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序章 地域福祉 推進の現代 的視 点

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Academic year: 2021

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序章 地域福祉 推進の現代 的視 点

猪 山 勝利

1 節 社会福祉 の転換 と地域福祉

1 9 8 0 年代 にはいって、国際的 にも福祉国家の転換、再編が始動す るにしたが い、種々の社会構造領域の転換が生起 しているが、現代社会福祉 も大 きな構造 的転換 を進展 しつつある

外在的には国家主体のフォーディズムが、グローバ リゼーションとコ ミュー ナ リゼ‑ション ( あるいはローカ リゼ‑ション)へ分節化 し、いわゆるグロカ リゼ‑ションが進展することによる社会構造の構造的転換 は、社会福祉の 3 局 化 といわれる構造転換、すなわち国家主導福祉か ら国際福祉、国家主体福祉、

地域福祉 を生起 させつつある 。 さらに、内在的に も福祉の主体や質の変化が施 設収容主体福祉か らノーマライゼーシ ョン原理 に基づ く福祉 「 社会化」 を胎動 させつつある 。 そのような動向が 「 社会福祉の地域化」すなわち地域福祉 を本 格化 させ、21 世紀 を迎 えた今 日、地域福祉 は社会福祉の 「 補完 」 福祉ではな く、

社会福祉の重要な構成要因 とな りつつある 。

しか し、社会福祉 における地域福祉の位置づけとその基本性格 については、

種々の論議があ り、その内容や推進方策 については多 くの課題が生起 している。

本書 は、現代地域福祉の基本課題の論究 を基底 とし、地域福祉の推進 を主課題 として、 より具体的に地域福祉推進の現代的方策 を把握 してい くことを目的に している

ところで、長崎大学では近年特色ある大学づ くりのひ とつ として地域創造へ の主体的対応 を推進 しているが、地域創造の主要な課題 として生命関連問題、

環境問題、地域産業 ・アジア経済問題 な どとならんで地域福祉問題へ理論的、

実践的に対応 してお り、本書 もその取 り組 みのひ とつの成果であ り、単なる研

究草 ではな く、研究実践 をふ まえた社会提言研究の意義 をもっている 。

(2)

2 節 地域福祉推進の基本性格 と推進主体

1 .地域福祉の基本性格

地域福祉 を推進す るには、地域福祉の性格 を把握することが重要である 。 そ の性格 をめ ぐって、大別すれば 3 類型が措定 され よう

その 1 は、国家福祉の地域展開 としての福祉である。福祉国家体制下では、

地域福祉 は国家委託福祉主導であ り、せいぜい住民参加 による地域特性 による 修正問題であった。 .近年提唱されつつある福祉分権 も国家福祉の主導性 を超 え た性格ではな く、 ̀地域負担度が増すが独 自性のある地域福祉 とは言い難い。 し たがって、 これか ら 2 1 世紀 にめざす現代地域福祉 にとって国家福祉 はいわゆる

「セーフティネ ッ ト( 1 ) 」の位置づけをもち福祉の基底的役割 を果たすが、福祉の 主導性 をもつのではな く、生活する住民 に近接した現代地域福祉 は地域 自治制

をもつ独 自の福祉であるととらえることが求 められる。

その 2 は、その Ⅰとは逆 に地域福祉 を福祉の市場化 を基底 に、社会福祉の主 導的オTルマイティととらえる立場である。福祉保険制度の導入 により、 この 立場 を強調する論者 もいるが、. この地域福祉の把握 は地域間格差 を生起 させて、

弱者 を切 り捨てることにもな りがちであ り、いわゆる生存権保障の根底 を揺 る が し、社会的安定性 を弱体化する立場であ り、根底的問題 をはらんでいる。

その 3 は、地域福祉 を国家福祉、市場福祉、地域福祉の 3 元的構造の 1 構成 ととらえる立場 ( 2) であ り、他の 2 福祉 を代替す一 るのではな く、他の 2 福祉領域 と協働 し、相対的自律性 を持 って展開 される福祉であるととらえる立場である。

筆者等 も、 この立場 に立ち、 これか らの地域福祉の推進 を考 えてい くが、地域 福祉の内容 はこれか ら創造 してい く課題 を多様 に内包 してお り、本書 も地域福 祉創造へのひ とつの提言である 。

2 ‑ .地域福祉推進の主体

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であって

(3)

、従来理解 されて きた ようなノーマライゼー ション原理 は 「 福祉の 日常化」原理だ けで はな く、福祉 当事者の主体性 こそ核 的原理であるととらえ ることが重要である 。 この原理で は、福祉 当事者 は単 なる 「 受益対象者」や 「 受 益権万能者」で もな く、 自立性 を内包 した福祉推進主体 として位置づ けてい く

ことが基本 となる。 とくに、地域福祉計画策定への参画や福祉活動での自立的 参画 は重要である 。

地域福祉の推進 は、上記 した原理 を基本 とした上 で、福祉当事者 と協働 す る 地域福祉推進主体が必要である 。

協働主体 の第一 は、住民 ・市民協同セクターである 。 福祉当事者 と居住性が 近接 している近隣居住者の自治組織や福祉 ボランテ ィア、 さらに NPO な どが 住民 ・市民協同セクター として主体的役割 をはたす ことが、21 世紀 の地域福祉 推進 にはきわめて重要である

協働主体 の第二 は、産業 ・市場 セクターである 。 介護保険制度 の導入以来、

このセクターで は介護専門企業が重視 されているが、生活協同組織 を含 めた地 域産業 な どの地域福祉参加 は、従業員の 「 社会人化 ・地域参加 」 を支援す る点

で も重要である。

協働主体 の第三 は、地域 自治体 の行政セクターである。地域福祉 の推進 にお いて、行政福祉 には多様 なスタンスの相違がみ られ る 。 現在市場優先論者 な ど は、 いわ ゆる 「 小 さな政府 」 論の視点か ら、行政福祉 を低減す る論が提唱 され てい るが、社会的セーフテ ィネ ッ ト構築 の視点か ら批判的に とらえる必要があ る。他方、従来 の行政福祉が統制的性格 を持 っていたため、行政福祉の参入 を 批判 す る論があるが、公共社会的セー フティネ ッ トは基本的なセクター として 不可欠である ( 4 ) 0

さらに 、21 世紀 における地域福祉の推進 システムにおいて、福祉 当事者 と住 民 ・市民セクター、産業 ・市場セクター、地域行政セクターが どの ように協働

システム を形成 してい くか は重要 な地域福祉課題 となっている 。

(4)

3 蔀 ■ 地域福祉活動の推進の基本課題

1 .地域福祉活動の基本内容

̲ 、現代地域福祉活動 は、その内容構造 を大 きく拡充 しつつある。すなわち、従 来 の地域福祉活動が生活支援 を主体 に していたのに対 して、 .保健 や医療 との ネ ッ・ トワ丁クを通 して生活支援 とともに介護支援 に拡充

し 、

さらにバ リアフ リー施策が拡充 して きた ことも要因 とな り、福祉の社会交流活動、福祉スポー ツ活動、福祉文化活動、福祉就労活動 など多面的福祉活動へ拡充 している。 .

これ らの福祉活動の拡充 は、福祉活動の基本性格 を WEL・CARE か ら W EL・BEING へ と移行、拡充 してお り、福祉のノーマ リゼション原理が福 祉活動の基本内容 を形成 しつつある。今後、福祉活動が形成 しつつある WEL・

BEING の現代的内容構造 は、いわゆる健常者の 「 生 きる構造 」 をも逆境定 してい くことが予測 させ る 。

2 J地域福祉の推進基盤

地域福祉活動の拡充が進展 していけば、その推進 を支 える基盤の整備が重要 な課題 となる 。 その課題の中で も、いわゆるバ リアフリーの整備 は最 も重要な 課題であ り、 とくに交流 を促進 してい く交流 ・交通器具や交通基盤の整備 は喫 緊の課題 となってお り、地域の交流空間の整備. も不可欠な課題である.

3 .地域福祉学習

近年、t 地域福祉学習が活発化 しているが、さらに、. その拡充が必要である oy

その 1 は、地域福祉の基礎学習 ともいえる学校教育での福祉学習である。 こ

の点 、2 0 0 2 年度か らの教育課程の改訂で 「 総合的学習時間 」 が設定 され、環境

学習な どとともに福祉学習の拡充が強調 されてお り、今後学校 における福祉学

習 は活発 になると思われる。 さらに、福祉学習の先進校 においては単なる知的

学習にとどまらず、∵ 実践的ワークショップ学習や交流学習 も進展 している 。

(5)

域 コ ミュニテ ィにお ける福祉学習集団の組織化 と福祉学習の取 り組 みや社会教 育施設での福祉学習の取 り組み も拡充 しつつある。

( 注)

( 1 ) 金子 勝 『 セー フテ ィネ ッ トの政治経済学』 ち くま新書 2 1 4 1 9 9 9 年 ( 2) 右田紀久恵 「 福祉国家 のゆ らぎと地域福祉」右田、上野、牧里他編著

『 福祉の地域化 と自立支援』中央法規出版 20 00午

( 3 ) B. NI RJ E ,河東 田博他訳"ノーマライゼーシ ョンの原理" 現代書館 1 9 9 8 年

( 4) 大森 爾 『 分権改革 と地域福祉社会の形成 』 ぎょうせい 200 0年

参照

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