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Relationship between moment arm and muscle strength in elbow joint Rei S

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Academic year: 2021

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全文

(1)

肘関節におけるモーメントアームと筋力との関係

白幡玲*・渡邊將司*

(2020 年 8 月 31 日受理)

Relationship between moment arm and muscle strength in elbow joint

Rei SHIRAHATA* and Masashi WATANABE* (Accepted August 31, 2020)

       

*茨城大学教育学部(〒310-8512 水戸市文京2-1-1;College of Education, Ibaraki University, Mito 310-8512 Japan).

はじめに

筋の力が腱から骨へ伝えられ,関節運動となる時,筋の骨への付着位置が関節運動の大きさや関 節の回転力(トルク)に力学的な影響を及ぼす。筋の付着位置の指標として,関節の回転中心から 筋(筋の力発揮方向)までの距離が用いられ,それをモーメントアーム(Moment ArmMA)と 呼ぶ(福永,2002)。

Miyake et al.2017)によると,男子の陸上短距離走選手と非短距離走選手を比較すると,短距 離走選手のほうが膝関節におけるMA長が長いことが報告されている。また,100mの自己ベスト タイム,60mの短距離の加速・最大スピードと膝関節伸展時のMAとの間に有意な相関があった。

この結果から,膝関節のMA長が長いほどパフォーマンスが優れていることが分かる。

また,赤木ほか(2005)によると,上腕二頭筋の筋厚と肘関節屈曲トルクとの間に有意な関係 があるという。肘角度90度の状態で,上腕二頭筋の筋厚は超音波診断装置を用いて測定し,肘関 節屈曲トルクはトルクメーターを使用し測定した。さらに,宮本ほか(2007)は,超音波皮脂厚 計を用いて大腿四頭筋の安静時・収縮時の筋力と筋厚の関係を分析し,安静時よりも収縮時の筋厚 のほうが筋力との相関が高いことを明らかにした。

人体のテコの効用の大半は,第3のテコであり,力点が支点と作用点の間にあるため,運動の速 さに対しては有利な構造になっている。Miyake et al.2017)の研究でMA と下肢の運動パフォー マンスには関係があることが示されたが,上半身でも押したり引いたりと様々な運動が行われる。

このように,下肢と同じようにMAの差によって筋力発揮能力に違い生じる可能性があるが,その 報告は見当たらない。

そこで本研究では,上半身でも特に肘関節に着目し,MAと肘関節屈曲筋力との関係を明らかに する。得られた結果は,MAの特徴に合ったトレーニング方法の確立や適性ある競技へのトランス

(2)

ファーを導く一助となる可能性がある。

方 法

1.調査対象

対象は運動部に所属する18歳から23歳まで男子58名,女子40名の計98名の大学生であった。

対象者が所属するクラブは,男子が硬式野球部・サッカー部・柔道部・バスケットボール部・ラグ ビー部・陸上競技部の中長距離走選手,女子はサッカー部・ソフトボール部・柔道部・バスケット ボール部・陸上競技部の中長距離走選手であった。対象者の特徴は表1に示した。全ての対象者には,

本研究の目的,方法,およびそれに伴う危険性に関する説明を行い,本研究に参加する同意を得た。

調査は2019810月に実施した。対象者は測定に影響する大きな怪我や病気はなかった。

1 対象者の特徴

男子

(n=58)

女子

(n=40)

年齢(歳) 19.4±1.1 20.2±1.4 身長(cm) 172.1±0.6 159.8±0.8 体重(kg) 68.6±1.1 54.7±1.4 平均値±標準偏差

2.測定項目

測定項目は身長,体重,上腕長,前腕長,前腕囲,上腕囲,屈曲上腕囲,MA長,上腕二頭筋厚,

肘関節の屈曲筋力(肘屈筋力)の10項目であった。

上腕長,前腕長の測定には管状計を使用した。上腕長は肩峰から上腕骨と橈骨の間隙まで,前腕 長は上腕骨と橈骨の間隙から橈骨茎状突起までの長さとした。

前腕囲は腕を下垂させた状態で正面から見て外側に最も膨隆した部分を,上腕囲は腕を下垂させ た状態で上腕二頭筋の最も膨隆した部分を,屈曲上腕囲は肘関節を90度に屈曲し,筋肉は弛緩さ せた状態で上腕二頭筋の最も膨隆した部分を巻尺で測定した。

MA長の測定には超音波装置(TOSHIBA SSA-250A)のBモードを利用した。肘関節伸展位で前 方からエコーをあて,上腕骨と橈骨の間隙から上腕二頭筋の近位停止位置(橈骨粗面)までの距離 を測定した(図1)。

上腕二頭筋厚の測定は超音波装置を利用し,肘関節を90度に屈曲位で筋を弛緩させた状態で上 腕にエコーをあてて上腕二頭筋厚を測定した。

肘屈筋力は握力計を改造した筋力測定器を使用した。上腕をテーブルの上に置いて床と平行位に 保った状態で肘関節を90度に屈曲し,肘関節を全力で屈曲する動作を行った(図2)。2回行い,

優れたほうの記録を採用した。すべて利き手で実施した(絶対的測定値)。

また,体格の影響を除くためにテコ比(MA/前腕長),上腕二頭筋厚/体重,肘屈筋力/体重,肘 屈筋力/上腕二頭筋厚を算出した(相対的測定値)。

(3)

3.グルーピング

主に上半身を使う運動部をAグループ,主に下半身を使う運動部をBグループと分類した(表2)。

2 部活動のグループ分け

Aグループ Bグループ

男子

柔道部(12名)

サッカー部(10名)

陸上競技部中長距離選手(8名)

硬式野球部(10名)

バスケットボール部(8名)

ラグビー部(10名)

女子

柔道部(3名)

サッカー部(9名)

陸上競技部中長距離選手(9名)

ソフトボール部(9名)

バスケットボール部(10名)

4.統計処理

2つのグループの各項目の平均値の比較は対応のあるt検定を行った。また,項目間の関係の 分析には,ピアソンの積率相関分析を行った。有意水準は5%とした。なお,全ての統計処理には JMP8.0を用いた。

結 果

1.測定の再現性

測定を2回行ったMA長,肘屈筋力,上腕二頭筋厚の測定の再現性を表3に示した。 

(NSCA決定版ストレングストレーニング&コンディショニングより引用)

MA

1 肘関節におけるMA長 2 筋力測定の様子

(4)

3 測定の再現性

1回目 2回目 対応のあるt検定

p値 相関係数

平均値±標準偏差 平均値±標準偏差

MA長 2.67±0.24 2.68±0.25 0.22 0.92**

肘屈筋力 10.36±5.92 11.67±6.37 <0.01** 0.96**

上腕二頭筋厚 2.44±0.41 2.48±0.41 <0.01** 0.98**

** p<0.01

2.対象者の基本的特徴 2-A.性差

対象者の基本的特徴を男女別に表4に示した。男子と女子の間には,テコ比,上腕二頭筋厚/ 重を除く15項目で有意差が認められた。

4 対象者の基本的特徴

男子 女子

t 値 p 値

平均値±標準偏差 平均値±標準偏差

身長(cm) 172.1 ±0.6 159.8 ±0.8 12.71 <0.01**

体重(kg) 68.6 ±1.1 54.7 ±1.4 7.83 <0.01**

前腕囲(cm) 26.2 ±0.3 22.6 ±0.4 7.80 <0.01**

前腕長(cm) 25.2 ±0.2 22.4 ±0.2 11.63 <0.01**

上腕囲(cm) 28.2 ±0.4 24.9 ±0.5 5.12 <0.01**

屈曲上腕囲(cm) 30.3 ±0.4 25.9 ±0.5 6.94 <0.01**

上腕長(cm) 30.4 ±0.2 28.3 ±0.2 6.83 <0.01**

上腕二頭筋厚(cm) 2.73±0.03 2.12 ±0.04 10.87 <0.01**

MA長(cm) 2.82±0.02 2.48 ±0.03 8.73 <0.01**

上腕二頭筋長(cm) 33.2 ±0.2 30.8 ±0.2 7.78 <0.01**

肘屈筋力(kg) 15.8 ±0.5 5.8 ±0.6 12.46 <0.01**

テコ比 0.11±0.001 0.11 ±0.001 0.07 0.946

上腕二頭筋厚/体重 0.04±0.001 0.039±0.001 1.53 0.129 肘屈筋力/上腕二頭筋厚 5.76±0.2 2.71 ±0.2 11.91 <0.01**

肘屈筋力/体重 0.23±0.01 0.11 ±0.01 11.32 <0.01**

MA長=モーメントアーム長,テコ比=MA長/前腕長,上腕二頭筋長=MA長+上腕長

* p<0.05,** p<0.01

2-B.男子におけるグループ比較

男子のAグループとBグループの絶対的測定値を表5に示した。2つのグループ間で有意な差が 認められたのは,体重,前腕囲,上腕囲,屈曲上腕囲,上腕二頭筋厚,肘屈筋力であった。また,

男子の相対的測定値を表6に示した。有意な差が認められたのは,上腕二頭筋厚/体重,肘屈筋力

/体重,肘屈筋力/上腕二頭筋厚であった。

(5)

5 男子における絶対的測定値の比較

Aグループ Bグループ

t 値 p 値

平均値±標準偏差 平均値±標準偏差

身長(cm) 171.9 ±0.8 172.4 ±1.2 0.3 0.734 体重(kg) 71.9 ±1.4 61.1 ±2.0 -4.5 <0.01**

前腕囲(cm) 26.9 ±0.4 24.4 ±0.6 -3.3 <0.01**

前腕長(cm) 25.3 ±0.2 24.9 ±0.3 -3.8 0.359 上腕囲(cm) 29.4 ±0.5 25.4 ±0.7 -0.9 <0.01**

屈曲上腕囲(cm) 31.7 ±0.5 27.3 ±0.7 -5.1 <0.01**

上腕長(cm) 30.5 ±0.3 30.3 ±0.4 -0.5 0.651 上腕二頭筋厚(cm) 2.81±0.04 2.56±0.06 -3.3 <0.01**

MA長(cm) 2.82±0.03 2.79±0.05 -0.6 0.565

上腕二頭筋長(cm) 33.3 ±0.3 33.1 ±0.4 -0.5 0.607 肘屈筋力(cm) 16.9 ±0.7 12.2 ±1.0 -4.3 <0.01**

* p<0.05,** p<0.01

6 男子における相対的測定値の比較

Aグループ Bグループ

t 値 p 値

平均値±標準偏差 平均値±標準偏差

テコ比 0.11 ±0.001 0.11 ±0.002 -0.2 0.881

上腕二頭筋厚/体重 0.039±0.001 0.042±0.001 1.7 0.087 肘屈筋力/上腕二頭筋厚 6.21 ±0.2 4.77 ±0.3 -3.6 <0.01**

肘屈筋力/体重 0.24 ±0.01 0.20 ±0.01 -2.8 <0.01**

* p<0.05,** p<0.01

2-C.女子におけるグループ比較

女子のAグループとBグループ間の絶対的測定値を表7に,相対的測定値を表8に示した。体重,

前腕囲,上腕囲,屈曲上腕囲で有意な差が認められた。相対的測定値では有意差が認められた項目 はなかった。

7 女子における絶対的測定値の比較

Aグループ Bグループ

t 値 p 値

平均値±標準偏差 平均値±標準偏差

身長(cm) 160.0 ±0.9 159.1 ±1.1 -0.9 0.395 体重(kg) 56.6 ±1.3 52.4 ±1.4 -2.2 0.031*

前腕囲(cm) 22.9 ±0.3 22.1 ±0.3 -2.1 0.192 前腕長(cm) 22.5 ±0.3 22.3 ±0.3 -0.5 0.045*

上腕囲(cm) 25.8 ±0.4 23.7 ±0.5 -3.3 <0.01**

屈曲上腕囲(cm) 26.7 ±0.4 24.9 ±0.5 -2.8 <0.01**

上腕長(cm) 28.4 ±0.3 28.1 ±0.3 -0.7 0.475 上腕二頭筋厚(cm) 2.17±0.05 2.07±0.05 -1.3 0.192

MA長(cm) 2.52±0.03 2.44±0.04 -1.5 0.152

上腕二頭筋長(cm) 30.9 ±0.3 30.5 ±0.3 -0.9 0.383 肘屈筋力(kg) 6.27±0.4 5.16±0.5 -1.8 0.076

* p<0.05,** p<0.01

(6)

8 女子における相対的測定値の比較

Aグループ Bグループ

t値 p値

平均値±標準偏差 平均値±標準偏差

テコ比 0.11±0.002 0.11±0.002 -0.7 0.453

上腕二頭筋厚/体重 0.04±0.001 0.04±0.001 0.8 0.392 肘屈筋力/上腕二頭筋厚 2.92±0.2 2.45±0.2 -1.7 0.099 肘屈筋力/体重 0.11±0.01 0.09±0.01 -0.9 0.331

* p<0.05,** p<0.01

3.絶対的測定値の相関関係 3-A.男子における相関

男子の絶対的測定値の相関行列を表9に示した。肘屈筋力と有意な相関を示したのは,体重,前 腕囲,前腕長,上腕囲,屈曲上腕囲,上腕二頭筋厚であった。

9 男子における絶対的測定値の相関行列

3-A-1.主に上半身を使う男子スポーツ選手の相関

男子Aグループの相関を表10に示した。肘屈筋力と体重が最も強い相関を示し,次いで上腕囲,

屈曲上腕囲,前腕長,上腕二頭筋厚,MA長,上腕二頭筋長,身長の順で有意な相関が認められた。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

1.身長

2.体重 0.27*

3.前腕囲 -0.05 0.72**

4.前腕長 0.53** 0.49** 0.29*

5.上腕囲 -0.04 0.89** 0.74** 0.38*

6.屈曲上腕囲 -0.02 0.88** 0.78** 0.42** 0.97**

7.上腕長 0.66** 0.21 0.04 0.44** 0.01 0.04

8.上腕二頭筋厚 0.14 0.57** 0.52** 0.24 0.52** 0.53** 0.18

9.MA長 0.19 0.37** 0.26* 0.19 0.27* 0.28* 0.10 0.06

10.上腕二頭筋長 0.67** 0.25 0.07 0.46** 0.04 0.07 0.99** 0.19 0.22

11.肘屈筋力 0.23 0.62** 0.44** 0.40** 0.58** 0.60** 0.20 0.47** 0.22 0.22

* p<0.05,** p<0.01

(7)

10 男子Aグループにおける絶対的測定値の相関行列

3-A-2.主に下半身を使う男子スポーツ選手の相関

男子Bグループの相関を表11に示した。肘屈筋力と最も強い相関を示したのは屈曲上腕囲であり,

次いで前腕囲,上腕囲であった。

11 男子Bグループにおける絶対的測定値の相関行列

3-B.女子における相関

女子全体の相関を表12に示した。肘屈筋力と最も強い相関を示したのは上腕二頭筋厚であり,

次いで屈曲上腕囲であった。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

1.身長

2.体重 0.77**

3.前腕囲 0.28 0.77**

4.前腕長 0.66** 0.66** 0.41

5.上腕囲 0.24 0.72** 0.92** 0.36

6.屈曲上腕囲 0.23 0.73** 0.94** 0.44 0.92**

7.上腕長 0.41 0.48* 0.22 0.41 0.34 0.17

8.上腕二頭筋厚 0.12 0.35 0.29 0.13 0.36 0.39 0.22

9.MA長 0.39 0.18 -0.02 0.16 -0.01 0.02 0.14 -0.31

10.上腕二頭筋長 0.45 0.50 0.21 0.42 0.33 0.16 0.99** 0.16 0.29

11.肘屈筋力 0.01 0.38 0.63** 0.20 0.48* 0.68** -0.24 0.36 -0.18 -0.26

* p<0.05,** p<0.01

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

1.身長

2.体重 0.24

3.前腕囲 -0.09 0.61**

4.前腕長 0.52** 0.47** 0.24

5.上腕囲 -0.06 0.86** 0.62** 0.38**

6.屈曲上腕囲 -0.04 0.85** 0.68** 0.42** 0.95**

7.上腕長 0.74 0.13 -0.03 0.45** -0.10 -0.03

8.上腕二頭筋厚 0.21 0.61** 0.55** 0.27 0.51** 0.52** 0.16

9.MA長 0.12 0.48** 0.36** 0.20 0.37* 0.39* 0.07 0.31*

10.上腕二頭筋長 0.74** 0.19 0.01 0.47** -0.06 0.02 0.99** 0.19 0.18

11.肘屈筋力 0.36* 0.54** 0.24 0.43** 0.45** 0.44** 0.32* 0.42** 0.38* 0.36*

* p<0.05,** p<0.01

(8)

12 女子における絶対的測定値の相関行列

3-B-1.主に上半身を使う女子スポーツ選手の相関

女子Aグループの相関を表13に示した。肘屈筋力と相関が認められた項目はなかった。

表13 女子Aグループにおける絶対的測定値の相関行列

3-B-2.主に下半身を使う女子スポーツ選手の相関

女子Bグループの相関を表14に示した。肘屈筋力と最も強い相関を示したのは上腕二頭筋厚で あった。前腕長と上腕長では負の相関がみられた。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

1.身長

2.体重 0.45

3.前腕囲 0.28 0.77**

4.前腕長 0.31 -0.26 -0.09

5.上腕囲 0.18 0.85** 0.73** -0.41

6.屈曲上腕囲 0.14 0.84** 0.76** -0.34 0.94**

7.上腕長 0.54* 0.31 0.39 0.27 0.04 0.005

8.上腕二頭筋厚 -0.04 0.07 0.28 -0.12 0.36 0.37 -0.13

9.MA長 0.41 0.02 -0.03 0.32 -0.01 -0.02 -0.05 -0.02

10.上腕二頭筋長 0.58 0.31 0.39 0.31 0.04 0.00 0.99** -0.13 0.06

11.肘屈筋力 -0.24 0.05 0.01 -0.19 0.01 0.16 -0.13 0.11 -0.34 -0.17

* p<0.05,** p<0.01

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

1.身長

2.体重 0.50**

3.前腕囲 0.33* 0.81**

4.前腕長 0.42** -0.11 -0.02

5.上腕囲 0.25 0.85** 0.82** -0.23

6.屈曲上腕囲 0.19 0.84** 0.83** -0.26 0.95**

7.上腕長 0.56** 0.31 0.32* 0.49** 0.06 -0.02

8.上腕二頭筋厚 0.02 0.28 0.49** -0.15 0.51** 0.54** -0.08

9.MA長 0.43** 0.18 0.09 0.12 0.13 0.17 -0.003 0.13

10.上腕二頭筋長 0.61** 0.32 0.33* 0.50** 0.08 0.01 0.99** -0.06 0.11

11.肘屈筋力 -0.19 0.19 0.23 -0.29 0.24 0.37* -0.19 0.38* -0.04 -0.20

* p<0.05,** p<0.01

(9)

14 女子Bグループにおける絶対的測定値の相関行列

4.相対的測定値 4-A.男子における相関

男子全体の測定値の相関を表15に示した。肘屈筋力/体重と肘屈筋力/上腕二頭筋厚の間に強い 正の相関が認められた。

15 男子における相対的測定値の相関行列

12 13 14 15

12.テコ比

13.上腕二頭筋厚/体重 -0.14

14.肘屈筋力/上腕二頭筋厚 -0.03 -0.37

15.肘屈筋力/体重 -0.09 0.08 0.89**

* p<0.05,** p<0.01

4-A-1.主に上半身を使う男子スポーツ選手の相関

男子Aグループの相対的測定値の相関を表16に示した。肘屈筋力/体重と肘屈筋力/上腕二頭筋 厚の間に強い正の相関が認められた。

16 男子Aグループにおける相対的測定値の相関行列

12 13 14 15

12.テコ比

13.上腕二頭筋厚/体重 -0.04

14.肘屈筋力/上腕二頭筋厚 -0.02 -0.33

15.肘屈筋力/体重 -0.03 0.13 0.88**

* p<0.05,** p<0.01

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

1.身長

2.体重 0.57*

3.前腕囲 0.37 0.91**

4.前腕長 0.60** 0.03 -0.01

5.上腕囲 0.26 0.83** 0.88** -0.19

6.屈曲上腕囲 0.14 0.80** 0.86** -0.32 0.96**

7.上腕長 0.59** 0.24 0.21 0.73** -0.03 -0.18

8.上腕二頭筋厚 0.05 0.56* 0.69** -0.24 0.65 0.73** -0.07

9.MA長 0.44 0.27 0.06 -0.11 0.06 0.18 -0.01 0.23

10.上腕二頭筋長 0.64 0.27 0.22 0.71** -0.03 -0.16 0.99** -0.04 0.11

11.肘屈筋力 -0.25 0.20 0.27 -0.44 0.25 0.42 -0.36 0.66** 0.09 -0.34

* p<0.05,** p<0.01

(10)

4-A-2.主に下半身を使う男子スポーツ選手の相関

男子Bグループの相対的な値の相関を表17に示した。肘屈筋力/体重と肘屈筋力/上腕二頭筋厚の 間に強い正の相関が認められた。

17 男子Bグループにおける相対的測定値の相関行列

12 13 14 15

12.テコ比

13.上腕二頭筋厚/体重 -0.28

14.肘屈筋力/上腕二頭筋厚 -0.07 -0.23

15.肘屈筋力/体重 -0.24 0.26 0.87**

* p<0.05,** p<0.01

4-B.女子における相関

女子全体の相対的測定値の相関を表18に示した。肘屈筋力/体重と肘屈筋力/上腕二頭筋厚の間 に強い正の相関が認められた。

18 女子における相対的測定値の相関行列

12 13 14 15

12.テコ比

13.上腕二頭筋厚/体重 -0.01

14.肘屈筋力/上腕二頭筋厚 0.09 -0.08

15.肘屈筋力/体重 0.12 0.34 0.90**

* p<0.05,** p<0.01

4-B-1.主に上半身を使う女子スポーツ選手の相関 

女子Aグループの相対的測定値の相関を表19に示した。肘屈筋力/体重と肘屈筋力/上腕二頭筋 厚の間に強い正の相関が認められた。

19 女子Aグループにおける相対的測定値の相関行列

12 13 14 15

12.テコ比

13.上腕二頭筋厚/体重 -0.11

14.肘屈筋力/上腕二頭筋厚 -0.21 -0.29

15.肘屈筋力/体重 -0.24 0.27 0.83**

* p<0.05,** p<0.01

4-B-2.主に下半身を使う女子スポーツ選手の相関

女子B グループの相対的測定値を表20に示した。肘屈筋力/体重と上腕二頭筋厚/体重,肘屈筋

(11)

力/上腕二頭筋厚の順で正の相関が認められた。

20 女子Bグループの相対的測定値の相関行列

12 13 14 15

12.テコ比

13.上腕二頭筋厚/体重 0.20

14.肘屈筋力/上腕二頭筋厚 0.30 0.45

15.肘屈筋力/体重 0.33 0.62* 0.98**

* p<0.05** p<0.01

考 察

本研究の目的は,肘関節のモーメントアームと筋力との関係を明らかにすることであった。

1.絶対的測定値 1-A.男子

Aグループは,主に上半身を使う部活動であり,その中でも柔道やラグビーは上肢のパワーを必 要とする競技であるため,普段から上半身の筋力トレーニングをしている。後藤(2007)は,筋 力トレーニングをした場合,一次的には筋肥大を生じることなく筋力が向上し,継続していると 二次的に筋肥大が起こると報告している。そのため,継続的なトレーニングにより上腕二頭筋厚,

前腕囲,上腕囲,屈曲上腕囲など体型に関する項目と肘屈筋力がBグループよりも優れていたと考 えられる。

本研究において,MA長と肘屈筋力で有意な相関関係が認められたのは,男子Aグループのみで

あった(r =0.38)。しかしそれよりも,体重,上腕囲,屈曲上腕囲,前腕囲,上腕二頭筋厚のほう

が肘屈筋力と高い相関を示したことから,絶対的な筋力にはMAよりも筋量のほうが影響が強いこ とが明らかとなった。

一方,Bグループでは,肘屈筋力と前腕囲,上腕囲,屈曲上腕囲,と筋量を表す項目と有意な相 関を示したが,モーメントアームとは関係がなかった。これらの結果から,男子は,ある程度の上 半身の筋力発揮あるいは使用頻度がないと,モーメントアームの差は影響しないかもしれない。

1-B.女子

女子の絶対的測定値をAグループとBグループで比較したところ,体重,前腕囲,上腕囲,屈曲 上腕囲で有意差が認められた。これは,体重と筋力が関係していること,上半身を使うAグループ のほうが筋肥大していることが考えられる。しかし,肘屈筋力で有意な差は認められなかった。原 因としては,ソフトボールとバスケットボールは上腕二頭筋を屈曲して筋力を発揮する場面が少な く,主に下半身を使うBグループとの差があまりなかったためと考えられる。

女子のAグループでは,男子とは異なり,肘屈筋力と相関のある項目はなかった。島野ほか(1997 の研究において,女子投てき選手の上腕二頭筋厚は利き手と非利き手の有意差はあったが,上腕二

(12)

頭筋厚と筋力には相関がなかったと報告されている。このことから,日常のトレーニングは筋肥大 を生み出すには効果的であるが,運動単位の活動水準や参加動員数の増加には効果的ではない可能 性がある。グループ内での肘屈筋力との相関がみられなかったのも,日常のトレーニングで起こる 筋肥大が筋力発揮能力には効果的でないからである,ということが今回の結果でも言えるだろう。

しかし,B グループでは肘屈筋力と上腕二頭筋厚,屈曲上腕囲に強い相関があった。Bグループは 主に下半身を使うスポーツなので,上肢の筋力トレーニングをする頻度が少ないため,単純に上腕 二頭筋厚が厚い者ほど肘屈筋力がある,という結果になったことが考えられる。

2.相対的測定値

AグループとBグループを比較したところ,男女とも相対的筋力と有意な相関を示す項目はなかっ た。

福永・金久(1990)によると,筋断面積を筋力で除した単位筋断面積あたりの相対的な筋力は,

本来ならば個人差は認められないが,実際にはかなり個人差が存在するという。原因として,筋力 発揮時における大脳の興奮水準および主働筋に対する神経の刺激の量といった神経系の作用,筋線 維組成といった解剖学的要因を挙げられる。今回の結果からも同じことが言えるのかもしれない。

今回の測定では時間帯を指定したが,対象者によって部活動前の人もいれば,部活動後の人に参加 する人もいた。このような条件の違いによって筋肉や神経系の状態が異なったと考えられるため,

測定前の過ごし方に条件を付けて一定にすることで,より正確な測定をすることができると考える。

3.現場への応用

競技力を向上させるうえで,自らの筋力を知ることに加え身体の構造を知ることも重要である。

そのため,モーメントアームのみならず,筋肉の付着位置や筋線維の走行を知ることで,個々に適 したトレーニングができるのではないかと考えられる。

しかし,今回の研究結果からはモーメントアームと筋力に強い関係があるとは言えなかった。一 方,筋力と筋厚では有意な相関を示していたため,筋力を向上させるためには筋量の増加が必要で あると考える。しかし,体重制限のある競技では筋量の増加に限界がある。市橋(1997)によると,

ウエイトリフティング選手は制限された体重の中で,強い筋力発揮が必要とされるため,大脳の興 奮水準を高めて,筋力発揮時に筋線維を100%近くまで高めるようなトレーニングが必要であると 述べている。そのためには,強い負荷(最大の90~100%)で低頻度の筋力トレーニングの実施が 適切であるという。また,体重は少ないが大きな力発揮が求められる競技(例えば,柔道軽量級,

レスリング軽量級,ボルダリングなど)ではモーメントアームがタレント発掘の指標になるかもし れない。これまでの研究で膝関節とモーメントアームの関係性は明らかになっているため,今後の 研究で肘関節や肩関節など上半身のモーメントアームと筋力の関係性が明らかになれば,それを基 に適性ある競技へのトランスファーを導くことができる可能性がある。

まとめ

本研究では,上肢の中でも肘関節に着目して,モーメントアーム(MA)と肘屈筋力の関係を検

(13)

討することを目的とした。対象者は運動部活動に所属する計98名(男子58名,女子40名)で,

身長,体重,上腕長,前腕長,前腕囲,上腕囲,屈曲上腕囲に加えて,超音波検査器を用いて肘関 節のMA長と上腕二頭筋厚を測定した。また,握力計を改造した筋力測定器を用いて肘屈筋力を測 定した。対象者は,主に上半身を使うスポーツ選手をAグループ,主に下半身を使うスポーツ選手 Bグループに分類して比較した。

その結果,男子のAグループのみで肘屈筋力と上腕二頭筋のMA長の間に有意な相関が認められ たが,体重や筋厚などの筋量に関する項目のほうが高い相関を示した。また,相対的測定値では,

全てのグループにおいて有意な相関を示した項目はなかった。

筋力を向上させるためにはトレーニングで筋量を増加させることができるが,体重制限があるス ポーツにおいてはMAのような解剖学的な指標が必要であり,その指標がトレーニングやタレント 発掘につながる可能性がある。

引用文献

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福永哲夫編.2002.『筋の科学事典― 構造・機能・運動 ―』(朝倉書店).

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表 3 測定の再現性 1 回目 2 回目 対応のある t検定  p値 相関係数 平均値±標準偏差 平均値±標準偏差 MA長 2.67±0.24  2.68±0.25  0.22 0.92** 肘屈筋力 10.36±5.92  11.67±6.37 &lt;0.01** 0.96** 上腕二頭筋厚 2.44±0.41  2.48±0.41  &lt;0.01** 0.98** ** p&lt;0.01 2.対象者の基本的特徴 2-A.性差 対象者の基本的特徴を男女別に表 4 に示した。男子と女子の間には,テコ
表 5 男子における絶対的測定値の比較 Aグループ Bグループ t 値 p 値 平均値±標準偏差 平均値±標準偏差 身長(cm) 171.9  ±0.8 172.4  ±1.2 0.3 0.734 体重(kg) 71.9  ±1.4 61.1  ±2.0 -4.5 &lt;0.01** 前腕囲(cm) 26.9  ±0.4 24.4  ±0.6 -3.3 &lt;0.01** 前腕長(cm) 25.3  ±0.2 24.9  ±0.3 -3.8 0.359 上腕囲(cm) 29.4  ±0.5 25.4
表 8 女子における相対的測定値の比較 Aグループ Bグループ t値 p値 平均値±標準偏差 平均値±標準偏差 テコ比 0.11±0.002 0.11±0.002 -0.7 0.453 上腕二頭筋厚/体重 0.04±0.001 0.04±0.001 0.8 0.392 肘屈筋力/上腕二頭筋厚 2.92±0.2 2.45±0.2 -1.7 0.099 肘屈筋力/体重 0.11±0.01 0.09±0.01 -0.9 0.331 * p&lt;0.05,** p&lt;0.01 3.絶対的測定値の相関関係 3-
表 10 男子Aグループにおける絶対的測定値の相関行列 3-A-2.主に下半身を使う男子スポーツ選手の相関 男子 B グループの相関を表 11 に示した。肘屈筋力と最も強い相関を示したのは屈曲上腕囲であり, 次いで前腕囲,上腕囲であった。 表 11 男子Bグループにおける絶対的測定値の相関行列 3-B.女子における相関 女子全体の相関を表 12 に示した。肘屈筋力と最も強い相関を示したのは上腕二頭筋厚であり, 次いで屈曲上腕囲であった。12 3 4 5 6 7 8 9 10 111.身長—2.体重0.77*
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