熊本大学学術リポジトリ
炎症 : 防御と自己破壊のはざまで
著者 吉永, 秀
雑誌名 東光原 : 熊本大学附属図書館報 = Kumamoto
University Library bulletin
巻 3
ページ 2‑3
発行年 1992‑11
URL http://hdl.handle.net/2298/10093
東光原
炎症 防御と自己破壊のはざまで
吉永秀
肺炎,肝炎など「炎」と名のつくものは炎 症と呼ばれる病気のカテゴリーに入っており、
当然、治療の対象になっています。また,
ちょっとした傷が化膿するとか,虫刺され,
火傷などもこの炎症と呼ばれる状態で不快な もめです。こんな炎と名のつく病気がなけれ ばどんなに快適かと思われます。ところが,
さまざまな原因によってこの炎症反応力量起こ らないヒトや動物がありますが,実はこのよ うな状態は大変重篤な病気であって,現在⑳ 医療水準では,この状態のヒトを長く生き残 らせることは至難の技なのです。炎症が起こ らないような個体は,外界に無数に存在する 微生物の侵入を食い止める力に欠けており,
結局は侵入してきた微生物の犠牲になります。
つまり,炎症という病的状態を起こす仕組み は生体防御という重要な生理的な機能と裏腹 になっているとも言えます。この地球上では 広範な場所が多様な生物の住処になっており,
われわれ”体も微生物や寄生虫の住処として 格好の場所ですので,これらの微生物の侵入 と増殖とを防ぐ機能が備わってはじめて生存 が可能であり,この仕組みの-つが実は炎症 なのです。
われわれの体は侵入する微生物を殺し排除 するための様々な道具を備えています。この 道具のうち最も強力なものは活性酸素と呼ば れる不安定な酸素原子の一群であり,まわり のものをただちに酸化して殺してしまう剣呑 な武器なのです。したがって,侵入者を排除
することはただちにその周りに存在する正常 な組織や細胞も殺すことになり,この状態が ひどくなった場合が病気としての治療の対象 になっているわけです。このような剣呑な武 器を使用することについては厳重な制御機能 が備わっているのですが,防御は侵入異物露 数が少ないうちがより有効であり,このため 異物の共通の特徴を認識してなるべく早く,
この武器を用いることが末端の防御にかか わっている細胞に許されており,中枢での制 御は極めて緩やかにしか行われない仕組みが 成立しています。ただし,この反応は極力狭 い範囲でしか行われないようになっています ので,炎症は局所を犠牲にして全身を譲る反 応であると昔から考えられてきた理由でもあ
ります。
一方,侵入者がこめ第一線防御網を突破し たり,または単純な第一線鋤異物認識能力を かい<ぐって侵入する場合には,生体はさら に困難な局面に出会うことになります。無差 別で剣呑な武器を所かまわず発揮きせること は個体の死にも結び付きかねないことですの で,生体内に存在するものが異物か,自己成 分かを精密に見分ける必要があり,免疫と呼 ばれている仕組みを発動することでこの問題 を解決しようとします。この仕組みは以前に 同じものが侵入したことがあればより強く発 揮ぢれるように記録まで残しているしザ異物 鰯認識についても,微生物の持つ共通な性質 といった,すり抜けることが容易な仕組みで
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第3号1992.11
はな〈,すべてから自己の成分を除いたもの が異物であるとする定義を採用しており、現 在はこの世の中にないような異物についても 予定異物として認識する能力があります。生 体が異物を即座には排除できなかった場合に は,この精密な認識系により異物が自己釣成 分ではないと認識された場合にめみ剣呑な武 器の広範な使用が許されるようになっていま す。しかし、世の中には完全などといえる仕 組みはないもので,この異物識別の間違いに よる病気もあり,また必要以上の異物排除機 能が発揮されて病気が重篤になることもあり$
ここに医療が介入して防御の仕組みをコント ロールし治療の目的を達する機会が存在し
ているのです。
このような単純で剣呑な異物破壊の道具し か持たない防衛のための仕組みがかなり未完 成なのか,または,自己統一性を保つために はこのような仕組み以外には選択の余地がな いのか,われわれには神の御業を批判する能 力はないのですが,精神的な問題,社会的な 問題なども含いて,統一性を保つ仕組みの難
し苔を感じてしまいます。
〔医学部分館長病理学)
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シリーズ熊本大学附属図書館蔵特殊資料紹介2
(2)宇治I准平契状(原本写真を表紙に掲城、原文解説を次ページに掲載)
一服触医1打川》【絃闘蝿一ひこのくにjbりとみのしやうの事、こさねすみ{し呪)一水久》【Ⅲ仏符一の、やうきう一一一ねん正ロ川十八日、かうさのみや{鋼)の神りやうたづロへきよし、けいやく候事、|幽鮒)(街猯】けんせんに候、‐しかワ毎に、さんぬるほうちの[川肌】{r地一ころ、くむんとうめけんゐをうUて、したち
【鮪冊一(1典神川をかす胸とられ、たうしやの御ねんくしんよう米】まいをうちととめられ候を、いま神明づ荷う{門)(捌肺)きやうの御よに、’一一のみや御》)うきやうのあいた、かうさの一淵阿}{柵竃}みやは、たうこぐの一一鰯みやにて御わたり膿へは、しゃけの御夛爪Ⅲ}(揮川}一安端〉ちうちとして御そうj・ん膿て、御あんとのときは、苔ねすみ{崎澗戦)のけいやくにまかせて、Jbn/とみのしやうぬぞたうまい、【悔忠』まいねん一・はんふんお、けたいなく、ゑいたいをかきりて、卜し
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極少僧都悪球(花押苫 〈宇治惟平契状)
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