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関   本   大   樹

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Academic year: 2021

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(1)

はじめに

1 検討対象項目のパソコンによる抽出

(1)対象XML形式データ

(2)シンタックス・フローチャート

(3)二分探索法による法令名の検索

(4)複合指定候補の抽出結果の概要 2 「及び」と「又は」が混用されているもの

(1)曖昧さがある例

(2)やや曖昧な例

(3)曖昧さのない例

3 「若しくは」が3個以上用いられているもの

(1)曖昧さがある例

(2)曖昧さのない例 4 まとめ

(1)曖昧さを生む原因

(2)将来的な改善方法 おわりに

【資料1】個別分析表(「及び」「又は」「若しくは」の混用)

【資料2】個別分析表(「若しくは」3回以上)

はじめに

 筆者は、以前、主要な租税法令において条文中に用いられている当該法 令自身や他の法令の条項への参照(以下「条項名」という。例えば、「所 得税法第三十一条第三号」などをいう。)については、接続詞の用法によ

主要租税法令において条項の参照に用いられる 接続詞の用法の曖昧さについて

― パソコンを用いた悉皆的調査結果の概要 ―

関   本   大   樹

(2)

る構文上の曖昧さが存在し得ることを示唆した(1)。しかるに、この曖昧 さについては、特に、パソコン等により法令を自動機械処理する上で大き な課題となるものと考えられるばかりでなく、そもそも租税法律主義の観 点からも、仮にあるとすれば、出来る限り避けるべきものともいえよう。

 そこで、筆者が、そのような曖昧な記述の存在の有無について、国税関 連の主要21法令(2)(以下「検討対象法令」という。)について、実際にパ ソコンを用いて悉皆的な調査を試みたところ、調査時点で、例えば、租税 特別措置法施行規則には、「法第三十一条の二第二項第十五号イ又はロ及 びハ」(措規13条の3《優良住宅地の造成のために土地等を譲渡した場合 の長期譲渡所得の課税の特例》第1項15号イ所在)や「法第六十二条の三 第四項第十五号イ又はロ及びハ」(同21条の19《土地の譲渡等がある場合 の特別税率》第2項15号所在)のような少なくとも構文上は曖昧な記載が 抽出された一方で、租税特別措置法では、「第一項及び第二項又は第一項 及び前項」(措法52条の3《準備金方式による特別償却》第4項所在)の ように仮に「第一項及び第二項又は前項」とした場合の曖昧さ(3)が避け られるような記述がなされていることも把握することができた。

 本稿は、筆者が行った当該調査方法及び調査結果の概要について紹介す

(1) 「租税法令の自動機械処理に関する一つの試み ― ハッシュ法に基づく条 項名の実用的な抽出方法について」久留米大学法学第79号1頁(左綴じの場 合の頁番号。右綴じでは180頁。以下、本資料については左綴じの頁番号で 記載する。)の6~7頁参照。以下「前稿」という。

(2)具体的には、①所得税法(「所法」)、②所得税法施行令(「所令」)、③所 得税法施行規則(「所規」)、④相続税法(「相法」)、⑤相続税法施行令(「相 令」)、⑥相続税法施行規則(「相規」)、⑦法人税法(「法法」)、⑧法人税法施 行令(「法令」)、⑨法人税法施行規則(「法規」)、⑩消費税法(「消法」)、⑪ 消費税法施行令(「消令」)、⑫消費税法施行規則(「消規」)、⑬国税通則法

(「通法」)、⑭国税通則法施行令(「通令」)、⑮国税通則法施行規則(「通規」)、

⑯国税徴収法(「徴法」)、⑰国税徴収法施行令(「徴令」)、⑱国税徴収法施 行規則(「徴規」)、⑲租税特別措置法(「措法」)、⑳租税特別措置法施行令

(「措令」)、㉑租税特別措置法施行規則(「措規」)の21法令である。なお、以 下では、各法令名の後ろの括弧内のようにそれぞれを略称する場合がある。

(3)ちなみに「第一項及び第二項又は前項」は、「又は」の方が「及び」より も優先すると考えれば元の「第一項及び第二項又は第一項及び前項」となる が、逆に「及び」の方が「又は」よりも優先すると考えれば、論理的には「第 一項又は前項及び第二項又は前項」と解すべきこととなる。したがって、構 文論的にではなく、意味論的に解決する必要がある。

(3)

るものである。そして、本稿を通じて、パソコンを用いた同様な悉皆的な 調査・分析手法の可能性について、読者に対して何らかの示唆を与えるこ とができたらと期待している。

1 検討対象項目のパソコンによる抽出

(1)対象XML形式データ

 前稿(4)では、条項名を構成する法令名部分についてハッシュ法を用い ていかに効率的に認識するかに注目したため、検討対象法令の法文データ については、「e-Gov法令検索」サイトにおける当該法令の全文参照ペー ジからコピー・アンド・ペーストによって単なるテキスト形式データとし て取得したものを分析対象とした。しかし、今回の分析では、その分析精 度を高める必要があるため、「e-Gov法令検索」サイトにおいて「バルク データ」として一括提供されているXML形式の法文データ(5)を用いる こととした。

 なお、当該バルクデータは、その時点で「e-Gov法令検索」サイトで閲 覧できる全ての法令について、それぞれの法文データの全てを一つのファ イルにまとめ、公布年別に圧縮ファイルとして分類・整理したXML形式 データである(6)。

(2)シンタックス・フローチャート

 法文データの中から条項名や複合指定(条項名が接続詞等により組み合 わされたものをいう。以下同じ。)を機械的に識別するためには、それぞ

(4)前掲注1参照。

(5)例えば、XML形式の法文データを用いることにより、当該データに付加 されている「タグ」情報を参照することにより、注目している法文が当該法 令のどの部分でどのような項目として用いられているのかを厳密に識別する ことが可能である。

(6) 「e-Gov法令検索」サイトにおいて提供されているバルクデータについ ては、「法令データの一括ダウンロード」(令和元年8月19日現在)https://

elaws.e-gov.go.jp/download/lawdownload.html参照。なお、法文データ の解凍後のファイル・サイズは、21法令合計で約83.2MB(最大13.9MB(措 法)、最小27KB(徴規)、平均4.0MB)であった。

(4)

れの条項名や複合指定がどのような文字列のパターンとして法文中に含ま れるのか、その規則性を明らかにする必要がある。そして、一般に「構文 規則」と呼ばれる当該規則性を定義する方法には前稿でも採用した「シン タックス・フローチャート」を用いる方法がある(7)。

 例えば、その文字列が何らかの正当な意味を持ち得るか否かはさてお き、上記複合指定に該当する可能性のある文字列のパターン(以下「複合 指定候補」という。)をシンタックス・フローチャートで示せば、次のと おりである。

 つまり、複合指定候補に該当する文字列は、「『条項範囲』である文字列 又は二つの『条項範囲』である文字列が『において準用する』という文字 列によって連結されたものが、『、』、『及び』、『並びに』、『又は』あるいは

『若しくは』のいずれかの文字列と伴に1回以上繰り返される文字列であ る」と定義されるわけである。なお、「条項範囲」の定義を含め、今回の 法令分析に関連するシンタックス・フローチャートを次頁以降に掲げる。

おって、図中の四角で囲った数字は、当該箇所に該当する構文要素が認識 された件数を記録するためのカウンタ番号である。

4

わされたものをいう。以下同じ。)を機械的に識別するためには、それぞ れの条項名や複合指定がどのような文字列のパターンで法文中に含まれる のか、その規則性を明らかにする必要がある。そして、一般に「構文規 則」と呼ばれる当該規則を定義する方法に前稿でも採用した「シンタック ス・フローチャート」を用いる方法がある(7)。

例えば、その文字列が何らかの正当な意味を持ち得るか否かはさてお き、上記複合指定に該当する可能性のある文字列のパターン(以下「複合 指定候補」という。)をシンタックス・フローチャートで示せば、次のと おりである。

〇複合指定候補

つまり、複合指定候補に該当する文字列は、「『条項範囲』である文字列 又は二つの『条項範囲』である文字列が『において準用する』という文字 列によって連結されたものが、『、』、『及び』、『並びに』、『又は』又は『若 しくは』のいずれかの文字列と伴に1回以上繰り返される文字列である」

と定義されるわけである。なお、「条項範囲」の定義を含め、今回の法令 分析に関連するシンタックス・フローチャートを次頁以降に掲げる。おっ

(7) シンタックス・フローチャートの詳細については、前掲注1、同資料7~11頁 参照。

(7)シンタックス・フローチャートの詳細については、前掲注1、同資料7~

11頁参照。

(5)

主要租税法令において条項の参照に用いられる接続詞の用法の曖昧さについて(関本)123

5

(6)

6

○条項名

法令名

同条

第 漢数字 条

の 漢数字

同項

第 漢数字 項 各条

各項

同号

第 漢数字 号

の 漢数字 各号

( 算用数字 相対指定 条

) 片仮名

( ローマ数字 ) 相対指定 項

相対指定 号 令

法 同

(7)

主要租税法令において条項の参照に用いられる接続詞の用法の曖昧さについて(関本)125

 なお、具体的には、「組合せ条項名」の例としては、「第五項の表の各号」

(所規63条《帳簿書類の整理保存》7項参照)、また、「条項範囲」の例と しては、「この条から第三百五十条(信託受益権の譲渡の対価の支払者の 確認等)まで」(所令348条《信託受益権の譲渡の対価の受領者の告知》1 項参照)、そして、「複合指定候補」の例としては、「法第三十一条の二第 二項第十二号イ、第十三号イ、第十四号イ及びロ、第十五号イ若しくはロ 及びハ又は第十六号イ若しくはロ」(措規13条の3《優良住宅地の造成等 のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》第12項2号 参照)などが挙げられる。

7

て、図中の四角で囲った数字は、当該箇所に該当する構文要素が認識され た件数を記録するためのカウンタ番号である。

なお、具体的には、「組合せ条項名」の例としては、「第五項の表の各 号」(所規 63 条《帳簿書類の整理保存》7項参照)、また、「条項範囲」の 例としては、「この条から第三百五十条(信託受益権の譲渡の対価の支払 者の確認等)まで」(所令 348 条《信託受益権の譲渡の対価の受領者の告 知》1項参照)、そして、「複合指定候補」の例としては、「法第三十一条

(8)

(3)二分探索法による法令名の検索

 前稿では、法令名の検索効率を出来る限り高めるためハッシュ法による 法令名の検索アルゴリズムを採用した。しかし、ハッシュ法では、検索す べき全ての法令名に関するハッシュ表を事前に作成しておく必要がある(8)

が、本稿で行うような個々の法令ごとに閉じた分析では、検索すべき法令 名の件数自体が限定的である(9)ことから、ハッシュ法を採用するメリッ トが事前の準備コストに比べて少ないものと思われた。そこで、ハッシュ 法よりも検索効率ではやや劣るものの、事前の準備がより簡便な「二分探 索法」を採用してみることとした。

 なお、この二分探索法では、事前には単に検索対象を文字コード順に ソートしておけば、検索を相当程度高速化することが可能である(10)が、

検索速度自体は、ハッシュ法に劣るものである。ただ、結果として、本稿 における法令分析では十分に実用的な検索方法であると認められた(11)。

(8)前掲注1、同資料14~17頁参照。

(9)各法令中に出現する法令番号の件数でみれば、最多411件(措令)、最少4 件(徴規)、平均108.4件である。なお、法令番号は、各法令で最初に当該法 令が参照される箇所のほか、読み替え規定や同一名称の法令を区別する必要 がある場合などにも記載されるため、当該法令が参照している高々の法令数 といえる。

(10)二分探索法については、「検索対象がソートされている場合に適用できる 高速な検索手法のことである。2分[二分]探索法は、具体的には次のよう なアルゴリズムで検索を行う。まず、検索の開始は、真ん中に位置するデー タと比べる。一致すればそれで終わりである。小さければ目的のデータは前 半にあり、大きければ後半にある。これをデータが無くなるまで繰り返す」

手続であると説明され、この手法のポイントは、「検索範囲を2分割するこ とで、検索対象が一気に絞り込まれるところにある。1,000個のデータに対 しては多くても10回程度の比較により結果が得られる。一般にN個のデー タから検索する場合にはlog2 N回のオーダーの比較で目的とするデータが 得られる」ことにあるとされる。weblio辞書「2分探索法」(令和元年8月 19日 現 在 )https://www.weblio.jp/content/2%E5%88%86%E6%8E%A2%E7

%B4%A2%E6%B3%95?dictCode=BINIT参照。

(11)各法令に係る複合指定候補の抽出件数と抽出に要した処理時間は、最大 で33,272件・201.5秒(措令)、最小で45件・3.0秒(徴規)、平均で5,641件・

40.5秒であった。なお、本稿の分析では、前稿の分析に用いたノート型パソ コンとは異なり、処理性能の比較的高い最新のデスクトップ型パソコンを使 用し、また、分析用のプログラムについても、前稿では分析結果の出力方法 の見読性や柔軟性を高めるため、主にMicrosoftⓇ Word VBAを用いて作 成したが、本稿の分析では、統計処理等を優先してMicrosoft Excel VBA を用いて作成している。

(9)

(4)複合指定候補の抽出結果の概要  イ 全体的概観

 今回、分析対象とした法文は、前文・制定文、目次、附則、別表等を除 いた各法令の本則部分に含まれる全ての法文(ただし、当該法文自体の条 文番号等を除く。)である(12)。

 検討対象法令ごとの分析結果については、表1-1「複合指定候補数等 調査結果(その1)」及び表1-2「複合指定候補数等調査結果(その2)」 に示したとおりであるが、調査対象法文数は、全体で62,772件であり、検出 された条項名及び当該条項名を含む複合指定候補の件数は、それぞれ全体 で146,673件、118,461件であることから、法文当たり平均でそれぞれ2.34件、

1.89件となる。

 したがって、法文1件当たりの条項名が2件を超えていることから、仮 にある法文について参照している条項名を追跡すると、いわゆるネズミ算 的に確認しなければならない条項が増加する可能性があることが分かる。

ちなみに、これは、租税法令が大変理解しにくいといわれる原因の一つと いえよう。

 また、複合指定候補1件当たりでみれば、それに含まれる条項名の件数 は、平均では1.24件ということになるが、さらに、1個以上の条項名で構

(12)本稿で分析対象とした、任意の法令の本則に含まれる全ての法文という文 の集合体について、法令XMLデータにおけるタグ名を用いて表現するとす れば、「当該法令XMLデータの要素であるタグ名<MainProvision>の内容 に含まれる要素であるタグ名<Sentence>の全ての内容」ということができ る。このように、XMLデータの各要素は、階層構造をなしており、下位の 要素が組み合わされて上位の要素が構成されている。なお、法令XMLデー タは、「法令標準XMLスキーマ」と呼ばれる構文規則に基づいて作成され ているが、法令XMLデータの概要及び当該スキーマの概要については、総 務省行政管理局「e-Gov法令検索(e-LAWSの法令データ)の公開」(令和 元 年 8 月20日 現 在 )http://www.soumu.go.jp/main_content/000492195.

pdf参照。また、同スキーマの要素等の詳細については、関連パブリック・

コメントの添付資料である「法令標準XMLスキーマ参考資料(要素及び 属性一覧)」(令和元年8月20日現在)https://search.e-gov.go.jp/servlet/

PcmFileDownload?seqNo=0000156132を参照。

   なお、通常、一つの条文は一つの法文で構成されるが、表が含まれる場合 には、当該表の各欄の内容が一つの法文としてカウントされることになる。

(10)

10

項目名 調査対象

法文数

条項名 検出数

平均条項 件数

条項範囲 検出数 1

カウンタ 2

カウンタ 3

カウンタ 4

複合指定 候補検出数

最多 法令名 条項数

所法 2,047 4,004 1.96 3,803 858 158 0 3,221 12 所令 3,520 7,147 2.03 6,890 1,669 165 4 6,136 11 所規 2,247 4,390 1.95 4,278 1,173 90 1 3,813 8 相法 834 1,751 2.10 1,634 146 56 0 1,388 7 相令 542 1,373 2.53 1,302 159 29 0 1,130 9

相規 657 911 1.39 830 110 33 0 687 6

法法 2,143 4,984 2.33 4,751 769 132 0 4,130 11 法令 5,095 12,507 2.45 11,950 2,247 303 0 10,224 35 法規 1,711 2,905 1.70 2,784 795 48 1 2,422 43 消法 622 1,366 2.20 1,320 65 37 0 1,135 10 消令 1,242 2,426 1.95 2,340 195 59 0 2,037 12

消規 628 692 1.10 670 28 19 0 589 7

通法 1,143 1,469 1.29 1,366 345 43 0 1,155 11

通令 509 808 1.59 758 288 21 0 649 18

通規 100 171 1.71 159 73 0 0 153 2

徴法 811 905 1.12 842 247 31 0 698 9

徴令 346 440 1.27 417 147 10 0 363 5

徴規 39 50 1.28 48 22 0 0 45 2

措法 12,455 36,302 2.91 34,164 902 1,110 1 27,890 20 措令 15,674 41,274 2.63 39,256 881 937 0 33,272 41 措規 10,323 20,798 2.01 19,785 309 459 0 17,324 23 合計 62,688 146,673 39.50 139,347 11,428 3,740 7 118,461 302 平均値 2,985 6,984 1.88 6,636 544 178 0.33 5,641 14 標準偏差 4,367 11,669 0.52 11,055 593 303 0.91 9,270 11.9 変動係数 1.463 1.671 0.278 1.666 1.089 1.703 2.74 1.643 0.82

表1-1 複合指定候補数等調査結果(その1) 表1-1 複合指定候補数等調査結果(その1)

(11)

11

項目名 カウンタ

5

カウンタ 6

カウンタ 7

カウンタ 8

カウンタ 9

カウンタ 10

カウンタ 11

カウンタ 12

カウンタ 8~12 計 法令名

所法 47 0 3 147 160 204 11 57 579 所令 63 0 34 104 296 217 11 92 720 所規 48 3 88 70 135 111 1 60 377 相法 7 0 13 40 61 99 4 29 233 相令 4 0 15 35 49 57 2 14 157 相規 3 0 9 15 73 29 5 12 134 法法 63 0 46 89 231 208 3 44 575

法令 156 0 80 358 606 496 51 135 1,646

法規 25 6 25 118 133 70 5 11 337 消法 1 0 0 52 52 57 0 24 185 消令 12 0 8 56 128 88 11 12 295 消規 2 0 0 16 32 29 2 2 81 通法 51 0 3 41 61 70 8 28 208 通令 21 0 5 23 30 35 2 14 104 通規 2 0 0 0 3 1 0 2 6 徴法 34 0 8 22 45 45 3 21 136 徴令 9 1 8 3 22 12 1 8 46 徴規 1 0 1 0 2 0 0 0 2 措法 27 160 382 1,423 2,365 1,562 178 364 5,892 措令 32 283 557 1,272 2,238 1,366 252 299 5,427

措規 5 91 356 367 1,007 571 61 99 2,105

合計 613 544 1,641 4,251 7,729 5,327 611 1,327 19,245 平均値 29 26 78 202 368 254 29 63 916 標準偏差 36 71 154 395 685 431 65 97 1,664 変動係数 1.230 2.729 1.969 1.950 1.861 1.698 2.231 1.530 1.816

表1-2 複合指定候補数等調査結果(その2) 表1-2 複合指定候補数等調査結果(その2)

(12)

成される条項範囲を単位としてみれば、一つの複合指定候補に含まれる条 項範囲件数の分布状況は、検討対象法令全体では表2「複合指定候補に含 まれる条項範囲件数の分布状況」のとおりである。なお、1件の条項範囲 には、平均で1.027件の条項名が含まれる(13)ことから、表2は、ほぼ条項 名件数の分布状況とみなすことができよう(14)。

 ロ 法令間の相違点

 表1-1ないし表1-2をみても、租税特別措置法関連の3法令(すなわ ち、措法・措令・措規。以下「措置法関連法令」という。)とそれ以外の主 要法令とでは法文当たりの条項名件数等が大きく異なる傾向があるといえよ

表2 複合指定候補に含まれる条項範囲件数の分布状況

草稿

R010824

13

条項範

囲件数 該当件数 構成比

1 105,034 88.67%

2 10,557 8.91%

3 1,710 1.44%

4 622 0.53%

5 235 0.20%

6 114 0.10%

7 44 0.04%

8 28 0.02%

9 36 0.03%

10 16 0.01%

11 15 0.01%

12 10 0.01%

13 9 0.01%

14 3 0.00%

15 3 0.00%

16 5 0.00%

17 0 0.00%

18 3 0.00%

19 2 0.00%

20~43 15 0.01%

計 118,461 100.00%

表2 複合指定候補に含まれる条項範囲件数の分布状況

(24,236 件)を大幅に上回っていることは、酒税法等その他の主要法令 に含まれていない税法に係る規定が措置法関連法令には含まれている(15) ことを考慮に入れても特徴的であるといえよう。

(15) 例えば、措法についてみると、本来比較する上で4章の2「地価税法の特例」

(75件)、5章「登録免許税法の特例」(230件)、6章「消費税法等の特例」の1 節「消費税法の特例」以外の部分(961件)を除外すべきであるが、その法文数 は、計1,266件であり、全体(12,455件)の10%程度である。また、措令につい ては、消費税法関連部分が区分されていない6章「消費税法等の特例」(1,019 件)を全て除外するとしても、計1,295件で全体(15,674件)の8%程度であ り、さらに、措規についても、同様に消費税法関連部分が区分されていない5章

「消費税法等の特例」を全て除外するとしても、計718件で全体(10,323件)の 7%程度である。

(13)ここで、1件の条項範囲に含まれる条項名の平均件数は、①条項範囲件数

(139,347件)と②「カウンタ3」、すなわち、「…から…まで」のような範囲指 定の件数(3,740件)を用いて(①+②)÷①≒1.027として求めることができる。

(14)ちなみに、最多の43件の条項範囲を有する法文は、法規37条《個別益金額 又は個別損金額の計算における届出等の規定の適用》1項所在である。

(13)

う。この点を更に分かり易くするために、法文当たりの平均条項名件数等に ついて、措置法以外の主要法令に係るものと措置法関連法令に係るものに ついて比較したものが表3「その他の主要法令と措置法関連法令との比較」

である。一つの法文に含まれる平均的な条項名・条項範囲・複合指定候補 の各件数について、措置法関連法令が上回っていることが分かる。

 上記のような傾向は、そもそも措置法関連法令がその他の主要法令に係 る特別措置を規定しているため、措置法関連法令にその他の主要法令条項 への参照が多くなるためであると考えられる。いずれにしても、調査対 象法文数でみても、措置法関連法令(38,456件)の方がその他の主要法令

(24,236件)を大幅に上回っていることは、酒税法等その他の主要法令に

含まれていない税法に係る規定が措置法関連法令には含まれている(15)こ とを考慮に入れても特徴的であるといえよう。

表3 その他の主要法令と措置法関連法令との比較

草稿

R010824

14

項目名 調査対象

法文数

条項名 検出数

平均条項名 件数

条項範囲 検出数

平均条項 範囲件数

複合指定 候補検出数

平均複合指 定候補件数

最多 法令名 条項数

他法律 7,600 14,479 1.91 13,716 1.80 11,727 1.54 12 措法 12,455 36,302 2.91 34,164 2.74 27,890 2.24 20 他政令 11,254 24,701 2.19 23,657 2.10 20,539 1.83 35 措令 15,674 41,274 2.63 39,256 2.50 33,272 2.12 41 他省令 5,382 9,119 1.69 8,769 1.63 7,709 1.43 43 措規 10,327 20,798 2.01 19,785 1.92 17,324 1.68 23 全法律 20,055 50,781 2.53 47,880 2.39 39,617 1.98 20 全政令 26,928 65,975 2.45 62,913 2.34 53,811 2.00 41 全省令 15,709 29,917 1.90 28,554 1.82 25,033 1.59 43 他法令 24,236 48,299 1.99 46,142 1.90 39,975 1.65 43 措法令 38,456 98,374 2.56 93,205 2.42 78,486 2.04 41 計 62,692 146,673 2.34 139,347 2.22 118,461 1.89 43

表3 その他の主要法令と特別措置法関連法令との比較 ハ 複合指定候補のパターン別集計結果

以下では、上記(2)で紹介した「複合指定候補」について、当該複合 指定候補を解釈する上での曖昧さが存在しているか否かについて検討する が、複合指定候補にも単純なものから条項数が多いものや複数の接続詞が 混用されているものなど多様な形式のものがある。そこで、これらを類似 度に応じてグループ化するため、一定のパターンに分類・整理し、当該パ ターンに注目して、出来る限り効率的かつ効果的に検討を進めることとし た。

具体的なパターン化の方法としては、条項名等を結合して複合指定候補 を構成する要である接続詞等(すなわち、①「並びに」、②「及び」、③

「又は」、④「若しくは」そして⑤「、」(読点))が使用されている回数の みに着目して、上記の順番で接続詞等が何回用いられているかで分類・整

(15)具体的には、措法についてみると、本来比較する上で4章の2「地価税 法の特例」(75件)、5章「登録免許税法の特例」(230件)、6章「消費税法

(14)

 ハ 複合指定候補のパターン別集計結果

 以下では、各検討対象法令に含まれる複合指定候補を対象として、当該 複合指定候補を解釈する上での曖昧さが存在しているか否かについて検討 するが、複合指定候補にも単純なものから条項数が多いものや複数の接続 詞が混用されているものなど多様な形式のものがある。そこで、これらを類似 度に応じてグループ化するため、一定のパターンに分類・整理し、当該パター ンに注目して、出来る限り効率的かつ効果的に検討を進めることとした。

 具体的なパターン化の方法としては、取り敢えず条項名等を結合して 複合指定候補を構成する要である接続詞等(すなわち、①「並びに」、②

「及び」、③「又は」、④「若しくは」そして⑤「、」(読点))が使用されて いる回数のみに着目して、上記の順番で接続詞等が何回用いられているか で分類・整理することとした。例えば、上記(2)で挙げた複合指定候補 の例「法第三十一条の二第二項第十二号イ、第十三号イ、第十四号イ及び ロ、第十五号イ若しくはロ及びハ又は第十六号イ若しくはロ」の場合であ れば、①0回、②2回、③1回、④2回、⑤3回であるので、その該当す るパターンのコードは、「0002010203」となる。

 しかるに、上記イで紹介した検討対象法令の法令XMLデータから検出 された複合指定候補の全件(118,461件)についてパターン順に該当件数 を整理した結果は、表4-1「接続詞等パターン別頻度一覧表(その1)」、 表4-2「接続詞等パターン別頻度一覧表(その2)」及び表4-3「接 続詞等パターン別頻度一覧表(その3)」のとおりである。

 表4-1~表4-3を全体的にながめてみると、一つの複合指定候補で 用いられている接続詞等は、「、」(読点)を取り敢えず無視すれば、2種 類以下である場合がほとんどであり、解釈面での曖昧さの可能性が高まる

等の特例」の1節「消費税法の特例」以外の部分(961件)を除外すべきで あるが、その法文数は、計1,266件であり、全体(12,455件)の10%程度で ある。また、措令については、消費税法関連部分が区分されていない6章

「消費税法等の特例」(1,019件)を全て除外するとしても、計1,295件で全体

(15,674件)の8%程度であり、さらに、措規についても、同様に消費税法 関連部分が区分されていない5章「消費税法等の特例」を全て除外するとし ても、計718件で全体(10,323件)の7%程度である。

(15)

表4-1 接続詞等パターン別頻度一覧表(その1)

(16)

表4-2 接続詞等パターン別頻度一覧表(その2)

(17)

表4-3 接続詞等パターン別頻度一覧表(その3)

(18)

と想定される3種類以上用いられている複合指定候補は、78番(2件)、 79番(1件)そして85番(2件)の3パターンに限られることが分かる。

いずれにしても、「又は」又は「若しくは」と「並びに」又は「及び」が 混用される場合には、そうではない場合に比べて、曖昧さの発生する可能 性が高まると考えられることから、そのような状況に対応するパターンで ある表4-2の75番から86番の2パターンに注目して下記2において、章 を改めて更に詳しく検討することとしたい。

 また、「若しくは」が多数用いられる場合にも、経験的に解釈に曖昧さ が発生し易いと思われることから、「若しくは」が一つの複合指定候補に 3回以上用いられている表4-1の20番から25番の各パターンに注目して 下記3において詳しく検討してみることとする。

2 「及び」と「又は」が混用されているもの

 本項では、「及び」や「並びに」と「又は」や「若しくは」が一つの複 合指定候補の中で混用されている表4-2のパターン番号75番から86番ま でに該当する事例(【資料1】「個別分析表(「及び」「又は」「若しくは」の 混用)」掲載の53件)に注目して、それらの中の幾つかについて曖昧さがあ ると認められる例と必ずしもそうとはいえない例について紹介したい。

(1)曖昧さがある例

 論理学では、一つの命題の中で「及び」と「又は」が混用された場合に は、その真偽が曖昧になるとされ、その曖昧さを回避するために記号論理 では括弧(「( )」)が用いられ、日常言語では読点(「、」)が用いられるこ とになる(16)。ところが、法文では、読点は、複合指定候補について用い られる場合には、慣例上「及び」、「並びに」、「又は」あるいは「若しくは」

(16)例えば、日常言語では、「太郎が家にいてかつ次郎が家にいるか花子が家 にいる」という曖昧な命題を「太郎が家にいて、しかも、次郎か花子が家 にいる」とするか、あるいは、「太郎と次郎が家にいるか、もしくは花子が 家にいる」とすることにより、読点を用いて明確化するわけである。竹村 亮「論理学入門」15頁(令和元年8月21日現在)http://abelard.flet.keio.

ac.jp/person/takemura/class/2013/5-print-intro.pdf参照。

(19)

によって条項名等を列挙するための区切りとして用いられるため、一般に 上記の日常言語のような優先順位を明らかにするための手段として読点を使 用することができない。そのため、曖昧さが生じる可能性があるわけである。

 構文上の曖昧さの分かり易い例として、パターン番号76番に該当する措 規13条の3第1項15号イの一部を示すと次のとおりである。

当該一団の住宅又は中高層の耐火共同住宅の建設に係る法第三十一条の二第二項 第十五号イ又はロ及びハに関する事項の記載のある同号に規定する認定の申請書 の写し…及び都道府県知事…の同号ニに規定する認定をしたことを証する書類の 写し(下線は筆者)

 上記の法文中で参照されている措法31条の2《優良住宅地の造成等のた めに土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》第2項15号イな いしニは、当該上記特例を受けるための要件とされる優良住宅地等に建設 される団地等の規模などを規定している項目であり、同号イでは、団地の 場合、同ロではマンションの場合の規模を規定している。また、同ハで は、立地が都市計画区域内であることを規定している。したがって、上記 の法文中の「イ又はロ及びハ」は、「イ又はロ、そしてハ」を表現しよう としているものと考えられる。しかし、そもそも、措法31条の2第2項 15号柱書は、「一団の住宅又は中高層の耐火共同住宅(それぞれ次に掲げ る要件を満たすものに限る。)の建設を行う個人…又は…法人…に対する 土地の譲渡で、当該譲渡に係る土地等が当該一団の住宅又は中高層の耐火 共同住宅の用に供されるもの」(下線は筆者)と規定した上で、措規と同 様の要件を単に列挙していることから、それを受けた措規の規定で、敢え て「イ又はロ及びハ」としなくとも、文理上、措法の規定振りに合わせて

「イ、ロ及びハ」とすることで十分であったものとも考えられる。

 ところで、上記の場合、構文的には「イ又はロ及びハ」よりも、むしろ

「イ及びハ又はロ及びハ」とする方がより明確であったものとも考えられ る。これは、論理学における分配法則(17)を応用する考え方であるといえ

(17)論理学、特に記号論理学では、「命題」をP、Qなどの記号として扱うと ともに、命題を「複合命題」に結合する「及び」や「又は」をそれぞれ「∧」

や「∨」で表すとともに、括弧を用いて論理を明確に表現しようとするが、

(20)

るが、実際、パターン番号84番に該当する措法52条の3《準備金方式によ る特別償却》第4項では、次のように規定されている。

法人が第一項及び第二項又は第一項及び前項の規定の適用を受ける事業年度にお いて、これらの規定に規定する方法により特別償却準備金として積み立てた金額 が第四十五条第二項その他の政令で定める割増償却に関する規定に係るものであ るときは、…(下線は筆者)

 ここで、同条1項は、準備金として積み立てた金額の損金算入規定、

同2項は、前期の積立不足額に係る翌期における損金算入規定、同3項

(「前項」)は組織再編成に伴い受け入れた積立不足額に係る損金算入規定 をそれぞれ規定しており、さらに同4項(本項)は、上記割増償却の際に は上記の2項ないし3項の規定よりも1項の規定を優先適用することを規 定している。したがって、仮に措規13条の3と同様に考えれば、「第一項 及び第二項又は第一項及び前項」を「第一項及び第二項又は前項」とする ことも考えられるが、その場合には元の記述と比較して曖昧さが増加して しまうわけである。したがって、このように分配法則を適宜適用すること により、構文上の曖昧さを低減することが可能といえよう。

 ただし、論理学の分配法則等が応用されている場合には、解釈がしにく くなる場合もある。例えば、はじめの例と同様にパターン番号76番に該当 する法令9条《利益積立金額》3項1号では、「調整積立金額」が次のよ うに定義されている。

…次項第一号又は同号及び同項第三号に掲げる場合に該当するときは当該合計額 から同項第一号ロに掲げる金額を減算した金額とし、同項第二号又は同号及び同

例えば、次のような交換法則や分配法則が成り立つとする。

   (交換法則)

   P∨Q = Q∨P    P∧Q = Q∧P    (分配法則)

   P∨(Q∧R)=(P∨Q)∧(P∨R)

   P∧(Q∨R)=(P∧Q)∨(P∧R)

   なお、上記の詳細については、例えば、酒井文雄「論理と証明」(令和 元 年 8 月22日 現 在 )http://www.rimath.saitama-u.ac.jp/lab.jp/fsakai/

logic.htmlなど参照。

(21)

項第三号に掲げる場合に該当するときは当該合計額に同項第二号ロに掲げる金額 を加算した金額とする。…(下線は筆者)

 ここで、同条4項(「次項」)1号では、他の連結法人について適格合併 等が行われた場合の取扱方法を規定し、同2号では、自己を分割法人とす る適格分割型分割が行われた場合の取扱方法を規定している。また、同3 号では、同1号の適格合併等又は同2号の適格分割型分割の前に既にそれ らの組織再編成の対象法人自身について適格組織再編成が行われていた場 合の取扱方法を併せて規定している。したがって、上記の法文でも、前の 下線部分では、上記の3号の規定のうち1号の適格合併等に関係する部分 に限定するために敢えて「同号[1号]及び同項第三号」と規定し、他方、

後の下線部分では、上記の3号の規定のうち2号の適格分割型分割に関係 する部分に限定するために「同号[2号]及び同項第三号」と規定してい るものと考えられる。つまり、二つの下線部分が規定する要件が前後で重 ならないようにする工夫といえよう。しかし、このような規定振りは、単 純な論理学の法則(18)からすれば違和感のある規定振りであるといえるの かもしれない。

(2)やや曖昧な例

 また、曖昧とまではいい切れないものの、構文上、より明確にし得ると 考えられる事例も挙げられる。例えば、上記(1)のはじめの事例と同様 にパターン番号76番に該当する措法8条の4《上場株式等に係る配当所得 等の課税の特例》第2項は、次のとおり規定している。

…居住者又は恒久的施設を有する非居住者がその年中に支払を受けるべき特定上 場株式等の配当等に係る配当所得について所得税法第二十二条及び第八十九条又 は第百六十五条の規定の適用を受けた場合には、その者がその同一の年中に支払 を受けるべき他の特定上場株式等の配当等に係る配当所得については、同項の規 定は、適用しない。(下線は筆者)

(18)例えば、記号論理では、PとQが互いに独立な命題の場合には、次のよ うな吸収法則が成り立つとされる。前掲注17、同資料参照。

   P∨(P∧Q)= P    P∧(P∨Q)= P

(22)

 ここで、後の下線部分については、所法22条《課税標準》と89条《税 率》が居住者に係る取扱規定であり、同法165条《総合課税に係る所得税 の課税標準、税額等の計算》が非居住者に係る取扱規定であることから、

前の下線部分の「居住者」については、同法22条及び89条の規定が、そし て、「恒久的施設を有する非居住者」については、同法165条の規定が対応 することが分かる。しかし、そのことを更に構文上も明確にするために は、後の下線部を「それぞれ

・ ・ ・ ・

所得税法第二十二条及び第八十九条又は同法 第百六十五条」とすることが一つの工夫として考えられよう。

(3)曖昧さのない例

 ただし、表4-2のパターン番号75番から86番までに該当する53件の事 例でも11件ほどを除き大部分のものについては、上記(1)ないし(2)

で紹介したような曖昧さが余りないものと考えられる。例えば、上記

(1)のはじめの事例と同様にパターン番号76番に該当する法法14条《み なし事業年度》2項1号柱書後段では、連結子法人となるべき内国法人が 月次決算をしている場合の特例について、次のとおり規定している。

前条第一項及び前項第六号又は第七号の規定にかかわらず、次に掲げる場合の区 分に応じ、それぞれ次に定める期間を、当該他の内国法人の事業年度とみなす。

(下線は筆者)

 ここで、下線部の「前条第一項」は、法法13条《事業年度の意義》1項 の一般的な場合の「事業年度」の定義規定を示しており、また「前項」は、

同14条1項を示していることから、「第六号又は第七号」は、同項の各号 を示しているものと考えることが自然であろう。このように、たとえ複数 の接続詞が用いられている場合であっても、当該条項名が属すると考えら れる法令、条、項、号などの構文上の区分の包含関係を基準として各接続 詞の優先度を判別すること(以下「包含関係基準」という。)ができる場 合が多いといえよう。

 ただし、上記のルールでは、整理できない場合も例外的にある。例え ば、上記の事例よりも更に複雑なパターンであるパターン番号85番に該当 する措令25条の10の2《特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計

(23)

算等の特例》第9項3号は、次のとおり規定している。

第十四項第三号、第四号、第十五号、第二十二号、第二十七号及び第二十八号の 移管による上場株式等の受入れは、同項第三号、第四号、第十五号、第二十二 号、第二十七号又は第二十八号及び第十五項から第十七項まで若しくは第十九項 から第二十一項まで又は第二十五条の十の五に定めるところにより行うこととさ れていること。(下線は筆者)

 ここで「第十五項から第十七項まで」は、同条15項から17項までに規定 されている特定口座間の相続時等の移管手続を示しており、「第十九項か ら第二十一項まで」は、同条19項から21項までに規定されている保険会社 の組織変更に伴う移管手続を示している。また、「第二十五条の十の五」

は、同令25条10の5《特定口座継続適用届出書等》に規定される口座名義 人の出国の際の特定口座の継続手続に係る規定である。

 そこで、上記の法文に包含関係基準を適用すると、下線部の先頭の「同 項第三号」から二重下線を付した「及び」までが「号」レベルの一つの区 分となる。つぎに、当該区分を含む、下線部の先頭から二重下線を付し た「又は」までが「項」レベルの一つの区分となる。すると、包含関係基 準では、二重下線を付した「又は」が最も優先度の高い接続詞となるはず である。しかし、仮にそうであるとすると、上記の「号」レベルの区分に おいて「又は」が用いられ、一方、「項」レベルの区分で「若しくは」が 用いられていることをうまく説明できない。また、規定の内容からいって も、上記の「及び」までが一般的な規定であり、「及び」以降が例外的な 規定であることから、当該「及び」で区切ることが妥当であろう。

 したがって、上記の法文で包含関係基準を満たすためには、下線部分を 例えば、次のとおり変更することが考えられよう。

同項第三号、第四号、第十五号、第二十二号、第二十七号又は第二十八号に定め るところにより、かつ、この条の第十五項から第十七項まで若しくは第十九項か ら第二十一項まで又は第二十五条の十の五

3 「若しくは」が3個以上用いられているもの

 本章では、「若しくは」が一つの複合指定候補の中で3回以上用いられ

参照

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