現回数が 4回であるが、『(国)かぶ』では、タイトルの一部である「かぶ」が 17 回出現している。『ス ーホの白い馬』は、字数、キーワードともに多く、タイトルの 「 白い馬 」 を言い換える 「 白 馬(37)」と 「 馬(11)」が 10 回以上出現している。

4. 2. 7 考察

 以上のことから、読み教材のキーワードについて、つぎのことが考察された。

 1)原作が同じ場合、同一語または類義語がキーワードとなる傾向がある。

 2)原作者が同じであればキーワードが類似する、とは必ずしも言えない。

 3)タイトルに現れる語は出現回数が多くキーワードになることが多い。

 4)字数が多くなれば、キーワードの種類も出現回数も多くなる。

 5)字数が少ない場合、物語より説明文の方がキーワードの出現回数が多くなる可能性が    ある。

 6)昔話だからと言って、キーワードが類似するとは言えない。

 7)コース用教材では、10 回以上出現するキーワードは少ない。

 8)JGR 作品は他の教材と比べ、10 回以上出現するキーワードが多い。

4. 3 字数別に見たキーワードの出現間隔と分布

 18 篇各篇におけるキーワードの分布傾向を以下の方法で見た。

4. 3. 1 方法

 キーワードの分布傾向を知る方法として、まず、上記 18 篇の各篇ごとに全文に通し番号 をつけ、Microsoft  Word 上で検索機能を用いて各篇のキーワードの出現箇所を特定した。

つぎに、それを Microsoft Excel 上で横に各篇ごとのキーワード、縦に文の通し番号をとり、

キーワードの出現箇所を記し、18 篇の読み教材のキーワード分布表を作成した。

 この分布表から浮かび上がる分布傾向を分析するために、字数 2,000 までの読み教材に 見られた2種類の分布の型をタイプ1、タイプ2としてベースラインデータとした。これ に JGR 作品のキーワードの分布傾向を当てはめてみたところ(4.3.2 参照)、どちらにも当て はまらない新たなタイプが認められたので、それをタイプ3とし、残りの読み教材の分析 を行った(4.3.2 参照)。

4. 3. 2 タイプ分け

(1) タイプ1

 2,000 字までの読み教材各篇を《始め》、《中》、《終わり》の3部分に分け、各部分でのキ ーワードの出現傾向を見た。3部分の文数の割合は同じにした。その結果、説明文である

『(コ)新入』では、表6が示すようにテキストの《始め》、《中》、《終わり》でキーワードが 現れる傾向が見られた。また、多読用教材『(多)浦島』でも、図1が示すように同じ出現

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傾向を表すキーワードが見られた。このように、テキストを部分に分けて観察した場合、

一つの部分のみに集中して現れるのではなく、《始め》、《中》、《終わり》全てに現れる傾向 を持つものがあることが分かった。これを、全篇を通して満遍なく現れるキーワードとし、

タイプ1とした。

(2) タイプ2

 『(コ)住宅』では、表6が示すように、キーワードは《始め》と《中》、または、《始め》と《終 わり》に偏って現れている。図1が示す『(多)浦島』の 「 箱 」 も、《中》で3回、《終わり》で 4回という偏った現れ方をしている。『(コ)かさ』(総文数 40)の キーワード 「 かさ 」 は、《始 め》では、文3から9の間で4回、《中》では文 19 から 27 の間で6回という現れ方をしてい る。このように偏在的に集中して現れる分布傾向を持つキーワードをタイプ2とした。

表6:『(コ)新入』と『(コ)住宅』におけるキーワードの出現傾向

図1:『(多)浦島』のキーワード、「亀」と「箱」の分布(「亀」はタイプ1、「箱」はタイプ2)

(3) タイプ3

 字数が大きく異なる JGR 作品『(J)クモ』と『(J)帽子』(表5参照)のキーワード分布を調 べたところ、表7が示すように『(J)クモ』のキーワードはタイプ1、タイプ2のいずれか に分類できた。しかし、『(J)帽子』のキーワードの中には、どちらにも当てはまらない分 布傾向を示すものがあった。例えば、出現回数 15 回の 「 研究 」 は7回が総文数 740 中の文 104 と 105、文 254、255、256、そして、文 587、588 の3箇所に集中して現れる。他の8回 は、集中して現れた箇所から数文以上離れて点在する形で現れている。このような分散し て分布する傾向にあるキーワードを、タイプ1、タイプ2とは異なる型と考え、タイプ3 とした。以下の表7は『(J)クモ』と『(J)帽子』のキーワードをタイプごとに分類したもの である。

タイトル  字数/文数  新入社員の 

教育  479/20

高層住宅  487/20

キーワード  文 

キーワード数  社員 

教育  新人  層  住宅  高層 

1  2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 17 16 17 18 19 20

  1

 

  1

   

 

      2

     

      2

     

    1

 

        1

1

始め  亀 

箱 

中  終わり 

(11)

̶ 80 ̶ ̶ 81 ̶

表7:タイプ別に分けた『(J)クモ』と『(J)帽子』のキーワード

タイプ 『(J)クモ』 『(J)帽子』

タイプ1 お釈迦様 お父さん、日本酒

タイプ2 糸、池、血の池、地獄、極楽、 社長、帽子、卒業、社員、クラブ

タイプ3 研究、お母さん、美術展、賞、時代

 以下では、残る 12 篇を含めた読み教材のキーワードの分布傾向を調べる。

4. 3. 3 18 篇に現れるキーワードの分布傾向

 4.3.2 で観察した読み教材以外について、出現するキーワードの分布傾向を3つのタイプ に当てはめ、それを字数別グループ(4.1 参照)で見たところ、表8のようになった。分散 して現れるタイプ3のキーワードは 4,000 字までのものにも現れるが、数は限られており、

10,000 字以上のものに顕著に見られた。したがって、タイプ3は長い読み教材に特有のキ ーワードタイプと言えよう。なお、表8では出現回数7回未満のものは割愛した。

表8:キーワードタイプと字数グループ別で見た18篇の読み教材のキーワード        (括弧内は読み教材の種類を表す。)

     字数

タイプ 2,000 字まで 3,000 まで 4,000 まで 10,000 字以上 タイプ1

(満遍なく)

(コ)社員、

(多)亀 (国)かぶ

( J )お釈迦様

(児)象、動物園

(国)白馬、 ( J )お父さん、日本酒、

(児)セロ

タイプ2

(偏在集中)

(コ)層、かさ

(多)箱

( J )糸、池、血の池、

     地獄、極楽

(多)戦争、糸、蜘蛛、 

      地獄、じゃがいも

(児)戦争、

(多)クリーム、

  注文、若者

(国)ひつじ

( J )社長、帽子、卒業、

  社員、 クラブ

(多)墓、りんどう

(児)たぬき、楽長    野ねずみ タイプ3

(分散)

  (多)戸、天皇、

   家来

(国)草原

( J )お母さん、研究、

  美術展、賞、時代

(多)畑、野菊、綿

(児)扉    

4. 3. 4 10,000 字を超える読み教材に見られるキーワードタイプとその役割

 タイプ3が字数の多い読み教材に現れる傾向が高いことから、10,000 字を超える読み教 材を取り上げ、3タイプそれぞれの役割を見る。

 10,000 字を超える読み教材は『(J)帽子』、『(多)野菊』と『(児)セロ』であるが、『(J)帽子』

と『(児)セロ』では3タイプのキーワードが見られた。

 表8の 10,000 字以上の欄に現れる(J)と(児)がつく語は(『(J)帽子』と『(児)セロ』のキ ーワードである。これらのキーワードをみると、『(児)セロ』では、「セロ」がタイプ1で、

(12)

物語を通して満遍なく現れる。これなくしては物語が語れず、また出来事の背景を形作 るものでもある。タイプ2の 「 たぬき 」 と「野ねずみ」は物語のあるところに集中して現れ、

主人公に働きかけ物語を展開させる。分散して現れるタイプ3の「扉」は登場人物の出入り の装置として、物語の筋を進めると説明することができる。

 これに近いことが『(J)帽子』でも言える。「セロ」と異なり「お父さん」は登場人物である が、タイプ1として 「 日本酒 」 とともに満遍なく現れることから、物語から外すことので きない背景に位置する存在であると言える。偏在的に集中して現れるタイプ2の「社長」、

「帽子」、「卒業」、「 社員 」 は物語の展開の基軸になると言える。また、分散して何度とな く現れるタイプ3の 「 お母さん 」、「研究」、「 美術展 」、「 賞 」、「 時代 」 は主人公の心を動か していく装置であると言える。

4. 3. 5 学習者の立場から

 『浦島太郎』のように、日本人ならほとんど知っている物語では、キーワードの 「 亀 」 が 物語全般にわたって登場し、「 箱 」 が終盤に登場することは自明のことである。しかし、

事前の知識を持たず、これらキーワードが未知語である学習者の場合は、タイプ1で分布 する 「 亀 」 と終盤にタイプ2で登場する「箱」にどのような意味づけをして物語を理解する であろうか。「亀」と 「 箱 」 を 「A」 と 「B」 に置き換えて見てみると、「A」 は主人公の行動と 移動に全篇を通して関わる存在として、「B」は物語の終盤で主人公に大きな転機をもたら す装置として意味づけ、記憶に残していくのではないだろうか。

 『(J)クモ』を読んだ学習者の多数が読後 「 地獄 」 と言う語が記憶に残ったという報告を よせた。「地獄」はタイプ2で、物語の大きな展開が繰り広げられる場を現すキーワードで ある。もちろん、「地獄」の意味内容が持つインパクトを無視することはできないであろう が、前述のように、「 地獄 」 が学習者にとって「B」という未知語であったのであるならば、

遭遇するたびに文脈から意味づけを行い、修正を行い、自分の語として獲得した可能性が ある。

4. 3. 6 考察

 以上のことから、読み教材のキーワードの分布について、つぎのことが考察された。

 1)18 篇の読み教材に現れるキーワードには、3つのタイプがある。

 2)タイプ1は、全編を通して満遍なく現れるキーワードで、その物語に欠かせない、い わば背景的役割を持つものと言える。

 3)タイプ2は、ある箇所に集中して現れるキーワードで、その物語の時間的展開の基軸 となるものと言える。

 4)タイプ3は、複数の箇所に繰り返し集中して現れ、それ以外の箇所にも分散して現れ るキーワードで、物語の空間に重要な場を占め、筋を進める装置の役割をするものと 言える。

 5)キーワードの3タイプは読み教材の字数の長さにより、現れ方が異なる。

(13)

̶ 82 ̶ ̶ 83 ̶̶ 83 ̶

 6)タイプ3は、短い読み教材では現れにくいが、10,000 字を超えるものでは顕著に現れ ると言える。

 今回、分析の対象とした読み教材は 18 篇と数が少なく、これにより得られたキーワード 分布の3タイプを直ちに一般化することはできないと考える。分析の対象としなかった他 の JGR 作品および多読用教材でも同じ結果が得られるか検証する必要がある。

5.まとめと今後の課題

 本稿では、キーワードの定義を再確認し、キーワードが作品の主題を知る手がかりにな ることを明らかにした上で、JGR 作品を含む 18 篇の読み教材に現れるキーワードの出現傾 向を分析した。

 今回の分析で明らかになったキーワードの分布タイプの2と3は、付随的語彙学習を促 すとされる狭い間隔での繰り返しと、初出の数行間で数回出現後、数ページ後にも出現す る(Nation, 1990)という形に当たるものと考えられる。

 本稿で明らかになったタイプ1のキーワードは、字数が多くなれば、必ずしも狭い間隔 での出現ということにはならない。このような分布では、付随的語彙学習は促進されない のか。それは、キーワードの出現傾向と付随的語彙学習に関する実証的研究が日本語の多 読では、まだ行われていないと思われる現時点では分からない。しかし、タイプ1のキー ワードも作品の主題を知る手がかりとなるキーワードであり、タイプ2や3の物語を展開 させるキーワードの背後で全篇を通して物語の主人公にかかわるのであれば、学習者の記 憶にとどまるのではないかと推測される。

 付随的語彙学習は、単に、キーワードやその出現分布の問題だけではなく、作品のテー マと学習者の興味・関心が関わるように思われる。テーマに関心がなければ読みたくない し、読まなければ語彙学習は進まない。そのためにも、多方面からのバラエティ豊かなテ ーマで書かれた作品が望まれる。筆者らはこれまで、基礎的研究に力を注いできたが、こ れらの研究成果を踏まえて、今後は、付随的語彙学習を視野に入れた JGR 作品の制作に、

よりいっそう力を入れていきたい。

謝辞

 本研究は 2008 年度桜美林大学言語教育研究所の研究運営助成を受けて行いました。ここ に感謝の意を表します。

1 児童文学が児童のための文学であるように、学習者文学は学習者のための文学である。

2 優れたグレイディド・リーダーに贈られる賞で、Web 上で受賞作が紹介されている。 

   (http://www.eflbooks.co.uk/reader̲finalists.php)

3 読み物を構成する語の 95%が学習者にとって既知語であるとき、学習者は話の筋を読み 取る過程で未知語の意味も推測できると言われる(Nation 2001)。

(14)

4 レベル A 〜 H に段階付けられた JGR の、例えば、レベル D の作品の場合、JGR 語彙リ ストのレベル E 以上の名詞語彙が使われた場合、新出語となる。

5 原田他(2008)で分析に用いた読み教材 73 篇を引き続き使用し、本研究のデータを得た。

6 絵画、写真を説明するときに使う「背景」である。

参考文献

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Day, R. R. and Bamford, J. (1998). Extensive reading in the second language classroom. Cambridge:

Cambridge University Press.

Nation, I. S. P. (2001). Learing vocabulary in another language. Cambridge: Cambridge University Press.

Nation, I. S. P. (1990). Teaching and learning vocabulary. Rowley MA: Newbury House.

Pulido, D. (2007). The relationship between text comprehension and second language incidental vocabulary acquisition: A matter of topic familiarity? In Koda, K. (Ed.) Reading and Language Learning. pp.155-199. MA: Blackwell Publishing

Waring, R. and Nation, P. (2004). Second language reading and incidental vocabulary learning.

Angels on the English-Speaking World. 4.

Zahar, R., Cobb, T. and Spada, N. (2001). Acquiring vocabulary through reading: Effects of frequency and contextural richness. (http://www.lextutor.ca/cv/v_conditions.htm)

粟野真紀子(2008)「多読が教えてくれたこと」『多読のすすめ』NPO法人日本語多読研究 会 p.20-24

スタッブズ、マイケル(2006)『コーパス語彙意味論―語から句へ』研究社

玉村文郎(2002)「 対象語彙論 」 北原保雄監修『朝倉日本語講座4 語彙・意味』朝倉書店 pp.208-235

中野てい子・原田照子・山形美保子・宮崎妙子・酒井真智子・三上京子(2007)「日本語版 グレイディド・リーダー開発への取り組み:JGR 語彙チェッカーの試作と評価」『電子 情報通信学会信学技報』 vol.107, no.323, TL2007-39, pp.31-36.

原田照子・山形美保子・中野てい子・酒井眞智子・宮崎妙子・三上京子(2008)「多読のた めの日本語版グレイディド・リーダー開発への取り組み― JGR 語彙チェッカーの特徴 と作品制作における有用性―」『桜美林言語教育論叢』第 4 号 pp.57-73

原田照子・酒井眞智子・宮崎妙子・山形美保子・共同研究者レイノルズ(2003)「日本語版 グレイディド・リーダー(JGR)開発に関する基礎的研究― JGR 語彙表と作品制作ガ イドライン― 」『2003 年度日本語教育学会春季大会予稿集』pp.209-210

谷内美智子(2003)「第二言語としての語彙習得研究の外観:学習形態・方略の観点から」『第 二言語習得・教育の研究最前線― 明日の日本語教育への道しるべ― 』日本言語文化学 研究会 pp.155-169

(15)

̶ 84 ̶ ̶ 85 ̶

山形美保子、原田照子、宮崎妙子、酒井眞智子、中野てい子、三上京子(2008)「JGR 語彙 チェッカーを使用した多読のための作品制作 ―『大きな帽子の女』を例に― 」『第 17 回 小出記念日本語教育研究会予稿集』pp.46-50

Reynolds, Brett、原田照子・山形美保子、宮崎妙子(2003)「日本語版グレイディド・リー ダー(JGR)開発に関する基礎的研究」 『小出記念日本語教育研究論集』11, pp.23-40

参照

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