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論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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論文内容の要旨

本論文では西太平洋および大西洋海域の3地点で採取された過去1000万年間の深海底堆積物 の石灰質ナンノ化石調査を行い,地球規模の海洋環境変動史の解明,変動のタイミングとその原 因,および環太平洋地域における石油根源岩形成との関係について研究を行い,新しい知見を明 らかにした。調査では,国際深海掘削計画(Ocean Drilling Program)で採取された深海底コ アを用いた。最初に各地点の石灰質ナンノ化石層序の詳細を明らかにし,堆積速度の変化,およ びハイエタスの発達層準とその規模を明らかにした。引き続き地質年代ごとの石灰質ナンノ化石 生産量変化,Reticulofenestra属のサイズ変化,および下部透光帯種の産出頻度に着目し分析を

行った。Reticulofenestra属のサイズは,過去1000万年間を通じ,常に2~3μmにモードが存

在する。しかし,これら小型の Reticulofenestra 属のサイズ分布は,いくつかの層準でバイモ ーダルに変化し,特徴的な大型化を示す。しかし,このような大型化の変化は8.8Ma,5.4Ma,

3.75Maの層準で停止し,突如小型化,すなわち2~3μmのサイズに分布が集中する。一方,こ

れらの変化層準では,海洋表層構造が安定し,温度躍層の上限が明確な環境で多産する下部透光

帯種Discoaster属が突然減少する。同じく,この点に着目して石灰質ナンノ化石の生産量変化

を見ると,同様に Reticulofenestra 属のサイズ変化層準で急減する特徴を認めた。論文では,

このような現象が海洋表層の富栄養化が原因であることを明らかにした上で,この現象が地球規 模で共通に発生したことを示した。さらに,詳細な地質年代調査結果に基づくと,これらの現象 の発生時期とグローバルな環境変動と一致,すなわち8.8Ma,5.4Ma,3.75Maの層準で認めた 石灰質ナンノ化石群集変化が,モンスーン気候の強化,メッシニアン塩分危機,およびパナマ地 峡の成立のタイミングと一致することを明らかにした。

一方,本論文では,このような海洋環境変動が石油根源岩生成に密接に関連することに着目し,

石油根源岩分布と有機物生産量との関係を検討した。一般に,海洋表層での有機物生産量の上昇 は,湧昇流などによる海洋表層の富栄養化が主な原因であり,石油堆積盆地における石油根源岩 の形成に大きく関与する。論文では,日本,カムチャッカ,カリフォルニアなどの環太平洋に分 布する石油鉱床の石油根源岩の地質年代を整理し,これらが中期中新世中頃から形成開始したこ

氏 名 ( 本 籍 ) Santiサ ン テ ィ Dwiデ ウ ィ Pratiwiプ ラ テ ィ ウ ィ

(インドネシア)

専攻分野の名称 博士(工学)

学 位 記 番 号 工博甲 第231号 学位授与の日付 平成29年 3月22日 学位授与の要件 学位規則第4条第1項該当 研 究 科 ・ 専 攻 工学資源学研究科・資源学専攻

学 位 論 文 題 目 ( 英 文 ) Reconstruction of Paleocenographic significance in the western Pacific and Atlantic Ocean during the Neogene based on calcareous Nannofossil productivity and size variations – with special reference to formation of petroleum source rocks –

論 文 審 査 委 員 (主査)教授 佐藤 時幸 (副査)教授 今井 亮 (副査)教授 大場 司 (副査)教授 石山 大三

(副査)学外審査委員 井龍 康文

Akita University

(2)

とを示した。この結果を本論での古海洋環境変動と対比し,環太平洋地域での石油根源岩形成が

8.8Maでの富栄養化に対応することを示した。すなわち,本研究で明らかにした8.8Maのモン

スーン気候の強化に伴う環太平洋海域の富栄養化が環太平洋地域の石油堆積盆地での石油根源 岩形成に密接に関与したことを明らかにした。

論文審査結果の要旨

審査では西太平洋および大西洋海域の3地点で採取された過去 1000 万年間の深海底堆積物 の石灰質ナンノ化石調査から,地球規模の海洋環境変動史の解明,変動のタイミングとその原因,

および環太平洋地域に置ける石油根源岩形成との関係について詳述した。すなわち,石灰質ナン ノ化石調査結果は8.8Ma,5.4Ma,3.75Maの層準で大きな変化があること,その変化がモンス ーン気候の強化,メッシニアン塩分危機,およびパナマ地峡の成立のタイミングと一致すること を述べ,これらイベントを原因とする海洋表層の富栄養化が発生したことを指摘した。さらに,

この変化の中で8.8Maのモンスーン気候の強化に伴う環太平洋海域の富栄養化が,同地域の石 油堆積盆地での石油根源岩形成に密接に関与したことを指摘した。

日本海側の石油根源岩の形成と日本海の形成との関係についての質問には,日本海形成に伴う 古地形とモンスーン気候の強化が日本海側地域に湧昇流を発生させ,石油根源岩が生成したこと を紹介した。また,パナマ地峡の成立に時間幅があることに対する質問には,パナマ地峡が短期 間で成立したものではなく,浅海化から最終成立まである程度の時間を要した結果を示している ことを述べた。

以上の最終試験の結果,十分な研究成果であり学位論文として十分な価値があると審査委員全 員一致で判断した。

Akita University

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