ま え が き
附属静岡小学校は特殊なのかも知れませんが、年度末になると子どもが校長室にあるお願いにやっ てきます。何かというと、担任の先生を変えないではしいというお願いです。先日も1年生の男の子 が校長室に入ってきて、このお手紙読んでくださいと封筒に入った手紙を渡して去って行きました。
「校ちょう先生、○○先生をまたぼくのたんにんにしてください」と書いてありました。他の学年の 子も、「ねえ、校長先生、担任は誰が決めてるの、校長先生でしょ」と、やはり今の担任の先生に続 けて担任になってもらいたいという思いを伝えに来ます。1手前味噌を並べることになってしまいます が、本校の先生方は、明朗活発で、共に遊び共に学ぶ人たちなので、子どもたちは別れが幸いようで す。こうした温かい先生・児童関係によって本校の教育研究は支えられているのだ、と改めて思いま す。
本校では、学校教育目標「自らをきりひらく子」の具現を目指して、平成8年度より、「学びをひ らく」を研究主題として研究を進めてまいりました。本年度は、その8年目ということになります。
6年日以降は「自分らしくなっていく 子どもと教師との営み」という副題のもと「その子ならでは の学び」をさらに探る方向で、個々の児童の学びの独自性に注目しながら研究を進めております。
現在、教育界のいろいろな場面で「自分らしさ」ということが言われます。それは主として児童・
生徒のその子独自の社会的に有用な特性や技能を伸ばすという文脈の中で言われているようです。他 方、教師の「自分らしさ」が問題にされることはほとんどないように思われます。しかし、教師とし て成長するということは、多様な技術を身につけるという側面だけでなく、個性を伸ばすという側面 をもっているのだと私たちは考えセいます。
私たちは、それぞれの子どもの内側からわき出てくるその子らしい学びをとらえる努力をするだけ でなく、子どもに触発されて生じる教師のさまざまな気づきにも目を向けたいと思いました。そのよ うな目的が十分に達成されているとはいえないかもしれませんが、それが私たちの目指すところです。
忌博のないご意見ご指導をいただければ幸いです。
この紀要は、国立大学附属小学校の紀要としては最後の号ということで、ある意味では記念すべき 号になりました。平成16年4月1日からは、いよいよ静岡大学も法人化されることになります。私た
ちを取り巻く状況は大きく変化するわけですが、本校はこれまでの研究の方向を守り発展させていく つもりでおりますので今後ともご指導、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが、本校の研究に対しまして、熱意のこもったご指導、ご助言を賜りました静岡 県教育委員会、中部・東部教育事務所、静岡市教育委員会、県内公立学校の先生方、ならびに助言者
となってくださった静岡大学教育学部の先生方に厚く御礼申し上げ、巻頭のご挨拶といたします。
平成16年3月
静岡大学教育学部附属静岡小学校長 眞 田 孝 昭