広葉樹材のヘミセルロース
森 田 栄 太 郎
Studies on Hemicelluloses of broard−1eaved Woods
Eitaro MORITA
Three species of broard−leaved kraft pu1P, beech, white birch and Japanes oak, were extacted
with NaOH and the hemicelluioses were isolated by addiIlg alcohol to their solutions or by treating their solutions with Fehling s solution. The constituent sugars of these hemicelluloses
were determined by hydrolysing them. A large amount of xylose was found together with 91ucose in all three pulps. It was difficult that xylan was separated from polysaccharide containg 91ucose. Ma皿ose was found in the white birch pulp, mannose and galactose were found in the beech pu1P. Those hoxoses were mainly present inγ一cellulose fraction of the pulps・
1.緒言および考察 材について・種々の濃度の水酸化カリウム溶液を 使用して順次抽出した結果,10%KOHで抽出 広葉樹材にはペントザンが15〜25%含有されて される画分のヘミセルロースの量が最も多く,こ いて1),ブナ,カシ,カエデ,カバ等多くの広葉 の画分の加水分解液から少量のアラビノース,グ 樹材のヘミセルロースにはキシロースが多量に含 ルコース,マンノース,ラムノースおよびフコース まれているから2),広葉樹材ヘミセルロースはキ と多量のキシロースを認めた。また4%H3 BO3 シランに近い構i造のものとされている。ブナ材を を含む20%KOHで抽出した画分中には針葉樹 N−NaOHで抽出し,抽出液に酢酸を加えて沈殿 材中に見出されるグルコマンナンに酷似するマン
させてえられるヘミセルロースAはキシロース含 ナンが存在すると報告されている6)。ハコヤナギ 量が81.4%で,ほかにウロン酸を含有してい の材をN−H2 SO4を使用して加水分解すると,
る3).このワロン酸としてはグルクロン酸,ガラ ラムノース,アラビノース,グルコース,ガラク クッロン酸が主であるが2),メチルグルクロン酸 トースおよび多量のキシロースがとれるが,マン も見出されている4)。 ノースは見出されない7)。したがってハコヤナギ 多くの広葉樹材の分析結果1)によれぼ,約0・5 材のマンナンはブナやカバとはその分布領域が異
%のガラクタンが含有されていて,マンナンは存 るようである。
在しないとされているが,まれにこれらのヘミセ ー般に広葉樹材のヘミセルロースの構成単糖に
ルロースからマンノースが見出された報告があ は上記のようなペントース,ヘキソース,ヘキス
る。清水等5)はブナやカバの材の繊維の構成単糖 ロン酸およびメチルペントースが見出されている
をしらベキシランとマンナンが含まれているとし が,筆者は本邦産広葉樹材クラフト・パルプ中に
ており,このうちキシランは繊維の全領域にわた 含まれるヘミセルロースについて,その構成糖類
って広く分布しているが,マンナンは比較的加水 を追究し,さきに行った赤松サルファイト・パル
分解されやすい含水炭素の存在する部分にのみ分 プのヘミセルロースの組成8)・9)との異同を検討し
布しているとしている。Jones等6)はハコヤナギ た。
ブナ,シラカバおよびナラの3種のクラフト・ 種の差異に原因するのか,パルプの調製方法の違 パルプをそれぞれ常法によってα一,β一およびγ一 いによるものであるかは明瞭でないが,糖組成か セルロース画分に分画し,その糖組成を検索した らみると広葉樹のヘミセルロースの方が針葉樹の が,文献の示す通りキシロースが,α一,β一およ ものより簡単であると推定される。
びγ一セルロースの各画分にわたって,広く分布
していることが認められた.これらのパルプの各 2・実験および結果 画分からのヘミセルロースのアルカリ抽出では, 2.1 試料パルプ
三種のパ・レプの間に差が認められ・ブナおよびナ この実験に使用したパルプは日本パルプエ業株 ラにおいては・相当量のヘミセルロースがα一セ 式会社および本州製紙株式会社の研究所で蒸解し ルロース画分に残留するのに反し・シラカバでは たもので,ブナ.パルプはシ_ト状に抄造したも 残留するとしても極めて少量であった。キシラン ので,ナラおよびシラカバはシ_ト状に抄造して には希アルカリ溶液にとけるものと強アルカリ ないものであるが,いずれも同…条件でクラフト を用いて初めて溶出できるものとがあるが10)・赤 法で蒸解したものである.表1はその一一般分析の 松・ブナ・ナラなどのアルカリ難抽出性のキシラ 結果である。
ンはセルロースと強く結合して存在するものとお 表1
もわれる・ ブナナラシラカバ
ブナ,ナラおよびシラカバ・パルプのβ一セル α一セルローヌ画分(%)89.684.2 78.4 ロース両分を加水分解すると,いずれも多量のキ β一セルロース画分(%) 8.813.6 19.4 シロースのほかに常に少量のグルコースを絆う。 γ一セルロース画分(%) 1・6 2・2 1・8 γ一セルロース両分の加水分解産物はナラ・パル ペントザン(%) 20.421.8 21.3 プではβ一画分の場合と同様であるが,シラカバ 1%NaOH可溶物(%) 7.2 2.9 2.9 にはキシロース,グルコースのほかにマンノース 粗樹脂(%) 0.30.8 1.4
の存在が認められ,ブナではこれらの三単糖のほ 灰 分(%) 0.6 0.7 0.6 かにさらにガラクトースが認められた。またナラ ※γ一セルロース=100−(α一セルロース+β一セル およびシラカバのγ一画分はβ一画分と同様にキシ ロース)
ロースが主成分であるのに反し・ブナのγ一画分 パルプを直接4%H2 SO4に室温で2日間浸漬 は比較的ヘキソースに富むことがわかった・ し,ついで8時間還流下に加水分解したさいの減 また常に木材ヘミセルロース申に認められるウ 量は,ブナ・パルプ22.2〜22.7%,ナラ・パルプ
ロン酸は,これらのクラフト・パルプ中には含有 20.3〜22.9%,シラカバ・パルプ21.1〜23・9%
されていなかった.これは恐らく蒸解中に分解す で,それぞれのパルプのペントザン含量に近い値 るか,溶出したものと推定される。 を示した。したがって,これらのパルプの易加水 針葉樹材の赤松サルファイト・パルプのヘミセ 分解性多糖はほとんどペントザンであるといえ
ルロースと広葉樹クラフト・パルプのそれとを比 る.これらのパルプの全ペントザン含量は21〜
較すると,前者はγ一セルロース画分が多いのに 22%で,三者の間の差は認められないが,常法に 対し,後者ではβ一セルロース画分に富むことを よる分析で17.5%NaOHに不溶なα一セルロース 認めた.赤松パルプではβ一画分,γ一画分ともに 画分に残留するペントザンの量には著しい差異が
キシランとマンナンとよりなり,α一セルロース あり,すなわち,ブナ・パルプにおいては全ペン
画分にもこれらの多糖類が結合して分離が困難で トザンの約%量がα一セルロース画分に残存する
あるが,広葉樹パルプのヘミセルロースはほとん のに対し,ナラ・パルプは約%量であり,シラカ
どキシランのみであり,僅かにγ一セルロース画 バ・パルプのα一セルロース画分にはペントザン
分のヘミセルロースにマンナンやガラクタンが極 はほとんど認められなかった。また,ブナ・パル
く少量存在することがわかった。これらの植物の ・プのヘミセルロースは大部分1%NaOHにとけ
るが,ナラおよびシラカバのそれは不溶性のもの の3つに分画した。 ナラ・パルプ2509(乾燥重 が多く,この点においても差異があることが認め 量169g)からの各画分の収量はつぎの通りであ
られた。 る。(1)0.3g,(皿)2.6g,(W)6.Og。
上記の4%H2SO4によるパルプの加水分解液 上記の各画分を加水分解してえた構成単糖のク からBa(OH)2で硫酸根を除いたのち,2% ロマトグラムは表2に示した。なお加水分解は画 H2SO4を滴下して液のpHを約5にもどして生ず 分(1),(Dおよび(Dは72%H2 SO4を・
る沈殿を口別し,口液を減圧下で蒸発乾個し,無 (Iy)は4%H2SO4を使用する方法によった。
水ピリジンで抽出し・さらにピリジンを減圧下で 表2
靴ものについて 常法によつ パーク
P画蝿鵠叶1一已
およびナラの三種ともヘミセルロースから多量の キシロースとグルコースとが証明されたが,特に シラカバおよびナラではこのほかに少量のアラビ ノースが認められた。また三者ともウロン酸と推 定されるスポットがわずかに見られた。
2.2 シラカバおよびナラ・パルプのヘミセル ロース
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シラカバ・パルプ3009(乾燥重量・179)を・8 1;
%N。。H252峰温で2幽浸漬ロ、あち。過 [プ
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