小学校障害走指導法の実験的研究
著者 伊藤 宏, 袴田 博計, 斉藤 千代子, 飯田 頴男
雑誌名 静岡大学教育学部研究報告. 教科教育学篇
巻 17
ページ 69‑82
発行年 1986‑03‑22
出版者 静岡大学教育学部
URL http://doi.org/10.14945/00008314
小学校障害走指導法の実験的研究
An Experiment4 Study of the improvement of a Leaming Method of Hurdle Sprinting in Elementary School
伊 藤
宏・袴 田 博 計
*・斉藤千代子・飯 田 穎 男 Hiroshi ITo, Hirokazu HAKAMADA,Chiyoko SAITO and Eio IIDA
(昭和60年10月8日受理)
Abstract
The cllrrent study was undeFtaken intending to improve a learning rnethod of Hurdle running in the elementary school.
The effect of two different learning inethods on the performance of 40 meter hurdle
Was examined.The learning method l was composed of the whole method emphasized on the factor of competition and the learning method 2 was composed of the whole method
emphasized on the factor of attaiIInent.In the 5 th grade,the pemforrrlance in the learning FnethOd l were improved more than
the learning method 2,but in the 6 th grade,the learning method 2 were improved more
than the learning rnethod l.従来 の陸上運動の授業では
,健康の増進 と体力の向上 を図 りなが ら ,そ の教材の特性や技能 構造 を明確 に踏 まえ
,児童がなるべ く学習 しやすい よう
,教材 の精選や指導方法 を考慮 しなが ら
,教師が直接指導 に当たつてきた と思われ る。 しか し
,現在 では ,こ れ らの指導方法 を踏 ま えなが らも
,今度 は児童の立場 に立 って
,運動 の特性 を見直 した り
,児童の運動・ 体育授業へ の期待感・ 欲求 を考慮 した体育学習方法の構築が求められて きている Pそ こで共同研究者であ る袴 田
"は,児童の側 に立 ち
,児童 自らが求 めている「 陸上運動 における楽 しさ」について
,因子分析 を行い , 5年 生男女で
,「競争」「達成」「創造的活動」「挑戦」「協同」の因子 を , 6年 生 男女で「達成」「競争」「運動の基本的欲求充足」 「承認・ 賞賛」「協同」の因子 を解明 した。 こ こでの「競争」因子 とは「色々 と競争の仕方 を工夫 して
,勝負 を競 い合いたい と考 えた り ,ま た競い合 うお もしろさを感 じる」ことを意味 し
,「達成 Jの 因子 とは「記録への挑戦 に関す るも のであ り
,走り方な り
,跳ぶフォームを工夫 して記録やタイムを向上 させたい と考 えた り ,ま た記録やタイムが向上す ることにその喜びを感 じる」ことを内容 としている。 これ らは
,「陸上
彙富士川第 1小学校
伊 藤 宏・ 袴 田 博 計・ 斉藤千代子・飯 田 穎 男
運動における楽 しさ」の構成因子 として捉 えられ るが
,教育心理学的
0にまとめてみると
,「競 争」
,「協同」
,「承認
0賞賛」の因子は「 外発的動機づ け」 として
,「達成」
,「倉
J造的活動」
,「運 動の基本的欲求充足」
,「挑戦」の因子 は「内発的動機づ け」の構成因子 として捉 えられ る bし
か し
,今回の研究では ,こ れ らの因子 を ,そ の教材が持 つている「機能的特性」
(文部省
,学校 指導書体育編うによれば
,1陸上運動・ ボール運動 は競争的スポ‐ツ特性 を
,器械運動・水泳 は克 服的スポーツ特性 を持 つているとしている。
)として捉 えることにした。運動の機能的特性 を生 か した学習指導は
,学習活動 を活発化 させ ,よ り教育的な効果 も期待で きる。
そこで今回の研究では
,小学生 5年 生・ 6年 生の男子・ 女子 を対象 に
,陸上運動の障害走 を 教材 にして
,障害走 の機能的特性 としての「競争」因子 を強調 した「学習方法
I」と「達成」
因子 を強調 した「学習方法 Ⅱ」の実践授業の比較か ら ,そ れぞれの学習方法 に
,どの ような学 習効果がみ られ るのか を分析 し
,学習者
(児童 )の 内的欲求 を生か した体育授業の構築への基 礎的知見 を求 めようとした。
研 究 方 法
1.測
定期 日
昭和 59年 10月 1日 〜10月 20日
2.被
検 者
静 岡県庵原郡富士川町第二小学校
5年 1組
(男子 16名
女子 15名
) 5年2組
(男子 17名
女子 15名
)6年 1組
(男子 22名
女子 18名
) 6年2組
(男子 23名
女子 16名
)事前の被検者 の各学年 ,ク ラス間の体格
,`運動能力 に有意差 は認 め られなか った。
3.測
定場所
静岡県庵原郡富士川町第二小学校 グラン ド
4。
指導計画 と学習内容
陸上運動 に対する児童の内的欲求 は
,単に「競争」
(友達 と競 い合 う )と 「達成」
(課題 の達 成 )と がそれぞれ単独の目標 として学習内容 に生か されるものではな く ,そ れぞれが適切 に組 み合わされて学習活動がなされる と効果的であると考 える。また
,運動学習
0について も
,学習方 法の組 み合わせ
(全体学習方法 (Ganzlenlmethode)一 部分学習方法 (Teillernmethode)一 全 体学習方法 (Ganzlenunethode))が 重要視 されている。具体的には ,ハ ー ドル走の学習では
,まず荒 けず りなフォーム
(Grobfollll)が全体的 に学習 される。次 にそれに応 じて個々の動 きが 特別 に練習 される
(ハこ ドリングの際の引きつけ脚の動 き
)。そして最終的に新 しく習得 された事 が全体的な動 きの中で再び練習 される。この運動経過 は充分に安定するまで何回もくり返 される。
そ こで今回の研究授業では
,陸上運動 における代表的な機能的特性
,「競争」と「達成」とを 授業展開の中で
,授業の「は じめ」の動機づ けとして
,授業 の「なか」の展開・ 応用 として
,授業の「おわ り」の まとめ・ 完成 として位置づ け ,こ れ らを組 み合わせ , 2つ の学習方法 を考
えた。O学
習方法I(ク
ラスI)
○学 習方法 Ⅱ (クラス Ⅱ)
……学習の「 はじめ」を「競争」
,学習の「 なか」 を
F達成」
,習の
Fおわ り」 を「競争」 として組 み合わせた もの。
(「
競争―達成一競争」型授業
)……学習の
│「はじめ」 を「達成」
,学習の「なか」 を「競争」
,習の「おわ り」 を「達成」 として組 み合わせた もの。
(「
達成―競争一達成」型授業
)学
学
学習内容の概略 については表 2に まとめ
,具体的な学習指導内容 は資料 1, 2に 示 した。
却ヽ学校障害走指導法の実験的研究
5。 1障
害走の設定条件
1障
害走の運動特性 として
F連続 した障害を 3歩 の リズムで走 り抜ける走運動 Jと して捉え
,1障
害の設定については
,快い リズ ミカルな 走運動ができるように設定 し
,具体的には 関岡 ,)伊 藤 ら 7Dの 設定方法 に従つて表
1のように設定 した。
6.測
定項目
1)40m走
タイム
2)40m障
害走タイム
3)ハ
ー ドリングタイム
表
1各学
1年のハー ドルの設定
.条件
4)ハ
ー ドリングフォーム (3台 目の胸 時の初速度 と跳躍角
)5)3歩
の リズムで全部のインターバルを走 り通 した児童の割合。
6)「
障害走の楽 しさ』の意識調査
2つ の学習
1方法を比較検討するために
,以上の項目につい
│て測定 した。ハー ドリングタイム については
,40m障害走 タイムか ら
40m走タイム
,を差 し弓‖ いた ものである。ハー ドリング フォームについては
,3台目のハー ドルの側方
20m離れた地点から
16‑シネカメラで撮影 し ,撮 影速度はタイ ミングマーカーを同調させなが ら,毎秒 64コ マで行つた。フォーム分析は
,ナック社製メジャリングボックス
CP‑3とグラフベ ンを用い
,得られたデータをコンピュー
タ
ー
(キャノン
BX‑1)で処理 した。重心の初速度 と跳躍
1角につい
│ては
,踏切
1時の重心の
,垂直
̀座標点が最低点を示したコマを基準にして
,踏切後 5コ マまでの重心軌跡を求め ,そ の
1移動距 離 を所用時
1間で除 して初速度 とし ,ま たそれ と水平線 との角度を跳躍角 とした。
表
2小学
506年生の内的欲
1求を生かした障害走の学‐ 習指導内
1容 │学 年 イス亀.ん
嵯ドル間黒
ン瘍 卜ハ ー ドル の高
さ
5.3 rn 9.2m 451 oll
9。6‐
m
6.Oinl 6。
4m
50 cln 5。6m
7。71n 50 cm9。
9m
6.3m 4.9m
55‐cln《学 習 タ イ プ》 〈指導ステッフゆ 1 2 3 4
鱈識当時間
) (11時 FHl) (2時
間) (2時
間) (2時
間│) Io F競争一達成一競争」型●まず最初 に `競争の場″を通 して友達 と勝 ち 負けを競い合 う。その結果か ら、 どこを・ ど のように工夫すれば友達 よりも速 く走 り、良 いり順番 を とる ことがで きるのかの課題 をみ つ│け、その課題解決の学習 をする。そして最 後 に、`競争の場″を通 して学習 した ことが本 当│に生かせ たか どうか、その結果 を確 か め る。
[1。 F達成‐―競争―達成│」 型
│●まず最初 に`自己の'障害走 タイムを測定″し ハー ドリング・ タイム.を算 出す る。 そ して、
ど こを・ どの よ うに工 夫 す れ│ばハ 早 ドリン グ・ タイム を短縮 す る こ.とが で きるか の課題 をみつ1け、その課題 解 決 の学 習 をす る。次 に 学 習 した こ とが 本 当│に生 か せ た か ど うか、
`競 争 の場″
を通 して成 果 を確 か め、新 た な 課題 をみつけ る:そして最後 に、その課題 を 解 決 して、 自己の ベ ス ト記 録 に挑戦 す る。
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歩 持 す 条 け 3気 緒 る料 つ
72
(秒)
8.0
8.5
9.0
9.5
10.0
伊 藤 宏・ 袴 田 博 計・ 斉藤千代子・ 飯 田 穎 男
40 mHタイム
1 3 5 7(時 限) 1 3 5 図1 5年生の
40m障
害走タイム結 果 と考 察
ここでは
,得られた分析結果か ら
,学習方法 I(ク ラス I)「 競 争一達成
―競争」と学習方法 Ⅱ
(クラスⅡ
)「達 成―競争一達成」 と比較 しなが ら ,そ
れぞれの特徴 を求
̀めた。
1.40m障
害走 タイム とハー ドリン グタイム
1)40m障
害走 タイム
(図1,3)各学年各 クラス とも授業時間経過 と ともに有意 な記録 の短 縮 が認 め られ た。両学習方法 を比較すると , 5年 生 では
,男女 ともに 3時 間目か ら ,ク ラ ス Iの 方が有意ではないがクラスⅡを 上 まわ る成績 を示 した。 6年 生で は
,男子 においてクラスⅡの方が有意では ないが上 回る成績 を示 した。女子 につ いては ,ク ラス間 に違いは認 められな かった。 さらに詳細 に比較するために 指導前 の
40m障害走 タイムの平均値
と標 準偏差 か ら各 クラス を上位 。中 位・ 下位 グループに分 け ,そ れぞれの
時
1間経過 におけるタイムの変化 を求 め た。
(図2, 4)
図 2, 4か ら , 5年 生の男女で学習 方法 Iの 申位・ 下位 グループが学習方 法 Ⅱのそれ らを上回る成績 を示 してい た。 6年 生では
,男子 の学習方法 Ⅱの 上位 0下 位 グループが学習方法 Iの そ れ らを上回る成績 を示 した。 この よう に学習方法の違いによって ,ま た学習 者の適性の差異 によって
,学習効果の 異なる現象がみ られることを
,適性処 遇 交 互 作 用 (Aptitude Treatment
interaction,以
後 ATIと 略 す
)のが み られた としている。
2.ハ
ー ドリングタイム と
40m走タ イム
(表3,4)・
ハー ドリング
(ハー ドルを走 り越 え
―
学習方法1
0‑学 習方法11
7(時限)
憫 7. 0
mH翡 ム≡
i[:│:夕翔 加 墓彰
:卜雄
]図 2
1 3 5 7(時 限) 1 3 5 7(時 限)
5年
生各グループの40m障
害走タイムの変化ゅ 8 . 0
―
学習方法I
O O学 習方法11
1 3 5 7(時 限) 1 3 5 図3 6年生の
40m障
害走タイムL̲
7(時限)
小学校障害走指導法の実験的研究
秒 7.
1 3 5 7(時 限) 1 3 5 7(時 限)
図4 6年生各グループの
40m障
害走タイムの変化表3 ハー ドリング・ タイムの変化
て行 くこと )の 評価 のために ,ハ ー ド
リング タイ ムが用 い られ るが ,こ の ハー ドリングタイムは
,40m障害走 タ
イム と
40m走タイムの影響 を大 き く 受 ける。両学習方法 によるクラス間の 比較の結果 ,こ のハー ドリングタイム と
40m走タイムは
,40m障害走 タイ ム と同様 な傾向を示 していた。
ま とめてみ る と
,40m障害走 タイ
ム・ハー ドリングタイム・
40m走タイ ムに
ATIがみ られ 5年 生 の男女で
40m障
害走 タイムの中位・下位 グループ に とって
,学習方法 I(競 争 またはゲー ムを中心 に展開 した方法 )の 方が ,よ
mH舛 ム
:三三l彰 ヨ 摺
劉 :三三:教 :〕饗 雄 n
第
1時
第3時
第5時
第7時
学年
タイプ 性別 (N) 一X
S.D S.D S,D S.D
男子 女子 男子 女子
(117) 2.00 0。
70 (15) 2.21 0.64 (16) 1.92 0.45 (15) 2.25 0.481.41 0.33 1.64 0.54 1.41 0.56 1.71 0。45
1.11 0.43 0.85 0。 30 1.24 0.39 1.00 0.34 1.21 0.45 1.01 0。 40 1.46 0。 46 1.216 0。 43 男子
女子 男子 女子
1.84 0.48 1.92 0.55 1.94 0。77 2.00 0。57
1.52 0.46 1.56 0.47 1.40 0.45 1.63 0,48
1.27 0.30 0。 88 0.37 1.25 0.32 0。 78 0。25 1.21 0。52 0.69 0。 33 1.37 0。 47 0。 80 0。29
り有効であった と考 えられ る。 し か し , 6年 生の男子の上位・ 下位 グループに とっては
,学習方法 Ⅱ
(課題達成や目標記録 を設定 した 方法 )の 方が よ り有効 な学習がな
された と考 えられる。
3.ハ
ー ドリングフォームについ て
(表5, 6)
ハー ドリングの運動経過
1のは
,踏切足の接地か ら着地足の離地 ま でであ り ,そ の
1間の動 きは
,次の 三 つ に区分 され る。① 踏切 局 面
表4 授 業前・ 授業後 にお ける
40M走
タイム授 業 前 授 業 後 学年 タイプ 性別 (N)
SoD S.D
男子 (17) 女子 (15) 男子 (16) 女子 (15)
7.39 0.43 7.57 0.48 7.61 0。48 7.64 0.41 7.70
7.76 7.73
7。74
0.40
0。38 0.47
0。43 男子
女子 男子 女子
7.52 7.75 7.45 7.61
0.47
0。55
0。36 0.45
7.34 0.50 7156 0.59 7.28 0。 41 7.43 0.49
│
伊 藤 宏・ 袴 回 博 計・ 斉藤千代子・ 飯 田 穎 男
②空中局面
③着地局面。今 回の 分析 は
,踏切局面 についてであ り
,その局面の申で も踏切時の重心の 初速度 とその跳躍角である。
1)踏
切時の重心の初速度 の変 化
この初速度 については
,授業経 過 とともに減速が少な くな り
,速度の増加がみ られると思われる。
分析の結果
,両指導方法 に差異 は み られず
,各学年 とも増力口を示 し た。
2)踏
切
1時の重心の跳躍角につ
い てこの跳躍角について も
,授業経 過 にしたが って
,重心のスムース な移行 にしたがって ,よ り小 さ く なって くると考 えられる。分析の 結果 , 5年 生学習方法 Iの 男子 と 6年 生学習方法 Iの 女子 を除 くす べてのクラスに
,跳躍 角の減少が み られた。故 に
,ATIが5年 生の 男子 と 6年 生の女子 にみ られた こ
とになる。
まとめてみると
,学習方法 Ⅱを 受 けた 5年 生・ 6年 生の男女 は
,その課題通 りに ,ハ ー ドリングタ
イムを短縮する方向で ,ハ ー ドリ ングフォームが改善 されていた事 にな り
,学習方法 Iを 受 けたクラ スで は各学年 で異 な る反応 をみ せ , 5年 生の男子 と o年 生の女子 では有利なハー ドリングフォーム が 習得 され なかった事 が判 明 し
表5 跳切時 にお ける初速度 の変化 (m/s)
第
1時
第 7時学年 タイプ 性別 (N)
S.D
一XS.D
男子
(17) 4.620 0.616
女子
(15) 4.407 0.492
4.818 0‐4.888 0。。493779 4.788 0。623 4.613 0.632 男子 (16)女子 (15)
4.717 0‐ ̀426 4.232 0。 474 男子
女子 男子 女子
0 0 2︲>
0
4。451 0.448 4.157 0。 543 4.558 0。 494 4.590 0。 783
4.748 0.587 4.708 0.569 4.8176 0.425 4.583 0。816
表6 跳切1時における重心の跳躍角の変イヒ(° )
第
1時
第7時
学年 タイプ 性別 (N)
S.D S.D
男子 (17)
女子 (15)
男子(16)
女子 (15)
18.0 4.5
18。6 2.6
19.0‐ 3.4 19,2 2.7
19.0, 4.9 18.0 3.0 16.5 3.6 18.5 2.6 男子
女子 男子 女子
23
・6 22︲
・8
21.1 3.0 16.8 4.2
19。8 3.2 18.1 3.7
17.1 4.8 19.0 2.9 17.6 3.8 17.0 2.8
表7 3歩の リズムで走 り通 Lた 者の割合 (%)
学年
タイプ :性別 (N) 第
1時
第7時
男子 女子 男子 女子
64.7 66.7 62.5 66.7
94。1 100.0
93.5 100.0 男子
女子 男子 女子
82.6 75.0 72.7 83.3
95.7 93.5 95.5 94.5 0
0 幼
①
た 。
4.全
インターバルを 3歩 の リズムで走 り通 した児童の割合
5台 のハー ドルを走 り越 えるために4つ のインタこバルを 3歩 の リズムで走 り通すことが求
められるが ,こ れも
,授業経過 とともに ,そ のクラスの全員に対 して 3歩 の リズムで走 り通 し
た者の割合は多 くなって くると思われる。表 9か ら
,各学年男女 ともほぼ全員が
,授業後 , 3
歩のリズムで走 り通せるようにな り
,学習方法による割合の変化は認められなかった。
小学校障害走指導法の実験的研究
4。
「障害走の楽 しさ」の意識調査 について
(図5, 6)
「障害走の楽 しさ」の意識調査 は
,各学習方法で指導 された学習者が ,ど の ような「楽 しさ」
を感 じているのかを把握す るうえに重要である。調査項 目は図 5, 6を 参照。学習方法の差異 をみるために ,各 項 目ごとに x2検定 を行 った。分析の結果
,各学年 とも ,そ れぞれの学習方法 の特性 を充分 に習得 していた ことが認 められた。 5年 生男女では ,学 習方法 Iに よるクラスが
,その機能的特性の項 目に有意 に高い得点 を示 し
,6年生男女では ,学 習方法 Ⅱによるクラスが
,その機能的特性の項 目に有意 に
,高い得点 を示 した。
、
今 回の実験授業か ら次の ような知見 を得た。
1.40m障
害走タイム・ ハー ドリングタイム
040m走タイムの短縮 とい う観点か らは
,「学 習方法
I」 (競争二達成一競争型授業 )は
,特に 5年 生の男女の
40m障害走能力の中位・下位 の児童 にとって有効 に働 き
,「学習方法 Ⅱ」
(達成―競争一達成型授業 )は 特 に 6年 生男子の
40m障
害走の上位・ 下位群 の児童に とって ,よ り有効 に働 いた。
2.ハ
ー ドリングフォームの習得
,3歩の リズムで走 り通 した者 の割合の観点か ら
,「学習方 法
I」を受 けた
506年生男女の児童 は
,各学年男女 によって異 なる結果 を示 し
,一定の傾 向 は認 め られなか った。「学習方法 Ⅱ」 を受 けた
506年生男女の児童 は ,そ れぞれの 目標 を達成 することに対 し ,有 利 に働 く動 きを示す傾 向がみ られた。
3.「
障害走 に対する楽 しさ」の意識調査では ,そ れぞれの学習方法 による機能的特性 を
,それぞれの各学年のクラスの児童が味わつていた。
(学習方法 Iの クラスは競争特性 を ,学 習方 法 Ⅱのクラスは達成特性 を味わ っていた。
)今後の研究 としては ,さ らに実践授業 を通 して
,教師の指導力 と児童の学習力の両方 を生か した「教授一学習」過程の解明 を試みたい。
論
結
伊 藤 宏・ 袴 田 博 計・ 斉藤千代子・ 飯 田 穎 男
―
学習方法I O‐一
‑0学
習方法H
(設定項目) t検 定
lrスピー ドにのつて,「ター・ タッ・ タッ。タッ」の リズムでヽ リズミカルに走れたとき 2.ぶつからないC全部のハー ドルを,こえられたとき
3.ハー ドルに向かつて足をサッと出し,パッと,またい潤瞬間
4.「上手にできたな」 と,思っていた動 き力ヽ やつとできるようになったとき
5.自分がめあてにした記録を,やつと出せたとき
6.自分の論 ヽ だんだんよくなってい くとき 7.友だちや,他のグループと競争して,勝てたとき 8.だれ洲勝つか,どのグループが勝つか,わからないとき 9.自分の順番力ヽ だんだんよくなってい くとき
10,ハ ー ドル走をして,汗をいつぱいかいたとき
11.「 これでいい」と思 うまoた くさん運動することができたとき 12.ハ ー ドル走をして,体や 面 ヽ すっきりしたとき
13.自 分の記録をよくするために,がんばっているとき ′
14.今 まで,度も上手にできなかつた動 きを,できるように,がんばっているとき
15.自 分の順番をよくするために,がんばっているとき 16.運 動の仕方を工夫 して,ハー ド′レ走をすることができたとき
17.友 だちや先生の調調C 「なぜ:そうすることがよいのか」力ヽ はつきりわかつた とき
18。「こうすれ,∴ よい記録が出る,よい鵬経渤ゞとれる」という考えを発見したとき 19.先 生が自分の考えを,とりあげて くれたとき
20.自 分の考えに賛成 して,友だちがそのように動いて くれたとき 21.順番や記録がよくなって,先生や友だち力ヽ ほめて くれたとき
22.自 分ができない時に,友だちが:ていねいに教えてくれたとき
23.グループのみんな力ヽ それぞれの役割や責任をはたし,よくまとまって協力できたとき
24.自 分が上手にできたことを,藤ミちがいつしょになって,喜んで くれたとき 25.け がをしないで、運動げ ることができた とき
26.気持ちを引きしめて,― ることができたとき
27.病 気な どをせずに,みんなと同じように,運動げることができたとき
″a検定
ぜ んぜ ん楽 しさ を感 じな い あ
ま り楽 さし を感 なじ い 楽
し さを 感 じ る 強 く楽 し さを 感 じ る
*
**
**
**
**
**
**
**
*・・・
5% **・
・・1%
図
5 5年生の授業後における「障害走の楽 しさ」の学習方法
IとHの 比較
―
学習方法I O―一一〇 学習方法 Ⅱ
(設定項目) t検 定
1.スピー ドにのって,「ター・ タッ・ タッ・ タッ」の リズムでヽ リズミカルに走れたとき 2.ぶつからない0全部のハー ドルを,こえられたとき
3.ハードルに向かつて足をサッと出し,パッと,またいだ瞬間
4.「上手にできたな」 と,思つていた動 き力ヽ やつとできるようになつたとき 5.自分がめあてにした記録を,やつと出せたとき
6.自分の議 ヽ だんだんよくなってい くとき 7.友だちや,他の グループと競争して,勝てたとき 8.だれが勝つ力、 どのグループが勝つれ わからないとき 9.自分の順番力ヽ だんだんよくなってい くとき
10.ハ ー ドル走をして,汗をいつぱいかいた とき
11.「 これでいい」 と思 うま0た くさん運動げることができたとき 12.ハ ー ドル走をして,体や,い,すつきりしたとき
13.自 分の記録をよくするために,がんばっているとき
14.今まで三度も上手にできなかった動きを,できるように,がんばっているとき
15.自 分の順番をよくするために,がんばっているとき 16.運動の仕方を工夫 して,ハー ドル走をすることができたとき
17.友 だちや先生の説明■ 「なぜ:そうすることがよいの力」 ハ はつきりわかつた とき
18。「こうすれは よい記録が出る,よい順番がとれる」という考えを発見したとき 19.先生が自分の考えを,とりあげて くれたとき
20。 自分の考えに賛成して,友だちがそのように動いて くれたとき 21.順番や記録がよくなつて,先生や友だち力ヽ ほめて くれたとき
22.自 分ができない時に,友だちれ ていねいに教えてくれたとき
23.グループのみんな力ヽ それぞれの役割や責任をはたし,よくまとまって協力できたとき
24.自 分が上手にできたことを,友だちがいつしよになって,喜んで くれたとき
25.け がをしない
̀運動することができたとき 26.気持ちを引きしめて,運動することができたとき
27.病気な どをせずに,みんなと同じように,運動することができたとき χ2検定
ぜ んぜ ん楽 し さを 感 じ な い あ
ま り楽 しさ を感 なじ い 楽 し さを 感 じ る 強
く楽 し さを 感 じ る
**
**
**
**
**
**
キ…
5% **… 1%
小学校障害走指導法の実験的研究
図6 6年生の授業後 における「障害走の楽 しさ」の学習方法 Iと
Hの
比較伊 藤 宏・袴 田 博 計・ 斉藤千代子・ 飯 田 穎 男
資料
1「学習方法
I」 (競争一達成―競争型学習 )の 指導過程
◎学習のねらい 。道筋について
。「 めあて1」か ら始めて、
する。
「 めあて 2」 。「 めあて 3」 。「 めあて 4」 へ進む。
めあて
1.3歩
の リズムで ス ピー ドにの って、気持 ちよ く走 れ るコースを見つけよ う1.自
分 の力 に合 った条件設定 で、3歩の リズムで走 り通 す。2.第
1回記録会
3.各
個 人 の 40協 障 害 走 タイムを もとに、総和 タイムを等 しくした(6グ
ループ・グループ間等質 男女混成 )グ ル ープ編成及 び係決 め。4.学
習カー ド(個人・グループ)の記入の仕方、検討の仕方について理解するも めあて2.グ
ル ープ対抗 。得点競走を しよ う1.競
争の仕方、勝負の決 め方 。ルール・マナー等 について話 し合 うとともに、学習の進展 に伴 い、みんなの力で改変 してい くことを理解 させ るも
2.`
は じめのルール″での第1回・ グループ対抗得点競争。
(1位
。6点、2位・5点、3位 。4点、…・…・°)3.グ
ループ作戦 タイム。4。 第2回、グループ対抗得点競争 。
◎学習の課題について理解する。
(夕
`
F'Fメ
雫テ丁、夕すで)
「竃
7豪奮評 1‑
1福
ぬ が っoヽ為 嵩 くなればな乏 │1
程 、宙 にいる時間 も多 くな って しま う。│
│。 テープで長 さを比べを した ら、一― は、
│
│ │」 喜
│:[,こ
菖I:多[:bi撥
瑾i: │
│
も速 く走 れな くなる。│
│・ だからスレスレにいかないと損をする │
1
訳だ。スレスレにまたぎ越すことが 11
`友達よりも速く走り、よい順番をと │[̲f̲1̲lr墜 2■
̲̲≦盟 2秀生≧̲」
(父
=‖κ客貸夕女ブ危喜びこす)
イメージの図示
・ 切 り返 しの発間
l・ 一―は、……に比べてす ごく高い、 と │ は、わざわざムダな力を使 も │
﹁
︱
︱
︱
︱ I J う る い ま ち o
な し お る じ て が ち 生 つ ド お が ま 一 が ム
趾パ
・ド 州
び で ピ ス た 前 ス ロ す 手 時 す 越 る た 越 ぎ き し を た み 地 害 ま 踏 着 障
A B C D r l l l l l L
学 習 活 動
めあて
3.友
達 よりも速 く走 り、よい順番 をとるためには、`どこを工夫″
すれば よいだろ うか。
鶴
0協 40%
A型 B型 C型 D型
S HlH2 H3 H4H5 G
ムダな力を使わずに、ハー ドルスレスレにまたぎ越すことが、 友達よりも速 く走 り、よいllF番 をとる″
ために大切だ〃とい うけれ ども「 どこを 」。「 どのように工夫 」すればよいのだろうか。
小学校障害走指導法 の実験的研究
この様相図を用いて、障害走の本質に迫る概念(障害走 とは障害があって も疾走 リズ■を くずさずに、い かに速 く走 り通せるか、を競 うスポーツである。)を把握 させると共に、これらの認1識を通.して「 ムダのない ハー ドリング(合理的に通過する動き)Jを問題 とさせたい。あいまいな理解 と習llS化された動きは、後 々 まで、学習のつまずきとなって表れるので、この様相図を用いて基本的な視点をきちんと把握 させる。
◎問題の確認 と解決 。
(盤詈思呈臭着地
)
│ :[鳥『了言 う
[∵
,瑾掌1:ξ
lるぞ。││ 。ぼ くらの発見 は、よか ったんだ。
│
1.課
題 に応 じたグループ(先導脚動作 ・踏切 り脚 動作 、イ ンターバルの走 り方等 )を 編成 し、それ ぞれ課題別 グループで、問題点を解決 す る。2.兄
弟グループによる、相互評価 。 の ま とめ 。1.`みんなで工夫 したル ール で の第3回・グループ対抗得点競争
2.グ
ループ作戦 タイム3.第
4回・グル ープ対抗得点競争,
4.`更に工夫 し、発展 させたルール″
での、第 1回 ・グループ対抗タイム・アップ競争
※第 1回 ,40協Hタ イムよりも
0.1秒
アップ…… 1点0.2
″¨…。2点
0.3
″¨・・・・3点
5.グ
ル‐プ作戦ダイム6.第
2回 ・グループ対抗タイム・アップ競争7.表
彰式
。タイム・アップ
Zl賞
。ベス トタイ■賞
。グループ対抗
Zl賞
。がんば ったで賞
8.測
定 タイムの推移及 び観察記録をまとめる。。学習カー ドを整理 して、学習の足跡をふり返る。
(特に楽 しかったことや感動 したこと、反対に、つまらなかったことは、どんなとき力、 どんなことか。)
。上記の観点でグループでの話 し合いも行い、学習の足跡をふり返る。
(友達の向上やがん ぎりを確かめ合 ったり、有効だったアPヾイス・練習方法など、話 し合 う。)
(ti興
の動t) (億i奨
の動作
)
本当にそうすることが、大切か どうか、確かめよう。
写真ゃ友達 の動 きをみて、みんなで考 えた ことを確認 しよ う。
"みんなで工夫 したル ール″での第3回・グループ対抗得点競争 6
︵適 用
︶ 7
︵発 展
︶
80 伊 藤 宏・ 袴 田 博 計・ 斉藤千代子・ 飯 日 穎 男
資料2『学習方法II」 (達成一競争―達成型学習
)の
指導過程ら,いo道筋について理解する。
。Fめ あて1』から始めて、「 め│あて2J。「 めあて3」 。「 めあて4」へ進む。
めあて
1.3歩
の リズムでスピー ドにのって、気持ちよく走れる]― スを見‐つけよう。1, 自分の力に合 った条件設定で、3歩の リズムで走 り通す。
2.グ
ループ編成及び係決め。(6グ
ループoグループ間1等質 。男女混成)3.学
習カー ド(個人・グループ)の1記入の仕方、検討の仕方につ│いて理解する。︵ 問 題一 把 握
︶
︵ 間 題一
・ 解 決
①ι
(r,Pジ「ザすス で
)
II:韮
筆 iII―
FttFttII鳳 :ト
│∫
緊 T:鷹 ‐ 嵩 し
7:tl覧]。 │(父
=‖ル雲
̀隻
げ足
[び
こす〉。テープで長さを比べをしたら、一一
̀ま
、│
……に比べてずい分長い、とい うこと は宙にいる時間が多 くなり、友達より
│
も速 く走れな くなる。。だからスレスレにいかないと損をする 訳 だ。スレスレに また ぎ越 す ことが
`友達 よりも速 く定 りもよいllJi番をと
イ メージの1図示
またぎ越すた.びに止まってしまう。
踏みきる手前でス ピー ドがおちる。
着地│した1時ス ピ‐ ドが│おちる。
障害を越すロスタイムが生 じない。
。切り返 しの発間
A 一B C D r l l l l L
学 習 活 動
40π 走タイムと、401協
H走
タイムと比│べると、どちらが速いだろう。第11回
記録会を して、本当にそ うなるのか、確かめよう。
めあて2t どうして
40%定
タイムの方が速 くて、4o%H走
タイムの方が遅いのiだろう。40毎
0,2 40滋
A型 B型 C型 D型
I :
障害定 の模図
豊
lH2HIH̀H5G
40物走 タイムの方が、
│
る'ために大切だ̀<思
考の条件>
小学校障害走指導1法の実験的研究
この様相1図│を用│いて、障害走の本質に追る概念(障害走とは障害‐があっても疾走 リズムをくずさずに、い かに速く走り過せるか、を競うスポーツである)。)を把握させると共に、これらの認識を通 して「 ムダのない ハー ドリング(合理的に適過する.動き
)Jを
問題とさせたい。あいまいな理解と習慣化された動きは、後々 まで、学習のつまずきとなって表れるので、この様相図を用いて基本的な視点をきちんと把握させる。◎『 ロス・ タイム表」の提示│
0〜 α
510点 1.8〜 20 5点
016〜
08 91″ 2.1〜
2ぃ3 4″
Q9〜 1.1 8″ 2.4〜 2.6 3″
1。2〜
1.4 7″
2:7〜 2.9 2″1.51〜
1.7 6″
8,0〜1″
◎間1題の確認と解決 。
<試技 。小集団思考>
81
曜倉
]里
臭着地) (告重奨の動作
) (縫興の動作
)
│。ぼ く達―の考えているのと1同じだ。
│。一流のオ リンピック選手 もやってるぞ。
│・ぼくらの発見は、よかったんだ。
│。A君 割に挑戦‐だ。
1, 課題│こ応 じたグループ(先1導脚動作 。踏切り脚1動作、インターバルの定り ぞれ課題1別│グループで、1問1題1点を解決する。
2Ⅲ 兄弟グループに,よる、相1互評価。
1.・は じめのルール″
での第 1回・グループ対抗ロス・ タイム競1争。 2. グループ作戦 タイム.
3."更
にみんなで工夫 したルール″での第 2回 。グループ対抗 ロス・タイム競争。
4.グ
ループ作戦タイム。5。 `
は じめのノィール "で の第1回・ グループ対抗タイム・アップ競争。
6.グ
ループ作戦タイム。■
‐更にみんなで工夫 したルール″で│の第 2回 ・グループ対抗タイム・ ア ップ競亀
3.グ
ループ作戦タイム。方等)を編成 し、それ
4⁚ 5
︵適 用.
︶
ムダな力を使わずに、ハー ドルスレスレにまたぎ越すことが、"友達よりも速 く走り、よい順番 をとる・ ため│こ大切だ″とい う。ナれども「 どこを 』・「 どのように工夫 」すればよいのだろうか。
唸塁冥の動作
)
本当にそうすることが、大切かどうか、確かめよ う。
写真や友達の動きをみて、みんなで考えたことを確認 しよ う。
め,あて 81.記 録会 として、学習 したこと 本当に生かせ るか、成果 をみ よ う