一21一
*
K.E.IversonのAPLに つ い て
清水川 緋紗子
1.始 め に
APL(AProgrammingLanguage)el,最 初,K.E.Iversonが 定 義 し (Wiley,1962)そ れ 以 来 彼 がA・D・Falkoffと 共 に 改 良 を 続 け て い る 汎 用 プ
ロ グ ラ ミ ソ グ 言 語 で あ っ て,現 在 多 く の 機 械 に 使 わ れ て い る 。 こ れ は 記 述 用
の
言語 と して優 れ,更 に設 計 用 言 語 と して も役 立つ 。 また 教 育 用 言語 と して,
(̀D(4)
初 歩 の 数 学 の 訓 練,APL文 法 の 訓 練 等 に 役 立 っ て い る。 これ は 統 計 計 算 用 言 語 と して も 有 用 で あ る。 従 っ て,yale大 学 の 統 計 学 部 か ら"APLの
統 計 計 算 へ の 使 用 に つ い て"と い う技 術 報 告 が 出 さ れ て い る し,カ ナ ダ の Alberta大 学 の 計 算 機 科 学 科 で はAPLの 統 計 計 算 用 パ ッケ ー ジ が 作 られ 利 用 され て い る 。KEIversonは,"統 計 で のAPL使 用 に つ い て"と い
の
うペ ー パ ー を 出 版 して い る。 以 下 そ れ を 要 約 し更 にAPLの 特 徴 を 若 干 述 べ る 。
2.Iversonが あ げ たAPL3つ の 軸 徴
i演 算 素 子 は広 く役 立つ もので あ りそ の種 類 が 豊 富 で あ る。
五 関 数 の定義 で そ の 引数 が 他 の関数 で あ る こ とを許 す 。 、 iii配 列 を直 接 と り扱 え る。
Iversonは,i,ii,iiiの 特 徴 を あ げ てAPLがSpecialPurposeLanguage
を 定 義 す る の に 大 変 役 立 つ 言 語 で あ る と 述 べ て い る 。 ま た,多 項 式,正 規 方 程 式,行 列 の 逆 転 等 の 数 値 計 算 は 無 論,位 置 を 示 す 平 均 値 の メ デ ィ ア ソ,モ
*原 稿 受 領1971年6月11日
、
一22一 商 学 討 究 第22巻 第1号 一 ド等 もAPLで 表 現 で き る こ と を示 した
。
Iversonの ペ ー パ ー は,APLの 簡 潔 な 解 説 で あ り,統 計 計 算 の み な ら ず,非 数 値 計 算 用 言 語 と してAPLが 役 立 つ こ と を 示 した 。 従 っ て 我 々 は
APLが 非 数 値 計 算 用 言 語 と して も表 現 力 に 富 ん だ 言 語 で あ る こ と を 知 る 。 ま たA・CarraciolodeForinoは,APLが 配 列 や フ ァイ ル や 木 構 造 を 含 め た 高 度 の 構 造 を もつ デ ー タ を 扱 うの に 便 利 で あ り,大 変 綿 密 で 総 合 的 な 記
この
法 シス テ ムに も とつ い て い る と述 べ て い る。
筆 者 はAPLが 会 話 型 言語 と して も優 れ た言 語 で あ る と思 うの で 以下 そ の 点 を 指摘 した い。
3,会 話 型 言 語 と して のAPL
現 在,APLは,ユ ー ザ ー が 端 末 装 置 の 鍵 盤 か ら命 令 や デ ー タ を 打 ち こ み,中 央 の コ ン ピ ュ タ ー や 他 の 端 末 装 置 と情 報 を 交 換 して コ ン ピ ュ タ ー を 使 用 す る の に 用 い られ て い る 言 語 で あ っ て,電 話 回 線 に よ る コ ン ピ ュ タ ー の 有 料 使 用 が 可 能 に な っ た 我 国 で もAPL的 言 語 の 重 要 性 は 増 して い る で あ ろ
う。
まずAPLの 式 の 計 算 順 序 は,多 くの プ ロ グ ラ ム 言 語 と は 異 り 右 か ら左 へ 行 わ れ るが,右 か ら左 へ を 採 用 した 理 由 は4つ あ げ られ て お り,そ の1つ
くヨ
は,右 か ら左 へ 計 算 され る式 は 左 か ら右 へ 読 む の に 楽 だ と い う こ とで あ る。
次 に これ は,ユ ー ザ ー 自 身 が タ イ プ を す る の に 効 率 的 で あ り,タ ッチ も 少 な くて 済 む 言 語 で あ る。
ユ ー ザ ー 自身 が タ イ プ を す る の で 次 の2つ の 特 色 が あ る。
iだ れ もが タ イ プ し易 い よ う予 め 鍵 盤 が 配 列 され て い る 。 即 ち 特 殊 文 字 が で き る だ け 記 憶 に 便 利 な よ う工 夫 さ れ て い て,ギ リ シ ャ文 字 は 対 応 す る ロ ー マ文 字 の 上 へ,意 味 の 連 想 が つ く も の は そ の文 字 の 上 に お か れ, 関 係 記 号 も 順 序 よ く並 ん で い る。 例 え ば()は[]の 上 へ?はQの 上 に 置 か れ て い る。 ま た,π 倍 を 表 す ○ は0の 上 へ 並 ん で い る が,こ れ と 同 じ こ と を 電 々公 社 の 電 話 計 算 シ ス テ ムで はXF80と ボ タ ン を 押
ヤ
KE.IversonのlAPLに つ い て 一23一
くの
さ ね ば な らな い 。
ii記 号 が 極 め て 簡 単 化 され た 。 即 ち,上 下,左 右 の 回 転 で 意 味 が 異 る た め,他 人 を 介 す る シ ス テ ム で は 採 用 で き な い 記 号 の 使 用 や 二 重 打 ち に よ
る記 号 の 増 加 が 可 能 で あ る。
例 え ば'"一一一一一一..一一1/\ や ΦQや 本Vが あ る。
タ イ プ の 衣 ッチ が 少 な くな る よ うにAPLは 次 の よ うな 特 色 を もつ 。 i豊 富 な 記 号 が あ る 。ALGOL等 の 記 号 の 他 に
イ.常 数 倍 が1記 号 で 表 わ され て い る。
○ と ★ が π,θ 倍 を 表 す 。
ロ ・頻 度 の 多 い 関 数 が1,2の 記 号 で 表 わ され て い る。
「L★(遇)1!○ 等 。
ハ 。記 号 処 理 に 便 利 な 記 号 が あ る 。
!ρ,u本 マ/\ ΦQε ⊥T等 。
iiロ ス ペ ー ス を 打 つ こ とに 意 味 が あ る。
図 は 関 数 名 と 引 数 との 区 切 り,配 列 の 次 元 の 区切 り,デ ー タ の 区 切' り等 に 用 い られ て お り,FORTRANがHfield以 外 のZを 無 視 す る の と全 く異 っ て,無 駄 な 口 を 打 た な い 。
iii関 数 サ ブ プ ロ グ ラ ム の 定 義 が 簡 単 で あ る。
一 般 に ▽ .̲..▽ は,関 数 サ ブ プ ロ グ ラ ム の 宣 言 とENDを 書 い た の と同 じで あ る。
例 え ぽ幾 何 平 均 は 次 の よ うに 定 義 さ れ る 。
▽Z←GMEANV
Z←(×/V)★ ÷9V▽
但 しVは そ の 成 分 が 正 の ベ ク トル を 表 す 。 ρVは ベ ク トル の 成 分 の 数
ク
で あ る 。 ×/VはH」Viで あ る 。V‑(x、,x2…Xn)
i=1
ivル ー プ記 法 の簡 単 化 。
行 列 の 内積,外 積 の定 義 や 低減 の 定義 とか 行 列 の要 素毎 に演 算 す る記 法 に よ り,通 常 の代 数 的 行 列 演 算 が簡 単 に行 われ て,プ ログ ラ ミン グの
一24一 商 学 討 究 第22巻 第1号
ル ー プ記 法 は全 て を れ らで 行 われ る。 即 ちF6RTRANのD6記 法 を 追 放 で き る。
gV
例 え ば+/Vは Σx、 に 同 じ。
i=l
v条 件 文 の簡 単 化 。
へ くわ
ALGOLの 条 件 文 は 算 術 式 で表 わ して い る。
4.最 後 に
以 上 簡 単 にAPLの 使 わ れ 方 に つ い て のみ 述 べ た 。APLの 内部 等 に つ いて は,ま た の機 会 にす る。
(1)萩 原 ・ 黒 住.「 計 算 機 設 計 言 語 」r情 報 処 理 』(Feb・,1971)p・93・
(2)広 田,「 電 話 計 算 シ ス テ ム 」 『情 報 処 理 』(Mar.,1971)P.129.
(3)和 田 弘 訳,『 ア ル ゴ リ ズ ム に よ る 初 等 関 数 」(1969)p・194・
(4)APL\360Use〆sManual(IBMCorporation,Sep・1969).
(5)API;\360Primer(IBMcorporation,Sep・1969).
〈6)Roy・c・Mi】tonandJohnA・Nelder(ed・)・statisticalcomputation(i969).
(7)S.Rosen(ed.),Programmingsystemsan4Languages,(1967)p.167.
〈8)JuliusT・Tou(ed・),Ad・JancesinInformationsystemsscience,(1969)P.91.