• 検索結果がありません。

mm mm PC PC Epson Endeavor NT mm288 mm 30 mm 3 I II4 1FQR 5 mm II Tab. 1 Characteristics of participants. 2 Fig. 2 Adj

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "mm mm PC PC Epson Endeavor NT mm288 mm 30 mm 3 I II4 1FQR 5 mm II Tab. 1 Characteristics of participants. 2 Fig. 2 Adj"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

きるが,従来のオフィスチェアでは座面角度が小さく, このような姿勢では前滑りを起こしやすかった5) このため,本研究では可変実験椅子6)を用い,一般的 な机面高700 mmの旧来オフィスデスクでノートPC作業 を行うための,椅子とノートPC台条件を検討した.

2.実験方法

表1に示す成人男女について,実験目的により,体格差 や条件統一などを考慮して右欄⃝印の被験者を選択し, 計測を行った.なお,表中の「4-2 n=8」などは「章番 号-節番号,被験者数」を示し,本文中でもこの表記を用 いた.以下の,すべての実験は学内倫理委員会の承認を 得,被験者に実験の目的および不利益を被ることなく拒 否できることを十分に説明し,同意を得て行った. 作業姿勢は図1に示す特徴点を3次元空間座標計測装置 (VMC5243L)で計測し,隠れ点は体表面標点から幾何学

1.はじめに

省スペース化や社員の交流促進のため,個人に席を割 り当てず,共用机で仕事を行うフリーアドレス制の導入 が進んでいる.しかし,共用机では,各人のノートPCで 長時間作業を行うことも多く,首や肩の疲れが生じてい た1,2).頸部の負担はノートPCを傾けて画面を上げれば軽 減するが3),見やすい位置までディスプレイを上げると, キーが高くなるか傾きが大きくなるため,打ちにくい4) 上体を後傾させれば,幾何学的に目線を下げることがで

<Contribution>Office Chair Design for Notebook PC Work, by Hiroyuki ISHIKURA & Nobutoshi YAMAZAKI.

ノートPC作業用オフィスチェアの開発

石倉啓行

**

,山崎信寿

***

Desk sharing in offices has become recently a trend due to the wide spread use of notebook computers. However, they are not always comfortable to use either for reading or typing. We measured the most suitable seating conditions for working with notebook computers. Within the range of heights from the 5th percentile of young females to the 95th percentile of young males, the following optimal conditions were determined. The angles of the keyboard, lower backrest, upper backrest and seat are 10°, 68°, 79°and 10°, respectively. The depth of the middle part is shortened to 354 mm for short user. The depths of both outside sections are lengthened to 378 mm, with inclined lateral supports(maximum angle 35°)for tall user. To allow the display to be comfortably read, the seat height must be 350∼410 mm, which is lower than that for conventional office chairs. Evaluations showed that when using this prototype seat in a working environment for 40 minutes, muscle activities in the shoulder and back, and leg swelling were reduced to those when using a conventional office chair, without any decrease in work efficiency. Also, forward tilting of the head decreased by 9°and the shoulder elevation was improved.

オフィスのフリーアドレス制による事務机の共有化が,ノートPCの普及と共に進みつつある.しかし, ノートPCでは,ディスプレイの見やすさとキーの打ちやすさを両立させることが困難であった.このため, 形状可変実験椅子を用い,女性5パーセンタイルから男性95パーセンタイルについてノートPC作業を行い やすい椅子条件を求めた.その結果,ノートPCのキーボード面を10°起こし,背もたれ腰部を68°として 胸郭支持部は79°にし,座面を水平から10°後傾させれば良いことがわかった.また,低身長者には座面中 央部の幅260 mmの範囲の座面長を354 mmとし,左右の座面長は378 mmとして高身長者の大腿側面を支持 する最大35°の傾斜をつけた.座面高は350∼410 mmで,目の高さを下げるため,従来オフィスチェアより も低くする必要があることもわかった.試作椅子による40分のノートPC作業では,従来椅子と同等の作業 効率で頭頸部の前傾は平均9°小さく,肩の挙上もなくなり,三角筋,僧帽筋,脊柱起立筋の負担が減少し, 下肢のむくみも低下した. (キーワード:オフィス,椅子,姿勢,ノートPC,フリーアドレス) ■原 著■ 受付:2012年8月22日 受理:2013年3月11日 **慶應義塾大学大学院理工学研究科

Graduate School of Science and Technology, Keio University

***慶應義塾大学理工学部機械工学科

Department of Mechanical Engineerng, Faculty of Science and Technology, Keio University

(2)

的に推定した7).見やすくキーを操作しやすい椅子条件 は,支持面が幅40 mmでスノコ状に25面に分割された図 2の形状・角度可変実験椅子で求めた6).机面は700 mm の高さで水平とし,ノートPC底面後端高さを変えてキー ボード面を傾けた.以降の実験で使用したノート PC (Epson Endeavor NT2850)は幅330 mm,奥行き288 mm, キーボード面は底面と平行で高さ30 mmである. 実験椅子の初期形状を決定するために,図3に示す背も たれと座面が平坦な椅子I,および,市販後傾椅子の背も たれと,座面前端が前傾した別の市販椅子座面を組み合 わせた椅子IIについて,図4のような設定で着座姿勢を計 測した.その結果,表1の被験者F,Q,Rのように,体 格が異なる場合でも,同一被験者では着座姿勢はほとん ど変わらず,最終安定形状も,座面前端部を除いて同一 条件内の再現性と同等の平均5 mm以内であった.一方, 椅子IIを初期形状としたときの方が,好みの形状に収束 するまでの時間が3∼4割程度短く,また,低身長者が座 面を上げても大腿部の圧迫が小さくなる8)ため,以降の 身長 [mm] 1531 1585 1589 1590 1633 1634 1658 1664 1667 1670 1706 1708 1745 1760 1764 1769 1769 1771 1800 体重 [kg] 42 52 48 45 62 60 54 57 51 60 60 59 55 60 82 74 58 65 67 BMI [kg/m2 18 21 19 18 23 22 19 20 18 21 21 20 18 19 26 24 18 21 21 年齢 27 22 22 23 32 24 21 23 24 24 22 24 24 22 23 22 25 25 24 性別 3 n=16 4-2 n=8 4-3 n=10 4-3 n=12 4-4 n=3 4-5 n=5 4-6 n=3 4-7 n=12 被験者A 被験者B 被験者C 被験者D 被験者E 被験者F 被験者G 被験者H 被験者I 被験者J 被験者K 被験者L 被験者M 被験者N 被験者O 被験者P 被験者Q 被験者R 被験者S 表1 被験者の身体特性

Tab. 1 Characteristics of participants.

背もたれ角度 調節ウインチ 手すり 回転中心 設定機構 左右傾斜板 500 40 高さ調節つまみ ±50 mm 支持面ユニット 図2 形状・角度可変実験椅子 Fig. 2 Adjustable experimental chair. 耳珠点 第1胸椎点 肩峰点 第10胸椎点 胸骨下縁 胸骨上縁 橈骨・尺骨中点 茎突点 第2中手骨点 第2 指尖点 仙骨点 上前腸骨棘 大転子 坐骨結節点 外側・内側 上顆中点 外果・内果中点 踵点 第1中足骨頭 計測点 推定点 外眼角点 頭頂点 眉間点 オトガイ キーボード 端点 ディスプレイ 端点 机端点 ヒンジ ノートPC端点 図1 着座姿勢の計測点

(3)

実験では椅子IIを初期形状とした. 支持面形状とノートPC台の調節は,首の自立,ディス プレイの見やすさ,肩の楽さ,腕の楽さ,手首の楽さ, 下肢の楽さ,全身の楽さ,作業のしやすさ,の8つを順に 意識させ,気になる支持面部分を実験者が調節すること で行った.なお,その調節が他の部分に影響しないかも 毎回確認させた.以降で用いる椅子形状の主要寸法と角 度の定義を図5に示す.被験者は,表1(3の列)に示す 成人男女16名であり,身体計測を含む総計測時間は,一 人当たり約40分であった.

3.支持面の設計

3-1.ノートPC台 ノートPCを好みの角度に傾けると,図6に示すように, 水平面に置いたときより首が平均10°程度起き,その結 果,視線角度が18°程度の適正範囲9)になった.キーボー ド面の傾斜角度は,肘を机面に乗せた被験者では 15± 5°(平均値±標準偏差,以下同)範囲で,肘を机面から 下げた被験者では7±1°であった.しかし,肘の位置や 腕姿勢によらず平均10°のキーボード角度を許容した.こ のため,以後の実験ではPC台の傾斜角度を10°とした. 3-2.座面高 図7に示すように,著しく低い座面を好んだ見やすさ優 先の高座高者Nを除き,座面高の平均は市販オフィスチ ェアの最低高に近い379±22 mmであり,座高が高いほ ど,目の高さを下げるために座面高を下げる傾向があっ た.図7の回帰式から求めた座高の女性5パーセンタイル 値と男性95パーセンタイル値10)に対応する座面高は355 ∼408 mmであり,被験者Nを除き,計測した好みの座面 高はこの範囲に含まれた.机面高を720 mmにして,最凹 点から机面までの差尺を同一(288∼323 mm)とすれば, 現状の一般的なオフィスチェアの調節範囲の座面高にな 椅子Ⅱ調節後 椅子Ⅰ調節後 200 200 椅子Ⅱ初期 椅子Ⅰ初期 図3 初期形状の影響

Fig. 3 Effect on the initial support line.

机面高700 mm

足先限界700 mm

図4 実験風景

Fig. 4 Experimental overview.

上端点 最凹点 最凸点 最凹点 最凸点 前端点 最凹点 位置 最凸点位置 座面長 座面角度 傾斜角度 前端 座面高 シート 基準点 背もたれ上部角度 背もたれ角度 最凸点位置 最凹点位置 背もたれ長 背もたれ線 図5 椅子形状の寸法と角度の定義

Fig. 5 Definition of length and angle of seat shape.

耳珠点 第1 胸椎点 0° 注視点 胸骨上縁 θ ϕ 中点 76 66 18 25 傾斜平均 平置き平均 ノートPC平置き ノートPC傾斜 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 頭頸部傾斜角度 [deg] θ 直立 水平 視線角度 [deg ϕ 図6 首の姿勢 Fig. 6 Neck posture.

(4)

るが,身長10パーセンタイル値以下の女性は座位膝関節 高にヒール高30 mmを加えても踵が床に着かなくなる. 一方,高身長者や高座高者は,座面を下げて下肢を投げ 出すか,ノートPC台で補高できるため,机面高は現在も 広く使われている旧JIS規格の700 mmとした. 3-3.座面の矢状面形状 図8に示すように座面最凹点から後方臀側の矢状面形状 は,個体差が小さいため,平均形状とした.一方,座面 最凹点から膝側の形状は大きくばらつき,図9◆で示すよ うに座面角度は座面高に対する下腿長(以下,相対下腿 長)と相関がある.すなわち,相対下腿長1以上の座面角度 を大きくする被験者は座面高を平均370±25 mmに下げ, 身長1744±41 mm,座高927±27 mmの中高身長者であ った.逆に水平に近づける被験者(以下,水平型)は, 座面高を平均391±11 mmに上げ,身長1648±60 mm, 座高891±33 mmの低中身長者であった. 座面角度を水平型の平均6°とすると,中高身長者では 下肢を投げ出したときに前滑りが生じる.このため,水 平型の被験者について,座面を徐々に後傾させ,床に足 が着き,膝裏に圧迫感のない最大許容後傾角度を探索し たところ,図9◇に示すように,いずれの被験者も10°程 度になり,この角度なら中高身長者にも前滑りが生じな いことを確認した.座面前端傾斜角度は,図10に示すよ うに座面角度と相関がみられたため,座面角度10°に対 応する−2°とした.これらの角度を与えることで,低身 長者が座面高を上げても,足を床に着けやすくなる. 座面長は,大腿長390 mm以下では短くすることがあっ たため,中央部を低中身長者平均の354 mmとし,左右外 側部を全被験者平均値の378 mmとした. 3-4.座面の左右断面形状と上面形状 左右傾斜の起点間隔は図11の回帰式から求め,臀部を 被験者N 女性5パーセン タイル 男性95パーセン タイル r=−0.45 y=−0.33x+679.25 300 340 380 420 800 824 850 900 950 985 1000 408 355 313 座面高 y[mm 座高 x[mm] 図7 座面高 Fig. 7 Seat height.

←臀側 膝側→ 臀部最凹点 100 50 0 −50 100 0 −100 200 300 図8 座面形状 Fig. 8 Seat shape.

y=42.6x−34.6 r=0.84 後傾型 水平型 6 水平型 平均値 最凹点 最凸点 座面角度 水平型 許容最大 0 5 10 15 20 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3 座面角度[deg 下腿長/座面高[−] 図9 座面角度 Fig. 9 Seat angle.

r=0.77 y=0.99x−12.13 −2 最凹点 最凸点 座面角度 前端点 前端傾斜角度 −20 −10 0 10 20 0 5 10 15 20 座面前端傾斜角度[deg 座面角度[deg] 図10 座面前端傾斜角度 Fig. 10 Front bending angle.

起点間隔 座面前額面形状 左右外側部 前端 260 y=−0.37x+347.04 r=−0.65 150 200 250 300 350 0 100 200 300 400 最凹点からの水平距離 x[mm] 左右傾斜起点間隔 y[mm 図11 左右傾斜起点間隔

(5)

広く,膝側を狭くした.左右傾斜角度は,図12に示すよう に最凹点から180 mm以上で大きくばらつくため,35°か ら前端位置の26°まで2次曲線でなだらかに変化させた. また,臀側は最凹点で0°になるように減少させた.左右 傾斜の外縁幅は,最凹点から前方100 mmまでは臀部横径 の男性95パーセンタイル値10)である351 mmとし,図13 の最大値から470 mmとした座面幅まで徐々に広げた. 以上の寸法決定による座面形状を図14に示す.膝裏が 接触する左右前端と矢状面前上端には丸みをつけた. 3-5.背もたれの設計 計測した作業しやすい背もたれ角度には60∼75°の幅 があったが,体格および胸郭角度との相関は低かったた め,平均値の68°を設計値とした.また,図15に示すよ うに,習慣的に極端に浅座りして骨盤を傾ける被験者M を除き,最凹点付近まで身長に関わらず形状はほぼ等し く,これより上では,低身長者は目の高さを上げるため に胸郭を起こし,逆に高身長者は胸郭を倒した.胸郭を 起こす場合は背もたれ上部を必要としないため,背もた れ上部は高身長者に合わせて設計した. 左右外側部 前端 左右傾斜角度 座面前額面形状 0 20 40 60 0 100 200 300 400 最凹点からの水平距離[mm] 左右傾斜角度[deg 35 26 260 118 図12 傾斜角度

Fig. 12 Side support angle.

r=0.41 最大値470 外縁幅 座面前額 面形状 左右外側部前端 260 臀部横径 男性95パーセン タイル 351 大腿 y=0.53x+298.15 300 350 400 450 500 0 100 200 300 400 最凹点からの水平距離[mm] 大腿接触領域外縁幅[mm 図13 外縁幅

Fig. 13 Side support top distance.

R10 R10 D-D’断面 R10 R10 C-C’断面 100 100 260 422 470 26° 36 B-B’断面 310 351 470 35° 13 A-A’断面 A R40 R40 B 左右傾斜面 100 最凹点 ライン A’ B’ 136 24 378 C’ C D D’ 上面図 左右外側部 図14 左右傾斜と矢状面形状

Fig. 14 Side support and sagittal shape.

100 100 高身長者平均 低身長者 平均 全体 平均 ※背もたれ角度68° になるよう回転して 重ね合わせた. シート基準点 被験者M 上端点 最凹点 シート 基準点 背もたれ 上部角度 背もたれ 角度 最凹点位置 背もたれ長 背もたれ線 図15 背もたれ形状の個体差

Fig. 15 Individual difference of backrest shape.

y=0.49x+118.55 r=0.55 603 986 男性95パーセン タイル 450 500 550 600 650 800 850 900 950 1000 座高[mm] 背もたれ長[mm 図16 背もたれ長 Fig. 16 Backrest length.

(6)

図16に示す背もたれ長さは,座高との弱い相関がみら れるため,座高の男性95パーセンタイル値10)に相当する 603 mmとした.図17に示す最凹点位置も,座高との相 関がみられたが,緩やかなカーブのため,座高の男女50 パーセンタイル値10)に相当する484 mmとした.最凹点 と上端点を結ぶ線分の角度は,図18に示すように背もた れ角度との弱い相関がみられたことから,背もたれ角度 の68°に対応させて11°起こした.これ以外の特徴量は身 体寸法との相関がなかったため,全被験者の平均値とし た.以上をまとめた提案椅子形状を図19に示す.

4.提案形状の試作と評価

4-1.試作と実験条件 提案形状をもとに,図20(a)に示すモックアップを試 作した.フレームはリクライニング可能な市販品を流用 し,スタイロフォーム(ダウ化工)を切削成型した提案 座面と背もたれに交換した.また,表面に厚さ10 mmの ウレタンフォーム(密度35±3 kg/m3 )を張って接触感 を向上させ,全体を布地で覆って表面の摩擦抵抗を従来 オフィスチェアに近付けた.市販椅子の座面高は設計値 まで下げられないため,足台を使って相対的に低くした. 机面高700 mmの机上にキーボード面を10°傾斜させた ノートPCを置き,試作椅子に着座させて後述のノート PC作業を行わせた.また,図20(b)の水平机面で,一 般的なオフィスチェアを用いた従来条件についても計測 した. 4-2.作業量の評価 表1(4-2)の8名について,ニュース記事のタイピング y=0.96x−379.20 r=0.70 484 895 男女50 パーセン タイル 400 450 500 550 600 800 850 900 950 1000 座高[mm] 最凹点位置[mm 図17 最凹点位置

Fig. 17 Most depressed point position of the chest.

y=0.55x+41.09 r=0.54 79 70 75 80 85 90 50 55 60 65 68 70 75 80 背もたれ角度[deg] 背もたれ上部角度[deg 図18 背もたれ上部角度 Fig. 18 Upper backrest angle.

100 100 12° 10° シート 基準点 350∼410 118 314 354 378 700 キーボード面 10° 上端点 最凹点 7 223 484 603 最凸点 最凹点 最凸点 左右傾斜外縁形状 前端点 68° 79° 図19 提案椅子形状

Fig. 19 Proposed seat shape.

従来オフィスチェア 700 mm ノートPC平置き (b) 従来条件 700 mm ノートPC傾斜 提案オフィスチェア (a)提案条件 図20 評価実験条件

Fig. 20 Experimental condition for design evaluation.

Word課題(字) Excel課題(段) 平均 標準偏差 従来条件 1457.3 446.9 提案条件 1501.3 524.1 従来条件 20.4 5.8 提案条件 17.5 5.4 表2 作業量の比較

(7)

(Word課題)と売上表の作成(Excel課題)を20分間ずつ 行わせた.作業への慣れを考慮して,図20の作業環境条 件の順序は被験者によって変更した. 作業量の結果を表2に示す.Word課題ではタイピング 文字数を,Excel課題では表の作成段数を達成度とし,こ れらを椅子2条件で比較してt検定を行った結果,作業内 容によらず椅子間での有意差はなく,試作オフィスチェ アは従来オフィスチェアと比較して作業性を低下させる ことはないことを確認した. 4-3.作業姿勢と体圧分布の評価 表1(4-3)に示す被験者に座面高と机との距離および ノートPC位置とディスプレイ角度を調節させ,5分間ノー トPC作業をさせた後,ホームポジションに第2指を置いた 姿勢を空間座標計測装置(小坂研究所,VMC5243L)で, 体圧分布をシート型圧力センサ(ニッタ,BIGMAT)で 計測した.姿勢と体圧分布の計測例を図21に示す.従来 条件と比較して体幹は平均11°後傾し,首は平均9°起き た.視線は平均16°で,従来条件よりも平均7°水平に近 付き,適切な視線角度範囲0∼20°9)内であった.視距離 は550∼680 mm程度で両条件間に有意差はなかった.座 面高は358∼410 mmで,提案の範囲内で満足した. 従来条件では,目の高さを下げるために背を丸めるが, 図21の体圧分布から,提案条件では,接触面積は背もた れで平均11%,座面で平均8%増加し,腰まで支持して いることがわかる.背もたれのピーク圧は,従来条件5± 3 kPa,提案条件7±3 kPa,座面ではそれぞれ20±5 kPa と22±7 kPaとなり,いずれも有意差はなかった. 4-4.筋負担の評価 異なる作業姿勢をとる表1(4-4)の男性3名について, 携帯型データ収集解析システム(S&ME,Biolog DL-3000) を用い,予備実験で負担が大きかった僧帽筋,三角筋前 部,脊柱起立筋の筋電位をサンプリング周波数1000 Hzで 計測した.作業は15文字程度の語句入力とし,各2回ず つ計測した.また,僧帽筋と三角筋前部については,体 幹を直立にして視線を水平にし,上肢を水平にして掌を 下向きにした姿勢を,脊柱起立筋は自然立位姿勢から体 幹を15°程度前傾させた姿勢を基準姿勢とし,基準姿勢 での5秒間の平均筋電位で動作時の筋電位を基準化した. 基準化筋電位の比較を図22に示す.提案条件では肩の 開きが小さく,首が自立し,体幹が後傾するため,被験 者ごとの基準化筋電位変化量の全被験者平均値は,従来 条件と比較して三角筋では9%,僧帽筋では71%(従来 条件で極端に大きな活動を示した1名を除くと25%),脊 柱起立筋では26%減少した. 4-5.むくみの評価 図7に示したように,低身長者(低座高者)は座面を上 げるため,膝裏圧迫による下肢のむくみが起こりやすい8) このため,表1(4-5)の女性5名を対象に,川上ら8)と同 一の方法で,4-2節で述べたノートPC作業中1分ごとの生 体電気インピーダンス(BI値)8)を計測し,BI値の標準偏 差で基準化した同論文の比較用BI値を求めた. 椅子2条件で比較してt検定を行った結果,図23に示す ように,40分後の提案条件での BI値は,従来条件より 35%有意に減少した. 7 kPa 32° 15° 109° 20 kPa 背圧力 6 kPa 24 kPa 視線角度24° 骨盤角度94° 首角度48° 200 200 座圧力 従来条件 提案条件 図21 姿勢と体圧分布の計測例

Fig. 21 Example of sitting posture and pressure.

左側:従来 右側:提案 被験者H 被験者Q 被験者R 三角筋 僧帽筋 起立筋 基準化筋電位 [%] 0 20 40 60 80 100 260 図22 筋活動の比較

Fig. 22 Comparison of muscle activities.

** 従来 提案 ** p < 0.01 むくみ大→ 比較用BI値 8) 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 被験者A B D G 被験者I 平均 図23 下肢のむくみ Fig. 23 Leg swelling.

(8)

4-6.姿勢変動の評価 異なる作業姿勢をとる表1(4-6)の3名について,頭, 胸,骨盤,大腿,下腿,上腕,前腕の体節中央部・体幅 方向中央部に加速度センサ(ATR-Promotions,WAA-010) をつけ,ノートPC作業中の姿勢変動を計測した. 姿勢変動の計測結果を図24に示す.従来条件では,図 21に定義した骨盤角度を頻繁に変えているが,提案条件 では,いずれの被験者でも座り直しはほとんどなく,体 幹が安定していることがわかる. 4-7.官能検査と実作業評価 表1(4∼7列)の8名について,ニュース記事のタイピ ングと店舗売上表の入力作業を連続して20分間ずつ作業 させた後に,座面の前滑り感に対する嗜好型5段階官能評 価(1:不快,3:どちらでもない,5:快適)を行った. その結果,全被験者がすべての項目で3以上と評価し,固 定した背もたれ角度を含め,提案椅子形状を許容した. また,図25の実用試作を行い,男性11名(平均年齢40 歳,平均身長 1715 mm,平均体重 67.5 kg)と女性 4名 (同29歳,1615 mm,48.5 kg)について,実際のオフィ スで90分試験使用後に聞き取り調査を行った.その結果, ノートPC作業に適するが,書字や電話が多い職種では体 幹を起こす負担があった.これは椅子にチルト機構をつ ければ解決できると考えられる.

5.おわりに

オフィスのフリーアドレス化に対応するために,ノー トPC作業に適したオフィスチェアを提案し,10°傾斜さ せたノートPC台を併用することで,作業量を低下させず にタイピング中の筋電位を軽減し,40分間作業時のむく みも減少することを確認した. 謝 辞 提案椅子の実用試作と現場評価には,株式会社岡村製 作所の助力を得た.ここに記して謝意を表する. 参考文献 1) 岩切一幸, 毛利一平, 外山みどり, 野瀬かおり, 落合孝則, 城内博, 斉藤進:フリーアドレス形式オフィスレイアウト でのVDT作業者の姿勢および身体的疲労感, 産業衛生学 雑誌, 48, 7-14, 2006. 2) 岩切一幸, 毛利一平, 外山みどり, 堀口かおり, 落合孝則, 城内博, 斉藤進:VDT作業者の身体的疲労感に影響する 諸因子の検討, 産業衛生学雑誌, 46, 201-212, 2004. 3) Saito S, Miyao M, Kondo T, Sakakibara H, Toyoshima

H:Ergonomic Evaluation of Working Posture of VDT Operation Using Personal Computer with Flat Panel Display, Industrial Health, 35, 264-270, 1997.

4) Asundi K, Odell D, Luce A, Dennerlein J T:Notebook computer use on a desk, lap and lap support:Effects on posture, performance and comfort, Ergonomics, 53(1), 74-82, 2010. 5) 稲田高洋, 山崎信寿:快適VDT作業姿勢と身体支持条 件の提案, 人間工学, 37(特), 390-391, 2001. 6) 松尾拓磨, 山崎信寿:下肢の安定性を高める自動車助手 席シート・フロア条件, 人間工学, 48(1), 27-34, 2012. 7) 大谷光司, 山崎信寿:起立と着座が容易な自動車シート の開発, 人間工学, 43(4), 219-227, 2007. 8) 川上慶, 川本貴志, 山崎信寿:女性のVDT作業姿勢に対 応したむくみ軽減オフィスチェア, 人間工学, 43(5), 252-260, 2007. 9) 窪田悟:VDTスクリーンに対する好ましい視線の角度, 人間工学, 23(特), 58-59, 1987. 10) 生命工学工業技術研究所:設計のための人体寸法デー タ集, 日本出版サービス, 東京, 1996. 被験者E 被験者H 被験者R Excel課題 Word課題 従来条件 提案条件 0 10 20 30 40 作業時間[min] 骨盤角度[deg 120 150 180 120 150 180 120 150 180 図24 骨盤の姿勢変動

Fig. 24 Pelvis posture changing.

仮補強フレーム

図25 実用試作ノートPCチェア

Tab. 1 Characteristics of participants.
Fig. 5 Definition of length and angle of seat shape.
Fig. 11 Side support base distance.
Fig. 13 Side support top distance.
+4

参照

関連したドキュメント

Results: TSE-DTI with b-value of 400 s/mm 2 and 32 di ff usion-directions could reduce the image distortion compared with EPI-DTI, and showed that the average FA values on

External fixation pins of Ti-I 2 , pure titanium or stainless steel.. (diameter: 2 mm; length: 45 mm) were used

The 33-mm opening bottle shows a smaller value in Item 3 The flow volume through the opening is large but a higher value in Item 2 The flow volume through the opening is

Contrast-enhanced computed tomography revealed a 20 mm polypoid tumor in the dilated distal bile duct, which exhibited early enhancement and papillary

Thus, in this paper, we study a two-phase fluid model for blood flow through mild stenosed narrow arteries of diameter 0.02 mm–0.1 mm at low-shear rates γ &lt; ˙ 10/sec treating

単位:mm.. 製品番号

[r]

Considering the engine performance tests of the engine with a throttle diameter and the flow of air restrictor by CFD as test parameters, caliber 40 [ mm ] and length 20.. [ mm ]