• 検索結果がありません。

玉 元 平

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "玉 元 平"

Copied!
17
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

人ロ成長と生活水準

159

児 玉 元 平

1

 近代的成長理論の多くは人口成長をもっぱら外生的変数として取扱っている。たとえ ば,ハロッドは,人口理論の重要性を十分に認識して,「人口理論は,かって経済学の必 要欠くべからざる部分であった。私は,それは近代的著作において復:位されねばならぬと いう意見をもっている。」と述べているが,彼の成長モデルではその発言にもかかはら          (1)

ず,人口成長には第2流的な外生的変数としての地位があたえられているにすぎない。彼 のモデルにおける主役は資本係数と貯蓄係数である。一般的に人口成長は外生的変数とし て取扱ふ仕方の思考の背景は,人口成長率を規定する要因一しかも重要な要因として 一は経済的条件から独立的であるということである。ロビンソンをあげて見よう。彼女 はつぎのように述べている。「人ロの変化をどのように取扱うべきであるか。現実におい ては,労働の供給と資本の蓄積とは相互に独霊的ではないが,両者の間の内的結合関係は 単純な定式に還元しうるものではない。多くの場合,人[]の大増加,したがって労働力の 大増加は,高い出生率を相殺するほどに高かった従来の死亡率の低下を通じておこってい

る。これは,資本蓄積がもたらした富増加の一つの結果であるかもしれないが,しかし,

人口増加は,一部分は,富の成長ときわめて漠然とした関係しかもたない諸要因(たとえ ば,医療知識の発達とその普及)に依存するものであって,人口増加が明らかに富の成長 に帰因しうる場合でさえ,人口増加は,それをもたらす生産力の発展とは全く比例しない 人数の変化をもたらすことがありうる。死亡率の低下につづいて従来しばしばおこった出 生率の低下は,人口成長を緩慢ならしめるか,あるいは,逆転せしめるものであるが,それ は,生活水準の上昇と工業化にともなう心的態度の変化と明らかに関係をもっている。し かし,また,人口増加は,それ自身の法則にしたがうものであって,その法則は,決して 完全に理解されるものではなく,まして,変化しつつある生産力の単純な一つの関数に還 元することはできないものである。……したがって,資本の蓄積と労働力の成長とを二つ の独立要因一相互に調和することもあろうし,調和しないこともあろう一として取扱

うことが最善であるように思われる。」

       (2)

 最近,人口成長を経済成長モデルの内生的変数として取扱う分析が展開されている。特

に,低開発経済における,低位均衡所得水準のトラップを説明する手段として,人口成長

率を平均所得水準の関数としてモデルに導入せられる。最も代表的なものとして,ネルソ

(2)

ンとライベンシュタインのモデルがあげられる。特にライベンシュタインの臨界的最小努       (31

力の命題(The Critical Minimum Effort Thesis)は,内生論人ロ成長のパターに依存 する。この命題は人口的思考を後進地域発展理論の内部理論にまで最も成熟せしめたもの と考えられる。臨界的最小努力の命題では初期条件としての投資(外生的刺戟)による平      (4)

均所得水準の上昇程度が十分に大きく,低位均衡よりの離脱が一定の限界線を超える程の 大きさでなければ,恒常的な発展を確i保することはできず,経済体系の構造的パラメータ ーがたとえ発展に有利なものであっても,初期における投資導入額が臨界的最小限の水準 で平均所得を上昇せしめるには余り少なすぎるものであるならば,経済発展の軌道にのる ことができないことを教えるのである。「後進的な状態から脱して,堅実な長期成長を期 待しうるいっそう発展した状態に移行するためには,必要条件として一必ずしも十分条 件ではないが  或る点まで浸る;期間でその経済は最小規模より大なる成長への刺戟をう

けねばならぬ。」ライベンシユタンの理論は一種のtake−off理論である。

     (6)

 もっとも,後進的経済の成長モデルのみが人ロ成長を内生的変数とすべきであるという わけではない。一般的に経済成長のパターンは,人口成長,資本蓄積,技術的進歩のパタ ーン,生産の技術的諸条件等に依存する。これらの要因の依存関係を吟味することは,均 衡成長の条件と内容を考察する上にきわめて重要である。人口成長を単純にモデルの外生 的変数として規定するよりも,むしろ,これを内生化し,その変化のパターンが均衡成長 の条件をどのように制約するか,逆にいえば均衡成長の条件が成立するためには,人口成 長のパターンがどのようにあるべきかを明らかにすることは理論的にも実際的にも重要で

ある。

2

 人面成長率と一人当りの所得水準との関係をつぎのごとく仮定しよう。

 第1図で縦軸に人口成長率を,横軸に一人当りの所得水準を測る。Osの所得水準では 成長率零の生存水準を示す。一人当りの所得水準がOs水準をこえると,人口増加への刺 戟が生ずる。まず,死亡率の低下によって生ずる。所得水準がさらに上昇すると死亡率は

さらに低下するが,出生率は都市化,工業化,婦人の社会的地位の向上等の影響によって 低下し始める。さらに死亡率の低下は医療技術によって制限されるが,生活水準の上昇が 出生率にあたえる社会的影響は益々強くなり,入隊成長率はおそかれ早かれある極大値

(1皿)に達する。さらに一人当りの所得水準が上昇すると,家族計画,避姐の普及はさら に生産率を低下せしめ,人口成長率は極大率より小となるであらう。そしてさらに一人当 りの所得水準が上昇しつづけると,人口成長率は低下しつづけてあるコンスタントな水準 に達する。この水準は全人口にとってのぞましい最小限の家族数によって規定せられる。

一人当りの所得水準がさらに上昇しても,人口成長率はこの水準でコンスタントである。

これを人口成長率の制限的水準と名付けよう。

(3)

人ロ成長と生活水準

君m

161

  0

        第    1   図

しよう。生産規模について収穫不変を仮定して,生産関係数をつぎのごとくおこう。

       Y黒F(K,L)      (1)

Yは産出量,Kは資本ストック, Lは労働量を示す。この関数では労働の平均生産物Y/L は資本労働比率K/しの関数として示される。

       ÷一f(KL)        (2)

さらにまたつぎの関係があたえられる。

       YY Lf(≦L)

       τ=一ガ「《一=一二L一       (3)

資本の成長率をkで示すと,

       k躍ト詳       14)

この式でsは貯蓄率を示 Y/K す係数である。そこで既 述の人口成長関係を導入 した成長モデルはつぎの ようなグラフで示され る。人口成長率はY/しに 依存し,Y/LはK/しに 依存するから,人口成長 関数はK/しと第2図のご とく結びつく。資本成長 率と労働人ロの成長率と は三つの点で一致する。

技術的進歩のない成長均

    ここで,労働人口と総人    口とを同一と仮定しよう。

   このことは勿論,人口構成    に関連した重要な諸問題を    無視することを意味する。

   たとえば,出生率の上昇は    労働人口の増大を生ずるが    それには時問的遅れを伴    う。このラッグの期間では    依存率はとくに高いであら Σ    う。次章で総人口と労働人

L

   口の区別と依存率とを導入

Y/K

OS

(KIL>。 (K/L)エ(璋L)2    第    2    図

L

(4)

衡の条件はy.一k一♂である。第2図から第3図が求められる。(K/L)、点で示される均衡        は不安定的である。(K/L)、の左側への離脱はK:/しの値をますます減じて        (K/L)bに近づかしめる。反対に(K/L)、の右測への離脱はK/しの値 k一尼

をますます増大せしめて(K/L),に近づかしめる。(K/L)。点での均衡 は安定的な低位所得水準のトラブを示し, (K/L),点での均衡は安定的 な高位所得水準のトラップを示している。

(K/L)、 (K/L)2K

0 (K/L)。 τ

3

3

 前章で人口成長率を導入した単純な成長モデルを示した。この章ではさらに考察の焦点 を均衡成長の状態に限定して人口成長と所得水準乃至生活水準との関係をもう少しほり下 げて吟味してみよう。

         (6)

 ここで総人口(L、)を財産所有人口(L。)と労働者人口(Lw)とに区別しよう。これ らの人口は消費単位で測られる。さらに労働の単位で測られた労働人ロをL、現実に雇用 される労働人口:しで示さう。失業率はL、一しで測られる。完全雇用ではし。=L ある。

われわれの想定する経済体系では,労働者は貯蓄しない。したがって財産を所有せず,土 地と資本を所有する財産所有者は労働せず,財産所得を獲得し,一部分を貯蓄すると仮定 する。そこで国民所得(実質産出量)をY,総貯蓄をS,総貯蓄率をs,財産所得をPと

 (7)

すると

       S=SY=SpP      (1)

s.は財産所得よりの貯蓄率を示す。均衡成長の一つの必要条件は貯蓄投資の均等条件であ

る。

       S−1      (2)

投資は資本Kの増分を意味するから,資本成長率は(2)より,

       k一幽幽一・÷       (3)

 生産の技術的関係については生産要素間の代替弾力性が1の場合とOの場合の二つのケ ースに限って考察する。まず代替の弾力性が1の場合から出発する。生産関数をつぎのご とくおく。

       Y=F(K,L, N, t)       (4)

Nは土地要素を示し,tは時間の経過にともなう技術進歩を示す変数である。生出量は生

産要素の投入量の増大のみならず,時間の経過によっても増大する。さらに,生産規模に

(5)

 人口成長と生活水準       163

ついて収穫不変を仮定する。(4)よりYの成長率の式を求める。

       dY  l  ∂Y  K  dK  1

       ∂Y  L dL  1

       −drゾ=一∂K一了一ヨrK一+3∬』Yrir一∬一

       +男RL誓一即+蓄→    (5)

Yの成長率をy,Kの成長率をk, しの成長率を1, Nの成長率をnで示し,

       塞督一U・葉叢一一Q,器一翌…一Z

とおこう。これらは,各生産要素についての生産弾力性を示す。もし,各生産要素がその 限界生産物に比例して報酬をうけるとすれば,U, Q, Zはそれぞれの要素の所得分配率 を示す。仮定により

       1−U+Q+Z      (5>

(5)式の右辺最後の項目は技術進歩率を示し,rで示す。そこで(5)は,

       y−Uk+Q♂+Zn+r      (6)

均衡成長の状態ではy−kであるから,

       y」響誓「一       (7)

ここでn−0と仮定すると,

       y一回     1    (8)

一人当りの所得成長率は,

       r−ZZ        y−z=

      (9)

       1−u

この場合Z1は固定的な土地の量に対する人口増加の圧力を示している。もし土地が自由 財であるならば,

       y+、二U        α0>

で示される。(9)式でr一幻であるならば一人当りの所得水準は上昇しない。技術進歩率が 人口増加の圧力より大である限りy−1>oとなる。財産所得はP一(1−Q)Y,貯蓄 は財産所得についてのみなされるから,

       k一一晋一鍾fQ)エー警舌     (11)

いま,貯蓄率s。は財産所有者人口の平均所得水準の関数と仮定し,第4図のごとく示さ う。s.はその制限値百.にいたるまでは財産所有者人ロー人当り所得水準の増加関数で ある。OAはs.一1を示す。 O,、の水準では貯蓄率はOBであると, BA一(1−s。)そ

こで,

       BCEA一⊥1一恥)爺L過域     働

一人当りの消費支出一レンテイヤー支出一の水準を示している。さらに,総人口を L,としwと分けているから,いまL。の成長率をP/L,の関数として第5図のごとく示そ

う。労働者人口については,労働者は貯蓄しないから,その貯蓄率曲線は示されない。労

(6)

P/Lp

王ソLp

P1

0

1

1 1

1 3

C 1 E

1 3 3 9

1

1 1

1

9

B

4

 0     伽   ¢pm

      第    5    図

率と♂wとの関係は第6図la)で示される。 ZwmはLw増大の極大値を示し,

ントな制限的水準を示しており,実質賃金率が上昇しても成長率はこの水準でコンスタン トである。第6図(b)はwとDとの関係を示し,ここでは人口成長率が大であるほど依存率 も大であると仮定されている。15は7wに対応するコンスタントな制限水準を示してい

る。

 まず労働人口について一人当り所得水準の変化を吟味しよう。均衡成長の状態では1は  _         Sp

 Sp   A

  図

  働人口Lwの成長率1wはその平均所   得水準の関数として示される。

  ところで,

      QY QY L,

      Lw  L、 Lw

        」野ち㈹

  ここでしw/L.一Dは依存率 (depe−

  ndency ratio)を示す。完全雇用の        (9)

  仮定ではし、一L,そこでQY/L、一   QY/L−wとおくことができる。 w   は実質賃金率を示す。労働人口の生   活水準一消費単位で測られた人口

尼P

  一人当りの所得水準  は賃金率と

  依存率とに依存する。そこで,賃金

       ♂wはコンスタ

(7)

人口成長と生活水準      165

      ,      噸  W       整      W       置・

      コ       ほ

      l  i     l i

      !  {      i i

   ・     {    l       l

      l     l       量    1       ;    }      1   且

      1       1      聾

       ロ       コ

      {   1      、  1

      1        1       1      1       1         審      1      竃       1        6      、       己      l       l         l       匿      1       巳        l       l      9       ユ      ロ

      i  i      l i

      l      l      l       電

      1        馨       1      撃       1         8       1       巳

      ロ      ロ       ほ       ロ

         _      尼w        _      D

o .尼w 尼㎜  O  D Pm

      (の      ⑤        第    6    図

コンスタントでなければならない。ところでLw=Dしにより,

        告一亡一誓一右+審・士        (1の

そこでZwとDがコンスタントであれば1はconstantである。第5図を見る。きわめて高

 P/Lp

   P

   P4

   0

  W

   W3    厨

W4

0

Sp

ゑP

       名P

lm

@   l

@   I    l

       一 戟@       S恥Sp4 Sp

o

5

_         尼w       _

テw − 尼㎜      DD4「Dm

Q尼w+rZ

1−U

7

(8)

いw3の水準では,1wとDはその制限値乙と万に達してコンスタントである。賃金率と労 働者人口の生活水準は1wの変化,したがってZの変化をともなわずに張りなく上昇しう る。次にw、の低い水準を見る。1wはr/Zの水準である。DはD、である。Dがこの水準でコ ンスタントであると,Z=1w=r/Zである。 y−Z=o,即ちY/Lは』コンスタントであ る。この状態で均衡成長は成立する。

 財産所有者人ロについて見る。均衡成長の状態では総貯蓄率sはコンスタントであらね ばならぬ。仮定によりQはコンスタントであるから,s。がコンスタントであらねばなら ぬ。二つの場合が考えられる。p、の高い水準ではs。はす。である。この場合,財産所有 者人口の生活水準:は限りなく上昇する。次にp、,p、の低い水準を見る。貯蓄率はs。,,

s。、である。一人当りの所得水準がコンスタントであるためには (1−Q)Y/L。の式 において仮定によりQはコンスタントであるから,Y/L。がコンスタントでなければなら ない。そこでy−z。。yの値は(8)式でコンスタントな1の値に依存する。♂がZw=・一rwの水 準でコンスタントであると,

         Q♂w+r

       −1。      ㈲        y=

         ユーu

となりん=r/Zの水準でコンスタントであると,

       y−1一老一ち        α6)

となる。

4

 この節では生産要素間の代替弾力性が1であると仮定して,財産所得者(以下資本家と よぶ)人口の生活水準と賃金率wとのそれぞれのセットを吟味することにしたい。

(1)資本家聖人ローの生活水準がp2,賃金率がw、の水準である場合。

両人口の生活水準はともに上昇的である。その条件を考えよう。

(a}QY/Lwが上昇的であるためには, y>lw,1=Zw<r/Zであらねばならぬ。

(b) (1−Q)Y/L。が上昇的であるためには,y>7。であらねばならぬ。しかし,1=

茜であると,

       警♂串〉あ       (・)

であらねばならぬ。

(c}♂が7wでコンスタントであるためには,賃金率はw≧茄でなければならない。即ち このような高い賃金率の水準に達する程労働人口の絶対的大きさは他の生産要素に比して 相対的に小でなければならない。

(d)s。が百。の水準でコンスタントであるためには,生活水準炉きわめて高くp≧Fでな

ければならない。即ち,資本家的人口の総体的大きさがPをしてこの亨の水準に達せしめ

(9)

人口成長と生活水準

167

る程小でなければならない。

(e)均衡成長の条件としてy−kが成立しなければならない。

       (1−Q)すpY  Q7−w+r

      K =r_o      (2)

この条件を成立せしめるような他要素に対する資本ストックの調整過程がなされておらね ばならない。

 ここで一つの問題点が生じる。労働者人ロの生活水準が継続的に上昇可能であり,しか も現実に生じるならば,労働者の貯蓄は零という仮定はどこまで保持できるであらうか。

労働者の生活水準の継続的な上昇の結果,労働者は貯蓄し,それが資本に化体されるにい たるならば,労働者も財産所有者となり,最初の仮定は放棄せざるえなくなるであろう。

かくて労働者貯蓄率s。を導入したモデルの設定が必要となる。パシネティ問題がおご

る。

 ㈹

(2)資本家的人口の生活水準はp,で労働者の賃金率はw、の水準である場合。この場合,

Pは上昇的で,wは停滞的である。均衡成長の状態ではつぎの条件がみたされねばならな

い。

(a)wが停滞的であるたあにはQY/Lよりy=♂,そのためには1w−r/Zでなければなら ない。そこで1w=1−yとなる。人口成長率については1wm>r/Zでなければならない。

(b)資本家的人口の生活水準が上昇的であるためには7。<yであらねばならぬ。そこ で,♂。〈r/Zであらねばなら。

(C)W=W、。労働者人口の絶対的大きさは賃金率をしてこのような低い水準にいたらし めるほどに他要素に比して相対的に大であらねばならない。

(d)P≧万。資本家的人口の総体的大きさはその生活水準をして百の水準に達せしあるほ ど十分に小でなければならない。

(6)均衡成長ではk−y。y−Zであると1−y−r/Zである。そこで総貯蓄率 s=

(1−Q)す,でもって資本成長率がk−sY/K−y−r/Zとなるよう資本ストックが存 在しなければない。

(3)資本家人口の生活水準はp,,労働者の賃金率wはw、の水準である場合。このような 状態はつぎの条件がみたされねばならない。

(a)労働者の賃金率,生活水準が継続的に上昇するためにはQY/Lよりy>1,即ち,

♂<r/Z。QY/Lwが上昇的であるためにはy>1。,そこでr/Z>7 wでなければならない。

(b) ♂・一7▼であると,

       y_」勉エ±∫

      1−u

また,資本家人口の生活水準が停滞的であるためにはy−1。,そこで

       ち・≧1冷ぎ

(10)

でなければならない。

(c)w≧斎。労働者人口の総体的大きさは他要素に比して相対的に小でなければならな

い。

(d)P=p3。資本家的人口の絶対的大きさはこの低い生活水準に達せしめるほど大でなけ ればならない。

(e)k−yの条件は,貯蓄率s.、と労働人口の成長率7wとで

       (1一雫飾・Y一華壱「      (3)

 この式を成立せしめるような資本ストックが存在しなければならない。

(4)資本家的人口の生活水準がp、,賃金率がw、の場合。均衡成長の状態ではつぎの条 件がみたされねばならない。

(a)1wm≧r/z。この範囲でQY/L, QY/:Lwコンスタントでは, y=♂=1w=r/z

(b)♂。m≧r/Z この範囲で1.=r/ZならしめるPの水準が存在する。1−y=r/Zである と,資本家的人口の生活水準が停滞的であるためにはy−1,であるから,1p=r/Zであ

る。

(C)W=W、。労働者人ロの絶対的大きさはまた大であらねばならぬ。

(d>、P=p、。資本家的人口の絶対的大きさは大であらねばならぬ

(e>k−y.の条件は,貯蓄率s。、において,

       (1−Q)Sp 4 Y_y_,工_       (4)

      K         Z

資本ストックは(4)式を成立せしめるものでなければならない。

    一       一    5

 前節では生産要素間の代替弾力性が1であると仮定された。U, Q, Zはコンスタント であった。そして・技術進歩は産出量増大的な型のものと仮定した・弔の節では生産要素 間の代替弾力性が零であるような生産システムを仮定しよう。固定的な生産力係数として

       ÷一α・÷一β      (・)

τは能率単位で測られた労働投入章を示す。ここでは技術的進歩はハロッド的に解釈して 労働増加的タイプとする。一

       L=emtL、      (2)

mは技術進歩率を示す。土地は制限的要素ではないと仮定して,

         (11>

       Y=min(αK,βemLL。)      (3)

そこで,αK>βemL、であると, Y一βemtL。Q遊休資本が存在する。αK〈βemtL.であ ると,Y一αK,労働の失業が存在する。

       αK=βemtL=βemtL、       (4)

(11)

人口成長と生活水準 169

であると,労働と資本は同時的に完全使用される。ここでは,

       Y/L。≦βemb       (5)

と仮定されるが,資本が相対的に稀少要素であると

       Y一αK       (6)

そこで,

       k_.量Lα、      (7)

      、   K:

また,

       Y=αK=βe臨L       (8)

であるから,成長率は,

       y=k=m十♂       (9}

均衡成長の状態では,D一:Lw/L、はコンスタントである。完全雇用ではし、=L,そこで 1−1wである。労働者は貯蓄しないとすれば,

       y=k=α(1−Q)s。=1w+m       q①

そこで,

       (1_Q)=ノw土m.      σ1>

      αSp

       Q=αsヒニら一m       (12        αSp

上の式は,資本と労働の完全使用を維持するに必要な資本所得と労働所得との分配率を示 している。賃金率については,

       Y       QY

      (1紛        L =βemt・  一L =Qβe皿も

       QY_w_αSp−Zw一二=βe脱        L

      αSp

の式があたえられる。⑩,(12,ωは均衡成長に必要な条件式を示している。

      (12 の可能なケースを吟味しよう。

(1)資本家人口と労働者人口の生活水準が共に上昇可能な場合。

(⑳

ここで,均衡成長の状態における資本家人口と労働者人口についてそれぞれの生活水準

       この場合ではしpとしw とは共に経済の資本存在量に比して相対的に小で,wとP/L.とが1。,1。, s。, Dをして それぞれ7.,7w,ぎ,,万に達せしめる.ほど十分に高い水準にあることが必要である。

また,資本家人口の成長率と労働者人口の成長率が生活水準の継続的上昇を可能ならしめ るほど小でなければならない。さらに,技術的進歩は賃金率の上昇を可能ならしめるが,

この場合,mは1wとDをしてZ。とDの水準に達せしめるほど十分にwの水準を高める に足るものでなればならない。以上の一般的な条件をつぎのようにまとめて見よう。

(a)⑩式より,Yの成長率は,

       y=α(1−Q)一ぎ。=了−w+m       ㈲

(12)

W

W3 マ

W2

W4

 0

.P/Lp

 五

πw

尼wm

        ¢w      _

曹垂窒香@  o(百P−m      D4 D 2 D     Dm

 P4

 0

       第    8    図

(12式より所得分配率は,

       Q翫坐乳=.三・7塑一        αSp

Q>0であるためには,

       αs。一m>♂。

であらねばならぬ。(1の式より,

       α>1己1旦        Sp

(18)は,資本の生産力係数が資本利潤率より大であることを示している。

(b}均衡成長の状態では(11)は,

        (・一Q)一綾潔即一

でコンスタントである。資本家人口の生活水準は,

        P(♂W十rn αSp)Y        Lp    Lp

πP

α百P

∫P

ノ!

@ノ

   

@ 

@

f

    一一 鼈黶@一 ●

2P,(XSp

セP4尼防=吾w十m       Sp4    S恥

D

Sp

(16)

(17)

(18)

(19

(13)

人口成長と生活水準      1ワ1

⑳が上昇的であるためにはy>1.でなければならない。そこで,このケースでは        7P〈一7w十m       (21)

でなければならない。

(c)完全雇用ではし、一L,そこで,均衡成長の状態では,

         βemt

      L、      (22        K=

      α

      ず (d)資本家人口の生活水準がその臨界的水準万より小であってはならないためには,資本 家人口についてつぎの条件がみたされねばならない。

       P−9寄以≧P

       (♂w十mαSp  Lp)㌻

       z酋m萎≧L.

        Sp  P

(e)技術的進歩についてはつぎの条件がみたされねばならない。

この均衡成長の状態では賃金率は,

         αSp一♂w−m       βemち        W=

       αSp

ところで,この賃金率水準はその臨界的水準茄より小であってはならない。

       αSp一∠w−mβem・≧茄          αSp

そこで,このような条件をみたすような技術進歩は,

       _α三ヒ r澤        βemt≧

       αSp一♂w−m

(2)

第6図ではp2とw2の場合である。賃金率がコンスタントであるためには,

       w一滴一Qβ♂・

がコンスタントであらねばならぬ。(28)より,

       讐吉一拙著+m

そこでwがコンスタントであるためには,

        dQ l

         へ コう ニエ 

        dt Q

(231

(2の

(25)

鋤:

資本家人ロの生活水準は上昇的で,労働者人口の生活水準,賃金率が停滞的な場合。

      ⑳

(29「

      (3ω 労働増大的な投術進歩率と同じ率でQが低下しなければならない。このような停滞化はコ

ンスタントな賃金率で労働人口が資本ストックと同一歩調で成長する場合に生ずる。しか

し,この場合では技術的進歩にもとつく利益は全て資本所有者に帰属することになり,Q

は次第に小さくなり零に近づく。もっとも,賃金率が正の水準でコンスタントである限り

(14)

決してQは零にはならない。このよなな所得分配率が変化するような状態では技術進歩は ハロッド的な中立的進歩とはいえない。厳密な意味で均衡成長の状態では所得分配率はコ

ンスタントでなければならない。技術進歩が中立的であるということは技術進歩の果実を 労働者と資本家とが平等に取得することを意味する。

 賃金率が停滞的であり,労働増大的な技術進歩が継続的に生起しているとQは殆んど零 に近づき(1−Q)は殆んど1に近づく。この場合

       y一α(1一二百・一1。+m .      ㈹

であるから,

       y=αSp ,  1w=αSp−m       

(41)

に近づく。つぎの条件があたえられる。

(a)賃金率がw,の低い水準ではZ_≧α百。一mでなければならない。

(b)資本的人口の生活水準が上昇的であるためにはy>1。,そこで7−p<αす。でなければ ならない。

(c) tの時点で資本と労働の同時的完全雇用が成立するためには,

       吾一βゴL        甦2)

の関係がなければならない。

(d)資本家的人口の生活水準についてp,≧亨であるためには,

       P一(ユヂ瑳≧戸    .  (4紛

の式より,(1−Q)が殆んど1にひとしいとすると,Y一αKであるから,資本家的人

口は,

       

       L。≦一一一K       .    (44)

      P      ・

でなければならない。

(e)、技術的進歩の状態はw/βemtの値を殆んど零に近い水準に低落せしめているもので なければならない。

(3)資本家的人口の生活水準は停滞的で労働者人口め生活水準は上昇的である場合。この 場合zは7wでなければならぬから, y−7w+mである。資本家の生活水準がコンスタ

ントであるためにはy=Z。でなければならぬ。グラフではp3で示される。この点で 1。一7w+mである。貯蓄率はs。,である。そこで, y一α(ユーQ)s。,一7『w+m=・1。、

となる。そこで,

         αSp3−Zw−m

      ㈲        Q一

       αSp 3

Qのこの値で資本ストックの成長率は7w+mとひとしくなる。そこでつぎの条件が示さ

れる。

(15)

 人口成長と生活水準       1ワ3

(a)Q>Oであるためには,

       αS。、一m>7一w      ㈹

でなければならない。

㈲ z。一7一W+mならしめる資本家人口の生活水準が存在するためには,

       1Pm≧Zw十rn       (47)

でなければならない。

(c>資本と労働の同時的完全雇用が可能であるためにはt時点で

       長」ゴと一        (48)

の関係がみたされねばならない。

(d》資本家人口の生活水準がp3で停滞的であるためには,

       P一一(1{3)X−P・      @9

ところで(19より

       Zw十m        (1−Q)一

      (5③       αSp 3

Y=αKであるから,人口については.

       恥一二讐     、  (51)

でなければならない。

(e)賃金率が上昇的であるための技術的水準は,賃金率上昇の臨界的水準を茄で示すと,

       α遡  斎       (52)

       βem七≧一

      αSp 3−1w−m

(4)資本家的人口の生活水準と労働者人口の生活水準が共に停滞的である場合。既述のご とくwが停滞的であるためには,技術的進歩率にひとしいQの低下率がなければならぬ。

このことは,技術的進歩による利益は全て資本家に帰属することを意味する。ところが資 本家解党ロの生活水準が停滞的であるためにはy−1。でなければなならい。持続的な成長 状態が殆んど(1−Q)が1にひとしい状態で成立しているような場合ではy一αs。であ

るから,

       y=αSp=Zw十m−1P      (53)

でなければならない。1。をしてαS.にひとしい水準を求める。グラフでは1。、とS。、であ る。資本蓄積率と有効労働成長率が一致するならばαS。一1w+m.この1wの値はグラフで w、とD、の水準で示される。そこでつぎの条件が示される。

(a)1w=αSp−mであるためには,

       ♂wm≧αSp4−m       (圃

(b)資本家人口の生活水準が停滞的であるためには,

       y=Zp 4=αSp 4      (55)

(16)

Z。曲線とαs.曲線との交点がなければならない。もし1.曲線が全てのPの水準に,とって αs。曲線の左側に位置するならば,資本的人ロの生活水準を停滞的ならしめるよう高い人

口成長率は存在しないであらう。

(c)資本と労働の同時的完全雇用が成立するためには,

        益」ジー        (56)

の関係式がみたされねばならない。

(d)労働者人口の生活水準が技術進歩にもかかはらず停滞的であると,(1−Q)は殆ん ど1に近い。そこでY一αKにより,資本家的人口はp、一(1−Q)Y/L。より,

       L。一⊥K          ㈲

      P4 である。

 以上の分析は既述のごとく労働者は貯蓄しない,貯蓄は資本家的所得からのみ生ずると いう仮定の下でなされた。このような資本主義経済の下で,既に指摘したごとく,労働者 の生活水準,または賃金率の継続的上昇と上述の労働者貯率零という仮定とがどの点で矛 盾を示すにいたるかという問題が生起する。この仮定が最もよく保持されるケースは,技 術的進歩の果実が,一方的に資本家的人日に帰属するケースであらう。しかし,一この場 合,所得分配率は労働者人口の側より資本家的人ロの側に有利にシフトし,労働分配率は 零に近づく。しかし労働者所得の相対的な悪化は人口成長関数そのものに影響をあたえる であろう。人口成長関数のシフトはまた生活水準そのものに反作用するであろう。またこ のような状態では労働効率の変化を通じて血に影響をあたえるであろう。技術的進歩の果 実が利潤のみに帰属する状態が持続する可能性は考えられない。

(1)R.F. Harrod, Economic Essays,1952, P. V.

(2)J。Robinson, The Accumulation of Capital,1965, PP.67〜68

(3)R.R。 Nelson, A Theory of the Low−Level Equilibrium Trap, The American   Ecgnomic Review,1956.

  H.Leibenstein, A Theory of Economic−Demographic, Development,1954.

  H.Leibenstein, Economic Backwardness and Economic Grow七h,1957.

  これらのモデルについては,拙著「後進経済の成長と人口」(東南アジア研究叢書4)を参   照。

  アーデルマンもまた人Ei成長を内生的変数としだ新ケインズ的成長モデルを展開している。

  Irma Adelman, Theories of Economic Growth and Development,1961.

(4>ライベンシュタインの理諭モデルのもつマルサス的側面を批判して,ピックスはつぎのよう   に述べている。「経済的低開発の因果関係の説明において,これほど支配的な役割を人口要   因に帰せしめることができるであろうか。」J.R. Hicks, Comment, Economic Jou−

  rna1, 1959.       軌

(17)

人口成長と生活水準

(5)

(6)

(7)

{8)

(9)

(10)

α1)

(12)

1ワ5

H.Leibenstein, Economic Backwardness and Economic Grow七h, p.16.

この小論はミードの新古典派的成長モデルルに準拠して展開したものである。

J.E. Meade, A Neo−Classical Theory of Economic Growth,2nd ed.,1962.

J.E. Meade,The Growing Economy,1968,

このような仮定はカレッキー,ロビンソン等によっても導入されている。

M.Kalecki, The Theory of Ecorlomic Dynamics,1954, p.53.

J.Robinson, The Accurnulation of Capita工,1956, pp.73〜76.

ミードはこのような経済をPlantation Capitalism,(簡略にPlantcap)と名付けている。

J.E. Meade, The Growing Economy, P.46.

レンテイヤー(Rentier)という用語は資本(土地を含めて)所有者の家計的側面を示すも のとして使用される。J. Robinson, The Accumulation of Capital p.247, p.69.

拙著「巨視的分配の理論」 (1968)参照。

依存率は消費単位で測った人口と労働単位で測った人払との比である。依

存率は人口の年令構成と男女構成とに依存する。 」.E. Meade, The Growing Econo

my,pp.120〜122.

L.L. Pasinetti,更ζRate of Profit and Income Distribution in Relation to the

Rate of Economic Growth, Review of Economic Studies l962.

技術進歩のこの定義はロビソンの「労働効率の全面的上昇」という思考に相当す。

J.Robinson,くThe Classifications of Inventions, Review of Economic Studies,

ユ938,p.140.

ハロッド的中立技術進歩をこのタイプのものと規定したのはウザワとスワンである。

H.Uzawa, q璽Neutral Inventions and the Stability of Growih Eqllilibrium,

Review of Economic Studies,1960〜61, p.119.

T.Swan,℃rowth Models:Of Golden Aages and Production Function,

Economic Development with Special Reference to East Asia,1964.

利潤率を示す式は,

    ・一一妥一一(壕Q遅一一z・誌m一

参照

関連したドキュメント

子どもたちは、全5回のプログラムで学習したこと を思い出しながら、 「昔の人は霧ヶ峰に何をしにきてい

フィルマは独立した法人格としての諸権限をもたないが︑外国貿易企業の委

・私は小さい頃は人見知りの激しい子どもでした。しかし、当時の担任の先生が遊びを

えんがわ市は、これまで一度も休 まず実施 してきたが、令和元年 11月 は台風 19号 の影響で初 めて中止 となつた。また、令和 2年

自分ではおかしいと思って も、「自分の体は汚れてい るのではないか」「ひどい ことを周りの人にしたので

総合的なお話を含めていただきました。人口の関係については、都市計画マスタープラ